文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「技術革新のリーダーとして、高い信頼性が要求されるメディアサービスをIPにより配信する技術を提供し、世界中のお客様の生活基盤を支える」ことを経営の基本方針としています。これを実現するため当社グループは、IPによる映像伝送領域を基本市場と定め、お客様に高度な技術に支えられた付加価値の高い商品・サービスを提供します。そのため、グローバルで一本化されたマーケティング、営業、開発、生産、管理などの機能別組織を整備し、迅速な意思決定により、継続的に社会に貢献してまいります。
(2)経営環境
すでに世の中の様々な分野で通信ネットワークはIP化されており、ユーザーに大きな利便性をもたらしていますが、放送用ネットワークのIP化は一部の先進的なユーザー以外にはほとんどなされていない分野として、まだ残されていました。それは、従来のIP技術では、放送が要求する高い安定性、信頼性に応えられなかったからです。
現在、映像伝送市場では、リモートプロダクション及び4K UHD信号配信の需要が増加しており、これらの需要に伴って、放送局の設備更新においてはIPベースのインフラの導入が検討され、通信会社においては伝送帯域の拡大を見込んで設備投資計画の検討が行われています。
当社グループは、放送分野でもIP化の時代が来ると確信し、放送が要求する厳しい基準をクリアできる独自のIP技術に基づく製品開発を進めてきました。その結果、放送ネットワークにおけるIP伝送について、技術面でリードしてきただけでなく、世界的なスポーツイベントやトップ企業ユーザーのネットワークインフラなどで採用されてきたことで、市場の初期段階においては、実績面でも主導的な地位を確保してきたと自負しています。
(3)経営戦略等
放送用ネットワークのIP化は着実に進展してきましたが、その普及は先進国の中でも一部に限られていました。しかし、今後、市場は拡大ステージに向かうものと見込まれています。当社は、市場の初期段階において確かな実績を築くことができ、今後拡大する市場に向けて有利なポジションにいますが、決して盤石ではありません。すでに多くの企業がこの分野に新規参入してきており、競争はますます激しくなると思われます。
また前述した通り、各国の映像伝送市場では、リモートプロダクション及び4K UHD信号配信の需要が増加しております。これらの需要増加に伴い、放送局の設備更新においてはIPベースのインフラの導入が検討され、通信会社においては伝送帯域の拡大を見込んで設備投資計画の検討が行われています。
当社グループは、こうした変化の中でお客様と緊密に連携しながら、お客様が直面する様々なビジネス課題に対する製品及びソリューションを開発・提供することに力を入れてまいります。また、新たな市場の開拓を進めることで、新規顧客を獲得し、ビジネスの成長を図ってまいります。
当社グループは、この分野におけるIP化のさらなる発展をめざし、「お客様のニーズに合わせて独創的な技術で開発したより高度なソリューションを顧客に提供する」というビジョンを掲げ、事業を展開してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが目標とする経営指標は、売上高の長期的なトレンドと売上総利益率です。事業の特性として、顧客の需要変動が大きいため、月次や四半期の数値は大きく変動することがありますが、長期的な視点で着実に成長することが重要だと考えています。また、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述の「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略等」を実現するための当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と施策は以下のように考えております。
① 特定顧客への依存度の低減
近年、当社グループの売上高において、海外の大口顧客向けの販売が大きく貢献しています。当社業績は、大口顧客の案件進捗状況に強く影響される状況が継続しています。
特定の大口顧客との取引が将来にわたって継続拡大が見込まれる場合は、その大口顧客からの要望に応えるために当社グループの人材や資金を優先的に投入することは合理的ですが、過度に依存することはリスクもあります。そのため、特定の大口顧客との良好な関係は維持しつつ、営業力の強化に加え、販売代理店及びシステムインテグレーターとの協業により新規顧客を獲得することで、特定顧客への依存を相対的に低くすることが、当社グループが取り組むべき課題だと考えています。
② 既存顧客への拡販と新規顧客の獲得
既存顧客に対しては、定期的な設備更新需要及びリモートプロダクションや4K放送の拡大需要に応えるため、新製品の開発・販売を行い、拡販を目指します。
また、北米においては営業力を強化し、新規顧客開拓を進めてまいります。その他の地域においては、販売代理店及びシステムインテグレーターとの協業により、積極的に当社製品及びソリューションを提案し、販売地域を拡大し、新規顧客の獲得を目指します。
③ ソフトウエア開発力の強化
当社グループは、放送用通信ネットワークで使われる装置を主要な販売製品としており、さまざまな機能はハードウエアに実装されています。今後は機能をハードウエアから切り離し、ソフトウエアとして提供する割合を増やすことを目指しています。ハードウエアは基本機能に絞り込んだ形にして共通化を進め、コストを抑えることで顧客の初期投資負担を減らします。当社の機器を含んだ管理するソフトウエア(Equipment Management System)を開発して統合ソリューションを提供していきます。
④ グローバルな販売チャネル網の構築
日本、米国では、自社スタッフによる直販体制が主になっていますが、今後広くグローバルに顧客層を広げてゆくためには、有効な販売チャネル網を構築することは不可欠です。新規顧客の獲得を目指しているアジア各国や欧州各国には、信頼できる販売代理店の協力を必要とします。各国の業界事情に精通し、有力顧客との接点を持ちながら、当社グループの製品やサービスを有効活用できる技術力を持った代理店を市場ごとに獲得することが求められています。
同時に当社から各代理店への技術指導や教育など、きめ細かなチャネルサポートを提供することも重要だと考えています。
⑤ 競争力のある新製品開発への投資継続
当社グループの競争力は技術力であります。その技術力を保ち続けるためには、新たな技術を積極的に取り込みながら、製品開発のスピードを向上させ、新たなビジネス環境で効果を発揮できる高付加価値製品を絶えず市場に供給し続ける必要があります。そのために研究開発への投資は継続して行ってまいります。
⑥ 保守・サポート体制の充実
当社グループは、単に製品を販売するだけではなく、システムインテグレーション、保守サポート、IP化への移行に関連した技術支援及び運用支援などのプロフェッショナルサービスを提供することで、収益機会の増大を図っています。特に、製品販売後の保守やサポート業務は、顧客との接点拡大や安定的な収益源につながることから、今後も業務の拡大に努めてまいります。
特に、製品販売後の保守やサポート業務は、顧客との接点拡大や安定的な収益源につながることから、非常に重要なことであると考えております。海外においては、すでにインストールベースの増大に伴い、保守料収入が増加しています。日本においては、今後、海外と同様なレベルを目指し、保守・サービス体制を充実させてまいります。
⑦ 組織・人事について
当社グループ内の組織ごとに責任と権限を明確化すると共に適切な権限委譲を推進し、業務のスピード化を図ります。特に、組織としての強化を目指し、各組織の管理職のレベルアップを促します。グローバルに広がる各組織、各従業員間の情報共有と連携の基盤を作り、スムーズな意思疎通を図り、自律的な改善活動を恒常的に展開させ、業務の効率化を継続推進できる組織作りが重要であると考えています。
従業員各人については、それぞれのキャリア形成を考慮した目標設定、評価、フィードバックを適切に行うとともに、特にグローバル展開に際しては、グループ内の共通言語である英語の習得を本社内の日本人従業員全員に求め、グループ内全従業員のコミュニケーションが円滑に進められるよう取り組んでいます。
⑧ 生産体制の強化
当社グループは、自社生産工場を有しない生産体制(ファブレス型)を採っているため、その柔軟性を生かし、多様なニーズに随時対応できる体制を確立します。そのうえで、地政学リスクや急激な為替変動、災害や不測の事態にも対応できるようグローバル規模で柔軟な生産体制を整備する必要があります。
各生産委託先の生産技術力の標準化を進めながら、同時に部品調達力やコスト競争力の強化を図ります。また、顧客までの納期の短縮を目指したサプライチェーンの改善にも取り組んでいます。
⑨ 品質管理体制の強化
当社グループの製品は、放送局や通信事業者が長期にわたり放送のインフラを形成するための機器であり、通信時及び放送時に中断等の不具合が起こらないための高度な品質が要求されるものです。
多層的な設計レビュー、生産委託先の教育・指導の徹底、出荷前検査、出荷後の顧客サポートを通して、設計から出荷後に至るまで、トータルな品質管理体制の強化を図っています。
⑩ 財務基盤の安定化
現在当社グループは継続的な営業損失及びキャシュフローのマイナスが発生しており、財務基盤が不安定な状態となっております。そのため、以下の対応策を講じて財務基盤の安定化に取り組んでまいります。
ア.収益力の向上
既存顧客の設備更新需要の喚起と同時に、新製品の提案活動を積極的に進め、顧客基盤の拡充を図ります。
イ.販売費及び一般管理費の削減
販売費及び一般管理費を見直し、徹底的なコスト削減を実施して固定費の負担を軽減させてまいります。
ウ.研究開発費効率化
研究開発の内製化による外注費の削減や外注先の再検討もあわせて行い、研究開発費の効率化を進めてまいります。
エ.資本政策
第15回新株予約権の発行による資金調達を行うことにより、運転資金を確保すると同時に新製品開発を加速させ、将来的な収益確保を実現してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当連結会計年度において、営業損失661百万千円、経常損失726百万円、親会社株式に帰属する当期純損失758百万円を計上致しました。これにより3期連続して営業損失、経常損失、親会社株式に帰属する当期純損失を計上することとなりました。取引金融機関からは、業績の安定化が図れるまでは新たな融資の検討は困難であるという見解を提示されております。
以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。当社グループでは、これらの状況を解消するため、以下の対応策を実施してまいります。
ア.収益力の向上
既存顧客の設備更新需要の喚起を行い、また、新製品の提案活動による顧客基盤の拡充を図ります。
具体的には、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況は一定の落ち着きを見せており、対面での営業活動を再開し顧客との関係の再構築を図るほか、中止されていた展示会の開催等も検討しております。また、新製品は現在のSDI/IP運用しているユーザーに対して今後のFull IP化及び高帯域化への対応を可能とする製品であるため、リモートの環境下では難しかった状況の改善に伴って、積極的に新規顧客へ紹介して参ります。実施時期につきましては、一部地域・一部顧客との間では、対面での営業活動も再開しておりますが、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況に左右されるため、全面的な実施時期やその効果を予測することは困難であります。
イ.販売費及び一般管理費の削減
販売費及び一般管理費を見直し徹底的なコスト削減を実施します。
具体的には、社内リソースの配分を見直すことによって人件費の削減を図り、また、最適な輸送方法、タイミングの選択、輸送業者の見直しを行うことにより輸送費の削減を図ります。加えて、リモートワーク推進による最適なオフィススペースを定義し、賃借料の削減の検討をいたします。実施時期につきましては、役員報酬の削減等、既に実施されている施策もあり、今後も、削減可能なものから可及的速やかに実施し、年間約100百万円の削減を目指してまいります。
ウ.研究開発費効率化
内製化による外注費の削減、外注先の再検討を行い研究開発の効率化を進めます。
具体的には、開発部門でのリソース配分の見直しによって、従来外注していた業務を内製化し費用の削減を図ります。また、外注先の再検討によって、外注費の単価の低減と効率化を進めます。実施時期につきましては、従来外注していた業務の内製化等、既に実施されている施策もあり、今後も、削減可能なものから可及的速やかに実施し、年間約40百万円の削減を目指してまいります。
エ.資本政策
現時点で実行可能な手段は第15回新株予約権の発行による資金調達方法に限定されておりますので、業績の改善を図りながら、新たな資金調達の手段を検討してまいりますが、様々な要因に影響されるため、そもそもの実施可能性やその時期、金額等を予測することは困難です。
なお、2022年5月12日開催の当社臨時株主総会において、第15回新株予約権の有利発行の承認をいただきました。
上記施策の確実な実施により、当社グループの経営基盤を強化してまいりますが、半導体市場の正常化の時期、地政学的リスクの影響が解消される時期及び新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期は不透明であることから、今後の売上高や営業キャッシュ・フローに及ぼす影響の程度や期間について不確実性があります。また、資金調達も含め、これらの対応策は実施途上であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。
(2) 特定顧客への高い依存度について
現在、当社グループの売上高は、特定の顧客への依存度が高いレベルで推移しています。既存の大口顧客からの要望に応え続けることで、その顧客との継続的な取引拡大につなげることは重要であり、そのために社内リソースを既存の大口顧客の案件に重点的に配分することは合理的です。その結果として、全体の売上増加につながっているという実績はありますが、その一方で過度の依存はリスクを高めます。その顧客の設備投資方針や投資計画が変更されたり、購買方針が変更されたり、顧客の競争力が失われたりした場合は、当社グループの売上高が大幅に減少する可能性があります。
(3) 安定収益源の確保について
当社グループが提供する機器およびシステムは、通信や放送のインフラを構成するものです。その設備は、一度導入されると、次回の更新まで大きな需要は発生しません。その更新頻度は、通信事業者の場合で4~5年に1回、放送事業者の場合は8~10年に1回です。従って、ひとつのユーザーから大きな受注を獲得した場合、同じユーザーから継続して同じ機器やシステムに対して大きな受注が発生することは期待できません。安定的な業績を達成するためには、常に新規の設備導入および更新需要の発生するユーザーを継続的に確保する必要があります。
一度販売した装置やシステムに係る継続的な保守料収入は、安定収益源のひとつになると考え、その拡大を図っていますが、現状では売上全体に占める割合はまだ限定的です。そのため、当社グループの売上は新規の機器およびシステム販売に依存する部分が大きく、当社グループが常に新たな需要を継続的に獲得できない場合は、当社グループの売上は減少する可能性があります。
(4) 競争環境の変化について
当社グループは放送用ネットワークインフラにおけるIP伝送分野において、技術的な優位性を持っており、同分野における世界の主要顧客からの採用実績でも他社を上回っていると考えています。
近年、放送用ネットワークインフラでIP伝送関連のニーズが高まり、市場が拡大する中で、IP伝送分野に参入企業が増加しています。また、映像をIPを利用して伝送する規格が世界的に標準化されたことにより、参入障壁も低くなっています。このように激しさを増す競争環境において、当社グループが技術面その他において優位性を失うことがあれば、当社グループの業績に影響を受ける場合があります。
(5) 市場の需要動向の変動について
当社グループは、主に放送事業者、通信会社を顧客としていますが、近年のインターネット経由のコンテンツ配信事業者の新規参入により、顧客の事業環境が大きく変化しており、当社グループの製品・サービス等の販売が影響を受ける可能性があります。
また、顧客が、事業を展開する各国における法令、行政当局による指導、その他の規制を受ける場合があり、当社グループの製品・サービス等の販売が影響を受ける可能性があります。
さらに、映像伝送にかかわる新たな規格が次々に定められており、当社グループの製品がそれぞれの規格に適合できない場合は、当社グループの製品・サービス等の販売が影響を受ける可能性があります。
(6) 特定製品シリーズへの高い依存度について
当社グループの売上は、IP伝送装置MD8000シリーズへの依存度が高い状況が続いています。MD8000シリーズは、放送用映像のIP伝送装置として、様々な環境に適応した高機能製品で、世界中の先進的ユーザーへの納入実績も多く、現時点において性能面では他社製品に対して優位性を保っていますが、さまざまな企業が放送用映像のIP伝送事業に参入しており、圧倒的な優位性は徐々に薄れてきております。
当社グループは、MD8000シリーズの競争力を維持するための追加機能の開発や市場の掘り起こしなどの努力は継続しつつ、新たな市場ニーズに対応した設計思想に基づく新製品の開発を計画しています。MD8000シリーズの競争力が急激に失われたり、新製品の市場投入時期の遅れ、他社の革新的な技術開発や製品投入等の事象が発生した場合には、当社グループの売上高が減少する可能性があります。
(7) 生産体制について
当社グループの製品の生産についてはすべてを外部に委託するファブレス型のビジネスモデルを採用しています。複数の生産委託先に製品の生産を委託することにより、外部環境の変化への機敏な対応を可能とし、多額の資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を進めています。生産委託先は1社だけではなく、3社以上を基本としています。また、生産委託先への定期的な工場監査を実施しております。
しかし、複数の生産委託先を適切に確保できなかった場合や、生産委託先において、経営悪化、品質問題、火災事故等が発生することで、製品の生産に支障をきたした場合は、充分な製品生産能力を確保することができなくなり、業績等が影響を受ける可能性があります。
(8) 開発技術について
当社グループは、潜在的な市場ニーズや顧客ニーズを探り、付加価値の高い製品を開発し、適切な時期に市場に提供していくことが責務であると考えています。しかし、当社グループが取り扱う製品分野では、急速な技術革新が進んでいます。その性質から、製品の開発と市場への投入プロセスは、不確実なものであり、以下をはじめとした様々なリスクが含まれており、これらの要因が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 急激な技術の進歩、規格・標準の変化により、当社が開発する製品が市場が求める通信方式や放送方式等
に適合できない可能性があること。
② 新製品または新技術の市場投入の遅れにより、当社製品が陳腐化する可能性があること。
③ 新製品・新技術を開発したとしても、市場から支持されるとは限らず、これらの製品の販売が成功する保
証がないこと。
④ 新製品・新技術の開発に必要な資金と資源を今後も継続して十分に確保できる保証がないこと。
(9) 特許について
当社グループは研究開発を主体としたファブレス企業であり、知的財産権の保護を図ることは重要な問題と認識し、特許事務所との連携を強化することにより、当社グループの技術・製品を保護するための特許等の出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底的に行うことにより他社の権利侵害の防止に努めています。
当社グループはこれまでに技術・製品に関して、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しています。 しかし、当社グループの技術・製品に関連する知的財産権が第三者に成立した場合または当社グループの認識していない技術・製品に関する知的財産権が既に存在した場合においては、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームを提起されないとは限らず、このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10) 部品調達について
当社製品の製造には、特定の半導体やその他の電子部品の使用が重要になる場合が多くあります。その半導体メーカーや電子部品メーカーの意向により、特定の半導体または電子部品の入手が困難になり当社製品の製造に支障をきたしたり、納期が長期化することで顧客の要望に応えられなくなったりする可能性があります。
(11) 製品について
当社グループは、社内で確立した厳しい基準で品質管理基準に従って製品を製造しております。しかし、すべての製品に欠陥がなく、製造物賠償責任をはじめとした顧客からの賠償請求が発生する可能性があります。製造物賠償責任については保険に加入しておりますが、この保険で賠償請求額を担保できない可能性があります。賠償責任を負うような製品の欠陥が生じた場合、多額のコストや当社グループの信用低下が当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 為替の変動について
当社グループでは、海外での事業活動のウェイトが高くなっています。これに伴って、USドルやオーストラリアドル、ユーロ等の外貨建て取引が発生しております。このため、外貨建て決済の際に為替変動の影響を受ける可能性があります。当社グループは必要に応じて為替予約を行っておりますが、これにより為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製品は日本国内で製造されており、製造原価の多くは日本円で構成されております。そのため、海外市場における競争力は、日本円の為替変動の影響を受けます。
(13) 人材の確保・育成について
当社グループは、人材戦略を事業における最重要課題のひとつとして捉えています。特に、製品開発や海外展開の軸となる十分な知識、技術、語学力とノウハウを有する人材の確保・育成が不可欠であるという認識に立っています。
当社グループは、優秀な人材を確保するため、また現在在籍している人材が退職又は転職するなどのケースを最小限に抑えるため、ストックオプションなどを取り入れ、必要な人事体系の構築及び教育体制の充実に努めています。
しかしながら、将来優秀な技術者が退職したり、優秀な人材を確保できなかったりした場合、当社グループの業務に支障が生じる可能性があります。
(14) 海外展開について
当社グループは市場機会を拡げるため、積極的に海外展開を進めています。しかしながら、こうした海外市場への事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しています。
① 予測しない法律・規制の変更
② 人材の採用と確保の難しさ
③ テロ、戦争等の地政学的リスク
④ 国・地域におけるその他の経済的、社会的及び政治的リスク
(15) 新型コロナウイルスの感染拡大による影響について
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と長期化により、当社製品の部品の調達、製品の製造、販売活動等に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) ロシア連邦によるウクライナ侵攻によるリスクについて
2022年2月24日に発生したロシア連邦によるウクライナ侵攻より、当社のロシア連邦及び近隣諸国における潜在的な収益機会を失うリスクがあります。加えて、ウクライナはネオン、アルゴン、クリプトンやキセノンなど半導体製造に必要なガス(希ガス)の産出国です。とりわけネオンについては世界需要の約7割を供給しています。ネオンは半導体の露光工程に必要なガスで、現在不足している半導体のほとんどが製造工程でネオンを使っているため、現在の半導体の供給ひっ迫状況が悪化する懸念があります。半導体を安定的に確保するべく、情報の共有を含め、安定的な供給に向けて供給元との協議を継続しておりますが、侵攻状況については世界的な問題でもあり、更なる悪化が生じた場合に完全に対応することが困難となる可能性もございます。
(17) 金融・財務リスクについて
当社は、2022年4月8日の当社取締役会において、第15回新株予約権の発行決議を行っており、行使期限を2023年5月15日としており、第15回新株予約権の全てが行使された場合、当該行使期限までに第15回新株予約権の行使による発行株式15,620,000株が発行されることとなります。
第15回新株予約権の行使価額は、その発行時点における当社の株価を大きく下回る水準に設定されており、また、有利発行の形式で発行されていることから、その行使により、当社普通株式の1株当たりの株式価値が希薄化し、長期間にわたって当社株価に悪影響を及ぼすおそれがあります。
かかる当社株価への悪影響に加え、新型コロナウイルス感染症の流行、欧州における紛争による経済活動の停滞等の影響を受けて当社株価が低迷することで、第15回新株予約権の行使が当社の想定どおりには進まず、計画していた資金調達に時間を要したり、予定していた金額を調達できなくなったりする可能性があります。その結果、資金調達計画及び事業計画に支障を来たし、当社の業績及び事業展開に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社製品に使用される半導体を始めとする製品部材の供給停止、納期延伸に対応するため、新製品の開発計画を前倒しして進めざるを得ない状況で、新型コロナウイルス感染症の拡大及び地政学的リスク等の予測不可能な売上を減少させる事象が重なり、従来業績予想として公表のとおり2022年3月期には営業損失の計上が見込まれている中、2022年5月には資金の枯渇が予想されます。この状況下で新製品開発をこのまま進め、かつ、本資金調達が不調に終わった場合には、必要な新製品の投入ができず、資金繰り又は財務体質の改善を実現できないおそれがあります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れ、経済活動はいまだに制限された状況が続いているものの、ワクチン接種の進捗などに伴い、政府による感染対策と経済活動の両立が図られ、持ち直しの動きがみられてきております。一方で半導体を中心とした部品不足、物流遅延による世界的なサプライチェーンの混乱は継続・長期化しております。加えて、中国でのゼロコロナ政策によるロックダウンやロシアのウクライナ侵攻により、今後もサプライチェーンの混乱は収束しないリスクが高まり、先行きが依然不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループはアジア市場、米国市場及びオーストラリア市場を中心に事業展開を進めました。
アジア市場は、前連結会計年度に比べ増収となりました。これは、韓国の大手放送局2社向けネットワークの更新案件の売上を計上したことによるものです。日本市場においても大手通信事業者向けの設備更新案件の売上を計上した影響で増収となりました。
北米市場は、前連結会計年度に比べて減収となりました。これは、前連結会計年度のような主要顧客向けの大型設備投資案件がなかったことによります。
オーストラリア市場は、前連結会計年度に比べて増収となりました。これは、メンテナンスサポート契約はほぼ横ばいで推移しましたが、主要顧客でのネットワーク投資があり、売上が増加しました。 EMEA市場は、前年同期と比べ減収となりました。これは、新型コロナウィルスの感染拡大、地政学的問題の影響で、EMEA市場での案件が凍結された影響によるものです。
この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,496百万円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ1,003百万円減少し、2,275百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ393百万円減少し、1,467百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ610百万円減少し、808百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は、2,496百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業損失は661百万円(前連結会計年度は営業損失238百万円)、経常損失は726百万円(前連結会計年度は経常損失190百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、758百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失219百万円)となりました。
当社グループは、映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に事業を分類していません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ619百万円減少し、319百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は315百万円(前連結会計年度は611百万円の減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失745百万円の計上、棚卸資産の増加57百万円、売上債権の減少521百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は34百万円(前連結会計年度は20百万円の減少)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出18百万円、定期預金の預入による支出9百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は320百万円(前連結会計年度は409百万円の減少)となりました。その主な要因は、短期借入金の減少110百万円、長期借入金の返済による支出222百万円によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
|
製品種類の名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ハードウエア製品 |
1,728,823 |
△23.3% |
|
合計 |
1,728,823 |
△23.3% |
(注)1 金額は、期中平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、他勘定振替分及び他勘定受入分は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
|
製品種類の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ハードウエア製品 |
1,885,489 |
0.31 |
80,416 |
1,072.5 |
|
メンテナンス・サポート |
689,237 |
29.8 |
425,207 |
79.4 |
|
その他 |
153,348 |
25.7 |
1,866 |
△94.1 |
|
合計 |
2,728,075 |
7.7 |
507,489 |
84.3 |
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
製品種類の名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ハードウエア製品 |
1,811,848 |
△3.9 |
|
メンテナンス・サポート |
501,049 |
11.1 |
|
その他 |
183,025 |
24.6 |
|
合計 |
2,495,921 |
0.5 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先
|
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
AT&T Corporation |
1,242,032 |
50.0 |
675,220 |
27.1 |
|
Telstra Corporation Limited |
225,516 |
9.1 |
362,029 |
14.5 |
|
IISN SYSTEMS CO., LTD. |
1,460 |
0.1 |
304,653 |
12.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ1,003百万円減少し、2,275百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金の減少610百万円、受取手形及び売掛金の減少483百万円、原材料及び貯蔵品の減少34百万円、商品及び製品の増加118百万円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ393百万円減少し、1,467百万円となりました。主な変動要因は、短期借入金の減少110百万円、買掛金の減少99百万円、長期借入金の減少51百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ610百万円減少し、808百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純損失758百万円の計上による利益剰余金の減少によるものです。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,496百万円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が1,812百万円(同3.9%減)、その他が684百万円(同14.4%増)となりました。海外売上高比率は、前期の70.3%から70.6%へと増加しました。
(売上総利益)
当連結会計年度における、売上総利益率は53.5%となり、売上総利益は1,336百万円(同14.1%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,997百万円(同11.3%増)となりました。また研究開発費は758百万円(同21.4%増)となりました。これは、新製品の研究開発費の増加によるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における、営業損失は661百万円(前連結会計年度は営業損失238百万円)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常損失は726百万円(前連結会計年度は経常損失190百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、758百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失219百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。
主な資金需要は、製品製造のための材料及び外注加工費の支払のほか、製品開発のための研究開発費であります。
資金需要には、内部資金、金融機関の借入及び第三者割当による新株予約権の発行により対応しております。短期及び長期借入の他、運転資金の効率的かつ安定的な調達のため、取引銀行1行と当座貸越契約を締結しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ間で融資を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき実施しております。
詳細につきましては、「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。当連結会計年度におきましては、売上総利益率は前連結会計年度の62.6%に比べ9.1ポイント減少し、53.5%となりました。
第14回新株予約権及び第15回新株予約権の発行
当社は、2022年1月27日開催の取締役会において、以下のとおり、三田証券株式会社を割当先とする第三者割当
の方法による第14回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行を行うことについて決議し、2022年2月14日付で発行いたしました。
また、2022年4月8日開催の取締役会において、EVO FUNDを割当予定先とする第15回新株予約権の発行を行うことを決議し、2022年5月12日開催予定の当社臨時株主総会において、本新株予約権の有利発行について議案が承認され、2022年5月13日付けで発行いたしました。
詳細は、第4提出会社の状況 1株式の状況 ③その他の新株予約権の状況を参照ください。
当社グループは、放送ネットワークのインフラビジネスにおいて、世界をリードする技術・製品を創出し続け、顧客とともにそのビジョンを現実にしていくことを研究開発活動の基本方針としています。
研究開発活動においては、製品の製造、運用から廃棄に至るまでの製品ライフサイクルすべてにかかわるステークホルダーの満足度を高められる製品開発を行うと同時に製品開発プロセスの進化・改善を継続的に行って、市場競争力の高い製品・サービスをスピーディーに提供するよう努めています。また、世界基準で活動を行う製品メーカーとして、環境法規制や顧客ルールを遵守し、製品ライフサイクル全般にわたり環境負荷の低い製品を開発しています。
当連結会計年度においては、マルチメディアIP伝送装置MD8000シリーズ、MDPシリーズで新しい圧縮方式JPEG-XSの開発を行いました。加えて、半導体を始めとする製品部材の供給停止の影響を受け、後継機種の開発も前倒しして行いました。当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、当社グループは映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に研究開発費を分類しておりません。