第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度のわが国経済は、政府の景気回復策、日銀の金融緩和策による円安・株高の傾向は一段落したものの、企業による設備投資の持直しや個人消費の底堅さがみられるなど、全体として緩やかな回復基調となりました。

 しかしながら、原油価格の下落や新興国経済の減速等、世界経済における不安要素は増大しており、先行きは不透明な状況が継続しております。

 当社をとりまく市場動向につきましては、主要顧客である電力業界における原子力発電所の稼働停止等により発電コスト増大の影響が依然として継続しているものの、スマートメーター・スマートグリッド関連への投資が本格化いたしました。

 このような事業環境下で、当社の当連結会計年度の売上高につきましては、本年4月から開始となりました電力小売全面自由化に備えた急速な計画前倒しによる特別需要により情報通信機器製造販売が大幅に増加したため、前年同期より29.0%増の326億31百万円となりました。

 損益につきましては、ネットワーク工事保守の経営環境が依然として厳しいものの、情報通信機器製造販売の大幅な規模増により営業利益は22億39百万円(前年同期比381.1%増)、経常利益は23億44百万円(同357.6%増)となりました。

 以上の損益から、子会社における固定資産の減損損失、および独占禁止法違反の疑いによる公正取引委員会立入検査の件に関連して今後想定される損失リスクに対する引当金、計11億26百万円を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は13億36百万円(同938.0%増)となりました。

 

 以下、セグメントの概況をご報告いたします。

 

〔情報通信機器製造販売〕

 前述の前倒し需要により、スマートメーター・スマートグリッド関連機器が大幅に増加したことに加え、原価改善活動が一定の成果を上げたため、売上高は217億83百万円(前年同期比55.5%増)となり、セグメント利益につきましては21億51百万円(同153.4%増)となりました。

 

〔ネットワーク工事保守〕

 通信設備工事・保守の発注抑制の影響により、売上高は108億48百万円(前年同期比3.9%減)となったものの、固定費の削減等による利益率の改善から、セグメント利益につきましては、44百万円(前年同期比4億42百万円の改善)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億61百万円増加(前年同期比37.0%増)し、当連結会計年度末には61億50百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により増加した資金は17億39百万円(前年同期は14億9百万円の増加)となりました。

 これは主に、売上債権の増加による資金の減少が25億2百万円あったものの、仕入債務の増加による資金の増加が15億99百万円、たな卸資産の減少による資金の増加が5億9百万円、減損損失が8億14百万円、減価償却費が4億93百万円及び税金等調整前当期純利益が12億17百万円あったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により減少した資金は1億45百万円(前年同期は10億25百万円の減少)となりました。

 これは主に、定期預金の払戻しによる資金の増加が4億50百万円あったものの、生産設備等固定資産の購入により資金が6億20百万円減少したことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により増加した資金は68百万円(前年同期は1億5百万円の減少)となりました。

 これは主に、配当金73百万円及び連結子会社株式の取得42百万円の支払いによる資金の減少があったものの、短期借入金の実行により資金が2億円増加したことによります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売(千円)

22,224,708

155.1

ネットワーク工事保守(千円)

合計

22,224,708

155.1

 (注)1.上記生産実績は、製造会社における生産実績を販売価格により表示しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売

19,145,326

115.0

6,438,649

70.9

ネットワーク工事保守

8,782,578

70.7

195,915

5.8

合計

27,927,905

96.1

6,634,564

53.2

 (注) 金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売(千円)

21,783,602

155.5

ネットワーク工事保守(千円)

10,848,272

96.1

合計

32,631,874

129.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額には消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱電機株式会社

1,002,848

4.0

6,866,777

21.0

東京電力株式会社

6,067,490

24.0

5,390,006

16.5

関西電力株式会社

4,899,737

19.4

5,364,671

16.4

 

3【対処すべき課題】

 当社グループの属する情報通信機器業界は、産業の空洞化に伴う国内工業生産の減少などにより、投資は縮小傾向にあるものの、東日本大震災等の経験を経て、通信インフラの耐災害性強化、エネルギー制約の克服やCО2削減にも繋がるエネルギー効率化へ向けた貢献が期待されております。また、高度な通信インフラの普及とそのネットワーク接続端末の多様化・高機能化が進み、これらの利活用面での発展による安全・安心・便利な社会を支えるための新規通信需要創出の流れは、今後、ますます進展し、更に通信機器分野の枠を超えた新しいビジネスモデルも出現してくるものと予想されます。

 当社グループといたしましては、こうした環境変化に対応して、安定的な収益基盤の再構築を図るとともに、成長分野に向け、引続き以下の具体的施策の展開を推進してまいります。

 

(1) 経営戦略

 当社グループは、大井電気㈱及びオオイテクノ㈱が主に情報通信機器製造販売事業を、日本フィールド・エンジニアリング㈱及び日本テクニカル・サービス㈱が主にネットワーク工事保守事業を営んでおります。各社の自立経営を基本としつつ、グループ間でのシナジーを発揮することで、グループ全体での事業規模・利益拡大を図ってまいります。

 各セグメントの経営戦略は以下のとおりです。

 

(情報通信機器製造販売)

 情報通信機器業界は、事業環境の変化が激しく、特に成長分野においては競争が激化する傾向にありますが、将来を見据えた研究開発・人材育成を着実に推進すると共に、コスト競争力の強化に取り組むことで、中長期的な事業規模の拡大・利益成長を目指してまいります。

 社会インフラ(電力、鉄道、官公庁、通信キャリアなど)向けの情報通信機器については、基盤事業におけるシェアの拡大を図るとともに、スマートグリッド・スマートメーター関連事業など昨今のエネルギーインフラの多様化・効率化ニーズに対応した事業やIoT、防災、エネルギーマネジメントシステム関連事業など社会的なニーズの高い新規事業に積極的に取り組んでまいります。

 

(ネットワーク工事保守)

 ネットワーク工事保守業界においては、スマートグリッド関連や防災関連など事業機会自体は拡大の方向にありますが、一方で価格競争は近年益々激化する傾向にあり、価格対応力の強化が大きな課題となっております。

 こうした厳しい環境下でありますが、長年培ってきた、保守・工事におけるノウハウ・技術力を生かし、また価格対応力を強化することで、着実に事業規模の拡大・利益成長を目指して取り組んでまいります。

 

(2) 経営体質の強化

 当社グループは、電力会社・官公庁等の事業の関係から下半期に売上計上が集中し、また、顧客の調達方針の変化等が業績に与える影響も大きいことから、生産性向上活動の推進や事業性を吟味した設備投資など、収益規模変動に柔軟に対応できる経営体質を確保してまいります。

 

(3) 企業価値向上に向けた取組み

 コア技術や将来方向を見据えた人的資源の配置と人材育成に努めるとともに、環境等の社会的責任課題に対して、全体最適の観点から企業価値向上に取り組んでまいります。

 

(4) 公正取引委員会の立ち入り検査について

 当社は平成27年5月19日及び平成28年2月16日に電力保安通信用機器の製造販売について独占禁止法違反の疑いがあるとして公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。

 当社はこれら事態を厳粛に受け止め、当局の調査に全面的に協力しております。

 株主の皆様をはじめとする関係者の皆様には多大なるご心配・ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。

 

(5) 当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)について

① 株式会社の支配に関する基本方針についての内容の概要

 当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えています。

 ただし、株式の大規模買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なう虞のあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。

 そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えています。

 

② 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 当社は、平成28年6月28日開催の第92期定時株主総会において、株主の皆様に承認いただき「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、「本プラン」)を導入いたしました。

 本プランは、以下の通り、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者(以下、「買付者等」)が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない買付者等に対して、警告を行うものです。

 また、本プランでは、対抗措置の発動等にあたって、当社取締役会の恣意的判断を排除し、取締役会の判断及び対応の客観性、合理性を確保するための機関として独立委員会を設置し、発動の是非について当社取締役会への勧告を行う仕組みとしています。

 

 本プランで定める買付ルール(以下、「本ルール」)は以下のとおりであります。

イ.当社取締役会は、買付者等に対して、大規模買付け等の実行に先立ち、当該買付者等が大規模買付け等に際して本プランに定める手続きを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。

ロ.当社取締役会は、買付者等に対して、大規模買付け等に対する株主及び投資家の皆様のご判断並びに当社取締役会の評価・検討等のために必要かつ十分な情報の提供を求めます。

ハ.当社取締役会は、情報提供完了通知を行った後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間を設定し、速やかに開示いたします。

二.独立委員会は、取締役会評価期間内に、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案と並行して、当社取締役会に対して対抗措置の発動の是非に関する勧告を行うものとします。

ホ.当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとし、当該勧告を踏まえて当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上という観点から、速やかに新株予約権発行等の対抗措置の発動又は不発動の決議を行うものとします。

 

③ 上記取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

 当社取締役会は、本ルールの設計にあたり、以下の原則を充足することを確認することにより、本ルールが前記基本方針に従い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的に資するものであると考えております。

 

イ.企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則

 本プランは、当社株式等に対する大規模買付け等がなされる際に、当該大規模買付け等に応じるべきか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。

 

ロ.事前開示・株主意思の原則

 本プランは、平成28年6月28日開催の第92期定時株主総会において株主の承認を得たうえで導入しております。今後の当社株主総会において本プランの変更又は廃止の決議がなされた場合には、本プランも当該決議に従い変更又は廃止されることになります。従いまして、本プランの導入及び廃止には、株主の皆様のご意思が十分反映される仕組みとなっています。

 

ハ.必要性・相当性確保の原則

a. 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示の徹底

 当社は、本プランに基づく大規模買付け等への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断及び対応の客観性及び合理性を確保することを目的として独立委員会を設置し、当社取締役会は、対抗措置の発動又は不発動の決議に際して独立委員会の勧告を最大限尊重いたします。

 また、当社は、独立委員会の判断の概要について株主及び投資家の皆様に情報開示を行うこととし、当社の企業価値・株主共同の利益に資するよう本プランの透明な運営が行われる仕組みを確保しています。

b. 合理的な客観的発動要件の設定

 当社は、本プランに基づく大規模買付け等への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断及び対応の客観性及び合理性を確保することを目的として独立委員会を設置し、当社取締役会は、対抗措置の発動又は不発動の決議に際して独立委員会の勧告を最大限尊重いたします。

 また、本プランは、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しています。

c. デッドハンド型若しくはスローハンド型買収防衛策ではないこと

 本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により、いつでも廃止することができるものとされております。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。

 また、当社の取締役の任期は1年であり、期差任期制を採用していないため、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

 

4【事業等のリスク】

 投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 一部顧客への依存

 当社グループ事業は電力関連の一部の顧客への依存度が高く、顧客ニーズの把握、収集が充分できず、魅力ある製品やサービスを提供できない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、原子力発電所停止の影響に伴う顧客の設備投資計画の見直し等によっては、当社グループの財政状態及び業績に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業拡大

 当社グループは、環境保全(エコ)をキーワードとした新規投資や、情報ネットワークの高度化、インフラ整備関連投資に対応した、新たな製品や工事・保守受託業務を含めたシステム提案等の展開により、事業規模を拡大していく方針ですが、以下のようなリスクが含まれています。

① 当社グループが、情報通信機器やインターネット市場等の動向の急激な変化を正確に予測できるとは限らず、開発した製品の販売が必ず成功するとの保証はありません。事業の戦略的提携先やOEM供給先の業績不振や戦略変更等によってもその影響を受けることがあり、計画どおりの収益規模が確保できなくなる場合があります。また、与信管理には十分留意をしておりますが、売掛債権の回収リスクが生じ、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 情報通信機器市場は、当社グループ以外にもメーカーや商社等多くの企業が参入してきており、その一部は当社グループよりも多くの経営資源を有しております。こうした競合先が同種の製品・サービス等をより低価格で提供すること等によっては、当社製品・サービスが必ず差別化できるという保証はありません。その場合は、計画どおりの収益をあげることができない可能性があります。

③ 情報通信機器市場は技術の急激な進歩と市場のニーズの変化により、製品開発中に新技術の出現や規格が変更され当社グループ製品が市場投入前から陳腐化する可能性があります。

 また、市場の急激な変動によっては、開発製品の投入遅れやサービス対応要員の不足が生じないという保証はなく、需要に対応できず市場でのシェア拡大の機会を逃してしまう可能性があります。

 

(3) 製品・サービスの品質と責任について

 当社グループが販売する製品や提供するサービスは、その一部を外部の会社に委託する場合がありますが、製品やサービスの品質管理については品質保証の専任部署を設置し、取引先に対しても品質が維持できるように努めております。しかし、提供した全ての製品やサービスに欠陥が発生しないという保証はありません。不測の事態で大規模な欠陥等の問題が発生した場合には、当社グループとして、そのことによって生じた損害の責任を負う可能性があります。

 

(4) 資金

 当社グループは主に金融機関から資金の調達を行っておりますが、金融機関の方針変更等により資金調達が不十分あるいは不調に終わった場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 退職給付債務

 当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率で算出されます。

 実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、その影響額が累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の割引率の低下や運用利回りの変化により、退職給付費用が増加し、当社グループの業績と財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(6) 自然災害等の突発性事象の発生リスク

 当社グループは、大規模な地震等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が発生した場合は、当社グループや仕入先、顧客の主要設備への損害等により、生産活動や資材調達等に支障が生じ、また、これらの災害等が政治不安又は経済不安を引き起こすことにより、当社グループの経営成績や財政状態に影響をもたらす可能性があります。

 

(7) 繰延税金資産

 繰延税金資産の回収可能性は、将来収益力に基づく課税所得によって判断しております。当連結会計年度における繰延税金資産については十分な回収可能性があると判断しておりますが、経営成績等により、その回収可能性に見直しが必要となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法令違反等

 当社は、平成27年5月19日及び平成28年2月16日に電力会社が発注する電力保安通信用機器の取引に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立入検査を受けました。現在同委員会の調査に協力中でありますが、調査結果により、排除措置命令・課徴金納付命令を受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発は主として当社が行っております。

 当社における研究開発体制は中長期を展望した基盤技術及び将来技術の研究開発を担当する研究部と、現事業品目に直結した製品開発及び技術開発を担当する水沢製作所技術部門とで構成され、研究部と水沢製作所技術部門は、密接な連携により研究開発を推進しております。

 当連結会計年度の研究開発活動は、中期計画に基づき、当社の基盤事業である社会インフラ(電力、鉄道、官公庁、通信キャリア等)向けの情報通信機器・システム、スマートグリッド・スマートメーター関連事業など昨今のエネルギーインフラの多様化・効率化に対応した情報通信機器・システム、IoT、防災、エネルギーマネジメントシステム関連の情報通信機器・システム等の重点事業へ開発投資を選択・集中し、急激な市場変化、並びに技術革新に対処するための研究開発、技術開発を継続的に行うとともに、短期間での特長ある新製品投入に注力いたしました。

 研究開発の注力分野は、次に示す6つの技術です。

(1) 高度ネットワークを支える「通信技術」研究開発

① 無線通信技術

② 通信方式技術

③ 光通信技術

(2) 各種システムを支える「基盤技術」研究開発

① M2M/IoT技術

② 電源技術

(3) 開発力・製品力を支える「設計技術」

① 構造技術

 研究開発費の総額は8億23百万円であり、情報通信機器製造販売分野における研究開発活動は次のとおりであります。

(1) 電力自動検針・高圧スマートメーター用「通信端末」の開発をいたしました。

(2) 様々な社会インフラで活用できる「特定小電力無線マルチバンド技術」を開発いたしました。

(3) 高速大容量光通信システムを支える「光多値変調器制御技術」を開発いたしました。

(4) 光通信システムの高度化、高信頼化を支える「光カラーレス・コヒーレント検波技術」(注1)を開発いたしました。

(5) 高速大容量光通信システムを支える「100Gbメディアコンバーター」、「波長分割多重化装置(DWDM)(注2)の光プロテクション(注3)機能」を開発いたしました。

(6) 市町村で導入が進められている防災放送システム用「280MHz帯無線通信受信機、屋外放送設備」の開発、検証をいたしました

(7) IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を考慮した各種センサの特性評価・検証、二次電池制御技術開発、小型・低コストのアンテナ技術開発をいたしました。

(注1)光波長多重信号から任意の波長を抽出する技術

(注2)DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing

(注3)光プロテクション:光信号のまま経路を切り替える方式

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に関して、必要な見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断には不確実性が伴うことから、実際の結果は見積り及び判断と異なる場合があります。

 

① 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を判断するに当たっては、将来の課税所得等の慎重な見積りを行い検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。

 

② 退職給付に係る負債

 当社グループでは確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度及び退職一時金制度を採用しており、退職給付費用及び退職給付債務は数理計算に使用される前提条件に基づいて算出しております。その前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率及び年金資産の期待運用収益率等の重要な見積りが含まれております。

 実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異として把握され、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

③ 工事損失引当金

 当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えるため、手持ち受注工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見積額を工事損失引当金として計上しておりますが、当初予想しえなかった見積りを超える追加原価等により損失が発生した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。

 

(2) 財政状態及び流動性の分析

① 財政状態の分析

(資 産)

 当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べ28億72百万円増加し233億86百万円となりました。

 これは主に、固定資産の減損により8億14百万円減少したものの、売上の増加に伴い受取手形及び売掛金が23億15百万円増加、現金及び預金が12億11百万円増加したことによります。

 

(負 債)

 当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ20億20百万円増加し132億9百万円となりました。

 これは主に、工事損失引当金が2億48百万円減少、未払金が2億32百万円減少したものの、売上の増加に伴い支払手形及び買掛金が15億36百万円増加したことによります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ8億51百万円増加し101億76百万円となりました。

 これは主に、非支配株主持分が4億31百万円減少したものの、配当金の支払73百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益13億36百万円の計上により利益剰余金が12億62百万円増加したことによります。

 

② キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の44億89百万円から16億61百万円増加し、61億50百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローでは、売上債権の増加等による資金の減少がありましたが、仕入債務の増加等により17億39百万円の資金が増加し、投資活動によるキャッシュ・フローでは、定期預金の払戻し、固定資産の取得等で差引き1億45百万円の資金が減少、財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金等の支払い、短期借入金の実行で差引き68百万円の資金が増加したことによります。

 

(3) 経営成績の分析

 当連結会計年度における売上高は、通信設備工事・保守の発注抑制の影響によりネットワーク保守工事は減少したものの、スマートメーター・スマートグリッド関連機器の売上が大幅に増加したため、前期より29.0%増の326億31百万円となりました。

 当連結会計年度における営業損益は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度より17億73百万円増加し、22億39百万円の営業利益となりました。

 当連結会計年度における経常損益は、前連結会計年度より18億31百万円増加し、23億44百万円の経常利益となりました。

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損益は、子会社において減損損失8億14百万円、親会社において独占禁止法関連損失引当金繰入額3億11百万円の特別損失を計上しましたが、前連結会計年度より12億7百万円増加し、13億36百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループは電力会社、官公庁及び大手メーカー等の顧客へ、製品あるいは工事等のサービスを長年に亘って提供してまいりました。工事関連の事業につきましても、電力会社及びその関連会社へのサービス提供が主であり、規模としては底堅く当社グループの業績を下支えしてまいりました。当社グループの主要顧客である電力会社の設備投資計画は、東日本大震災の経験を得て、通信インフラの耐災害性強化、エネルギー制約の克服やCO2削減にも繋がるエネルギー効率化へ向けた新規投資、また、ユビキタス、安心・安全社会に向けての情報ネットワークの高度化等、顧客のニーズに貢献できるものと考えております。従来以上にこれら顧客との関係を強化し、顧客ニーズの的確な把握と提案活動を進めることにより、安定的な収益力の維持・拡大を図ってまいります。