第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありませんが、「(2)情報セキュリティについて」において以下の報告すべき事項が生じています。

 

(当社における不正アクセスによる情報流出)

2025年6月16日、当社が管理するサーバにおいて通常とは異なる不審な挙動を検知し、調査の結果、第三者による不正アクセスを受けたことを確認しました。速やかに当該サーバを停止し、不正アクセス元からの通信を遮断するとともに、警察当局及び個人情報保護委員会等の関係機関への届出・報告を行いました。

その後、社内調査の完了を受け、2025年9月30日に最終報告を公表し、被害の確定および再発防止策について報告いたしました。

これらに伴い、情報流出に関する調査及び情報セキュリティ対策等の費用の発生が見込まれますが、当連結会計年度の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に与える影響額については軽微と考えております。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当中間連結会計期間の世界経済は、米国による新たな関税政策の発表を契機に、先行きへの不透明感が急速に広がりました。各国の金融政策に起因する物価動向や金融・資本市場の変動に加え、ウクライナ情勢の長期化や中東地域の緊張の高まり等、引き続き慎重な注視が求められる状況となっています。米国は、中高所得者層の消費マインドは若干の回復が見られましたが、関税コストの商品販売価格への転嫁等により、低所得者層の購買意欲は低下し個人消費の伸びが鈍化しています。欧州は、米国による相互関税発動を控えた駆け込み需要の反動により対米輸出が急減する一方、個人消費は底堅く推移し総じてプラス成長を維持しました。中国は、不動産市場の低迷が継続していますが、政府の景気刺激策に伴う消費の下支えにより成長を継続しています。わが国においては、政府消費や公共投資が低調に推移した一方、設備投資が好調に推移し総じてプラス成長を維持しました。

このような経済環境の中、当社グループは、2030年に向けた経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」のもと、事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」及び人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を掲げ、持続的な成長に向けた経営を推進しております。現在、利益水準の向上、売上規模の拡大による成長投資の資源捻出、サステナブル経営の実行を主な基本施策とする中期経営計画フェーズ2(2024年2月期~2026年2月期)の最終年度を迎えています。また、2027年2月期からスタートする中期経営計画フェーズ3の策定を進めており、前倒しで達成した“NAVI NEXT 2030”の成長目標(連結売上高1,200億円、営業利益率10%)に代わる新たな目標の設定を予定しております。中期経営計画フェーズ3の開示は2026年1月下旬から2月頃を予定しています。

当社グループの関連する市場において、舶用事業のうち商船向け市場では、船価が一時の高水準からやや下落傾向にあるものの、依然として過去と比べて高い水準で推移しています。一方で、船舶需要の先行きが不透明な状況の中、新造船の新規での発注数は以前より減少しています。そうした中でも、GHG(温室効果ガス)排出削減に向けた代替燃料船の需要は依然として根強く、造船会社が抱える工事量は継続して増加し高水準を維持しています。漁業向け市場では、アジアの需要が好調に推移しました。プレジャーボート向け市場では、ボート購入時のローン金利の影響や物価高を背景に北米の中小型艇を中心に需要が軟調に推移しました。

 

産業用事業では、ITS・GNSS市場における国内の自動車販売台数は回復傾向にあります。5Gエリア拡大に伴う携帯電話向け基地局数は高水準を維持しました。ヘルスケア市場においては、IVD(体外診断用医療機器)等の機器設置需要は堅調でした。防衛装備品事業における国内の防衛関連市場は、防衛予算の増額に伴い拡大しました。

無線LAN・ハンディターミナル事業における国内の教育ICT市場では、ICT整備に関する通信インフラ機器の更新需要は低調に推移しました。

これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は686億5千3百万円(前年同期比9.3%増)、売上総利益は295億3千4百万円(前年同期比11.7%増)となりました。営業利益は93億3百万円(前年同期比27.5%増)、経常利益は101億6千9百万円(前年同期比35.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は101億9千万円(前年同期比101.1%増)となりました。

なお、当中間連結会計期間に適用した米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ150円及び163円であり、前年同期に比べ米ドルは約0.3%の円高水準、ユーロは約1.3%の円高水準で推移しました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。セグメント利益は、営業利益ベースの数値であります。

 

①舶用事業

舶用事業では、商船向け市場での代替燃料船需要による造船会社の高い手持ち工事量を背景に新造船向け販売が増加しました。また、既存船のリプレイス需要や保守サービス需要も好調に推移したことから、機器販売及び保守サービス売上も増加しました。米州では、プレジャーボート向け市場は軟調に推移しましたが、今期上市した戦略製品を中心に販売が継続して増加しました。欧州では、主に商船の既存船向け機器の販売や保守サービスが高い水準を維持しました。アジアでは、主に商船の新造船向け機器の販売が継続して増加し、保守サービスが堅調に推移しました。日本では漁業向け機器の販売が減少しましたが、商船向けの機器販売が継続して増加し、保守サービスが堅調に推移しました。

この結果、舶用事業の売上高は599億8千2百万円(前年同期比11.4%増)となりました。セグメント利益は、95億1千7百万円(前年同期比37.5%増)となりました。

 

②産業用事業

産業用事業では、ヘルスケア事業における主に中国市場でのコスト競争の激化による影響から生化学分析装置の販売が減少しました。ITS・GNSS事業においては、時刻同期製品の販売が海外向けを中心に好調に推移しました。また、防衛装備品事業では、新たな生産管理システムへの移行による影響は徐々に緩和され、生産体制は正常化に向かっています。

この結果、産業用事業の売上高は69億5千8百万円(前年同期比0.1%増)となりました。セグメント利益は、1億8千7百万円(前年同期比37.6%減)となりました。

 

③無線LAN・ハンディターミナル事業

無線LAN・ハンディターミナル事業では主に文教市場向けの需要環境は低調に推移し、無線LANアクセスポイントの販売が減少しました。

この結果、売上高は15億6千1百万円(前年同期比16.0%減)となりました。セグメント利益は、9百万円(前年同期比92.3%減)となりました。

 

④その他

その他の売上高は1億5千万円(前年同期比7.7%減)、セグメント損失は8千8百万円(前年同期は9千6百万円の損失)となりました。

 

 

(2)財政状態の分析

当中間連結会計期間末における総資産は1,273億1千8百万円(前連結会計年度比3.1%増)となりました。これは主に、現金及び預金12億2千5百万円増加したこと及び投資有価証券6億8百万円増加したことによるものであります。

当中間連結会計期間末における負債は469億9千3百万円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。これは主に、短期借入金36億円減少したことによるものであります。

当中間連結会計期間末における純資産は803億2千4百万円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。これは主に、利益剰余金78億2千万円増加したことによるものであります。

これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の58.4%から62.7%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、169億5百万円となりました。

 

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動による資金の増加は85億6百万円(前年同期は50億1千7百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益によるものであります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動による資金の減少は3億3千4百万円(前年同期は20億9千1百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出によるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動による資金の減少は63億3千7百万円(前年同期は37億6百万円の減少)となりました。これは主に短期借入金の減少及び配当金の支払いによるものであります。

 

(4)研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は30億7百万円であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。