当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは経営ビジョンに、「Creating OPTOPIA(光の理想郷の創造)」を掲げ、その実現を通じ、社会の発展に寄与できるものと考えており、経営の基本方針を次の通り定めております。
Photonics Pioneer (光の先駆者)
① 独創的な光技術でオプトピアの創造と発展に貢献します。
② 尊敬されるリーダーとして市場を先導し、輝ける未来のために世界へ影響を与えます。
③ 顧客、サプライヤー、株主、社員、そして私たちのコミュニティー全体に夢と繁栄を届けます。
(2)経営戦略等
光通信関連市場においては、今後も通信トラフィックの増加に伴い、通信設備投資も堅調に推移するものと見込んでおりますが、過去には投資動向の急激な変動を経験しております。また、当社グループの製品は販売価格の引下げ圧力に常に晒されております。
当社グループは、2026年3月期の基本課題として「高付加価値の新製品開発と市場牽引」を目標に掲げております。潜在的なお客様のニーズをつかみ、必要とされる新製品の開発を進めることで、各市場でトップを目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、高付加価値製品の創出により利益を確保し、株主価値の拡大をはかることを目指し、売上高総利益率50%、売上高営業利益率15%、フリーキャッシュ・フローの確保を目標とすべき経営指標としております。
(4)経営環境
特に米国においてトランプ氏の大統領就任以降、経済政策の不確実性が高まり、中国との関係の悪化も懸念されるなど、引き続き先行きが不透明な状況が続いております。日本においては、景気は緩やかな回復傾向にあり、デフレ脱却に向けて金融政策が行われましたが、米国の政策動向の影響など景気を下押しするリスク要因は依然として残っています。
光通信関連市場においては、在庫調整が一巡したものの、当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況にあります。
当社グループの産業用光測定器の主な販売先である半導体市場においては、調整局面の中で、半導体用シリコンウエハの製造における設備投資の需要は一時落ち着いております。眼科医療機器市場におきましては、世界的な高齢化による白内障手術の需要の高まりにより、世界各国の医療機関における眼軸長測定装置の導入が増加しております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
①業績拡大に向けた取り組み
当社グループは、2024年3月期から2026年3月期までの3か年の基本課題として「高付加価値の新製品開発と市場牽引」を目標に掲げております。潜在的なお客様のニーズをつかみ、必要とされる新製品の開発を進めることで、各市場でニッチトップを目指してまいります。具体的な取り組みとして、産学官での連携強化、スタートアップ・ベンチャー投資、M&A等の手法を用いて、新たな技術と製品の開発・獲得に取り組んでまいります。
光部品関連事業では、従来のパッシブ光部品の小型化・多機能化に加えて、マルチコアファイバを用いた次世代デバイスの研究開発に取り組んでまいります。また、非通信分野においては主にレーザー加工等での応用が期待される高出力レーザーに対応した空間光変調器の研究開発を進めてまいります。
光測定器関連事業の光通信分野におきましては、次世代型波長可変光源の開発やシリコンフォトニクス・量子フォトニクス等の新領域向けの新型測定器の研究開発に注力してまいります。産業分野におきましては、OCT技術を用いた最先端の光計測技術で新市場の開拓を進めてまいります。医療分野におきましては、QOL向上やヘルスケアを増進する次世代製品の研究開発に努めてまいります。
②持続的な成長に向けた取り組み
当社グループは、経営理念であるICCベンチャースピリット(自主性、創造性、目的意識性)を尊重した企業風土のなか、社員一人一人の特性や能力を最大限生かすことのできる職場環境の整備や教育研修の強化に取り組み、人材育成を進めてまいります。
採用方針につきましては、多様性及びグローバルな視野を重視し、性別や国籍を問わず、様々な職歴、キャリアを有する人材を積極的に採用してまいります。
当社グループは、各事業会社が独立採算制の下に迅速な意思決定を行うことで、変化の激しい外部環境の中においても、持続的かつ安定的な事業成長を実現してまいります。
今後も組織再編やM&Aを通じた組織の多層化、国際化が進むことが想定されるため、内部監査、内部統制の体制強化を図り、コーポレートガバナンスのより一層の向上に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、取締役会、担当取締役及び担当執行役員による統制のもと、持株会社の経営管理本部においてグループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理する取組みを行っております。
当社グループは、光技術の革新を通して、世界中に新しい価値を届けることを企業指針とし、人々の自主性、創造性、豊かな個性が開花する、より人間中心の希望に満ちた高度情報化社会、平和で心温まる未来の理想郷(オプトピア)の創造を目指しています。経営基本方針であるVision、Mission、Philosophy、Valuesという4つのpolicyに基づき、事業活動を推進するとともに、社会の課題解決と持続可能な社会の実現に貢献することで、企業価値を向上させることができると考えております。
このような理念のもと、取締役会が基本的な方針やサステナビリティ関連の社会動向について議論し、それを受けて、担当取締役及び担当執行役員が、下部組織である経営管理本部の関係社員と社内で実行可能な取組みや集計可能な指標等について、より具体的な打合せを定期的に行っております。
経営管理本部においては、サステナビリティに関して、国内外の最新の社会動向や法令改正情報などを関係社員と常に共有しており、必要に応じて担当執行役員や関係部署、部署を横断した各種委員会等に連携することで、グループ全体で時勢に合わせた統一的な方針及び取組みの管理が行われるようにしております。
人材の多様性を含む人的資本に関しては、2024年度から経営管理本部の内部で人事部門を総務部門から独立させ、担当取締役及び担当執行役員のリーダーシップのもと、海外子会社を含めた統一的な人事制度の構築や働きがいがあり、安全・健康に働くことが出来る組織への改革等についてそれぞれ責任をもって推進できる組織体制としました。
当社グループは、複数のISO規格の継続的な認証や業務品質向上等のために、経営陣も参加するマネジメントレビューの開催や各部署の製品開発過程の監査、温室効果ガス排出量の測定等を、所属部署の垣根を越えて行っております。このほか、三様監査(内部監査・会計監査人監査・監査等委員会監査)によってサステナビリティ関連のリスクも含めた法令等違反リスクを予防し、組織の規律を高める取組みを行っております。このように、具体的な個々の取組みだけでなく、管理体制についても継続的にグループ全体で改善活動を行っております。
(2) 戦略
当社グループは、より人間中心の希望に満ちた高度情報化社会を目指しており、「柔軟でフラットな組織」(効率よい組織運営で迅速に意思決定)、「多様性とチーム結束」(個性を尊重し、ゴールを共有し一致団結)、「開かれたコミュニケーション」(正直かつ、誠実に話し合い、忌憚なく議論)、「グローバルな視野」(世界中のコミュニティーとのつながりを大切にする)等の経営理念及び社員の行動指針を掲げており、従来から人的資本及びその多様性を重視して経営を行っております。
当社グループは、同規模・同業種の企業のなかでも社員の国際性は既に高い水準にあると考えており、今後も国内外での積極的な採用活動や国外からのインターン受入れなどを含め、人材の採用及び維持において多様性を尊重しつつ、当社グループの行動指針に基づく人材の活躍を支援してまいります。他方で、海外子会社の増加やグループの規模拡大等に応じて、社員同士のコミュニケーションにおける言語の壁や異文化交流の障害、海外子会社も含めた内部統制の複雑化、社員個々人の業務内容の高度化など、人材育成や社内環境整備に関して更に改善するべき点があります。
また、女性活躍推進についても、社会において一層重要な課題となっていることを認識しており、当社グループにおいても社会経済情勢の変化に対応できるよう努めてまいりたいと考えております。
前述の通り、2024年度から経営管理本部の内部で人事部門を独立させ、人材育成や社内環境整備に関してさらに丹念に取り組むことができる体制も整いつつあります。
このような認識のもと、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針といたしまして、採用や人材育成における多様性を引続き重視し高める取組みを行うとともに、グループの規模拡大等に応じて更に社員の語学力等の能力向上に資する取組みや働きがいがあり安全・健康に働くことの出来る会社とする取組みを推進してまいります。
気候変動に関する社会情勢は、米国におけるトランプ大統領の就任に伴う影響や環境保護に関する国際的な枠組みからのグローバル企業の相次ぐ脱退などにより、国内外で急激に変化し複雑化しております。こうした社会情勢において、当社グループが世界に届ける光製品は、製造にあたって汚水排出や化石燃料の使用が少なく、製品自体も環境への負荷が小さいため、環境面における優位性があり貴重な事業成長機会になり得ると認識しております。
このような認識のもと、当社グループは一貫して気候変動を重要な社会課題と捉え、環境への負荷の小さい光製品を世界中へ届け、市場を先導するとともに、社内活動での環境への負荷の低減に努めてまいりたいと考えております。
(3)リスク管理
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、管理するため、前述のガバナンス体制のもと経営管理本部が全社的に統括を行っております。
当社グループは、先に掲げた経営理念及び社員の行動指針のもと、事業部門において顕在化したリスク及び機会について経営管理本部に適時適切に集約されるよう、平時のコミュニケーションが円滑に行われる企業風土を育てております。また、部署を横断した委員会活動やイントラネットでの情報共有、コンプライアンスや女性の職業生活等に関する各種研修の実施、社外カウンセラーや社内関係部署に対する相談窓口・通報窓口の設置等、社内においてリスク及び機会を共有しやすい仕組みを整えております。
これらの活動によって共有された情報は、取締役会、経営会議等においても伝達され議論されており、サステナビリティやESG関連の重点施策・方針の企画に反映されます。なお、当社グループにおけるリスク管理への取組みにつきましては、
(4)指標及び目標
①人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備について
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関して、以下の取組みを行っております。
当社グループは、多様な人材が集結し、働きがいのある会社の形成を目指しています。社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することが、グループの持続的成長の原動力となると考えております。
そのため、性別や国籍を問わず様々な職歴やバックグラウンドをもつキャリア採用を積極的に行っているほか、海外からのインターン生も受け入れるなど、多様性やグローバルな視野を重視した人材の採用及び維持の活動を行っております。
2025年3月末現在、連結全社員(正社員、契約社員、嘱託社員を含む)における女性比率は24.3%、女性管理職は12人、外国籍の社員の比率は37.4%、22か国の社員が活躍しております。加えて、年に2度、学会展示会形式で行われる全社員会議を開催し、海外子会社社員も交えながら社員同士の親睦や交流を深め、社員が様々な価値観に触れる機会を設けています。
経営理念であるICCベンチャースピリット(自主性、創造性、目的意識性)を尊重した企業風土のなか、社員一人一人の特性や能力を最大限生かすことのできる職場環境の整備や教育研修の強化に取り組み、人材育成を進めてまいります。
具体的な指標及び目標につきましては、社内で既に集計している数値や集計可能な数値の調査・取りまとめ、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針とのすり合わせ、社内の各部門との調整等を行っている途上であり、検討中でございます。
②人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する具体的な取組み
上記の他、次のような取組みを行っております。
・階層別教育・専門教育・OJTを中心とした教育体系の中で社内教育を実施。
・階層別教育は、毎年度教育・訓練計画として策定。
・各役職ランクによる教育、新入社員教育、フォローアップ教育、中途社員教育を実施。
・各部門に教育担当を任命し、業務に必要なスキルを伸ばすための教育・訓練計画を策定。
・外部セミナ-や研修、通信教育への参加、社内専門教育としての研修や勉強会を実施。
・資格認定手当・経費を支給し、各人のスキルアップにつながる資格の取得を支援。
・海外子会社での短期教育派遣制度の実施。
・全従業員が健康診断を受診し、健康状態を把握。
・健康づくり担当者の設定。毎月定例ミーティングを行い、健康づくりに関して継続的な改善。
・職場に血圧計を設置し、日常的な健康管理を促進。
・定期的にストレスチェックを実施し、結果に基づき産業医の面談を設定。いつでも相談できる外部無料相談サービスも提供。
・人間ドック受診費用、インフルエンザ予防接種の費用を一部補助。
・20時以降の残業規制の実施。
・育児短時間勤務制度の実施。
③気候変動について
当社グループでは、気候変動に関して、以下の取組みを行っております。
当社グループは従来から、ISO 14001 規格に基づく環境マネジメントシステムを構築・文書化し、企業活動と地球環境の調和を目指し、資源の有効活用と地球環境の保全に積極的に取り組んでおります。こうしたISO規格の継続的な認証等のための活動の他に、社内業務の改善活動として、電気使用の節減やITの活用による紙資源の削減などの取組みも全社的に推進しております。また、当社グループが世界に届ける光製品は、製造にあたって汚水排出や化石燃料の使用が少なく、製品自体も環境への負荷が小さいという特徴がございます。こうした環境面の優位性を活かしながら市場を先導し、環境への負荷の小さい社会インフラ作りに貢献してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 光通信業界の動向
当社グループの主要事業は、光部品関連事業と光測定器関連事業から成っておりますが、光通信業界向けの製品販売が大きな割合を占めております。そのため、当社の業績は光通信業界の動向に大きく左右されます。
現在、光通信業界における設備投資の動向は予測が難しい状況にあり、投資動向が下振れした際には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、過去、通信キャリアによる新規の通信網の整備や新規設備への投資状況は急激な変化を経験してきましたが、今後も急激に変動する可能性があります。通信機器への需要が変動するのに伴い、当社グループの製品に対する需要も変動することが考えられます。この結果、棚卸資産の収益性の低下に伴う簿価の切下げ等、財務情報に影響を及ぼす可能性があります。
また、通信業界ならびに通信機器業界は、引き続き業界再編の渦中にあり、業界各社は、急速に変化する競合状況に適合するため、インターネットや新しい光通信技術や無線通信関係の技術への投資の方向性を探っております。今後さらに、技術の進展等に対応した業界再編が進むことで、当社の顧客が他の会社と提携または統合するなどの事情の発生が当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社との競争
当社グループの主な競合企業は、光通信用のサブシステムやモジュールまたは部品を製造するメーカーであり、光通信機器ベンダーが自ら行う事業部門や、商社などを含みます。
現在、光通信業界を含む光技術業界では、合併、事業統合等の業界再編が行われており、この動きはさらに続くものと予想しております。業界再編により競争がさらに増す可能性があります。
当社グループの既存競合先または新しい競合先の一部は、当社グループよりも財務、技術、営業、購買、生産その他の面で多くの資源を有しております。そのため、これらの競合先が、当社グループよりも新技術や顧客要求の変化に対して素早く対応でき、より強力な競合製品を提供できる可能性があります。
以上のような状況に対処できず、当社グループが十分な競争力を維持できなくなった場合、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料の外部調達
当社グループは、原材料の供給を社外に依存しております。また、一部重要部品においては供給できる外部供給元が限定されております。
当社グループは外部供給元と通常、更新可能な短期契約を結んでおります。当社グループは一定の自己基準を設け、特定供給元への依存を回避する努力をしておりますが、重要部品の不足が生じないという保証はありません。また、外部供給元の事業廃止や製品廃版の可能性もあります。さらに、需要急増に際して、原材料の供給業者が当社グループが必要とする数量を供給できない可能性があります。重要部品が不足すると、原価率上昇、納期遅延などの問題が発生し、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 原材料在庫
当社グループは、短納期かつ多量の注文に対応するため、リードタイムが長い原材料や、他に転用しやすい一部の原材料については、一定量を在庫として保有することがあります。在庫保有量については、受注動向、生産量等を勘案し、適正量となるようにしていますが、予想外の大量注文や仕入先の生産動向の急激な変化などによって、必要量を調達できなかった場合、当社グループの業績または財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。反対に、市場環境等の変化により過剰な在庫となった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 製品の欠陥
製品に欠陥があったり、重大なトラブルにつながる問題が生じたりした場合、当社グループのブランドに対する信頼または評価の喪失、保守サービス及び保証費用等の増加、顧客からの法的手段による請求や、保険料等の費用の増加をもたらす可能性があります。また、欠陥対応へリソースを割くことに起因する新製品開発の遅れ、売上高の減少、市場シェアの喪失、新規顧客獲得力の喪失を招く可能性があります。
⑥ 製造物責任
当社製品には、通信網を支える最重要箇所に用いられたり、医療機器等に組み込まれたりするなど、製品の設計や品質が極めて重要な意味を持つものがあります。当社製品の設計や品質、説明書の不十分な表示等に起因して、他人の身体や財産に損害を与えた場合、製造物責任を問われる可能性があります。
⑦ 新製品開発
当社グループは研究開発型企業として、新製品開発に関して以下のリスクを有しております。
1) 技術の急激な進歩、顧客の要求の変化、規格・標準の変動に対し、当社グループが開発している製品・技術が適合できない可能性があること。
2) 新製品や新技術の開発に必要な資金や資源を十分に投入できる保証がないこと。
3) 新製品または新技術の市場投入の遅れにより、当社グループの製品が陳腐化する可能性があること。
4) 新製品・新技術を開発したとしても、市場からの支持を広く獲得できるとは限らず、これらの製品の販売が成功する保証がないこと。
上記リスクをはじめとして、当社グループが顧客ニーズや、市場ニーズの変化を的確に把握することができず、魅力ある新製品を開発できない場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させ、業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権
当社グループは、事業戦略上重要な製品または技術に関しては、特許申請などにより、積極的に権利の保全を図っております。しかし、特定の地域においては、知的財産権保護が不完全であることなどにより、当社グループ製品・技術が模倣または解析調査などされることを防止できない可能性があります。
また、当社グループは、第三者からの訴訟提起や権利侵害の主張を受ける事態を未然に防止するため、特許事務所を通じた特許調査を随時行っております。しかし、第三者の権利を侵害していないことを完全に調査し確認することは極めて困難です。現時点において当社グループが認識していない第三者の特許等の知的財産権の侵害の事実が存在する可能性は完全には否定できず、また今後、当社グループが第三者から特許権その他知的財産権の侵害を理由に各種請求を受けないという保証はありません。仮に当社グループが第三者から請求や訴訟提起等を受けた場合には、当社グループとしましては専門家と相談のうえ、慎重に対応を行っていく方針でありますが、その場合、多大な費用と時間を要する可能性があります。その結果によっては、当社グループのその後の事業戦略や、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 特定顧客への集中
当社グループは、国内外の主要な通信機器メーカーを主な販売先としております。事業環境の動向によっては、特定顧客に対する働きかけを強化する必要が生じ、当該顧客への依存度が高まる可能性があります。このため、通信機器メーカーを中心とする少数の顧客への営業活動が当社グループの計画通りにいかなかった場合や、当該顧客における光通信機器事業の業績不振、同事業からの撤退、多額の損失の発生、さらには、事業再編などの要因によって、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この対策として、当社グループは、特定企業への依存を制限する自己基準を設けて取引先の分散を図っております。
⑩ 受注の変動
当社グループは、製品の販売に関して、顧客との間で、原則として、個々の注文ベースにより販売をしております。
顧客によっては、契約内容は以下のような条件になっているものもあります。
1) 当社グループ製品の購入を違約金等の制裁なくいつでもやめることができること。
2) 当社グループの競合先から自由に製品を購入できること。
3) 最低購入数量が要求されていないこと。
4) 一定の条件下では当社グループに対する注文をキャンセルできること。
5) 将来の購入を約することなく、保証・代替品在庫を当社グループにて保有すること。
また、当社グループの主要な販売先からの受注は平準化されておりません。
さらに、当社グループの費用の支出額は、将来の受注に対する予測に基づいています。受注が予想を大きく下回り、かつ、費用を調整することができない場合、当社グループの業績が悪化する要因となります。
⑪ 販売単価の下落と収益性
競合他社との価格競争、新製品や新技術の導入、重要顧客からの圧力等により、一部製品の販売価格は下落傾向にあります。当社グループが販売単価下落幅を上回る原価削減ができなかった場合や、十分な利益を確保できるだけの売上を獲得できなかった場合、当社グループの収益が悪化し、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 資金調達について
当社グループの設備投資(研究開発投資)は現在自己資金の充当によって実施しておりますが、事業戦略及び新製品開発の状況によっては新たな資金調達を必要とすることがありえます。その際に計画通り資金調達できない場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 海外への事業展開に潜在するリスク
当社グループは、アメリカをはじめ、中国、ヨーロッパ諸国等、グローバルに販売活動を展開しております。また、製造原価の低減を目的として、アジアや新興国等における生産・調達割合を高めております。こうした海外市場への事業展開は、以下のようなリスクを内包しております。
1) 予測しない法律または規制の変更。
2) 不利な政治的または経済的要因。
3) 人材の採用と確保の難しさ。
4) 未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼすこと、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性。
5) 潜在的に不利な税制による影響。
6) テロ、戦争、その他の要因による社会的、経済的混乱。
当社グループは、製品に価格競争力をつけ、かつ生産量増大に柔軟に対応するため、特にベトナム社会主義共和国(ベトナム)における生産を行っております。ベトナムにおける政治や法環境の変化、労働力の不足、ストライキ、経済・社会状況の変化など、予期せぬ事象によりこうした計画の遂行に問題が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの海外市場への展開、製品の納期順守、新規の受注等に支障が生じ、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、上述の海外事業展開に関わる取引を主として米ドルによって行っております。また、販売地によって、英ポンド、ユーロ、中国人民元などでも行っています。当社グループでは為替変動による影響を最小限にする活動に取り組んでおりますが、これら通貨に急激な変動等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
⑭ 人材の確保・育成
当社グループが今後成長していくためには、営業活動及び研究開発活動ならびに組織管理のための優秀な人材を確保することが重要であります。しかしながら、必ずしも優秀な人材の育成・獲得・維持が可能であるとは限りません。適正な人材の獲得・育成・維持確保が計画通りに進行しなかった場合には、当社グループの業務や事業計画の遂行に支障が生じる可能性があります。
⑮ 経営者ならびに重要な使用人の事故
当社グループは、代表取締役・社長執行役員 鄭 元鎬のリーダーシップならびに対外交渉能力により牽引されております。また、他の取締役ならびに一部の使用人においても代替の難しい能力を持つ者がおります。これらの者が事故に遭う可能性は常にはらんでおり、事故があった場合、当社グループの業務執行について一時的または長期的な影響が発生します。そのため、状況によっては当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この対策として、当社グループでは特定の人物への依存を軽減し分散することを明示的な目標として取り組んでおります。
⑯ 自然災害、伝染病流行、インフラの損傷等による影響
当社グループの主たる営業拠点及び生産拠点は愛知県小牧市にあります。同地域内で発生した自然災害や伝染病の流行、電気・ガス・水道・交通機関などインフラの損傷や停止等は、当社グループの事業活動に大きな影響を与えるおそれがあります。特に、同地域は、政府の中央防災会議において、地震が発生した際は大きな被害が想定される地域であるとして、南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されております。
こうした災害等の発生地域内に、当社グループの重要顧客や仕入先が関係する営業拠点、生産拠点があった場合、当社の営業活動や生産活動に著しい影響を与える可能性があります。
⑰ 為替や株式市場の変動による影響
当社グループにおいては、余剰資金の有効な運用のため、社内規程に基づいて、株式、債券、外貨預金、あるいは、それらを組み合わせた金融商品を保有しております。これらについて、市況の悪化や投資先の業績不振による株価下落等によって、評価損や為替差損の計上が必要となる可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで、以下、「当期」)の世界情勢は、特に米国においてトランプ氏の大統領就任以降、経済政策の不確実性が高まり、中国との関係の悪化も懸念されるなど、引き続き先行きが不透明な状況が続いております。日本においては、景気は緩やかな回復傾向にあり、デフレ脱却に向けて金融政策が行われましたが、米国の政策動向の影響など景気を下押しするリスク要因は依然として残っています。
このような状況のなか、当社グループは2025年3月期の基本方針として「高付加価値の新製品開発と市場牽引」を掲げ、事業活動に取り組んでまいりました。
当期の売上高は、24,026百万円(前期比27.3%増)となりました。これは、光通信用光測定器の販売が好調に推移したことによるものです。為替が円安に推移したことも売上高の水準を一段押し上げる要因となりました。
営業利益は7,429百万円(前期比33.5%増)、経常利益は7,887百万円(前期比25.9%増)、投資有価証券評価損464百万円の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は5,067百万円(前期比31.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
|
|
売上高 (百万円) |
前年同期比(%) |
セグメント利益 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
光部品関連事業 |
4,500 |
19.3% |
995 |
21.0 |
|
光測定器関連事業 |
17,954 |
29.1 |
6,279 |
36.9 |
|
報告セグメント計 |
22,454 |
27.0 |
7,274 |
34.5 |
|
その他 |
1,572 |
32.3 |
154 |
△0.4 |
|
合計 |
24,026 |
27.3 |
7,429 |
33.5 |
当期末の総資産は、29,527百万円となり、前期末(25,828百万円)に比べ3,699百万円増加しました。流動資産 は、主に現金及び預金が増加したことにより、前期末に比べ2,472百万円増加し、20,268百万円となりました。固定 資産は、9,259百万円と前期末(8,032百万円)に比べ1,226百万円増加しました。これは主に土地を取得したことに よるものです。
負債は、8,099百万円と前期末(8,092百万円)に比べ6百万円増加しました。未払法人税等が減少した一方で、借入金が増加しました。
純資産は、21,428百万円となり前期末(17,735百万円)に比べ3,692百万円増加しました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものです。この結果、自己資本比率は72.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3,274百万円増加し、12,647百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、6,001百万円の収入となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益7,462百万円、減価償却費576百万円、投資有価証券評価損益464百万円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額2,631百万円、受取利息及び受取配当金265百万円、仕入債務の減少156百万円であります。
前連結会計年度との比較では、2,720百万円の収入増加となりました。(前連結会計年度は3,281百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,883百万円の支出となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入374百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,733百万円、有価証券及び投資有価証券取得による支出524百万円であります。
前連結会計年度との比較では、1,689百万円の支出増加となりました。(前連結会計年度は194百万円の支出)
なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの金額から投資活動によるキャッシュ・フローを控除したフリーキャッシュ・フローは、4,117百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、700百万円の支出となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入1,000百万円であり、主な減少要因は、配当金の支払1,407百万円、長期借入金の返済による支出253百万円であります。
前連結会計年度との比較では、487百万円の支出増加となりました。(前連結会計年度は213百万円の支出)
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回次 |
第42期 |
第43期 |
第44期 |
第45期 |
第46期 |
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決算年月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
|
株主資本比率(%) |
82.4 |
70.4 |
70.8 |
64.5 |
68.8 |
|
時価ベースの株主資本比率(%) |
168.3 |
94.7 |
151.2 |
242.7 |
193.4 |
|
営業キャッシュ・フローマージン(%) |
21.4 |
15.8 |
20.4 |
17.4 |
25.0 |
|
フリ―キャッシュ・フロー(百万円) |
1,286 |
△694 |
2,325 |
3,087 |
4,117 |
(注)株主資本比率:株主資本 / 総資産
時価ベースの株主資本比率:株式時価総額 / 総資産
営業キャッシュ・フローマージン:営業活動によるキャッシュ・フロー / 売上高
フリーキャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー - 投資活動によるキャッシュ・フロー
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式数を控除)により算出しています。
3.営業活動によるキャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
4.第44期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、第43期の株主資本比率は、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の比率により開示しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
光部品関連事業(千円) |
2,305,789 |
117.2 |
|
光測定器関連事業(千円) |
6,550,319 |
112.1 |
|
合計 |
8,856,109 |
113.4 |
(注)金額は製造価額によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
光部品関連事業 |
5,544,900 |
145.6 |
2,566,051 |
168.6 |
|
光測定器関連事業 |
16,972,904 |
148.2 |
5,650,844 |
76.5 |
|
報告セグメント計 |
22,517,804 |
147.6 |
8,216,896 |
92.2 |
|
その他 |
1,571,057 |
131.6 |
8,023 |
88.9 |
|
合計 |
24,088,862 |
146.4 |
8,224,920 |
92.2 |
(注)金額は販売価額によっております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
光部品関連事業(千円) |
4,500,593 |
119.3 |
|
光測定器関連事業(千円) |
17,954,060 |
129.1 |
|
報告セグメント計(千円) |
22,454,654 |
127.0 |
|
その他(千円) |
1,572,062 |
132.3 |
|
合計(千円) |
24,026,716 |
127.3 |
(注)前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Alcon, Inc. |
5,257,675 |
27.9 |
5,170,663 |
21.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 当社グループの当連結会計年度の経営成績等
当連結会計年度の売上高は、24,026百万円(前期比27.3%増)となりました。
売上高の増加要因は、大きく2つです。
1つ目は、光通信用の光測定器の売上高が伸長したこと、2つ目は、円安による海外売上高の増加が寄与したことによります。平均為替レートは、152円と計画レートに対して2円の円安となりました。
売上総利益は14,019百万円(前期比34.6%増)となり、売上総利益率は58.4%と、前期比3.1ポイント改善しました。これは、売上高の増加によるものです。
販売費及び一般管理費の総額は6,590百万円と、前期比1,737百万円増加しました。これは、開発人員をはじめとした人材採用の強化及び好調な業績に伴う給与等の増加並びに研究開発費の増加によるものです。
営業利益は、7,429百万円と、前期比1,864百万円(33.5%増)の増益となりました。売上高営業利益率は30.9%と1.4ポイント改善しました。
経常利益は、7,887百万円と、前期比1,622百万円(25.9%増)の増益となりました。
投資有価証券評価損464百万円の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は5,067百万円(前期比31.6%増)となりました。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、高付加価値製品の創出により利益を確保し、株主価値の拡大をはかることを目指し、売上高総利益率50%、売上高営業利益率15%、フリーキャッシュ・フローの確保を目標とすべき経営指標としております。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<光部品関連事業>
当事業では、主に光伝送機器メーカーに対して光モニタ、光アッテネータ、光フィルタ等の光通信用部品を提供し
ております。また、LCOS技術を利用した空間光変調器を光計測、光加工、量子コンピューティングを含む光情報処理
分野に提供しております。
当事業を取り巻く光通信関連市場におきましては、中長期的には通信トラフィックの増加に伴い、世界各国で5G
通信網やデータセンタの設備投資の増強が進められている途上にあります。2023年度期初から続いていた在庫調整は
当期半ばには落ち着きを見せ、当社光部品に対する需要は回復基調にあります。
需要の回復に伴い、売上高は4,500百万円と前期比で19.3%の増収となり、セグメント利益は995百万円と前期比で
21.0%の増益となりました。
<光測定器関連事業>
当事業には(1)光通信用光測定器事業、(2)産業用光測定器事業、(3)医療用光測定器事業が含まれており
ます。当期の売上高は17,954百万円と、前期の13,908百万円から29.1%増加しました。セグメント利益は6,279百万
円となり、前期のセグメント利益4,587百万円に比べて36.9%増益となりました。
光通信用光測定器につきましては、安定的な成長を続けており、スポット的な売上が複数あったことも好業績に寄
与しました。特に第1四半期の中国における光学特性検査装置のスポット的な販売と、通期の北米におけるコネクタ付き光ファイバーケーブル検査装置の販売が貢献しました。
産業用光測定器につきましては、日本において半導体用シリコンウエハの製造にかかる設備投資の需要が堅調で、
中国における医療用及び工業計測用の光源の販売も好調に推移しました。
医療用光測定器につきましては、第3四半期には販売代理店の一時的な在庫調整がありましたが、米国を中心に需
要が底堅く、光学式眼内寸法測定装置(製品名:ARGOS®)の販売は前期並みとなりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、当期末現在、約126億円の現金及び現金同等物を有しています。
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、研究開発投資によるものであります。また、今後は、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。現時点におきましては、これらの資金を営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金や金融機関からの借入金により充当していく予定であります。
資金の流動性については、固定費の18カ月分を目安に適正水準の範囲で当社グループのキャッシュバランスを総合的にコントロールする方針です。また、投資有価証券の償還や売却を進めることで手許流動性を確保しており、資金的な不安はありません。引き続き、成長領域への投資を強化しつつ、手許流動性を高めることに努めます。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(子会社による株式取得)
当社の連結子会社であるsantec LIS株式会社は、2025年5月28日開催の取締役会において、MOG LABORATORIES PTY LTDの株式を取得することを決議し、2025年5月29日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、2025年7月1日付で株式を取得する予定でおります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。
当社グループにおける研究開発活動は、光通信分野で用いられる製品の開発を中心に展開されております。また、当社の光技術を光通信以外の分野に応用する空間光変調器やOCT測定器等の研究開発にも取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費は、
(1)光部品関連事業
当事業においては、基地局、データセンタや海底ケーブル等に用いられる小型かつ多機能な光部品の研究開発に取り組んでおります。2025年3月には、50GHz超狭線幅MEMS可変フィルタ(製品名:MTF-Narrow)を開発いたしました。
また、マルチコアファイバ光部品の開発企業であるKS Photonics Inc.(本社:韓国大田広域市)とマルチコアファイバ用途における次世代光技術の開発を加速する目的で、2025年3月に資本・技術提携契約を締結しました。
非通信分野においては、国内外の大学・研究機関と協力してLCOS(Liquid Crystal on Silicon)技術を利用した空間光変調器等の研究開発を行っております。
当連結会計年度中における、当事業に関連する特許出願は9件、特許登録は8件となっております。
当事業に係る当連結会計年度の研究開発費は
(2)光測定器関連事業
当事業の光通信分野においては、シリコンフォトニクスや量子フォトニクス等の新規アプリケーションへ向けた新製品の開発が研究課題となります。2024年9月には、測定距離を拡大した波長掃引型フォトニクスアナライザ(製品名:SPA-110)、及び波長可変レーザの周波数安定化を可能にするレーザサーボコントローラ(製品名:LLP-100)を開発しました。また、2025年1月には、機能を向上させた光パワーメータ(製品名:MPM-220)、及び汎用性を高めた光パワーメータモジュール(製品名;MPM-217)を開発しました。
産業分野においては、半導体製造装置向け計測器の応用拡大と最先端OCT技術を用いた新規アプリケーションの開拓が研究課題となります。
医療分野においては、7つの主要パラメータを計測できる全眼イメージング測定器(製品名:ARGONAUT)の開発を進めております。
当連結会計年度中における、当事業に関連する特許出願は5件、特許登録4件となっております。
当事業に係る当連結会計年度の研究開発費は