第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。

 当社グループは、急速な進展を見せている情報化社会において、各種アンテナ・関連機器及びCATV・情報通信システム工事等の幅広い事業分野で、独自技術による良質の製品・サービスを提供し、社会的な評価を得て事業の発展を遂げ、継続的に企業価値を高めていくことを基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、アンテナ、映像通信用電子機器、電気通信工事をコア事業と据え、従来の製品・サービスの提供にとどまらず①周波数再編や新規割当てに伴うあらゆるニーズ②映像と無線、放送と通信の融合による市場の変化③IoT(モノのインターネット)社会における新たな電波利用ニーズの拡大をビジネスチャンスと捉え、積極的な製品開発、製品・サービス供給に努め、顧客の評価・信頼を得て、業容の拡大を図ってまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営成績に及ぼす影響といたしましては、景気後退が長期化し、売上高の減少が持続するおそれがある他、サプライチェーンの混乱による納期遅延や品質管理の負担増等が懸念されますが、一方で、テレワークの普及等によるインターネットの重要性が飛躍的に高まり、当社グループが提供する製品・サービスの需要増につながる可能性もあるところから、現段階で具体的な影響を見通すのは困難であります。当社グループといたしましては、ポストコロナ社会におけるIoTの進化を好機としつつ、社会的責任を果たしていく所存であります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、経営の目標とする指標として、以下の指標を特に重視しております。

 成長性の指標: 売上高、営業利益

 収益性の指標: 売上高営業利益率

 資本効率の指標: ROA、ROE

 

(4)経営環境

 当社グループが事業展開している放送と通信の分野は、デジタル化、IP化、光やワイヤレス化等の情報の高度化や放送と通信の融合等今後も成長が期待できる分野でありますが、企業間競争はさらに厳しさを増すことが予想されます。当社グループの今後の発展のためには、市場の変化に対応できる技術力、新製品の開発力が重要となっております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの新たな変異株発生への懸念もあり未だに収束の目途が立たない状況が続いております。また、ロシア・ウクライナ問題による地政学的リスクの高まりや円安の急速な進行、原材料やエネルギー価格の高騰といった景気の下振れ要因も多く、世界情勢は一層厳しさを増しております。

 当社グループを取り巻く環境といたしましては、テレビの出荷台数についてはコロナ禍による巣ごもり需要の反動減が続いており今後も厳しい事業環境が継続するものとみております。また、新設住宅着工戸数は前連結会計年度比で増加傾向にありますが、コロナ禍以前の水準には至っておりません。

 一方、総務省の「周波数再編アクションプラン」に伴う官公庁向け、事業者向けのアンテナや、IoT市場に関連する通信モジュール用アンテナについては、今後需要が拡大していくものとみております。

 ソリューション事業においては、新築ビル内共聴工事、ビル内共聴改修工事等が中心となると予想しております。

 次期の業績見通しについては、現時点での予想は次のとおりであります。

(括弧内は対前連結会計年度比・前期比)

 

(連結)

 

(個別)

売上高

13,600百万円

(7.9%増)

 

11,900百万円

(1.9%増)

営業利益

△1,170百万円

(-)

 

△670百万円

(-)

経常利益

△1,170百万円

(-)

 

△640百万円

(-)

当期純利益

△1,200百万円

(-)

 

△670百万円

(-)

 

(第7次中期経営計画について)

 このような状況の中で、当社グループは当連結会計年度に中期経営計画(第7次)の2年目を迎えました。新たなビジネスモデルの構築に向け一層尽力し、全てのステークホルダーが将来にわたり活動を続けていけるサステナブルな社会を実感できるよう努めてまいります。

 

 中期経営計画の骨子は、下記の3つであります。

①成長の源泉

 多くの電波利用機器が急速に普及している現代社会において、電波は生活の重要な基盤となっております。当社は「見えない電波をコントロールする」という当社グループの優位性を活かし、超スマート社会の実現へ向けて貢献してまいります。また、当社が築き上げてきた強みを発展させ、より豊かな社会の成長に資することのできる人財の育成に注力しております。

②成長の進路

 市場と当社を繋げるeコマースサイト「日アンねっと」を将来に向けての成長の基盤と捉え更なる品質向上を目指してまいります。当サイトを通じて市場と情報の授受をタイムリーに行い、価格・品質・納期の最良化を引き続き推進いたします。

 また、総務省が主導する「周波数再編アクションプラン」に関しましても、社会を成長させるための重要な指針と考えております。当社がこれまで培ってきた各種チャネルと磨き上げたコアコンピタンスを最大限に発揮し当プランに沿った事業展開に積極的に取り組んでおります。同時に、ソリューション事業等の新しい分野にも歩を進め、あらゆるステークホルダーからの要望を企画開発に活かし持続的な企業価値の創出を目指してまいります。

 さらに、世界的にも「超高速・大容量通信」「多数同時接続」「超低遅延」が可能な通信環境の整備が求められているところから、グローバルな課題解決へ貢献すべくアジア圏を足掛かりとした海外市場の開拓に尽力し付加価値の創造に注力しております。

③経営基盤の最適化

 購買業務の集中化と製品の改良・改造活動の推進により、あらゆる調達コストの低減に向けて継続的に取り組んでおります。

 また、コストの適正化を行うため、事業プロセスの最適化と生産工程の自動化を推進する一方、事業拠点の抜本的な見直しを含めた経営資源の適切な再分配を実施しております。

 

 これらを通じて、引き続き環境に左右されない強固な経営基盤作りへ全力で取り組んでまいります。

 

 なお、上記記載の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)国内外の市場環境の変化

 当社グループはグローバルな事業展開を推進しております。わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で公共投資、民間の設備投資・住宅投資への冷え込みの懸念があり、国外においても米中貿易摩擦の拡大が継続することや中国のゼロコロナ政策によるロックダウン(都市封鎖)に起因する経済活動の制限等により世界経済に影響が生じる可能性があります。また、当社グループの製品を使用するIoT関連機器・サービスの市場は、経済環境・生活環境の変化及び景気変動の影響を受けます。これにより、特に海外市場における当社グループの製品に対する需要が減少して、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、急激な環境の変化に対応するべく収益性に重点を置いた経営基盤の構築に取り組み、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。

 

(2)競争の激化と価格変動

 当社グループが製品を展開しているIoT関連の市場では厳しい競争が続いております。当社グループの競合他社は、研究開発、生産能力、資金や人的資源等において、当社グループよりも強い競争力を有する場合があります。当社グループが競合他社との競争において優位に立てない場合には、当社グループが十分な利益を確保することが困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。またコスト面においても、需給関係の変化やロシアのウクライナ侵攻等による資源価格・エネルギー等の高騰に伴う原材料・部品価格や物流コストの上昇、さらには世界的な半導体の調達難による売上機会の損失に起因して利益に影響を及ぼす可能性もあります。当社グループといたしましては、常に付加価値の創出及び製品の高品質化に努め、価格水準の維持及び向上を目指すとともに、工程改善、材料歩留りの改善等によるコスト低減に取り組むとともに、顧客の理解・協力を得て製品の販売価格を適切に改定する等の対応を行っております。

 

(3)パンデミック・自然災害等による影響

 当社グループは安全第一の方針のもと、パンデミック・自然災害に対して安全対策及びBCP対応を実施しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックや東日本大震災のような大規模な自然災害による不測の事態が生じた場合は、人的・物的被害は、当社グループのみに限定されず、電力・ガス等のインフラや、原材料の調達・物流・顧客等、広範囲にわたるサプライチェーンに波及し、事業活動中断の影響を完全に防止できる保証はなく、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、特に中国子会社では、パンデミックに伴い日本からの出張が中国政府の政策により制限され、当社グループとしての統制が不十分となる懸念があります。当社グループといたしましては、事業復旧の早期化、省力化を図るため、テレワーク等勤務体制の整備、緊急事態発生時の対応マニュアルの整備等のBCP対応を強化するとともに、リモート会議等を通じたコミュニケーションの活性化に取り組んでおります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大時の対策といたしましては、テレワーク、時差出勤やフレックス勤務の他、Web会議、電話会議の積極的な利用を推奨しております。これは、①お客様、協力会社様、従業員及びその家族の生命と健康維持を優先する②社会への影響を配慮し、感染拡大の防止に努める③サービスや商品の継続的提供のため最大限の努力をする④経営基盤を維持するという喫緊の課題に基づくものであります。

 

(4)製品及びサービスの不具合

 当社グループは国際的な品質管理システムに従って、顧客から喜ばれる新製品の開発及び既存製品の改良を行っており、製品に付随する工事サービスの安全性にも充分な体制を整えております。しかしながら、IoT端末やそれらを利用した製品サービスの高度化により、当社グループの製品や提供サービスにおいて将来にわたって不具合の発生を防止できる保証はありません。当社グループの製品や提供サービスに致命的な不具合が発生し、その不具合を適切に解決できない場合は、顧客への求償や品質維持対応のコストが発生する懸念がある他、当社グループの信用力が低下し、当社グループの製品の売上やシェアが下落する可能性があります。また、大規模なリコールの発生や、製造物責任賠償請求がなされた場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、現時点まで、業績に多大な影響を与えた不具合を発生したことはありませんが、品質管理体制の一層の強化を図ってまいります。

 

(5)買収(M&A)、事業提携及びその他の戦略的投資

 当社グループは、買収(M&A)、事業提携及びその他の戦略的投資を成長のための経営戦略の1つとして位置付けており、国内外の新規市場への参入や新規領域事業の展開等のために買収、事業提携及びその他の戦略的投資を実施する場合があります。また、特に海外子会社の設立・買収等の戦略的投資は当該国の政治的・法的環境や市場環境の変化等の様々な要素に左右されるため、新規領域事業の展開が計画どおりに進まない可能性や、事前に把握できなかった問題が実施後に判明し、追加的な支出が発生する可能性があります。また、投資後の戦略的統合におけるシナジーが当初想定通りに得られない可能性もあります。これらの状況が生じた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらを行う際には、対象企業や新規領域事業等の投資先や固有のカントリーリスクについて詳細な調査を行い、十分にリスクを検討して推進し、実行後も継続的なモニタリングを行います。

 

(6)研究開発等

 当社グループが事業展開するIoT関連の分野は、技術革新とコスト競争力について厳しい要求があり、中期の開発戦略のもとに新技術や新製品、新用途、新市場開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資をしております。市場の変化が激しい業界において変化を予測することは容易ではなく、開発した製品について想定した売上等の効果が得られない可能性があります。また、競合他社の新技術や新製品開発、業界における標準化や顧客のニーズの変化により、当社グループの製品が予期せぬ陳腐化を起こし、当社グループの製品への需要が減少する可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、研究開発テーマと予算を適切に設定し、研究開発の状況をモニタリングして市場の変化に柔軟に対応するとともに、開発設計業務に携わる従業員のスキル向上のため、適切な教育訓練の機会を提供いたします。

 

(7)為替相場の変動

 当社グループ製品の生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達コストを押し上げます。急激な為替変動により為替リスクを回避できない事態が生じた場合は、価格競争力を低下させ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは株式等の市場性のある有価証券を保有しており、これらは市場価格の下落リスクにさらされています。当社グループといたしましては、為替相場の変動の影響を最小限に抑えるべく海外子会社を活用した調達活動を推進する他、必要に応じて為替予約等によるヘッジを行っております。また市場性のある有価証券につきましては、個々の銘柄ごとに、取引の経済合理性や保有目的の適切性等について精査を行います。

 

(8)コンプライアンスとESG

 当社グループは、事業展開を行うにあたって、労働基準関係法令の他、電気用品安全法、電波法、電気通信事業法、建設業法、租税法、下請代金遅延等防止法、個人情報保護法等の様々な法的規制の適用を受けております。当社グループがかかる法規制に違反する場合、また、当社グループが保有する許認可等に付された条件や制約を遵守できない場合には、規制当局からの制裁や罰金、罰則の適用、追加費用の負担や許認可等の剥奪等の可能性がある他、当社グループの評判及び信用にも影響を与えるおそれがあります。さらに、環境・社会・ガバナンス(ESG)の重要性については投資家のみならず社会全体で関心が高まっており、その観点からの企業の対応が重要となりつつあります。当社グループといたしましては、サステナビリティ基本方針を定め、内部統制システムを構築した上で法的規制・コンプライアンスの遵守やステークホルダーの信頼獲得に注力しており、また、「品質・環境方針」を踏まえつつ人権・安全・衛生・企業倫理の遵守にも努めながら、サプライチェーン全体のマネジメントに取り組んでまいります。

 

(9)機密情報の管理と情報セキュリティ

 当社グループは、業務上多数の顧客情報・製品開発情報を取扱っております。予期せぬ事態により当社グループが保持又は管理する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は使用するような事態が生じた場合、当社グループに対して損害賠償を求める訴訟が提起される等、当社グループの事業、業績、評判及び信用に影響を与える可能性があります。また、システムの不具合やサイバー攻撃等により重大な障害が発生した場合も同様に、当社グループの事業、業績、評判及び信用に影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、これらの情報セキュリティ管理については昨今の情勢や事例を鑑み、物理的セキュリティの整備に加え、情報セキュリティ委員会を設置して社内規程やセキュリティポリシーを整備する他、不正アクセスや情報漏洩等を未然に防止するため、従業員向けの行動規範の教育等、機密情報の管理体制を強化し、情報セキュリティ委員会の活動を通じて継続的改善を図っております。

 

(10)人的資源の確保と育成

 当社グループが事業展開を行うにあたっては、専門的な知見や豊富な業務経験を有し、技術革新や環境の変化に即応し得る優秀な人的資源の確保・育成や健全な職場環境の整備が必須であります。このため、定年制度等により熟練した従業員が退職した後に適切な補充が行われない場合、賃金等の処遇や労働環境の悪化に起因する人材の流出により技術・ノウハウの伝承に支障が生じた場合、業務負荷の増加による時間外労働やコミュニケーション不全により従業員のフィジカル面・メンタル面に懸念が生じた場合や、重大なハラスメント事案が発生した場合は、当社グループの業績や社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。また、特に若手従業員の育成が適切に行えない場合は、当社グループの中長期的な事業継続に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、新卒・第二新卒等の若手従業員採用を計画的に行う他、中途採用により多様な人材の確保に注力し、従業員一人一人が活躍できるよう、階層別研修や担当業務・職種等に即した育成を実施しております。なお、教育訓練につきましては、自己研鑽としての公的資格の取得推奨制度を導入しております。また、今後も発生し得る想定外の様々な事象への対応を見据え、働き方改革の推進による労働環境の整備に取り組み、情報システムの整備による省力化・効率化を進めつつタイムリーな勤務実態の把握を通じて時間外勤務の削減を図る他、ストレスチェックテストや産業医によるメンタルヘルスのサポートを行っております。また、ハラスメント防止に関しては、定期的な研修を実施する他、相談窓口を設置する等、環境の整備を行っております。

 

(11)知的財産の保護

 当社グループの製品は複数のライセンスを利用して製造販売しております。IoT関連の分野における急速な技術進歩やグローバル化により、当社グループの事業領域における知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、当社グループの知的財産権が侵害されている恐れがある場合や、当社グループが他社の知的財産を侵害の恐れがある場合に、必要な措置を完全に講じることができる保証はありません。これらの状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、保有する知的財産権を保護し、かつ他社の権利侵害を防止するために、グローバル化に対応した商標登録や特許登録を行い、顧問弁護士や弁理士と連携した管理体制の整備に努めております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

 当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進展し景気回復への期待が高まりましたが、新たな変異株の出現もあり収束の見通しが立たない状況が続いております。

 また、ロシア・ウクライナ情勢の世界経済への影響や、半導体を始めとした部材の供給不足や価格の高騰といった景気の下振れ要因によって、状況は日々厳しさを増しております。

 当業界において、テレビ関連機器販売の市場に関しましては、コロナ禍による巣ごもり需要の反動減から景気の停滞が継続しております。また、新設住宅着工戸数に関しまして、テレワークの普及などを背景に住宅需要が拡大し前連結会計年度比で増加傾向にありますが、建材価格の高騰等が足かせとなり、先行きの不透明な状況が続いております。

 通信関連機器につきましても、官需向け、民需向けともに捗々しくない状況が続いております。

 このような状況の中、当社グループは、環境に左右されない経営基盤作りに取り組み、収益性に重点をおいた企業活動の推進や、新製品の開発、コストダウンへの継続的取組、業務の効率化による経費の適正な運営等に努めてまいりました。

 しかしながら、ソリューション事業は堅調に推移したものの、通信用アンテナは前期好調であった官需向けの反動減から脱せず、また、テレビ関連機器も低調であったことから、当連結会計年度の売上高は12,606百万円(前連結会計年度比17.6%減)となりました。

 利益面につきましては、売上減による影響の他、前連結会計年度に実施した海外子会社の取得に伴う相乗効果の発揮を企図して生産体制や研究開発環境の整備を行い、当社グループ全体として将来を見据えた設備投資や人材強化を実施したこと等から、営業損失は1,299百万円(前連結会計年度は284百万円の営業利益)、経常損失は1,225百万円(前連結会計年度は230百万円の経常利益)となりました。また、希望退職者の募集に伴う割増退職金等の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損失は1,766百万円(前連結会計年度は79百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(送受信用製品販売事業)

 放送関連機器の売上高につきましては、主に家庭用機器のコロナ禍による巣ごもり需要後の低迷が続いており前連結会計年度比減となりました。

 通信用アンテナの売上高につきましては、通信モジュール用アンテナが期初の想定に及ばず、官需向けデジタル無線用アンテナは前期の需要からの反動減の影響が継続したことから、前連結会計年度比減となりました。

 この結果、売上高は10,648百万円(前連結会計年度比20.3%減)、営業損失は107百万円(前連結会計年度は1,518百万円の営業利益)となりました。

(ソリューション事業)

 主力のビル内共聴工事が期を通して低調に推移しましたが、一部に大型案件の寄与もあり、売上高は1,957百万円(前連結会計年度比1.2%増)、営業利益は200百万円(前連結会計年度比165.3%増)となりました。

 

 財政状態につきましては、まず、当連結会計年度末の流動資産は、16,925百万円(前連結会計年度末比7.3%減)となりました。これは、原材料及び貯蔵品や商品及び製品の増加と、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末の受取手形及び売掛金との比較)や現金及び預金の減少等によるものであります。

 固定資産は、4,760百万円(同4.0%減)となりました。これは、機械装置及び運搬具や工具、器具及び備品の増加と、投資有価証券の減少等によるものであります。

 当連結会計年度末の流動負債は、3,257百万円(前連結会計年度末比8.2%増)となりました。これは、支払手形及び買掛金の増加や、未払法人税等の減少等によるものであります。

 固定負債は、1,460百万円(同11.2%増)となりました。これは、株式給付引当金の増加等によるものであります。

 

 当連結会計年度末の純資産の合計は、16,967百万円(前連結会計年度末比10.1%減)となりました。

 この結果、自己資本比率は78.2%となりました。

 

②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は9,295百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,011百万円減少いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果減少した資金は、365百万円(前連結会計年度は667百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権の減少や減価償却費の計上による増加と、税金等調整前当期純損失の計上や棚卸資産の増加による減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、398百万円(前連結会計年度は323百万円の減少)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出による減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、301百万円(前連結会計年度は886百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払による減少によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品販売事業(百万円)

8,868

72.8

ソリューション事業(百万円)

1,957

101.2

合計(百万円)

10,826

76.7

 (注) 金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

送受信用製品販売事業

4,526

82.9

132

145.0

ソリューション事業

2,052

92.4

1,035

110.9

合計

6,579

85.7

1,167

113.9

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

送受信用製品販売事業(百万円)

10,648

79.7

ソリューション事業(百万円)

1,957

101.2

合計(百万円)

12,606

82.4

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社JCOM

1,915

12.5

1,251

9.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、売上高につきましては、12,606百万円(前連結会計年度比17.6%減)となりました。これは主に、厳しい事業環境が継続した結果、マーケット別のタスクフォースを立ち上げ業容回復に取り組んだものの、送受信用製品販売事業ではテレビ用アンテナや関連機器の販売が総じて低調に推移したことや官需向けデジタル無線用アンテナの需要が振るわなかったこと、また、ソリューション事業では主力である共聴工事が本格的な市況回復に至らなかったこと等によるものであります。

 海外売上高は926百万円(同1.1%増)で、連結売上高に占める海外売上高の割合は7.3%と前連結会計年度より増加しております。これは主に、国内売上が減少傾向にある一方で、海外子会社の売上が前連結会計年度並みであったためであります。

 販売費及び一般管理費は5,244百万円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。これは主に、生産・研究開発設備等の購入に伴い減価償却費が増加した一方で、消耗品費等の抑制を行ったことによるものであります。

 この結果、営業損失は1,299百万円(前連結会計年度は284百万円の営業利益)となりました。

 当連結会計年度の営業外損益は、73百万円の利益となりました。これは主に、為替差益を30百万円計上したこと(前連結会計年度は為替差損の48百万円)によるものであります。

 この結果、経常損失は1,225百万円(前連結会計年度は230百万円の経常利益)となりました。

 当連結会計年度の特別損益は、340百万円の損失となりました。これは主に、希望退職者の募集に伴い特別退職金313百万円を計上したことによるものであります。

 この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は1,566百万円(前連結会計年度は37百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。

 税金費用(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)は200百万円になりました。

 これにより、親会社株主に帰属する当期純損失は1,766百万円(前連結会計年度は79百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 この結果、1株当たり当期純損失は170円10銭となりました。

 なお、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症の影響といたしましては、送受信用製品販売事業、ソリューション事業ともに、景気減速による売上減少が見込まれます。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループといたしましては、企業活動の継続に特段の支障はないものと考えております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、まず、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,011百万円減少し、9,295百万円となりました。

 重要な資本的支出の予定につきましては、「第一部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 資金の源泉につきましては、主に、当連結会計年度末の現金及び現金同等物と営業活動により得られる資金であります。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、下記のとおりの推移であります。

 

 

第65期

第66期

第67期

第68期

第69期

売上高

(百万円)

14,356

16,692

16,535

15,297

12,606

営業利益又は営業損失(△)

(百万円)

144

1,135

784

284

△1,299

売上高営業利益率

(%)

1.0

6.8

4.7

1.9

ROA(純利益/総資本)

(%)

0.8

4.5

2.1

ROE(純利益/自己資本)

(%)

1.0

5.6

2.6

 

 当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、新設住宅着工戸数は回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染症や米中貿易摩擦、またロシア・ウクライナ情勢等の影響により、テレビ放送関連機器や通信用アンテナの需要は弱含みで推移し、また共聴工事の市況も本格化には至らないこと等から、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ減少いたしました。

 また、売上高の減少や原価高に伴う売上総利益の減少の他、設備投資や人材強化を実施したこと等により、当連結会計年度は営業損失となりました。

 現状では、前連結会計年度にも増して獲得競争・価格競争の激化がみられ、非常に厳しい情勢であるものと考えられます。

 なお、当連結会計年度は営業損失を計上したことから、売上高営業利益率につきましては記載しておりません。

 また、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことから、ROA・ROEにつきましては記載しておりません。

 

(セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容)

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 なお、財政状態につきましては、当社グループでは、セグメントごとではなく、当社グループ一体としての資金管理を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当っては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。

 

a.繰延税金資産

 繰延税金資産は、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異につきまして計上しております。また、当該課税所得を見積るにあたり、前提条件とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

b.固定資産の減損損失

 固定資産の減損会計の適用に際しては、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来、この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が会計上の見積りに及ぼす影響を含め、詳細につきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

c.貸倒引当金

 債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

 

d.投資の減損

 当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する有価証券を保有しておりますが、これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の確定が困難な非公開会社の株式を含んでおります。当社グループは、投資価値が下落し回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しております。公開会社の株式は、期末日の株価が取得額の50%以上下落した場合又は6四半期間続けて30%以上下落しかつ回復可能性がないと判断された場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の純資産額が取得額の50%以上下落した場合に、それぞれ回復可能性がないと判断し減損処理を行うこととしております。

 

e.退職給付債務

 従業員に対する退職給付債務は、保険数理計算に基づき決定しております。退職給付債務計算は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。当社グループは、割引率を主として日本国債の金利により決定している他、報酬水準の増加率及び従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 日常生活における様々な事象が多様な便益により成り立っている背景は、今やそのほとんどが技術革新の成果や結実によるものといっても過言ではありません。

 利便性が不可欠な市場や社会情勢の中でも発展、発達が著しい情報通信分野に於いて、弊社は創業当初から設計開発による商品の提供を生業として介在させていただいております。

 工学的な企業として産声を上げて以降、弊社は市場の皆さまよりのご厚配、ご支援を賜ることで、2022年度はお蔭様をもちまして創業70年目を迎えます。

 より利便性が問われる情報通信社会に貢献させていただく立場として、これまでもお客様よりご指導を仰ぎながら弊社は商品やサービスを差し上げてまいりました。

 ただし、従前の開発設計思考が中心の活動では、新たな技術を生み出していく取り組みの中でも開発領域が限定的に留まることや、市場やお客様が求められる利便性は当然のごとくより豊かさが求められるトレンドであることを考えますと、今後は人間的思考を中心にとした開発設計が市場に浸潤していくものと考えます。

 その様な経緯の下、製品をサービス商品の位置付けとして捉えながら当連結会計年度につきましては、常にお客様の立場でものごとを考える志向を道義として研究開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度は、「つなげる」や「つながっている社会を築くこと」をモチーフに弊社の開発史実を進化させていくことに傾注してまいりました。

 市場で抱える課題や実状がありながらも、当然のごとく営まれている各分野の業務態様に於いてソリューションとしての視点を変えること、いわゆる開発技術サイドが陥りがちなステレオタイプから脱却することを念頭に置いて課題解決に挑む意識を持ち続けています。

 具体的には、前連結会計年度に整備工場等の作業領域で蓄積された廃オイルの回収流通の効率化や循環機能に効果を期する廃オイルセンサシステムの構築を実現いたしましたが、当件に端を発した「産業廃棄物の監視管理」を可能とする容量検知システムの構築と市場展開を当連結会計年度に実現し、お客様におかれて実運用をいただきました。

 また一方では弊社と事業領域を異にする、第一次産業におかれる業態に対しても、同様にクラウドを介したセンシングシステムの開発事案など、監視、管理における確度向上や流通の敏捷性に着眼したご提案を差しあげる活動に力を注いでいます。

 上述の様に、つなげることの実現は業界毎におかれる従前課題の解決策だけでなく、弊社が最も重要と捉えている市場の便益について考える慣習自体が予後も必要であり、社内の開発サイドに「市場の声」をつぶさに聴き取る意識を根付かせ、常に商品に反映させていく開発プロセスを持していきます。

 物理的に離隔した条件においてもセンシングや監視系機能を有する機器と共に通信媒体を介することで、様々な市場に対する在庫管理の利便性や市場の流通に精緻性をもたらす試案を重ね、よりユーザブルな実働を感じていただける環境構築を目指した開発を進めていきます。

 一方で、私どもが扱う電波信号として慣れ親しみ、かつ弊社においても市場へ多くの商品、商材を提供させていただいている放送分野については、増幅器や電源系統の状態監視により得られるデータの状態をクラウド上で認識することにより、離隔地から視聴の状態を把握し、不具合未然防止の機能と役割を担うことをあわせ、従来の保守サービスに対する保全につながる体系を作っていきます。

 更に一方では、弊社がかつてから得意とするRF(高周波)を媒体とした情報通信分野に於いても、現在の市場は大きく進化を遂げていくプロセスにあると強く認識しています。

 通信事業者様や無線通信システムメーカ様がこれまで培われたモバイル通信技術により、飛躍的な進化を遂げていく5G/B5Gの領域、あるいはあらゆる産業界におかれる高速低遅延、確実なネットワークを求められているローカル5Gなどの新規インフラに対して、適用商品の適時提供を目指した開発に当連結会計年度は勤しみ、以後も継続してインフラシステムの実運用化に向けた貢献を目指していきます。

 代表的な開発事例では、大手通信キャリア様におかれるSub-6を含む新たなモバイル通信網を構築する基地局対応のオムニアンテナや700MHz帯から地域BWAなどを含む周波数帯に対応する多周波共用アンテナの開発に取り組み、それぞれ商権をいただく運びとなりました。

 一方で、地域や分野不問でローカル5Gの有効活用が叫ばれている中、南極昭和基地での実証実験用として弊社はアンテナ製品を2基提供させていただきました。

 5Gなどの新たなメディアが台頭する現在において、新規基地局や市場の周波数帯利活用の整地化に繋がる電波干渉抑制を目したS-C帯域のフィルタリング技術など、周波数再編アクションプランに基づく市場の周波数高帯域への進行に伴う派生課題の解決への取り組みをあわせ、新たな通信社会の施策に対する補間やエリア改善などの提案を開発事案の要件に含ませながら、商品形態を増長させていきます。

 

 弊社内の基礎開発の分野においてはR&Dセンターにおいて傾注しているカスタム半導体ICの技術確立への取り組みにより、業界流通製品に比して小型・低消費電力化のデバイス開発を進めています。当連結会計年度はエンジニアリングサンプルとしてのICが完成しました。

 加えて開発商品に於ける社会環境への波及性が大きく問われる予後の保全性につきましては、工学的製品を市場展開する弊社の開発要件に、省エネ配慮のコンセプトをしっかりと反映させた機能携行型増幅器の研究も進めています。

 以上の様に、放送業界における棟内増幅器の核部に焦点を当てた要素技術の構築と社会実装、5G系が司る社会インフラの通信システムに対する浸潤性を有する通信機器製品の開発、大容量、低遅延伝送が望まれる中でのミリ波帯領域商品の拡充がこれからの弊社の貢献領域として強く認識し、つながる、つながっている社会の実現に向けて、開発関係者は同一概念の下に飽くなき挑戦を続けてまいります。

 電波媒体を含む、あらゆる「つながり」を多様に実現する弊社の技術力の底上げが、僅かながらも社会の便益を生むものとの信念を持ち、常に進化し続けますので今後とも何卒よろしくお願い申しあげます。

 現在の研究開発は、基礎開発推進のR&Dセンターと送受信用製品販売事業の開発設計部を中心に推進されており、当連結会計年度末における既存製品の改良を含む研究開発の人員は105名、研究開発に係る費用の総額は1,153百万円であります。

 なお、ソリューション事業の研究開発費につきましては、送受信用製品販売事業で開発、製品化したものを投入するため、実際の研究開発費はありません。