第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①財政状態

当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に対して272億円減少し、1兆136億円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が配当金の支払いなどにより156億円減少したことに加え、売上債権及びその他の債権が286億円減少した一方で、棚卸資産の増加218億円があったことなどによるものです

負債合計は、前連結会計年度末に対して201億円減少し、5,147億円となりました。これは主に、仕入債務及びその他の債務の減少74億円やその他の流動負債の減少129億円があったことなどによるものです

なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して65億円減少し4,971億円となりました。これは主に、利益剰余金が確定給付制度の再測定53億円により増加する一方で、親会社の所有者に帰属する四半期損失2億円の計上および配当金の支払107億円により減少したことなどによるものです。

 

②経営成績

当第1四半期連結累計期間における経済環境を顧みますと、景気は新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を受け、各国で実施されたロックダウンや移動規制などの経済活動制限の影響により、グローバルベースで急速な景気後退の局面にあります。また、先行きについては、経済活動の再開が段階的に進められるなかで、極めて厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待されますが、新型コロナウイルス感染症の今後の影響や各国政府における対応、さらに金融資本市場への波及等、今後のリスクとして想定すべきことが多いため、非常に不透明な状況となっています。地域別に見ますと、新興国では、インドや東南アジア、中南米の一部で経済活動の制限継続の影響を受け、厳しい経済状況が続いています。早期に経済活動が再開された中国においては、足元では持ち直しの動きが強くなっていますが、これまで高い成長率を続けてきたのに対し、現在は景気後退にまで落ち込む状況になっており、世界経済にも大きなマイナス影響を与えています。さらに、先進国の日本、米州および欧州については、規制緩和の動きが段階的に進んでおり、一時期の急速な落ち込みは下げ止まりつつあります。ただし、今後の動向には引き続き注視が必要な状況です。

当第1四半期連結累計期間の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ107.54円および118.39円と前年同期に比べ、米ドルは2%の円高、ユーロは4%の円高に推移しました。また、中国や南米など新興国の通貨についても円高に推移しました。

 

このような状況の中、売上収益は、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、先進国では主にインクジェットプリンターで在宅需要増のプラス効果を受けることができましたが、新興国で経済活動制限による需要減少の影響を大きく受け、すべての事業セグメントでマイナスとなり、1,932億円(前年同期比22.6%減)となりました。事業利益()は、減収によるマイナス影響を大きく受けながらも、新型コロナウイルスの感染拡大に対して、即時に費用削減の取り組みを全社で徹底して行ったこと等により、43億円(同3.2%減)となりました。営業利益は20億円(同40.1%減)、税引前利益は11億円(同59.7%減)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は2億円(前年同期は2億円の四半期利益)となりました。

 

 ※ 事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。

 

報告セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

(プリンティングソリューションズ事業セグメント)

プリンター事業の売上収益は減少となりました。オフィス・ホーム用インクジェットプリンター本体のうち、大容量インクタンクモデルでは北米、西欧および中国においては、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、在宅勤務や家庭学習の機会が増加したことによる家庭での印刷ニーズの高まりから販売が増加する一方、インド、東南アジア、南米では、経済活動制限の影響を受け大きく販売が減少したこと、さらに新型コロナウイルス影響によって製造工場の操業が一時的に低下または停止となって、十分な製品供給が行えなかった等により、売上収益が減少となりました。これらに加え、為替のマイナス影響も受けたことから、オフィス・ホーム用インクジェットプリンター本体全体で販売減少となりました。消耗品は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、家庭での印刷ニーズの高まり等により、SOHO・ホーム向けのインクカートリッジの販売が増加し、売上増加となりました。一方、シリアルインパクトドットマトリクスプリンターについては、市場縮小に伴う販売減少および為替のマイナス影響により、売上減少となりました。

プロフェッショナルプリンティング事業の売上収益は減少となりました。商業・産業用インクジェットプリンターは経済活動制限の影響を強く受け、販売が減少したことに加え、為替のマイナス影響により、売上減少となりました。POSシステム関連製品は昨年度のイタリアでの税制改定に伴う需要増の反動に加え、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動制限の影響を受け、需要が減少したことにより販売が減少しました。

その他はOS切り替えに伴うPCの需要増があった前期に対して減収となりました。

プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、減収の影響に加え、為替のマイナス影響があったものの、消耗品の販売が増加したことや、費用の執行を厳選し、大幅な削減を実施したことにより、増加となりました。

以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は1,380億円(前年同期比15.4%減)、セグメント利益は175億円(同28.4%増)となりました。

 

(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)

ビジュアルコミュニケーション事業の売上収益は、世界各地での新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動制限、各種イベントの延期・中止および学校の休校による影響、さらに昨年度から継続しているフラットパネルディスプレイの攻勢によりプロジェクター市場の縮小が進んだこと、また、為替のマイナス影響も加わり、減少となりました。

ビジュアルコミュニケーション事業セグメントのセグメント利益は、費用の執行を厳選し、大幅な削減を進めていますが、減収影響に加え、為替のマイナス影響により減少となりました。

以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は235億円(前年同期比52.1%減)、セグメント損失は27億円(前年同期は43億円のセグメント利益)となりました。

 

(ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメント)

ウエアラブル機器事業の売上収益は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、世界各地で販売店の営業自粛、経済活動制限の影響を受けたこと、加えて国内ではインバウンド需要が大きく減少したこと、また景気後退による消費者需要冷え込み等によりウオッチの販売数量が減少となりました。またムーブメント販売においても、時計市場全体の落ち込みにより、大幅な販売減少となりました。

ロボティクスソリューションズ事業の売上収益は、欧州の自動車産業を中心とした設備投資需要の減速の影響を受けたものの、主に中国での案件獲得による販売増加により、増加となりました

マイクロデバイス事業の売上収益のうち、水晶デバイスは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、スマートフォン向けおよび自動車産業向けで、需要が減少したことおよび製造工場の操業が一時期停止となって一部部品の供給不足が発生した影響等により減少となりました。また、半導体も自動車産業の減速により、車載向け半導体を中心に販売が減少、為替のマイナス影響もあり、事業全体で減少となりました

ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントのセグメント利益は、ウエアラブル機器事業を中心とした減収影響があるものの、費用執行の抑制・削減により増加となりました

以上の結果、ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントの売上収益は318億円(前年同期比16.5%減)、セグメント利益は6億円(前年同期は10億円のセグメント損失)となりました

 

(その他)

その他の売上収益は1億円(前年同期比21.2%減)、セグメント損失は2億円(前年同期は2億円のセグメント損失)となりました。

 

(調整額)

報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△109億円(前年同期の調整額は△123億円)となりました

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは118億円の収入(前年同期は139億円の収入)となりました。これは四半期損失が2億円であったのに対し、棚卸資産の増加213億円、その他171億円などによる減少要因があった一方で、減価償却費及び償却費の計上176億円、売上債権の減少257億円などの増加要因があったことによります

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形資産の取得による支出160億円などがあったことにより、173億円の支出(前年同期は176億円の支出)となりました

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払107億円などがあったことにより、101億円の支出(前年同期は93億円の支出)となりました

以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、1,806億円(前年同期は1,589億円)となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、エプソンが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、エプソンが対処すべき課題について重要な変更はありません。

なお、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を次のとおり定めております。

 

①基本方針の概要

当社は、創業当時からの独自の強みである「省・小・精の技術」を基盤として、自らの常識やビジョンを超えて果敢に挑戦しイノベーションを生むことにより、画期的なお客様価値を継続的に創造し、より良い社会の実現に「なくてはならない会社」として中心的な役割を果たすことを目指してまいります。

当社は、当社の株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えます。したがって、当社の財務および事業の方針の決定を支配することが可能な数の株式を取得する買付提案(以下「大量取得行為」といいます。)に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご意思に委ねられるべきものと考えております。

もっとも、当社株式の大量取得行為に応じるか否かの株主の皆様のご判断は、適切に行われる必要があり、そのためには、当社株式の大量取得行為を行おうとする者及び当社取締役会の双方から、株主の皆様に必要な情報や意見等が提供されるとともに、それらを検討するために必要な時間が確保される必要があると考えております。

なお、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の事業内容や企業価値の源泉を十分に理解するとともに、役職員が一体となって価値創造にむけて取り組むこと、創業以来の風土を大切にしながら創造と挑戦を続けていくこと、お客様の信頼を維持・獲得していくことの重要性を理解する者であることが必要と考えております。

 

基本方針の実現に資する取組みの概要

a.基本方針の実現に資する特別な取組み

当社は、2016年3月に、2025年におけるエプソンの目指す姿を示した長期ビジョン「Epson 25」を策定しました。

「Epson 25」の実現に向けた、第1期中期経営計画(2016年度~2018年度)の3カ年では、将来成長に向けて大きく進展した取組みがあった一方で、計画に対する遅れや十分な成果に結びついていない取組みなどもありました。さらに想定を上回る外部環境の変化にも影響を受け、最終年度の業績は第1期中期経営計画で掲げた目標に対して未達となりました。

2019年3月に策定した第2期中期経営計画(2019年度~2021年度)では、引き続き「Epson 25」で目指す姿は堅持し、環境変化や社会課題に対応したメリハリのある経営により、高い収益を生み出す事業運営に改革します。

 

b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上する観点から、当該大量取得行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求めたうえで、当該大量取得行為に対する当社取締役会の意見等を開示することで、株主の皆様が当該大量取得行為の是非を検討するために必要な期間および情報の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。

 

③具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

上記の取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するためのものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、また、上記の基本方針に沿うものであります。さらに、これらの取組みは、当社の取締役の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。

 

(注)当社は、近時の動向や、国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様のご意見などを踏まえ、慎重に検討を重ねた結果、2020年5月14日開催の取締役会において当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)を継続しないことを決議し、同年6月25日開催の定時株主総会終結の時をもって廃止しました。

 

(5)研究開発活動

当第1四半期連結累計期間におけるエプソンの研究開発活動の金額は113億円です。

なお、当第1四半期連結累計期間において、エプソンの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。