文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における予想や一定の前提に基づくものであり、これらの記載は実際の結果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
エプソンは、創業当時からの独自の強みである「省・小・精の技術」を基盤として、自らの常識やビジョンを超えて果敢に挑戦しイノベーションを生むことにより、画期的なお客様価値を継続的に創造し、より良い社会の実現に「なくてはならない会社」として中心的な役割を果たすことを目指しています。
そして、以下の経営理念およびグローバルタグラインのもと、お客様の期待を超える価値の創出に向けて、全社員が価値観を共有のうえ総合力を発揮し自律的に行動することにより、目指す姿の実現に努めてまいります。
経営理念
お客様を大切に、地球を友に、
個性を尊重し、総合力を発揮して
世界の人々に信頼され、社会とともに発展する
開かれた、なくてはならない会社でありたい。
そして社員が自信を持ち、
常に創造し挑戦していることを誇りとしたい。
EXCEED YOUR VISION
私たちエプソン社員は、
常に自らの常識やビジョンを超えて挑戦し、
お客様に驚きや感動をもたらす
成果を生み出します。
(2)「ありたい姿」と長期ビジョン「Epson 25 Renewed」の考え方
エプソンは、将来にわたって追求する「ありたい姿」として設定した「持続可能でこころ豊かな社会の実現」に向け、2021年3月に長期ビジョンを見直し、「Epson 25 Renewed」を策定しました。
①エプソンが将来にわたって追求する「ありたい姿」
現在、気候変動や新型コロナウイルスをはじめ、人類はさまざまな社会課題に直面しています。また、物質的、経済的な豊かさだけでなく、もっと精神的な豊かさ、文化的な豊かさ、そういったさまざまな豊かさを含めた「こころの豊かさ」こそが望まれる時代となったと考えています。そのためには、持続可能な社会であることが大前提になります。このような背景のもと、エプソンは、常に社会課題を起点として、その解決に向けて私たちに何ができるか、私たちの技術を使ってどう課題解決し、社会に貢献できるか、という発想でビジネスを展開していきます。これにより、今後、上述のエプソンが将来にわたって追求する「ありたい姿」の実現に取り組んでまいります。
②「Epson 25 Renewed」ビジョンステートメント
「Epson 25 Renewed」のビジョンステートメントとして、『「省・小・精の技術」とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創する』と定めています。
人・モノ・情報をスマートにつなげるソリューションを、個人の生活や、産業や製造の現場にまで広く社会へ提供し、ありたい姿の実現のために取り組みます。そこで重要となるのは、「環境」「DX」「共創」の3つの取り組みです。
(環境への取り組み)
●「脱炭素」と「資源循環」に取り組むとともに、環境負荷低減を実現する商品・サービスの提供、環境技術の開発を推進する
(DXへの取り組み)
●強固なデジタルプラットフォームを構築し、人・モノ・情報をつなげ、お客様のニーズに寄り添い続けるソリューションを共創し、カスタマーサクセスに貢献する
(共創への取り組み)
●技術、製品群をベースとし、共創の場・人材交流、コアデバイスの提供、協業・出資を通して、さまざまなパートナーと社会課題の解決につなげる
③「Epson 25 Renewed」方針
不透明な社会環境の継続が予想されるなか、取り組みにメリハリをつけることにより、収益性を確保しながら将来成長を目指します。そして、すべての領域に必要な環境、DX、共創への取り組みも継続的に強化していきます。
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領域区分 |
対象事業 |
方針 |
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成長領域 |
オフィスプリンティング、商業・産業プリンティング、プリントヘッド外販、生産システム |
環境変化を機会と捉えて経営資源投下 |
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成熟領域 |
ホームプリンティング、プロジェクション、ウオッチ、マイクロデバイス |
構造改革や効率化などにより、収益性重視 |
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新領域 |
センシング、環境ビジネス |
新たな技術・ビジネス開発に取り組む |
(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
①イノベーション戦略の方針と進捗、今後の取り組み
目指す姿の実現に向けた戦略を実行するために、お客様価値や社会課題の軸でイノベーション領域を設定しています。以下の5つのイノベーションを支えるマイクロデバイス事業においては、「省・小・精の技術」を極めた水晶・半導体ソリューションにより、スマート化する社会の実現に貢献していきます。そして、持続可能な社会実現に向けて、環境への貢献を重要課題に据え、材料技術の融合により、環境ソリューションビジネスを創出し、脱炭素と資源循環に貢献します。
<オフィス・ホームプリンティングイノベーション>
当領域では、インクジェット技術・紙再生技術とオープンなソリューションにより、環境負荷低減・生産性向上を実現し、分散化に対応した印刷の進化を主導することを目指しています。オフィスプリンティングにおいては、認証、課金システムなどのソリューション連携により、獲得案件が継続的に増加しました。今後、需要の多い中速帯の製品を投入すると同時に、各地域での販売網強化・価値訴求活動の強化に取り組み、成長を加速させていきます。ホームプリンティングにおいては、北米に加え、欧州、中国、豪州でブランドアンバサダーなどを起用した大容量インクタンクモデルの認知度向上活動が効果を上げています。今後は、サブスクリプションサービスを拡大するとともに、製品の長期使用を可能にするビジネスモデルを創出し、環境負荷低減にも貢献していきます。
<商業・産業プリンティングイノベーション>
当領域では、インクジェット技術と多様なソリューションにより、印刷のデジタル化を主導し、環境負荷低減・生産性向上の実現を目指しています。完成品ビジネスは、2021年度はプラットフォーム設計による効率的な製品開発やラインアップ拡充に取り組みました。今後もこの取り組みを継続するとともに、お客様とエプソンをつなぎ、印刷の現場をトータルでサポートする「Epson Cloud Solution PORT」の契約数拡大も進め、将来的な収益の複層化を目指します。プリントヘッド外販ビジネスは、主要市場である中国での販売が順調に拡大しています。今後は、欧州に設立した拠点なども活用し、さらに販売を拡大すると同時に、オープンイノベーションにより新たな用途を開拓していきます。
<マニュファクチャリングイノベーション>
当領域では、環境負荷に配慮した「生産性・柔軟性が高い生産システム」を共創し、ものづくりを革新することを目指しています。2021年度は、スカラロボットを中心とした拡販により売上伸長が継続しました。今後は新製品を拡充するとともに、世界各地での販売体制強化と拡販に取り組んでいきます。また、ロボット単体に加え、3Dプリンターや小型射出成形機なども組み合わせ、新しい生産システムを提案していきます。
<ビジュアルイノベーション>
当領域では、感動の映像体験と快適なビジュアルコミュニケーションで人・モノ・情報・サービスをつなぎ、「学び・働き・暮らし」を支援することを目指しています。2020年度から進めている事業構造改革により、収益構造は大きく改善しています。今後は、スタンダードモデルなどの既存市場では効率的な事業運営を続けると同時に、大画面の特長を最大限に生かせる高光束プロジェクターと、市場が拡大しているスマートプロジェクターのビジネスを強化していきます。
<ライフスタイルイノベーション>
当領域は、匠の技能、センシング技術を活用したソリューションを共創し、お客様の多様なライフスタイルを彩ることを目指しています。ウオッチ事業では、事業構造改革に取り組んだことに加え、需要回復と高価格品比率を向上させたこともあり、収益性が改善しています。今後もこの改革を継続していきます。また、センシング事業では、中長期を見据え、共創による新規ビジネスの育成に取り組んでいきます。
②経営基盤強化の取り組み
上述の各イノベーションの実現に向けて、以下のとおり経営基盤強化に取り組んでいます。
<営業戦略>
●デジタルを活用した顧客支援型営業
成長領域への取り組みを加速するため、CRM(顧客関係管理)を強化しています。製品本体の販売最大化を前提とした活動から、顧客価値提供(コンサルティング・付加価値ソリューションや保守サービスなど)やサブスクリプション化を強く意識した活動へと転換していきます。
●地域別、領域別の重点的な組織強化
営業推進とサービスサポートの連携強化に向けた組織再編を推進していきます。
<生産戦略>
●COVID-19拡大を契機に従来戦略を加速
部材調達については、電子部品などの調達難が続くなか、部品の先行確保や商品設計変更、複数拠点での生産による対応を継続します。物流確保については、船会社との積載量契約による関係強化や、代替輸送ルートの探索を進めます。生産の自動化では、生産拠点における人材の補強・育成に課題があるものの、ハードウェアとデータ活用技術の開発により生産装置のデジタル化、自動化ラインの立ち上げを進めていきます。
<技術開発戦略>
●イノベーションを支える技術の進化
特に材料・AI・デジタル技術を強化します。AI・デジタル技術では、全社のソフトウェアプラットフォーム化に向けたアルゴリズム開発を加速・強化し、データ活用ビジネスを創出していきます。材料技術では、ドライファイバーテクノロジー(※1)、金属リサイクル、CO2分離・吸収の技術開発等を進めるほか、共創パートナーとともに環境ビジネスを具体化していきます。
※1 水を使わず(適度な湿度は必要)衝撃力で繊維化するエプソンの技術
<人材戦略>
●強化領域への人材重点配置
成長領域を牽引する人材等確保のため、中途採用を強化します。
●人材育成強化
既存の教育研修体系を再整理し、機能軸・事業軸に加え、役割や職務の変化に対する育成体系を構築します。
●組織活性化
女性向け研修の運用、男性育休の促進のほか、働く場所の選択肢拡充など多様な働き方を実現する環境を整備していくことで、ダイバーシティを推進していきます。
③財務目標
「Epson 25 Renewed」の実現に向けて、収益性重視の経営へとシフトし、過度な売上成長を追わず、取り組みにメリハリをつけ、収益性の確保と将来成長を目指します。この方針に則り、ROIC、ROEおよびROSを財務目標として設定しています。
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全社業績目標 |
2020年度(実績) |
2021年度(実績) |
2023年度(目標) |
2025年度(目標) |
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ROIC(※2) |
5.6% |
7.3% |
8%以上 |
11%以上 |
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ROE |
5.9% |
15.2% |
10%以上 |
13%以上 |
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ROS |
6.2% |
7.9% |
8%以上 |
10%以上 |
※2 ROIC=税引後事業利益/(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債)
ROICを財務目標のひとつとして設定したことで、より資本効率の高い経営が求められます。そのためエプソンは収益性と自社成長性の位置づけを明確にした事業ポートフォリオ管理を導入し、効率的な資本循環を実現し、経営効率性を上げていきます。エプソンのビジネス領域を上述のとおり「成長領域」「成熟領域」「新領域」に大別し、位置づけに合わせた資本配分および目標設定を行い、それらを定期的に見直すというサイクルを回すなかで、事業の方向性も判断していきます。
④キャッシュ・アロケーション
創出したキャッシュは、成長・新領域や環境関連を中心とした投資へ重点配分しつつ、継続的・安定的に株主還元を実施し、資金需要などを総合的に勘案しながら有利子負債の返済などの財務体質強化を実現します。
(4)サステナビリティ課題への取り組み
ESG投資の拡大や各国・地域のサステナビリティ関連政策の策定など、世界中でサステナビリティをめぐる動きが一気に加速しています。このようななか、企業はサステナビリティ活動を踏まえた持続・成長戦略を通じて、社会が抱える課題にどう対応していくかという姿勢をますます問われるようになっています。エプソンは、商品・サービスの提供を通じ、さまざまな社会課題の解決に貢献してきました。今後も、経営理念に基づき長期的な視点からお客様やパートナーの皆様と「持続可能でこころ豊かな社会」を実現するため、社会的責任の遂行と社会共通価値の創出に取り組みます。
①マテリアリティとサステナビリティ重要テーマ、KPI
エプソンは、国際的な社会規範などで定められた社会課題やメガトレンドを参考として、自社視点・社会視点による評価を行い、社会課題解決に向けエプソンが取り組むべき重要度の高い課題である4つのマテリアリティ(「循環型経済の牽引」「産業構造の革新」「生活の質向上」「社会的責任の遂行」)を特定しています。また、マテリアリティへの取り組みを実効性のあるものにするため、12のサステナビリティ重要テーマを設定し、取り組み目標(KPI)を定め、中期活動計画に反映し着実に推進しています。なお、サステナビリティ課題への取り組みにおいては、すべてのマテリアリティに対してKPI検討を行ってまいりましたが、まずは企業の持続性に重点を置き、ESGに関連する2つのマテリアリティ(「循環型経済の牽引」「社会的責任の遂行」)のKPI開示を先行しました。「産業構造の革新」「生活の質向上」におけるKPIについては、2023年度以降に開示を行う予定です。
■ESGに関連するサステナビリティ重要テーマ目標と実績
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ESG マテリアリティ |
サステナビリティ 重要テーマ |
取り組みテーマ |
目標指標 (KPI) |
2021年度 実績 |
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環境(E) |
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循環型経済の 牽引 |
脱炭素の取り組み |
2050年「カーボンマイナス」に向けた、設備の省エネ、温室効果ガス除去、サプライヤーエンゲージメント、脱炭素ロジスティクス |
・Scope1,2 GHG排出量(総量)削減率 ・Scope3 GHG排出量(事業利益原単位)削減率 |
・2017年度比41%削減 ・2017年度比38%削減 |
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RE100達成に向けた再生可能エネルギーの活用 |
・再生可能エネルギー導入率 |
・国内100%達成(2021年11月から) |
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資源循環の取り組み |
2050年「地下資源(※3)消費ゼロ」に向けた ・小型軽量化/再生材活用などの資源の有効活用 ・生産ロスを極小化する循環型生産システムの構築 |
・循環資源利用率 |
・(※5) ・エコタンク搭載モデルでリサイクル素材(再生プラ)使用開始 |
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・最終埋立率 (※4) |
・(※5) ・グループ内での金属リサイクル拡大 |
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お客様のもとでの環境負荷低減 |
環境負荷低減に資する商品・サービスによる削減貢献量の最大化(※6) |
・商品・サービスによる削減貢献量 |
・(※5) |
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環境技術開発 |
ドライファイバーテクノロジーを応用した再生材/天然素材による脱プラスチック・資源循環の実現 ・梱包材(従来材の置き換え) ・外装材(従来材の置き換え) |
・開発プロセスの進捗状況 |
・素材候補を選定し試作 |
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スクラップ金属の高付加価値リサイクル技術確立 |
・開発プロセスの進捗状況 |
・廃ウェハー再利用の開始 |
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社会(S)・ガバナンス(G) |
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社会的責任の 遂行 |
ステークホルダーエンゲージメントの向上 |
ステークホルダーとの対話強化よるニーズ・社会要請への対応
|
・社会支援活動 支援金額 |
・2022-2025年度目標値の決定(売上収益の0.1%以上) |
|
・株主・投資家との対話回数ならびに経営への意見反映 |
・239回 |
|||
|
・外部評価機関の評価指数 |
・高評価(※7)を獲得 |
|||
|
責任あるサプライチェーンの実現 |
サプライチェーンBCM強化 |
・サプライチェーン途絶・停滞によるお客様への影響(2024年度販売影響なし) |
・COVID-19影響による部品調達難・物流機能停滞により販売影響が発生 |
|
|
責任あるサプライチェーンの実現 |
・サプライヤーにおけるCSRリスクレベル |
・主要サプライヤー(直接材)のCSRリスクランク:ハイリスク0% |
||
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責任ある鉱物調達の実現 |
・製品のコンフリクトフリー(CF)率 ・調査回答率 (※8) |
・3TG(※9)調査回答回収率99% |
||
|
ESG マテリアリティ |
サステナビリティ 重要テーマ |
取り組みテーマ |
目標指標 (KPI) |
2021年度 実績 |
|
社会(S)・ガバナンス(G) |
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|
社会的責任の 遂行 |
人権の尊重とダイバーシティの推進 |
自由闊達で風通しのよい組織風土づくり |
・組織風土アセスメント「チームで働く力」スコア |
・3.68 |
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・こころの健康診断「総合健康リスク」ハイリスク職場数 |
・全職場数の2.7% |
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・ハラスメント防止施策の実施(教育・研修、事案共有、任用プロセス等)、事案の本社報告の徹底 |
・教育・研修、事案共有、任用プロセスにおけるチェックを計画通り実施 ・重要事案の本社報告漏れ0件 |
|||
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新「人権方針」のグループ内浸透による人権の尊重 |
・人権尊重のコミットメント、人権デューデリジェンス(DD)、救済メカニズムの定着・改善 |
・2022年4月1日付で人権方針の改定完了 |
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ダイバーシティを尊重した人材の活用 |
・女性管理職比率(当社) ・女性執行役員数2025年度までに1名以上(国内) |
・管理職女性比率4.1%(2022年4月1日時点) ・ダイバーシティマネジメント研修を必須化、選抜研修女性受講促進 |
||
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ガバナンスの強化 |
コンプライアンス経営の基盤強化 |
・重大なコンプライアンス違反事案(※10)の発生件数 |
・重大なコンプライアンス事案の発生なし |
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グループコンプライアンスレベルの引き上げ |
・グループ社員全員(※11)へのコンプライアンス教育(e-ラーニング)実施率 |
・グループ全社での実施率100% |
||
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透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を実現するガバナンス体制の維持・強化 |
・取締役会の社外取締役比率 ・選考/報酬審議会の社外取締役比率 |
•取締役会の社外取締役比率50% •選考/報酬審議会の社外取締役比率83% |
||
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情報セキュリティーの強化 |
・重大な情報セキュリティーインシデント発生件数 |
・0件 |
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※3 原油、金属などの枯渇性資源
※4 資源投入量に対する生産系埋立量の比率
※5 2021年度実績数値は集計がまとまり次第当社ウェブサイトで開示予定
※6 商品・サービスが社会のGHG排出量の削減に資する量を定量化したもの
※7 Sustainalytics:Low、FTSE:4点以上、東洋経済新報社「CSR企業ランキング」トップ50以上
※8 調査の網羅率を示す
※9 スズ(Tin)、タンタル(Tantalum)、タングステン(Tungsten)、金(Gold)の頭文字をとった紛争鉱物の略称
※10 重大なコンプライアンス違反事案:適時開示事由に該当するような違反事案
※11 対象:当社および国内・海外子会社
②「環境ビジョン2050」
エプソンは、以下のとおり持続可能な社会の前提である環境への取り組みに関するビジョン「環境ビジョン2050」を改定し、2050年に達成する目標と、その実現に向けた取り組みを定めています。
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項目 |
内容 |
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ビジョン ステートメント |
2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源消費ゼロ」を達成し、持続可能でこころ豊かな社会を実現する |
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達成目標 |
2030年:1.5℃シナリオ(※12)に沿った総排出量削減 2050年:「カーボンマイナス」、「地下資源消費ゼロ」 |
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アクション |
●商品・サービスやサプライチェーンにおける環境負荷の低減 ●オープンで独創的なイノベーションによる循環型経済の牽引と産業構造の革新 ●国際的な環境保全活動への貢献 |
※12 SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)のクライテリアに基づく科学的な知見と整合した温室
効果ガスの削減目標
③気候変動への取り組みとTCFD
気候変動が社会に与える影響は大きく、エプソンとしても取り組むべき重要な社会課題だと捉えています。パリ協定の目指す脱炭素社会(世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)の実現に向け、エプソンは2030年に「1.5℃シナリオに沿った総排出量削減」の目標達成を目指しています。また、「Epson 25 Renewed」の公表に合わせ「環境ビジョン2050」を改定し、その目標として掲げる2050年の「カーボンマイナス」「地下資源(※13)消費ゼロ」に向け、脱炭素と資源循環に取り組むとともに、環境負荷低減を実現する商品・サービスの提供、環境技術の開発を推進しています。
エプソンは2019年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明して以降、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとの良好なコミュニケーションがとれるように、TCFDのフレームワークに基づき、情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)を進めています。2021年には財務影響度をエプソンとして初めて定量的に開示することにしました。さらに、2022年はTCFD提言の改訂を受けて、GHG排出量の削減を目的とした具体的な取り組み実績などの開示を強化しました。
※13 原油、金属などの枯渇性資源
■ シナリオ分析の結果
TCFDのフレームワークに基づいて、シナリオ分析を実施し、気候関連リスク・機会がエプソンの戦略に与える財務影響度を定量的に評価しました。その結果、脱炭素社会へ急速に進んだ1.5℃シナリオの場合、市場の変化・政策・法規制による操業コスト増加の移行リスクはあるものの、インクジェット技術・紙再生技術に基づく商品・サービスの強化により財務影響へのインパクトは限定的と予想しています。
エプソンは、2021-30年までの10年間で約1,000億円(2021-25年は約250億円、2026-30年は約750億円)を投入し、脱炭素・資源循環・環境技術開発への取り組みを加速します。また、気候関連リスクへの解決は、私たちが設定したマテリアリティである「循環型経済の牽引」「産業構造の革新」に合致し、エプソンの強みである低環境負荷(消費電力・廃棄物など)の商品・サービスで、事業拡大の機会につながります。この機会の拡大は、お客様のもとでの環境負荷低減や気候変動の抑制に貢献するものです。
こうした評価結果から、エプソンは社会にとっても自社にとっても合理的であるパリ協定の目指す脱炭素社会の実現に向け、認識したリスクに対処しながら、機会を最大化するための取り組みを継続的に進めています。
なお、世界が現状を上回る対策をとらずに温暖化が進んだ4℃シナリオの場合でも、異常気象にともなう災害の激甚化による国内外の拠点に対する物理リスクの影響は、小さいことが確認されています。
a.ガバナンス
気候変動に係る重要事項は、社長の諮問機関としてグループ全体のサステナビリティ活動の中長期戦略を策定・実践状況のレビューを行う「サステナビリティ戦略会議」で議論のうえ、定期的に(年に1回以上)取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制をとっています。
また、気候関連問題に対する最高責任と権限を有する代表取締役社長は、サステナビリティ推進室長(取締役専務執行役員)を気候関連問題の責任者に任命し、サステナビリティ推進室長は、TCFDを含む気候変動に関する取り組みを管理・推進しています。
■ 推進体制
b.戦略
エプソンは、「循環型経済の牽引」「産業構造の革新」をマテリアリティとして設定しています。これを達成するために、エプソンの技術の源泉である「省・小・精の技術」を基盤に、イノベーションを起こし、さらなる温室効果ガス(GHG)排出量削減に取り組んでいます。さらに、ビジネスモデルの進化や、気候変動に対するレジリエンスの強化を図るため、「環境ビジョン2050」の実現に向け、2021年に環境戦略定例会の新設および下部組織として各分科会を整備し、取り組みを推進しています。
■ 気候関連のリスク・機会に関するシナリオ分析
エプソンは、気候関連のリスク・機会の重要性評価に向け、「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でシナリオ特定と評価を実施し、7つの評価項目を選定しました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)が提示する気温上昇1.5℃に相当するシナリオと社内外の情報に基づき、事業インパクトと財務影響度を評価しました。
■ 1.5℃シナリオにおける気候関連リスク・機会
シナリオ分析に基づいた気候関連リスク・機会の評価結果は以下のとおりです。

エプソンは、脱炭素、資源循環、環境技術開発、お客様のもとでの環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。2021年度の取り組み実績は以下のとおりです。
c.リスク管理
企業を取り巻く環境が複雑かつ不確実性を増すなか、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに的確に対処することが、経営戦略や事業目的を遂行していくうえでは不可欠です。
エプソンは、気候関連問題を経営上の重大な影響を及ぼすリスクとして位置付け、適切に管理しています。
■ 気候関連リスクの識別・評価・管理プロセス
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1 調査 |
2 識別・評価 |
3 管理 |
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・IPCC第6次評価報告書の変化点を加味して、国内外の主要拠点を対象に、気候変動に起因した自然災害リスクに関する調査を実施 ・社会動向を調査 |
・「Epson 25 Renewed」「環境ビジョン2050」の方針や施策からリスク・機会を洗い出し ・サステナビリティ戦略会議と取締役会を通じて、シナリオ分析を評価 |
・サステナビリティ戦略会議と取締役会を通じて、適切に管理 |
d.指標と目標
エプソンは、「環境ビジョン2050」の実現に向け、中長期的な温室効果ガス(GHG)の排出削減目標の達成を目指します。そのため、エプソンの技術の源泉である「省・小・精の技術」を基盤に、商品の環境性能向上や再生可能エネルギーの活用、事業活動などバリューチェーンを通じた環境負荷低減に積極的に取り組んでいます。
■ GHG削減目標(「1.5℃シナリオ」に沿った野心的な排出総量削減目標の目安)
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スコープ1、2、3(※16) |
2030年度までに2017年度比でGHG排出量を55%削減 |
※16 スコープ1:燃料などの使用による直接排出
スコープ2:購入電力などのエネルギー起源の間接排出
スコープ3:自社バリューチェーン全体からの間接的な排出
④人材に関する取り組み
エプソンが持続可能でこころ豊かな社会を実現するには、世界各地でさまざまな役割を担う社員が世界中のパートナーと力を合わせ、社会課題の解決に取り組むことが必要です。エプソンは、共通の価値観を持って現場で的確・迅速な意思決定ができるグローバル人材、リーダー人材を育成するとともに、多様な人材が活躍できる、働きやすい環境を整備し、そこで働く人々がチーム力を最大限発揮することができるよう、自由闊達で風通しの良い組織風土づくりを進めています。
人材育成においては、社員一人ひとりがエプソンというチームの一員として自分の役割や期待を理解して課題に挑戦し、仕事を通じて成長し、期待される役割を果たせるように、チーム内コミュニケーションの質向上、および問題解決・課題達成のための思考力向上につながるさまざまな教育を実施しています。また、事業戦略・環境変化に適応した最適フォーメーションを構築するとともに、スペシャリストの獲得や成長領域への重点配置、国内外の各組織においてビジネスを牽引しうるリーダーの育成をグローバル視点で進めています。年1回、事業別・機能別・会社別に、重要ポストや組織の各職務において求められる役割や要件を評価・見直し、その役割を果たすことのできる人材のレビューを行い、後継計画を策定するとともに、将来の経営層・管理職層、グローバル人材の候補者をリストアップし、育成・養成のための研修・教育や知識・経験の幅を広げるローテーションを実施しています。
ダイバーシティ推進においては、性別などの属性によらず、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる会社を目指しています。エプソンは、なかでも女性活躍推進を最大の課題と認識し、ジェンダー・ギャップの解消に取り組んでいます。ジェンダー平等を実現し、管理職層や経営層といった各階層に、自然に、満遍なく女性がいて、管理職の女性比率が全社員の女性比率と同率という状態にできるだけ早くしていきたいと考えています。その実現のために、女性採用を増やし、係長級やリーダーを担える女性を増やし、女性管理職を増やすというように段階的に改善するとともに、女性の働きやすい職場づくりにも取り組んでいます。また、取締役会および経営会議体において推進計画や実施状況、関連指標の確認を行うとともに、方向性の議論を行っています。
健康経営の推進においては、会社は社員の健康が最重要と考え、経営理念とエプソングループ労働安全衛生基本方針に基づき、社員の健康状態が向上するとともに、社員が仕事にやりがいを感じ、活き活きと働いている状態の実現を目指しています。その結果、業績向上や企業価値向上にもつながります。活動推進にあたり、健康経営の責任者である社長のもと、推進主体として「健康経営推進室」を設置しました。その室長は、執行役員として経営会議に参画するとともに、人事本部長・健康保険組合の理事長・統括安全衛生管理者を兼任し、健康経営を総合的にマネジメントします。会社と健康保険組合で共同運営をしている「健康経営推進会議」は、健康経営に関する情報分析や施策の立案・評価・改善を担い、各事業所の「健康づくり推進委員会」活動と連携して取り組んでいます。「健康づくり推進委員会」の委員長は各事業所の総務部長が、副委員長は労組役員が務め、産業保健の立場から産業医・保健師がアドバイザリーを担っています。これらの活動が評価され、2022年3月に「健康経営銘柄2022」に初選定されました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは次のとおりです。これらのリスクについては、リスク要因になる可能性があると考えられる事項を記載していますが、すべてのリスクを網羅したものではなく、有価証券報告書提出日現在では想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも、今後、エプソンの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、エプソンは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針ですが、かかる施策などが成功する保証はなく、効果的に対応できない場合には、エプソンの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてエプソンが判断したものです。
(1)リスク管理体制
エプソンは、子会社を含むグループ全体のリスク管理の総括責任者を社長とし、グループ共通のリスク管理については本社主管部門が各事業部門および子会社と協働してグローバルに推進し、各事業固有のリスク管理については事業部長が担当事業に関する子会社を含めて推進する体制としています。また、リスク管理統括部門は、グループ全体のリスク管理全般をモニタリングおよび是正・調整し、リスク管理活動の実効性を確保しています。これらのリスク管理体制は、エプソングループリスク管理基本規程で定めています。
会社に著しい影響を与え得る重要なリスクについては、グループ経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「全社重要リスク」、事業オペレーションに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「事業重要リスク」、また子会社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「関係会社重要リスク」として特定し、それぞれ制御計画を立案・実行し、その進捗状況をモニタリングするとともに、制御活動の有効性について、「全社重要リスク」は四半期ごとに、「事業重要リスク」、「関係会社重要リスク」は半期ごとに評価し、必要に応じて制御計画の見直し、実効性の確保に努めています。また、社長はリスク管理に関する重要事項を四半期ごとに取締役会に報告しています。
(2)事業等のリスク
①プリンターの売上変動による経営成績などへの影響について
2022年3月期におけるプリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益7,799億円は、エプソンの連結売上収益1兆1,289億円の約7割を占めており、そのなかでもオフィス・ホーム市場向けのほか、商業・産業向けのインクジェットプリンターを中心とする各種プリンターと、これらの消耗品が売上収益および利益の多くを占めています。したがって、これらのプリンターおよび消耗品の売上収益が変動した場合には、エプソンの経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
②他社との競合について
(販売における影響)
エプソンの主力製品であるプリンターやプロジェクターをはじめとする製品全般について、他社との競合の激化により、販売価格の低下や低価格品への需要のシフトおよび販売数量の減少などの影響を受けることがあります。
エプソンでは、これらの状況に対して、各市場での顧客ニーズに対応した製品や高付加価値製品およびサービスの提供に取り組むとともに、設計・開発の効率化やコストダウンなどにより製造コストの削減に努め、かかる販売価格の低下や低価格品への需要のシフトおよび販売数量の減少などに対処していく方針です。
しかしながら、今後、これらの施策が成功する保証はなく、エプソンがかかる販売価格の低下などに効果的に対応できない場合には、エプソンの経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
(テクノロジーにおける影響)
エプソンの販売する一部の製品については、他社のテクノロジーと競合しており、例えば、次のような事例があります。
・インクジェットプリンターにおけるエプソンのマイクロピエゾ方式(※1)と他社のサーマルインクジェット方式(※2)との競合
・プロジェクターにおけるエプソンの3LCD(三板透過型液晶)方式(※3)と他社のDLP方式(※4)などとの競合ならびにエプソンのプロジェクターと他社のFPD(フラットパネルディスプレイ)(※5)との競合
エプソンは、これらのエプソンの製品において採用している方式について、現時点では競合他社の方式に対する技術的な競争優位性があると考えていますが、消費者によるエプソンの技術に対する評価が変化した場合や、エプソンの技術と競合するほかの革新的な技術が出現した場合などには、エプソンの技術的な競争優位性が損なわれ、エプソンの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
※1 マイクロピエゾ方式とは、ピエゾと呼ぶ圧電素子を伸縮させて、インク滴をノズルから噴射させるエプソン独自のインクジェット技術をいいます。
※2 サーマルインクジェット方式とは、インクに熱を加えることで発生する気泡の圧力により、インク滴を噴射する技術をいいます。なお、バブルジェット方式といわれることもあります。
※3 3LCD(三板透過型液晶)方式とは、ライトバルブに高温ポリシリコンTFT液晶パネルを用いる方式であり、光源から出射された光を特殊な鏡を使って赤・緑・青の3原色に分離し、各色専用のLCDで映像を作った後、無駄なく再合成し投影します。
※4 DLP方式とは、表示デバイスにDMD(Digital Micromirror Device)を用いる方式です。DMDとは、ミクロンサイズの微極小な鏡が多数並んだ半導体で、ひとつの鏡が1画素に対応し光源からの光を反射することで映像を投影します。なお、DLPおよびDMDは、米国テキサス・インスツルメンツ社の登録商標です。
※5 FPDとは、薄型・平坦な画面の薄型映像表示装置の総称です。
(新たな競合の発生)
エプソンは、現在、高度な技術力、豊富な資金力または強固な財務基盤を有する大企業あるいは市場における認知度、供給力または価格競争力を有する国内外の企業との間で競合関係にありますが、これらに加え、将来、ほかの企業が、ブランド力、技術力、資金調達力、マーケティング力、販売力および低コストの生産能力などを生かしてエプソンの事業領域へ新規参入してくる可能性もあります。
③経営環境の急激な変化などについて
エプソンは、現在、自社として取り組む社会課題の解決に向けて、「オフィス・ホームプリンティングイノベーション」「商業・産業プリンティングイノベーション」「マニュファクチャリングイノベーション」「ビジュアルイノベーション」「ライフスタイルイノベーション」という5つのイノベーション領域において、それぞれのイノベーションを起こすことによりお客様が真に求める価値を創出し、各事業領域のビジョンを実現することに取り組んでいます。この実現に向けて、エプソンでは、長期ビジョン Epson 25 Renewed や各事業戦略などに基づく諸施策を展開していますが、技術的な競争優位性を確立することが競争力を高めるために重要な要素であると考えており、創業当時からの独自の強みである「省・小・精の技術」を源泉とする「マイクロピエゾ」「マイクロディスプレイ」「センシング」「ロボティクス」などの独自のコア技術とデジタル技術などの製品技術およびこれらを支える基盤技術を進化させることにより、顧客ニーズに対応した製品の開発・製造・販売およびサービスの提供を行っています。
しかしながら、エプソンが経営資源を集中しているこれらの事業領域における製品の属する市場は、一般的に技術革新の速度が速いとともに製品ライフサイクルが短く、また、世界景気の変動やデジタル化の進展などにともなうエプソンの主要市場における需要・投資動向が、エプソンの製品の販売に影響を及ぼす可能性があるほか、現在推進している長期ビジョンや事業戦略およびこれらで定められた各種の施策が必ずしも実現または成功する保証はありません。
このような事業環境のもと、エプソンでは、引き続き各市場や顧客のニーズの把握に努め、製品市場予測による中・長期的な研究開発や投資を行うほか、開発・設計のプラットフォーム化などにより、既存製品から新製品への迅速かつ円滑な移行などにも取り組んでいく方針です。
しかしながら、今後、市場でのニーズや技術革新の変化に適切に対応できない場合、他社との競争が激化した場合、景気後退などにより需要が回復しない場合および主要市場における急激な需要変動に適切に対応できない場合などには、エプソンの経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
④第三者によるインクジェットプリンター用消耗品の販売について
インクジェットプリンターの主な消耗品であるインクカートリッジなどは、エプソンの売上収益および利益にとって重要なものとなっています。インクカートリッジなどのインクジェットプリンター用消耗品については、第三者によりエプソンのプリンター本体で使用することができる代替品が供給されています。これらの第三者からの代替品は、一般的にエプソンの純正品よりも廉価で販売されており、また、先進国市場と比較して新興国市場においてより流通している状況にあります。
エプソンは、こうした第三者によるインクジェットプリンター用消耗品の販売について、純正品としての高い品質の訴求のほか、大容量インクタンクを搭載したモデルの販売など、各市場における顧客ニーズに的確に対応したインクジェットプリンターを提供し、顧客の利便性をさらに高めることにより、引き続きお客様価値の実現を図っていく方針です。また、エプソンが保有するインクカートリッジに関する特許権および商標権の侵害に対しては、適宜、法的措置を講じていく方針です。
しかしながら、これらの施策が必ずしも有効である保証はなく、将来において第三者による代替品の販売が拡大し、純正品のシェア低下にともなう販売数量の減少や、これに対応するための販売価格の引下げなどにより、インクカートリッジなどの売上収益および利益が減少した場合には、エプソンの経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
⑤海外での事業展開について
エプソンは、グローバルに事業を展開しており、2022年3月期の連結売上収益のうち4分の3以上は海外における売上収益が占めています。エプソンは、中国、インドネシア、シンガポール、マレーシアおよびフィリピンなどのアジア地域をはじめ、アメリカやイギリスなどにも生産拠点を有し、販売会社も世界各地域に設立しています。また、2022年3月末における海外従業員数はエプソンの全従業員数の約4分の3を占めています。
エプソンでは、こうしたグローバルな事業展開は地域ごとの市場ニーズを的確に捉えたマーケティング活動を可能とし、また、製造コストの削減およびリードタイムの短縮によるコスト競争力の確保など、事業上の多くのメリットがあると考えています。一方で、海外における製造・販売に関しては、各国政府の製造・販売に関する諸法令・規制、社会・政治および経済状況の変化、輸送の遅延、電力・通信などのインフラの障害、為替制限、熟練労働力の不足、地域的な労働環境の変化、各国における税制改正および税務当局による税務執行の不確実性、保護貿易諸規制、各種地政学的リスク、そのほかエプソンの製品の輸出入に対する諸法令・規制など、海外事業展開に不可避のリスクがあります。
⑥特定の仕入先からの部品などの調達について
エプソンは、第三者から一部の部品などを調達していますが、一般的に長期仕入契約を締結することなく継続的な取引関係を維持しています。また、エプソンは、部品などに関して複数社からの調達を原則としていますが、特定の部品などについては、他社からの代替調達が困難であるため、1社のみからの調達となる場合があります。エプソンでは、品質の維持・改善やコスト低減活動などに調達先と協同で取り組むことなどにより、安定的かつ効率的な調達活動を展開していく方針ですが、仮にこれらの調達先からの供給の不足や供給された部品などの品質不良などにより、製造・販売活動に支障をきたした場合には、エプソンの経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
⑦品質問題について
エプソンの製品保証の有無および内容は顧客との個別の契約により異なります。エプソンの製品に不良品または規格に適合しないものがあった場合には、エプソンは当該製品の無償での交換または修理など、不良品を補償するコストを負担し、また、当該製品が人的被害または物的損害を生じさせた場合には、製造物責任などの責任を負う可能性があります。
このほか、エプソンの製品の性能に関し適切な表示または説明がなされなかったことを理由として、顧客などに対し責任を負う場合や、改良のためのコストが発生する可能性があります。さらに、エプソンの製品にこのような品質問題が発生した場合には、エプソンの製品への信頼性を損ない、顧客の喪失または当該製品への需要の減少などにより、エプソンの経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
⑧知的財産権について
エプソンにとって、特許権およびそのほかの知的財産権は競争力維持のために非常に重要です。エプソンは、自らが必要とする多くの技術を自社開発してきており、それを国内外において特許権、商標権およびそのほかの知的財産権として、あるいは他社と契約を締結することにより、製品および技術上の知的財産権を設定し保持しています。また、知的財産権の管理業務に人員を重点的に配置し、知的財産権の強化を図っています。
しかしながら、次に想定されるような知的財産権に関する問題が発生した場合には、エプソンの経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
・エプソンが保有する知的財産権に対して異議申立や無効請求などがなされる可能性、その結果、当該知的財産権が無効と認められる可能性
・第三者間での合併または買収の結果、従来、エプソンがライセンスを付与していない第三者がライセンスを保有し、その結果、エプソンが知的財産権の競争優位性を失う可能性
・第三者との合併または買収の結果、従来、エプソンの事業に課せられなかった新たな制約が課せられる可能性およびこれらを解決するために支出を強いられる可能性
・エプソンが保有する知的財産権が競争優位性をもたらさない、またはその知的財産権を有効に行使できない可能性
・エプソンまたはその顧客が第三者から知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多くの時間とコストを費やし、または経営資源などの集中が妨げられることになる可能性
・第三者からの侵害の主張が認められた場合に多額の賠償金やロイヤリティの支払い、該当技術の使用差し止めなどの損害が発生する可能性
・エプソンの従業員などにより発明などに対する報酬に関する訴訟が提起され、その解決のために多くの時間とコストを強いられる可能性、その結果、多額の報酬の支払いが決定される可能性
⑨環境問題について
エプソンは、国内外において製造過程で発生する廃棄物および大気中への排出物などについて、さまざまな環境規制を受けています。さらに、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)にて採択されたパリ協定により、世界的な気候変動への対応に関心が高まるなか、企業としてもより高い削減目標を掲げて取り組む必要性が増しています。
かかる状況のもと、エプソンは、2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源(※6)消費ゼロ」の達成を目指す「環境ビジョン2050」に基づき、環境負荷を低減した製品の開発・製造、環境技術の開発、使用エネルギー量の削減、使用済み製品の回収・リサイクル・再生利用の推進、国際的な化学物質規制(主に欧州のRoHS指令やREACH規則)への対応および環境管理システムの改善など、多くの側面から環境保全活動に取り組んでいます。GHGの排出削減目標に関しては、SBTi(Science Based Targets initiative)の承認を受けるとともに、2023年のグローバルRE100達成に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大を含め、中長期に向けた削減活動を推進しています。
こうした活動の結果、エプソンの2021年度のGHG排出量(スコープ1、2)は35万トンとなり、基準年度である2017年度比で41%削減となりました。2021年11月より国内拠点で使用する電力の再生可能エネルギーへの転換を完了し、これによりグローバルでの再生可能エネルギー利用比率を約49%まで高めています(電力ベース)。
エプソンでは、これまで重大な環境問題が発生したことはありませんが、将来において環境問題が発生し、損害の賠償や浄化などの費用負担、罰金または生産中止などの影響を受ける可能性、あるいは新しい規制が施行され多額の費用負担が必要となる可能性があり、このような事態が実現した場合には、エプソンの経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
一方で、エプソンは環境への対応を機会と捉えた取り組みを進めています。特にお客様のもとでの環境負低減に貢献できる商品・サービスで事業拡大の機会があると確認しており、機会を最大化する経営を継続していきます。具体的には、環境負荷低減・生産性向上・印刷コスト低減を実現するインクジェット技術によるプリンティング、商業・産業プリンティング、プリントヘッド外販と、環境負荷低減を実現する新生産装置の拡充による生産システムの提供により、売上収益成長を見込みます。加えて、地球温暖化対策やサーキュラーエコノミーへのシフトに有効なソリューションとして、ドライファイバーテクノロジー応用や原料リサイクル技術確立などによる環境ビジネスの展開を見込んでおります。
※6 原油・金属などの枯渇性資源
⑩人材の確保について
エプソンの高度な新技術・新製品の開発・製造には、国内外における優秀な人材の確保が重要ですが、これらの人材の獲得競争は激しいものとなっています。エプソンは、役割に基づいた処遇制度の導入、人材育成、ダイバーシティの取り組み、働き方改革と健康経営の推進および現地人材の積極的な登用などにより、多様な人材がその能力を発揮できる風土づくりや働きやすい環境づくりを推進し優秀な人材の確保に努めていますが、仮にこれらの人材を十分に採用または雇用し続けることができない場合や、技術などの継承が適切にできない場合には、エプソンの事業計画の遂行などに影響を及ぼす可能性があります。
⑪為替変動について
エプソンの売上収益の相当部分は、米ドルおよびユーロなどの外貨建てとなっています。エプソンは、海外調達の拡大および生産拠点の海外移転などを進めたことにより、現状、米ドル建ての費用は米ドル建ての売上収益を上回る状況となっていますが、一方でユーロ建ての売上収益は依然としてユーロ建ての費用よりもかなり多い状況にあります。また、これら以外の外国通貨についても、全般的に売上収益が費用をかなり上回っています。エプソンは、為替変動リスクをヘッジするために為替予約取引などを行っていますが、米ドル、ユーロおよびこれら以外の外国通貨の日本円に対する為替変動は、エプソンの財政状態および経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
⑫年金制度について
エプソンの設けている確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度および退職一時金制度があります。
エプソンは、確定給付型の退職年金制度について、年金資産の運用収益率の低下や受給権者の増加といった状況を踏まえ、今後の環境変化に適応するとともに、将来にわたり安定的に維持運営することを目的として2014年4月に制度改定を実施しましたが、年金資産の運用成績の変動および退職給付債務の数理計算の基礎となる割引率の見積数値の変動などが発生した場合には、エプソンの財政状態および経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
⑬法規制および関係当局などによる調査について
エプソンは、グローバルに事業を展開しており、各国・各地域および各事業におけるさまざまな法規制や関係当局などによる調査の対象になる場合があります。例えば、エプソンは、現在、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律など、国内外の独占禁止法令に基づく手続の対象となっているほか、今後、公的機関などを含む新規顧客への営業活動の強化にあたり、これらの活動に関係する各種の法規制やコンプライアンス(法令遵守)への対応が一層求められることがあります。
このような状況を踏まえ、エプソンでは、従来より、コンプライアンスを重要な経営方針のひとつとして位置付け、適宜、未然防止・制御活動(RBA(Responsible Business Alliance)加盟による労働者保護や環境保全活動のさらなる促進を含む)を展開していますが、今後も海外の競争法関係当局が特定の業界などを対象に調査または情報収集を行うことがあり、その一環としてエプソンも市場状況および販売方法一般に関する調査などを受けることがあります。また、腐敗防止法規制、広告・表示規制、個人情報保護・プライバシー規制のほか、安全保障貿易管理などにおいて、関係法令などへの抵触またはそのおそれが生じることや、より厳格な法規制の導入や関係当局による法令運用の強化が行われることがあります。
これらの関連法規の違反があった場合や関係当局による調査・手続が実施された場合には、エプソンの販売活動に支障が生じ、またはエプソンの社会的信用を損なうこと、もしくは多額の制裁金が課されることがあるほか、事業活動に制約が生じるおそれがあるとともに、かかる法規制を遵守するための費用が増加することなどにより、エプソンの経営成績や今後の事業展開などに影響を及ぼす可能性があります。
有価証券報告書提出日現在、エプソンに対する法規制などに基づく調査は、次のとおりです。
フランスにおいて販売されるインクジェットプリンター製品に関し、2017年に同国の消費者団体による消費者保護法に基づく申し立てがなされ、当局による調査が開始されています。なお、同消費者団体が主張するような製品の寿命を短くしているという意図はなく、エプソンは、今後とも品質や環境をもっとも重視し、お客様のニーズに合わせた設計をしてまいります。
現時点においてかかる調査の進展、結果および終結の時期ならびにそのエプソンの経営成績および今後の事業展開などへの影響を予測することは困難です。
⑭重要な訴訟について
エプソンは、プリンティングソリューションズ事業、ビジュアルコミュニケーション事業およびマニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業などに関する各製品の開発、製造、販売およびこれらに付帯するサービスの提供を主な事業として、国内外においてさまざまな事業活動を展開していますが、その事業の特性上、知的財産権、製造物責任、独占禁止法、環境規制などに関連して訴訟が提起される場合や、法的手続が開始される可能性があります。
有価証券報告書提出日現在、エプソンに係争している重要な訴訟は、次のとおりです。
当社の連結子会社であるEpson Europe B.V.(以下「EEB」という。)は、2010年にベルギーにおける著作権料徴収団体であるLa SCRL REPROBEL(以下「REPROBEL」という。)に対して、マルチファンクションプリンターに関する著作権料の返還などを求める民事訴訟を提起しました。その後、REPROBELがEEBを提訴したことにより、これら二つの訴訟は併合され、かかる訴訟の第1審ではEEBの主張を棄却する判決がなされましたが、EEBは、これを不服として上訴する方針です。
現時点において上記の訴訟の結果および終結の時期を予測することは困難ですが、訴訟または法的手続の結果によっては、エプソンの経営成績や今後の事業展開などに影響を及ぼす可能性があります。
⑮財務報告に関する内部統制について
エプソンは、財務報告の信頼性に関する内部統制の構築および運用を重要な経営課題のひとつとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制などの点検・改善などに取り組んでいます。しかしながら、常に有効な内部統制システムを構築および運用できる保証はなく、また、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合や、財務報告に関する内部統制の不備または開示すべき重要な不備が発生した場合には、エプソンの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
⑯他社との提携について
エプソンは、事業戦略の選択肢のひとつとして、他社と業務提携などを行うことがあります。しかしながら、当事者間における提携などの見直しにともない、提携関係が解消される可能性があるほか、提携内容の一部変更が行われる可能性があります。また、提携などによる事業戦略が必ずしも想定どおり成功し、エプソンの経営成績などに寄与する保証はありません。
⑰自然災害・感染症などについて
エプソンは、研究開発、調達、製造、物流、販売およびサービスの拠点を世界に展開していますが、これらの地域において予測不可能な自然災害、新型コロナウイルス感染症などの新興感染症の流行、部品調達先などでの罹災などによるサプライチェーン上の混乱、戦争・テロなどが発生した場合には、エプソンの経営成績や事業展開などに影響を及ぼす可能性があります。
これらのうち、特にエプソンの主要な事業拠点が所在する長野県中部は、糸魚川静岡構造線に沿った活断層帯があるなど、地震発生リスクが比較的高い地域であるため、エプソンでは、設備の耐震構造強化のほか、防災訓練などの地震防災計画や事業継続計画の策定などにより、かかる災害にともなう影響の軽減に向けた対応を可能な範囲において行っています。
しかしながら、長野県中部に大規模な地震が発生した場合には、これらの施策にも関わらず、エプソンが受ける影響は甚大なものになる可能性があります。なお、エプソンは、地震により発生する損害に対しては地震保険を付保しているものの、その補償範囲は限定されています。
このほか、新型コロナウイルス感染拡大によるエプソンへの影響については、各国政府などからの移動制限や操業自粛などの措置による、調達・生産・出荷・物流の停滞または大幅な遅延、国内外での個人消費・設備投資需要の落込みやBtoBビジネス・入札案件遅れなどが長期化または拡大した場合には、エプソンの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況を踏まえ、エプソンでは、従業員とその家族、お客様・株主様を含めたすべてのステークホルダーの皆様の安全・健康を最優先に取り組むとともに、生産・販売活動の正常化に向けた対応を迅速に進め、これらの混乱からより早期に脱却を図ります。また、現時点において財務の健全性は十分保たれていますが、金融機関とのコミットメントライン契約などにより、資金手当てに万全を期しております。
新型コロナウイルス感染拡大による影響が継続する間はもとより、沈静化した後の社会においても、例えば移動や人との接触・対面などを必ずしも必要としない生活様式への変容など、さまざまな大きな社会の変化が進むことが予想されます。エプソンは、こうした社会の大きな変容に対して、長期ビジョン Epson 25 Renewedや各事業戦略に基づく取り組みをより一層加速し、予想される社会課題の解決による事業機会に積極的に取り組むことにより、かかるリスクの最小化を図っていく方針です。
⑱情報セキュリティーについて
エプソンでは、情報システムにおいてネットワークの利用範囲の拡大や利用頻度の増加が続いており、その重要性が増しています。また、グローバルな事業活動を通じて顧客の個人情報や取引先の機密データを扱っています。セキュリティー上の脅威が年々増しているなか、コンピュータウイルスの感染、顧客データの漏洩、社内重要基幹システムの障害発生、サイバー攻撃、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)における風評被害などが発生した場合には、エプソンの経営成績や事業展開などに影響を及ぼす可能性があります。
これに対しエプソンでは、全従業員に情報セキュリティー教育を実施しているほか、サイバーセキュリティー対策に関する方針を定めたグランドデザインを策定・制定し、各種施策を実施し対策を講じています。また、グローバルでのセキュリティー事故への対応体制の確立、サイバーセキュリティー対策についての対応計画の策定と対策の実施、製品セキュリティーの強化などに取り組んでいく方針です。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境を顧みますと、世界経済は多くの国でロックダウン解除による需要回復が進むなか、前年マイナス成長からの反動で高水準の経済成長となりました。但し、世界経済がコロナ禍から立ち直りつつある中、半導体を中心とした部品不足、物流遅延による世界的なサプライチェーンの混乱は継続・長期化しています。さらに、中国でのゼロコロナ政策(ロックダウン)やロシアのウクライナ侵攻により、今後もサプライチェーンの混乱は拡大・長期化するリスクが高まっている状況にあります。また、インフレ圧力の拡大・長期化により、多くの国で金融政策を引き締めに転じる等、世界経済の回復は減速となる見通しにありますので、今後の動向をさらに注視していきます。
当連結会計年度の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ112.37円および130.55円と前期に比べ、米ドルは6%の円安、ユーロは6%の円安に推移しました。また、中国や南米など新興国の通貨については円安に推移しました。
こうした経営環境の下、当連結会計年度の経営成績につきましては、以下のとおりとなりました。
(億円)
|
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減金額 |
増減率 |
主な増減理由 |
|
売上収益 |
9,959 |
11,289 |
1,329 |
13.4% |
[売上収益] プリンティングソリューションズ事業セグメント +887 ビジュアルコミュニケーション事業セグメント +175 マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント +265 [事業利益] プリンティングソリューションズ事業セグメント +2 ビジュアルコミュニケーション事業セグメント +140 マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント +177 |
|
売上原価 |
△6,435 |
△7,104 |
△668 |
- |
|
|
売上総利益 |
3,523 |
4,184 |
660 |
18.8% |
|
|
販売費及び 一般管理費 |
△2,907 |
△3,288 |
△380 |
- |
|
|
事業利益(※) |
616 |
896 |
279 |
45.4% |
|
|
その他の営業収益・ その他の営業費用 |
△139 |
48 |
188 |
- |
為替差益等の増加 |
|
営業利益 |
476 |
944 |
468 |
98.3% |
|
|
金融収益・金融費用 |
△28 |
25 |
53 |
- |
為替差益等の増加 |
|
税引前利益 |
449 |
971 |
522 |
116.2% |
|
|
法人所得税費用 |
△139 |
△48 |
90 |
- |
繰延税金資産の積み増し等により費用減少 |
|
当期利益 |
309 |
923 |
613 |
197.8% |
|
|
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
309 |
922 |
613 |
198.4% |
|
※事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
報告セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、当連結会計年度より、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」(2021年3月策定)に基づき報告セグメントの区分を変更し、「プリンティングソリューションズ事業」、「ビジュアルコミュニケーション事業」および「マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業」の3つを報告セグメントとしております。各報告セグメントは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(プリンティングソリューションズ事業セグメント)
オフィス・ホームプリンティング事業の売上収益は増加となりました。大容量インクタンクモデルおよびインクカートリッジモデル本体は、在宅勤務・在宅学習需要が昨年度からは落ち着きつつあるものの、当年度も継続しており、物流遅延や部品調達難に伴う製品供給不足による影響は受けつつも、北米等で大容量インクタンクモデル本体の販売数量を伸ばし、また値上げによる価格対応も継続していることから、大幅な売上増となりました。なお、消耗品売上につきましては、在宅印刷特需により大幅な売上増となった前期に対し、減少となりました。
商業・産業プリンティング事業の売上収益は大幅な増加となりました。大判インクジェットプリンター本体は、製品供給不足に加え、中国では景気減速によるサイン市場の減速があったものの、欧米を中心に需要の回復と新製品投入効果により売上増となりました。消耗品は、欧米や中国を中心に売上増となりました。小型プリンターは、部品調達難による製品供給不足の影響を大きく受けましたが、欧米や中国を中心に小売店や飲食店向けの需要増に対応し、売上増となりました。また、プリントヘッド外販ビジネスは、中国向けを中心に好調な販売を継続し、売上増となりました。
プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、インクカートリッジモデル消耗品売上の減少、輸送費・部品価格の高騰等による採算悪化があったものの、大容量インクタンクモデルおよび大判インクジェットプリンター・小型プリンターでの増収、需給バランスに応じた価格対応、広告販促費を中心とした固定費抑制の継続、さらに為替のプラス影響があり、前期並みとなりました。
以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は7,799億円(前期比12.8%増)、セグメント利益は1,064億円(同0.2%増)となりました。
(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)
ビジュアルコミュニケーション事業の売上収益は、製品供給不足により、旺盛な需要に対応しきれない状況となりましたが、価格対応およびモデルミックスの良化などにより、増加となりました。
ビジュアルコミュニケーション事業のセグメント利益は、増収影響に加えて、事業構造改革に伴う費用抑制の継続および為替のプラス影響などにより、大幅な増加となりました。
以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は1,590億円(前期比12.4%増)、セグメント利益は153億円(同1,038.4%増)となりました。
(マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント)
マニュファクチャリングソリューションズ事業の売上収益は、ICテストハンドラー事業の事業譲渡に伴う売上減があるものの、中国でのリチウムイオン電池関連顧客向け等の売上増や欧州での自動車関連向けの需要回復、米州での医療向け需要等の獲得もあり、増加となりました。
ウエアラブル機器事業の売上収益は、好調な高級品の販売に加え、ムーブメントは回復した需要を取り込み、増加となりました。
マイクロデバイス事業の売上収益のうち、水晶デバイスは、車載向け、および幅広い用途向けでの需要増が継続しており、大幅な売上増となりました。また、半導体も旺盛な需要で売上増となり、事業全体で大幅な増加となりました。
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントのセグメント利益は、増収影響に加え、ウエアラブル機器事業では事業構造改革に伴う費用抑制を進め、大幅な増加となりました。
以上の結果、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントの売上収益は1,919億円(前期比16.0%増)、セグメント利益は230億円(同336.0%増)となりました。
(調整額)
報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る収益、費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△552億円(前期の調整額は△512億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは1,108億円の収入(前期は1,332億円の収入)となりました。これは当期利益が923億円であったのに対し、棚卸資産の増加282億円、法人所得税の支払額224億円などによる減少要因があった一方で、減価償却費及び償却費の計上645億円などの増加要因があったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形資産の取得による支出438億円などがあったことにより、440億円の支出(前期は574億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い214億円、社債の償還による支出200億円などがあったことにより、517億円の支出(前期は231億円の収入)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、3,352億円(前期は3,040億円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
|
プリンティングソリューションズ事業(百万円) |
808,200 |
110.1 |
|
ビジュアルコミュニケーション事業(百万円) |
160,687 |
112.1 |
|
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業(百万円) |
184,338 |
118.3 |
|
報告セグメント計(百万円) |
1,153,227 |
111.6 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
1,153,227 |
111.6 |
(注)1.上記金額は、販売価格により示しており、セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、外注製品仕入高等が含まれております。
b.受注実績
エプソンでは、製品の性質上、原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
|
プリンティングソリューションズ事業(百万円) |
779,920 |
112.8 |
|
ビジュアルコミュニケーション事業(百万円) |
159,034 |
112.4 |
|
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業(百万円) |
182,586 |
116.2 |
|
報告セグメント計(百万円) |
1,121,540 |
113.3 |
|
その他(百万円) |
7,373 |
120.6 |
|
合計(百万円) |
1,128,914 |
113.4 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるエプソンの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における予想や一定の前提に基づくものであり、これらの記載は実際の結果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。
①経営成績等
(財政状態)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に対して1,051億円増加し、1兆2,664億円となりました。これは主に、棚卸資産の増加520億円、現金及び現金同等物の増加312億円、繰延税金資産の増加109億円があったことなどによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に対して76億円減少し、6,006億円となりました。これは主に、仕入債務及びその他の債務が120億円増加した一方で、社債、借入金及びリース負債が227億円減少したことなどによるものです。
なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して1,147億円増加し、6,656億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益922億円の計上、および在外営業活動体の換算差額を主因としたその他の包括利益439億円の計上があった一方で、配当金の支払い214億円があったことなどによるものです。
運転資本(流動資産から流動負債を差し引いた金額)は、前連結会計年度末と比較して683億円増加し、5,024億円となりました。
(経営成績)
経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
②資金の源泉および流動性
当連結会計年度後1年間の設備投資計画金額は710億円であり、所要資金につきましては、内部資金によりまかなう予定です。セグメントごとの設備投資計画金額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。なお、上記設備投資計画金額には、リースによる設備投資を含めております。
エプソンでは、設備投資等の事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入と社債の発行により資金を調達しております。
有利子負債の当連結会計年度末残高は、社債の償還などにより前連結会計年度と比較して227億円減少し、2,431億円となりました。現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度と比較して312億円増加し、3,352億円となりました。手元流動性は十分に確保しております。
また、コロナ禍による先行きが不透明な中、有事に備えた財務基盤強化の一環として、2020年5月に主要行との間で、環境評価融資商品のコミットメントライン契約を締結しました。なお、当連結会計年度末における当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。
なお、エプソンは、株式会社格付投資情報センターから信用格付を取得しており、当連結会計年度末において、A(シングルA)となっております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
エプソンは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、社会課題の解決のために、創業当時からの独自の強みである「省・小・精の技術」を基盤として、自らの常識やビジョンを超えて果敢に挑戦し、イノベーションを起こすことに取り組んでいます。そして、全社員が価値観を共有のうえ総合力を発揮しつつ、自律的に行動するように努めています。これにより、画期的なお客様価値を継続的かつタイムリーに創造・提供し、より良い社会の構築に「なくてはならない会社」として中心的な役割を果たすとともに、持続的成長および中長期的な企業価値向上を実現してまいります。
エプソンは、将来にわたって追求する「ありたい姿」として設定した「持続可能でこころ豊かな社会の実現」に向け、2021年3月に長期ビジョンを見直し、「Epson 25 Renewed」を策定しました。また、エプソンとして重視している環境問題への対応では、「環境ビジョン2050」を改定し、2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源(※)消費ゼロ」の達成を目指すこととしました。
※ 原油、金属などの枯渇性資源
なお、当該長期ビジョンの実現に向けて設定した財務目標の進捗状況は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
④重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
エプソンの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、エプソンの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載しております。
相互技術援助契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
当社 |
HP Inc. |
アメリカ |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
2018年3月28日から許諾特許の権利満了日まで |
|
当社 |
International Business Machines |
アメリカ |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
2006年4月1日から許諾特許の権利満了日まで |
|
当社 |
Microsoft Corporation |
アメリカ |
情報関連機器およびこれに用いるソフトウェアに関する特許実施権の許諾 |
2006年9月29日から許諾特許の権利満了日まで |
|
当社 |
Eastman Kodak Company |
アメリカ |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
2006年10月1日から許諾特許の権利満了日まで |
|
当社 |
Xerox Corporation |
アメリカ |
電子写真およびインクジェットプリンターに関する特許実施権の許諾 |
2008年3月31日から許諾特許の権利満了日まで |
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当社 |
キヤノン株式会社 |
日本 |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
2008年8月22日から許諾特許の権利満了日まで |
|
当社 |
ブラザー工業株式会社 |
日本 |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
2018年6月28日から許諾特許の権利満了日まで |
エプソンは、創業当時からの独自の強みである「省・小・精の技術」に加え、デジタル技術により、人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創することを目指しています。そのための経営基盤強化の取り組みのひとつとして研究開発活動を位置づけ、イノベーションを実現するための基盤技術、コア技術、製品技術の進化を推し進めています。なかでも今後は材料、AI、デジタル技術を特に強化していくこととし、成長領域や新領域を中心に、ものづくり基盤の強化に加え、新規事業創出や事業強化などのための技術基盤の構築のほか、各事業における製品の競争力向上などに本社開発部門および事業部開発部門が連携のうえ取り組んでいます。技術開発においては「共創」を重要なファクターとし、開発の初期段階となる試行錯誤のプロセスから多くの知見ある方々の参画により、検証をしっかり行いながら開発を進めていくという「開発のフロントローディング化」を進めていきます。これにより、課題を解決するサイクルを早く回して開発の質を高めることで、商品化・事業化までのスピードアップを図っていきます。
当連結会計年度の研究開発費総額は
各セグメントの主な開発成果は、次のとおりです。
(プリンティングソリューションズ事業セグメント)
商業・産業プリンティング事業においては、SureColorシリーズ初の6色機として、ポスター出力に適した大判インクジェットプリンター2機種を発売しました。「SC-T7750D」は鮮やかな赤を含むPOPポスターに適したレッドインク搭載B0プラス対応モデル、「SC-P8550D」は人肌など階調性重視の高品位ポスターに適したグレーインク搭載B0プラス対応モデルです。新エンジン搭載のPSユニット(※1)標準搭載で、透明・特色レイヤー、オーバープリント処理など特殊な加工を持つPDFファイル印刷に対しての印刷処理を速く正確に実現しました。両機種の本体は、奥行き50センチの薄い箱型形状で、設置面積を従来機から約25%削減(※2)しました。
捺染市場向けには、インクジェットデジタル捺染機Monna Lisa(モナリザ)シリーズの新商品として、「ML-64000」を発売しました。アパレルやファッション業界では環境負荷を考慮したサステナブルなファッションへの取り組みが急速に拡がっています。捺染市場においても、持続可能な社会の実現に向けて、環境負荷を軽減する生産工程の実現と作業負担の低減に貢献するデジタル捺染へのシフトが進んでいます。「ML-64000」は、最新のPrecisionCoreプリントヘッドを64個搭載し、標準モードで毎時774平方メートル(600x600dpi–2Pass)の高速印刷で、高い生産性を実現しました。各プリントヘッドチップの波形を個別に制御する「Dynamic Alignment Stabilizer(DAS)」技術により、高精度かつ高密度のドット配置を行い安定した印捺品質を提供します。
プリントヘッドでは、高画質・高速印刷をより簡単に実装できるサイネージ向けプリントヘッド「T3200」発売しました。ひとつのプリントヘッドでCMYK4色インクによる高速・高画質印刷の実現が可能です。さらにプリントヘッドにヒーターを内蔵することで、さまざまな粘度のUVインクに対応し、特にサイネージや商品パッケージの印刷に対して最適なデジタル印刷環境を提供することができます。
また、広くデザインに関わる業務において色合わせの課題解決を目指す商品として、分光測色方式の測色器「SD-10」を発売しました。同商品は、環状に並んだ9つの光源を使って、早く正確に色を測定します。メディア表面の凹凸の形を拾わず、一度で正確な数値が出せるため、色合わせにかかる時間を削減できます。これまで正確に色合わせを行う作業は、経験や勘など、特定オペレーターに依存するケースが多く見られました。測色器を使うことで、誰でも簡単に専門的な知識がなくても色を測り数値化できるため、業務を標準化することができます。
※1 Adobe® PostScript®対応。PSユニットとSSDの両方装着できます。PSユニット単体の場合、本体での再印刷
はできません
※2 「SC-P8050」との比較において
(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)
ビジネスプロジェクターでは、高コントラストな映像投写を実現するレーザー光源搭載の6機種8モデルを発売しました。企業や学校の中~大会議室・講堂など広い空間の後ろからでも見やすく、明るく鮮やかな大画面投写が可能です。スタンダードモデルは、上下(50%)左右(20%)のレンズシフト機能搭載で、設置場所の自由度が広がります。高輝モデルは、1画素を斜めに0.5画素シフトさせる「4Kエンハンスメントテクノロジー」により、4K相当のスクリーン解像度を実現しました。大空間にふさわしい高精細な高画質映像を投写します。
ホームプロジェクターでは、3LCD方式のホームプロジェクター「dreamio(ドリーミオ)シリーズ」の新商品2機種を発売しました。「EH-LS12000」は、4K対応(※3)で、圧倒的な高画質映像を大画面で楽しめます。2,700lmの明るい映像と、レーザー光源による高コントラストを実現しました。また新たに、コントラストを自動で調整し、映像の一部分を鮮やかでメリハリのある映像にする「自動コントラスト強調」や、シーンに応じて階調表現を最適化し、メリハリのある映像を実現する「シーン適応ガンマ補正」を搭載しました。「EH-TW5825」は、気軽に動画配信サービスなどを大画面でお楽しみいただきたい方をターゲットにした、明るさ2,700lm・Full HDの映像投写が可能なモデルです。
※3 2軸シフトテクノロジーを採用したスクリーン上の解像度
(マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント)
マニュファクチャリングソリューションズ事業においては、汎用材料が使用できる新しい産業用3Dプリンターを開発しました。エプソンの小型射出成形機に搭載されているフラットスクリュ(※4)による独自の材料押出方式を採用したことで、一般的に価格が安く入手しやすいペレット材(樹脂・金属)、環境に配慮したバイオマスペレット材、高い耐熱性を実現できるPEEK材など、さまざまな汎用的な材料を使用できることが特長です。さらにヘッド内の圧力制御や造形速度と連動したバルブ調整により、材料の射出量を精密に制御するとともに、部品の強度を出す際に課題となる造形面の温度制御も独自機構により繊細に管理することで、造形部品の精度と強度の両立を実現しました。汎用材料で造形物の精度と強度を両立したことで、最終製品向けの工業部品への展開が実現しやすい仕様となり、お客様の個々のニーズに合わせた多品種部品をより高品質・短納期・低コストで生産するマスカスタマイゼーションの推進に貢献します。
マイクロデバイス他においては、高性能な6軸センサーを搭載した慣性計測ユニット(IMU)(※5)「M-G370PDS0」を開発しました。近年、空中・海中など無人機による映像撮影・測量など利活用分野が広がり、より正確な位置・姿勢制御のニーズが増大しています。それにともないIMUには姿勢制御において重要とされる精度、特にノイズ性能への要求が高まっています。同製品は、機器やシステムに発生するわずかな姿勢変化をセンサーノイズに埋もれさせることなく、より正確に検知することが可能となります。さらに、小型・軽量・低消費電力の特長により、お客様製品の小型化、軽量化にも貢献します。
※4 インラインスクリュをフラット化した技術
※5 IMU:Inertial Measurement Unit 3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検
出する装置