第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

 当社グループは、全社員が共有する理念・行動体系である「Futaba Way」の下、Futaba哲学の「本質之直視」により、事業戦略策定から業務執行全般・モノづくりの現場に至るまで、常に本質を見失うことなく事業を推進することにより、「なくてはならない器材・サービスを創出し世界の発展に貢献する」ことを企業理念としています。

 この理念を実現するためには、日々進化し続ける現代においてスピード感を持った対応が求められており、AIやIoTなどの技術を取り込んだ「モノづくりの進化」、世界各地のネットワークを活用した「グローバル経営」およびFutabaテクノロジーを進化・融合させた「新製品開発力」に注力し、さらに「モノづくりを基軸としたソリューション」による事業領域の拡大、「市場ニーズ」をダイレクトに商品企画や製造に反映させるとともに、「選択と集中」により成長市場に向けた差別化と効率化を進め、企業価値の継続的向上を図っています。

 また、コンプライアンスの徹底による公正で透明性の高い経営を実践するとともに、当社グループの製品やサービスの提供を通じて企業価値を高めつつ、自然の営みを尊重し、環境負荷の低減に取り組んでいます。さらに持続可能な社会の実現を目指し、事業活動を通じ課題解決の責任を果たすことにより、真に社会に有用な企業となることを目指しています。

 

(2)経営環境

 当社グループを取り巻く環境は、長引く新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により国内外企業で、操業停止や生産調整などが発生しており、主たる市場である民生・自動車分野での生産および販売台数が伸び悩みました。また、当社グループおよび取引先の生産拠点においてもロックダウンによる操業停止や供給体制問題、受注の減少等から稼働率の低下が生じました。さらに半導体不足や原油需要に対する供給不足から材料価格や運送費の高騰など厳しい経営環境となりました。一方で半導体需要に伴う設備投資増加に関連した電子デバイス関連事業および生産器材事業の一部で伸長がありました。

 このような経営環境の変化を取締役会、経営会議等で電子デバイス関連事業および生産器材事業の主要製品ごとに影響を検討し適時対応してきました。

 今後の状況については、全世界的に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響は、地域や製品により状況は異なるものの、各国での感染拡大の抑制策等により、経済活動は回復に向かうものと予測しています。

 米国経済はインフレへの懸念はあるものの、堅調な個人消費を背景として成長の持続が見込まれ、欧州経済はウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰に伴い成長ペースが鈍化する見込みです。中国経済はゼロコロナ政策の懸念もありますが持ち直しが続くと見込まれ、その他アセアン諸国経済の成長ペースは緩やかなものに留まる見通しです。日本経済においても各種経済政策の効果や世界経済の改善もあり持ち直すと見込んでいますが、ウクライナ情勢等による不透明感や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクがあります。総じて世界経済は各国の経済政策により回復が見込まれますが、新型コロナウイルス感染症の再拡大による経済影響、資源価格および運送費の高騰、半導体をはじめとする部品の供給不足等の懸念やウクライナ情勢等の地政学的な緊張があり、依然として先行きに不透明感があります。

 当社グループの関連市場は、自動車分野については半導体等の供給不足による生産調整や物流の混乱の問題はありますが、世界の自動車需要の回復を見込み、さらにサービス、エネルギー、デジタル、インフラをシステム化した多様なモビリティの関連領域が構築されると予想されることから、電子デバイス関連事業のディスプレイやタッチセンサー、システムソリューション製品、生産器材事業の金型用器材や成形・生産合理化機器の需要が見込まれます。

 産業機器用分野においては各地域の需要の増加が予想されることから、電子デバイス関連事業のシステムソリューション製品および生産器材事業の金型用器材や成形・生産合理化機器の伸びが見込まれます。また、インフラの老朽化による検査・監視ニーズや感染症対策を含めた省人化・無人化ニーズから、IoT機器やサーボ関連機器およびUAV関連機器への需要を見込んでおります。今後も変化を続ける市場ニーズをタイムリーにとらえ、成長分野を見極めていきます。

 

 

(3)中期経営計画と目標とする経営指標

当社グループは次々変化する経営環境に対処するため、3カ年の中期経営計画を策定しています。なお、詳細については当社ホームページのIR情報のIRライブラリをご参照ください。

① 構造改革による収益改善とともに積極的な投資により、前中期経営計画の期間に取り組んできた新製品や新規事業の「萌芽ステージ」として、継続的な成長を確実なものにすべく取り組んでいます。

 その基本方針は次のとおりであります。

「体質の改革」:事業ポートフォリオの再構築、組織再編、コスト構造改革により実現

「深化と拡張」:固有技術を進化させ、利便性の高い製品を供給し、合理化ソリューションを提供することで、新たな領域へと事業を拡張

「投資と挑戦」:積極的な投資を行い、新たな価値を持続的に創出するための挑戦を促進

 

 具体的には「体質の改革」は、まず「事業ポートフォリオの再構築」が必要であり、モノづくり企業として培ったハードを核として、そこにソフト・サービスを組み合わせて、競争優位性のある製品を創出し事業領域を拡大するとともに、技術・製品の用途拡大による次期主力事業の創出も並行して行います。

 次に「深化と拡張」については、後述の「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」において事業別に記載した施策のとおりであります。

 なお、「投資と挑戦」は、事業ポートフォリオを再構築し、新たな挑戦を進め長期的な企業価値を向上させる新規事業に向けた戦略投資、また、利益の中核となる事業の収益性改善や生産能力強化に向けた成長投資も行っていきます。

 さらに発展ステージへ向けて当社の能力を強化し、組み替えていくためにも、M&Aは適宜行っていく予定です。

 

② 中期経営計画(Futaba Innovation Plan 2023)の進捗状況

当社グループは、中期経営計画「Futaba Innovation Plan 2023」(2020年度~2022年度)により事業活動を展開し、各経営指標のモニタリングを行い経営環境の変化や計画の進捗状況に応じて、必要な対策を講じ、体質改善に取り組んでまいりました。2020年度に中期経営計画「Futaba Innovation Plan 2023」の策定以降、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響や半導体をはじめとする材料・輸送費等の高騰、米中対立やウクライナ情勢の国際情勢の変化の影響等による産業構造や需要構造の変化により収益性が低下し、当初の計画値を下回る進捗となっています。

なお、2021年度の具体的な結果については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績および (4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照ください。

 

③ 目標とする経営指標

当社グループは事業の収益性改善を重要課題と認識し、「連結売上高」「連結営業利益(連結営業利益率)」を目標とする経営指標として取り組んでいますが、中期経営計画の最終年度(2023年3月期)については、経営環境の変化により、計画値の達成が困難な状況と認識し、2022年5月20日付「2022年3月期決算短信」にて公表したとおり、連結売上高610億円、連結営業利益2億円を見込んでいます。なお、経営環境を的確に捉え産業や需要の構造変化に対応することにより、中期経営計画の各施策をさらに一段進めていきます。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 全社共通事項では、世界的な部材費、エネルギー費や運送費などの高騰に対する、一層の生産性向上や固定費削減の取り組みおよび売価の適正化を実行してまいります。また、部材調達の長期化に対応し、部品の共通化を進め、さらに顧客との情報共有を徹底してまいります。

 事業別には、電子デバイス関連事業のタッチセンサーは、選択と集中による生産・管理の集約を加速することで体質強化を図り、マルチデザインプレート、耐環境タッチセンサー、3D形状タッチセンサーなどの高付加価値製品の市場開拓を図っていきます。また、有機ELディスプレイは、生産委託や外注の最大活用による収益性の抜本的改善を推進します。

 さらに、新領域としてモビリティのEV化に伴い、リチウムイオンキャパシタ・リチウムイオン電池用「タブリード」の市場開拓および高機能化を推進します。

 続いて、システムソリューションは、ドローン関連製品は開発を促進するとともに、ハード製品を核に機体メンテナンス・スクールなどのサービス事業への領域拡大と市場開拓を行います。また、各種センサーと無線技術を融合させた製品の開発および市場開拓を図ります。

 ホビー用ラジコン機器については、BtoCとして継続的にカー用・空用の新商品を投入し、SNS等を活用した情報の発信・収集による市場の活性化とシェア拡大を目指します。また、UAV/ドローンの航続距離延長を目的としたエンジン、スターター、発電機が一体となったシステム「レンジエクステンダー」を産業用途へ拡販していきます。

 生産器材事業の金型用器材・プレート製品は、多様化する市場要求に合わせ、合理的な自動化生産体制を構築し、納期や品質で顧客満足度の向上を図ります。また、BCPの観点から部品供給拠点の分散・安定化や、材料費変動に即した適正価格での売価政策を実施します。さらにWEB受注システムやオンデマンド受託製造サービスによるお客さまへの合理化支援サービスを強化するとともに、省エネ・加工時間短縮に寄与するCFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」の用途開拓と拡販を図ります。

 成形・生産合理化機器(金型内計測システム、ホットランナシステム)の海外販売強化と売上構成比の拡大を図ります。また、新たな販売・マーケティングツールであるランディングページの充実やウェビナーのさらなる活用およびお客さまへのSDGs貢献を提案し、IoTモニタリングシステム等の拡販を図っていきます。

 なお、新型コロナウイルス感染症への対応としては、電子デバイス関連では半導体の供給逼迫による生産遅れのリスクを最小化すべく、設計変更や代替品採用など、その対策をグローバルに実施します。また、長期的には災害時の状況確認のための製品やデジタル関連、テレワーク需要、医療関連といった新たな市場や機会が再認識され、独自の技術による高付加価値製品の開発やアッセンブリーなど事業領域の拡大を行います。生産器材関連では部品供給体制についてBCP観点でのサプライチェーンの再検討、人手不足による自動化投資、遠隔操作やデータ取得による生産性の向上への寄与など、ハードを中心としたソフト・サービスへ事業ポートフォリオの転換を推進していきます。また状況確認等の情報収集および感染拡大に伴う影響を最小限に止めるための対応を迅速に行い、社員およびお客さまをはじめとするステークホルダーの皆様の安全確保を最優先に考えており、テレワークや、Web営業・会議の導入、マスクの着用や衛生関連品の設置利用を徹底するなど、感染症防止のための対策を講じております。なお、新型コロナウイルス感染症の収束見通しは不透明なことから、今後とも感染拡大に伴う経済活動への影響を注視することにより、リスクや不測の事態を想定し、経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築を図るとともに、生活様式の変化に対応すべく迅速かつ的確な研究・製品開発と生産体制の構築を推進していきます。

 

 

(5)サステナビリティ経営について

 当社グループは、SDGs・環境の基本方針として『商品・サービスの提供を通じて企業価値を高めつつ、自然の営みを尊重し、次世代へ「負の遺産」を残さないよう、環境負荷の低減に取り組み、持続可能な社会の実現を目指す』とし、社会的課題に対してマテリアリティ(重要課題)を特定し、リスクや機会をふまえ、具体的な取組みと2030年度の目標(KPI)を定めました。これらの取り組みを着実に実行することで持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。

 また、当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を予定しており、当社HP上での開示の準備を進めています。

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 今後も事業活動を通してステークホルダーの皆様との信頼関係の構築に努め、環境や社会、ガバナンスを重視し、製品やサービスの提供による新たな価値の創造により、社会課題の解決に貢献すべく事業活動を展開していきます。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況への重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。

これらのリスクに対応するため、平時および有事におけるリスク管理の定めに基づいて、リスクの把握とその評価を行い、対応方針の策定と整備を行っています。また、有事においては対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害や損害の最小化を図っています。

なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において判断した記載となっており、現時点では予測できない又は、重要と見なされないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

カテゴリー

リスク項目

リスク内容

対応策

事業戦略

市場ニーズ・

技術の急速な変化

市場ニーズの急速な変化、技術の進化への適切な対応が当社の製品・サービスの付加価値となっており、十分な対応が取れないことや、成長分野への積極的投資等の回収計画未達により、業績や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

多様化するニーズや技術革新に対応するために、研究開発部門で技術動向による新たな固有技術の探求、営業部門で市場・顧客ニーズの把握を行い、それに基づき各事業で1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の施策で取り組んでいます。

また、設備投資については、計画段階での審査に加え、定期的に回収状況を確認しています。

 

競争の激化

それぞれの事業の関連する分野において、他業種からの新規参入も含めて価格競争が激化する可能性があり、想定を超える価格競争が発生した場合には、売上高、市場シェア、利益等に影響を及ぼす可能性があります。

各事業分野において、徹底した原価低減によりコスト競争力を高めるとともに、独自技術や品質・信頼性で競合他社と差別化を図り、シェア拡大を図っています。

さらに、市場の動向や競争の状況によって事業ポートフォリオの見直しを行っています。

財務

金融市場の

変化

取引先および取引地域が世界各地に渡っており、外貨建てで取引され、製品、サービス等のコストおよび価格が、為替変動による影響を受けます。また、金融変動、インフレ、デフレ等が予想を超えた場合、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

米ドル建てを主としており、一部は為替予約を実施し、定期的な外貨建て資産の見直しによる売却等で、リスクを軽減させる措置を講じています。

製造および

サプライチェーン

品質問題

製造販売する製品は技術製品であり、その用途が拡大するなどの原因により、未知の分野や予期せぬ環境での使用に伴う不具合の発生などで、信用低下につながる場合があり、業績および財務状況へ影響を及ぼす可能性があります。

IATF16949やISO9001の認証取得を含む品質保証体制の確立およびレベルの高いサービス体制の構築に努めています。また、万が一に備えPL保険等の損害賠償責任保険に加入し、賠償額の負担軽減を図っています。

 

コスト競争力

グループ外調達により原材料、部品、サービスの供給を受けており、部品・材料・原油等の予想を超える価格の高騰が生じた場合の他に、歩留や生産性の低迷により、コスト競争力で他社に遅れを取る可能性があります。また、棚卸資産が陳腐化した場合には損失が発生し、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

製品設計や材料のVA/VE、コスト競争力のある部品・材料の調達の他に、自動化および最適地生産も含めコスト削減を図っています。また、棚卸資産の停滞や過剰の発生を極力抑え、評価損等を軽減させる取り組みも行っています。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「災害」カテゴリーの記載をご参照ください。

 

 

カテゴリー

リスク項目

リスク内容

当社の対応策

研究開発

技術革新

世の中の技術革新が急激に進化し、その対応に遅れるだけでなく、新たな表示デバイスの出現や代替品の出現等で、当社の既存製品が陳腐化し、市場を奪われ、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

「なくてはならない器材・サービスを創出することで、世界の発展に貢献する」ことを企業理念としており、顧客価値を追求した事業モデルの開発、先鋭化(新技術の探求、要素技術開発)、外部リソースを融合したソフト要素や共鳴する技術の獲得に取り組んでおり、成長分野への積極投資も行っていきます。

 

知的財産権

独自に開発した技術などが、グローバルな競合の中で、第三者より知的財産権に基づく権利の主張を受ける可能性が常に存在します。また、営業秘密の予期せぬ流出により、競争力が低下することもあり、その場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

製品の差別化と競争力強化のために、独自に開発した技術を特許権などとして権利化するとともに、ノウハウなどの営業秘密については、企業秘密管理規定により管理しており、それらを活用した市場競争力のある新製品の開発に注力しています。

人財

人財の確保・

育成

営業部門、研究開発部門、技術部門、製造部門、間接部門の全ての部門において、優秀な人財を確保する必要があります。しかしながら、少子高齢化に伴い、若手社員の確保が難しくなり、優秀な社員の引き抜きや、今後の定年退職者の増加により技能の継承が出来ず、将来の事業運営等に影響を及ぼす可能性があります。

継続的に優秀な人財を確保するために、新卒の他に、専門性の高い人財の中途採用を継続的に行うとともに、人財の定着にも配慮しています。また、人員不足に対応すべく技能に頼らない自動化生産体制の構築も行っています。

さらに、資格取得支援、研修制度を体系化し人財の育成に注力しています。

災害

自然災害・

感染症

南海トラフを原因とする巨大地震や首都圏直下地震をはじめとする火災、風水害、火山噴火等の自然災害の他に、新型インフルエンザや、新型コロナウイルス等の感染症が発生した場合、リスクとして取引先の倒産等による影響を含め全てを回避することは困難であり、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化も含め、事業運営および業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、大地震等の大災害発生時における対応策を予め策定・準備し、日頃より各種災害対策訓練の他に、大災害が発生した場合も、社長自らを本部長とする災害対策本部を設置し、人的・物的被害を最小限に抑え、事業を中断することのないようにBCP(事業継続計画)を準備しています。また、政府から発信される情報に基づき、感染症などへの対応も行っています。

なお、2020年1月より顕在化した新型コロナウイルス感染症が世界的に流行しておりますが、当社グループは対策組織を立ち上げ、事業継続や社員の健康および感染拡大の防止などの対応を図っています。接触機会を減らす対策としては、出社率の目標を定めた上で、テレワーク等の活用を推進しています。感染者が発生した場合は、その情報を当社グループで共有する事で、更なる感染拡大の防止に役立てており、外部に向けても発生状況を公表しています。

情報

情報セキュリティ

従業員やハッカーなどの外部の人間によるインターネットの悪用、ウイルス侵入、顧客情報や機密情報の流出、データ紛失・改ざんなどが発生した場合、生産活動の停滞および停止に陥り、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

ネットワークへの侵入防止・外部のセキュリティオペレーションによる監視、並びにソフトウェアのアップデート適用管理を行っています。障害発生時の連絡体制は、関係会社も含めて構築し運用しています。また、ITセキュリティ教育および訓練は定期的に実施しています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1) 経営成績

 当期の経営成績

 当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の進展などにより、社会・経済活動が徐々に正常化しつつありましたが、新たな変異株であるオミクロン株の感染拡大のほか、原油価格の高騰による輸送費や原材料価格の上昇など、依然として厳しい状況が続きました。

 世界経済においても、中国や欧米では緩やかな景気の回復基調にある一方、資源・エネルギー価格の上昇などによるインフレ懸念やスタグフレーションの兆しが見られ、加えて、米中対立・ウクライナ問題、中国主要都市における都市封鎖など不透明要因も多く予断を許さない状況が継続しています。

 こうした経済情勢下、当社グループは第2次中期経営計画(Futaba Innovation Plan 2023)に基づき、コスト構造改革による収益の改善と積極投資による事業成長の促進に努めました。

 なお、当期に実施した主な取り組みは、以下のとおりです。

・コスト構造改革としましては、生産拠点の統合や国内営業拠点の再編による輸送コストおよび固定費の削減を推進しました。

・電子デバイス関連事業の成長の促進としましては、高輝度・高精細な小型カラー有機ELディスプレイ、独自開発ICを使用した耐環境タッチセンサーなど高付加価値製品の開発を推進しました。また、オールインワンモータモジュール「Roboservo」の量産を開始し、産業用ドローンでは物資搬送用ドローンの開発と実証実験のほか、ドローン運行管理システムの共同開発を開始しました。ホビー用ラジコン機器では、カー用プロポのフラッグシップモデルである「T10PX」を開発し市場に投入しました。

・生産器材事業につきましては、ランディングページやウェビナーを活用しデジタルコンテンツをさらに充実させることで営業効率を改善しました。また、「工作機械IoTモニタリングシステム」を当社工場内に設置し稼働率の向上を実現させ、DX化事例を公開することで取引を拡大させました。また、新材料である「フェルカーボ」につきましては、リサイクル炭素繊維を使用することでSDGsの達成にも貢献しています。

 

 以上の結果、当期における売上高は534億5千万円(前期比9.5%増)となりました。このうち海外売上高は299億3千6百万円(前期比7.7%増)となり、国内売上高は235億1千4百万円(前期比11.8%増)となりました。収益面では、営業損失は18億6千3百万円(前期は営業損失35億1千7百万円)となりました。また、経常損失は6億5千4百万円(前期は経常損失25億1千3百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失を計上したことにより26億6千8百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失54億3千万円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

① 電子デバイス関連

(主な製品:タッチセンサー、有機ELディスプレイ、蛍光表示管、複合モジュール、産業用ラジコン機器、

      ホビー用ラジコン機器等)

 タッチセンサーでは、構成比率の高い海外での車載用途において新モデルの量産開始があったものの、顧客の半導体調達難による生産調整の影響を受けたことから、売上げは前期を下回りました。

 有機ELディスプレイでは、国内の車載用途や海外での事務機用途および映像用途は順調に推移しましたが、海外での車載用途やWi-Fiルータ向けにおいて、顧客の生産調整の影響等を受けたことから、売上げは前期並となりました。

 複合モジュールでは、事務機用途および計測器用途が好調であり、EMSの受注も回復してきたことから、売上げは前期を上回りました。

 産業用ラジコン機器では、トラッククレーン向けやFA向けが順調に推移したことから、売上げは前期を上回りました。

 ホビー用ラジコン機器では、空用およびカー用プロポの新製品販売や北米のインターネット販売が好調であったことから、売上げは前期を上回りました。

② 生産器材

(主な製品:プレート製品、金型用器材、成形・生産合理化機器)

 国内では、自動車関連において半導体不足などによる減産の影響があったものの、設備投資関連を含め総じて市場が回復し、モールド・プレス金型用器材およびプレート製品が好調に推移、成形・生産合理化機器も堅調であったことから、売上げは前期を上回りました。

 海外では、主力の韓国において、国内景気の持ち直しによる需要の増加に加え、携帯電話向けおよび医療用途向けが順調に推移し、為替も円安で推移したことから、売上げは前期を上回りました。

 

(2) 当期の財政状態の概況

(資産、負債、純資産及びキャッシュ・フローの状況に関する分析)

① 総資産は、棚卸資産や土地の増加などにより、前連結会計年度末に比べ2億2千8百万円増加し、1,004億3千5百万円となりました。

  負債は、支払手形及び買掛金や電子記録債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べ9億4千1百万円増加し、136億4千6百万円となりました。

  純資産は、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ7億1千2百万円減少し、867億8千8百万円となりました。この結果、自己資本比率は75.3%となりました。

② 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は205億8千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億8千5百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、60億7千1百万円(前期は5億8百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額47億5千万円や税金等調整前当期純損失13億7千9百万円などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は、13億4千7百万円(前期は23億8千9百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入13億6千6百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、16億2千万円(前期は18億7千4百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額11億8千9百万円などの支出によるものです。

(3) 生産、受注及び販売の実績

 ① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

電子デバイス関連(百万円)

20,766

120.4

生産器材(百万円)

27,573

109.4

 合  計 (百万円)

48,340

113.9

 (注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでいます。

2.金額は売価換算値で表示しています。

 

 ② 受注実績

 製品の性質上、原則として需要予測に基づく見込み生産を主体としていますので記載を省略しています。

 ③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

電子デバイス関連(百万円)

22,718

110.4

生産器材(百万円)

30,732

108.8

 合  計 (百万円)

53,450

109.5

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当

  該割合が100分の10以上の相手先が無いため、記載を省略しています。

(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りについては、過去の実績と勘案し、合理的に判断していますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

 

 ② 経営成績の分析

当連結会計年度の当社グループの売上高は534億5千万円、営業損失は18億6千3百万円、経常損失は6億5千4百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は26億6千8百万円となりました。

売上高については、前期比9.5%増となりました。収益面では、売上高の増加などにより営業損失は18億6千3百万円(前期は営業損失35億1千7百万円)となり赤字縮小となりました。経常損失は為替差益を計上したことから6億5千4百万円(前期は経常損失25億1千3百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失を計上したことなどから26億6千8百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失54億3千万円)となりました。

 ③ 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、棚卸資産や土地の増加などにより、前連結会計年度末に比べ2億2千8百万円増加し、1,004億3千5百万円となりました。

当連結会計年度末の負債は、支払手形及び買掛金や電子記録債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べ9億4千1百万円増加し、136億4千6百万円となりました。

また、当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ7億1千2百万円減少し、867億8千8百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末76.7%から1.4ポイント減少して75.3%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べて29円95銭減少して、1,782円55銭となりました。

 

 ④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

・ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は205億8千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億8千5百万円減少しました。

 営業活動の結果使用した資金は、60億7千1百万円(前期は5億8百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額47億5千万円や税金等調整前当期純損失13億7千9百万円などによるものです。

 投資活動の結果獲得した資金は、13億4千7百万円(前期は23億8千9百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入13億6千6百万円などによるものです。

 財務活動の結果使用した資金は、16億2千万円(前期は18億7千4百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額11億8千9百万円などの支出によるものです。

 

・ 資金需要及び財務政策

 当社グループでは、今後もグローバルな市場への展開のために、主に日本における研究開発が不可欠であると考えており、そのための研究開発投資とグループ内の事業投資を今後も継続していきます。

 また、当社グループでは引き続き財務の健全性を堅持し、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの成長に必要な資金を調達していくことが可能であると考えています。

 

 ⑤ 経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、本項に記載のほか、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)における研究開発費は、1,893百万円となりました。当社グループは、企業哲学である「本質之直視」を研究開発活動に展開し、物事を原理まで突き詰めることを常に意識しながら、各事業センターならびに国内外の子会社が一体となり研究開発を推進しています。研究開発体制について、コア技術開発センターにおいては、新事業の創出と既存事業の拡大・強化を目的に据え、当社コア技術・製品の強みを更に発展させる研究開発を主な活動とし、各事業センターにおいては所管事業に関する新製品の開発を中心に、相互に連携をとりながら、研究開発活動を行っています。メカトロ製品開発センターにつきましては、これまでに開発した製品の事業化を加速するため、開発機能を各事業部門へ移管しました。また、グループ全体の技術力向上と高付加価値製品の開発に寄与する知的財産の蓄積を図るとともに、大学・外部研究機関との共同研究にも積極的に取り組んでいます。

 

(1) 電子デバイス関連

電子デバイス関連については、有機ELディスプレイ、静電容量式タッチセンサーおよびそのモジュール、アクチュエーター・UAV機器・各種のラジコン、二次電池用部材などの製品をいち早く市場に投入すべく研究開発を行っています。

有機ELディスプレイについては、高輝度化した車載ディスプレイ製品、およびカラーフィルム製品の市場投入を開始いたしました。また市場のカラー化要求が高まる中で、車載用途向けに開発した技術の応用によりカラーディスプレイの高輝度化を実現し標準品ラインナップに加えました。ディスプレイ以外への用途展開を進めている有機ELプリントヘッドにつきましては、業務用途向け製品の市場投入を開始いたします。

LCD表示モジュールについては、多言語・可変フォント・簡易動画機能などを搭載したコマンド式TFT-LCDモジュールの標準ラインナップに加え、USB接続でPCの拡張画面として利用可能な産業用USBディスプレイを開発し、市場投入しました。多種の汎用インターフェースを搭載した産業用途向け製品開発を行っており、さらにお客様の多様なニーズに応えられるよう製品開発を進めています。

静電容量式タッチセンサーについては、進化を続ける未来志向の車載インテリアデザインに対応した製品、また車載のみならず、産機、建機、農機向けに、当社カスタム制御ICの機能アップを図り、屋外用途に適したアプリケーション等を提案することで、お客様の多様なニーズに応えていきます。

また、家電、美容、医療機器用、および車載向けに、マルチデザインプレートという特殊印刷を施したタッチキーを開発し、これらセンサーとディスプレイ、カバーを複合化した商品を市場へ投入していく予定です。

新製品として、タブリードの開発を開始しました。二次電池の高容量化や高い安全性のニーズに応えるため、材料および製品開発を進めていきます。

サーボ関連については、耐久性を向上させたIP67(防水・防塵規格)、CANインターフェースに対応した製品を開発し、ドローン用途を中心に市場投入しました。さらに産業用途での拡大を図るためにラインナップを拡充しています。また主に協働ロボット用に向けて、モータとその制御に必要な周辺機器を一つに収めたオールインワンモータモジュール「Roboservo」をリリースしました。ドローン関連については、産業用に向けて優れた耐風性を強みとした大型機と中型機の標準プラットフォームを応用し、点検・監視・物流・災害対応など各種用途へのニーズに対応しています。

産業用ラジコン機器については、用途拡大を目指し建機・農業・物流・放送・インフラ市場などに向け、免許不要な周波数帯を利用したテレコンなどを市場投入しました。またIoT市場へ展開するため、独自無線と汎用無線を組み合わせた製品を市場投入しました。

産業向けのエンジン製品については、ドローン用レンジエクステンダー(1kW出力)を用いて、測量などで必要な長時間飛行の実証実験を積み重ねると共に、2kW出力などラインナップの強化、長時間飛行での利便性を更に向上させる操作の自動化を進めています。また、低ノイズ・低振動・低燃費・高高度対応のニーズに適した無人航空機用エンジンを開発し、観測・物流・空撮などを主体とするお客様との実証実験・販売を進めています。

ホビー用ラジコン製品については、ハイエンドモデルを更に進化させ、操縦フィーリング・カスタマイズ機能と重量バランスの最適化によって、今までにない走りの新境地を実感させるとともに操縦者への負担を軽減したカー用次世代プロポを開発し市場投入しました。周辺機器では、2系統の受信機とバッテリーを効率良く切り換えることで飛行時の安全性を高める補助装置、大型機から中型機までの動力用モータを制御する3種のESC(Electronic Speed Controller)、オリジナルデザインの模型飛行機3モデルなどの新製品を開発し市場投入しました。また、ホビー向けのエンジン製品については、競技模型車用エンジンの改良・改善を進めると共に、OEM受注を推進する事でシェアNo.1を維持していきます。

以上を含め、当事業における研究開発費は、1,720百万円となりました。

 (2) 生産器材

生産器材については、金型および設備・治工具向け基礎器材をはじめ量産現場におけるシステム開発や成形・生産合理化機器および新製品の用途・顧客開拓を進めました。

金型および設備・治工具向け基礎器材では、お客様の器材調達合理化の仕組みであるフタバオーダーサイトに新たな機能として、関係会社である株式会社カブクが展開する簡易設計・調達サービスである「Plate Builder」を搭載しました。このシステム搭載により、お客様は切削加工品の設計・見積もり・発注を、オンラインで完結することが可能となりました。また、プレート生産の合理化の為、自動丸鋸切断ラインおよび自動フライス加工ラインの開発を進めました。

成形・生産合理化機器では、ホットランナシステムにおいて、耐摩耗性・耐腐食性の向上を図り高機能樹脂への対応を進めました。金型内計測システム(モールドマーシャリングシステム)においては、小形成形品への計測ニーズに対応すべく、新たにΦ1小径表面温度センサの開発を進めると共に、複合計測ニーズ向けでは、センサラインナップの拡大により更なる見える化を提供する予定です。

さらに、プレス成形分野においては、二次電池用電極材切断金型や包材絞り金型を二次電池部材メーカー様に納入する他、社内設備・金型を活用し、全固体電池向けの試作ニーズにも対応を進めています。

新製品分野では、工作機械IoTモニタリングシステムにおいてお客様の要望に対応したソフトウェアを新規に追加し、工作機械の稼働状況を視覚的に捉え、生産実績の分析作業をより簡易化出来るソフトを開発しました。CFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」は、切削加工の工法開発を行い、加工生産性の向上で原価低減を進めました。

以上を含め、当事業における研究開発費は、172百万円となりました。