第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項は、次のとおりです。変更箇所は下線で示しており、変更箇所以外の記載を一部省略しています。

 なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。

 

(13) 独占禁止法令に基づく手続について

(前略)

 なお、当社および関係する連結子会社は、現在、液晶ディスプレイの価格カルテル嫌疑に基づき、一部の競争法関係当局による調査を受けていますが、現時点においてかかる調査の結果および終結の時期を予測することは困難です。

 

(14) 重要な訴訟について

(前略)

 当社の連結子会社であるEpson Deutschland GmbH(以下「EDG」という。)は、2004年1月にドイツにおける著作権料徴収団体であるVerwertungsgesellschaft Wortより、シングルファンクションプリンターの著作権料の支払いを求める民事訴訟を提起されました。EDGは訴訟手続きを進める一方、ドイツIT関連業界団体BITKOM(Bundesverband Informationswirtschaft, Telekommunikation und neue Medien e.V.)を通じて和解による解決に向けた協議を進めた結果、合意に至りました。これにともない、本訴訟は取下げられ終結いたしました。

(後略)

 

2【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結などはありません。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間における経済環境を顧みますと、中国をはじめとした新興国経済の減速と、資源価格の大幅下落などから世界経済の回復の勢いは鈍化しました。地域別に見ますと、米国では雇用拡大と労働需給の改善による賃金の伸びが消費を支え、緩やかな景気拡大が続き、12月には7年間続いたゼロ金利を解除するまでになりましたが、南米は資源価格と通貨の下落により景気が減速基調で推移しました。欧州においては、景気は緩やかに回復しているものの、難民の問題、ロシア経済の不振など不透明感が拭えない状況となっています。アジアにおいては、中国経済が減速し、対中輸出の減少を受けたASEAN地域の経済成長も鈍化していますが、インドでは景気が緩やかに回復しています。日本は、金融・財政の政策効果などもあり雇用・所得環境の改善傾向が続いたものの、輸出の弱含みや在庫調整などもあり、景気は総じて横ばい圏で推移しました。

 このような状況の中、エプソンの主要市場につきましては、以下のとおりとなりました。

 インクジェットプリンターの需要は、北米・欧州が前年同期並みに推移しました。大判インクジェットプリンターの需要は、北米・欧州・日本が堅調に推移しましたが、南米では景気減速の影響により低調でした。シリアルインパクトドットマトリクスプリンター(SIDM)の需要は、米州・欧州での縮小が継続し、中国での徴税市場での買替需要も縮小しました。POSシステム関連製品の需要は、北米・欧州・日本が安定的に推移しました。

 プロジェクターの需要は、前年のサッカーワールドカップ特需の反動があり、また経済状況が不透明な欧州と南米では需要が低迷し、アジアも景気後退懸念から低調でした。

 電子デバイス製品の主要なアプリケーションの市場では、携帯電話の需要は従来型の減速が続いた一方、スマートフォンの需要は堅調に推移しました。デジタルカメラ市場の需要は低調でした。

 精密機器製品に関連する市場では、ウオッチの需要は、日本がインバウンド需要の貢献もあり好調で、欧州も堅調に推移しましたが、中国は消費の低迷により低調でした。また、産業用ロボットの需要は、自動化要求の高まりを受け電子・電気機械産業向けを中心に増加しました。

 以上のような状況のもとで、エプソンは、2013年3月に「SE15後期 新中期経営計画」(以下「新中期計画」という。)を策定し、新中期計画の3カ年(2013年度~2015年度)においては、長期ビジョン「SE15」で掲げた戦略の基本的な方向性は堅持しつつ、「売上高成長を過度に追わず、着実に利益を生み出すマネジメントの推進」を基本方針とし、安定的な利益およびキャッシュの創出を最優先した経営を行っており、そのために、既存事業領域では商品構成の見直しとビジネスモデルの転換を図り、新規事業領域では積極的な市場開拓に取り組んでまいりました。新中期計画の最終年度となる今期においては、「売上高成長を過度に追わず、着実に利益を生み出すマネジメントの推進」を基本方針としつつ、新中期計画の進捗にともなう利益増を原資として中期的な成長のための投資と費用を戦略的に投下するなど、今後の更なる成長を見据えた経営を進めています。

 当第3四半期連結累計期間の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ121.70円および134.36円と前年同期に比べ、米ドルでは14%の円安、ユーロでは4%の円高で推移しました。なお、南米などの一部の新興国通貨は円高で推移しました。

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上収益は8,374億円(前年同期比2.8%増)、事業利益(※)は727億円(同14.9%減)、営業利益は819億円(同26.0%減)、税引前四半期利益は803億円(同28.7%減)、四半期利益は552億円(同39.0%減)となりました。

 なお、前年同期の営業利益には、確定給付企業年金制度改定にともなう過去勤務費用減少の影響300億円の増益要因が含まれており、また前年同期の四半期利益には繰越欠損金の活用にともなう税金費用の減少効果が含まれています。

 

 ※ 事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。

 

 報告セグメントごとの業績は、次のとおりです。

 なお、「新中期計画」を総仕上げし2016年度以降を見据えた最適フォーメーションを構築すべく、2015年4月1日付で組織を変更したことにともない、第1四半期連結会計期間より、セグメント区分を変更しております。まず、従来の情報関連機器事業セグメントに含まれていたプリンティングシステム事業、従来の情報関連機器事業セグメントの中のビジュアルコミュニケーション事業に含まれていたラベルプリンター事業、従来のセンサー産業機器事業セグメントに含まれていた産業用インクジェット印刷機事業を統合し、「プリンティングソリューションズ事業セグメント」として開示しております。また、従来の情報関連機器事業セグメントに含まれていたビジュアルコミュニケーション事業からラベルプリンター事業を除き「ビジュアルコミュニケーション事業セグメント」として開示しております。さらに、従来のデバイス精密機器事業セグメントに含まれていた水晶デバイス・半導体・プレシジョンプロダクツの各事業、従来のセンサー産業機器事業セグメントに含まれていたセンシングシステム機器および産業用ロボット・ICハンドラー事業を統合し、「ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメント」として開示しております。

(プリンティングソリューションズ事業セグメント)

 プリンター事業の売上収益は為替影響もあり増加となりました。製品別の内容は以下のとおりです。

 インクジェットプリンターは、インクカートリッジモデルが数量減少となったものの、大容量インクタンクモデルが商品ラインアップ強化と販売地域の拡大により、アジアを中心に引き続き大幅な売上の拡大を果たし、全体でも売上は増加しました。また消耗品も、プリンター本体の市場稼働台数の構成改善効果により売上増となりました。ページプリンターは、高付加価値製品中心へ販売を絞り込んだことにより数量減少となった結果、売上は減少しました。SIDMは、市場縮小傾向により数量減少となったものの、通帳プリンターが欧州と中国を中心に置き換え需要とシステムアップグレード需要により売上の拡大を果たし、全体では売上は増加しました。

 プロフェッショナルプリンティング事業の売上収益は為替影響もあり増加となりました。製品別の内容は以下のとおりです。

 大判インクジェットプリンターは、南米の通貨下落と景気減速、中国経済の伸長鈍化の影響があったものの、大判写真・色校正(プルーフ)印刷市場向け製品が引き続き堅調で、インクジェット捺染市場はアパレルから小物グッズ、インテリア系まで応用領域が拡大し売上が増加しました。また消耗品も、インク消費需要が増え売上増となりました。POSシステム関連製品は米州・欧州での小型レシートプリンターの需要増を中心に売上が増加し、またオンデマンドでインハウス印刷を実現するラベルプリンターはカラーラベル用途のニーズが伸長し売上増となりました。

 プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益につきましては、インクカートリッジモデルの日本と北米市場における価格競争、ドル高による海外生産品の製造コスト増、中期的な成長のための投資と費用の戦略的な投下などにより減益となりました。

 以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は5,615億円(前年同期比2.9

%増)、セグメント利益は811億円(同11.4%減)となりました。

 

(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)

 ビジュアルコミュニケーション事業の売上収益は為替影響もあり増加となりました。液晶プロジェクターは、欧米の教育案件の減少、南米の通貨下落と景気減速、中国経済の伸長鈍化の影響があったものの、北米・アジア・日本において販売を伸ばし売上増となりました。

 ビジュアルコミュニケーション事業セグメントのセグメント利益につきましては、教育案件の減少に伴う高付加価値製品の販売減、ドル高による海外生産品の製造コスト増、中期的な成長のための投資と費用の戦略的な投下などにより減益となりました。

 以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は1,412億円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は131億円(同17.9%減)となりました。

 

(ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメント)

 ウエアラブル機器事業の売上収益は、ウオッチの高価格品の販売増加による平均販売単価の上昇効果および日本・欧州での販売が堅調に推移したことや為替影響により増加となりました。

 ロボティクスソリューションズ事業の売上収益は、産業用ロボットが前年同期に大型受注があった影響で売上減となりましたが、その影響を除くと中国・日本・欧州向けの受注増により売上増でした。ICハンドラーはスマートフォン向け半導体の成長鈍化と代理店在庫調整の影響で売上減となりました。

 マイクロデバイス事業の売上収益は、為替影響があったものの減少となりました。水晶デバイスは、車載用の販売が増加したものの、携帯電話などのパーソナル機器向けの数量減と価格下落の進行により売上減となりました。半導体は、市況の悪化などにより売上減となりました。

 表面処理加工事業は新規顧客開拓の進展により、また金属粉末事業はモバイル機器向け高機能材料粉末が好調で、売上増となりました。

 ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントのセグメント利益につきましては、表面処理加工事業と金属粉末事業の売上増、またマイクロデバイス事業の費用削減効果と現地通貨安による海外生産品の製造コスト減もあり増益となりました。

 以上の結果、ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントの売上収益は1,348億円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は117億円(同22.1%増)となりました。

 

(その他)

 その他の売上収益は9億円(前年同期比0.4%増)、セグメント損失は4億円(前年同期は2億円のセグメント損失)となりました。

 

(調整額)

 報告セグメントに帰属しない新規事業および基礎研究に関する研究開発費や本社機能に係る費用を中心とした販売費及び一般管理費の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△328億円(前年同期の調整額は△314億円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、684億円の収入(前年同期は735億円の収入)となりました。これは四半期利益が552億円であったのに対し、売上債権および棚卸資産の増加117億円などによる減少要因があった一方で、減価償却費及び償却費の計上347億円などによる増加要因があったことによります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形資産の取得による支出495億円に対して、投資不動産の売却による収入138億円などにより、347億円の支出(前年同期は331億円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増93億円があった一方で、社債の償還による支出400億円や配当金の支払250億円などがあったことにより、559億円の支出(前年同期は362億円の支出)となりました。

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の四半期末残高は、2,191億円(前年同期は2,303億円)となりました。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、エプソンが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 なお、当社は、財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めており、その内容など(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は、次のとおりです。

 

①基本方針の概要

 当社は、当社の株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えます。したがって、当社の財務および事業の方針の決定を支配することが可能な数の株式を取得する買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご意思に委ねられるべきものと考えます。

 当社は、企業価値や株主共同の利益を確保・向上させていくためには、役職員が一体となって価値創造に向けて取り組むことや、創業以来の風土を大切にしながら創造と挑戦を続けていくこと、お客様の信頼を維持・獲得していくことが不可欠と考えております。

 しかし、株式の大量取得行為のなかには、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることにならないものも存在します。当社は、このような不適切な株式の大量取得行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当ではなく、このような者による大量取得行為に対しては必要かつ相当な手段をとることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

②基本方針の実現に資する取組みの概要

1)基本方針の実現に資する特別な取組み

 2013年度を初年度とする「SE15後期 新中期経営計画」では、長期ビジョン「SE15」で掲げた戦略の基本的な方向性は堅持しつつ、「売上高成長を過度に追わず、着実に利益を生み出すマネジメントの推進」を基本とし、安定的な利益およびキャッシュの創出を最優先した経営を行っております。

 今後、エプソンは独自の強みを発揮できる領域に経営資源を集中し、事業領域の拡大や次世代を担う新規事業の強化を図ることにより、再び力強く成長する企業への転換を進めてまいります。

 

2)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、2008年6月の定時株主総会において導入し、2011年6月の定時株主総会において更新した当社株式の大量取得行為に関する対応策について、2014年6月24日の定時株主総会において、旧対応策を形式的な文言の修正をしたうえで更新することについて株主の皆様のご承認をいただきました(以下、更新後のプランを「本プラン」という。)。

 本プランは、当社株券等に対する大量買付が行われた際に、当該買付に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な時間および情報を確保するとともに、株主の皆様のために、大量買付者と協議交渉などを行うことを可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大量買付を抑止することを目的としております。具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株券等の買付または公開買付けを実施しようとする買付者に、意向表明書ならびに株主の皆様の判断および特別委員会の評価・検討などのため必要かつ十分な情報を事前に当社取締役会へ提出すること、本プランに定める手続きを遵守することを求めております。そのうえで、当該買付行為が、本プランに従わない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると判断された場合は、当該買付行為を阻止するための対抗措置を発動するプランとなっております。

 一方、当社取締役会は、対抗措置の発動について、取締役会の恣意的判断を排除するため、独立性の高い社外者などから構成される特別委員会の判断を経ることとしております。特別委員会は、買付内容の検討、当社取締役会への代替案などの情報の請求、株主の皆様への情報開示、買付者との交渉などを行います。特別委員会は、対抗措置発動の要否を当社取締役会に勧告し、当社取締役会はその勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動または不発動に関する決議を速やかに行うこととしております。

 

③具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

 上記② 1)に記載した取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。

 また、本プランは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって導入(更新)されたものであり、上記①に記載した基本方針に沿うものです。特に、本プランは、株主総会において株主の皆様のご承認を得たうえで導入(更新)されたものであること、その内容として合理的な客観的発動要件が設定されていること、当社経営陣から独立性の高い者のみから構成される特別委員会が設置されており、対抗措置の発動に際しては必ず特別委員会の判断を経ることが必要とされていること、特別委員会は当社の費用で第三者専門家の助言を得ることができるとされていること、有効期間が導入(更新)から約3年と定められたうえ、取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、高度の合理性を有し、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるエプソンの研究開発活動の金額は393億円です。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、エプソンの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。