当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
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当社は、『品質至上を核に社会の信頼に応える』を経営理念として掲げ、直流安定化電源装置の設計開発・生産・販売を通して、今後ますます高度化するエレクトロニクス社会の進化に寄与し「持続可能な社会の実現」に貢献する企業でありたいと考えております。 そのために、誠意ある企業文化の基盤醸成とともに、グローバル化の進展、価値観の多様化等をうけて、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を重視し、誰もが安全安心で、いきいき・ワクワク・やりがいをもって働ける会社を目指してまいります。 また、企業としての社会的責任を果たすため、コーポレート・ガバナンスの強化を努めてまいります。 |
当社の経営理念「核の概念図」 |
私たちコーセルグループのビジョンとして“顧客起点のニーズを捉えた付加価値のある製品とサービスをタイムリーに実現し、スマートエネルギー社会になくてはならない存在になる”を掲げ、「持続的成長に向けた事業改革・改善」、「新しい価値を創造するための技術革新へのチャレンジ」、「一人ひとりの成長・組織の進化」など、グローバルな視点を重視しながら一人ひとりの「社員の力」を活かしつつ、組織力を高め続けることで、持続可能な社会の実現」に貢献し、私たちコーセルグループの「持続的成長」につなげていきたいと考えています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、経営指標として、連結営業利益率 15%以上、連結ROE(自己資本利益率)10%を目指し、継続的かつ安定的な高利益体質を目指しております。
(3)第10次中期経営計画の進捗状況と課題
第10次中期経営計画における初年度2023年度の目標・経営指標とその達成状況は次のとおりです。
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項目 |
第9次 (最終年度) 2022年度実績 |
第10次中期経営計画 |
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2023年度(当年度) |
2024年度 |
2025年度 |
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計画 |
実績 |
計画 |
計画 |
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連結売上高(百万円) |
35,266 |
38,000 |
41,437 |
39,500 |
41,700 |
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連結営業利益(百万円) |
4,926 |
5,392 |
6,912 |
5,680 |
6,240 |
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連結営業利益率(%) |
14.0 |
14.4 |
16.7 |
14.3 |
15.0 |
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連結ROE(%) |
7.6 |
8.8 |
11.6 |
9.2 |
10.0 |
第10次中期経営計画の初年度である2023年度は、部品材料の調達状況が改善したことを受け、受注残の解消に向けた増産対応を継続した結果、売上高は計画を上回り過去最高となりました。利益面においても増産対応に伴い、材料費、外注加工費に加え、人件費及び経費の増加があったものの、売上高の大幅な増加と変動費比率の低下による収益力の上昇から計画を上回り、過去最高の営業利益となりました。
第10次中期経営計画における重要指標(目標)と初年度2023年度の取り組み結果および今後の課題は次のとおりです。
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重要戦略 (3本柱) |
重要指標 (BM 2022年実績) |
2025年度 最終年度目標 |
2023年実績 |
今後の課題 |
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適正な利益・ 原価管理の実現 |
営業利益率(14.0%) |
15.0%以上 |
16.7% |
利益率の変化を捉えた運用管理(原材料アップ等による値上げ要請、為替レート影響等の考慮) |
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新製品売上比率 の向上 |
新製品・リリース 済み新製品率 (4%) |
21%以上 |
6.5% |
・リリース済み新製品の拡販強化 ・リリース済み新製品の生産能力強化 ・新製品立上げ期間の短縮 ・適正なEOL計画の立案、実施によるスムーズな後継機種への移行 |
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欧州ビジネス強化(PRBX、C-EU) (※) |
欧州売上高 (55.1Mユーロ) |
71.6Mユーロ 以上 |
50.2Mユーロ |
・PRBX、C-EUによる具体的なクロスセルの仕組み構築と拡販体制強化 |
(※)PRBX … Powerbox International AB、C-EU … COSEL EUROPE GmbH
(4)LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATION との資本業務提携契約による新たな重点戦略
2024年4月30日、当社は、LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATION(本社:台湾 台北市、以下「LITE-ON」と記載)と資本業務提携契約を締結しました。
当社は、競争優位性の高いビジネスモデルに変革していくため、かねてより他社との協業を含む様々な選択肢を検討してまいりましたが、そのなかで提携先としてLITE-ON社の紹介を受け、LITE-ON社のグローバルな調達、販売、製造、開発ネットワーク及び強固な製品ポートフォリオとの連携を深めることで
① 安定調達体制の確立と共同調達を通じたスケールメリットによるコストダウン
② 海外市場における販路の拡大及び新規顧客の獲得
③ 再生エネルギー分野などの成長分野における当社プレゼンスの拡大
④ 相互の製品供給を通じた新規顧客、新規案件の発掘
⑤ 共同開発を通じた新製品数の拡大及び開発期間の短縮
⑥ 技術者の交流を通じたグローバルでの人材基盤及びものづくり体制の強化
など、当社の第10次中期経営計画で掲げている高利益体質への転換に向けた各種シナジー効果が得られると見込まれることから、今回の資本業務提携契約に至ったものです。
これを受け、第10次中期経営計画 重点戦略3本柱に「LITE-ONとの業務連携によるシナジー効果の創出」を追加
し、2024年度以降、取り組むこととしました。
また、あわせて次期、第11次中期経営計画(2026~2028年度)の戦略策定に向けての基盤づくりについても今後、進めていくこととしています。
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⇨ |
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第10次中期経営計画 重点戦略3本柱 |
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第11次中期経営計画の基盤構築へ |
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+ |
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LITE-ONとの業務連携による シナジー効果創出
業務連携チーム 1.調達連携チーム 2.販売拡大チーム 3.新事業開拓チーム 4.新製品開発連携チーム 5.技術交流チーム |
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COSELとLITE-ONの共同ビジョン 「世界的な標準電源ソリューションのリーディングブランドになる」 |
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(5)今後の経営環境
新型コロナウイルスによる影響は収束しましたが、インフレの長期化及び欧米諸国での政策金利の引き上げに伴う為替変動や中国経済の低迷、米中対立、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクの影響もあり、世界経済の景気後退への懸念が深まるなど、予断を許さない状況が続くものと思われます。
当社グループが属するスイッチング電源市場を取り巻く環境について、半導体製造装置関連においては、需要が調整局面に入っておりますが、今後、生成AIを中心とした社会のデジタル化推進、カーボンニュートラルへの関心の高まりによる需要が見込まれ、全体的には緩やかに回復基調に向かうと想定しております。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
外部環境の変化と第10次中期経営計画の継続課題から、当社グループにおける課題は、新製品の拡販に向けてソリューション営業を強化し、後継モデルへの切替促進と新規案件獲得に注力するとともに、新製品開発力を強化することで、既存製品から新製品への新陳代謝を促進する「好循環」を早期に創り出すことにあると考えております。また、成長性や収益性を高める経営基盤を整備し、競争優位性の高いビジネスモデルに変革していくことが重要と考えており、LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATIONとの業務提携による業務基盤の整備、再構築を進めながら、世界各地域における戦略の実行、そのための新製品開発、利益創出のための活動とともに、カーボンニュートラルへの取り組みにも重点をおき、「持続可能な社会の実現」に向けて取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ基本方針
当社グループは、経営理念「品質至上を核に社会の信頼に応える」のもと、以下の4つの重点課題に取り組むことで、継続的に企業価値を高め、持続可能な社会の実現・発展に貢献してまいります。
<サステナビリティ重点課題>
■“技術革新”と“モノづくり”で新たな価値を創出し、社会的課題の解決を図ります。
■ 価値創造に挑戦する多様な社員の能力を引き出し、活かす組織・人財マネジメントを推進します。
■ 気候変動リスク/環境負荷の低減を推進し、脱炭素社会の早期実現を目指します。
■ 法令を遵守し、ステークホルダーへの適切な情報開示と対話を通じて、公正かつ透明性の高い経営を実現します。
(2)ガバナンス及びリスク管理
サステナビリティの推進体制は、当社グループ全体で横断的に推進するため、担当部門と各専門委員会等で連携を取り、重要指標のモニタリング、リスクの抽出と評価、施策の策定・実施に取り組み、その進捗及び結果を取締役会、執行役員会ならびに経営会議で報告し、経営層のコミットメントのもと、活動のさらなる推進、強化を図っております。
E(環境) :取締役会、執行役員会、RC(リスク管理・コンプライアンス委員会)、環境委員会、美化リサイクル委員会、安全衛生委員会、総務部門
S(社会) :取締役会、執行役員会、指名・報酬委員会、総務部門
G(企業統治):取締役会、執行役員会、指名・報酬委員会、監査等委員会、監査室
(3)戦略、指標及び目標
「ESG」視点で注力すべき重要課題を捉え、以下のESG行動計画を策定し、それぞれの目標を設定するとともに具体的な活動内容を策定し、取り組んでおります。
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〔ESG行動計画〕 |
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ESG 区分 |
ESG重要課題 |
取り組み課題と目標 |
関連する SDGsゴール |
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E |
① 気候変動リスク低減 |
■気候変動リスク抽出/分析、TCFDに基づく情報開示の充実 ■脱炭素化の推進(対象:Scope 1,2,3) ・CO2排出量削減 2025年度目標 915 t-CO2 以下 (参考:2023年度実績 ・埋立処分廃棄物の削減(ゼロエミッションの実現) 2025年度目標 2.4 t 以下 (参考:2023年度実績 5.6 t) |
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S |
① 人財の多様性・能力を活かす組織・風土 経営戦略と人事戦略(人財の採用、育成)の連動 ② 従業員エンゲージメント向上 企業理念や企業の存在価値、企業文化などの浸透・定着 |
■多様な人財の能力を引き出し、活かす組織・風土づくり ・ (参考:2023年度実績 ・ (参考:2023年度実績 ・ (参考:2023年度実績 ■企業文化、価値観「COSELMind」の浸透(課長会) ■人的資本の開示情報の充実 |
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G |
① コーポレート・ガバナンス体制強化 |
■取締役会の実効性強化 ・(取締役会の)運営方針、課題設定の共有 ・社外取締役との意見交換 ■経営における意思決定の透明性向上 ■取締役会における多様性確保 ・「取締役選任・解任の基準」、プロセス明確化 |
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上記指標に関して、当社においては指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループ全ての会社で行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
なお、連結グループにおける指標データの把握及び具体的取り組みに関しても、引き続き推進してまいります。
1)E:環境(Environment)
① 気候変動リスク低減
(気候関連財務情報開示タスクホース(TCFD)提言に沿った情報開示)
当社は、2019年11月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、このTCFD提言に従い、シナリオ分析を実施し、TCFD提言に基づく4つの中核要素における当社の対応状況を次に示します。
ガバナンス:
当社では、気候変動に関する委員会である「環境委員会」があり、取締役会の下、気候変動についての戦略策定をしており、毎年1回更新しております。また取り組み実績について監督、評価を行っております。
戦略:
ユニット電源、オンボード電源、ノイズフィルタの製品区分に関する事業について、国内を対象にシナリオ分析を実施し、結果として財務的な影響が大きいと判断した気候関連リスク・機会については対応策を検討しております。今後は、対応策の具体化を進めるとともに、シナリオ分析の対象範囲を拡大していく予定としております。
リスク管理:
RC(リスクコンプライアンス)委員会主導で、リスクを所管する各部門と協議の上、全社的なリスクの洗い出しを行っております。抽出したリスクについて、その発生頻度、人系・事業系の影響区分、復旧レベルにより、影響評価を行い、特定された重要リスクについて経営方針として取り上げ、取り組みを継続しております。
気候変動に関するリスクについては、環境委員会が中心となり、関係各部門と連携を取りながら、環境負荷の低減に向けた各種方針・戦略の策定、取り組みに対するモニタリングを行っております。
指標と目標:
2030年度目標として「CO2排出量 2020年度比50%以上削減」から「カーボンニュートラル実現」(Scope1,2)に見直し、活動しております。また、モニタリング指標としては「電力使用量」、「化石燃料使用量」を設定しております。
なお、上記取り組み概要に関しては、「TCFDの提言に基づく情報開示」として、当社ホームページにも掲載しております。
(脱炭素社会に向けた取り組み)
2050年カーボンニュートラル(=脱炭素)の実現に向けた、気候変動対策・再エネ・省エネ等の取り組みが世界中の企業に求められている中、当社においても脱炭素社会に向けての取り組みを開始しております。
2030年度目標 カーボンニュートラル実現(2020年度比、Scope1.2)として見直し、
Ⅰ:脱炭素化実現に向けた顧客ニーズに応える製品・サービスの提供と新技術開発
Ⅱ:脱炭素化に向けた省エネ化・再エネ化の推進
これらを基本方針とし、小型、高効率、高信頼性の製品開発/そのための新技術開発の強化により、市場におけるCO2排出量低減を推進するとともに、自社のものづくりを中心とする事業活動(Scope1,2)におけるCO2排出量を削減すべく、電力を中心とするエネルギー使用量の低減(省エネ)、太陽光発電設備の増設等による再生エネルギーの活用(創エネ)、CO2フリー電力の導入(再エネ)など、脱炭素化に向けた取り組みを全社一丸となって推進しております。
引き続き、2050年 Scope1,2,3におけるカーボンニュートラルの実現に向けたロードマップの策定を進め、脱炭素社会の早期実現に取り組んでまいります。
2)S:社会(Social)
① 人財の多様性・能力を活かす組織・風土
(多様な人財の能力を引き出し、活かす組織・風土づくり)
目まぐるしく変化する社会・企業環境において、社会やお客様が必要とする新たな価値を創造し、持続的成長を実現していくためには、多様性ある企業・職場風土づくりに向け、公平/公正性を担保しながら、互いに認め合い(DE&I)、個々人の持つ能力を活かし、やりがい、働きがいにつなげていくことが重要であると考えております。そして、この実現に向けた重要課題として、「採用人財の多様化と女性活躍推進」、「従業員個々の役割明確化とその発揮による公正な処遇の実現」を柱として、「多様な人財の能力を引き出し、活かす組織・風土づくり」につなげてまいります。
(新規・中途も含めた採用人財の多様化と女性活躍推進)
・国内からの採用に拘らず、グローバル人財の採用強化
・女性経営職(課長職以上)の登用促進
今後も、多様性ある採用・登用や、年齢(経験)、性別に関係なく、役割行動の発揮度に応じた評価・処遇の実現を目指した新人事制度の運用を通して、一人ひとりの成長につなげていくこと、そして、ジェンダー間の公正処遇を実現していくとともに、女性役員、女性経営職の登用促進等を推進してまいります。
(人財育成・教育内容の見直し:職種や職位ごとの教育/必要な技術・技能の習得など)
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事業環境が急速に変化し、価値観も多様化する中、経営基盤の強化や持続的成長・企業価値向上のための戦略の推進には、一人ひとりの成長・働きがいがその原動力になると考えています。 当社グループは、「次世代リーダーの育成につながる階層別教育」、「業務推進のための知識・スキル向上」、「プロを目指す技術・技能の向上(専門性の向上)」など、人財育成体制の充実に取り組んでおります。 今後も引き続き、一人ひとりの能力を引き出し、活躍できる領域を広げ、働きがいにつながるよう基盤構築を推進してまいります。 |
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(企業文化、価値観「COSELMind」の浸透に関する考え方)
コーセルグループ全員が、大事にすべき企業文化や価値観を共有するということは、戦略の実行、目的・目標の実現のためには、重要な要素であり、経営そのものであると認識しております。
創業以来、当社に脈々と受け継がれてきた大事にすべき文化と価値観を示した「COSELMind」をまとめ、全社共通の文化・価値観の浸透に取り組んでまいりました。
全社一丸となり、第10次中期経営計画の目標を達成すべく、「COSELMind」のさらなる浸透と充実を継続してまいります。

② 従業員エンゲージメント向上
企業が持続的成長に向けて取り組むうえで、ステークホルダーの一人である従業員自身が、誇りとやりがいを持って、生き生きと働ける環境を創り出すことが重要だと考えております。
当社は、これまで、育児・介護制度の見直しなど、働きやすい環境の整備について継続的に取り組んでおります。また、従業員に対しエンゲージメント調査を行い、継続的に改善を図っております。その結果を活かし、引き続きワークエンゲージメントを高めるための議論を進め、働きやすい環境づくりと従業員一人ひとりが誇りとやりがいを持って、生き生きと働ける職場、機会の創出に努めてまいります。
また、これらの取り組みに関し、重要指標を定め、人的資本の情報開示として取り組んでまいります。
3)G:企業統治(Governance)
① コーポレート・ガバナンス体制強化
(経営における意思決定の透明性向上)
当社は、コーポレート・ガバナンスに関して、経営の重要な課題と位置づけ、様々なステークホルダーの期待と信頼に応えうる企業を目指して、経営効率の向上を図るとともに、経営における意思決定の迅速化、透明性向上に努めております。
ガバナンス体制の強化として、経営における意思決定の透明性を図り、また、多様性をもった経営・業務執行を行うため、2021年6月に「指名・報酬委員会」を設置したことに加え、2021年8月には執行役員制度を導入いたしました。さらに、監査・監督機能の充実を図るべく、2022年8月に「監査等委員会設置会社」へ移行いたしました。今後、経営指標の可視化等により、経営の透明性を高め、更なるガバナンス体制の強化に努めてまいります。
(取締役会における多様性確保)
取締役会は、その役割・責務を果たすための知識・経験・能力をバランスよく備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきと考えており、2024年4月に「取締役選任・解任の基準」を制定し、取締役のスキルマトリックスとのリンクを明確にすることで、取締役会を構成する取締役の多様性確保に向けて取り組んでおります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難であります。
(1)経済環境に関するリスク
当社グループは、国内、海外(アジア、北米、ヨーロッパ)の各拠点を中心とし、また、幅広い業界向けに事業を展開しております。グローバル経済や各地域経済の状況、各業界動向によっては、経営成績や財政状態に大きな影響が及ぶ可能性があります。また、米中関係をはじめとする国際関係の変化に伴う政策や法規制の変更は事業活動にも大きく影響します。
当社グループは、外部環境や各地域の状況の変化、業界動向の把握に努め、スピード感をもって変化に対応していく体制と基盤強化のための体制づくりに取り組んでまいります。具体的には、部門横断による機動的改革活動の推進、新しい付加価値製品・サービスを創出し、グローバルで競争力あるものづくりを創造する体質づくりに取り組んでまいります。
(2)地政学リスク
地政学リスクとして、米中をはじめとする二国間関係やロシア・ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢を巡る多国間関係など、国際関係は変化が増しています。
そのような中、各国の経済安全保障政策や様々な法規制が実施され、輸出入取引への影響や部品材料の調達難、価格高騰等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、サプライチェーンの見直し等を図り、製品の安定供給に努めるとともに、継続的なコスト削減や付加価値のある新製品の市場投入等により、収益確保・収益性向上に努めております。
(3)災害リスク
当社グループは、国内や海外拠点の所在地における大規模な自然災害等の発生により、事業活動が長期間停止する可能性があります。また、当社グループが製造販売する製品を構成する部品材料の多くはグローバルに調達をしており、近年の気候変動に伴う大規模な自然災害や巨大地震、取引先の大規模火災など予期できない災害等や需要の急増による部品供給の逼迫等は、当社グループの生産稼働の減少により経営成績や財務状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、災害や感染症による事業への影響を最小限にし「製品供給責任」を果たすため、事業継続計画(BCP体制)の充実を図り、初動対応に活かしております。また、調達面においては短期的には、重要度に応じた適正在庫を確保するようにしており、長期的には、複数購買化や部品の共通化を進めてまいります。
(4)感染症の拡大リスク
当社グループは、日本国内のほか、海外各国、地域において事業活動を展開しており、当該各地域での感染症拡大が経済活動に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症による影響は次第に低下している状況にありますが、未だ感染再拡大の可能性は存在しております。
その対応として、当社グループは、従業員等の健康と安全の確保、感染防止、事業継続を最優先課題として、今後も社内外での感染・拡散防止の基本行動の徹底に努め、従業員等の健康・安全確保、顧客への供給責任を果たすための取り組みを継続してまいります。
(5)製品の品質に関するリスク
当社グループは主たる工場及びグループ各社で品質管理及び品質保証のための国際規格(ISO9001) で認定された品質システムを構築し、設計段階から品質の作り込みを行い、より高い製品品質、サービスの提供をしております。しかしながら、全ての製品、サービスについて不良欠陥が発生しないという保証はなく、顧客において当社グループの製品・サービスにおける品質に起因する事故、市場回収、生産停止等が生じた場合、顧客の損失に対する賠償責任を問われる可能性があります。大きな市場クレーム、リコールなどが発生した場合には、多額の回収コストや賠償費用の発生又は販売の減少等により、当社グループの経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、独自に保有する品質管理技術や情報等を活用し、設計審査、内部品質監査、購入先監査等を通じて製品・サービスの信頼性、安全性を確保出来るよう品質保証体制の継続的改善・改革を図っております。
(6)価格競争に関するリスク
当社グループが属する電源市場におきましては、技術進歩、調達部品の低価格化等、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであります。さらに、最近では大手ユーザーが集中購買に伴う値下げ要請を行うことが多いため、競合電源メーカーとの価格競争が激化し、恒常的に低下する傾向にあります。こうした価格動向が当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、こうした販売価格の低下に対して、継続的なコスト削減や付加価値のある新製品の市場投入等により、収益確保・収益性向上に努めております。
(7)棚卸資産に関するリスク
当社グループが所有する棚卸資産のうち、原材料の在庫におきましては、製品の生産・販売実績や将来の需要予測等を基に調達しておりますが、一部の原材料の入手難対応や部品メーカーの生産中止品の在庫確保により、原材料在庫残高が高水準になっております。その結果、保管場所は社外委託倉庫等を含め複数拠点にわたっております。
原材料の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づいて算定しておりますが、将来の使用見込みに関しては、会社の見積りが含まれており、顧客や市場動向等の将来の経済状況の変動によって影響を受ける可能性があります。
その対応として、当社グループは、原材料の現物及び在庫水準の日常的な管理のもと、部品調達課題の改善状況に応じた発注管理と生産体制の増強、増産に努め、原材料における収益性の低下リスクを軽減してまいります。
(8)知的財産に関するリスク
当社グループが保有する知的財産権は、重要な経営資源の一つであり、知的財産権の保護や知的財産権にからむ係争の回避は重要な経営課題であります。仮に、当社グループが、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受けた場合、係争となる可能性があり、当社製品の生産・販売の制約や、損害賠償金等の支出が発生し、当社グループの経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、専門委員会を設置しており研究開発及び設計にあたって、第三者の知的財産権の調査を実施しております。
(9)為替変動に関するリスク
当社グループでは、当社と海外子会社並びに海外子会社と外部顧客の取引を外貨建てで行っており、為替変動に伴う製品の海外市場における競争力低下、輸出採算等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、2024年5月期において海外売上高が連結売上高の37.2%を占めており、今後も積極的な海外市場への事業展開により、海外事業比率は高まると想定しています。
その対応として、当社グループは、外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めており、加えて中期的には海外生産拡大も進めてまいります。
(10)M&Aに関するリスク
当社グループは、ヨーロッパ市場における営業力・技術競争力を強化することを目的として、2018年6月にPowerbox International ABを子会社化し、当社グループの業績に寄与することを見込んでおります。しかしながら、2020年度においてコロナ禍の中で事業が計画通りに展開できず、結果的に“のれん”の減損処理(1,097百万円)を実施いたしました。
2021年度以降は、これまでに取り組んできた事業再編の効果が出始め、営業利益・経常利益ともに業績回復しましたが、今後更なる業績向上に向けて、営業力と技術競争力の強化により、最大限のシナジー効果を発揮できるよう取り組んでまいります。
(11)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業における重要情報や入手した取引先等の秘密情報、個人情報等を保有しております。これらの情報に関して、盗難・紛失等による情報漏えい、不正アクセスなどのサイバー攻撃による消失や改竄、窃取等があった場合、事業活動に支障をきたし、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティ規定を制定し、情報セキュリティに関する管理体制やルールを整備、情報リテラシーを高めるための社員教育、情報の取り扱いに関するリスク評価・対策、各種法規制強化への対応等により、ITガバナンス体制の強化を図っております。
(12)環境規制に関するリスク
大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、廃棄物、製品に含有する環境化学物質等に関する種々の環境関連法令及び規制等は、年々強化されてきております。当社グループでは、これら法令及び規制等を遵守することが、企業の社会的責任の1つとして位置づけ、事業活動を行っております。
しかしながら、今後、これらの要求に対応した製品をタイムリーに市場に投入できない場合や法令及び規制等がより厳しくなることにより、対応のための多額の投資が余儀なくされるような場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、環境に関する国際規格(ISO14001)で認定された環境マネジメントシステムを構築し、環境関連法令及び規制を遵守するための取り組みを行っております。また、環境方針・行動指針を定め、製品企画・開発設計から部材調達、生産、流通、販売、保守サービスに至る事業活動全体において環境負荷低減に取り組んでおります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、インフレの長期化及び欧米諸国での政策金利の引き上げ、それに伴う大幅な為替変動に加え、中国経済の成長鈍化、地政学リスクの高まり等により、世界経済の先行きに不透明感が増し、不安定な状況が継続しています。
エレクトロニクス業界におきましては、スマートフォンやPC等の需要低迷が長引いており、需要の減少に伴い、半導体メーカーにおいては、在庫調整や設備投資を抑制する動きがみられました。現在、半導体関連の需要を中心に調整局面に入っておりますが、AI活用をテーマとした新たな投資による社会のデジタル化推進を背景に、一部の半導体で需要が増加傾向にあります。
このような情勢の中で当社グループは、新型コロナウイルス感染症による影響が収束し、お客様の面談等の制限が解消されたことで、訪問営業による拡販活動を増やしております。
新製品につきましては、大電力AC-DC電源「FETA3000BC」、「HCA3500TF」及び「HFA3500TF」を市場投入いたしました。また、好評をいただいていた「PBAシリーズ」の後継製品として、ユニット型シングル出力AC-DC電源「PDAシリーズ」3モデルを市場投入いたしました。加えて、小型高効率AC-DC電源「TECS/TEPSシリーズ」4モデル、三相4線式ノイズフィルタ「YACシリーズ」4モデル、並びに三相交流入力用ノイズフィルタ「TSD-800」を市場投入しております。
海外市場向けには、医療用電気機器向けの国際安全規格「IEC60601-1」に対応した標準サイズ2×3インチAC-DC電源「UMAシリーズ」2モデル、WMAシリーズ電力拡充モデルのユニット型AC-DC電源「WMA100F」を市場投入いたしました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、部品材料の調達状況が改善したことを受け、受注残の解消に向けた増産対応を継続した結果、売上高は414億37百万円(前年同期比17.5%増)となりました。利益面においては、増産対応に伴い、材料費、外注加工費に加え、人件費及び経費の増加があったものの、売上高の大幅な増加と変動費比率の低下による収益力の上昇、為替による影響等により、経常利益は78億50百万円(同48.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は51億69百万円(同63.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 日本生産販売事業
日本国内では、過年度の先行手配による受注急増の反動により、今年度においては受注調整が継続しておりますが、受注残の解消に向けた増産対応により、売上高については堅調に推移しました。
営業活動につきましては、販売店との情報共有強化を図り、お客様とのウェブ面談は継続しておりますが、訪問営業による拡販活動を増やしております。
この結果、外部顧客への売上高は260億37百万円(前年同期比21.7%増)、セグメント利益は48億82百万円(同28.0%増)となりました。
② 北米販売事業
米国では、前年の下半期以降、需要の調整局面が継続しており、受注は低調に推移しました。一方で、売上高については受注残の解消に向けた増産対応により、好調に推移しました。
営業活動につきましては、ファクトリーレップとの連携を図りつつ、拡販活動に注力してまいりました。新製品につきましては、動画を用いてプロモーション強化に取り組んでまいりました。
この結果、外部顧客への売上高は38億39百万円(前年同期比42.7%増)、セグメント利益は6億94百万円(同175.2%増)となりました。
③ ヨーロッパ生産販売事業
ヨーロッパにおいては、景気の不透明感による先行手配需要の調整があり、受注については低調に推移しました。売上高については、前期から継続して増産対応に取り組み、上半期は好調に推移したものの、欧州の景気低迷の影響により、下半期は低調に推移しました。
営業活動につきましては、テレワークでの拡販活動に加え、訪問営業による拡販活動を増やしております。
この結果、外部顧客への売上高は78億81百万円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益は2億78百万円(同23.0%減)となりました。
④ アジア販売事業
アジアにおいては、中国景気の低迷の中、需要の調整局面が継続しており、受注は低調に推移しました。売上高については、受注残の解消に向けた増産対応により、上半期は好調に推移したものの、下半期は受注残減少に伴い低調に推移しました。
営業活動につきましては、前期から引き続き、新規開拓、新製品拡販のためのウェブマーケティングに注力しております。
この結果、外部顧客への売上高は36億78百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益は2億8百万円(同11.5%増)となりました。
⑤ 中国生産事業
中国生産事業においては、既存製品や昨年末に市場投入した新製品の受注及び生産量の拡大には至っていないものの、生産増加に向け体制整備を進めてまいりました。加えて、生産性及び品質向上、コスト削減に向けた、生産改善活動を推進しております。
この結果、セグメント間の内部売上高は33億78百万円(前年同期比29.9%増)、セグメント利益は6億93百万円(同66.0%増)となりました。
財政状況につきましては、当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、棚卸資産、有形及び無形固定資産が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ57億29百万円増加し、543億97百万円となりました。負債の部では、未払金、繰延税金負債が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ7億85百万円増加し、71億39百万円となりました。純資産の部では、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ49億44百万円増加し、472億57百万円となりました。この結果、自己資本比率は86.6%(前連結会計年度末は86.7%)となりました。
2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ27億82百万円増加し、153億94百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は55億31百万円(前年同期は得られた資金10億31百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益75億49百万円、減価償却費13億68百万円、棚卸資産廃棄損1億1百万円、棚卸資産評価損1億66百万円、売上債権の減少額3億18百万円、法人税等の還付額1億39百万円を計上した一方で、為替差益4億44百万円、棚卸資産の増加額10億41百万円、仕入債務の減少額4億13百万円、法人税等の支払額23億95百万円があったこと等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は18億26百万円(前年同期は得られた資金6億76百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出10億25百万円、無形固定資産の取得による支出1億87百万円、定期預金の預入による支出6億18百万円があったこと等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は16億2百万円(前年同期は使用した資金21億16百万円)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出1億10百万円、配当金の支払額14億57百万円があったこと等を反映したものであります。
3)生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績、受注実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
a.生産実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年5月21日 至 2024年5月20日) |
前年同期比(%) |
|
日本生産販売事業(千円) |
32,686,164 |
126.0 |
|
北米販売事業(千円) |
- |
- |
|
ヨーロッパ生産販売事業(千円) |
6,169,230 |
91.6 |
|
アジア販売事業(千円) |
- |
- |
|
中国生産事業(千円) |
3,255,140 |
130.1 |
|
合計(千円) |
42,110,535 |
119.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価額によっております。
b.受注実績
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(千円) |
前年同期比 (%) |
|
日本生産販売事業 |
12,131,751 |
56.7 |
11,534,449 |
45.5 |
|
北米販売事業 |
1,178,615 |
46.2 |
529,476 |
17.7 |
|
ヨーロッパ生産販売事業 |
5,366,259 |
74.6 |
4,840,615 |
74.2 |
|
アジア販売事業 |
1,418,754 |
56.5 |
1,100,627 |
35.8 |
|
中国生産事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
20,095,381 |
59.7 |
18,005,168 |
47.4 |
(注)金額は販売価額によっております。
c.販売実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年5月21日 至 2024年5月20日) |
前年同期比(%) |
|
日本生産販売事業(千円) |
26,037,924 |
121.7 |
|
北米販売事業(千円) |
3,839,859 |
142.7 |
|
ヨーロッパ生産販売事業(千円) |
7,881,161 |
101.3 |
|
アジア販売事業(千円) |
3,678,304 |
108.1 |
|
中国生産事業(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
41,437,250 |
117.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年5月21日 至 2023年5月20日) |
当連結会計年度 (自 2023年5月21日 至 2024年5月20日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
㈱リョーサン |
6,521,283 |
18.5 |
7,069,039 |
17.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。そのため、これらの見積りについては過去の実績や状況に応じ、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りに不確実性があるため異なる場合があります。特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される判断と見積りに重要な影響を及ぼすと考えております。
① のれん等無形固定資産の減損処理
当社グループは、減損会計の対象となるのれん、技術資産及び顧客関連資産を有しております。今後、市場の動向や業績の状況に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが、帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要になる可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループは、金融機関や販売又は仕入先の株式等を保有しております。これらの株式等は株式市場等の価格変動や投資先の業績悪化等による実質価額変動のリスクを負っており、投資価値が50%以上下落した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
③ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積りにより全部又は一部が回収できないと判断した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
④ 退職給付費用
当社の従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、翌期において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
期待運用収益率と実際の結果が異なる場合、又は予定利率等前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
⑤ 原材料の評価
当社の原材料の貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定しております。また、保有期間が長期にわたる原材料は当社の品質管理上定められた保管期限及び将来の使用見込みを勘案し、適宜廃棄処分を行っております。
原材料の使用見込みは、顧客市場動向等の将来の経済状況の変動によって影響を受ける可能性があり、これにより収益性が低下したと判断される場合、原材料の評価損を計上する可能性があります。
2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高:414億37百万円(前期比17.5%増)、経常利益:78億50百万円(同48.8%増)、売上高経常利益率は18.9%(前期:15.0%、3.9ポイント上昇)、親会社株主に帰属する当期純利益は51億69百万円(同63.5%増)となりました。
① セグメント別業績
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 売上原価、売上総利益
前連結会計年度に比べ材料費等の変動費比率が1.6ポイント、人件費及び減価償却費等の固定費比率が1.5ポイント低下した結果、売上原価率が3.1ポイント低下しました。その結果、売上総利益率は33.2%(前期30.1%)となりました。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益
前連結会計年度末に比べ、荷造運搬費が81百万円、人件費が2億80百万円、ソフトウエア費が38百万円、旅費交通費が29百万円、消耗品費が52百万円、研究開発費が65百万円、製品保証費が1億43百万円、雑費が2億68百万円増加したこと等により、販売費及び一般管理費は11億38百万円増加しました。この結果、売上高営業利益率は16.7%(前期14.0%)となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、生産活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるものの他、投資活動において、生産設備の増強、新製品開発等を目的とした設備投資を適宜行う予定としております。
これらの資金に対しましては、自己資本比率が86.6%と十分な資本を維持しているため、自己資金にて充当する方針であります。今後も安定した収益基盤を確立し、一層の利益追求に取り組んでまいります。
3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的財務目標として、連結ROE、連結ROAが安定的に二桁を維持できる経営体質を目指しており、第10次中期経営計画において、最終年度である2025年度の数値目標値「連結売上高417億円、連結営業利益62億40百万円」を掲げ、連結営業利益率 15.0%以上、連結ROE 10.0%以上を目指し、持続的成長と企業価値向上を実現すべく経営体質の改善に取り組んでまいります。
当社は、2024年4月30日開催の取締役会において、LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATIONと資本業務提携契約を締結することを決議いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
当社グループの研究開発活動は、日本生産販売事業セグメントにおいては、当社開発部でスイッチング電源及びノイズフィルタ製品の設計開発と顧客に対する技術サポートを担当し、研究室において電源の基礎研究、新事業・分野の研究を担当しております。ヨーロッパ生産販売事業セグメントにおいては、Powerbox International ABでスウェーデン及びドイツを主要拠点とし、スイッチング電源の設計開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は