当社は「すべての行動を通して 人へ 社会へ 世界へ貢献する」との企業理念を掲げており、人々の健康・福祉に貢献し、質の高い充実した生活の実現に寄与することを、社会的使命と位置付けております。
上記理念の実現のために、当社グループは長年培われた技術力を駆使し、福祉の充実、環境保全に係わる課題に正面から取り組み、広く社会に貢献する企業グループを目指して邁進してまいりました。当社グループがさらに将来に向かって躍進するためには、研究開発型企業として当社の技術力を一層高めることが重要であり、そのためには基礎科学の高揚と応用科学の実践を推進する上で、経営基盤の更なる拡充を図ることが必要となります。
当社グループは、既存事業のさらなる成長はもちろんのこと、経営資源の有効活用を図り、あらゆるイノベーションによって新たなビジネスモデルを創出することを中期的な経営方針としております。その実現のため、「売上高250億円」「売上高営業利益率15%」及び「自己資本当期純利益率(ROE)10%」を創立80周年である2025年3月期までに達成すべき経営指標として掲げて取り組んでまいります。
当社グループの事業の最大の特徴は、主要製品のすべてが国内市場において高いシェアを確保していることであります。これは、他社が手がけていない独自の事業を切り開き、市場に展開してきたためであり、それぞれの分野において事業の開始以来、多くの先進的な製品を市場に投入し続けてまいりました。また、近年では欧米や東南アジアを中心とした海外市場への進出を進めており、国内で培った技術力や良質なサービスは、海外においても高い評価を得ております。しかしながら、当社グループの事業においても国内外に競合他社が複数存在しており、販売面並びに技術面等での競争が激化する状況にあります。
当社グループが更なる業容の拡大を図るためには、海外において販路の拡大に取り組むことが当面の課題であります。当社グループが培ってきた日本型ビジネスモデルを輸出するべく、相手国の状況に合わせた取り組みを進めてまいります。また、製品の競争力を高めるために、基本性能の向上のみならず付加機能の拡充にも取り組みます。より高い顧客満足度を実現することにより、当社グループの持続的な発展と企業価値の向上に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
補聴器の業界においては、海外の大手メーカーが複数存在しており、高齢化社会を迎えたわが国でも、それらの競合他社の参入により販売競争が激化しております。また、医用検査機器、音響・振動計測器及び微粒子計測器においても、当社製品の主要供給先である国内外の市場において、競合他社との激しい販売競争下におかれております。今後もこれらの販売競争は継続することが予想され、価格の下落による売上高の減少や利益率の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響につきまして海外セグメントと国内セグメントを比較いたしますと、海外においてリスクの顕在化の可能性はより高くなりますが、国内におきましては、当社の知名度、技術力、業界への影響力などにより比較的競争力が高いことから、リスクが顕在化する可能性はより低く、安定的に推移するものと認識しております。
当社グループは、更なる業容拡大に向けて海外市場の開拓を進めております。当社製品の輸出先には、政治・経済的に不安定な諸国も含まれるため、それらの国々において為替変動を含む経済的な変化や、テロ及び戦争等による社会的混乱が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、当連結会計年度における売上高のうち、海外セグメントの割合は20%未満であるため、仮にリスクが顕在化した場合であっても業績に及ぼす影響は限定的であると認識しております。
当社グループの製造する製品群における技術革新は著しく、お客様のニーズに沿った新製品を市場に供給し続けるためには、多岐にわたる充分な研究開発活動が不可欠となります。研究開発については技術開発センターが所管しており、各事業における新製品開発に加え、将来を見据えた技術開発に取り組んでおります。しかし、急激な技術革新により市場のニーズが大きく変化し、当社製品の市場価値が低下した場合には、メーカーとしての優位性が損なわれる事態を想定する必要があります。モノからコトへの流れの中で当社は、イノベーション推進室の活動を始めとして全社的活動として市場ニーズの掘り起こしを進め、新たなビジネスモデルの開拓に挑戦してまいります。
当社グループは、研究開発活動の成果として多数の知的財産権を保有しております。それらの知的財産権については、厳しく管理しており、第三者からの侵害にも注意を払っておりますが、不正使用などが行われた場合には、本来得られるべき利益が失われる可能性があるため、模造品の氾濫などの事態に対しては毅然とした法的処置を取ることにより被害を最小限に食い止めることとしております。また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意を怠らぬよう努めておりますが、仮に訴訟を提起された場合には、裁判費用、弁護士費用の発生による経費の増加が懸念されること、また万が一、司法判断により売上補填等の損害賠償を求められた場合には、多額の損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、当社で定めた品質管理基準に基づいた品質管理を行っており、安全かつ安心いただける製品の供給に努めておりますが、自主回収を要するような製品の不具合が生じた場合や当該不具合により第三者に損害を与えた場合には、損害賠償請求等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、当社が生産する製品の種類は多く、一製品ごとの生産量は限られるため、不具合による回収が発生した場合における経費の増加は限定的であると考えられます。一方で、製品の使用時における人的被害が起きた場合には、誠意をもって対応するものの、被害の状況によっては多額の賠償金が発生する恐れがあります。
当社グループが製造販売している製品の中には、法令の規制を受ける製品が多数あり、それらの製品の製造販売にあたっては業許可や届出のほか、製品ごとの認証等が必要となります。当該法令に係る違反行為等に対しては業許可の停止又は取消しの行政処分が課せられる場合があるほか、今後、これらの規制が変更された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、許認可の要件や法的環境につきましては、当社品質部門において日常的な監視を続けており、これらのリスクによって実際に当社グループの業績に影響が及ぶ恐れは非常に小さいものと認識しております。
当社グループは、生産及び販売の拠点となる事業所を国内外に配置しております。それぞれの施設において災害対策を適宜講じておりますが、それらの施設がある地域において、地震、津波、台風、大雨、洪水、大雪、疫病の流行等の大規模な自然災害が発生した場合には、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社では緊急事態におけるBCPを策定し、事業活動の停滞を最小限に食い止める施策を講じておりますが、災害の程度に応じ最悪の場合は事業の停止を余儀なくされる恐れがあります。
当社の筆頭株主である一般財団法人小林理学研究所につきましては、旧来より当社の設立母体として、また当社事業に関連の深い音響物理学を中心とする基礎研究分野に係る共同研究先として継続的に複数の研究委託を行っており、当社設立以来の長きに亘り友好的な関係を続けております。しかしながら、将来において当該財団の運営状況等の変化によって当社株式の保有に係る方針が変更された場合には、当社の経営環境に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により経済環境が悪化するなど、極めて厳しい状況となりました。
このような中、当社グループの業績につきましては、医療機器事業及び環境機器事業の販売が伸び悩んだことにより、全体では減収減益となったものの、微粒子計測器事業の販売が好調に推移したことから業績の落ち込みは一定程度に抑えられました。
[医療機器事業]
補聴器では、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により、4月から5月にかけて来店者数の減少とともに販売が大きく落ち込みましたが、6月以降は徐々に回復し、10月には前年を上回る水準まで売上が戻っておりました。その後、11月頃から感染症が再拡大した影響により1月から2月は再び販売状況が悪化し、3月には持ち直しが見られたものの、通期の売上高は前連結会計年度に届かない結果となりました。医用検査機器では、主な顧客である耳鼻科などの医療機関において感染症対策のため人流に制限のある状況が続いたほか、耳鼻科への患者減少による経営環境の悪化から全体的に設備投資に慎重な傾向が見られ、販売は低調に推移しました。これらの結果、医療機器事業全体では前連結会計年度と比べて減収減益となりました。
[環境機器事業]
環境計測市場では官公庁などで予算が確保されていた案件を中心に販売が堅調に推移したものの、産業計測市場では主な顧客となる民間企業において、景気後退に伴い設備投資を縮小または延期する傾向にありました。また、取引先に対する直接訪問が制約された状況が続いたことから、ウェブセミナーを積極的に開催するなどして拡販に努めましたが、前連結会計年度と比べて減収減益となりました。
[微粒子計測器事業]
半導体関連市場においては、深刻な半導体不足が続く中、従来から継続してきた活発な設備投資に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークやオンライン教育の増加によりパソコンやデータセンター関連の投資等が増加したことから、半導体製造工場で使用される液中微粒子計の販売が好調に推移しました。そのため、当連結会計年度は過去最高の売上高を更新し、前連結会計年度と比べて増収増益となりました。
以上の結果、売上高は前連結会計年度と比べて999百万円減、営業利益は264百万円減、経常利益は279百万円減となりました。
なお、東京都の新宿駅周辺における土地再開発に伴い、賃借していた当社直営の補聴器販売店を新店舗へ移転したことにより受領した補償金を特別利益に計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて142百万円減となりました。
当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較しますと、次のとおりとなります。
当社グループでは「売上高250億円」「売上高営業利益率15%」及び「自己資本当期純利益率(ROE)10%」を2025年3月期までに達成すべき経営指標として取り組んでおります。当連結会計年度につきましては、売上高204億円、売上高営業利益率10.9%、自己資本当期純利益率7.1%となり、いずれも目標を下回る結果となりました。
これらの達成に向けた施策として、医療機器事業では、補聴器において、新製品投入によるラインナップの充実に加え、より一層の耳鼻科との連携強化等により売上高の拡大を図るほか、医用検査機器においては、国内市場における耳鼻科を中心とした医療機関の設備投資需要を着実に捕捉してまいります。
環境機器事業では、環境計測市場において官公庁を中心とした予算案件や都市部を中心に活発化している建設工事等に伴う需要により収益を確保しつつ、産業計測市場での拡販に努めるほか、中国、東南アジア、欧州など海外市場における営業活動の強化を図ってまいります。
微粒子計測器事業では、半導体関連市場での微細化に伴う最先端機種へのニーズに対応していくとともに、医薬関連市場での拡販や生物粒子計数器による新市場の開拓を進めてまいります。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 及び 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(資産)
資産の部は、前連結会計年度末に比べて832百万円増加し、30,683百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加367百万円、建設仮勘定の増加341百万円、投資有価証券の増加336百万円によるものであります。
(負債)
負債の部は、前連結会計年度末に比べて661百万円減少し、6,957百万円となりました。これは主に未払法人税等の減少65百万円、賞与引当金の減少86百万円、退職給付に係る負債の減少465百万円によるものであります。
(純資産)
純資産の部は、前連結会計年度末に比べて1,494百万円増加し、23,726百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加1,084百万円によるものであります。
当社グループは、従来から営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ております。なお、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などの財源は、自己資金のほか金融機関からの資金調達によることとしております。これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローを前連結会計年度と比較しますと、次のとおりとなります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて358百万円増加し、5,826百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べて632百万円減少し、2,064百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,424百万円を計上したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて167百万円増加し、1,137百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得として823百万円、無形固定資産の取得として297百万円を支出したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて37百万円増加し、566百万円となりました。これは主に配当金として552百万円を支出したためであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループが締結している重要な契約の概要は次のとおりであります。
なお、上記以外に当連結会計年度において経営上の重要な契約等は行われておりません。
当社グループにおける研究開発活動は、当社が主体となり、医療機器事業、環境機器事業及び微粒子計測器事業の各分野において、顧客満足度の向上を図り、常に信頼され続ける製品の開発を目指して研究開発を行っております。研究開発については技術開発センターが所管しており、補聴器、医用検査機器、音響・振動計測器及び微粒子計測器の新製品開発に加え、当社の将来基盤となる技術開発を視野に、全事業に係る分野及び新規事業に係る分野の研究開発を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は
医療機器事業では、補聴器の主力ラインナップとなる 「リオネットシリーズ」 において、優れた基本性能を備えたままに価格を抑えた「プレミエンスV」 を開発したほか、障害者総合支援法購入基準該当品の高度難聴用耳かけ型補聴器 「HB-A6H」や、 片耳(1台)10万円のお求めやすい価格帯の補聴器「HB-A6ES」を開発し、それぞれ2020年7月に発売しました。医療機器事業における研究開発費は
環境機器事業では、環境計測市場及び産業計測市場向けに騒音計や振動計の開発を進めるとともに、交通インフラ並びにダム、発電所などの設備保全に使用する地震計等の開発を行いました。環境機器事業における研究開発費は
微粒子計測器事業では、電子デバイス関連市場及び医薬関連市場向けに気中微粒子計や液中微粒子計の開発を進めるとともに、浄水場等での水質の清浄度管理に使用する生物粒子計数器の開発を行いました。微粒子計測器事業における研究開発費は
なお、当社が蓄積してきた技術を広く紹介するため、技術情報誌「RION Technical Journal」を2021年4月に創刊し、当社ウェブサイトに公開しております。