第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来「ユニーク&オリジナル」をモットーに、お客様に満足いただくことを行動指針の第一に掲げ、当社が得意とするアナログ技術をベースに、特色のある製品を提供することによって、エレクトロニクス産業の発展とこれを通じた社会への貢献を目標にしてまいりました。

事業への地道な取り組み実績を各方面から評価いただき、現在では家電・自動車・航空宇宙から電力などの社会インフラにいたる幅広い産業分野を対象に事業を展開しております。

最近は創業以来培ってきた独創技術を核として「計測・制御の独創技術で未来のテクノロジーを支えます。」とのミッションステートメントのもと、先端技術開発に貢献できる製品開発とトータルソリューション営業体制を確立し、「市場から期待される企業」を目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、技術開発力の向上、営業力の強化及びコスト競争力の改善に取り組むことで、持続的な売上成長と安定して売上高営業利益率10%以上を目指し、経営環境の変化に強靭で中長期的に安定した企業成長の実現に力を注いでまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

① 当社は計測制御デバイス関連、電源パワー制御関連、環境エネルギー関連の3事業を柱として幅広い顧客市場に、独創技術を核とした競争力の高い製品を提供することで、設備投資の影響を受けにくいビジネスモデルの構築等を通じて、経営基盤を更に磐石にすることを目指しています。

 

② 既存事業領域においては市場の大きな伸びが期待できない中で市場シェアアップに向け技術開発と営業力の強化を図ってまいります。また、新たな事業領域開拓に向けた技術開発と市場開拓に注力し、着実な成長を図ってまいります。

 

③ 生産ネットワークの活用・刷新と生産子会社の生産改革等により、生産効率の向上、コスト体質の強化を一層図ってまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社を取り巻く経営環境は、資源・資材価格を始めとする各種コストの高止まりや、米国関税政策が本邦製造業の生産・投資環境に影響を及ぼす懸念等、引き続き先行き不透明な状況が続くと見込んでおります。更に、ウクライナや中東における地政学リスクの動向に加え、金融市場、為替相場動向にも、収益環境が左右される状況が続くと予想されます。その一方、脱炭素化は、足許では米国のパリ協定脱退表明といった化石燃料回帰の動きが見られるものの、中期的には引き続き産官学での研究開発や設備投資需要の拡大が見込まれます。また、今後、ライフサイエンス市場においても、当社が得意とする計測制御技術の活用シーン拡大が見込まれております。

当社グループは、「人々に共感を持たれる新しい価値を創造し提供することにより、社会からその存在を認められ期待される"計測・制御のリーディングカンパニー“」をビジョンとして掲げ、これに向けた取り組みを継続的に実施してまいりましたが、次期におきましては、特に以下の取り組みを強化していくことを経営方針としております。

まず事業開発面では、「計測制御デバイス関連分野」や「電源パワー制御関連分野」において、高機能計測機器や高性能電源機器を、研究・試験用途に加え、装置への組込といった生産設備への実装用途にも幅広く提供してまいります。また、これまで蓄積してきた計測制御デバイスや電源パワー制御関連技術の更なる深化を通じて、宇宙航空関連事業や水素関連事業の展開、国産量子コンピュータを支える超高性能機器や医用計測機器の提供も強力に推進し、足元事業の強靭化を図るとともに将来成長基盤の構築に繋げる方針です。一方、「環境エネルギー関連分野」においては、一般消費者向け家庭用蓄電システムの市場・競争環境はいよいよ厳しさの度を深めるとみられますので、当期から取り組んでいる事業再構成により、ビジネスの選択と集中を進めていくとともに、同事業で培った技術や経営資源を再生エネルギー用電源システム等に応用していくことで、引き続き当社グループの環境ビジネス展開を維持発展させていく方針です。

次に生産面では、山口県におけるグループ会社の生産拠点を中心に、資材供給、製造、物流までの効率向上を図る生産計画と原価低減、商品の安定供給と納期短縮を図ってまいります。

営業面では、自動車・電子電機産業市場、宇宙航空関連市場、量子科学技術関連市場への販売はマクロの経営環境の変化はあるにしても今後も堅調に推移すると見込んでおり、計測、電源関連市場での販売強化、産官学連携も梃子にした水素製造関連市場向けソリューション販売強化、ライフサイエンス市場向け販売などにも取り組んでまいります。

また、2025年4月1日付の株式会社エヌエフ回路設計ブロックと株式会社NF千代田エレクトロニクスの合併を契機として、営業、生産を含む業務全般の更なる効果・効率向上を通じた販売力、生産力、開発力の強靭化に一層努め、両社商品・技術の融合による再生エネルギービジネスの新展開と合わせて、足許の収益力強化と中長期的な企業価値の向上にも繋げてまいります。

更に、強靭で創造性の高い企業体質の維持向上のために、引き続き優秀な人材の採用と持続的な人材育成とに注力し、グループ会社間をも含む人材ローテーション等を通じた専門性の強化・深化に加えて拡大にも注力してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

サステナビリティに係るガバナンスにつきましては、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております通りですが、サステナビリティの観点から補足しますと、当社グループは比較的小規模であるが故の組織としての強みである「俊敏性」をベースとして、経営上のスピーディな意思決定と執行能力とを確保すること、および、コンプライアンスはじめ事業の営み全般に亘る監督機能を担保しつつ、グループとしてのトータルな強靭さを発揮できることをガバナンス構築の考え方の基本としております。

また、地球市民として、グループ共通の企業理念、経営理念、行動規範を全役員、全従業員と共有する取組みを通じて、環境をはじめSDGsとして地球規模で基本合意された社会課題への貢献を目指しつつ、当社グループの成長発展を図ろうとしています。

そのため、当社取締役会の定める基本方針、基本施策を具体化するに当たっては、取締役会において中長期的な在り方や経営戦略を示すとともに、経営執行機能において個別業務執行の戦略を策定し、年1回の当社グループ全体の総合戦略会議の場で短期集中の議論を行い擦り合わせを実施しております。

個々の施策の管理につきましては、年度目標を担当業務単位で設定し、PDCAを実施しつつ目標達成に向けて業務執行しており、代表取締役会長が主宰し執行役員を主要メンバーとして組織する毎月の経営会議において、執行役員より代表取締役および担当取締役に進捗状況等を報告・審議し、さらに担当取締役から取締役会に報告するというサイクルを継続しております。

 

当社グループにおいては、企業理念、その在りたい姿への「VISION」として、「人々に共感を持たれる新しい価値を創造し提供することにより、社会からその存在を認められ期待される“計測・制御のリーディングカンパニー”」を掲げ、経営に当たってまいりました。

この理念に基づき、創業以来培ってきたネガティブフィードバック制御をコアとする技術力を活かして、科学技術の発展を支える計測機器、電源装置、蓄電システム、水素生成用電源などに加え、豊かな将来に向けての量子コンピュータやライフサイエンス関係の機器開発に挑むとともに、環境問題などの社会的な課題に対しても、計測・制御の先端技術開発と事業化に取り組んできております。このような開発と事業化は、役員、従業員一丸となって英知を結集し挑んできた産物であるとともに、多様な人材を受け入れ尊重し、厚みのある人的資本蓄積による結果であると認識しております。

人的資本に関しましては、当社グループでは、創業以来、外国人の登用や女性営業職の採用等を実施してまいりましたが、改めて、経営理念、行動規範においては、「人間尊重」「多様性の尊重」を全役員、全社員が共有すべき重要な価値として掲げ、その具体化に日々取り組もうとしていますが、多様性の確保は、経営的にも当社グループがサステナブルであるうえで、極めて重要と認識しています。

 

人材の多様性の確保

人材採用におきましては、当社グループが技術系との定評を得ているが故か特に女性の応募者が極めて少ないという課題を抱えてはおりますが、人材の登用におきましては、公平な評価と適材適所とにより既に執行役員を含む管理職に複数の女性登用があり、また開発業務、海外関連業務等を中心に外国籍の従業員の登用は常態化しております。これは従業員がお互いに良い影響を与え合い、また外部からの刺激を得られる機会が与えられ、性別や人種の隔てなく人材登用し活躍が促進されている結果であります。

これからも、有能な人材確保を意識した人材採用ならびに登用戦略を構築し、女性採用の強化および外国人登用による戦力化に一層注力してまいりたいと考えております。

 

人材育成方針

多様な人材を受け入れ、育成を図るべく、新卒、中途入社の従業員を対象とする基本的な研修をはじめ、業務に即した業務研修を行っていますが、従業員の「自律と自立」が本人の成長と幸福度向上、ひいては当社グループ発展において極めて重要であるとの基本的な考え方に基づき、従業員への場の提供、啓発を実施しております。

 

 

具体的には、当社グループの全従業員が参加できる形で、技術やノウハウの発表会を定期的に開催しております。また、大学教授をはじめとする有識者による役員、従業員向け講演会を開催するなど、希望する従業員が様々な刺激を受けられるような場を提供してまいりました。

今後も従業員相互に刺激し合うことが可能となり、また優れた外部人材からの啓発の場となるような機会の提供に注力し、自律的かつ自立した優秀な「人財」の育成に努めていきたいと考えております。

 

社内環境整備方針

当社グループは創業以来、比較的組織が小規模であり少数精鋭の専門家集団を自負しております。このため、新規事業等の立上げや新製品開発検討、生産拠点合理化、人事制度改革等、グループ課題の解決に向けたタスクフォースの組成が容易であり、効果・効率を追求してまいりました。このようなタスクフォースにおいて人的資本の有効活用および育成の観点から自薦他薦のエントリー化する等、仕事の幅が広がる制度の充実を図ってまいりたいと考えております。

また、従業員が仕事と子育てや介護を両立させ働きやすい環境を整えることによって、能力を十分に発揮できるようにするため、出産・育児・介護に伴う休業に係る制度を社内イントラに掲載し、性別にかかわらず機能する制度であることを周知しております。

今後においては、所属部門および人事担当部門が実際に出産後の育児や介護に勤しむ休暇取得者と定期的にコミュニケーションを取り、円滑な復帰をサポートする体制の充実化を促進してまいります。

 

事業等のリスクについては、次項「3.事業等のリスク」において主要なものを列挙しておりますが、これらのリスクや新たなリスクに関しては、当社グループ各社の取締役会、経営会議等において、経営環境、事業運営に与える影響等を踏まえたリスク認識を迅速に行い、分析・評価した上で、当社グループ共通の認識とすべくホールディングカンパニーである当社取締役会に集約し、管理しています。そのうえで、必要に応じグループ各社に共有し経営に当たらせております。

当社グループでは、人的資本を人財と認識し、人材の多様性の確保、特に女性の採用を増やし、女性の雇用を維持すること、また育児や介護に勤しむ従業員が働きやすい職場の実現に向け、以下の指標を採用し目標を定め管理してまいります。

当該指標に関する目標および実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績

当社グループ新卒および中途採用応募者

2026年度における左記指標に占める女性の割合を2021年度比5増やす

2021年度 19.1%

2022年度 16.6%

2023年度 22.0%

2024年度 17.3

育児・介護休業中および復職者の面談

育児・介護休業中または復職後1年以内における役職者による年2回の面談100実施

100

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況の変動

当社グループが開発・製造する製品は研究開発用、製造ライン向けが主体ですので、設備投資動向により当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 価格競争

当社グループが属する業界でも価格競争が激化しており、継続的にコストダウンに取り組まないと価格競争力を失い、当社グループの事業、業績及び財務状態が悪影響を被る可能性があります。

 

(3) 技術領域における競争

当社グループは、新製品をタイムリーに開発、提供し続けていく方針ですが、当社グループの事業分野においても技術力が重要な競争要因となっており、技術力を継続的に維持発展させることができない場合には競争力を失い、当社グループの事業、業績及び財務状態が悪影響を被る可能性があります。

 

(4) 有能な人材確保における競争

当社グループの将来発展は、開発・生産・販売、マネジメント分野などにおける優秀な人材の確保に大きく依存していますが、優秀な人材の確保に向けた競争は激しく、この競争に劣後する場合には、当社グループの事業、業績及び財務状態が悪影響を被る可能性があります。

 

(5) 製品の欠陥

当社グループは、ISO9001認証のほか、独自の社内基準を設けて各種の製品の開発・製造を行っていますが、万が一欠陥が発生した場合には、当社グループの社会的評判をはじめ事業、業績及び財務状態が悪影響を被る可能性があります。

 

(6) 特定の製品や取引先への依存

当社グループは家庭用蓄電システムを伊藤忠商事(株)に販売しておりますが、その売上高は連結売上高の一定の割合を占めており、今後の販売状況や製品市場の動向などにより、当社グループの業績が変動する可能性があります。

 

(7) 企業機密の漏洩

当社グループでは、顧客から受領したものも含めて開発・生産・販売、マネジメントなどに係る様々な機密を取り扱っているため、機密管理の仕組みは整えていますが、機密漏洩の結果、顧客からの信頼喪失をはじめ競争力の低下により当社グループの事業、業績及び財務状態が悪影響を被る可能性があります。

 

(8) 安全保障輸出管理規制

当社グループが開発・製造した製品の一部に本規制の対象となるものがあり、独自の社内基準を設けて輸出管理を行っていますが、万が一違反が発生した場合には、法的制裁は勿論、社会的批判を招き、当社グループの事業、業績及び財務状態が悪影響を被る可能性があります。

 

(9) 自然災害等の発生

当社グループは大規模な自然災害の発生により、事業活動が一定期間に亘り停止することにより、当社グループの事業、業績及び財務状態が悪影響を被る可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限等の再開や、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする不透明な国際情勢が更に長期化あるいは深刻化した場合、原材料などの調達や生産活動の遅延・停止、販売活動の低下なども想定されることから、事業活動及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当期におけるわが国経済は、2024年10-12月期実質GDP成長率が3四半期連続のプラス成長となる等、底堅さを示す指標が見られていた一方で、2025年1-3期実質GDP成長率が僅かながらマイナスに転じ、かつ米国関税政策が製造業の生産活動に影響を与える懸念も高まっています。更に、労働市場の需給逼迫や、資源・資材価格の高止まりも継続しており、企業の収益環境としては引き続き不安定な状況が続いております。

このような中、当社グループでは、グループ会社の各事業連携・融合や蓄電システム事業再構成を通して、営業・生産・開発資源の再配分を進め、グループ営業力強化、調達・生産能力強靭化や、商品開発における付加価値向上により、収益体質の強化に努めました。

更に、計測機器や電源機器の拡販強化に加えて、水素関連、宇宙航空関連、量子コンピュータ関連、ライフサイエンス関連など新市場の開拓強化にも注力しました。

こうしたことから、受注、売上は、家庭用蓄電システム事業再構成の影響に伴う環境エネルギー関連分野の減少を受けて全体としては前年同期比減となりましたが、計測制御デバイス関連分野、電源パワー制御関連分野、修理・校正分野はいずれも前年同期比増と、堅調に推移しました。

営業利益および経常利益は、グループ事業の収益体質強化への継続的取組みが、売上減少や部材価格上昇などのマイナス要因への対策として効果を上げ、前年同期比増となりました。

当期純利益は、投資有価証券売却による特別利益の計上があった一方で、家庭用蓄電システム事業再構成に於ける、特別損失の計上および税効果会計の一時差異修正による法人税等の計上により前年同期比減となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に帰属する損益控除処理により前年同期比増となりました。

以上の結果、当連結会計年度における受注は8,949百万円(前年同期比0.3%減)、売上高は9,083百万円(前年同期比3.4%減)、損益面では営業利益547百万円(前年同期比30.7%増)、経常利益587百万円(前年同期比21.2%増)、当期純利益257百万円(前年同期比22.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は450百万円(前年同期比39.2%増)となりました。

 

当社グループは、電子電気機器等の製造、販売を行っており、セグメントは単一となります。なお、当社グループにおける製品関連分野別の営業状況は、次のとおりとなります。

 

≪計測制御デバイス関連分野≫

計測制御デバイス関連分野での受注は、産官学の研究開発、半導体製造装置生産、宇宙航空や鉄道インフラ用電子装置など向けに、信号発生器や周波数特性分析器、微小信号測定器などの標準品に加え、機能デバイス特注商品が堅調に推移した結果、2,484百万円(前年同期比19.1%増)となりました。

売上は、電子計測器や微小信号測定器等の標準品に加え、機能デバイス関連の特注商品が堅調に推移した結果、2,367百万円(前年同期比10.2%増)となりました。

 

≪電源パワー制御関連分野≫

電源パワー制御関連分野での受注は、重電機器、家電機器、電子部品などの生産向けに、交流電源やバイポーラ電源、産業用カスタム電源システムなどが順調に推移した結果、3,862百万円(前年同期比7.9%増)となりました。

売上は、バイポーラ電源や一般用直流電源、産業用カスタム電源システムが堅調に推移した結果、3,947百万円(前年同期比8.9%増)となりました。

 

≪環境エネルギー関連分野≫

環境エネルギー関連分野での受注は、家庭用蓄電システム商品が低調に推移した結果、2,031百万円(前年同期比26.8%減)となりました。

売上は、電力事業者向け機器は堅調に推移しましたが、家庭用蓄電システム商品が低調に推移した結果、2,198百万円(前年同期比28.7%減)となりました。

 

≪校正・修理分野≫

校正・修理分野では、販売製品のメンテナンスサービス向上に注力し、受注は569百万円(前年同期比5.4%増)、売上は569百万円(前年同期比5.0%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、売上債権が増加したものの、棚卸資産、投資有価証券などが減少したことにより、前連結会計年度末と比較して1,305百万円減少し、17,321百万円となりました。

負債は前連結会計年度末と比較して1,035百万円減少し、3,654百万円となりました。

純資産は前連結会計年度末と比較して270百万円減少し、13,666百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ980百万円増加し、3,680百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは340百万円の収入となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益646百万円、減価償却費350百万円、構造改革費用278百万円、棚卸資産の減少377百万円などにより増加したものの、仕入債務の減少807百万円、売上債権の増加218百万円、投資有価証券売却益337百万円などにより減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは1,281百万円の収入となりました。

これは主に、定期預金の減少876百万円、投資有価証券の売却による収入594百万円などにより増加したものの、有形・無形固定資産の取得による支出187百万円などにより減少したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは735百万円の支出となりました。

これは主に、長期借入金の返済210百万円、社債の償還300百万円、配当金の支払224百万円などにより減少したことによるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは単一セグメントであるため、営業の分野別で記載しております。

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

区  分

生産高(千円)

前年同期比(%)

計測制御デバイス

2,292,124

17.0

電源パワー制御

4,016,367

35.1

環境エネルギー

2,229,796

△25.2

校正・修理

569,513

5.0

合計

9,107,802

7.7

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

当社グループは、原則として販売計画に基づく生産計画によって生産をしており、記載を省略しております。 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

区  分

販売高(千円)

前年同期比(%)

計測制御デバイス

2,367,488

10.2

電源パワー制御

3,947,524

8.9

環境エネルギー

2,198,839

△28.7

校正・修理

569,513

5.0

合計

9,083,365

△3.4

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

2023年4月1日

2024年3月31日

当連結会計年度

2024年4月1日

2025年3月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

伊藤忠商事株式会社

2,402,852

25.6

1,500,125

16.5

日本電計株式会社

889,229

9.5

1,103,635

12.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

イ.経営成績

当連結会計年度においては、計測制御デバイス関連分野と電源パワー制御関連分野では堅調に推移した一方、環境エネルギー関連分野において家庭用蓄電システムの売上が減少したことにより、売上高は、前年同期比316百万円減少し、9,083百万円となりました。

売上総利益は、グループ事業の収益体質強化への継続的取組みが、売上減少や仕入価格高騰によるマイナス要因への対策として効果を上げ、前年同期比194百万円増加し、3,255百万円となりました。

販売費及び一般管理費は前年同期比66百万円増加しましたが、営業利益は前年同期比128百万円増加し、547百万円となりました。

営業外損益が前年同期比26百万円減少しましたが、経常利益は前年同期比102百万円増加し、587百万円となりました。

当期純利益は、特別損益の計上や税効果会計の一時差異修正による法人税等の計上により前年同期比76百万円減少し、257百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に帰属する損益控除処理により前年同期比126百万円増加し、450百万円となりました。

経営指標とした売上高営業利益率の3年間の推移は、2023年3月期は4.9%、2024年3月期は4.5%、2025年3月期は6.0%となり、当連結会計年度は、改善傾向にはあるものの10%を下回る結果となりました。技術開発力の向上による商品競争力の強化、生産の効率化による原価低減、営業力の強化による顧客提案力の向上等に努め、持続的な成長を実現し、売上高営業利益率10%以上の回復を目指してまいります。

 

ロ.財政状態

財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループでは、営業活動により得られたキャッシュフローおよび長期・短期のバランスに考慮した金融機関からの借入などを財源に、現在及び将来にわたる事業活動及び債務の返済などに必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性の維持を図っております。また、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。

今後も、事業活動に必要な資金の安定的な確保並びに適切な流動性の維持に努めてまいります。

 

ニ.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

(連結子会社間の吸収合併)

当社は、2025年1月20日開催の臨時取締役会において、2025年4月1日を効力発生日として、当社の連結子会社である株式会社エヌエフ回路設計ブロックを吸収合併存続会社、同じく連結子会社である株式会社NF千代田エレクトロニクスを吸収合併消滅会社とする吸収合併の決議を行い、両社は同日付で合併契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は393百万円であります。

マルチファンクションジェネレータ・プログラマブル交流電源等の当期投入製品および来期以降市場投入予定の新製品の開発や要素技術の開発を積極的に展開しました。

なお、当社グループは計測制御デバイス、電源パワー制御、環境エネルギー等の製造、販売及びこれに付帯する修理・校正サービス等を行っておりますが、単一セグメントであるため、セグメント情報との関連付けの記載は省略しております。