第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、円安効果などにより企業業績が改善しましたが、個人消費の伸びは低いままであり、設備投資需要の増加も限定的にとどまりました。先行きの不透明感は払しょくできず、景気回復の動きは力強さに欠けるものでした。世界経済においては、新興国経済の成長鈍化や原油価格の低下などの影響により、牽引役が不在の状況でした。当社グループの主要なマーケットである放送業界では、世界的に二つの大きな変化に直面しています。ひとつは、インターネット経由のコンテンツ配信事業者の台頭です。従来の地上波やケーブルテレビの放送事業者は、収益モデルの見直しが求められています。もう一つは、4Kあるいは8Kと言われる超高精細映像フォーマットの採用です。新たな映像フォーマットに対応するため、コンテンツ制作から配信までのワークフロー全体の再構築が検討されています。このような状況に直面し、多くの放送事業者は、先行き動向を探ろうとし、様子見の姿勢を取ったため、放送関連の設備投資需要は2015年末まで一時的に縮小しましたが、2016年になってからは、具体的な投資に踏み切る企業が増えてきました。

そのような状況のなか、当社グループの事業は、日本国内、アジア、欧州においては、顧客の需要回復が見られず、売上は計画を下回ることになりました。一方、オーストラリアおよび米国では、既存顧客の継続プロジェクトからの受注が順調に推移しただけでなく、既存顧客の新規プロジェクトの獲得が進んだことにより、売上は増加しました。販売面では、日本を含むアジアの不振をオーストラリアと米国の貢献により補う形となりました。全体として売上高は、2015年5月に公表した期初予想は下回りましたが、前期比5.5%増加し、2年連続して過去最高を記録しました。当連結会計年度の海外売上高比率は、前期の77.8%から74.3%になりました。

その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は5,649百万円(前連結会計年度比5.5%増加)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が4,604百万円(同4.0%増加)、その他が1,044百万円(同12.7%増加)となりました。

利益面では、売上高の増加により、売上総利益は3,383百万円(同5.1%増加)となりましたが、販売費及び一般管理費が研究開発費や人件費の増加により3,067百万円(同12.8%増加)となり、営業利益は316百万円(同36.8%減少)となりました。円高による為替差損57百万円の計上等により経常利益は257百万円(同52.1%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は114百万円(同78.5%減少)になりました。

なお、当社グループは映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に事業を分類しておりません。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ293百万円増加し、2,652百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は388百万円(前連結会計年度は525百万円の増加)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益254百万円の計上、法人税等の支払額126百万円、たな卸資産の減少119百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は195百万円(前連結会計年度は142百万円の減少)となりました。その主な要因は、定期預金の払戻による収入185百万円、投資有価証券の取得による支出169百万円、有形固定資産の取得による支出79百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は154百万円(前連結会計年度は263百万円の減少)となりました。その主な要因は、長期借入れによる収入300百万円、長期借入金の返済による支出102百万円によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

製品種類の名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

ハードウエア製品

3,464,719

△22.2

合計

3,464,719

△22.2

(注)1 金額は、期中平均販売価格によっております。

2 上記の金額には、他勘定振替分及び他勘定受入分は含まれておりません。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

製品種類の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ハードウエア製品

4,384,439

△3.1

438,004

△33.5

その他

1,434,737

73.5

429,946

972.9

合計

5,819,176

8.8

867,950

24.3

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

製品種類の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ハードウエア製品

4,604,765

4.0

その他

1,044,863

12.7

合計

5,649,629

5.5

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日

当連結会計年度

自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

Telstra Corporation Limited

2,142,104

40.0

1,909,983

33.8

Telamon Technologies

1,681,603

31.4

1,735,484

30.7

 

3【対処すべき課題】

情報技術が急速に進化していく中で、新しい情報メディアが誕生し、人々の暮らしの利便性を高めています。インターネットの普及とともに、人々のビジネス活動や日常生活において、情報ネットワークの重要性がますます高まってきています。

通信技術においては、インターネットに代表されるIP通信の技術が高度化し、すべてのメディアを包み込もうとしています。当社グループが目指している「放送用ネットワークのIP化」のトレンドは、揺るぎないものと確信しています。すでに、当社の顧客である一部の先進的なユーザーは実際に当社装置を採用してIPの導入を進めており、確かな実績を築いています。市場全体を見れば、まだ初期段階にありますが、認知度は高まってきました。国際的な業界団体もIPに向けての変革を提唱しており、一部の先進ユーザーだけが使う段階から、広く一般的なユーザー層まで普及・浸透を開始する段階に差し掛かっています。市場は間もなく拡大ステージに向かうものと見ています。

このような状況のもと当社グループは、「急速に変化する世の中に適応し、進化していける独創的な製品サービスを継続して作り続け、社会に貢献していく」という経営方針を貫き、新しい市場の立ち上がりのタイミングを逃すことなく捉え、企業価値をより高めていくために、以下のような経営課題に取組むべきであると考えています。

 

(1) 特定顧客への依存度の低減

近年、当社グループの売上高において、海外の大口顧客向けの販売が大きく貢献しています。当社業績は、大口顧客の案件進捗状況に強く影響される状況が継続しています。

特定の大口顧客との取引が将来にわたって継続拡大が見込まれる場合は、その大口顧客からの要望に応えるために当社グループの人材や資金を優先的に投入することは合理的ですが、過度に依存することはリスクもあります。そのため、特定の大口顧客との良好な関係は維持しつつ、他の顧客向けの販売を増大させることで、特定顧客への依存を相対的に低くすることが、当社グループが取り組むべき課題だと考えています。

当社グループの販売する製品やシステムは、社会的なインフラのひとつを形成するものであるため、ひとつのプロジェクトの規模が大きくなる傾向があります。そのような大規模プロジェクトを運営できる顧客の数は、非常に限定されるだけでなく、プロジェクト案件を獲得するための商談準備期間は長期化します。そのため、顧客数を一気に拡大することは困難ですが、綿密なマーケティング活動を行いながら、新しい顧客を少しずつ獲得することでリスクを低減させて参ります。

 

(2) 収益源の安定化

当社グループの売上高の大部分は、ハードウェア製品の販売によるものであり、そのうち主力製品であるMD8000シリーズが大きなウエイトを占めています。MD8000シリーズは主として通信や放送のインフラを構成するため、その需要は大きく変動することがあります。MD8000シリーズの製品販売以外の安定的な収益源を確保することは、当社グループの課題となっています。

MD8000シリーズは、主として大手通信事業者が直接の顧客となり、長距離のコアネットワークにおいて使用されることが多いため、それ以外の市場として、メトロネットワークや放送局内のネットワークに向けての製品販売に注力をしています。それらは、当社が競争力を有するMD8000と直接接続する場面での利用を想定しているため、MD8000のビジネスとのシナジーが期待でき、さらに収益源の拡大にもつながります。

また、製品販売後の保守やサポート業務の継続的収入は、安定的な収益源として期待しています。海外においては、インストールベースの増大に伴い、保守料収入が増加していますが、売上全体に占める割合はまだ限定的です。日本においては、過去の商習慣もあって、保守契約を締結する顧客がまだ少なく、今後の増大に努力しています。

 

(3) グローバル戦略の推進

放送用ネットワークのIP化は、世界的な潮流です。テレビ放送局の数だけを見れば、米国、EUともにそれぞれ日本の10倍以上あり、国外の市場規模は、日本国内よりもはるかに大きいと言えます。さらに、日本の放送業界が安定的な成熟市場とみなされているのに対し、欧米の放送業界は、政府による規制も異なり、ダイナミックな変化が起こりうる市場と言えます。そのため、当社グループは、積極的なグローバル展開を推進しています。

すでに当社グループ売上の70%以上は海外であげており、この傾向は今後も続きます。顧客がグローバルになれば、当社グループの組織運営もグローバルにならないといけません。グローバルな顧客に対応するため、本社と海外拠点が一体となってグローバルに動ける体制を構築する必要があります。そのためには、グループの共通言語である英語によるコミュニケーションが円滑になされるように、グループ内ドキュメントの英語化を進めています。さらに、グループ全体のITプラットフォームの共有化や各拠点間の人事交流の活発化などを行い、情報をスムーズに共有することができるようにします。全グループ従業員が全社最適に向けて業務を遂行する組織体制を築くことを目指しています。

(4) ソフトウエア開発力の強化

当社グループは、放送用通信ネットワークで使われる装置を主要な販売製品としており、さまざまな機能はハードウエアに実装されています。今後は機能をハードウエアから切り離し、ソフトウエアとして提供する割合を増やすことを目指しています。ハードウエアは基本機能に絞り込んだ形にして共通化を進め、コストを押さえることで顧客の初期投資負担を減らします。顧客は必要な機能をソフトウエアとして必要な時にオンラインで購入できるようにします。また、ソフトウエアライセンスの販売形態を多様化し、顧客の都合に合わせた形で提供できるようにします。

そのためにはソフトウエア開発力を今まで以上に強化する必要があります。ソフトウエア技術者の採用、育成に力を入れ、ソフトウエアの開発力をハードウエアに負けないレベルまで早急に持ち上げる施策を実行しています。

 

(5) グローバルな販売チャネル網の構築

日本、米国では、自社スタッフによる直販体制が主になっていますが、今後広くグローバルに顧客層を広げてゆくためには、有効な販売チャネル網を構築することは不可欠です。新規顧客の獲得を目指しているアジア各国や欧州各国には、信頼できる販売代理店の協力を必要とします。また、放送局内IPネットワークビジネスは、従来の映像伝送装置ビジネスとは顧客層が異なるうえに、システムインテグレーションが伴うプロジェクトが多くなるため、販売代理店には営業力だけではなく、システム構築力も求められます。各国の業界事情に精通し、有力顧客との接点を持ちながら、当社グループの製品やサービスを有効活用できる技術力を持った代理店を市場ごとに獲得することが求められています。

同時に当社から各代理店への技術指導や教育など、きめ細かなチャネルサポートを提供することも重要だと考えています。

 

(6) 顧客ビジネスに密着したサービス・サポート体制の構築

すでに直販体制を構築した日本、米国、オーストラリアでは、単に製品を販売するメーカーではなく、システムインテグレーション、保守サポート、運用支援などのサービスを提供することで、収益機会の増大を図っています。そのためにサービス提供体制の強化が課題となっています。特に、海外の顧客に対するサポートチームの技術レベルの向上、海外のサポートチームと日本の開発チームとのスムーズな連携体制の構築が課題となっています。

さらに、これらのサービス体制を整えることで、顧客ビジネスにより密着することができ、新たなビジネスアイデアの創出につなげることも意図しています。今後の新たなビジネス展開を考慮すると、顧客ビジネスに密着し、深く理解することは、非常に重要なことだと考えています。

 

(7) グローバルなマーケティング体制

当社グループのIP伝送装置は一部の先進的なユーザーに受け入れられ、実績を積み上げてきました。当社は先進ユーザーの技術的要求に的確に応え、彼らが求める革新性を提供できたからです。しかし、革新性を求める先進的なユーザーは限られており、多くの一般ユーザーは変革よりも漸進的な効率化を求めています。今後、当社グループが一般ユーザーの大きな市場に食い込むためには、今までの技術の先進性をアピールしたマーケティング戦略から、価格競争力、安定した品質、正確な納期、説得力のある費用対効果、信頼されるアフターサービスなど先進技術以外の価値を高め、市場にアピールする必要があります。

新しい顧客層に効果的なマーケティング戦略を打ち出すため、本社内にMarketing & Business Developmentを設けています。この組織はグローバルな事業展開に必要な戦略を立案し、実行することが使命となっています。

 

(8) 組織・人事について

当社グループ内の組織ごとに責任と権限を明確化すると共に適切な権限委譲を推進し、業務のスピード化を図ります。特に、組織としての強化を目指し、各組織の管理職のレベルアップを促します。グローバルに広がる各組織、各従業員間の情報共有と連携の基盤を作り、スムーズな意思疎通を図り、自律的な改善活動を恒常的に展開させ、業務の効率化を継続推進できる組織作りが重要であると考えています。

従業員各人については、それぞれのキャリア形成を考慮した目標設定、評価、フィードバックを適切に行うとともに、教育研修プログラムの充実を図り、人材のレベルアップに努めます。特にグローバル展開に際しては、グループ内の共通言語である英語の習得を本社内の日本人従業員全員に求めています。オンライン英語研修、海外派遣英語研修などのプログラムを提供し、グループ内全従業員のコミュニケーションが円滑に進められるよう取り組んでいます。

 

(9) 生産管理体制の強化

当社グループは、自社生産工場を有しない生産体制(ファブレス型)を採っているため、その柔軟性を生かし、多様なニーズに随時対応できる体制を確立しています。大型の案件受注にも対応できる生産能力を確保し、そのうえで、地政学リスクや急激な為替変動、災害や不測の事態にも対応できるようグローバル規模で柔軟な生産体制を整備しています。

各生産委託先の生産技術力の標準化を進めながら、同時に部品調達力やコスト競争力の強化を図っています。また、顧客までの納期の短縮を目指したサプライチェーンの改善にも取り組んでいます。現在は部品調達期間を含めると生産リードタイムはかなり長期間となっていますが、これを劇的に短縮するための方策を準備しています。顧客の要望に速やかに応えられるよう、生産管理体制の強化を進めています。

 

(10) 品質管理体制の強化

当社グループの製品は、放送局や通信事業者が長期にわたり放送のインフラを形成するための機器であり、通信時および放送時に中断等の不具合が起こらないための高度な品質が要求されるものです。当社は既に、ISO9001(品質マネジメントシステム)に基づく管理体制により、設計品質および製品品質を維持していますが、現状にとどまらずより高い品質を求めます。そのためには、ISO9001の継続的改善に注力するとともに、当社グループ内のみならず、製造委託先の教育・指導を徹底し、設計時のチェックから、出荷前検査、出荷後のサポートに至るまで、トータルに品質管理体制の強化を図ります。

当社グループのビジネスの形態は、従来はハードウエア販売が主体でしたが、今後はハードウエアだけでなく、ソフトウエア、サービス販売、トータルソリューションシステムまで多様化します。ソフトウエア製品やデザインサービスの品質管理、システムインテグレーション、保守サポートなどサービスの品質管理も重要になります。製品レベルだけでなく、システムレベルでの品質管理体制を構築しています。

当社グループの品質管理は、単に不良を出さないというレベルではなく、顧客が期待していた以上の魅力を製品やサービスから感じていただける品質レベルを追求しています。

 

(11) 企業の社会的責任(CSR)の遂行

CSRの遂行につきましては、国内外の法令の遵守は当然のことながら、国内のみならず諸外国の社会通念上の常識、倫理に照らしたコンプライアンス経営を推進します。

さらにCSRの一環として、当社グループは環境保全活動を推進しています。ISO14001(環境マネジメントシステム)の継続的改善および環境負荷の少ない製品の開発を進めています。また、温室効果ガス吸収量増加を目指す植林プロジェクトを遂行し、地球温暖化防止に寄与します。

また、巨大台風などの災害に遭われた人に対する緊急支援もできる範囲内で行ってきました。

4【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループとして必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月20日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 特定顧客への高い依存度について

現在、当社グループの売上高は、特定の顧客への依存度が高くなっています。既存の大口顧客からの要望に応え続けることで、その顧客との継続的な取引拡大につなげることは重要であり、そのために社内リソースを既存の大口顧客の案件に重点的に配分することは合理的です。その結果として、全体の売上増加につながっているという実績はありますが、その一方で過度の依存はリスクを高めます。その顧客の設備投資方針や投資計画が変更されたり、購買方針が変更されたり、顧客の競争力が失われたりした場合は、当社グループの売上高が大幅に減少する可能性があります。

 

(2) 安定収益源の確保について

当社グループが提供する機器およびシステムは、通信や放送のインフラを構成するものです。その設備は、一度導入されると、次回の更新まで大きな需要は発生しません。その更新頻度は、通信事業者の場合で4~5年に1回、放送事業者の場合は8~10年に1回です。従って、ひとつのユーザーから大きな受注を獲得した場合、同じユーザーから継続して同じ機器やシステムに対して大きな受注が発生することは期待できません。安定的な業績を達成するためには、常に新規の設備導入および更新需要の発生するユーザーを継続的に確保する必要があります。

一度販売した装置やシステムに係る継続的な保守料収入は、安定収益源のひとつになると考え、その拡大を図っています。近年、主として海外における自社装置のインストールベースの拡大とともに保守料収入は増加の傾向を示していますが、現状では売上全体に占める割合はまだ限定的です。そのため、当社グループの売上は新規の機器およびシステム販売に依存する部分が大きく、当社グループが常に新たな需要を継続的に獲得できない場合は、当社グループの売上は減少する可能性があります。

 

(3) 競争環境の変化について

当社グループは放送用ネットワークインフラにおけるIP伝送分野において、技術的な優位性を持っており、同分野における世界の主要顧客からの採用実績でも他社を上回っていると考えています。放送用ネットワークにおけるIP技術の普及が進んでいない時期においては、当社グループ以外にこの分野に参入してくる企業は少なく、当社グループの持つ優位性にとって大きな脅威は現れてきませんでした。

この数年間で、放送用ネットワークでIP技術の採用ニーズが高まってきたことにより、今後市場が急拡大することが見込まれるようになりました。拡大する市場を狙って、この分野への参入を表明する企業が増えてきました。また、参入してくる企業の規模も大企業が目立ってきました。当社グループの今後の競争環境は厳しくなることが予想されますが、当社グループが今後激しさを増す競争環境において、技術面、マーケティング面、その他において優位性を失うことがあれば、当社グループの業績に影響を受けることになります。

 

(4) 市場の需要動向の変動について

当社グループが販売を行う製品やシステムについては、業界を規制する法律や行政当局の政策等により、一時的に需要が大きく変動することがあり、当社グループの業績はその需要変動の影響を受ける可能性があります。

また、テレビ放送の各種さまざまな規格は各国それぞれ異なる場合があり、その規制方法も各国で異なっています。現在はテレビ放送の方式が多様化しており、新たな規格が次々に定められています。その中には、公的な規格だけではなく、市場におけるいわゆる『デファクト・スタンダード』による規格化もあります。このような規格化の流れも大きな需要変動をもたらします。当社グループの製品がそれぞれの規格に適合できない場合は、その市場では販売することができなくなり、業績に影響を受ける可能性があります。

 

(5) 大型案件について

当社グループは、機器単品の販売を主体とする機器メーカーから、自社機器を核としたソリューションシステムを提供するシステムメーカーへの転換を進めています。当社グループの提供するシステムは、通信や放送のインフラに使われるものであるため、ひとつの案件の受注金額が、当社の今までの売上規模に比して大きくなることがあります。そのため、ひとつの案件の受注可否が、当社グループの業績および財務状況に及ぼす影響が大きくなる場合があります。特に大きな案件の受注に成功した場合は、目標とした売上高を大幅に上回る可能性がある一方、期待していた大型案件の受注に失敗した場合は、目標としていた売上高の達成ができなくなる可能性があるだけでなく、受注に備えて事前に開発準備を進めていた有形、無形の資産の利用価値がなくなり、評価損失を計上する可能性があります。

また、大型案件を受注した場合でも、以下のようなリスクがあります。

① 案件の進行期間が長期になるため、当社グループの会計年度をまたがる場合もあります。その場合は、計上される会計年度により、業績に大きな影響があります。

② 大型案件進行期間中のキャッシュ・フローは、資金流出が先行するため、適切な資金管理を行う必要があります。手元資金に余裕がなくなり、何らかの資金調達を行う必要が生じる可能性がありますが、その際、必要な資金が調達できない可能性があります。

③ プロジェクトの進行管理を適切に行うことができなかったり、仕入品や外注先のコスト管理を適切に行うことができなかったりした場合は、プロジェクトの採算性が悪化し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

④ 機器の製造は、当社は外部の協力工場に委託していますが、委託先が大型案件に対応した生産体制を整えることができず、顧客要求を満たすことができない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 特定製品シリーズへの高い依存度について

当社グループの売上は、IP伝送装置MD8000シリーズへの依存度が高くなっています。MD8000シリーズは、放送用映像のIP伝送装置として、様々な環境に適応した高機能製品で、世界中の先進的ユーザーへの納入実績も多く、現時点において性能面では他社製品に対して優位性を保っています。しかし、MD8000シリーズは、最初の出荷からすでに8年近く経過しており、圧倒的な優位性は徐々に薄れてきおり、今後の新たな市場ニーズに充分に適応することができなくなる可能性があります。

当社グループは、MD8000シリーズの競争力を維持するための追加機能の開発や市場の掘り起こしなどの努力は継続しつつ、新たな市場ニーズに対応した設計思想に基づくMD8000シリーズの後継新製品へのシフトを計画しています。MD8000シリーズの競争力が急激に失われたり、後継新製品のタイムリーな市場投入に失敗した場合は、当社グループの売上高が減少する可能性があります。

 

(7) 生産体制について

当社グループの製品の製造についてはすべてを外部に委託するファブレス型のビジネスモデルを採用しています。複数の製造委託先に製品の製造を委託することにより、外部環境の変化への機敏な対応を可能とし、多額の資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を進めています。製造委託先は1社だけではなく、3社以上を基本としています。また、製造委託先との定期的な品質会議、年1回の信用調査を行うこととしています。

しかし、複数の製造委託先を適切に確保できなかった場合や、製造委託先において、経営悪化、品質問題、火災事故等が発生することで、製品の製造に支障をきたした場合は、充分な製品製造能力を確保することができなくなり、業績等が影響を受ける可能性があります。

 

(8) 開発技術について

当社グループは、潜在的な市場ニーズや顧客ニーズを探り、付加価値の高い製品を開発し、適切な時期に市場に提供していくことが責務であると考えています。しかし、当社グループが取り扱う製品分野では、急速な技術革新が進んでいます。その性質から、製品の開発と市場への投入プロセスは、不確実なものであり、以下をはじめとした様々なリスクが含まれており、これらの要因が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

① 急激な技術の進歩、規格・標準の変化により、当社が開発する製品が市場が求める通信方式や放送方式等に適合できない可能性があること。

② 新製品または新技術の市場投入の遅れにより、当社製品が陳腐化する可能性があること。

③ 新製品・新技術を開発したとしても、市場から支持されるとは限らず、これらの製品の販売が成功する保証がないこと。

④ 新製品・新技術の開発に必要な資金と資源を今後も継続して十分に確保できる保証がないこと。

 

(9) 特許について

当社グループは研究開発を主体としたファブレス企業であり、知的財産権の保護を図ることは重要な問題と認識し、特許事務所との連携を強化することにより、当社グループの技術・製品を保護するための特許等の出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底的に行うことにより他社の権利侵害の防止に努めています。

当社グループはこれまでに技術・製品に関して、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しています。しかし、当社グループの技術・製品に関連する知的財産権が第三者に成立した場合または当社グループの認識していない技術・製品に関する知的財産権が既に存在した場合においては、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームを提起されないとは限らず、このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 部品調達について

当社製品の製造には、特定の半導体やその他の電子部品の使用が重要になる場合が多くあります。その半導体メーカーや電子部品メーカーの意向により、特定の半導体または電子部品の入手が困難になり当社製品の製造に支障をきたしたり、納期が長期化することで顧客の要望に応えられなくなったりする可能性があります。

 

(11) 製品について

当社グループは、これまで製品に対して製造物責任法またはその他の法律に基づく製造物責任に関する訴訟が発生した事実はありません。製造物責任による損失は、大きなリスクであるとの認識のもとに、社内で確立した厳しい基準で品質管理を行っており、今後は更に強化していく方針です。しかし、すべての製品に予想し得ない欠陥を生ぜず、回収コストや損害賠償請求に伴う費用が発生しないという保証はなく、製品の欠陥が当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 為替の変動について

当社グループでは、海外での事業活動のウェイトが高くなっています。これに伴って、USドルやオーストラリアドル、ユーロ等の外貨建て取引が発生しています。外貨建て決済の際に為替変動の影響を受ける可能性があります。当社グループは必要に応じて為替予約等を行う方針ですが、これにより為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、重要な材料である半導体につきましては、米国企業により国外で製造されており、仕入価格はUSドルの為替変動の影響を受けます。

また、当社グループのほとんどの製品は日本国内で製造されています。そのため、海外市場における競争力は、日本円の為替変動の影響を受けます。

 

(13) 人材の確保・育成について

当当社グループは、人材戦略を事業における最重要課題のひとつとして捉えています。特に、製品開発や海外展開の軸となる十分な知識、技術、語学力とノウハウを有する人材の確保・育成が不可欠であるという認識に立っています。

当社グループは、優秀な人材を確保するため、また現在在籍している人材が退職又は転職するなどのケースを最小限に抑えるため、ストックオプションや株式給付信託(J-ESOP)などを取り入れ、必要な人事体系の構築及び教育体制の充実に努めています。

しかしながら、将来優秀な技術者が退職したり、優秀な人材を確保できなかったりした場合、当社グループの業務に支障が生じる可能性があります。

 

(14) 海外展開について

当社グループは市場機会を拡げるため、積極的に海外展開を進めています。海外において事業を進めていくために、各国、各地域での環境・安全面の法的規制等について最新かつ詳細な情報を入手し、調査し対応を行っていく方針です。例えば、欧州におけるRoHS指令(電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令)とREACH規制(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals:EUにおける化学品規制)や米国におけるNEBS(通信機器に対する仕様基準)などに準拠することは、当社の海外での事業展開にとって非常に重要なことです。また、法律やルールの遵守を心がけるだけでなく、海外各国の固有の文化や習慣を尊重し、現地社会に貢献することを目指しています。

しかしながら、こうした海外市場への事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しています。

① 予測しない法律・規制の変更

② 人材の採用と確保の難しさ

③ テロ、戦争等の地政学的リスク

④ 国・地域におけるその他の経済的、社会的及び政治的リスク

 

(15) 環境規制について

当社グループは、日本国内に限らず、米国、欧州やオーストラリア・アジア等海外への販売も強化しています。当社製品は、それぞれの販売先国・地域において、各種環境規制の対象となります。また、当社の顧客企業においては、グリーン調達方針を持っている顧客もあります。当社は、それらの規制やガイドラインをクリアするための対策を講じていますが、今後さらに厳しくなるかもしれません。その場合は、予想される資本的支出や改善費用が、財務状況に大きな負担をもたらす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、放送ネットワークのインフラビジネスにおいて、世界をリードする技術・製品を創出し続け、顧客とともにそのビジョンを現実にしていくことを研究開発活動の基本方針としています。

 研究開発活動においては、製品の製造、運用から廃棄に至るまでの製品ライフサイクルすべてにかかわるステークホルダーの満足度を高められる製品開発を行うと同時に製品開発プロセスの進化・改善を継続的に行って、市場競争力の高い製品・サービスをスピーディーに提供するよう努めています。また、世界基準で活動を行う製品メーカーとして、環境法規制や顧客ルールを遵守し、製品ライフサイクル全般にわたり環境負荷の低い製品を開発しています。

 当連結会計年度においては、マルチメディアIP伝送装置MD8000シリーズ、ハイブリッドIPビデオルーターMDXシリーズ及びそれらを管理するネットワークマネジメントシステム(NMS)などの開発を行ったほか、放送局内IPネットワーク向けの新製品や次世代のIP伝送装置の研究開発活動を行いました。さらに未来に向けたロードマップに基づき、将来を見据えた技術の研究を行いました。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,219百万円となりました。

 なお、当社グループは映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に研究開発費を分類しておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月20日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ64百万円増加し、5,384百万円となりました。主な変動要因は、投資有価証券の増加169百万円、現金及び預金の増加161百万円、商品及び製品の減少287百万円によるものです。

(負債)

当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ22百万円減少し、1,795百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金の増加154百万円、買掛金の減少152百万円、未払法人税等の減少50百万円によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ86百万円増加し、3,589百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純利益114百万円の計上による利益剰余金の増加によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ293百万円増加し、2,652百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は388百万円(前連結会計年度は525百万円の増加)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益254百万円の計上、法人税等の支払額126百万円、たな卸資産の減少119百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は195百万円(前連結会計年度は142百万円の減少)となりました。その主な要因は、定期預金の払戻による収入185百万円、投資有価証券の取得による支出169百万円、有形固定資産の取得による支出79百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は154百万円(前連結会計年度は263百万円の減少)となりました。その主な要因は、長期借入れによる収入300百万円、長期借入金の返済による支出102百万円によるものです。

 

(4)経営成績の分析

(概要)

 当連結会計年度における売上高は5,649百万円(前連結会計年度比5.5%増加)、営業利益は316百万円(同36.8%減少)、経常利益は257百万円(同52.1%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は114百万円(同78.5%減少)となりました。

(売上高)

 当連結会計年度の当社グループの売上高は5,649百万円(同5.5%増加)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が4,604百万円(同4.0%増加)、その他が1,044百万円(同12.7%増加)となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、3,383百万円(同5.1%増加)となりました。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,067百万円(同12.8%増加)となりました。その主な要因は、研究開発費や人件費などの増加によるものです。

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は316百万円(同36.8%減少)となりました。上記のとおり、売上総利益が増加しましたが、販売費及び一般管理費がそれ以上に増加したことによるものです。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は257百万円(同52.1%減少)となりました。円高による為替差損57百万円を営業外費用に計上したことなどによるものです。

(税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は254百万円(同54.0%減少)となりました。上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は114百万円(同78.5%減少)となりました。