当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に対して628億円増加し、1兆1,037億円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が社債発行などにより702億円の増加があったことなどによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に対して568億円増加し、5,917億円となりました。これは主に、グリーンボンド発行などにより社債、借入金及びリース負債の563億円増加があったことなどによるものです。
なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して64億円増加し5,101億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する四半期利益202億円の計上および確定給付制度の再測定を主因としたその他の包括利益75億円の計上による増加があった一方で、配当金の支払い214億円により減少したことなどによるものです。
②経営成績
当第3四半期連結累計期間における経済環境を顧みますと、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は収束には向かっておらず、感染症再拡大によって経済活動の制限に逆戻りする国や地域があることから、経済状況は国や地域ごとに異なる動きが見られる状況となっています。また、世界経済全体の回復も不透明さを増している状況にあるため、今後の動向について引き続き注視をしていきます。地域別に見ますと、新興国では、インドや東南アジア、中南米の一部で経済活動の制限継続の影響を受け、引き続き厳しい経済環境にある一方、中国では、経済活動は正常化に向かいつつあり、今後はさらに回復となることが期待されます。また、先進国は、下げ止まりから回復への動きが期待されますが、感染症再拡大の動きがある国や地域もあり、引き続き注視が必要な状況にあります。
当第3四半期連結累計期間の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ106.06円および122.33円と前年同期に比べ、米ドルは2%の円高、ユーロは1%の円安に推移しました。また、中国や南米など新興国の通貨についても円高に推移しました。
このような状況の中、売上収益は、先進国および一部の新興国では、新型コロナウイルス感染症に伴う在宅需要増のプラス効果を主にインクジェットプリンターで受けることができましたが、新興国で経済活動制限による需要減少の影響を大きく受け、すべての事業セグメントで前年同期を下回り、7,179億円(前年同期比9.8%減)となりました。事業利益(※)は、減収によるマイナス影響を大きく受けながらも、在宅印刷需要の高まりからインクジェットプリンター本体および消耗品の売上が増加となったこと、また新型コロナウイルスの感染拡大に対して、即時に費用削減の取り組みを全社で徹底して行ったこと等により、458億円(同24.5%増)となりました。営業利益は339億円(同8.4%減)、税引前利益は298億円(同18.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は202億円(同17.3%減)となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
報告セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(プリンティングソリューションズ事業セグメント)
プリンター事業の売上収益は増加となりました。オフィス・ホーム用インクジェットプリンターは、在宅勤務や家庭学習による印刷ニーズの高まりから大幅な需要増となり、大容量インクタンクモデルおよびインクカートリッジモデル本体は、新型コロナウイルス影響により製造工場の操業が一時的に低下または停止した影響、および海上輸送におけるコンテナ不足により、十分な製品供給が行えなかったものの、販売価格を維持したこと等により、売上増となりました。また、消耗品も、高まる在宅印刷需要に対して供給不足を発生させないよう増産対応をはかり、売上増となっています。シリアルインパクトドットマトリクスプリンターについては、市場縮小に伴う販売減少および為替のマイナス影響により、売上減少となりました。
プロフェッショナルプリンティング事業の売上収益は減少となりました。商業・産業用インクジェットプリンターは、為替のマイナス影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界各地での経済活動制限の影響を強く受け、第1四半期は本体および消耗品の販売が大幅に減少しましたが、第2四半期以降は、フォト/プルーフでの大口案件獲得、コーポレート・CAD向けモデルや昇華転写プリンターでの本体販売好調などもあり、為替のマイナス影響はありましたが、前期並みの売上収益まで回復となりました。POSシステム関連製品は昨年度のイタリアでの税制改定に伴う需要増の反動に加え、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動制限の影響を受けて需要が減少したことにより、売上が減少しました。
その他はOS切り替えに伴うPCの需要増があった前期に対して減収となりました。
プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、減収および為替のマイナス影響があったものの、インクジェットプリンターの本体販売価格維持および消耗品の売上増加、また費用執行を厳選して大幅な費用削減を実施したことにより、増加となりました。
以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は5,069億円(前年同期比5.1%減)、セグメント利益は802億円(同34.9%増)となりました。
(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)
ビジュアルコミュニケーション事業の売上収益は、学校の再開に伴う教育案件、およびホーム需要拡大の動きが見られましたが、世界各地での新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動制限、各種イベントの延期・中止による影響、さらに昨年度から継続しているフラットパネルディスプレイの攻勢によりプロジェクター市場の縮小が進んだこと、また、為替のマイナス影響も加わり、減少となりました。
ビジュアルコミュニケーション事業セグメントのセグメント利益は、費用の執行を厳選し、大幅な削減を進めていますが、減収影響に加え、為替のマイナス影響により減少となりました。
以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は1,019億円(前年同期比30.1%減)、セグメント損失は8億円(前年同期は134億円のセグメント利益)となりました。
(ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメント)
ウエアラブル機器事業の売上収益は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、世界各地で販売店の営業自粛、経済活動制限の影響を受けたこと、また特に国内では感染症の再拡大による年末需要の落ち込みに加え、インバウンド需要の大幅減が継続したことなどにより、ウオッチの販売数量は減少となりました。またムーブメント販売においても、時計市場全体の落ち込みにより、大幅な減少となりました。
ロボティクスソリューションズ事業の売上収益は、主に中国での案件獲得による販売増加により、大幅な増加となりました。
マイクロデバイス事業の売上収益のうち、水晶デバイスは、スマートフォン向けから、PCおよびヘルスケア等の民生需要増に供給を振り向け、収益率を高めつつ売上は増加しました。半導体は、内需向けが減少した一方で、ファンドリの需要が増加したことにより、販売が増加しました。事業全体では、為替のマイナス影響により、前期並みとなりました。
ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントのセグメント利益は、ウエアラブル機器事業を中心とした減収影響があるものの、費用執行の抑制・削減により増加となりました。
以上の結果、ウエアラブル・産業プロダクツ事業セグメントの売上収益は1,101億円(前年同期比5.8%減)、セグメント利益は35億円(同404.1%増)となりました。
なお、上記のほか、ウエアラブル機器事業において収益性の低下に伴い、減損損失36億円を計上しております。
(その他)
その他の売上収益は5億円(前年同期比12.7%減)、セグメント損失は5億円(前年同期は4億円のセグメント損失)となりました。
(調整額)
報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△365億円(前年同期の調整額は△363億円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは931億円の収入(前年同期は664億円の収入)となりました。これは四半期利益が203億円であったのに対し、棚卸資産の増加148億円などによる減少要因があった一方で、減価償却費及び償却費の計上526億円、仕入債務の増加171億円などの増加要因があったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形資産の取得による支出436億円などがあったことにより、456億円の支出(前年同期は579億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払214億円、長期借入金の返済による支出140億円などによる減少要因があった一方で、社債の発行696億円があったことにより、251億円の収入(前年同期は60億円の収入)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、2,665億円(前年同期は1,875億円)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、エプソンが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、エプソンが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を次のとおり定めております。
①基本方針の概要
当社は、創業当時からの独自の強みである「省・小・精の技術」を基盤として、自らの常識やビジョンを超えて果敢に挑戦しイノベーションを生むことにより、画期的なお客様価値を継続的に創造し、より良い社会の実現に「なくてはならない会社」として中心的な役割を果たすことを目指してまいります。
当社は、当社の株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えます。したがって、当社の財務および事業の方針の決定を支配することが可能な数の株式を取得する買付提案(以下「大量取得行為」といいます。)に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご意思に委ねられるべきものと考えております。
もっとも、当社株式の大量取得行為に応じるか否かの株主の皆様のご判断は、適切に行われる必要があり、そのためには、当社株式の大量取得行為を行おうとする者及び当社取締役会の双方から、株主の皆様に必要な情報や意見等が提供されるとともに、それらを検討するために必要な時間が確保される必要があると考えております。
なお、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の事業内容や企業価値の源泉を十分に理解するとともに、役職員が一体となって価値創造にむけて取り組むこと、創業以来の風土を大切にしながら創造と挑戦を続けていくこと、お客様の信頼を維持・獲得していくことの重要性を理解する者であることが必要と考えております。
②基本方針の実現に資する取組みの概要
a.基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、2016年3月に、2025年におけるエプソンの目指す姿を示した長期ビジョン「Epson 25」を策定しました。
「Epson 25」の実現に向けた、第1期中期経営計画(2016年度~2018年度)の3カ年では、将来成長に向けて大きく進展した取組みがあった一方で、計画に対する遅れや十分な成果に結びついていない取組みなどもありました。さらに想定を上回る外部環境の変化にも影響を受け、最終年度の業績は第1期中期経営計画で掲げた目標に対して未達となりました。
2019年3月に策定した第2期中期経営計画(2019年度~2021年度)では、引き続き「Epson 25」で目指す姿は堅持し、環境変化や社会課題に対応したメリハリのある経営により、高い収益を生み出す事業運営に改革します。
b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上する観点から、当該大量取得行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求めたうえで、当該大量取得行為に対する当社取締役会の意見等を開示することで、株主の皆様が当該大量取得行為の是非を検討するために必要な期間および情報の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
③具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
上記の取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するためのものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、また、上記の基本方針に沿うものであります。さらに、これらの取組みは、当社の取締役の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(注)当社は、近時の動向や、国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様のご意見などを踏まえ、慎重に検討を重ねた結果、2020年5月14日開催の取締役会において当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)を継続しないことを決議し、同年6月25日開催の定時株主総会終結の時をもって廃止しました。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるエプソンの研究開発活動の金額は344億円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、エプソンの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
当連結会計年度の設備投資計画金額については、前連結会計年度に係る有価証券報告書提出日現在、未定としておりましたが、当四半期連結会計期間の末日現在では570億円の計画です。
当第3四半期連結会計期間において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。