第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。

 当社グループは、急速な進展を見せている情報化社会において、各種アンテナ・関連機器及びCATV・情報通信システム工事等の幅広い事業分野で、独自技術による良質の製品・サービスを提供し、社会的な評価を得て事業の発展を遂げ、継続的に企業価値を高めていくことを基本方針としております。

(2)経営戦略等

 当社グループは、アンテナ、映像通信用電子機器、電気通信工事をコア事業と据え、従来の製品・サービスの提供にとどまらず①周波数再編や新規割当てに伴うあらゆるニーズ②映像と無線、放送と通信の融合による市場の変化③IoT(モノのインターネット)社会における新たな電波利用ニーズの拡大をビジネスチャンスと捉え、積極的な製品開発、製品・サービス供給に努め、顧客の評価・信頼を得て、業容の拡大を図ってまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営成績に及ぼす影響といたしましては、景気後退が長期化し、売上高の減少が持続するおそれがある他、サプライチェーンの混乱による納期遅延や品質管理の負担増等が懸念されますが、一方で、テレワークの普及等によるインターネットの重要性が飛躍的に高まり、当社グループが提供する製品・サービスの需要増につながる可能性もあるところから、現段階で具体的な影響を見通すのは困難であります。当社グループといたしましては、ポストコロナ社会におけるIoTの進化を好機としつつ、社会的責任を果たしていく所存であります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、経営の目標とする指標として、以下の指標を特に重視しております。

 成長性の指標: 売上高、営業利益

 収益性の指標: 売上高営業利益率

 資本効率の指標: ROA、ROE

(4)経営環境

 当社グループが事業展開している放送と通信の分野は、デジタル化、IP化、光やワイヤレス化等の情報の高度化や放送と通信の融合等今後も成長が期待できる分野でありますが、企業間競争はさらに厳しさを増すことが予想されます。当社グループの今後の発展のためには、市場の変化に対応できる技術力、新製品の開発力が重要となっております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の見通しにつきましては、政府や日本銀行の各種政策により国内景気は緩やかに回復しておりましたものの、当連結会計年度末から新型コロナウイルス感染拡大により経済活動が大幅に抑制される等、深刻な状況が続くものと予想され、景気減速に対する強い警戒感がみられます。

 当社グループを取巻く環境といたしましては、テレビの出荷台数は回復基調にありますが、新設住宅着工戸数は弱含んでおります。

 一方、総務省の「周波数再編アクションプラン」に伴う官公庁向け、事業者向けのアンテナや、IoT関連製品としての通信モジュール用アンテナには、今後も期待できるものとみております。

 工事事業においては、新築ビル内共聴工事、ビル内共聴改修工事や、テレビ受信障害対策工事、電気工事等が中心となると予想しております。

 次期の業績見通しについては、現時点での予想は次のとおりであります。

(括弧内は対前連結会計年度比・前期比)

 

(連結)

 

(個別)

売上高

16,600百万円

(0.4%増)

 

15,400百万円

(2.1%減)

営業利益

240百万円

(69.4%減)

 

270百万円

(61.7%減)

経常利益

200百万円

(74.0%減)

 

230百万円

(68.3%減)

当期純利益

140百万円

(71.9%減)

 

160百万円

(65.5%減)

 

(第7次中期経営計画について)

 このような状況の中で、当社グループといたしましては、急激な環境の変化に対応するべく、中期経営計画(第7次)を立案し、次の成長軌道に乗せていきたいと考えております。

 これにより、ビジネスモデルの変革を推進し、市場の発展に貢献していく所存であります。

 中期経営計画の骨子は、下記の3つであります。

①成長の源泉

 時代と共に急速な発展をみせてきた電波利用の市場は、日本政府が推進する超スマート社会「Society5.0」において、無限の拡がりが期待できます。

 電波が持つ無限の可能性を追求し、「見えない電波をコントロールする」という当社グループの強みを一層強化してまいります。

 そのため、より豊かな社会をデザインするために必要な創造性を磨いていけるよう、人財の育成に注力いたします。

②成長の進路

 新たなビジネスモデルの種まきにつきましては、既にeコマースサイト「日アンねっと」を立ち上げており、将来的に大きく育てていきたいと考えております。

 これにより、市場が必要とする情報をタイムリーにお届けし、幅広い顧客層の購買活動を最良化していく活動を進めることができるものと期待しております。様々な市場の声として、多くのご意見やご要望等を頂くことにより、アフターサービスを強化するのみならず、IoTを活用した各種サービスの考案を進め、これらを実現するべく商品の企画開発を継続してまいります。

 また、総務省の「周波数再編アクションプラン」に沿った事業展開や、これまでの事業実績からなる各種チャネルを最大限に活かし、磨き上げたコアコンピタンスを武器に、これからの地域格差是正や社会的課題の解決に積極的に取り組んでまいります。そして、ソリューション事業などの新しい分野に挑戦し続けることで、社会とともに持続的な成長の実現を目指してまいります。

 同時に、世界的にも、高速、大容量かつ低遅延を実現する通信環境の整備が喫緊の課題となっているところから、グローバルな事業展開を一層強化し、新たな付加価値の創造に注力いたします。

③経営基盤の最適化

 購買業務の集中化と製品の改良・改造活動の推進により、あらゆる調達コストの低減へ、これからも継続的な取組みを実施いたします。

 また、コストの適正化を行うため、事業プロセスの最適化と生産工程の自動化を推進する一方、事業拠点の最適化による経営資源の適正な再配分も検討してまいります。

 これらを通じて、引き続き環境に左右されない強固な経営基盤作りへ全力で取り組んでまいります。

 

なお、上記記載の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1)経済状況の動向

 当社グループはグローバルな事業展開を推進しております。わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で公共投資、民間の設備投資・住宅投資への冷え込みの懸念があり、今後の状況によっては、広範囲かつ長期間に亘る世界経済の低迷が生じる可能性があります。また、当社グループの製品を使用するIoT関連機器・サービスの市場は、経済環境の変化及び景気変動の影響を受けます。これにより当社グループの製品に対する需要が減少して、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、急激な環境の変化に対応するべく収益性に重点を置いた経営基盤の構築に取り組み、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。

(2)競争の激化

 当社グループが製品を展開しているIoT関連の市場では厳しい競争が続いております。当社グループの競合他社は、研究開発、生産能力、資金や人的資源等において、当社グループよりも強い競争力を有する場合があります。当社グループが競合他社との競争において優位に立てない場合には、当社グループが十分な利益を確保することが困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、常に付加価値の創出及び製品の高品質化に努め、価格水準の維持及び向上を目指すとともに、工程改善、材料歩留りの改善等によるコスト低減に取り組み、製品の販売価格の下落リスクに備えます。

(3)買収(M&A)、事業提携及びその他の戦略的投資

 当社グループは、買収(M&A)、事業提携及びその他の戦略的投資を成長のための経営戦略の1つとして位置付けており、新規市場への参入や新規領域事業の展開等のために買収、事業提携及びその他の戦略的投資を実施する場合があります。戦略的投資は市場環境の変化等の様々な要素に左右されるため、新規領域事業の展開が計画どおりに進まない可能性や、事前に把握できなかった問題が実施後に判明し、追加的な支出が発生する可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらを行う際には、対象企業や新規領域事業等の投資先について詳細な調査を行い、十分にリスクを検討して推進いたします。

(4)研究開発等

 当社グループが事業展開するIoT関連の分野は、技術革新とコスト競争力について厳しい要求があり、中期の開発戦略のもとに新技術や新製品、新用途、新市場開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資をしております。市場の変化が激しい業界において変化を予測することは容易ではなく、開発した製品について想定した売上げ等の効果が得られない可能性があります。また、競合他社の新技術や新製品開発、業界における標準化や顧客のニーズの変化により、当社グループの製品が予期せぬ陳腐化を起こし、当社グループの製品への需要が減少する可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、研究開発テーマと予算を適切に設定し、研究開発の状況をモニタリングして市場の変化に柔軟に対応いたします。

(5)知的財産の保護

 当社グループの製品は複数のライセンスを利用して製造販売しております。IoT関連の分野における急速な技術進歩やグローバル化により、当社グループの事業領域における知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、当社グループの知的財産権が侵害されている恐れがある場合や、当社グループが他社の知的財産を侵害の恐れがある場合に、必要な措置を完全に講じることができる保証はありません。これらの状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、保有する知的財産権を保護するために、グローバル化に対応した商標登録や特許登録を行い、顧問弁護士や弁理士と連携した管理体制の整備に努めます。

(6)コンプライアンスと法規制

 当社グループは、事業展開を行うにあたって、電気用品安全法、電波法、電気通信事業法、建設業法、租税法、下請代金遅延等防止法、個人情報保護法等の様々な法的規制の適用を受けております。当社グループがかかる法規制に違反する場合、また、当社グループが保有する許認可等に付された条件や制約を遵守できない場合には、規制当局からの制裁や罰金、罰則の適用、追加費用の負担や許認可等の剥奪等の可能性がある他、当社グループの評判及び信用にも悪影響を与えるおそれがあります。当社グループといたしましては、現在まで重大な法令違反は発生しておらず、内部統制システムを構築した上でこれらの遵守に努めます。

(7)製品及びサービスの不具合

 当社グループは国際的な品質管理システムに従って、顧客から喜ばれる新製品の開発及び既存製品の改良を行っており、製品に付随する工事サービスの安全性にも充分な体制を整えております。しかしながら、IoT端末やそれらを利用した製品サービスの高度化により、当社グループの製品・サービスにおいて不具合の発生を完全に防止できる保証はありません。当社グループの製品や提供サービスに致命的な不具合が発生し、その不具合を適切に解決できない場合は、当社グループの信用力が低下し、当社グループの製品の売上げやシェアが低下する可能性があります。また、大規模なリコールの発生や、製造物責任賠償請求がなされた場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、現時点まで、業績に多大な影響を与えた不具合を発生したことはありませんが、品質管理体制の一層の強化を図ってまいります。

(8)パンデミック・自然災害等による影響

 当社グループは安全第一の方針のもと、パンデミック・自然災害に対して安全対策及びBCP対応を実施しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックや東日本大震災のような大規模な自然災害による不測の事態が生じた場合は、人的・物的被害は、当社グループのみに限定されず、電力・ガス等のインフラ被害や、原材料の調達・物流・顧客等、広範囲にわたるサプライチェーンへの被害により、事業活動中断の影響を完全に防止できる保証はなく、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、事業復旧の早期化、省力化を図るため、テレワーク等勤務体制の整備、緊急事態発生時の対応マニュアルの整備等のBCP対応を強化いたします。

 なお、新型コロナウイルス感染症の対策といたしましては、テレワーク、時差出勤やフレックス勤務並びにWeb会議、電話会議の積極的な利用を推奨しております。これは、①お客様、協力会社様、従業員及びその家族の生命と健康維持を優先する②社会への影響を配慮し、感染拡大の防止に努める③サービスや商品の継続的提供のため最大限の努力をする④経営基盤を維持するという観点に基づくものでありますが、同時に、働き方改革、今後予見されるオリンピック・パラリンピック対応や、自然災害による想定外の事象への対応を見据えたものでもあります。

(9)為替相場の変動

 当社グループの製品は、日本国内でも生産しておりますが、主な生産場所は中国の子会社並びに委託先であります。生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達コストを押し上げます。急激な為替変動により為替リスクを回避できない事態が生じた場合は、当社グループの利益率と価格競争を低下させ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、為替相場の変動の影響を最小限に抑えるべく、必要に応じて為替予約等によるヘッジを行います。

(10)機密情報の管理

 当社グループは、業務上多数の顧客情報・製品開発情報を取扱っております。予期せぬ事態により当社グループが保持又は管理する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は使用するような事態が生じた場合、当社グループに対して損害賠償を求める訴訟が提起される等、当社グループの事業、業績、評判及び信用に悪影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、これらの情報セキュリティ管理について、物理的セキュリティの整備に加え、セキュリティポリシー、従業員向けの行動規範の教育等、機密情報の管理体制の強化を推進いたします。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善がみられ、緩やかな回復傾向にありましたが、年度の終盤には、新型コロナウイルス感染症が世界的な流行となり、経済活動の停滞が今後長期化することも懸念され、先行きは極めて不透明な状況となっております。

 当業界において、テレビ関連機器販売の市場に関しましては、4Kテレビや有機ELテレビを含む薄型テレビの出荷は、当連結会計年度を通じて概ね回復基調にあり、合計台数は前連結会計年度比で増加しました。一方で、新設住宅着工戸数に関しましては、減少傾向にて推移しました。

 通信関連機器につきましても、官需向け、民需向けともに堅調に推移しております。

 このような状況の中、当社グループは、環境に左右されない経営基盤作りに取り組み、収益性に重点をおいた企業活動の推進や、新製品の開発、コストダウンへの継続的取組、業務の効率化による経費の適正な運営等に努めてまいりました。

 この結果、「新4K8K衛星放送」対応機器の普及が進んだことにより、テレビ関連機器販売は堅調に推移したものの、通信事業者向け機器販売の反動減や、工事事業の伸び悩み等による影響が大きく、当連結会計年度の売上高は16,535百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。

 利益面につきましては、営業利益は784百万円(同30.9%減)、経常利益は768百万円(同27.2%減)となり、また、投資有価証券評価損を99百万円計上したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は497百万円(同54.3%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 送受信用製品製造事業

 放送関連機器の売上高につきましては、家庭用機器の販売が底堅く推移し、事業者向け機器に関しても好調であったことや、期初の事業譲受が寄与したこと等から、前連結会計年度比増となりました。

 通信用アンテナの売上高につきましては、官需向けデジタル無線用アンテナの需要が継続した一方で、通信事業者向け機器販売の反動減の影響等により、前連結会計年度比減となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は14,012百万円(前連結会計年度比2.3%増)、営業利益は1,548百万円(同0.9%減)となりました。

 工事事業

 前連結会計年度に好調であったアンテナ対策工事や主力である共聴工事が伸び悩んだこと等から、売上高は2,522百万円(前連結会計年度比15.6%減)、営業利益は181百万円(同55.6%減)となりました。

 

 財政状態につきましては、まず、当連結会計年度末の流動資産は、18,691百万円(前連結会計年度末比1.1%減)となりました。これは、有価証券の増加や、商品及び製品、現金及び預金の減少等によるものであります。

 固定資産は、4,774百万円(同6.6%減)となりました。これは、リース資産の増加や、投資有価証券、建物及び構築物の減少等によるものであります。

 当連結会計年度末の流動負債は、3,002百万円(前連結会計年度末比19.0%減)となりました。これは、工事未払金の増加や、支払手形及び買掛金の減少等によるものであります。

 固定負債は、1,050百万円(同15.9%増)となりました。これは、株式給付引当金の増加等によるものであります。

 当連結会計年度末の純資産の合計は、19,412百万円(前連結会計年度末比0.1%増)となりました。

 この結果、自己資本比率は82.7%となりました。

②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は10,860百万円となり、前連結会計年度末に比べ143百万円減少いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は、838百万円(前連結会計年度は1,177百万円の増加)となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益が681百万円となったことや、たな卸資産の減少、減価償却費の計上による増加と、仕入債務の減少による減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、716百万円(前連結会計年度は172百万円の減少)となりました。

 これは主に、有価証券の売却・償還による収入による増加と、事業譲受に伴う支出、有価証券の取得、有形及び無形固定資産の取得による支出による減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、245百万円(前連結会計年度は1,516百万円の減少)となりました。

 これは主に、配当金の支払による減少によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業(百万円)

11,475

87.6

工事事業(百万円)

2,522

84.4

合計(百万円)

13,998

87.0

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業

5,028

99.6

80

63.7

工事事業

2,774

91.1

647

163.4

合計

7,802

96.4

727

139.2

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品製造事業(百万円)

14,012

102.3

工事事業(百万円)

2,522

84.4

合計(百万円)

16,535

99.1

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ジュピターテレコム

1,420

8.5

1,723

10.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、売上高につきましては、16,535百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。これは主に、送受信用製品製造事業では、テレビ用アンテナや関連機器において当連結会計年度の事業譲受が奏功したことや、官需向けデジタル無線用アンテナが伸長したこと、また、工事事業では、主力である共聴工事に伸び悩みがあったこと等によるものであります。

 海外売上高は804百万円(同40.8%増)で、連結売上高に占める海外売上高の割合は4.9%と前連結会計年度より増加しております。これは主に、海外子会社の売上が前連結会計年度で増加したためであります。

 販売費及び一般管理費は4,942百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。これは主に、給与手当の増加や従業員向け株式給付制度の導入によるものであります。

この結果、営業利益は、784百万円(前連結会計年度比30.9%減)となりました。

 当連結会計年度の営業外損益は、16百万円の損失となりました。これは主に、為替差益を2百万円計上したこと(前連結会計年度は27百万円の為替差損)と、有価証券評価損が4百万円と前連結会計年度比で減少したことによるものであります。

 この結果、経常利益は768百万円(前連結会計年度比27.2%減)となりました。

 当連結会計年度の特別損益は、87百万円の損失となりました。これは主に、負ののれん発生益13百万円と、投資有価証券評価損99百万円によるものであります。

 経常利益の768百万円に特別損益の損失87百万円を加算し、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は681百万円となりました。

 税金費用(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)は183百万円になりました。

 これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は497百万円(前連結会計年度比54.3%減)となりました。

 この結果、1株当たり当期純利益は、45円35銭となりました。

 なお、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症の影響といたしましては、送受信用製品製造事業、工事事業ともに、景気減速による売上減少が見込まれる一方、IoT関連製品の需要が喚起されることも想定されます。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループといたしましては、営業活動によるキャッシュ・フローが確保できており、企業活動の継続に特段の支障はないものと考えております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、まず、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ143百万円減少し、10,860百万円となりました。

 重要な資本的支出の予定につきましては、「第一部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 また、当社グループは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、蘇州華広電通有限公司の持分を取得することについて契約を締結いたしました。当該取得につきましては、自己資金を充当する予定であります。

 資金の源泉につきましては、主に、当連結会計年度末の現金及び現金同等物と営業活動により得られる資金であります。

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、下記のとおりの推移であります。

 

 

第63期

第64期

第65期

第66期

第67期

売上高

(百万円)

16,378

14,051

14,356

16,692

16,535

営業利益又は営業損失(△)

(百万円)

233

△292

144

1,135

784

売上高営業利益率

(%)

1.4

1.0

6.8

4.7

ROA(純利益/総資本)

(%)

0.5

0.8

4.5

2.1

ROE(純利益/自己資本)

(%)

0.5

1.0

5.6

2.6

 

 当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、「新4K8K衛星放送」の普及が進み、テレビ放送関連機器の需要が持続したものの、新設住宅着工戸数の伸び悩みの影響を受け、共聴工事の市場環境が停滞気味であること、また通信事業者向け機器販売の反動減があったこと等から、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ減少いたしました。

 また、営業利益につきましても、売上高の減少とともに減少となっております。

 これに伴い、売上高営業利益率につきましても若干の落ち込みがみられ、依然としてシェア獲得競争・価格競争の激化があり、決して楽観視できる情勢ではないものと考えられます。

 なお、ROA・ROEにつきましても、当連結会計年度より低下しております。

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 なお、財政状態につきましては、当社グループでは、セグメントごとではなく、当社グループ一体としての資金管理を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当っては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が会計上の見積りに及ぼす影響につきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報) (新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」及び「同 2.財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報) (新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

a.繰延税金資産

 繰延税金資産は、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異につきまして計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたり、前提条件とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

.固定資産の減損損失

 固定資産の減損会計の適用に際しては、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来、この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。

c.貸倒引当金

 債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

d.投資の減損

 当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する有価証券を保有しておりますが、これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の確定が困難な非公開会社の株式を含んでおります。当社グループは、投資価値が下落し回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しております。公開会社の株式は、期末日の株価が取得額の50%以上下落した場合又は6四半期間続けて30%以上下落しかつ回復可能性がないと判断された場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の純資産額が取得額の50%以上下落した場合に、それぞれ回復可能性がないと判断し減損処理を行うこととしております。

e.退職給付債務

 従業員に対する退職給付債務は、保険数理計算に基づき決定しております。退職給付債務計算は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。当社グループは、割引率を主として日本国債の金利により決定している他、報酬水準の増加率及び従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(持分取得契約)

 当社及び当社の連結子会社である上海日安天線有限公司は、上海日安天線有限公司が蘇州華広電通有限公司の持分を取得することについて、2020年5月8日付で契約を締結いたしました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 先端技術の融合に拍車が掛る市場の敏捷な動向に於いて、放送分野と通信業界のテクニカルな連携は、有線、無線通信、また相互の介在によりアナログからデジタルへの進歩的移行も併せ、分野業界問わず急速に伝播しています。

 私たち国民の生活に於いて不可欠の情報通信手段、或いは通信網は気付かぬところにまで浸透しており、一方でその恩恵を授かりながらも更に便利な形で社会に馴染ませていかなければならない、私たち日本アンテナ株式会社はその一心で放送・通信不問の「情報通信」としての固有表現の中にある数多の技術課題について、日々研究開発活動に取り組んでいます。

 放送分野では放送網のデジタル化によるサービス形態の多様化と高度な無線技術構築、通信分野では高速インターネット接続を介した通信事業やブロードバンド化が著しい自営無線に於ける諸情報の活用シーンが、放送分野に近しい通信形態の上で成り立つなどの連携サービスが台頭しています。

 一方で、放送と通信の情報網に於ける諸処の利用条件に依存する情報格差も社会の実状を示す側面として捉えなければなりません。

 これらのこともしっかりと念頭に置き、私たちの身の周りやそれぞれの企業自体に於かれても新たな情報やサービスを湧出して自然な形でご提供すること、安全性や安心を確保していくこと、緊急非常時などに於ける通信の手段を確保することが求められる要素と捉え、これらの実現に向けて開発からサービスに到るまで社員全員で傾注しています。

 当連結会計年度に於きましては、将来へ向けた新事案についての初期取り組みから、製品が「こと」へ繋がっていく助長活動に着眼して進めてまいりました。

 当年度に於ける開発の実例では、様々な分野での闊達がやまないIoT、ICTに於いて、情報を伝達する部分とその技術の使途方法を意識した生活介在を目指しており、機器機能充実の面では災害緊急速報送受信機器用、在宅医療システムへの適用など、アンテナの機器内蔵化やインビジブル性がトレンドとなる中でも、お客様や各市場の方々にストレス無く明瞭性を伴う情報の伝達が可能となる開発を心掛けた設計に取り組んでいます。

 豪雨災害に対する取り組みにも傾注しており、冠水位計の開発とクラウド水位監視装置の開発と地域配備など、私たちの命と生活に密接な関係を持つ「水」を基底に開発の意義にも深慮しながら推進しています。

 他にも従来の機器について、「こと」を繋いで利便性を図るシステムの検討での市場貢献を常に認識して開発を進めています。

 また、先述の様にシステム上の情報格差や市場でのサービスディバイド事象にも着目し、3.2[GHz]帯に於ける伝送システムの改修が不能な地域や施設に於かれても、衛星放送の左旋円偏波仕様チャンネルの伝送を可能とする救済システムや放送インフラの冗長化に対応するシステムを構築する全放送衛星帯域に対応した自動切替器の開発、通信キャリア様が主管となりサービスを提供される衛星回線を利した離島・沿岸地域配備の耐風速、耐塩害仕様VSATパラボラアンテナの開発とご提供など、放送・通信の離隔を殲滅させる意識でインフラ確保を目的とした活動に余念無く注力しております。

 更に一方では、5Gシステムが前進する中での通信領域の確保が必要とされることに想到した屋内ソリューションに於いても、通信キャリア様との技術的な疎通を図らせて戴き、弊社の高周波帯開発実歴による技量と知見を併せてエリア完備を念頭に置いた開発を進めています。

 同じく5GではSub-6帯域(3.6-5.0[GHz]帯)に対応した無指向性基地局アンテナの開発、次世代通信に観点を置いた電波ビームが動的な指向性制御型アレーアンテナ、シームレス、インビジブルを念頭に置いた建造物などに介在させる通信用アンテナの開発にも取り組んでおります。

 5Gや新たなメディアが時代の動向と共に確立されていく市場展開に伴い、事実上は不可抗力として発生する電波干渉にも目を向け、既設のインフラ基地局に於かれる被干渉などに効果を発揮する既存帯域確保の機器展開にも開発傾注し、市場に展開させて戴いています。

 また更に、予後の周波数帯の利活用に於いて、膨大なデータ容量によって求められるシステムのケイパビリティに基づく帯域確保を事由とした周波数資源の使途目的により、高周波帯へシフトすることに鋭敏となり、28[GHz]ミリ波帯域の対応製品の開発にも取り組み、市場でのユーザシーンを考えながら適応製品の開発に勤しんでまいります。

 弊社は可視化不能な電波をコントロールすることで、お客様、市場の皆さまに貢献してきた実歴を持しております。

 そして弊社では、技術蓄積の史実と広範囲な販売網、既得領域を確保してきた放送部門と、様々な商用や官公庁様並びに事業者様主導の通信分野向けに展開を講じた通信部門の業態を内包していることにより、第68期は放送と通信の融合から多様な形での社会実装を目指した統合的な組織体制を構築いたします。

 新体制の組織の中では、R&Dセンターを新設、内包し、更に専制的で新しい弊社の技術構築と市場への成果還元を目指してスタートいたします。

 今後も空間を伝わる電波、伝送線を伝わる信号に秘められた無限の力を引き出す努力を講じ、弛まぬ智慧の捻出と工夫により、「ひと」と「こと」を連綿的に繋いでいく所思で更に技術的な高みを目指して進化してまいります。

 私ども日本アンテナ株式会社は、以後も変わらず電波を携えながら市場に貢献してまいりますのでよろしくお願い申し上げます。

 現在の研究開発は、送受信用製品製造事業の技術部(テクニカルセンターを含む)を中心に推進されており、当連結会計年度末における既存製品の改良を含む研究開発の人員は85名、研究開発に係る費用の総額は1,018百万円であります。

 なお、工事事業の研究開発費につきましては、送受信用製品製造事業で開発、製品化したものを投入するため、実際の研究開発費はありません。