当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
当社グループは、2023年3月期連結会計年度より3期連続して営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると認識しております。
電子・通信用機器事業においては、2025年10月期につきましては、金融機関からの資金調達の目途がついたこと、官公庁関連を含む公共インフラ案件の受注拡大と半導体供給環境の改善による受注済案件の生産拡大により収益環境が大幅に改善されると予測され、利益確保が十分に見込まれております。また、大型案件の量産に対応するため、生産ライン及び部材倉庫の確保を目的に本社工場近隣において、工場賃貸契約を締結いたしました。この増床により、当社は今後の市場需要拡大に迅速かつ効率的に対応することが可能となり、経営戦略上の重要なステップを踏み出すことになります。
再生可能エネルギー事業においては、当社が保有する長年にわたる同事業についてのノウハウを活用して、引続き、太陽光発電所や小形・中形風力発電所等の開発及び系統用蓄電所等を拡大させる方針であります。今後も発電所のストック化・売却スキームを拡充し、精度の高い事業計画の策定を進めてまいります。
従いまして、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
決算期の変更に伴い、前連結会計年度は2024年4月1日から2024年10月31日までの7ヶ月の変則決算となっており、そのため、前年同半期との比較は行っておりません。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、2024年の名目GDPの速報値が609兆円に達し、設備投資も106兆円で前年から4.7%増加して33年ぶりに過去最高を更新するなど、近年にはない明るい兆しがみられています。特に、物価と賃金が共に動き出した中で、2024年の春季労使交渉において、33年ぶりとなる高水準の賃上げが実現し、個人消費の下支えに寄与しております。しかし、企業部門は堅調さを維持しているものの、賃金・所得の伸びが物価上昇を安定的に上回る状況には至っておらず、個人消費は力強さを欠いた状態が続いています。2025年1~3月期の実質GDPは年率換算で0.7%減となるなど、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクの高まり、ならびに物価上昇の継続に伴う消費者マインドの下振れ等を通じた個人消費に及ぼす影響も、わが国の景気を下押しするリスクとなっており、先行き経済に対する不透明感が高まっています。
このような経営環境のもと、電子・通信用機器事業につきましては、5G関連市場や官公庁・公共関連市場を中心とした拡販営業に加え、新規市場や顧客開拓にも力を入れ新たな領域の受注獲得を行ってまいりました。また、継続的に「製品の高付加価値化」、「事業領域の拡大・開拓」、「業務提携先との共同開発」に取り組みながら、自社開発品の提案強化を図っております。結果、従来のアナログ高周波製品以外に各種業務用無線で使用される光関連製品をはじめ、高速信号処理に不可欠なデジタル信号処理装置、大容量データの無線伝送に必要なミリ波帯、テラヘルツ帯域製品等、新規開拓顧客と新しい市場からの引き合いも増加しております。
以下に各分野毎に動向を説明いたします。
①移動体通信インフラ分野では昨年度よりインフラシェアリング機器の量産をベトナム子会社で進めております。今後基地局インフラ推進機関、大手鉄道会社向けなど新しい機種の検討もスタートする見込みです。また、6Gについては早稲田大学から受託している産学共同研究で使用される100G、300GHz無線システムの設計・製造は今年度で最終年度となります。その他、Beyond5G向けフレキシブル導波管技術研究開発への参画など将来を見据えた開発投資も積極的に進捗しております。
②官公庁分野においては、国家予算の増大に伴う新規引合い案件の数が増加し、これに呼応する形で中長期的な成長を見据えた大型で継続的なプロジェクトの受注活動に注力しております。
③公共プロジェクト分野では、大手鉄道会社の老朽化した無線設備の更新需要に大きな期待を寄せております。特に、最新技術を活用した列車用業務無線システムの提供に注力しており、これにより鉄道運行の安全性の向上や運航効率の改善に貢献することを目指しております。また、ドローン監視装置に関しては設計・開発が完了し、量産段階に移行します。今後は市場の需要に迅速に応えるための供給体制を整える準備を進めております。
④最後にFA・計測分野ですが、半導体信頼性試験装置については、半導体産業が我が国の国策となり、先端プロセスへの投資は今後益々拡大していくことから、通信用半導体に不可欠な高周波技術を強みとしたPR活動を強化しております。
各分野での戦略的な取組を着実に実行することにより今年度の計画は順調に達成されていく見通しです。
再生可能エネルギー事業につきましては、金融機関からシンジケートローン方式で調達した資金をもとに開発した小形風力発電所30基が本格的に稼働を開始しているほか、保有している太陽光発電所も順調に売電を行っております。今後も開発基数の増加に向けた取り組みを加速させ、保有基数の増加を推し進めることで、売電による安定的な収益を確保した収益基盤の確立を目指してまいります。一方で、再生可能エネルギー普及に対する社会の要請により、小形風力発電所に対する購入の引き合いが高まっていることも踏まえ、市場環境を勘案し売却を行うことも、引続き検討してまいります。
また経済産業省の第7次エネルギー基本計画として、次世代電力ネットワークの構築に向けて蓄電池やDR(ディマンド・リスポンス)等による調整力の確保、系統・需給運用の高度化を進め、再生可能エネルギーの変動性への柔軟性も確保しつつ、再生可能エネルギーの主力電源化・長期安定電源化を目指すことが、2025年2月に閣議決定されています。当社におきましては子会社「株式会社多摩川エナジー」内に「系統用蓄電所事業調査・検討準備室」を設置し、蓄電池を活用した系統用蓄電所事業の調査・検討に着手しております。従来から進めている太陽光発電所、小形風力発電所の開発を通じて収益性・機動性を確保し事業リスクの分散化を図ると共に、今まで培った発電所開発ノウハウを活用して、新たな再生可能エネルギー電源の開発に向けて、継続的なCO2の削減に貢献してまいります。さらにインドネシア東ヌサ・トゥンガラ州フローレス島の小水力発電所プロジェクトの2025年10月期中の完成・連系など、未来へ向けた電源の多様化にも着手し、再生可能エネルギー事業全体として安定した事業基盤の確立を目指してまいります。
以上の結果、当中間連結会計期間における受注高は、2,724百万円、売上高は、2,519百万円となりました。損益面については、営業利益159百万円、経常利益121百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は、188百万円となりました。
電子・通信用機器事業につきましては、前年度に引き続き需要は安定的に増加しており、今後も堅調に推移していくことが予測されます。受注済み官公庁向け新規案件を契約納期通りに品質トラブルなく納入すること、即戦力のキャリア採用、生産フロア増床、測定器等の設備投資など生産能力増強、社内の情報セキュリティの強化、ならびに社員教育体制の強化を今年度の取組みとして、事業領域の拡大を強力に推進していくとともに自社開発品の提案強化により、電子・通信用機器事業全体としての安定した事業基盤を確立するべく、引き続き当社グループの収益拡大に向けた活動を継続してまいります。
再生可能エネルギー事業につきましては、同事業の業容拡大を図るべく、投資活動を積極的に行ってまいります。当社グループは従来以上にCO2削減、地球温暖化への対策にグループ全従業員と共に取り組み、当社を取巻くステークホルダーの皆様にESG経営への積極的な情報開示及びSDGs目標達成に向けて挑戦してまいります。
事業の種類別セグメントの経営成績の状況は、以下のとおりです。
a.電子・通信用機器事業
電子・通信用機器事業については、部品調達リードタイム長期化の影響を勘案した取引先からの受注が先行し、受注高は2,460百万円となりました。
売上高については、2,196百万円となりました。セグメント利益は273百万円となりました。
b.再生可能エネルギー事業
再生可能エネルギー事業については、これまで銀行による協調融資、サステナブル融資の資金も活用しながら、太陽光、小形風力発電所の開発を取り組んでまいりました。また、当社が保有している北海道・東北の小形風力発電所や長野県、茨城県、山梨県などの高圧、低圧太陽光発電所は、順調に売電しております。これに加えて売却した発電所の管理・メンテナンス、発電所の建設に伴う工事請負等により、売上高は322百万円、セグメント利益は73百万円となりました。
財政状態は以下の通りです。
(総資産)
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ678百万円増加し、10,520百万円となりました。
これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産や棚卸資産が増加したためであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ406百万円増加し、5,564百万円となりました。
これは主に、支払手形及び買掛金や長期借入金が増加したためなどであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ271百万円増加し、4,956百万円となりました。
これは主に、保有上場会社の時価上昇によるその他有価証券評価差額金の増加及び為替影響に伴う為替換算調整勘定の増加によるものであります。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資有価証券の売却による収入等があったものの、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ172百万円減少し、1,563百万円となりました。
営業活動の結果支出した資金は189百万円となりました。
これは主に、棚卸資産の増加等によるものであります。
投資活動の結果支出した資金は192百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。
財務活動の結果獲得した資金は190百万円となりました。
これは主に、長期借入れによる収入等によるものであります。
当中間連結会計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な事項はありません。
(4) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、73百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の締結又は解除等はありません。