第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢や所得環境の改善の効果が見られる等、景気は緩やかな回復基調で推移しておりますが、個人消費を押し上げるまでには至らず、更に中国を始めとするアジア新興国経済の成長鈍化等、わが国の景気を下振れさせるリスクも依然として残っており、先行きの不透明感が増しつつあります。

当業界におきましては、新築住宅着工件数は平成26年の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減から緩やかな回復が進んでおりますが、テレビの出荷台数に関しましては、4Kテレビが普及しつつあるものの、全体としては伸び悩んでおり、企業間のシェア獲得競争・価格競争が激しさを増す中、関連機器販売、工事の市場は厳しい環境が続いております。通信関連機器につきましては、官需向けは前連結会計年度比減少しているものの、概ね安定的に推移しております。

このような状況の中、当社グループは、収益性に重点をおいた企業活動を推進し、新製品の開発、コストダウンへの継続的取組、業務の効率化による経費の適正な運営等に努めてまいりました。

その結果、事業者向け関連機器の販売や、電気工事が堅調に推移しましたが、官需向け通信関連機器販売の減少をカバーし切れなかったこともあり、当連結会計年度の売上高は16,378百万円(前連結会計年度比2.3%減)となりました。利益面につきましては、設備投資の抑制を図る等コストダウンに努めましたが、営業利益は233百万円(同39.8%減)、経常利益は263百万円(同28.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は118百万円(同63.0%減)となりました。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①送受信用製品製造事業

 当事業部門において、情報関連機器の売上高につきましては、CATV事業者向けの機器販売が好調に推移したこと等から、前連結会計年度比増となりました。

 通信用アンテナの売上高につきましては、官需向けのデジタル無線用アンテナが減少傾向にあり、前連結会計年度比減となりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は12,961百万円(前連結会計年度比0.7%減)、営業利益は940百万円(同17.2%減)となりました。

②工事事業

当事業部門におきましては、電気工事が好調でありましたが、新築ビル内共聴工事が低調であったことや、周波数移行対策工事が当期見込みを下回ったことから、売上高は3,416百万円(前連結会計年度比8.0%減)、営業利益は27百万円(同43.2%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は12,651百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,218百万円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

    (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,879百万円(前連結会計年度比683.5%増)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益が263百万円となったことや、売上債権の減少、仕入債務の増加や減価償却費による増加によるものであります。

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は、863百万円(前連結会計年度は1,316百万円の減少)となりました。

これは主に、有価証券の売却・償還による収入や定期預金の払戻による増加と、有価証券の取得による支出による減少によるものであります。

    (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、487百万円(前連結会計年度比40.1%増)となりました。

これは主に、配当金の支払や自己株式の取得によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

  至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業(百万円)

7,882

73.5

工事事業(百万円)

3,416

92.0

合計(百万円)

11,299

78.3

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業

5,668

87.8

200

120.5

工事事業

3,325

90.1

498

84.6

合計

8,994

88.6

698

92.5

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

  至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業(百万円)

12,961

99.3

工事事業(百万円)

3,416

92.0

合計(百万円)

16,378

97.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ヤマダ電機

1,878

11.2

1,861

11.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

当業界におきましては、地デジ放送移行後のテレビ販売低迷の影響を受け、依然として厳しい環境が続いておりますが、他方、周波数再編に伴う周波数移行や新規割当て等で関連機器や工事の需要が見込まれる等、ビジネスチャンスの拡大が期待されます。

このような環境の中、当社グループは、「環境に左右されない強固な経営基盤作り」を重点課題とした中期経営計画(第5次)に引き続き取り組んでまいります。

中期経営計画の「基本戦略」は以下のとおりであります。

① 経営資源の戦略的再配分

② 原価低減・生産効率・品質管理の徹底

③ マーケットニーズを的確に捉えた生販一体の開発体制

④ 海外マーケットへの取組強化

⑤ 収益管理・リスク管理の強化

⑥ 誠実かつ公正で透明性の高い企業風土

⑦ 時代・環境の変化に対応する組織・人材集団作り

 

 

4【事業等のリスク】

  当社グループの経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。

  当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。なお、下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1)市場環境の変化

当社グループが事業展開している放送及び通信の分野では、経済、市場環境の変化、技術革新等の外的な要因により、グループの経営成績に大きな変動をもたらす可能性があります

(2)製品の価格変動

当社グループは、事業を展開する市場において激しい競争に晒されており、価格が低下する傾向にあります。新製品の投入やコスト削減等により利益率の確保に努めておりますが、競争の更なる激化や長期化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、原材料市況の悪化により原材料、部品等の価格上昇が発生した場合においても、コスト削減等で吸収しきれず、利益率の確保に影響を及ぼす可能性があります。

(3)為替変動

当社グループは、グローバルに事業展開しているために、為替レートの変動が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)製品の欠陥

当社グループでは、日本及び海外で、世界に認められる品質管理基準の下、製造を行っておりますが、将来にわたり全ての製品について欠陥が無くリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります

(5)知的財産権の保護の成否に関するリスク

当社が知的財産権を適切に保護できない場合、他の第三者が当社の技術等を使用して、当社グループの市場における競争力を弱める可能性があります。

(6)災害リスク

当社グループが自然災害(地震、台風)等大規模災害の発生により、人的・物的被害や物流機能の麻痺、インフラ機能断絶等が生じ生産拠点の操業停止等重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 国民生活利便性の向上及び安全安心を守るために、無線通信への期待及びニーズが高まっており、ネットワークに接続する機器が大きく増加する傾向にあります。社会インフラとして様々な分野での電波利用が進む中、電波を取りまく環境の変化に対応した新しい電波利用の実現が必要となっております。

 当社グループは、電波利用を支える産業界の一員として、電波利用ビジネスの市場動向・需要を的確に捉え、グループを挙げて新たな電波利用を実現するための研究開発活動を推進しております。

 当連結会計年度におきましては、通信用アンテナ・フィルタ関連では、気象衛星ひまわり8号受信用「大口径パラボラアンテナ」、防水型「ETC車載機用アンテナ」、及び携帯インフラ用「3波共用無指向性アンテナ」の開発を完了させ量産を開始、引き続きブロードバンド通信の高速大容量化を推進するために「4波共用無指向性アンテナ」の開発に着手いたしました。公共自営通信システムにおいては「広帯域高利得アンテナ」及び大型「チャンネル共用機」の開発に着手しており平成29年3月期に量産を開始いたします。またトンネル防災システムに対応するための多周波共用装置の開発にも力を入れ新製品開発に取り組んでおります。

 映像伝送機器関連ではCATV局への「棟内増幅器」「緊急地震端末」等を供給し、きめ細かなニーズにお応えしてまいりました。また、その他業務用機器として「光映像伝送用屋外型光増幅器」「FM無給電出力対応V-ONU」、「エリア放送ギャップフィラー送信機」等も開発いたしました。

 一般市販品においては、コストパフォーマンスを更に追求した「直列ユニット・分岐器・分配器」、あらゆるニーズに幅広くお応えする、アンテナ受信・ケーブルテレビ受信のどちらでも対応可能な電源着脱型「マルチブースタ」を開発し、住宅の施工時にあらかじめ設置することができ、施工後の受信方法の変更にも柔軟に対応できる様、お客様の利便性の向上に努めてまいりました。また、V-Lowサービス対応の「Wi-Fiチューナー」も開発し、サービス普及に向け取り組んでおります。

 4K対応テレビについては、地デジ移行時に購入した買い替え需要・スポーツイベント等により、今後、大幅な成長が期待されており、当社も関連機器の開発を強化してまいりました。「TV接続ケーブル」の市場投入に続き、平成29年に開始される衛星の左旋円偏波による試験放送に伴う需要に確実に応えるべく、各種対応機器(受動機器・衛星アンテナ・増幅器等)の開発推進を引き続き努めてまいります。

 セキュリティ関連機器では、近年、防犯意識が高まる中でニーズが確実に高まっており、当社もカメラ関連機器の供給を積極的に行っております。昨今、各国の防犯カメラ映像が無断で公開される問題が取り沙汰されていることから、当社では特に、「インターネット接続設定時のユーザ様への注意喚起」・「本体ファームウェアの脆弱性チェック」等に重点をおき、新製品のラインアップの充実を図っております。

 IoT対応関連製品の拡充としては、「高機能アンテナ」だけでなく「通信モジュールを利用したシステム」を視野に入れた基礎開発を進めてまいります

 翌連結会計年度におきましても、新たな電波利用シーンに備えた測定装置や電波及び構造解析装置の新規導入等、設備の充実を図り、システムの効率化・最適化等による新たな価値の創造を図ってまいります。

 現在の研究開発は、送受信用製品製造事業の技術部(テクニカルセンターを含む)を中心に推進されており、当連結会計年度末における既存製品の改良を含む研究開発の人員は82名、研究開発に係る費用の総額は848百万円であります。

 なお、工事事業の研究開発費につきましては、送受信用製品製造事業で開発し製品化したものを投入するため、実際の研究開発費はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当っては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。

①繰延税金資産

繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえ計上しております。

②貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。

③投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する有価証券を保有しておりますが、これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の確定が困難な非公開会社の株式を含んでおります。当社グループは、投資価値が下落し回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しております。公開会社の株式は、期末日の株価が取得額の50%以上下落した場合又は6四半期間続けて30%以上下落しかつ回復可能性がないと判断された場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の純資産額が取得額の50%以上下落した場合に、それぞれ回復可能性がないと判断し減損処理を行うこととしております。

④退職給付債務

従業員に対する退職給付債務は、保険数理計算に基づき決定しております。退職給付債務計算は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。当社グループは、割引率を主として日本国債の金利により決定している他、報酬水準の増加率及び従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高と営業利益

当連結会計年度の売上高は、16,378百万円(前連結会計年度比2.3%減)となりました。主として、官需向けの通信関連機器が前連結会計年度に比べて減少傾向にあることと、新築ビル内共聴工事が低調に推移したためであります。

海外売上高は581百万円(同27.5%減)で、連結売上高に占める海外売上高の割合は3.5%と前連結会計年度より減少しております。

営業利益につきましては、採算を重視した受注、コストダウンへの継続的取組、業務効率化による経費の適正な運営等に努めましたが、売上高の減少に伴い、233百万円(同39.8%減)となりました。

②営業外損益と経常利益

当連結会計年度の営業外損益は、30百万円の利益となりました。これは主に、補助金収入42百万円、受取利息14百万円や売上割引70百万円等によるものであります。

この結果、経常利益は263百万円(前連結会計年度比28.9%減)となりました。

③特別損益

当連結会計年度の特別損益は、0百万円の損失となりました。これは主に、固定資産売却益2百万円、固定資産処分損2百万円等によるものであります。

④親会社株主に帰属する当期純利益

経常利益の263百万円に特別損益の損失0百万円を加算し、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は263百万円となりました。ここから税金費用145百万円(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は118百万円(前連結会計年度比63.0%減)となりました。

この結果、1株当たり当期純利益は、9円28銭となりました。

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,218百万円増加し、12,651百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、前連結会計年度の増加額239百万円より1,639百万円多い1,879百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益263百万円、売上債権の減少額608百万円、仕入債務の増加額554百万円や減価償却費313百万円等による増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果増加した資金は863百万円となりました(前連結会計年度は1,316百万円の減少)。これは主に、定期預金の払戻による収入1,500百万円、有価証券の売却及び償還による収入1,400百万円、定期預金の預入による支出1,000百万円や有価証券の取得による支出898百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、前連結会計年度の減少額347百万円より139百万円多い487百万円となりました。これは主に、配当金の支払額271百万円や自己株式の取得による支出199百万円等によるものであります。

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。

当社グループが事業展開している放送と通信の分野は、デジタル化、IP化、光やワイヤレス化等の情報の高度化や放送と通信の融合等今後も成長が期待できる分野でありますが、企業間競争はさらに厳しさを増すことが予想されます。当社グループの今後の発展のためには、市場の変化に対応できる技術力、新製品の開発力が重要となっております。

このような環境の中で、当社グループといたしましては、アンテナ、映像通信用電子機器、電気通信工事をコア事業と据え、従来の製品・サービスの提供にとどまらず①周波数再編や新規割当てに伴うあらゆるニーズ②映像と無線、放送と通信の融合による市場の変化③ユビキタスネット社会における新たな電波利用ニーズの拡大をビジネスチャンスと捉え、積極的な製品開発、製品・サービス供給に努め、顧客の評価・信頼を得て、業容の拡大を図ってまいります。

なお、上記記載の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において判断したものであります。