第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当社グループでは、コアビジネスの強化、新たなビジネスモデルへの挑戦、100年企業を目指したサステナブル経営を事業戦略とする「中期経営計画2026」(2024年3月期~2026年3月期)をスタートさせており、その2年目を迎えました。

当中間連結会計期間の世界経済は、欧米等の金融引き締めの効果により、地域による温度差があるもののインフレの緩和が進み、米国では消費が底堅く緩やかな回復基調で推移しましたが、ウクライナでの長期化する紛争や中東での緊迫した情勢など、地政学的リスクは高まりました。

日本においても、設備投資の堅調な需要及び個人消費に支えられ、景気は徐々に回復しましたが、為替や株式等の金融市場においては、不安定な動きが継続しました。

このような経済環境のなか、国内市場では前期に続きIP無線機の売上が堅調に推移し、ストックビジネスの伸長を図れたことが売上げの下支えとなり、増収となりました。一方、海外市場では、為替は想定よりも円安で推移しましたが、欧米で前期にバックオーダーの供給を満たしたことによる反動減により減収となり、当社グループ全体では前期並みの実績となりました。

電子部品等原材料の調達については、一部の主要部品の納期長期化や生産中止などの課題が依然として残っており、引き続きこれらの対応に注力しました。

品目別では、陸上業務用無線通信機器は、地政学的リスクへのBCP対策としての需要拡大はあるものの、海外市場において、部材調達難解消による一時的な供給過多が生じ、一部製品の市場在庫が滞留し、減収となりました。また、海上用無線通信機器と航空用無線通信機器は売上を維持し、アマチュア用無線通信機器は、堅調な需要と新製品に後押しされ、増収となりました。

なお、地域別の状況については、下表の通りであります。

 

<参考>地域別売上高

 

前中間連結会計期間

(自2023年4月1日

  至2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自2024年4月1日

  至2024年9月30日)

増減率

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

国内

5,118

28.3

5,351

29.9

4.6

 

北米

5,791

32.0

5,514

30.8

△4.8

欧州(EMEA)

3,310

18.3

3,066

17.1

△7.4

アジア・オセアニア

2,934

16.2

3,153

17.6

7.4

その他(含む中南米)

944

5.2

812

4.6

△14.0

海外計

12,981

71.7

12,546

70.1

△3.3

合計

18,099

100.0

17,898

100.0

△1.1

 

 

当中間連結会計期間における売上高は、178億9千8百万円(前年同期比1.1%減)となり、売上総利益は80億4百万円(前年同期比3.5%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費の増加、広告宣伝活動の強化などにより、2億6千4百万円増加して63億9千7百万円となり、営業利益は5百万円増加して16億7百万円(前年同期比0.4%増)、経常利益は、為替差損の発生及び㈱コムフォースを子会社化したことで持分法による投資利益の減少などにより14億6千6百万円(前年同期比40.8%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は10億5千万円(前年同期比42.4%減)となりました。

また、当該期間に適用した米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ153.70円及び166.35円であり、前年同期に比べ対米ドルでは10.9%、対ユーロでは10.6%の円安水準で推移しました。

 

売上高(百万円)

営業利益(百万円)

経常利益(百万円)

親会社株主に帰属する中間純利益

(百万円)

当中間連結会計期間(2024年9月期)

17,898

1,607

1,466

1,050

前中間連結会計期間(2023年9月期)

18,099

1,601

2,478

1,822

増減率

△1.1%

0.4%

△40.8%

△42.4%

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

(セグメント業績については、当社グループの報告セグメントである所在地別セグメントで記載しており、前記「地域別売上高」とは異なります。)

①日本[当社、和歌山アイコム㈱、アイコム情報機器㈱、㈱マクロテクノス、㈱コムフォース]

≪国内市場≫(日本国内より国内市場への売上高)

陸上業務用無線通信機器において、ボリュームゾーンとなる特定小電力無線機は市場での価格攻勢の影響により売上が低調に終わりましたが、経済活動の回復に伴うIP無線機の需要増により、引き続きストックビジネスが堅調に推移したことで、増収となりました。

≪海外市場≫(日本国内より海外市場への売上高)

アジア地域での経済回復により拡販対象モデルの売上が堅調に推移しましたが、欧州地域での経済減速の影響により売上が軟調に推移したことで減収となりました。

これらの結果、本セグメントの外部顧客に対する売上高は94億6千4百万円(前年同期比1.8%増)となりました。

利益面では、内部売上高の減少により営業利益は12億2千6百万円(前年同期比23.1%減)となりました。

②北米[Icom America, Inc.、ICOM CANADA HOLDINGS INC.、ICOM DO BRASIL RADIOCOMUNICACAO LTDA.、ICOM CENTRAL AMERICA,S.DE R.L.DE C.V.]

アマチュア用無線通信機器及び航空用無線通信機器は市場在庫過多状態の影響はありましたが、比較的安定した販売があり、海上用無線通信機器についても、金利の上昇により船舶需要が落ち込むなか、前期並みの売上高を維持しました。しかし、陸上業務用無線通信機器では、中南米で衛星通信機器の需要増加により売上を維持しましたが、部材供給難によるバックオーダーが前期に解消したことで需要が一時的に落ち込んだため、地域全体では、減収となりました。

これらの結果、本セグメントの外部顧客に対する売上高は63億1千1百万円(前年同期比6.9%減)となりました。

利益面では、円安の影響による販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は1億5千5百万円(前年同期比51.0%減)となりました。

③ヨーロッパ[Icom(Europe)GmbH、Icom Spain, S.L.]

アマチュア用無線通信機器は、強い需要の下支えにより堅調に推移したことに加え、海上用無線通信機器は、休暇シーズンの需要により好調に推移をいたしました。また、陸上業務用無線通信機器及び航空用無線通信機器において、経済活動の減速による需要減の影響がありましたが、案件獲得、衛星通信機器の伸長があり、増収となりました。

これらの結果、本セグメントの外部顧客に対する売上高は12億9千2百万円(前年同期比3.5%増)となりました。

利益面では、円安の影響及び固定資産の取得による減価償却費の増加などにより販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益は1億円(前年同期比31.4%減)となりました。

 

④アジア・オセアニア[Icom(Australia)Pty. Ltd.、PURECOM CO.,LTD.、ICOM ASIA CO.,LTD.]

主力市場となるオーストラリアにおいて、アマチュア用無線通信機器、海上用無線通信機器は、物価高騰の影響で需要が停滞したことにより、減収となりました。しかし、陸上業務用無線通信機器はCB機の需要が底堅いことに加え、衛星無線通信機器、IP無線の需要増、レンタルビジネスの伸長により、増収となりました。

これらの結果、本セグメントの外部顧客に対する売上高は8億3千万円(前年同期比7.1%増)となりました。

利益面では、増収により営業利益は7千1百万円(前年同期比9.5%増)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 総資産は前連結会計年度末比14億1千7百万円減少し、717億4千2百万円となりました。

 主な内訳は、流動資産のその他の増加6億3千5百万円、有形固定資産の増加5億2千3百万円及び投資その他の資産のその他の増加8千8百万円の増加要因と、現金及び預金の減少18億5千1百万円、有価証券の減少4億円、受取手形及び売掛金の減少2億7千4百万円及び棚卸資産(合計)の減少1億7千6百万円の減少要因によるものであります。

 なお、流動資産のその他の増加6億3千5百万円の主な内訳は、信託受益権の増加4億円、未収消費税等の増加1億1千万円及び前渡金の増加6千9百万円の増加要因によるものであります。

 また、投資その他の資産のその他の増加8千8百万円の主な内訳は、退職給付に係る資産の増加1億4百万円の増加要因によるものであります。

(負債)

 負債合計は前連結会計年度末比9億6千4百万円減少し、64億4千9百万円となりました。

 主な内訳は、買掛金の増加3億9千2百万円及び固定負債のその他の増加2億1千9百万円の増加要因と、未払法人税等の減少8億2千2百万円、流動負債のその他の減少4億3千9百万円及び賞与引当金の減少3億3千万円の減少要因によるものであります。

 なお、固定負債のその他の増加2億1千9百万円の主な内訳は、繰延税金負債の増加1億8千2百万円の増加要因によるものであります。

 また、流動負債のその他の減少4億3千9百万円の主な内訳は、未払金の減少2億6千3百万円及び未払費用の減少1億6千9百万円の減少要因によるものであります。

(純資産)

 純資産合計は前連結会計年度末比4億5千2百万円減少し、652億9千2百万円となりました。

 主な内訳は、親会社株主に帰属する中間純利益による増加10億5千万円の増加要因と、剰余金の配当による減少10億3千3百万円及び為替換算調整勘定の減少4億2千5百万円の減少要因によるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は89.9%から91.0%に上昇いたしました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前中間連結会計期間末に比べ27億6千3百万円減少し、247億9千1百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により増加したキャッシュ・フローは、6億5千6百万円(前年同期は13億1千3百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前中間純利益14億7千7百万円、減価償却費の計上5億1千万円、為替差損3億9千7百万円、仕入債務の増加3億9千3百万円及び売上債権の減少1億6千6百万円、一方で主な減少要因は、営業活動その他による減少9億8千7百万円、法人税等の支払額9億8千万円及び受取利息及び受取配当金2億4千万円であります。

 なお、営業活動その他による減少9億8千7百万円の主な内訳は、賞与引当金の減少3億3千万円、その他流動負債の減少2億5千万円、その他流動資産の増加1億9千4百万円及びその他の未払金の減少1億7千9百万円の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により減少したキャッシュ・フローは、4億5千6百万円(前年同期は15億9千9百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出11億5千2百万円、投資活動その他による減少3億6千9百万円及び投資有価証券の取得による支出3億2千9百万円、一方で主な増加要因は、預入期間3ヶ月超定期預金の減少6億5千5百万円、有価証券の売却による収入5億円及び利息及び配当金の受取額2億3千6百万円であります。

 なお、投資活動その他による減少3億6千9百万円の主な内訳は、信託受益権の増加4億円の減少要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により減少したキャッシュ・フローは、10億3千3百万円(前年同期は7億6千4百万円の減少)となりました。主な内訳は、配当金の支払額10億3千3百万円であります。

 

(4)経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等

 当中間連結会計期間において、重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、19億8千5百万円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

 当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。