(1)業績
当連結会計年度は、前半に急速な円高が進行し、後半には円安に転じるなど為替相場の変動が続きました。国内については、外需の回復とともに景気は総じて緩やかな拡大を続けましたが、個人消費には停滞感も見られました。輸出環境については、米国は新政権発足に伴う政策見通しの不確実性が増したものの、雇用・所得環境の改善により個人消費の拡大が継続しました。欧州では英国のEU離脱問題による経済への影響も限定的だったことから、内需主導による緩やかな回復基調が続きました。一方、中国をはじめとする新興国や資源国では成長鈍化による景気の下振れ懸念が強まりました。
このような状況のもとで、当企業集団は、デジタル化の流れに対応した製品開発を進めるとともに、世界の幅広い顧客獲得を目指して新規市場の開拓及び販売網の強化に努めましたが、第3四半期までの為替の急激な円高進行が業績へ大きく影響を与える状況となりました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は240億9千2百万円と前年同期に比べ27億8千2百万円(10.4%減)の減収となり、営業利益は7億3千2百万円と前年同期に比べ16億3千5百万円(69.1%減)の減益となりました。また、経常利益は7億2千4百万円と前年同期と比べ16億2千7百万円(69.2%減)の減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も4億7千3百万円と前年同期に比べ11億8千6百万円(71.5%減)の減益となりました。
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売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) |
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当連結会計年度 (平成29年3月期) |
24,092 |
732 |
724 |
473 |
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前連結会計年度 (平成28年3月期) |
26,874 |
2,367 |
2,351 |
1,660 |
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前年同期比増減率 |
△10.4% |
△69.1% |
△69.2% |
△71.5% |
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本[当社、和歌山アイコム㈱、アイコム情報機器㈱]
国内市場では、アマチュア用無線通信機器は新製品効果から底堅く推移しましたが、陸上業務用無線通信機器は、前年度にあった官庁特需の終了による反動減が大きく、新ジャンルのIPトランシーバーが大手交通機関や自治体で採用されるなど売上増に貢献しましたが、市場全体として減収となりました。海外市場では、東南アジア向けは中国など一部地域を除き堅調でしたが、欧州・アフリカ向けが減収となり、市場全体としても減収となりました。この結果、本セグメントの外部顧客に対する売上高は147億7千9百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
利益面では、為替の影響を強く受けたことや、試験研究費など販売費及び一般管理費の負担増により、営業利益は4億9千9百万円(前年同期比77.4%減)となりました。
② 北米[Icom America,Inc.、ICOM CANADA HOLDINGS INC.、ICOM DO BRASIL RADIOCOMUNICACAO LTDA. ]
カナダでは、東部地域の販路拡大等により陸上業務用及び海上用無線通信機器が大きく増収となりました。米国本土及び中南米においては、販売網の整備や東部地域のサービス体制の強化に努めましたが、主力の陸上業務用無線通信機器では、アナログ無線機は堅調に推移したものの、デジタル無線機を伸ばすことができず、また、アマチュア用無線通信機器及び海上用無線通信機器も減収となりました。一方、航空用無線通信機器は空港業務用途で増収となりました。対米ドルで前年同期と比べ大幅な円高が進行したこともあり外部顧客に対する売上高は73億1千8百万円(前年同期比17.5%減)となりました。
利益面では、販売費及び一般管理費の削減に努めましたが3千7百万円の営業損失(前年同期は1千万円の営業利益)となりました。
③ ヨーロッパ[Icom(Europe)GmbH、Icom Spain, S.L.]
陸上業務用無線通信機器及び海上用無線通信機器は減収となりましたが、新製品効果の続いたアマチュア用無線通信機器が大幅な増収となったことからセグメント全体としては増収となりました。しかしながら、対ユーロでの円高の進行により円換算の外部顧客に対する売上高は10億7千万円(前年同期比1.8%減)となりました。
利益面では、販売費及び一般管理費の削減に努め営業利益は3千5百万円(前年同期は5百万円の営業損失)と黒字に転換しました。
④ アジア・オセアニア[Icom(Australia)Pty.,Ltd.、Asia Icom Inc.、PURECOM CO.,LTD]
主力市場となるオーストラリアにおいて、新製品効果の継続から陸上業務用無線通信機器及びアマチュア用無線通信機器が大幅な増収となり、海上用無線通信機器も増収となったことから、対豪ドルでの円高の進行を補って外部顧客に対する売上高は9億2千3百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
利益面では、増収効果並びに販売費及び一般管理費の削減に努めたことから営業利益は3千万円(前年同期は3千2百万円の営業損失)と黒字に転換しました。
(2)キャッシュ・フロ-の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ31億8千3百万円減少し、290億1千1百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少したキャッシュ・フローは、8億6千5百万円(前年同期は18億7百万円の増加)となりました。主な減少要因は、営業活動その他による減少21億7千3百万円及び法人税等の支払額4億3千6百万円、一方で主な増加要因は、減価償却費9億8千7百万円及び税金等調整前当期純利益7億2千4百万円であります。
なお、営業活動その他による減少21億7千3百万円の主な内訳は、差入保証金の増加20億円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少したキャッシュ・フローは、19億5千3百万円(前年同期は29億8千3百万円の増加)となりました。主な減少要因は、預入期間3ヶ月超定期預金の増加12億7千6百万円、有形固定資産の取得による支出6億7千5百万円及び投資有価証券の取得による支出6億4千4百万円、一方で主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入5億9千8百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少したキャッシュ・フローは、4億1千5百万円(前年同期は5億6千3百万円の減少)となりました。主な内訳は、配当金の支払額であります。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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日本(百万円) |
20,258 |
87.2 |
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アジア・オセアニア(百万円) |
- |
- |
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合計(百万円) |
20,258 |
87.0 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)商品仕入実績
金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(3)受注状況
当企業集団の製品は、需要予測による見込生産を行っており、原則として受注生産は行っておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度における報告セグメントごとの販売実績はセグメント情報等をご参照下さい。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。
(1)経営方針
当企業集団は、創業以来、「常に最高の技術集団であれ」を社是として歩んでまいりました。また「コミュニケーションで創る楽しい未来、愉快な技術」を経営理念としており、コミュニケーションを円滑に行う機器を作るメーカーとして事業を営んでおります。
(2)経営戦略及び目標とする経営指標
当企業集団は、中期的な販売目標である売上高500億円を達成するために、各国で導入が進む各種デジタル無線通信方式に対応するデジタル無線通信機器の開発に取り組むとともに、高付加価値の無線システム販売を強化するため販売網の見直しを行う等、販売力の強化を図ってまいります。
(3)経営環境及び対処すべき課題
a:高品質を保ちながら多品種少量生産を行うために国内生産を堅持する当企業集団にとりまして、輸出環境における為替変動が業績に大きな影響を与えます。また、中国などの後発メーカーの進出は一部の製品において価格競争を厳しくしております。収益を安定して確保するため、高い技術力を保持して製品の差別化を図るとともに、ビジネスチャンスを活かすため、サービスの強化や購買・生産・販売の各部門連携強化によるリードタイム短縮を推進していきます。また、コストの低減への取り組みとして、製造ラインの自動化を推進して省力化を進めるとともに、海外からの低コスト部材の調達、間接費の低減等を実施してまいります。
b:無線通信機器市場では、世界の地域ごとに異なる市場対応を行う必要がありますが、欧州市場では、各国個別の無線通信事情を収集し、多様なニーズに対応することでシェア拡大を図り、米国市場でも、パブリックセーフティ分野への対応を強化するとともに販売網の整備や新規需要の掘り起こしを推進してまいります。アジア・アフリカ等新興国市場では、多様な需要を取り込むと同時に、無線通信機器の高機能化に対応するため、販売先への技術指導や販売ルートの見直しを継続して行うことで売上の拡大を目指してまいります。また、国内市場でも市場分析の強化、新規販路の開拓、サービス部門との連携強化等を実施してまいります。
c:無線通信方式のデジタル化への取り組みでは、国ごとに、また用途により異なる様々な通信プロトコルに対応したデジタル無線通信機器の高機能化を進めており、顧客の多様なニーズに応えてまいります。技術革新の目覚ましいIP通信においても無線通信との連携を強化した新たなソリューションを提供してまいります。
当企業集団の経営成績、株価、財政状態に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に対する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)為替相場の変動による影響について
当企業集団の連結売上高に占める海外売上高の割合は、平成27年3月期68.4%、平成28年3月期67.1%、平成29年3月期66.9%と高水準であり、為替相場の変動が当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)世界情勢による影響について
世界各地で勃発する戦争や疫病、災害等により、原材料の価格高騰や入手が困難な状況が発生した場合には、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当企業集団における研究開発活動は、連結財務諸表を作成する当社(日本セグメント)及びIcom America Inc.(北米セグメント)が行っておりますが、当連結会計年度における当企業集団全体の研究開発費は32億7千7百万円であります。
当企業集団は、無線通信機器のスペシャリスト企業として今日まで歩んでまいりましたが、今後も世界の無線通信機器市場の動向を注視し、顧客目線でニーズを捉え、市場のニーズに適合する商品を供給してまいります。
・陸上業務用無線通信機器
国内市場向けでは、4値FSK方式を採用することにより従来方式に比べ低廉に整備可能な、ARIB標準規格(STD-116)に合致する260MHz帯市町村防災行政無線システム及びクラス最小・アンテナ内蔵・Bluetooth内蔵の携帯型デジタルトランシーバーを開発いたしました。海外市場向けでは、多様なコミュニケーションニーズに対応すべく多機能をコンパクトな筐体に収めたデジタル無線機を開発いたしました。
・アマチュア用無線通信機器
レピーターにアクセスできない場所からでもインターネットを経由したD-STAR通信が可能となるターミナル/アクセスポイントモードを搭載したデジタルトランシーバー(車載機、携帯機)を開発いたしました。また、デジタル信号の受信にも対応するほか、復調ブロックを全てソフトウェアで実現するなど最新鋭の技術を投入したハイスペック・コミュニケーションレシーバーを開発いたしました。
・海上用無線通信機器
スリムボディのDSCクラスD対応VHFマリントランシーバー(携帯機)を開発いたしました。
また、広視野角TFTカラー液晶ディスプレイを搭載し、DSCクラスA対応のGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System) VHFトランシーバーを開発いたしました。
・ネットワーク機器
過酷な環境にも適合し従来より通信速度を向上したFWA(固定無線アクセスシステム)対応の無線LAN機器を開発いたしました。
(1)財政状態
(資産)
総資産は前連結会計年度比8億7千7百万円減少し、583億2千4百万円となりました。
主な内訳は、投資その他の資産のその他の増加19億2千万円及び流動資産のその他の増加3億3千万円等の増加要因と、現金及び預金の減少18億9千4百万円、受取手形及び売掛金の減少4億5千8百万円、投資有価証券の減少1億9千万円、繰延税金資産(流動)の減少1億8千万円、有形固定資産のその他の減少1億6千3百万円、建物及び構築物の減少1億4千2百万円及び有価証券の減少1億円等の減少要因によるものであります。
なお、投資その他の資産のその他の増加19億2千万円の主な内訳は、差入保証金の増加20億円等の増加要因と、長期前払費用の減少7千9百万円等の減少要因によるものであります。
また、流動資産のその他の増加3億3千万円の主な内訳は、信託受益権の増加4億円等の増加要因と、前払費用の減少8千4百万円等の減少要因によるものであります。
また、有形固定資産のその他の減少1億6千3百万円の主な内訳は、工具器具備品の減少1億5千9百万円等の減少要因によるものであります。
(負債)
負債合計は前連結会計年度比10億5千万円減少し、46億3百万円となりました。
主な内訳は、未払法人税等の減少1億9千1百万円、未払金の減少1億8千9百万円、退職給付に係る負債の減少1億8千2百万円、買掛金の減少1億7千3百万円、繰延税金負債(固定)の減少1億1千8百万円、流動負債のその他の減少1億7百万円及び賞与引当金の減少6千2百万円等の減少要因によるものであります。
なお、流動負債のその他の減少1億7百万円の主な内訳は、未払費用の減少1億7百万円等の減少要因によるものであります。
(純資産)
純資産合計は前連結会計年度比1億7千3百万円増加し、537億2千万円となりました。
主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加4億7千3百万円及び退職給付に係る調整累計額の増加1億7千万円等の増加要因と、剰余金の配当による減少4億1千4百万円及び為替換算調整勘定の減少5千7百万円等の減少要因によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は90.4%から92.1%に増加いたしました。
(2)経営成績
「第2 事業の状況 1 業績等の概要(1)業績」を参照下さい。
(3)キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」を参照下さい。