当企業グループは、経営理念「独創的な技術を核に、新しい価値を創造し、活力とゆとりある社会の発展に貢献します。」およびビジョン(目指す姿)「つなげる技術の、その先へ。」をもとに、社員一人ひとりが、課題認識、対策を自ら認識し、4つの行動指針(①誠実に正しく、迅速に行動する。②自ら考え行動する。③変革を恐れず挑戦する。④チームサクサとして活動する。)に沿って推進してまいります。
当社は、2024年5月29日に中期経営計画「共に創る未来」を公表しております。本中期経営計画においては、お客様・パートナー・SAXAとの共創を通じて2030年のありたい姿「中堅・中小企業のDX推進サポーター」になることを目指し、3つの構成要素「成長戦略」、「経営基盤」、「社会的責任」を掲げ、「モノづくり as a Service」によりお客様の成長を促す新たな価値提供を進めております。
3つの構成要素のうち、「成長戦略」および「経営基盤」について、次のとおり取組んでまいります。
《成長戦略》
[バリューチェーン変革]
これまでの変革の延長線に留まらない、新たな未来への仕掛けとして「米沢アドバンスドファクトリー構想」に着手します。米沢地区を当企業グループの共創型のモノづくり発信拠点として新たに整備してまいります。
[オープンイノベーション]
・情報セキュリティ領域における取組みとして、株式会社テリロジーホールディングスとの資本業務提携を締結しました。資本関係を持つことで、企業価値向上に向けた強固なパートナーシップを構築します。本提携を通じて、当企業グループ内における情報セキュリティ対策を強化してまいります。さらに、この導入経験を活かし、中堅・中小企業向けに最適化されたサイバーセキュリティサービスを共同で提供してまいります。
・チャットボットや音声対話、クラウドPBX、自動翻訳AIなど、さまざまなDX・AIツールを保有している共創パートナーと、互いの強みを活かして顧客への加価提供を最大化することを目的に「サクサコミュニケーションイニシアティブ構想」を推進してまいります。
・2024年度にグループ入りした、株式会社ソアーを中心に新たな共創パートナーの開拓を進め、サクサグループのシナジーにより、モノづくり(開発・設計・組立・検査・出荷・品質保証)だけではなく、サービス開発とセットで受託可能な体制を構築してまいります。
《経営基盤》
[DXで支える]
・「DX事業推進プラットフォーム」については、「経営ダッシュボード(経営管理における経営ダッシュボードの構築による経営の見える化)」「CRM(カスタマーリレーションマネジメント基盤の実装)」について、“経営と現場をつなぐ基盤”として活用する段階へと進化させます。経営指標と案件情報をダイレクトに紐つけることによって、経営課題の発見から対応までを迅速に行える体制を整備してまいります。
・「SAXA-DXサービスプラットフォーム」については、「コネクティッドサービス」の実現に向けて、共通データ基盤の整備に加え、他社連携やコンソーシアム活動を視野に入れたサービスアプリケーションを拡充してまいります。
[人財で支える]
・人財の多様化を高めるための積極的なキャリア採用を継続いたします。また、女性役職登用比率を高めるための女性比率を高めた採用活動を強化してまいります。
・経営のかじ取りをする経営人財の育成(サクセッションプラン)や新規事業、新技術に対応するためのトレーニングの充実、DX人財育成に関する教育体系を構築します。また「自ら学ぶ」ことを推進するためスキルアップ支援制度を整備してまいります。
・DX人財はじめ、成長戦略推進に不可欠な人財の獲得に向けた人事制度構築、定期的な組織風土診断の実施、育児や介護に対応するための柔軟な働き方の導入など、DX実装を進める文化醸成を図ってまいります。
[資本で支える]
中期経営計画期間中におけるキャピタルアロケーションの方針を下記のとおり見直ししております。
(キャッシュイン)
① 事業利益率の改善、在庫の適正化によるコスト削減などで140億円
② 有利子負債の活用については、財務レバレッジを意識しつつ、財務健全性を確保することで50億円
③ 保有資産の有効活用については、政策保有株式の縮減を継続し20億円
④ 事業ポートフォリオ変革に繋がる施策の一環として固定資産を譲渡することで190億円
(キャッシュアウト)
① 「セキュリティ」「ワークスタイル」「コミュニケーション」の新商品創出や研究開発ならびにパートナー企業との資本業務提携などで75億円
② DX重点テーマの実装ならびにDX文化醸成などに40億円
③ DX人財の育成、人財の多様化を進めるための採用活動などに25億円
④ 設備の維持更新として40億円に加え「米沢アドバンスドファクトリー」構想に重点的投資を図りながら、東京地区オフィス刷新、グループ会社拠点の強化を進めることで合計160億円
[株主還元施策]
当社は、2024年度から2026年度の中期経営計画期間においては、1株あたり135円の年間配当を継続することを基本方針とし、安定的かつ継続的な配当の実施を目指します。また、1株あたり135円の年間配当に加え、2026年3月期から2030年3月期までは新たに特別配当として1株あたり105円(中間配当50円、期末配当55円)、総額30億円の特別配当を実施することを予定しております。ただし、中間配当の実施については、2025年6月26日に開催予定の当社第22回定時株主総会において「定款一部変更の件」が承認可決されることを条件といたします。
当企業グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものです。
価値創造とサステナビリティ推進
当企業グループは、「独創的な技術を核に、新しい価値を創造し、活力とゆとりある社会の発展に貢献します。」を企業理念とし、心地よい暮らし、つまり、安心で安全、快適で便利な環境の実現に向けて「つなげる技術の、その先へ。」をビジョン(目指す姿)として掲げています。
「つなげる技術」は、‘モノづくり’ ‘コトづくり’を通じて、ヒトとヒト、モノとヒト、モノとモノをつなげる技術を言い、「つなげる技術」を核に、様々なステークホルダーとの共創により、お客様とサクサがつながります。その「つなげる技術」をさらにつなげて、お客様の明日(明日の社会)へとつなげていく、すなわち持続可能な社会の実現を目指します。
近年、当企業グループが属する情報通信ネットワーク関連市場は技術革新とともにサービスの高度化が進む中で、サイバーセキュリティなどの新たな社会課題も生まれています。社会環境の変化とともに、当企業グループに寄せられる期待や要請はより高度化・広範化しています。これらに応えるべく、特にサステナビリティ面における経営課題を「サステナビリティ重要課題」として明確化するとともに、2024-2026中期経営計画「共に創る未来」において主な取組みとその主要KPIを設定しました。
これら重要課題に関する主な取組みと主要KPIは、2024年7月の株式会社ソアーのグループ化に伴う温室効果ガス排出量の再算定とSBT認定の取得、顧客からの環境配慮製品に関するニーズの高まりを受け、2025年5月21日公表「2024-2026中期経営計画「共に創る未来」進捗レビュー」にて見直しを行っています。
温室効果ガス排出量の削減、消費電力削減や再生プラスチック採用などによる製品の環境負荷低減は、メーカーである当企業グループにとって特に重要なサステナビリティ課題です。
引き続き、これら重要課題への取組みを通じて、社会課題の解決を図るとともに、企業価値の向上を目指します。
サステナビリティ重要課題
当企業グループは、持続可能な社会の実現や当企業グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るため、グループにおけるサステナビリティ経営、活動を推進する会議体として、2022年10月に当社社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。
2024年7月には、それまで「サステナビリティ推進委員会」が主体となっていたマネジメントサイクルを、事業持株会社化・新グループフォーメーションへの移行に伴い、意思決定および報告機関を取締役会ならびに経営会議に変更しました。サステナビリティ推進リーダーには管理統括担当執行役員を任命し、当社管理統括本部内にグループ全社におけるサステナビリティ活動を統括する「サステナビリティ推進部」を設置しました。
また、グループ全社におけるサステナビリティ活動の推進を目的とし、当社「サステナビリティ推進部」を事務局とする「サクサグループ サステナビリティ推進連絡会」を原則毎月開催し、グループ社員のサステナビリティ活動への理解促進と、サステナビリティ重要課題における具体的な取組みを推進しました。
サステナビリティに関する審議内容および取組み状況は、担当執行役員より経営会議を通じて、適宜、取締役会に報告しました。これにより取締役会によるサステナビリティ活動へのガバナンス体制を構築しております。
当社では年2回、リスクについて当企業グループ各社から当社リスクマネジメント部門に報告し、その後、コンプライアンスおよびリスクマネジメントを統括する部門の担当役員が委員長となるコンプライアンス・リスクマネジメント委員会に報告し、リスクおよび機会を識別、評価および管理しております。この委員会については、
また、品質・環境・情報セキュリティの各マネジメントシステムの運用を通じて、関連するリスクを特定しています。特定したリスクについては、各マネジメントシステムの目標および維持活動により、管理、低減に取組んでいます。
(1)戦略
当企業グループは、上記のガバナンスおよびリスク管理をとおして、気候関連リスクを重要なサステナビリティ項目と認識しております。
気候変動が、短期、中期、長期にわたり、企業経営にどのような影響を与えるかについて、1.5℃シナリオにおける移行リスク、4℃シナリオにおける物理的リスクを想定し、事業および財務へのインパクトを評価しています(表1、表2参照)。また、1.5℃、4℃シナリオにおける機会を特定し、その対応策を策定しています(表3参照)。
これら気候変動に関するリスクと機会の明確化に際しては、環境マネジメントシステムにおいて特定されたリスクと機会を考慮に入れています。
気候変動に関するリスク・機会、対応策については、社会環境や事業活動の変化を踏まえ、適宜、見直しを行います。
(表1)1.5℃シナリオにおける移行リスク
(表2)4℃シナリオにおける物理的リスク
(表3)1.5℃シナリオ、4℃シナリオにおける機会と対応策
(2)指標および目標
当企業グループは、気候変動関連について地球温暖化を重要なリスクと認識し、その防止を目的に脱炭素化の目標をSBTi(*)への認定申請・取得に伴い以下のとおり定めました。
・Scope1+2におけるCO2排出量を2030年度までに2023年度比42%削減します。
(1.5℃水準)
・Scope3におけるCO2排出量を2030年度までに2023年度比25%削減します。
(well-below 2℃水準)
(*)SBTi:パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス排出削減目標の設定を企業に促すイニシアチブ
参考:気候変動対応の指標と目標に対する進捗状況
(1)戦略
①人財育成に関する取組み方針
当企業グループは、コンプライアンス意識を持ち、コミュニケーションを取りながら自ら考え挑戦し続ける人財の育成を目指しております。具体的には、当社では、新入社員から育成ステージに合わせた教育・研修プログラムの整備、メンバー個人の成長支援と組織としての成果創出につなげるためのマネジメント教育等を実施することで、全階層への効果的な教育施策を導入し、早期から自律的な業務遂行と外部環境変化に対応できる人財の育成を目指します。また、タレントマネジメントシステムによる人事情報の一元管理を行いながら、人事ローテーションガイドラインに基づくジョブローテーションを実施することで、効果的な人財育成を目指しています。
②働き方改革の取組み
当社は、「柔軟な働き方による業務の効率性向上」および「ワーク・ライフ・バランス」等を目的として、テレワーク制度を運用しています。テレワークは、在宅勤務のほか、提携するサテライトオフィスを利用することができ働き方に応じた柔軟性のある仕組みとしています。また、2023年8月からはフレックスタイム制におけるフレキシブルタイムを拡大し、ワーク・ライフ・バランスの実効性を高める取組みを進めています。
③健康経営の取組み
当企業グループは、社員の健康保持・増進への積極的な取組みによって、社員の活力向上、業務の効率性向上および組織の活性化等をもたらすとともに、業績向上や企業価値向上へつなげるため、健康経営を推進しています。サクサ健康保険組合との連携のもと、社員が心身ともに健やかで仕事ができるように様々な施策を実行しています。特に、メンタル不調を未然に防ぐためにストレスチェックを活用したセルフケアの強化を推進し、その重要性を定着させる取組みを進めています。
こうした取組みをさらに効果的なものとし、社員の心身の健康に寄与させていくため、「サクサグループ健康経営宣言」を公表し、2025年3月には当社が健康経営優良法人に前年度に引き続いて認定されるとともに、サクサテクノ株式会社が初めて認定されました。2024年度の具体的取組み施策として、健康保持・増進施策に関する教育、「禁煙デー」の実施、定期健康診断における二次検査対象者の受診率改善に向けたフォローアップ等に取組みました。
④労働安全衛生の取組み
当企業グループは、安全衛生管理組織、災害防止対策、疾病予防対策およびその他安全衛生の維持、向上に関する基本的事項を定め、職場における社員の安全と健康を確保し、快適な職場環境づくりと生産性の向上を推進しています。
⑤ダイバーシティの方針・取組み
多様化する顧客ニーズへの対応や急激な少子高齢化に伴う労働力不足、採用競争の激化などの社会情勢を受け、多様な人財が最大限能力を発揮できる環境構築がこれまで以上に求められています。誰もが働きやすく、活躍できる職場づくりを目指すことを目的に、当企業グループでは2021年に「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会(D&I推進委員会)」を発足し、継続的な活動を推進しています。
第3期では、グループ各社の実態に沿った活動を推進すべく、各社別の推進体制を構築するとともに、グループ全体での活動進捗の確認と情報共有を四半期に1回行うことで、グループ一体となった取組みを継続しています。
主な取組み内容
なお、当社では、2025年3月に育児・介護に関する個別の専用窓口を設置し、具体的な運用を2025年4月から開始いたしております。育児と介護に関する社内制度の周知、本人への配慮、制度利用に関する意向確認を行うことで、個別事情がある中でも安心して働き続ける環境を整備しております。
当企業グループでは、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、指標の内容ならびに当該指標を用いた実績は、次のとおりです。
当社は、女性が安心して長期的に活躍でき、社員が仕事と子育てを両立させることができる雇用環境の整備を図るために 以下の行動計画(2025年4月1日~2028年3月31日)を策定しています。
・ 目標1:管理職に占める女性比率を3%以上とする。
・ 目標2:新卒採用における女性の採用比率を30%以上とする。
・ 目標3:年間所定外労働時間の月平均を20時間以下にし、長時間労働の削減につなげる。
・ 目標4:男性の育児休業および育児目的休暇の取得率を50%以上とする。
上記目標を達成・維持していくために、関連制度の周知徹底や社内運用基準の見直し、採用媒体等を活用した積極的広報等を継続して進めてまいります。
当企業グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼし、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、次のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において、当企業グループが判断したものであります。
(1) 経済環境に関するリスク
①経済動向について
当企業グループは、国内売上比率が高く、日本国内の情報通信ネットワーク関連市場およびアミューズメント市場の経済状況の影響を受けます。これらの市場における景気後退とそれらに伴い需要が縮小した場合、当企業グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、資材等のコスト低減を目的に中国、東南アジア等からの調達およびこれらの地域に製造委託しており、これらの地域の経済情勢や治安状況などが悪化することにより、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。
②為替および金利の変動について
当企業グループの外貨建での取引は、輸入超過の状態であり、為替相場の変動によって影響を受けます。
当企業グループでは、一部に為替予約等の対応策を講じておりますが、円安傾向が強まった場合は調達価格を押し上げ、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当企業グループは金利変動リスクにもさらされており、リスク回避のための様々な手段を講じておりますが、急激な金利変動は、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③株式市況の変動について
国内の株式市場の動向は、当企業グループの保有する株式の評価額に大きく影響を及ぼします。したがって、株式市場が低迷した場合、保有株式の評価損の計上や企業年金資産の運用損の発生等により、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当企業グループの事業活動に関するリスク
①市場環境について
当企業グループが関連する情報通信ネットワーク関連市場は、急速な技術革新の進展や激しい競争にさらされております。市場要求に対応した新商品のタイムリーな提供とサービスの向上により市場シェアの拡大に努めてまいりますが、競合会社の新たな市場参入とシェア獲得競争により、当企業グループの商品・サービスが激しい価格競争にさらされ、競争の結果、想定した需要が得られない場合や商品価格が大きく下落する場合は、棚卸資産として計上されている商品の評価損処理等を行う可能性があり、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、アミューズメント市場は、規制環境や市場環境が大きく変化しており、事業規模に見合った事業効率化を図っておりますが、法的規制等に重大な変更が加えられた場合、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②生産活動について
当企業グループの生産活動には、資材、部品、製造装置その他供給品のタイムリーな調達が不可欠です。当企業グループでは、生産体制・調達体制の革新を図り、必要な資材等をタイムリーかつ適正な価格で確保して効率的な生産活動を遂行しておりますが、供給の遅延、中断や業界内の需要増加等があった場合、必要な資材等を効率的に確保できない可能性があり、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③技術革新および顧客ニーズへの対応について
当企業グループは、常に技術、市場の変化を的確に捉え、お客様のニーズに応える新商品の開発に努めてまいりますが、それらの商品をタイムリーに提供することができない場合、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、市場の要求するサービスの多様化等により新商品の開発過程が長期化した場合、当企業グループの商品が市場に投入される前から陳腐化し商品性を失う可能性があります。
④システム開発リスク
当企業グループがお客様にシステムやサービスを提供するシステムインテグレーション事業では、一般に請負契約の形態で受注から納期までにシステムを完成し、お客様に提供する完成責任を負っていますが、当初想定していた見積もりからの乖離や、開発段階において、プロジェクト管理等に問題が発生した場合、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払い等により、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤特定の取引先への販売依存について
当企業グループの取引において、一部の取引先への連結売上高に占める依存度が高くなっており、当該取引先が事業または技術上の重大な問題もしくは調達方針の変更など、何らかの理由により当企業グループの取引額が減少した場合、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥人財の確保について
当企業グループはさらなる成長を目指すために、優秀な人財を確保し、維持する必要がありますが、その人財を確保できなかった場合、または多数離職した場合、当企業グループの事業目的の達成が困難になる可能性があります。
(3) 法的規制および訴訟に関するリスク
①欠陥商品の発生について
当企業グループは、「ISO9001」認証を取得し、商品の品質保証には細心の注意を払っておりますが、経時変化や、想定外の品質異常等により、将来的に当企業グループの商品に欠陥が発生しないという保証はありません。
欠陥が発生し、製造物賠償責任保険での補償を超える損害賠償の請求や当企業グループの信用失墜は、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②情報セキュリティに関するリスクについて
当企業グループは、事業遂行に関連して、機密情報・個人情報を保有しており、情報漏洩対策やウイルス防御システムの導入など、これらの情報の管理に万全を期しておりますが、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故など予期せぬ事態により流出する可能性は皆無ではありません。
このような事態が生じた場合、社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が発生し、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③環境に関する規制について
当企業グループの事業活動は、大気汚染、水質汚濁、有害物質の使用および取扱い、廃棄物処理、商品リサイクル等を規制するさまざまな環境法令の適用を受けており、過去、現在、将来の事業活動に関し環境責任リスクがあります。
当企業グループでは「ISO14001」に基づく環境マネジメントシステムをグループ全体で構築し、環境保全活動に取組んでおりますが、将来、環境に関する規制が一層厳しくなり、有害物質等の除去義務が追加された場合、これらに係る費用が発生し、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④その他法的規制等について
当企業グループが関連する事業は国内または国際的規制に従って行っております。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、電気製品の安全性および電気通信事業の変更に関する法規制、国の安全保障に関する法規制および輸出入に関する法規制等があります。
これらの法規制や当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることなどにより、当企業グループがこれら法規制に従うことができなくなった場合、当企業グループの事業活動は制限を受けることになり、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤コンプライアンスに関するリスクについて
当企業グループは企業倫理の確立による健全な事業活動を基本とする「グループ企業行動憲章」と「グループ行動規範」を定め、コンプライアンス推進体制を構築し、役員および社員等への教育啓蒙活動を推進し、企業倫理の向上および法令遵守の強化に努めています。
しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全に回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当企業グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が発生し、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスクについて
①災害等による影響について
当企業グループは、地震、風水害、停電等の災害に備え、開発・製造設備や各種情報を保管する情報システム関連設備等に対して定期的に点検、検査およびバックアップなどを整備しています。
しかしながら、これによって、災害等による被害を完全に排除できることを保証するものではなく、当企業グループの事業活動に悪影響を与え、かつ、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当企業グループの業績と財政状態にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症の世界的な流行が生じた場合には、当企業グループ部品調達の遅延等、生産活動への影響を及ぼす可能性があり、経過によっては、当企業グループの事業活動は制限を受けることになり、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②退職給付債務について
当企業グループでは、キャッシュ・バランス型確定給付企業年金制度を適用しており、市場金利や株式市況の変動によるリスクを最小限に留める対策を講じておりますが、割引率の低下や運用の利回りの悪化は、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③会計基準等の変更について
当企業グループでは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して会計処理を行っておりますが、会計基準の設定や変更により従来の会計方針を変更した場合に、当企業グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当企業グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度のわが国の経済は、緩やかな回復基調が続いているものの、依然として物価の上昇や為替の不安定な値動きの継続、アメリカの政策動向を要因とした経済への影響など先行き不透明な状況で推移しました。
このような経済環境の中で、当企業グループは2024年5月29日に新たな中期経営計画「共に創る未来」を公表いたしました。
新たな中期経営計画「共に創る未来」においては、お客様・パートナー・SAXAとの共創を通じて2030年のありたい姿「中堅・中小企業のDX推進サポーター」になることを目指し、3つの構成要素「成長戦略」、「経営基盤」、「社会的責任」を掲げ、「モノづくり as a Service」によりお客様の成長を促す新たな価値提供を実現してまいります。
当連結会計年度において当企業グループは、中期経営計画達成に向け、次の取組みを行いました。
【成長戦略】〔事業変革:モノづくり as a Service〕
《バリューチェーン変革》
[サクサ株式会社]
・当社は、「事業ポートフォリオの変革」を実現するためには、経営と事業が一体となった体制で推進することが必要であると判断し、連結子会社であったサクサ株式会社(吸収合併消滅会社)を、2024年7月1日付で当社(同日付でサクサ株式会社へ商号変更)を吸収合併存続会社とする吸収合併を行いました。
・当社の子会社であるサクサビジネスシステム株式会社で行っていた工事・保守に関する業務を2024年7月1日付で当社に移管しました。
・当企業グループの主要な生産工場が所在する米沢地区のサプライチェーン強化、生産革新ならびに物流改革の具体化に向けた検討を開始しました。(2024年10月)
・環境負荷の低減に向けた技術、省エネルギー技術、AIを活用した省人化技術の研究開発を開始しました。(2024年10月)
・当社および株式会社システム・ケイは、クローズド環境下での生成AI利活用による新商品創出に向けた研究開発を実施し、具体的なデバイス環境において良好な結果を確認しました。(2025年3月)
[株式会社システム・ケイ]
・「HBAソリューションフォーラム2024」にて、株式会社HBA、NECネッツエスアイ株式会社と共同開発した「映像AIソリューション」を紹介しました。(2024年10月)
・株式会社明電舎が出展した「SEMICON Japan 2024」において、株式会社マクニカと共同で、車両の下部をカメラで撮影した動画を一枚の画像に結合し、迅速に全体を確認できる「車両下部検査AIシステム」、バードストライクが起こる洋上風力発電や空港・鉄道などで活用が想定される「バードストライク検知AIシステム」を紹介しました。(2024年12月)
・「SECURITY SHOW 2025」に、株式会社マクニカと共同出展し、多種多様なAI解析システムを実現する、AI搭載の次世代型ネットワークビデオレコーダー「NVR-Pro TypeH」を紹介しました。(2025年3月)
[株式会社ソアー]
・2018年8月に医療機器製造業登録を行い、QMS省令に適合した医療品質マネジメントシステムを運用し、医療機器(クラスⅡ)の製造を受託してきました。今後、品質管理体制を一層強化し、安全で高品質な医療機器を製造することを目的に、医療機器の品質管理システム構築のための国際標準規格であるISO13485を取得しました。(2024年10月)
また、特定顧客から医療機関などでご使用いただく水素吸入機の開発および生産を受託(2024年12月)するなど、医療機器品質での開発製造受託サービスの拡大に取組んでおります。
・ODM/EMS事業において、サクサテクノ株式会社で行っている基板実装および射出成形を含めサクサグループ内での一貫した対応ができることを強みとした受注活動を開始しました。(2024年12月)
また、同事業の拡大および「モノづくり」を起点とした共創型ビジネスのサービス化(as a Service)に向けたパートナー開拓を開始いたしました。(2025年1月)
・「第39回 インターネプコン ジャパン」に出展し、産業/民生/車載分野の受託製品と、当企業グループ内で対応可能な基板実装/射出成形ならびにISO13485の取得により強化された医療機器品質での開発製造受託サービスについて紹介しました。(2025年1月)
[サクサテクノ株式会社]
・生産能力強化のため、基板実装において利用する表面実装機を更新しました。(2024年11月)
・口腔事業を、2025年3月31日付でトミー株式会社に譲渡を行いました。
・防災事業および汎用機器事業を、2025年3月31日付で譲渡すべく手続きを行いました。なお、事業譲渡に際し、必要な認定取得に時間を要することとなったため、事業譲渡先と協議のうえ、譲渡完了日を2025年9月30日付に変更しております。
《オープンイノベーション》
・セキュリティ、ワークスタイル、コミュニケーションの3つの分野で、新規事業創出のための共創パートナー候補会社の探索を行い、数十社と共創ビジネスの創出活動を開始しました。(2024年10月)
・セキュリティ、ワークスタイルの分野において共創パートナーと当社メンバーによる共創ワーキングを複数発足させ、協業によるビジネスモデルの構築と事業としてのマネタイズプランの策定について検討を進めております。セキュリティ分野においては、共創パートナーとの連携のもと、新たなビジネス創出に向けた取組みとして中堅・中小企業向け新商材の開発に向けたプロトタイピングを実施し、あわせて新たな販売チャネルの開拓にも着手しております。(2025年1月)
・コミュニケーション分野において音声サービスの創出を目指し、関連分野の複数の共創パートナーと、当社構想に基づく具体的な協業実現に向け、経営層による協議を開始しました。(2025年3月)
【経営基盤】
〔DXで支える〕
・当社は、DX認定制度に基づく「DX認定事業者」として認定を取得し、対外的な取組み周知と社内におけるDX推進意識の向上に努めました。(2025年1月)
今後も、社内外へのDX浸透を通じて、業務革新と新たな価値創出を推進してまいります。
・当社はDX戦略における重点取組みとして、「経営管理における経営ダッシュボードの構築による経営の見える化」と「カスタマーリレーションマネジメント基盤の実装」を掲げております。これらの取組みに向け、RFP(提案依頼書)を通じて支援パートナーを選定し、導入に向けた実装プロジェクトを開始しました。(2025年3月)
・中期経営計画に定めたSAXA-DXサービスプラットフォーム・コネクティッドサービスの構築に向け、RFI(情報収集依頼)を通じて関連情報を収集し、それに基づきRFP(提案依頼書)を作成、説明会を実施しました。(2025年3月)
現在、各社からの提案をもとにベンダー選定を進めており、翌期以降、選定を推進し、速やかに実装に着手する予定です。
・当社は、グループ社員を対象に「DXアセスメント」を実施し、現状のリテラシー状況を把握するとともに、分析結果の共有を行いました。(2025年3月)
分析結果を踏まえ、翌期以降も引き続きリテラシー向上に取組み、お客様のDX推進を支援できる体制のさらなる強化を目指してまいります。
〔資本で支える〕
・中期経営計画達成に向けたM&A実行のための資金調達を行いました。(2024年7月)
・株主還元水準の改善および資本効率の向上を目的とした自己株式の取得を行いました。(2024年9月)
・グループ社員の資産形成を目的に運営している従業員持株会の加入促進のため、対象者への説明会を行いました。(2024年10月)
・保有資産の活用のため政策保有株式の5銘柄縮減および1銘柄の一部売却を行いました。(2024年8月から2025年3月)
・当社は、株主の皆様への還元および対話強化を目的に株主優待制度を新設しました。(2024年11月)
また、株主の皆様への利益還元の機会を充実させるため、2025年6月26日に開催予定の当社第22回定時株主総会において「定款一部変更の件」が承認可決されることを条件に、中間配当制度を導入することといたしました。(2025年2月)
〔人財で支える〕
・ビジネス開発業務の経験が浅い若手社員を対象とした教育プログラムの整備に取組み、実際のビジネスシーンを意識した実践的な教育を目的に、社外との交流を含めた教育の実施について検討を開始しました。(2025年1月)
・採用が困難なDX人財の確保のために採用エージェントの見直し、採用管理システムの導入、選考前の相互理解のための面談実施等、採用プロセスの見直しを行い、採用活動をスタートしました。(2025年2月)
・DX人財向けの新人事制度について等級制度、報酬制度の方向性について検討を行い、2025年度下期の運用開始に向けて詳細設計を開始しました。(2025年3月)
【社会的責任】
・環境配慮プラスチックを70%以上使用した製品の販売を開始しました。(2024年7月)
・当社は、「サクサグループ サステナビリティレポート2024」を公開しました。(2024年11月)
・当企業グループは、SBTi認定取得に向け申請を行い、認定を取得しました。(2025年4月)
・当企業グループは、 2024年度CDP気候変動に関する調査において、評価「B」を取得しました。(2025年2月)
・環境配慮型プラスチックの利用拡大に向けた研究開発を推進した結果、複数製品への適用が可能であることを確認しました。(2025年3月)
また、温室効果ガス排出量削減に向けた消費電力量低減のため、高効率電源の研究開発を推進しております。本取組みにより、削減効果が見込めることを確認しました。(2025年3月)
当連結会計年度の売上高は、43,971百万円(前年同期比3,022百万円増)となりました。
また、利益面では、増収とはなりましたが、成長投資を進めたことで、経常利益が3,404百万円と前年同期に比べ1百万円の微減となりました。また、政策保有株式の縮減による投資有価証券売却益364百万円の計上、繰延税金資産の回収可能性が高まったことに伴い法人税等調整額が減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は3,502百万円と前年同期と比べ701百万円の増益となりました。
なお、2024年7月31日に株式の取得により連結子会社化した株式会社ソアーの業績は、2024年9月30日をみなし取得日としており、第3四半期連結会計期間より損益計算書を連結しております。
事業別の営業の概況は以下のとおりです。
サクサブランド事業の売上高は、14,109百万円(前年同期比480百万円増)となりました。主な要因は、ビジネスホン、ネットワークおよび防犯防災の受注がそれぞれ増加したことによるものです。
OEM事業の売上高は、20,769百万円(前年同期比1,148百万円減)となりました。主な要因は、OEM防犯防災において受注の増加はあったものの、OEMビジネスホンおよびアミューズメントにおける受注がそれぞれ減少したことによるものです。
システム事業の売上高は、6,630百万円(前年同期比1,238百万円増)となりました。主な要因は、特定顧客向けシステム構築案件の受注が減少しましたが、映像ソリューションにおいて受注が増加したことによるものです。
M&A他の売上高は、2,463百万円となりました。これは主に、第3四半期連結会計期間より株式会社ソアーの損益計算書を連結したことによるものです。
当連結会計年度末の財政状態の概況は、次のとおりです。
当連結会計年度末の純資産は、政策保有株式の縮減によるその他有価証券評価差額金の減少はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上および退職給付に係る調整累計額の増加により、前連結会計年度末に比べ2,396百万円増加し30,764百万円となり、自己資本当期純利益率(ROE)は11.8%となりました。また、総資産が3,729百万円増加し45,203百万円となったことにより、自己資本比率は68.1%となりました。
増減の主なものは、以下のとおりです。
流動資産は、全体で前連結会計年度末に比べ2,410百万円増加し29,476百万円となりました。これは、棚卸資産が375百万円減少したものの、株式会社ソアーを連結の範囲に含めたこと等により売上債権が1,753百万円、現金及び預金が922百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は、投資有価証券が政策保有株式の縮減により1,560百万円減少したものの、有形固定資産が株式会社ソアーを連結の範囲に含めたことにより1,453百万円、無形固定資産がソフトウエアの取得により219百万円それぞれ増加したことにより、固定資産全体で前連結会計年度末に比べ1,318百万円増加し15,726百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金が372百万円、製品保証引当金が159百万円、未払消費税等が85百万円それぞれ減少しましたが、資金調達により借入金が1,340百万円、賞与引当金が537百万円それぞれ増加したことにより負債全体で前連結会計年度末に比べ1,333百万円増加し14,438百万円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ922百万円増加し、10,291百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,267百万円の収入(前年同期は3,737百万円の収入)となりました。これは仕入債務の減少による支出はありましたが、棚卸資産の減少による収入および税金等調整前当期純利益の計上等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,813百万円の支出(前年同期は569百万円の支出)となりました。これは投資有価証券の売却による収入はありましたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出を実施したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、477百万円の収入(前年同期は1,967百万円の支出)となりました。これは配当金の支払による支出はありましたが、資金調達による収入があったためです。
当企業グループは、事業区分が単一セグメントでありますが、本項目における分野別情報は、前連結会計年度と同一の区分によっております。
当連結会計年度における生産実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記のほか下記の仕入製品があります。
(注)金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
(注)1 NTTグループは、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社およびエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社等であります。
2 前連結会計年度のマミヤ・オーピー株式会社に対する販売割合は、10%未満であるため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において判断したものであります。
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値および偶発債務の開示ならびに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定の設定を行わなければなりません。
当企業グループの経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
特に、以下の重要な会計方針が、当企業グループの連結財務諸表の作成において使用された重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすものと考えております。
なお、半導体を中心とした部材調達難と販売機会損失等、当企業グループの事業活動に与える影響を合理的に反映することが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a. 機器組込みソフトウエア(販売目的ソフトウエアのうち、当社にかかるもの) は定額法により減価償却費を計上しており、販売可能な見込有効期間に基づく償却額を計上しております。また各年度の未償却残高が、翌連結会計年度以降の見込販売収益の金額を超過している場合には、当該超過額について、一時の費用又は損失として処理しております。見込販売収益の算出に用いた主要な仮定は、見込販売数量であり、見込販売数量は市場環境の変化に影響を受けるため、見積りの不確実性が高く、情報通信ネットワーク製品の陳腐化に伴い、見込販売収益が大幅に減少した場合には、一時に費用又は損失が発生する可能性があります。
b. 売掛金、貸付金等の債権については、決算日以降に発生すると予測される貸倒損失に備えるため、適正な見積りに基づき貸倒引当金を計上しておりますが、顧客等の財政状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c. 製品保証費用については、出荷済製品のアフターサービス費用等の発生に備え、過去の実績に基づくアフターサービス費用の見積りに基づき製品保証引当金を計上しております。三現主義の徹底と広範囲にわたる品質管理システムの運用により品質向上に努めておりますが、実際の品質不良率または修理コストが見積りと異なった場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。
d. 受注残高のうち、損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込額を受注損失引当金として計上しております。将来、発生原価が見積額を上回ると予想される場合、追加引当が必要になる可能性があります。
e. 投資については、回復可能性があると認められない株式等の評価減を実施しておりますが、投資先の財政状態が悪化した場合、評価損の追加計上の可能性があります。
f. 繰延税金資産については、将来の課税所得および継続的な税務計画を検討し、回収可能性が高いと考えられる金額に減額するため評価性引当金を計上しております。この評価性引当金は当連結会計年度末で判断したものであり、将来の課税所得および税務計画の変更等により追加計上または取崩しが発生する可能性があります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当企業グループの主力市場である情報通信ネットワーク関連市場においては、多様化、高度化したネットワークを活用した様々な事業が生まれるなど大きな変化が続いております。
このような市場環境の変化と資材調達環境の変化により、当企業グループの業績も影響を受けます。
そのため当企業グループは、このような変化に柔軟に対応し、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう心がけております。
また、経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「3〔事業等のリスク〕」に記載しております。
当企業グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、多様化するお客様のニーズにお応えするため、お客様視点に立った安心、安全、快適、便利な環境を実現するソリューションをタイムリーに提供し続け、事業成長に向けた収益体質改善のための諸施策に取組んでまいります。
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.資金需要と財務政策
当企業グループは、運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金を充当し、必要に応じ金融機関からの借入により調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については主に期限が1年以内の短期借入金により調達しており、設備投資資金等については長期借入金等により調達しております。
また、資産効率の向上、営業活動によるキャッシュ・フローの確保およびシンジケーション方式によるコミットメントライン5,000百万円を含む未使用借入枠11,813百万円により、当面の運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
(1)連結子会社の吸収合併
当社およびサクサ株式会社(吸収合併消滅会社)は、2024年5月20日開催の取締役会において、2024年7月1日を効力発生日として、当社(同日付でサクサ株式会社へ商号変更)を吸収合併存続会社、当社の連結子会社であったサクサ株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことをそれぞれ決議し、同日付けで合併契約を締結し、当社は2024年7月1日付で同社を吸収合併いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
(2)事業譲渡契約
2024年11月29日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるサクサテクノ株式会社の防災事業および汎用機器事業ならびに口腔事業を譲渡することを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結いたしました。
なお、口腔事業については2025年3月31日付でトミー株式会社に譲渡を完了しておりますが、防災事業および汎用機器事業については、事業譲渡に関わる認定取得に時間を要するため、口腔事業の事業譲渡先とは別の事業譲渡先に2025年9月30日付で譲渡を完了する予定となっております。
当企業グループにおける研究開発活動は、ネットワークソリューション分野およびセキュリティソリューション分野において、事業運営に直結する新技術および新商品の開発を推進するとともに、将来のビジネスシーンの実現ならびにお客様への新たな価値提供を目指したコア技術の確立を目的として取組んでおります。
当連結会計年度においては、安心、安全、快適、便利な環境を実現するソリューションの提供に向けて、音声、映像、データおよびアプリケーションを含む多様な技術領域における研究開発を推進いたしました。特に、中堅・中小企業におけるDX推進の課題に対応すべく、当社独自の「Office AGENT」シリーズを軸に、「SECURITY(次世代情報セキュリティ対策)」、「WORKSTYLE(次世代ワークスタイル変革)」および「COMMUNICATION(次世代コミュニケーション活用)」の3領域におけるデジタル革新の実現に注力してまいりました。
なお、当連結会計年度の研究開発費総額は、
(1) ネットワークソリューション分野における研究開発活動
当該分野における研究開発費は、1,982百万円であります。
本分野においては、中堅・中小企業オフィスにおける情報セキュリティの強化、業務効率の向上および円滑なコミュニケーションの実現を目的として、IPネットワーク関連製品およびサービスの機能拡充に取組みました。
具体的な成果として、IP-PBXに対応するSIP電話機「NP530」の開発を行ったほか、小規模オフィス向けに販売しているボタン電話装置「OPTYS」においては、環境配慮の観点からリサイクルプラスチックに対応する製品改良を実施いたしました。さらに、情報システム部門を持たない中堅・中小企業においても、セキュアなネットワーク環境を容易に構築・維持できるよう支援するため、Wi-Fi6に対応したセキュリティアクセスポイント「LG1500AP」シリーズを新たに開発し、発売開始いたしました。本製品は、マルウェア感染の拡大防止機能を備え、安心・安全な社内ネットワーク環境を提供することを目的としたものであります。
(2) セキュリティソリューション分野における研究開発活動
当該分野における研究開発費は、828百万円であります。
本分野では、映像・通信技術を活用したセキュリティ関連製品の高度化を図るべく、さまざまな開発活動を推進いたしました。
具体的には、警備会社向け機械警備送信機の後継機として、LTE通信およびBluetooth®機能を搭載し設置効率を向上させた機種「TS-MT0804」の開発を実施いたしました。また、高精細映像によるリアルタイムの判断・確認が求められる監視、防犯等の市場に向けて、AI画像認識技術を活用した多用途対応型ソリューションを構築し、その成果として、港湾関連の物流業界向けに省人化を実現するシステムを受注いたしました。
(3) 研究開発(R&D)分野における活動
当該分野における研究開発費は、605百万円であります。
本分野では、将来の事業展開に向けたコア技術の確立を目的として、生成AIを活用した省人化技術の研究開発および環境負荷低減に資する新規樹脂技術の実用化に向けた取組みを推進いたしました。
AI領域においては、複数のAI技術を組み合わせて活用するマルチモーダルAIの研究開発を進め、より高度な判断支援技術の構築に取組んでおります。加えて、クラウド型LLMに内在するセキュリティおよびコスト面の課題を踏まえ、最新のエッジデバイスを用いたローカル環境を構築し、高品質なデータ収集、学習手法、プロンプト圧縮技術など、幅広い応用分野において競争優位性の向上が期待される要素技術の習得に取組みました。
また、新素材技術においては、バイオマスプラスチックおよびリサイクルプラスチックの適用拡大を目的とした製品展開への技術的検討を進めるとともに、環境配慮型プラスチックの利用拡大に関する研究開発を推進した結果、複数の製品において適用可能であることを確認しております。さらに、温室効果ガス排出量の削減を目的とし、消費電力量の低減に資する高効率電源技術の研究開発を実施しており、当該技術の導入によって一定の削減効果が見込まれることを確認いたしました。