第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは「豊かな自然環境の保護・存続を使命とし、技術革新に努め、生産活動を通じて、広く社会に貢献する。」という経営理念の下、社会インフラ向けの情報通信機器及び関連サービスを提供する企業グループとして、社会の安定・発展に貢献し、企業価値の向上を目指すことで、持続的成長を遂げてまいります。

 

(2) 経営戦略等

 当社グループは、大井電気㈱及びオオイテクノ㈱が主に情報通信機器製造販売事業を、日本フィールド・エンジニアリング㈱及び日本テクニカル・サービス㈱が主にネットワーク工事保守事業を営んでおります。各社の自立経営を基本としつつ、グループ間でのシナジーを発揮することで、グループ全体での事業規模・利益拡大を図ってまいります。

 各セグメントの経営戦略は以下のとおりです。

 

(情報通信機器製造販売)

 情報通信機器業界は、事業環境の変化が激しく、特に成長分野においては競争が激化する傾向にあることから、将来を見据えた研究開発・人材育成を着実に推進するとともに、コスト競争力の強化に取組むことで、中長期的な事業規模の拡大・利益成長を目指してまいります。

 社会インフラ(電力、鉄道、官公庁、通信キャリア等)向けの情報通信機器については、シェアの拡大を図るとともに、第5世代移動通信システム(5G)の普及、インターネット利用拡大によるデータトラヒックの増大を背景としたOTN(*1)プラットフォーム機器を主力とした「光多重伝送システム事業」、IoT関連に利用されるLPWA(*2)事業など昨今の通信インフラの多様化・効率化ニーズに対応した「IoTシステム事業」、主に地方自治体向けの「防災・減災ソリューション事業」の3事業を成長ドライバーとして事業規模の拡大を図りつつ、エネルギーマネジメントシステム関連事業など社会的ニーズの高い新規事業に積極的に取組んでまいります。

*1 Optical Transport Network

*2 Low Power Wide Area

 

(ネットワーク工事保守)

 ネットワーク工事保守事業につきましては、安全確保を大前提に、従来から実施している事業の着実な展開に加え、品質調査から設計・工事・保守までを一気通貫に行える技術・要員・体制の整備をさらに進め、携帯基地局工事を始めとする事業領域の拡大・利益成長に取組んでまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、より一層のお客様への貢献を通じて中長期的な成長を目指し、2022年度を最終年度とする3年間の中期計画を策定しています。

 情報通信機器製造販売事業においては、3つの成長ドライバーを軸に売上・利益の拡大を図るとともに、次の成長事業基盤の発掘・開発・製品化に向けて取組んでまいります。

 ネットワーク工事保守事業においては、情報通信インフラの構築や運用を行う専門技術者集団として、安全確保を前提に、携帯基地局建設工事の受注を始め、事業領域の拡大を図ってまいります。

 

単位:百万円

 

2022年度

連結売上高

28,000

連結営業利益

1,100

 

(4) 経営環境

 当社グループの属する情報通信機器業界は、生産の海外シフトや海外製品の流入により国内生産は減少傾向にありますが、東日本大震災など激甚化する大規模自然災害の経験を経て、情報通信インフラの耐災害性強化、エネルギー制約の克服やCО2削減に資するエネルギー効率化へ向けた貢献が期待されております。また、第5世代移動通信システム(5G)に代表される高度な通信インフラの普及とそのネットワーク接続端末の多様化・高機能化によるデータトラヒックの増加、生産人口の減少が進む中、IoT・AI技術を活用した社会インフラの効率的利用や新サービス創出への期待、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大後の新常態(ニューノーマル)への対応等、安全・安心・便利な社会を支えるための新規通信需要創出の流れは、今後、ますます進展し、情報通信機器分野の枠を超えた新しいビジネスモデルも出現してくるものと予想されます。

 当社グループといたしましては、お客様の多様なニーズにお応えしてきた長年の経験・ノウハウをもとに、こうした環境変化に対応して、安定的な収益基盤の構築を図り、成長分野に向け、引き続き以下の施策を展開してまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大の事業への影響につきましては、足元では一部案件の延伸や顧客への営業機会の減少等の限定的な影響があるものの、経営環境に大きな影響を及ぼすには至ってはおりません。もっとも先行きは大変不透明でありますので、引き続き当社グループの事業への影響を注視してまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 経営体質の強化

 当社グループは、電力会社・官公庁等の事業の関係から下半期に売上計上が集中し、また、顧客の調達方針の変化等が業績に与える影響も大きいことから、収益規模変動に柔軟に対応できる経営体質を確保してまいります。具体的には、生産性向上活動の推進や事業性を吟味した設備投資、原価低減に資する生産・調達方式の検討・実践、そのために必要な資金調達手段の確保等に取組んでまいります。

 

② 企業価値向上に向けた取組み

 コア技術や将来方向を見据えた人的資源の配置と人材育成に努めるとともに、コンプライアンス、環境等の社会的責任課題に対して、全体最適の観点から企業価値向上に取組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 一部顧客への依存

 当社グループ事業は電力関連の一部の顧客への依存度が高く、顧客ニーズの把握、収集が充分できず、魅力ある製品やサービスを提供できない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、原子力発電所停止の影響や大規模自然災害の発生等に伴う顧客の設備投資計画の見直し等によっては、当社グループの財政状態及び業績に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業拡大

 当社グループは、第5世代移動通信システム(5G)の普及、インターネット利用拡大によるデータトラヒックの増大、IoTデバイスの急速な普及等に対応した新たな製品や工事・保守受託業務を含めたシステム提案等の展開により、事業規模を拡大していく方針ですが、以下のようなリスクが含まれています。

① 当社グループが、情報通信機器やインターネット市場等の動向の急激な変化を正確に予測できるとは限らず、開発した製品の販売が必ず成功するとの保証はありません。事業の戦略的提携先やOEM供給先の業績不振や戦略変更等によってもその影響を受けることがあり、計画どおりの収益規模が確保できなくなる場合があります。また、与信管理には十分留意をしておりますが、売掛債権の回収リスクが生じ、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 情報通信機器市場は、当社グループ以外にもメーカーや商社等多くの企業が参入してきており、その一部は当社グループよりも多くの経営資源を有しております。こうした競合先が同種の製品・サービス等をより低価格で提供すること等によっては、当社製品・サービスが必ず差別化できるという保証はありません。その場合は、計画どおりの収益をあげることができない可能性があります。

③ 情報通信機器市場は技術の急激な進歩と市場のニーズの変化により、製品開発中に新技術の出現や規格が変更され当社グループ製品が市場投入前から陳腐化する可能性があります。

 また、市場の急激な変動によっては、開発製品の投入遅れやサービス対応要員の不足が生じないという保証はなく、需要に対応できず市場でのシェア拡大の機会を逃してしまう可能性があります。

 

(3) 製品・サービスの品質と責任について

 当社グループが販売する製品や提供するサービスは、その一部を外部の会社に委託する場合がありますが、製品やサービスの品質管理については品質保証の専任部署を設置し、取引先に対しても品質が維持できるように努めております。しかし、提供した全ての製品やサービスに欠陥が発生しないという保証はありません。不測の事態で大規模な欠陥等の問題が発生した場合には、当社グループとして、そのことによって生じた損害の責任を負う可能性があります。

 

(4) 資金調達に関するリスク

 当社グループは主に金融機関から資金の調達を行っておりますが、金融機関の方針変更等により資金調達が不十分あるいは不調に終わった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 退職給付債務

 当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率で算出されます。

 実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、その影響額が累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の割引率の低下や運用利回りの変化により、退職給付費用が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 自然災害等の突発性事象の発生リスク

 当社グループは、大規模な地震等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が発生した場合は、当社グループや仕入先、顧客の主要設備への損害等により、生産活動や資材調達等に支障が生じ、また、これらの災害等が政治不安又は経済不安を引き起こすことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。

 

(7) 繰延税金資産

 繰延税金資産の回収可能性は、将来収益力に基づく課税所得によって判断しております。当連結会計年度における繰延税金資産については十分な回収可能性があると判断しておりますが、経営成績等により、その回収可能性に見直しが必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 工事損失の発生に関するリスク

 手持ち受注工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ金額を合理的に見積もることのできる受注工事について、損失見積り額を工事損失引当金として計上することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 新規のシステム開発案件に関するリスク

 新規のシステム開発案件につきましては、ソフトウェア開発期間の延長に伴うコスト増加分を合理的に見積ったうえ工事損失引当金として計上しておりますが、今後の進捗等によっては遂行スケジュール、体制、作業内容等の見直しにより、コストが更に変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 新型コロナウイルス感染症の拡大について

 当社グループは、世界的に流行している新型コロナウイルス感染症に対して、従業員、顧客及び取引先の安全を第一に考え、またさらなる感染拡大を防ぐために、社内外イベントの中止、国や地方自治体の要請に則した在宅勤務の実施とそれを可能とするウェブ会議等の活用促進に努めております。今後、事態が長期化した場合、世界的な経済活動の停滞に伴い売上が減少する等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の減速から輸出・生産に力強さを欠くものの、企業収益は一進一退ながら高水準を維持し、また、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の持ち直し、政府・日銀の経済政策を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、長期化する米中通商問題に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により、先行きは極めて不透明な状況になっております。

 当社をとりまく市場動向につきましては、主要顧客である電力業界におけるスマートメーター・スマートグリッド関連機器への投資拡大に伴う需要増は一巡しておりますが、第5世代移動通信システム(5G)の普及、インターネット利用拡大によるデータトラヒックの増大、IoTデバイスの急速な普及等により、当社ビジネス参入機会の拡大が見込まれております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ30億76百万円増加し、202億19百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ25億96百万円増加し、125億34百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4億79百万円増加し、76億84百万円となりました。

 

ロ.経営成績

 当社の当連結会計年度の売上高につきましては、情報通信機器製造販売及びネットワーク工事保守事業が共に堅調に推移したため、253億14百万円(前年同期比12.2%増)となりました。

 損益につきましては、情報通信機器製造販売における利益率の改善により、営業損益は5億69百万円(前年同期比21億45百万円の損失減・黒字化)、経常損益は6億20百万円(前年同期比21億1百万円の損失減・黒字化)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億23百万円(前年同期比33億3百万円の損失減・黒字化)となりました。

 以下、セグメントの概況をご報告いたします。

 

〔情報通信機器製造販売〕

 光伝送機器及び防災システム関連機器が増加したため、売上高は131億34百万円(前年同期比16.8%増)となりました。セグメント損益につきましては、前年同期の開発案件に関連して発生した工事損失引当金相当の利益の改善及び材料費、外注費、経費、人件費の効率化や削減等の施策により、3億80百万円(前年同期比21億90百万円の損失減・黒字化)となりました。

 

〔ネットワーク工事保守〕

 電力・キャリア向けの通信線路工事及び保守並びに基地局関連工事及び保守が増加したため、売上高は121億80百万円(前年同期比7.6%増)となりました。セグメント損益につきましては、1億84百万円(前年同期比14百万円減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10億43百万円減少(前年同期比31.0%減)し、当連結会計年度末には23億26百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により減少した資金は20億4百万円(前年同期は2億33百万円の減少)となりました。

 これは主に、仕入債務の増加による資金の増加が11億92百万円あったものの、売上債権の増加による資金の減少が23億91百万円、たな卸資産の増加による資金の減少が18億95百万円、未払金の減少による資金の減少が3億21百万円あったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により減少した資金は3億30百万円(前年同期は1億63百万円の増加)となりました。

 これは主に、固定資産の購入により資金が2億68百万円減少したことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により増加した資金は12億94百万円(前年同期は3億69百万円の減少)となりました。

 これは主に、短期借入金の実行により資金が13億円増加したことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売(千円)

13,580,437

118.5

ネットワーク工事保守(千円)

合計

13,580,437

118.5

 (注)1.上記生産実績は、製造会社における生産実績を販売価格により表示しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.金額には消費税等は含まれておりません。

 

ロ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売

13,621,341

117.9

5,785,891

109.2

ネットワーク工事保守

13,623,825

151.5

4,507,463

147.1

合計

27,245,167

132.6

10,923,354

123.1

 (注) 金額には消費税等は含まれておりません。

 

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売(千円)

13,134,087

116.8

ネットワーク工事保守(千円)

12,180,456

107.6

合計

25,314,544

112.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額には消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東京電力パワーグリッド株式会社

3,601,188

16.0

3,262,091

12.9

関西電力株式会社

2,019,357

9.0

2,654,455

10.5

KDDI株式会社

1,777,201

7.9

2,559,853

10.1

三菱電機株式会社

2,647,484

11.7

1,506,701

6.0

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 また、当連結会計年度における当社グループの経営成績等に、新型コロナウイルス感染症の重要な影響は発生しておりません。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析

a. 売上高

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ27億52百万円増加し(12.2%増)、253億14百万円となりました。売上高が増加した主な要因は、情報通信機器製造販売において主に光伝送機器及び防災システム関連機器が、ネットワーク工事保守において主に電力・キャリア向けの通信線路工事及び保守並びに基地局関連工事及び保守が増加したことによります。

b. 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ21億45百万円増益となり、5億69百万円となりました。営業利益が増加した主な要因は、主に情報通信機器製造販売において、前年同期の開発案件に関連して発生した工事損失引当金の利益の改善があったこと及び材料費、外注費、経費、人件費の効率化や削減等の施策により利益率が向上したことによります。

 なお販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1億91百万円減少し、42億3百万円となりました。

c. 経常利益

 営業利益の増益に伴い、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ21億1百万円増益となり、6億20百万円となりました。

d. 親会社株主に帰属する当期純利益

 経常利益の増益に伴い、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ33億3百万円増益となり、5億23百万円となりました。

 

ロ.財政状態の分析

a. 資産

 当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べ30億76百万円増加し202億19百万円となりました。これは主に、一部製品において短納期対応と原価低減を目的に計画生産を拡大したこと等から、現金及び預金が9億93百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が24億30百万円増加、仕掛品が15億86百万円増加したことによります。

b. 負債

 当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ25億96百万円増加し125億34百万円となりました。これは主に、未払金が2億86百万円減少したものの、一部製品における計画生産の拡大、それに伴う資金調達の必要等から、支払手形及び買掛金が12億4百万円増加、短期借入金が13億円増加したことによります。

c. 純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ4億79百万円増加し76億84百万円となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により5億23百万円増加したことによります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析等

a. キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の33億70百万円から10億43百万円減少し、23億26百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローでは、仕入債務の増加がありましたが、売上債権の増加、たな卸資産の増加、未払金の減少等により差引き20億4百万円の資金が減少し、投資活動によるキャッシュ・フローでは、固定資産の取得等で差引き3億30百万円の資金が減少、財務活動によるキャッシュ・フローでは、短期借入金の実行等により差引き12億94百万円の資金が増加したことによります。

b. キャッシュ・フロー指標のトレンド

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

自己資本比率 (%)

36.1

32.6

時価ベースの自己資本比率 (%)

14.8

16.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)

 (注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

5.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

6.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

7.キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

8.2019年3月期及び2020年3月期については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

ロ.資本の財源及び資金の流動性

a. 資金需要の主な内容

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料費、労務費、製造経費及び外注費から構成される製品製造費用及び工事原価費用があります。

 その他に販売費及び一般管理費からなる営業費用があり、営業費用の主なものは、人件費及び販売活動費用であります。また、当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されております。

 また、設備資金需要としましては、製品製造や品質向上のための設備投資として、有形及び無形の固定資産の購入があります。

b. 財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入で、設備投資等の長期資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における短期借入金の残高は14億50百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に関して、必要な見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断には不確実性が伴うことから、実際の結果は見積り及び判断と異なる場合があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の会計上の見積りに用いた仮定については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しておりますのでご参照下さい。

 

イ.繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を判断するに当たっては、将来の課税所得等の慎重な見積りを行い検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。

 

ロ.退職給付に係る負債

 当社グループでは確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度及び退職一時金制度を採用しており、退職給付費用及び退職給付債務は数理計算に使用される前提条件に基づいて算出しております。その前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率及び年金資産の期待運用収益率等の重要な見積りが含まれております。

 実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異として把握され、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

ハ.工事損失引当金

 当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えるため、手持ち受注工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見積り額を工事損失引当金として計上しておりますが、当初予想しえなかった見積りを超える追加原価等により損失が発生した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。

 また、当社が受託したシステム開発案件において、ソフトウェア開発期間の延長に伴い、大幅なコストが増加する見込みとなる場合は、かかるコストを見積もり、将来発生すると見込まれる損失額を計上しておりますが、遂行スケジュール、体制、作業内容及び遅延金等については、今後の協議の進捗やその結果等により変動する可能性があります。

 

ニ.固定資産の減損

 当社グループは、減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

④ 経営上の目標の達成・進捗状況

 2019年6月27日提出の有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の中期経営計画(2019年度~2021年度)の1年目である2019年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。

 売上高は計画比5億14百万円(2.1%増)で、概ね計画どおりの結果となりました。営業利益は、特に情報通信機器製造販売において、通年で進めておりました材料費、経費、人件費の効率化や削減等の施策による利益率改善により計画比2億89百万円(103.3%増)で、計画を大きく上回る結果となりました。

単位:百万円

 

中期3年計画最終年度

(2021年度)

2019年度

計画

実績

計画比

連結売上高

27,600

24,800

25,314

102.1%

連結営業利益

910

280

569

203.3%

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発は主として当社が行っております。当社における研究開発体制は、中長期を展望した基盤技術及び将来技術の研究開発を担当する研究部門と、現事業に直結した製品開発及び技術開発を担当する水沢製作所技術部門とで構成され、研究部門と水沢製作所技術部門は、密接な連携により研究開発を推進しております。

 当期の研究開発費の総額は578,713千円であり、情報通信機器製造販売分野における研究開発活動としては、当社の基盤事業である社会インフラ事業(電力、鉄道、官公庁、通信キャリア等)向けの情報通信機器・システム、スマートグリッド・スマートメーター等のエネルギーマネジメントシステム関連の情報通信機器・システム、防災、IoT等の重点事業への開発投資を選択・集中し、市場の変化、顧客ニーズの変化、急激な技術革新に対処するための研究開発、新技術開発を行うとともに、特長ある新製品の開発、投入に注力いたしました。

 研究開発活動は、次のとおりであります。

(1) LPWA(注1)によるガス・水道ハンディ検針システムを開発いたしました。

(2) 設備インフラの監視や、雨量・水位監視等の環境モニタリングを実現するLoRaSPN(注2)を

開発いたしました。

(3) LPWAによる音声通信技術の研究及び画像伝送システムを開発いたしました。

(4) OTN(注3)プラットフォーム(光伝送機器)事業の中核であるWDM(注4)システムの機能拡張

開発をいたしました。

(5)IoT関連で必要となるAI(注5)分析技術の試作検証では、車両と車両ナンバー認識技術の試作

検証開発をいたしました。

(6) 電力系統運用向け通信ネットワークのIP化に対応したデータ変換装置としてCDT-GW(注7)を開発いたしました。

 今後も、当期において取組んだ重点事業の情報通信機器・システム等の研究開発、新技術開発を継続的に実施してまいります。

(注1)LPWA:Low Power Wide Areaの略で、低消費電力で遠距離通信を実現する方式

(注2)LoRaSPN:LoRa通信技術を利用したSPN(Small Private Network)システム

(注3)OTN:Optical Transport Networkの略で、ITU-T(注6)が2000年に勧告した光伝送規格

(注4)WDM:Wavelength Division Multiplexingの略で波長分割多重方式の光通信方式

(注5)AI:Artificial Intelligenceの略(和訳は人工知能)

    言語の理解や推論、問題解決等の知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術

(注6)ITU-T:International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sectorの略で、国際電気通信連合の通信分野の標準を担当する「電気通信標準化部門」

(注7)CDT-GW:Cyclic Digital data Transmission-Gate Wayの略

 なお、当連結会計年度における研究開発費をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

情報通信機器製造販売

578,713

ネットワーク工事保守

合計

578,713

(注) 上記金額は、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費のセグメント間取引の相殺消去後の数値であります。