第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。

 当社グループは、急速な進展を見せている情報化社会において、各種アンテナ・関連機器及びCATV・情報通信システム工事等の幅広い事業分野で、独自技術による良質の製品・サービスを提供し、社会的な評価を得て事業の発展を遂げ、継続的に企業価値を高めていくことを基本方針としております。

(2)経営戦略等

 当社グループは、アンテナ、映像通信用電子機器、電気通信工事をコア事業と据え、従来の製品・サービスの提供にとどまらず①周波数再編や新規割当てに伴うあらゆるニーズ②映像と無線、放送と通信の融合による市場の変化③IoT(モノのインターネット)社会における新たな電波利用ニーズの拡大をビジネスチャンスと捉え、積極的な製品開発、製品・サービス供給に努め、顧客の評価・信頼を得て、業容の拡大を図ってまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、経営の目標とする指標として、以下の指標を特に重視しております。

 成長性の指標: 売上高、営業利益

 収益性の指標: 売上高営業利益率

 資本効率の指標: ROA、ROE

(4)経営環境

 当社グループが事業展開している放送と通信の分野は、デジタル化、IP化、光やワイヤレス化等の情報の高度化や放送と通信の融合等今後も成長が期待できる分野でありますが、企業間競争はさらに厳しさを増すことが予想されます。当社グループの今後の発展のためには、市場の変化に対応できる技術力、新製品の開発力が重要となっております。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 今後の見通しにつきましては、国内景気は緩やかな回復基調にあり、また東京オリンピックに向けたインフラ投資が継続する等、一定の経済効果が期待されます。

 しかしながら、足元の個人消費は足踏み状態が続いており、また貿易摩擦や地政学的リスクへの懸念が残る等、依然として厳しい状況が続くものと予想されます。

 当社グループを取巻く環境は、放送関連機器につきましては、当連結会計年度を通して新設住宅着工戸数が前年同月を下回る傾向にあり、総じて低調に推移しております。また、テレビの出荷台数も、全体としては伸び悩みがあるものの、4Kテレビやハイブリッドキャスト対応テレビが堅調でありますが、企業間競争が激化する中、なお予断を許さない状況が続いております。

 通信用アンテナにつきましては、総務省の周波数再編アクションプランに伴う官公庁や通信事業者向けアンテナや、IoT関連製品としての事業者向け通信モジュール用アンテナには、継続して需要があるものとみております。

 工事事業においては、新築ビル内共聴工事、ビル内共聴改修工事や、テレビ受信障害対策工事、電気工事等が中心となると予想しております。

 このような状況の中で、当社グループといたしましては、構造改革の主眼である全社的な高効率化、集約化と経営資源の戦略的再配分を引き続き実施し、業容の回復に向けて邁進いたします。

 また、今後も、環境に左右されない強固な経営基盤作りを行い、収益性に重点をおいた企業活動を推進して、販売・生産・開発の体制を強化するとともに、事業環境の変化を新たなる商機と捉え、マーケットリーダーを目指すべく、中期経営計画(第6次)に取り組んでまいります。

 中期経営計画の「基本戦略」は以下のとおりであります。

① 経営資源の戦略的再配分

② 原価低減・生産効率・品質管理の徹底

③ マーケットニーズを的確に捉えた生販一体の開発体制

④ 海外マーケットへの取組強化

⑤ 収益管理・リスク管理の強化

⑥ 誠実かつ公正で透明性の高い企業風土

⑦ 時代・環境の変化に対応する組織・人材集団作り

 

なお、上記記載の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。なお、下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1)市場環境の変化

 当社グループが事業展開している放送及び通信の分野では、経済、市場環境の変化、技術革新等の外的な要因により、グループの経営成績に大きな変動をもたらす可能性があります

(2)製品の価格変動

 当社グループは、事業を展開する市場において激しい競争に晒されており、価格が低下する傾向にあります。新製品の投入やコスト削減等により利益率の確保に努めておりますが、競争の更なる激化や長期化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、原材料市況の悪化により原材料、部品等の価格上昇が発生した場合においても、コスト削減等で吸収しきれず、利益率の確保に影響を及ぼす可能性があります。

(3)為替変動

 当社グループは、グローバルに事業展開しているために、為替レートの変動が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)製品の欠陥

 当社グループでは、日本及び海外で、世界に認められる品質管理基準の下、製造を行っておりますが、将来にわたりすべての製品について欠陥が無くリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります

(5)知的財産権の保護の成否に関するリスク

 当社が知的財産権を適切に保護できない場合、他の第三者が当社の技術等を使用して、当社グループの市場における競争力を弱める可能性があります。

(6)災害リスク

 当社グループが自然災害(地震、台風)等大規模災害の発生により、人的・物的被害や物流機能の麻痺、インフラ機能断絶等が生じ生産拠点の操業停止等重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善を背景として、景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、海外経済の不確実性や不安定な金融資本市場動向の影響等の懸念材料もあり、先行きが不透明な状況のまま推移しました。

 当業界において、テレビの出荷台数に関しましては、4Kテレビの構成比が継続して高まっており、有機ELテレビの出荷台数も堅調に推移しておりますが、テレビ市場全体の回復には至っておらず、力強さを欠いたまま推移しております。また、新設住宅着工戸数についても、前連結会計年度比で減少傾向にあり、テレビ関連機器販売や工事につきましては、引き続き厳しい事業環境が続いております。

 一方で、通信関連機器につきましては、官需向けは前連結会計年度比で減少しておりますが、民需向けは堅調に推移しております。

 このような状況の中、当社グループは、前連結会計年度から構造改革を実施して、環境に左右されない経営基盤作りに取り組み、収益性に重点をおいた企業活動の推進や、新製品の開発、コストダウンへの継続的取組、業務の効率化による経費の適正な運営等に努めてまいりました。

 この結果、テレビ関連機器販売や関連工事は厳しい事業環境下で推移しましたが、通信関連機器の販売におきましては、通信事業者向けの機器販売が安定的に伸長したこと等により、当連結会計年度の売上高は14,356百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。

 利益面につきましては、営業利益は144百万円(前連結会計年度は292百万円の営業損失)、経常利益は155百万円(前連結会計年度は343百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は192百万円(前連結会計年度は1,474百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 送受信用製品製造事業

 当事業部門において、放送関連機器の売上高につきましては、家庭用機器の販売が伸び悩んだことや、前連結会計年度に好調であった事業者向け機器販売の反動減等により、前連結会計年度比減となりました。

 なお、当連結会計年度より、情報関連機器を放送関連機器と呼称しております。これは、近年の「放送と通信の融合」の潮流に即して、当社の製品イメージを明確化し、訴求力を高めるためであります。

 通信用アンテナの売上高につきましては、官需向けデジタル無線用アンテナは前連結会計年度比で減少しましたが、通信事業者向け基地局アンテナが好調に推移したことにより、前連結会計年度比増となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は11,572百万円(前連結会計年度比7.5%増)、営業利益は636百万円(同106.5%増)となりました。

 工事事業

 当事業部門におきましては、新築ビル内共聴工事やアンテナ対策工事が堅調でしたが、共同受信工事や電気工事が前連結会計年度比で減少したこと等から、売上高は2,783百万円(前連結会計年度比15.2%減)、営業利益は317百万円(同130.5%増)となりました。

 

 財政状態につきましては、まず、当連結会計年度末の流動資産は、19,322百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。これは、受取手形及び売掛金、材料及び貯蔵品の増加や、現金及び預金の減少等によるものであります。

 固定資産は、4,970百万円(同1.0%減)となりました。これは、工具、器具及び備品の増加や、建物及び構築物、投資有価証券の減少等によるものであります。

 当連結会計年度末の流動負債は、3,227百万円(前連結会計年度比6.6%減)となりました。これは、支払手形及び買掛金の増加や、工事未払金の減少等によるものであります。

 固定負債は、1,196百万円(同5.8%減)となりました。これは、退職給付に係る負債の減少等によるものであります。

 当連結会計年度末の純資産の合計は、19,868百万円(前連結会計年度比0.5%減)となりました。

 以上の結果、自己資本比率は81.8%となりました。

 

②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は11,522百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,335百万円減少いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果減少した資金は、828百万円(前連結会計年度は58百万円の減少)となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益が158百万円となったことや、たな卸資産の減少、減価償却費による増加と、事業構造改善費用の支払、売上債権の増加、仕入債務の減少による減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、258百万円(前連結会計年度は623百万円の増加)となりました。

 これは主に、有価証券の売却・償還による収入による増加と、有価証券の取得や有形固定資産の取得による支出による減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、258百万円(前連結会計年度は334百万円の減少)となりました。

 これは主に、配当金の支払や自己株式の取得によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

  至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業(百万円)

8,371

110.6

工事事業(百万円)

2,783

84.8

合計(百万円)

11,155

102.8

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業

5,877

143.7

1,141

573.5

工事事業

2,700

84.2

339

80.3

合計

8,577

117.5

1,481

238.1

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度において、送受信用製品製造事業における受注残高が著しく増加しております。

これは、Wireless City Planning株式会社の受注件数が増加したこと等によるものであります。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

  至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業(百万円)

11,572

107.5

工事事業(百万円)

2,783

84.8

合計(百万円)

14,356

102.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Wireless City Planning株式会社

154

1.1

1,443

10.1

株式会社ヤマダ電機

1,473

10.5

1,352

9.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当っては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。

a.繰延税金資産

繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえ計上しております。

b.貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。

c.投資の減損

 当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する有価証券を保有しておりますが、これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の確定が困難な非公開会社の株式を含んでおります。当社グループは、投資価値が下落し回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しております。公開会社の株式は、期末日の株価が取得額の50%以上下落した場合又は6四半期間続けて30%以上下落しかつ回復可能性がないと判断された場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の純資産額が取得額の50%以上下落した場合に、それぞれ回復可能性がないと判断し減損処理を行うこととしております。

d.退職給付債務

 従業員に対する退職給付債務は、保険数理計算に基づき決定しております。退職給付債務計算は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。当社グループは、割引率を主として日本国債の金利により決定している他、報酬水準の増加率及び従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績等

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高につきましては、14,356百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。これは主に、送受信用製品製造事業では、通信事業者向けアンテナが伸長したものの、テレビ用アンテナや関連機器の市況が引き続き厳しい水準にあること、また、工事事業では、電気工事が伸び悩んだことによるものであります。

 海外売上高は408百万円(同20.1%増)で、連結売上高に占める海外売上高の割合は2.8%と前連結会計年度より増加しております。これは主に、海外子会社の売上が前連結会計年度で増加したためであります。

 販売費及び一般管理費は4,290百万円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。これは主に、前連結会計年度末に実施した構造改革に伴うコストダウンの効果によるものであります。

 この結果、営業利益は、144百万円(前連結会計年度は292百万円の営業損失)となりました。

 当連結会計年度の営業外損益は、10百万円の利益となりました。これは主に、受取配当金が21百万円と前連結会計年度比で増加したことと、売上割引が56百万円と前連結会計年度比で減少したことによるものであります。

 この結果、経常利益は155百万円(前連結会計年度は343百万円の経常損失)となりました。

 当連結会計年度の特別損益は、2百万円の利益となりました。これは主に、前連結会計年度にあった事業構造改善費用がなくなったことと、固定資産売却益3百万円によるものであります。

 経常利益の155百万円に特別損益の利益2百万円を加算し、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は158百万円となりました。

 当連結会計年度においては、繰延税金資産の回収の可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産の追加計上を行いました。

 そのため、法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額を合算すると、税金費用は△34百万円になりました。

 これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は192百万円(前連結会計年度は1,474百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 この結果、1株当たり当期純利益は、15円37銭となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、まず、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,335百万円減少し、11,522百万円となりました。

 重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 資金の源泉につきましては、主に、当連結会計年度末の現金及び現金同等物と営業活動により得られる資金であります。

 また、資金の効率的調達を行うため、金融機関との間でコミットメントライン1,500百万円の契約を締結しております。これに対する当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、下記のとおりの推移であります。

 

 

第61期

第62期

第63期

第64期

第65期

売上高

(百万円)

20,034

16,771

16,378

14,051

14,356

営業利益又は営業損失(△)

(百万円)

1,304

387

233

△292

144

売上高営業利益率

(%)

6.5

2.3

1.4

1.0

ROA(純利益/総資本)

(%)

3.2

1.2

0.5

0.8

ROE(純利益/自己資本)

(%)

3.9

1.4

0.5

1.0

 

 当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、平成24年3月に地上デジタルテレビ放送への移行が完了した後、依然として厳しい状況にあるため、売上高は漸減傾向にあります。

 また、営業利益につきましても、売上高の減少とともに減少傾向となっており、継続してコストダウンに努めたものの、第64期には営業損失を計上いたしました。売上高営業利益率につきましても、シェア獲得競争・価格競争の激化により、減少傾向にあります。

 ROA・ROEにつきましても、ほぼ一貫して低下しております。

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 なお、財政状態につきましては、当社グループでは、セグメントごとではなく、当社グループ一体としての資金管理を行っております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 めざましい技術革新と日常文化としての無線通信手段の変遷に伴い、電波資源使途も多様化しており、ネットワーク機器との混成による製品、システムが台頭しています。

 生活必需品として浸透している電波利用製品は国民の生活を豊かにするだけでなく、あらゆる物事を簡便にし、多岐に亘る産業分野・教育・高齢化社会、延いては社会現象をも生む、最も身近な文明の利器となっています。

 その媒体となる電波は悠久の時を経てもなお人類の貴重な資源であり、その利用シーンは計り知れない拡がりの可能性を秘めています。

 当社グループは媒体としての電波を扱うプロ集団として、お客様のご要望、市場動向を確実に捉えながらユースケースをイメージし、放送・通信分野における電波利用シーンに貢献できるよう、日々研究開発活動に取り組んでおります。

 当連結会計年度におきましては、通信用アンテナ・フィルタ関連では、IoT・M2Mとして、「もの・こと」を繋ぐ通信モジュールの分野で、確実なデータ伝送、市場での景観に配慮した小型MIMO用アンテナ、お客様のご要望を取り入れ無線筐体形状に左右されない内蔵型アンテナの開発を奏功させ、市場への展開を図りました。今後もIoT分野が拡充されていく中で、「繋ぐ・継ぐ・結ぶ」をキーワードとして、当社グループのこれまでの技術力を礎に高難度開発に挑む姿勢と社会への貢献に向け注力してまいります。

 また、従来のインターネット通信に取って代わる低電力で広いカバレッジを実現したLPWA(Low Power Wide Area Network)システムには、お客様の回線上必須となる低雑音増幅器、分配機器の開発にも勤しみ、迎える第66期の市場投入も計画しており、更にはこれからのIoT社会での利便性を見据え、従来の単機能アンテナから多機能アンテナをコンセプトに研究を進めてまいります。

 一方、これまで培った無線通信分野における中核技術の研鑽も怠らずに行い、不感地帯製品、高速道路管理無線システム関連製品及び消防・防災関連等の安心安全を守る官公庁向けインフラ整備に関わるアンテナ・フィルタ製品において、OEM対応で蓄積した低コスト思考、安定した品質維持のノウハウをお客様、市場に還元すべく、開発に取り組んでまいります。

 映像伝送機器関連では本年12月より実用放送が開始されるBS・110度CS左旋4K・8K放送用の3.2GHz対応の高シールド、高出力仕様の新製品「棟内ブースタ」や「光送受信機」を供給し、最新ニーズにお応えしております。また、その他業務用機器として「地デジ受信NTPサーバ」等を開発し、お客様の潜在的なお困りごとにお応えしました。

 一般市販品におきましては、コストパフォーマンスを更に追求した「低NFラインブースタ」・「各種分岐器・分配器」を開発し、お客様・施工業者様のご要望に確実にお応えしてまいりました。

 不要放射対策製品につきましては、本年4月より施行された総務省令に対応した高いシールド性を有した製品を開発し、販売を開始しております。引き続き「分岐・分配器」・「壁面TVユニット」・「家庭用・共同受信用ブースタ」・「衛星アンテナ」等を始め、今後も様々な新築・改修ニーズにお応えするためにラインナップ拡充に努め、4K・8K放送の普及促進に貢献してまいります。

 セキュリティ関連機器では、フルHD仕様の映像監視カメラ・モニタのセットを製品化し好評を博しております。

 IoT関連では、新たに開発した水位監視システムを国交省との河川災害対策用共同実験で実際の河川に設置しデータをクラウドに上げる実証実験を行う等、従来の製品開発に留まらずシステム構築に注力しており、今後も精力的に開発を行ってまいります。

 当社グループは、人・物を様々な状態で繋ぐ「電波」という目に見えない物を大切に考え、目に見えないからこそ手を抜くことなく独自の高い品質基準を設定し、周囲の環境に影響を与えにくい・受けにくい製品の研究開発を行っております。

 お客様の視線に立ち、お客様の思考、志向、指向は何か?との想定と観点から、ご提供させていただく製品の価値と在り方を常に考え、様々な通信ネットワークの実現に寄与してまいります。

 現在の研究開発は、送受信用製品製造事業の技術部(テクニカルセンターを含む)を中心に推進されており、当連結会計年度末における既存製品の改良を含む研究開発の人員は87名、研究開発に係る費用の総額は881百万円であります。

 なお、工事事業の研究開発費につきましては、送受信用製品製造事業で開発、製品化したものを投入するため、実際の研究開発費はありません。