文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「技術革新のリーダーとして、高い信頼性が要求されるメディアサービスをIPにより配信する技術を提供し、世界中のお客様の生活基盤を支える」ことを経営の基本方針としています。これを実現するため当社グループは、IPによる映像配信領域を基本市場と定め、お客様に高度な技術に支えられた付加価値の高い商品・サービスを提供します。そのため、グローバルで一本化されたマーケティング、営業、開発、生産、管理などの機能別組織を整備し、迅速な意思決定により、継続的に社会に貢献してまいります。
(2)経営環境
すでに世の中の様々な分野で通信ネットワークはIP化されており、ユーザーに大きな利便性をもたらしていますが、放送用ネットワークのIP化は一部の先進的なユーザー以外にはほとんどなされていない分野として、まだ残されていました。それは、従来のIP技術では、放送が要求する高い安定性、信頼性に応えられなかったからです。
現在、放送分野では、「4K」や「8K」と言われる超高精細映像の実用化へ向かおうとしています。従来の伝送技術では「4K」や「8K」の大容量データを安定的に送ることは難しく、その解決策の一つとしてIP伝送技術に大いに期待が寄せられており、市場が拡大しつつあります。
さらに、放送用ネットワークおけるIP技術は、放送局の拠点間を結ぶネットワークだけでなく、スタジアム中継などを放送局でコントロールするリモートプロダクションに代表される、放送映像コンテンツ制作現場と放送局を結ぶネットワークに採用されることで、映像コンテンツ制作ワークフローのすべてにわたり変革をもたらします。すでに映像制作ワークフローから配信までをIP伝送技術によりシームレスに結ぶ先進的な企業が出現しており、放送映像コンテンツ業界を劇的に変化させる技術として市場の注目を集めています。当社グループは、放送分野でもIP化の時代が来ると確信し、放送が要求する厳しい基準をクリアできる独自のIP技術に基づく製品開発を進めてきました。その結果、放送ネットワークにおけるIP伝送について、技術面でリードしてきただけでなく、世界的なスポーツイベントやトップ企業ユーザーのネットワークインフラなどで採用されてきたことで、市場の初期段階においては、実績面でも主導的な地位を確保してきたと自負しています。
(3)経営戦略等
放送用ネットワークのIP化は着実に進展してきましたが、その普及は先進国の中でも一部に限られていました。しかし、これからの数年間で市場は一気に拡大ステージに向かうものと見込まれています。当社は、市場の初期段階において確かな実績を築くことができ、今後拡大する市場に向けて有利なポジションにいますが、決して盤石ではありません。すでに多くの企業がこの分野に新規参入してきており、競争はますます激しくなると思われます。
当社グループは自社の得意分野を充分に活かしたうえで、弱点を補う施策を適切に進めながら、この分野で成長を続けたいと考えています。
また近年脚光を浴びているスポーツ中継などを放送局でコントロールするリモートプロダクションや放送局内IP化は、放送局や映像コンテンツビジネスの運用効率を大幅に向上させ、新たな放送関連サービスの創出、新たな映像コンテンツの制作を可能にします。当社グループは、放送と通信双方の要素技術を蓄積してきた実績を生かし、今後拡大するであろう同市場で製品、システム、サービスを提供していきたいと考えています。
当社グループは、この分野におけるIP化のさらなる発展をめざし、「お客様のニーズに合わせて独創的な技術で開発したより高度なソリューションを顧客に提供する」というビジョンを掲げ、事業を展開してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが目標とする経営指標は、売上高の長期的なトレンドと売上総利益率です。事業の特性として、顧客の需要変動が大きいため、月次や四半期の数値は大きく変動することがありますが、長期的な視点で着実に成長することが重要だと考えています。また、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。
(5)対処すべき課題
前述の「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略等」を実現するための当社の対処すべき課題と施策は以下のように考えております。
① 特定顧客への依存度の低減
近年、当社グループの売上高において、海外の大口顧客向けの販売が大きく貢献しています。当社業績は、大口顧客の案件進捗状況に強く影響される状況が継続しています。
特定の大口顧客との取引が将来にわたって継続拡大が見込まれる場合は、その大口顧客からの要望に応えるために当社グループの人材や資金を優先的に投入することは合理的ですが、過度に依存することはリスクもあります。そのため、特定の大口顧客との良好な関係は維持しつつ、営業力の強化と新規顧客を獲得することで、特定顧客への依存を相対的に低くすることが、当社グループが取り組むべき課題だと考えています。
② 既存顧客への拡販と新規顧客の獲得
放送用ネットワークのIP化は、放送局の拠点間を結ぶネットワークだけでなく、スタジアム中継を放送局でコントロールするリモートプロダクションによって映像制作ワークフローとのシームレスな接続を実現することにより、今後の市場の急速な拡大が見込まれます。
当社グループは、従来のIP伝送装置のみならず、既存顧客にこれら新しいソリューションを提案することで、取引の拡大を図るとともに、世界的な放送用ネットワークのIP化の流れに沿って、新規顧客の獲得を拡大してまいります。
また、他社との協業により、より使いやすいIP Video routerを構築して既存顧客と新規顧客に拡販してまいります。
③ ソフトウエア開発力の強化
当社グループは、放送用通信ネットワークで使われる装置を主要な販売製品としており、さまざまな機能はハードウエアに実装されています。今後は機能をハードウエアから切り離し、ソフトウエアとして提供する割合を増やすことを目指しています。ハードウエアは基本機能に絞り込んだ形にして共通化を進め、コストを押さえることで顧客の初期投資負担を減らします。当社の機器を含んだ管理するソフトウエア(Equipment management system)を開発して統合ソリューションを提供していきます。
④ グローバルな販売チャネル網の構築
日本、米国では、自社スタッフによる直販体制が主になっていますが、今後広くグローバルに顧客層を広げてゆくためには、有効な販売チャネル網を構築することは不可欠です。新規顧客の獲得を目指しているアジア各国や欧州各国には、信頼できる販売代理店の協力を必要とします。各国の業界事情に精通し、有力顧客との接点を持ちながら、当社グループの製品やサービスを有効活用できる技術力を持った代理店を市場ごとに獲得することが求められています。同時に当社から各代理店への技術指導や教育など、きめ細かなチャネルサポートを提供することも重要だと考えています。
⑤ 競争力のある新製品開発への投資継続
当社グループの競争力は技術力であります。その技術力を保ち続けるためには、新たな技術を積極的に取り込みながら、製品開発のスピードを向上させ、新たなビジネス環境で効果を発揮できる高付加価値製品を絶えず市場に供給し続ける必要があります。そのために研究開発への投資は継続して行ってまいります。
⑥ 保守・サポート体制の充実
当社グループは、単に製品を販売するだけではなく、システムインテグレーション、保守サポート、IP化への移行に関連した技術支援および運用支援などのプロフェッショナルサービスを提供することで、収益機会の増大を図っています。
特に、製品販売後の保守やサポート業務は、顧客との接点拡大や安定的な収益源につながることから、非常に重要なことであると考えております。海外においては、すでにインストールベースの増大に伴い、保守料収入が増加しています。日本においては、今後、海外と同様なレベルを目指し、保守・サービス体制を充実させてまいります。
⑦ 組織・人事について
当社グループ内の組織ごとに責任と権限を明確化すると共に適切な権限委譲を推進し、業務のスピード化を図ります。特に、組織としての強化を目指し、各組織の管理職のレベルアップを促します。グローバルに広がる各組織、各従業員間の情報共有と連携の基盤を作り、スムーズな意思疎通を図り、自律的な改善活動を恒常的に展開させ、業務の効率化を継続推進できる組織作りが重要であると考えています。
従業員各人については、それぞれのキャリア形成を考慮した目標設定、評価、フィードバックを適切に行うとともに、特にグローバル展開に際しては、グループ内の共通言語である英語の習得を本社内の日本人従業員全員に求め、グループ内全従業員のコミュニケーションが円滑に進められるよう取り組んでいます。
⑧ 生産体制の強化
当社グループは、自社生産工場を有しない生産体制(ファブレス型)を採っているため、その柔軟性を生かし、多様なニーズに随時対応できる体制を確立します。そのうえで、地政学リスクや急激な為替変動、災害や不測の事態にも対応できるようグローバル規模で柔軟な生産体制を整備する必要があります。
各生産委託先の生産技術力の標準化を進めながら、同時に部品調達力やコスト競争力の強化を図ります。また、顧客までの納期の短縮を目指したサプライチェーンの改善にも取り組んでいます。
⑨ 品質管理体制の強化
当社グループの製品は、放送局や通信事業者が長期にわたり放送のインフラを形成するための機器であり、通信時および放送時に中断等の不具合が起こらないための高度な品質が要求されるものです。
多層的な設計レビュー、生産委託先の教育・指導の徹底、出荷前検査、出荷後の顧客サポートを通して、設計から出荷後に至るまで、トータルな品質管理体制の強化を図っています。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループとして必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月18日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 特定顧客への高い依存度について
現在、当社グループの売上高は、特定の顧客への依存度が高いレベルで推移しています。既存の大口顧客からの要望に応え続けることで、その顧客との継続的な取引拡大につなげることは重要であり、そのために社内リソースを既存の大口顧客の案件に重点的に配分することは合理的です。その結果として、全体の売上増加につながっているという実績はありますが、その一方で過度の依存はリスクを高めます。その顧客の設備投資方針や投資計画が変更されたり、購買方針が変更されたり、顧客の競争力が失われたりした場合は、当社グループの売上高が大幅に減少する可能性があります。
(2) 安定収益源の確保について
当社グループが提供する機器およびシステムは、通信や放送のインフラを構成するものです。その設備は、一度導入されると、次回の更新まで大きな需要は発生しません。その更新頻度は、通信事業者の場合で4~5年に1回、放送事業者の場合は8~10年に1回です。従って、ひとつのユーザーから大きな受注を獲得した場合、同じユーザーから継続して同じ機器やシステムに対して大きな受注が発生することは期待できません。安定的な業績を達成するためには、常に新規の設備導入および更新需要の発生するユーザーを継続的に確保する必要があります。
一度販売した装置やシステムに係る継続的な保守料収入は、安定収益源のひとつになると考え、その拡大を図っていますが、現状では売上全体に占める割合はまだ限定的です。そのため、当社グループの売上は新規の機器およびシステム販売に依存する部分が大きく、当社グループが常に新たな需要を継続的に獲得できない場合は、当社グループの売上は減少する可能性があります。
(3) 競争環境の変化について
当社グループは放送用ネットワークインフラにおけるIP伝送分野において、技術的な優位性を持っており、同分野における世界の主要顧客からの採用実績でも他社を上回っていると考えています。
近年、放送用ネットワークインフラでIP伝送関連のニーズが高まり、市場が拡大する中で、IP伝送分野に参入企業が増加しています。また、映像をIPを利用して伝送する規格が世界的に標準化されたことにより、参入障壁も低くなっています。このように激しさを増す競争環境において、当社グループが技術面その他において優位性を失うことがあれば、当社グループの業績に影響を受ける場合があります。
(4) 市場の需要動向の変動について
当社グループが販売を行う製品やシステムについては、業界を規制する法律や行政当局の政策等により、一時的に需要が大きく変動することがあり、当社グループの業績はその需要変動の影響を受ける可能性があります。
また、テレビ放送の各種さまざまな規格は各国それぞれ異なる場合があり、その規制方法も各国で異なっています。現在はテレビ放送の方式が多様化しており、新たな規格が次々に定められています。その中には、公的な規格だけではなく、市場におけるいわゆる『デファクト・スタンダード』による規格化もあります。このような規格化の流れも大きな需要変動をもたらします。当社グループの製品がそれぞれの規格に適合できない場合は、その市場では販売することができなくなり、業績に影響を受ける可能性があります。
(5) 特定製品シリーズへの高い依存度について
当社グループの売上は、IP伝送装置MD8000シリーズへの依存度が高い状況が続いています。MD8000シリーズは、放送用映像のIP伝送装置として、様々な環境に適応した高機能製品で、世界中の先進的ユーザーへの納入実績も多く、現時点において性能面では他社製品に対して優位性を保っていますが、さまざまな企業が放送用映像のIP伝送事業に参入しており、圧倒的な優位性は徐々に薄れてきております。
当社グループは、MD8000シリーズの競争力を維持するための追加機能の開発や市場の掘り起こしなどの努力は継続しつつ、新たな市場ニーズに対応した設計思想に基づく新製品の開発を計画しています。MD8000シリーズの競争力が急激に失われたり、新製品の市場投入時期の遅れ、他社の革新的な技術開発や製品投入等の事象が発生した場合には、当社グループの売上高が減少する可能性があります。
(6) 生産体制について
当社グループの製品の生産についてはすべてを外部に委託するファブレス型のビジネスモデルを採用しています。複数の生産委託先に製品の生産を委託することにより、外部環境の変化への機敏な対応を可能とし、多額の資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を進めています。生産委託先は1社だけではなく、3社以上を基本としています。また、生産委託先への定期的な工場監査を実施しております。
しかし、複数の生産委託先を適切に確保できなかった場合や、生産委託先において、経営悪化、品質問題、火災事故等が発生することで、製品の生産に支障をきたした場合は、充分な製品生産能力を確保することができなくなり、業績等が影響を受ける可能性があります。
(7) 開発技術について
当社グループは、潜在的な市場ニーズや顧客ニーズを探り、付加価値の高い製品を開発し、適切な時期に市場に提供していくことが責務であると考えています。しかし、当社グループが取り扱う製品分野では、急速な技術革新が進んでいます。その性質から、製品の開発と市場への投入プロセスは、不確実なものであり、以下をはじめとした様々なリスクが含まれており、これらの要因が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 急激な技術の進歩、規格・標準の変化により、当社が開発する製品が市場が求める通信方式や放送方式等
に適合できない可能性があること。
② 新製品または新技術の市場投入の遅れにより、当社製品が陳腐化する可能性があること。
③ 新製品・新技術を開発したとしても、市場から支持されるとは限らず、これらの製品の販売が成功する保
証がないこと。
④ 新製品・新技術の開発に必要な資金と資源を今後も継続して十分に確保できる保証がないこと。
(8) 特許について
当社グループは研究開発を主体としたファブレス企業であり、知的財産権の保護を図ることは重要な問題と認識し、特許事務所との連携を強化することにより、当社グループの技術・製品を保護するための特許等の出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底的に行うことにより他社の権利侵害の防止に努めています。
当社グループはこれまでに技術・製品に関して、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しています。しかし、当社グループの技術・製品に関連する知的財産権が第三者に成立した場合または当社グループの認識していない技術・製品に関する知的財産権が既に存在した場合においては、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームを提起されないとは限らず、このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) 部品調達について
当社製品の製造には、特定の半導体やその他の電子部品の使用が重要になる場合が多くあります。その半導体メーカーや電子部品メーカーの意向により、特定の半導体または電子部品の入手が困難になり当社製品の製造に支障をきたしたり、納期が長期化することで顧客の要望に応えられなくなったりする可能性があります。
(10) 製品について
当社グループは、社内で確立した厳しい基準で品質管理基準に従って製品を製造しております。しかし、すべての製品に欠陥がなく製造物責任に関する訴訟が発生しないという保証はありません。製造物賠償責任については保険に加入しておりますが、この保険で賠償額を担保できるという保証はありません。製造物賠償責任につながる製品の欠陥が生じた場合、多額のコストや当社グループの信用低下が当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11) 為替の変動について
当社グループでは、海外での事業活動のウェイトが高くなっています。これに伴って、USドルやオーストラリアドル、ユーロ等の外貨建て取引が発生しております。このため、外貨建て決済の際に為替変動の影響を受ける可能性があります。当社グループは必要に応じて為替予約を行っておりますが、これにより為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製品は日本国内で製造されており、製造原価の多くは日本円で構成されております。そのため、海外市場における競争力は、日本円の為替変動の影響を受けます。
(12) 人材の確保・育成について
当社グループは、人材戦略を事業における最重要課題のひとつとして捉えています。特に、製品開発や海外展開の軸となる十分な知識、技術、語学力とノウハウを有する人材の確保・育成が不可欠であるという認識に立っています。
当社グループは、優秀な人材を確保するため、また現在在籍している人材が退職又は転職するなどのケースを最小限に抑えるため、ストックオプションなどを取り入れ、必要な人事体系の構築及び教育体制の充実に努めています。
しかしながら、将来優秀な技術者が退職したり、優秀な人材を確保できなかったりした場合、当社グループの業務に支障が生じる可能性があります。
(13) 海外展開について
当社グループは市場機会を拡げるため、積極的に海外展開を進めていますしかしながら、こうした海外市場への事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しています。
① 予測しない法律・規制の変更
② 人材の採用と確保の難しさ
③ テロ、戦争等の地政学的リスク
④ 国・地域におけるその他の経済的、社会的及び政治的リスク
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢、所得環境、企業収益の改善などの効果により、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界経済は、米国政権の政策運営・貿易政策や近隣諸国の地政学リスクの高まりなどにより、依然として不透明な状況が継続しています。
当社グループの主要なマーケットである放送業界では、世界的に二つの大きな変化に直面しています。ひとつは、インターネット経由のコンテンツ配信事業者の台頭です。従来の地上波やケーブルテレビの放送事業者は、収益モデルの見直しが求められています。
もう一つは、4Kあるいは8Kと言われる超高精細映像フォーマットの採用です。新たな映像フォーマットに対応するため、コンテンツ制作から配信までのワークフロー全体の再構築が検討されております。
これらに伴って、市場では、従来技術のSDIからIPに移行が続いていますが、世界各地での状況は、地域ごとに異なります。また、映像伝送の標準規格であるSMPTE2110により、新しいIPカプセル化と時刻同期の基準についての標準化が定まりつつありますが、完全なソリューションがなく、放送システムとしての導入が進んでいない状況です。以上の要因により、引き続き、多くの放送事業者は投資に慎重の姿勢を取っています。
そのような状況のなか、北米市場は、従来はスタジアムで行われていた撮影や編集を放送局でコントロールするリモートプロダクションの需要は堅調でしたが、当期は米国大統領選挙やオリンピックなどの大規模なプロジェクトが減少したこと、主要顧客の設備投資方針が抜本的に変更になり、10Gから100Gへとより高速のスィッチング仕様になったこと、一部の設備投資計画の実行が遅れていること、また中南米向けの案件で顧客の設備投資計画が見直しになったこと等により、前年同期に比べ減収しました。オーストラリア市場は、顧客の投資計画の変更により当社製品の拡販が難しい状況にあることにより、前年同期に比べ減収しました。欧州市場は、ロシアで開催されるワールドカップ大会の映像伝送装置に採用され、前年同期に比べ増収しました。国内市場は、放送局内IP化や通信会社、ケーブルテレビ会社向けの映像伝送装置の販売が好調だったため、前年同期に比べ増収しました。
その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、3,932百万円(前連結会計年度比12.2%減)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が2,880百万円(同15.9%減)、メンテナンス・サポートが475百万円(同8.1%増)その他が576百万円(同6.1%減)となりました。海外売上高比率は、前期の67.6%から60.6%へと減少しました。
利益面においては、売上高の減少により売上総利益は2,142百万円(前連結会計年度比17.4%減)となりました。
経費面では、徹底した経費削減を行ったことにより、販売費及び一般管理費は2,533百万円(同18.0%減)となりました。また研究開発費は1,038百万円(同16.9%減)でした。
損益面では、営業損失は390百万円(前連結会計年度は営業損失497百万円)、経常損失は401百万円(前連結会計年度は経常損失594百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、当社が投資有価証券として保有していた株式を売却し26百万円、欧州市場の戦略変更に伴い英国支店の閉鎖を予定しておりその閉鎖費用15百万円、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき将来の回収可能性を検討した結果、固定資産の減損損失30百万円、合計73百万円を特別損失に計上したことから、497百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失924百万円)となりました。
なお、当社グループは映像通信機器のメーカーとして事業を行なっており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に事業を分類しておりません。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ198百万円減少し、2,081百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は397百万円(前連結会計年度は798百万円の減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失475百万円の計上、売上債権の増加228百万円、前受金の増加251百万円、たな卸資産の増加65百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は111百万円(前連結会計年度は55百万円の増加)となりました。その主な要因は、投資有価証券の売却による収入143百万円、有形固定資産の取得による支出29百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は118百万円(前連結会計年度は395百万円の増加)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増額126百万円、長期借入れによる収入200百万円、長期借入金の返済による支出180百万円によるものです。
生産、受注及び販売の状況
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
|
製品種類の名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ハードウエア製品 |
3,112,136 |
△8.9 |
|
合計 |
3,112,136 |
△8.9 |
(注)1 金額は、期中平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、他勘定振替分及び他勘定受入分は含まれておりません。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
製品種類の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ハードウエア製品 |
2,905,773 |
△15.2 |
217,584 |
13.3 |
|
メンテナンス・サポート |
186,061 |
△57.7 |
93,855 |
△75.5 |
|
その他 |
704,231 |
14.7 |
259,598 |
△96.9 |
|
合計 |
3,796,066 |
△15.2 |
571,038 |
△19.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
製品種類の名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ハードウエア製品 |
2,880,273 |
△15.9 |
|
メンテナンス・サポート |
475,653 |
8.1 |
|
その他 |
576,481 |
△6.1 |
|
合計 |
3,932,408 |
△12.2 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先
|
前連結会計年度 自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
当連結会計年度 自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
AT&T Corporation |
- |
- |
759,824 |
19.3 |
|
東海テレビ放送株式会社 |
- |
- |
439,583 |
11.2 |
|
Telamon Technologies |
2,098,769 |
46.9 |
413,908 |
10.5 |
|
Telstra Corporation Limited |
654,523 |
14.6 |
397,250 |
10.1 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月18日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。
(2)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ250百万円減少し、4,421百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金の減少198百万円、投資有価証券の減少169百万円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ302百万円増加し、2,303百万円となりました。主な変動要因は、短期借入金の増加126百万円、前受金の増加247百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ553百万円減少し、2,118百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純損失497百万円の計上による利益剰余金の減少によるものです。
なお、当社は、平成29年6月17日開催の第24期定時株主総会において、繰越利益剰余金の欠損を填補するとともに、今後の資本政策の機動性を確保することを目的として、資本準備金の額の減少および剰余金の処分について付議し、承認可決されました。これに伴い、資本準備金は2,061百万円減少し利益剰余金は同額増加しました。
(3)経営成績の分析
(概要)
当連結会計年度における売上高は3,932百万円(前連結会計年度比12.2%減)、営業損失は390百万円(前連結会計年度は営業損失497百万円)、経常損失は401百万円(前連結会計年度は経常損失594百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は497百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失924百万円)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の当社グループの売上高は3,932百万円(前連結会計年度比12.2%減)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が2,880百万円(同15.9%減)、メンテナンス・サポートが475百万円(同8.1%増)その他が576百万円(同6.1%減)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は2,142百万円(同17.4%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,533百万円(同18.0%減)となりました。その主な要因は、研究開発費や人件費などの減少によるものです。
(営業損失)
当連結会計年度における営業損失は390百万円(前連結会計年度は営業損失497百万円)となりました。上記のとおり、販売費及び一般管理費の減少によるものです。
(経常損失)
当連結会計年度における経常損失は401百万円(前連結会計年度は経常損失594百万円)となりました。主に為替差損が89百万円減少したことなどによるものです。
(税金等調整前当期純損失及び親会社株主に帰属する当期純損失)
税金等調整前当期純損失は475百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失928百万円)となりました。上記の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は497百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失924百万円)となりました。当社が投資有価証券として保有していた株式を売却し26百万円、欧州市場の戦略変更に伴い英国支店の閉鎖を予定しておりその閉鎖費用15百万円、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき将来の回収可能性を検討した結果、固定資産の減損損失30百万円、合計73百万円を特別損失に計上したことによるものです。
該当事項はありません。
当社グループは、放送ネットワークのインフラビジネスにおいて、世界をリードする技術・製品を創出し続け、顧客とともにそのビジョンを現実にしていくことを研究開発活動の基本方針としています。
研究開発活動においては、製品の製造、運用から廃棄に至るまでの製品ライフサイクルすべてにかかわるステークホルダーの満足度を高められる製品開発を行うと同時に製品開発プロセスの進化・改善を継続的に行って、市場競争力の高い製品・サービスをスピーディーに提供するよう努めています。また、世界基準で活動を行う製品メーカーとして、環境法規制や顧客ルールを遵守し、製品ライフサイクル全般にわたり環境負荷の低い製品を開発しています。
当連結会計年度においては、マルチメディアIP伝送装置MD8000シリーズ、ハイブリッドIPビデオルーターMDXシリーズ及びそれらを管理するネットワークマネジメントシステム(NMS)などの開発を行ったほか、放送局内IPネットワーク向けの新製品や次世代のIP伝送装置の研究開発活動を行いました。さらに未来に向けたロードマップに基づき、将来を見据えた技術の研究を行いました。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,038百万円となりました。
なお、当社グループは映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に研究開発費を分類しておりません。