(注) 当社グループは、設備工事業の単一セグメントであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、社業及び社会の発展に寄与することを目的に次の社是を定めております。
・優れた技術と誠意をもって社会に貢献しよう
・創造力と行動力を発揮し社業を発展させよう
・心のふれあいを大切に働きがいのある職場をつくろう
また、当社グループは、これまでに培ってきた技術力と総合力を活かして、お客さまの期待に応えるとともに、地域社会及び地球環境保全への貢献に努め、「お客さまから評価・信頼され社会に貢献できる技術集団」として継続的な発展・成長を目指しております。
当社グループの主要な営業エリアとなる北海道においては、再生可能エネルギーの導入計画に加え、次世代半導体工場建設の本格化や大規模データセンター立地構想の具体化などを背景に建設需要が堅調に推移することが期待されます。一方で、受注競争の激化、資材価格の高騰や労働者不足などの状況は今後も継続することが想定されます。
このような状況のなか、当社グループは、「ビジョン2025」において「優れた技術と誠意で、お客さまに選ばれ、信頼される総合設備企業として発展し、地域・社会に貢献する。」を目指す姿として定め、この実現のため具体的な行動計画として「中期経営計画2021-2025」を策定し、「施工力確保と収益力強化」「受注拡大」「企業体質の強化」「地域社会への貢献」の4つの重点施策を掲げ、その目標達成に向けて引き続き業績の向上に取り組んでまいります。
具体的には、電力サポート事業においては、引き続き、業務運営における生産性向上に努め、「ほくでんグループ」の一員として電力の安定供給に貢献してまいります。電力外事業においては、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた動きが進展するなか、再生可能エネルギー関連工事の着実な受注拡大に加え、エネルギーの地産地消などの新規分野にも取り組んでまいります。
企業体質の強化においては、DX・カイゼン活動の強力な推進などにより着実に業務効率化の取り組みを進めるとともに、今後の受注環境変化に柔軟に対応できる技術者の育成など人財活躍の推進に取り組んでまいります。
また、低炭素・循環型社会の実現に向けたESGの取り組みを展開するとともに、地域創生につながる新たな分野にも取り組み、地域社会へ貢献してまいります。
当社は2024年度に創立80周年を迎え、社名を「株式会社北海電工」へ変更いたしました。
今後とも当社グループは、顧客と事業分野の多様化を図り、経営環境の大きな変化にも柔軟かつ迅速に対応できる企業構造への変革を推し進め、持続的な成長とさらなる企業価値向上に努めてまいります。
※DX:「デジタルトランスフォーメーション(デジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、企業風土の変革を実現させること)」の略
(中期経営計画の重点施策)
・電力安定供給に貢献するため施工力確保と収益力強化(工事量に応じた業務運営体制の構築、効率化やカイゼン活動の推進)
・お客さまニーズにお応えする総合設備企業として更なる発展を目指した受注拡大(受注拡大に向けた人財確保・施工体制強化)
・企業体質の強化(デジタル技術やITを活用した業務効率化)
・地域社会への貢献(ESGの取り組み〔再生可能エネルギー・社会インフラ設備の工事、災害復旧支援等〕を通じた社会貢献)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、「優れた技術と誠意で、お客さまに選ばれ、信頼される総合設備企業として発展し、地域・社会に貢献する。」をビジョンとして掲げ、ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みを展開するとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
ガバナンスについては、
また、情報セキュリティに関して、サイバー攻撃に備え、人財育成や組織的・技術的安全管理体制などの対策を的確に実施し、企業活動の維持を図っております。
(2) 戦略
当社グループにおける、主要な事業を営む提出会社の人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
① 人財育成方針
当社の人財採用については、採用計画に基づく定期採用に加え、各部門のニーズに基づく経験者採用も実施しており、幅広い人財確保に努めております。
入社後の人財育成においては、人財育成の目的と求める社員像を明確にした「人財育成基本方針」を掲げ、「人を大切にする企業」として、従業員が必要な能力やスキルを着実に習得できるように、継続的な教育及び育成に取り組んでおります。
具体的には、社内研修として、階層別研修(若年層、一般管理職、特別管理職)により従業員に共通して必要なスキルの向上を図るとともに、部門専門研修により高度な技術・技能の習得に取り組んでいるほか、管理職候補の女性従業員を対象とした社外セミナーへの派遣などにより、キャリア意識の向上に努めております。
② 社内環境整備方針
当社は、ほくでんグループにおける「人権方針」の制定に連動し、同グループの一員として本方針の周知浸透などをはじめ、コンプライアンス研修やハラスメント研修の実施により、人権尊重に努めております。
また、従業員の安全と心身の健康の確保が何よりも優先するとの考えから、全社業務運営方針に「安全・衛生目標と基本方策」を掲げ、安全については災害・事故の未然防止を目指した「かもしれない」意識の浸透・定着などに取り組んでいるほか、衛生については「健康経営宣言」に基づき、ヘルスリテラシーの向上や生活習慣の改善のための施策などに取り組むことで「健康経営」を推進しており、2024年度に経済産業省と日本健康会議から「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されております。
さらに、同グループ全体で進めている障がい者雇用の拡大についても積極的に取り組んでおります。
以上の取り組みを通じて、当社は従業員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる、働きがいのある職場環境づくりを積極的に推進しております。
(3) 指標及び目標
当社グループにおける、上記(2)戦略において記載した方針に係る指標及び目標については、以下のとおりであります。
なお、連結グループにおける記載が困難なため、主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
2025年3月31日現在
(注) 1 女性管理職者数の目標は、2021年度に定めた「一般事業主行動計画」によるものであります。
2 障がい者雇用率の実績は、障害者雇用促進法第43条第7項に基づき公共職業安定所に報告している 「障害者雇用状況報告書」の最新値(2024年6月1日現在)で示しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び、発生した場合の対応に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 受注環境の変化に関するリスク
当社グループは、全社営業体制による受注拡大に向けた営業活動を強力に展開しておりますが、公共投資及び民間設備投資などが予想を上回って削減された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 材料費及び労務費の変動に関するリスク
当社グループは、材料価格や労務単価の市況動向を注視し、適切な見積原価の算出を図るとともに、発注者との工事請負契約への反映を協議するなどの対策を講じておりますが、材料費及び労務費が大幅に上昇し、請負金額に反映できない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 取引先の信用に関するリスク
当社グループは、取引先(発注者及び協力会社等)との取引開始前に信用状況を把握し、信用リスク低減のための対策を講じておりますが、取引先が信用不安に陥った場合には、工事代金の回収不能や工事の進捗に支障をきたすこともあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報資産の取扱いに関する社内規程を整備し、情報セキュリティ管理体制の確立、従業員への定期的な教育の実施等に加え、サイバー攻撃や不正アクセス等への対応として情報システムのセキュリティ強化等の対策を講じておりますが、情報が外部に流失した場合、社会的信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人財確保に関するリスク
当社グループは、インターンシップへの取り組みの強化、奨学金返還支援制度及びジョブリターン制度の導入等により採用活動の強化を図るとともに、ワーク・ライフ・バランスの充実に向けた休暇取得の促進、従業員のエンゲージメントの向上、健康経営の推進等に取り組んでおります。また、階層別研修や技能講習会の実施等により知識・技能の習得を図るなど、人財の早期育成に努めております。しかし、採用数の減少及び離職者の増加等により必要とされる資格や技能、専門的知識を有する人財が不足することで、施工体制の確保が困難になった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 大規模災害等に関するリスク
当社グループは、大規模自然災害、異常気象、感染症及び大規模事故等が発生した場合に備えて、非常災害対策、建物等の耐震対策、システム・データ等のバックアップ、防災訓練及び必要物資の備蓄等の必要な対策を講じておりますが、当社グループの従業員及び社屋・車両・工事用機材等の設備が被害を受けたり、工事の中断や大幅な遅延が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 気候変動に関するリスク
当社グループは、「環境方針」を策定し、カーボンニュートラルの実現に向け、事業所のZEB(Zero Energy Building)化、社有車のハイブリッド・EV化等によりCO2排出量の削減に取り組んでおりますが、取り組みが不十分であった場合、環境経営を重視する取引先からの評価が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、炭素税の導入や各種規制の強化等がなされた場合、調達コストが上昇し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度のわが国経済は、企業収益が改善しているほか、個人消費や設備投資は持ち直しの動きがみられるなど、景気は緩やかに回復しております。また、北海道地域におきましても、民間設備投資の増加や生産活動に改善の兆しがみられるなど、全体としては緩やかに持ち直している状況にあります。
建設業界におきましては、民間設備投資に増加の動きがみられましたが、労働者不足や原材料価格の上昇が続いております。
このような状況のなかで、当社グループは、「中期経営計画2021-2025」の取り組みを推進し、全社営業体制による一般大型工事の獲得に向けた営業活動を強力に展開するとともに、利益の確保に向けた原価低減の徹底とDXの推進やカイゼン活動などによる業務効率化及び人財活躍に向けた環境整備と人財確保・人財育成の強化に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績は、受注高は堅調に推移し、売上高は電力関連工事や、その他一般工事における半導体工場関連工事及び官庁工事の進捗が順調だったことなどにより前連結会計年度を上回りました。
利益につきましては、売上高の増加に加えて継続的な原価低減に努めたことにより、前連結会計年度を上回り、増収増益となりました。
なお、業績の具体的数値は次のとおりであります。
受注高 734億24百万円(前年同期比 6.6%増)
売上高 689億25百万円(前年同期比 14.7%増)
営業利益 34億82百万円(前年同期比 21.9%増)
経常利益 36億54百万円(前年同期比 20.4%増)
親会社株主に帰属する
当期純利益 24億81百万円(前年同期比 22.9%増)
目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「中期経営計画2021-2025」の2025年度の数値目標として売上高650億円以上と営業利益20億円以上を設定しております。
当連結会計年度の実績の達成状況につきましては、売上高は689億25百万円(2025年度目標の達成率106.0%)、営業利益は34億82百万円(同174.1%)となりました。
引き続き、「中期経営計画2021-2025」の取り組みを推進し、目標達成に向けて注力してまいります。
① 資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ30億12百万円増加し、498億円となりました。
流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ25億92百万円増加し、343億83百万円となりました。
これは主に、現金預金が22億76百万円増加したことによるものであります。
固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4億19百万円増加し、154億16百万円となりました。
これは主に、有形固定資産が、当社稚内営業所社屋及び倉庫の建替などにより5億59百万円増加したことによるものであります。
② 負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ2億40百万円減少し、164億88百万円となりました。
流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ16億61百万円増加し、131億46百万円となりました。
これは主に、未成工事受入金が8億36百万円増加及び完成工事補償引当金を7億36百万円計上したことによるものであります。
固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ19億1百万円減少し、33億42百万円となりました。
これは主に、退職給付に係る負債が18億94百万円減少したことによるものであります。
③ 純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ32億52百万円増加し、333億11百万円となりました。
これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより20億66百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.7ポイント増加し、66.9%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、111億39百万円となり、前連結会計年度に比べ22億76百万円の増加となりました。
これは主に、投資活動によるキャッシュ・フローが資金支出となったものの、当連結会計年度の業績が前連結会計年度の実績を上回り増収増益となった結果、営業活動によるキャッシュ・フローが資金収入となったことなどによるものであります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、税金等調整前当期純利益の計上などにより、46億28百万円の資金収入(前連結会計年度は13億3百万円の資金支出)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、有形固定資産の取得などにより、19億33百万円の資金支出(前連結会計年度は13億53百万円の資金支出)となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、配当金の支払いなどにより、4億19百万円の資金支出(前連結会計年度は2億10百万円の資金支出)となりました。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要は主に、外注費、材料費及び人件費など、設備工事業を営む為の運転資金のほか、工事用機械・工具の購入及び事業所の建築などの設備投資によるものであります。
運転資金及び設備投資資金ともに、自己資金及び銀行からの短期借入により調達しており、当連結会計年度において有利子負債の期末残高はありません。
なお、資金運用につきましては、安全性及び流動性に優れた金融資産を基本としております。
また、重要な設備投資の予定及び資金調達方法につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産・負債等及び収益・費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定は、合理的な基準に基づき行っておりますが、将来に関する事項には不確実性が存在する為、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 1 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
当社グループが営んでいる設備工事業におきましては、生産実績を定義することが困難であり、また、請負形態をとっているため、販売実績という定義が実態にそぐわないものであるため、生産及び販売の実績は記載しておりません。なお、受注の実績につきましては、「(1)経営成績」において記載しております。
参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含めております。したがいまして、当期完成工事高にも係る増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。
② 受注工事高
③ 完成工事高
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
2 完成工事高総額に対する割合が百分の十以上の相手先の完成工事高及びその割合は次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
3 北海道電力関係:北海道電力株式会社及び北海道電力ネットワーク株式会社
④ 次期繰越工事高(2025年3月31日現在)
(注)1 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
2 北海道電力関係:北海道電力株式会社及び北海道電力ネットワーク株式会社
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。