第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、一部市場の改善に遅れが見られるものの、緩やかな回復基調が続いております。IT需要の回復等を背景に輸出や生産の持ち直しが続き、製造業の収益が改善、景況観も上向いております。設備投資には依然慎重姿勢が残っておりますが、設備の維持・更新等に対する投資は底堅く存在しております。海外経済におきましては、地政学リスクを含め先行きに不安があるものの、中国では景気減速の動きに一服感が見られ、米国では個人消費の増加や企業収益の改善で堅調な経済環境が継続し、欧州でも緩やかな景気回復の動きが続きました。

 azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、中期経営計画(2013~2016年度)において、3つの基本方針※1を定め、製品・技術・サービスを活用したazbilグループならではのソリューションによる事業の展開・拡大に取り組んでまいりました。また併せて、中長期視点での持続的な成長を確かなものとするため、企業体質の強化と事業構造改革を国内外において推し進めてまいりました。当連結会計年度におきましても、前述の国内外経済情勢及びazbilグループを取り巻く事業環境を踏まえ、人材等の経営資源の再配置・配分、事業・生産体制の再編等に継続して取り組んでまいりました。こうした取組みの結果、事業基盤の整備や収益面での改善等、2017年度を初年度とする次期中期経営計画(2017~2019年度)の礎となる成果をあげることができました。

 当連結会計年度の業績につきましては、受注面では、ビルディングオートメーション(BA)事業において、国内大型建物の建設を取り巻く事業環境は引き続き堅調ですが、前連結会計年度における複数年契約の受注計上範囲の見直し※2や大型案件計上の反動、新築案件の一時的な減少及び収益重視の受注の取組みで国内が減少し、海外も2016年後半までの円高の影響と子会社譲渡による影響で減少し、事業全体として受注が減少いたしました。アドバンスオートメーション(AA)事業も、為替の影響を受けて受注が減少いたしましたが、昨年秋頃からの市況回復及び国内外でターゲットを絞り込んだ拡販活動により、為替の影響を除く実質的な受注は前年度比で増加いたしました。ライフオートメーション(LA)事業は、ライフサイエンスエンジニアリング(LSE)分野における前連結会計年度の大型案件計上の反動や為替の影響、クリーンルーム事業等の見直しによる影響で受注が減少いたしました。これらの結果、全体としての受注高は前連結会計年度比7.8%減少の2,523億1千4百万円(前連結会計年度は2,736億1千3百万円)となりました。

 また、売上高につきましては、市況の改善や売上確保に向けた施策によりAA事業における売上が増加いたしましたが、事業構造改革や為替の影響もあってBA事業、LA事業の売上が減少し、全体としての売上高は、前連結会計年度並みの2,548億1千万円(前連結会計年度は2,568億8千9万円)となりました。

 一方、損益面につきましては、利益体質の改善、事業構造改革の成果に加えて、のれん償却費が減少したことにより、全体としての営業利益は前連結会計年度比17.6%増加の201億4千5百万円(前連結会計年度は171億3千5百万円)となりました。経常利益につきましては、前連結会計年度比23.1%増加の204億7千5百万円(前連結会計年度は166億2千7百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比59.1%増加の131億5千3百万円(前連結会計年度は82億6千8百万円)となりました。

 

※1: 3つの基本方針:

・技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ

・地域の拡大と質的な転換による「グローバル展開」

・体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す

※2: 複数年契約の受注計上範囲の見直し:

前連結会計年度において、近年、大型案件以外にも複数年のサービス等の契約が増加し、受注高に占める重要性が増してきた状況を踏まえ、国内における複数年契約の受注計上範囲を見直しました。この見直しにより、前連結会計年度においては、複数年契約の受注計上額が一時的に大きく増加しております。

 

 各セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

ビルディングオートメーション(BA)事業

 国内市場におきましては、首都圏において計画されている複数の都市再開発案件に加えて、省エネルギー・省コスト運用に対するソリューション需要も堅調であります。このため、国内市場における売上高は、既設建物向け市場が微減ながらも高い水準を維持し、サービス市場も着実に増加いたしました。しかしながら、新築建物向け市場での売上が一時的に減少したため、国内全体では前年度並みとなりました。海外市場におきましては、ローカル市場の開拓は着実に進んでおりますが、為替及び子会社譲渡の影響により、減収となりました。

 この結果、BA事業の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比2.0%減少の1,164億2千1百万円(前連結会計年度は1,188億3千5百万円)となりました。損益面では、採算性の良いサービス分野での増収効果はありましたが、現場ジョブ遂行体制強化のための人員活用配置の影響等により、セグメント利益は前連結会計年度比4.2%減少の115億1千2百万円(前連結会計年度は120億1千4百万円)となりました。

 

アドバンスオートメーション(AA)事業

 海外市場におきましては、為替変動に伴う減収影響がありましたが、中国、アジア地域での回復が徐々に進みました。また、半導体製造装置市場等が国内外で拡大するとともに、3つの事業単位(CP事業、IAP事業、SS事業)※3での運営体制の下、前述の事業拡大に向けてターゲットとした製品及び地域での積極的な拡販活動による成果もあり、全体として売上高は増加いたしました。

 この結果、AA事業の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比2.1%増加の954億8千4百万円(前連結会計年度は935億3千8百万円)となりました。セグメント利益は、為替変動による減益影響がありましたが、種々の利益体質改善の取組みも進み、前年度実績を大きく上回る前連結会計年度比43.3%増加の72億4百万円(前連結会計年度は50億2千9百万円)となりました。

 

※3 CP事業:コントロールプロダクツ事業(デジタル計装機器、マイクロスイッチ、センサ、燃焼制御機器等のコンポーネント
事業)

IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクツ事業(工業計器、発信器、自動調節弁等のコンポーネント事業)

SS事業:ソリューション&サービス事業(制御システム、サービスメンテナンス事業)

 

ライフオートメーション(LA)事業

 LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・医療分野向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)、そして住宅用全館空調システムの3つの分野で事業を展開しております。

 ガス・水道メータ分野におきましては、売上高は需要期を迎えているLPガスメータの販売増を主因に増加いたしましたが、都市ガスメータの減収の影響及び研究開発費の増加から利益は前年度並みとなりました。LSE分野におきましては、欧州・南米地域におけるクリーンルーム事業等の見直しと為替の影響により売上高は減少いたしましたが、事業見直しを含む構造改革の成果に加え、のれん償却費の減少により利益は改善いたしました。住宅用全館空調システム分野におきましては、前年度における営業・開発体制整備の結果、売上が拡大し、収益体質も強化されました。

 これらの結果、LA事業の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比3.4%減少の441億1千6百万円(前連結会計年度は456億4千6百万円)となりました。セグメント利益は大きく改善し、14億2千万円(前連結会計年度は7千9百万円)となりました。

 

その他

 その他の当連結会計年度の売上高は7千万円(前連結会計年度は6千6百万円)となり、セグメント利益は1千8百万円(前連結会計年度は1千7百万円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は199億4千9百万円となり、前連結会計年度に比べて88億7千6百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は90億6千万円(前連結会計年度は42億6千1百万円の資金の増加)となりました。これは主に、配当及び設備投資等の支払に備えた短期運用目的の有価証券の取得及び定期預金の預入による支出が増加したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は64億4千1百万円となり、前連結会計年度に比べて40億9千4百万円の減少となりました。これは主に、自己株式の取得及び借入金の返済による支出が減少したことによるものであります。

 

 以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より38億8千9百万円増加となり、598億3千7百万円となりました。

 

 「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

41,072

98.0

アドバンスオートメーション事業

31,386

97.8

ライフオートメーション事業

29,249

96.4

報告セグメント計

101,709

97.5

その他

合計

101,709

97.5

 (注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

ビルディングオートメーション事業

117,649

87.9

62,824

102.0

アドバンスオートメーション事業

93,724

98.8

26,076

93.7

ライフオートメーション事業

42,080

91.9

10,138

83.3

報告セグメント計

253,453

92.3

99,040

97.5

その他

70

104.8

消去

(1,208)

(60)

連結

252,314

92.2

98,979

97.5

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

116,421

98.0

アドバンスオートメーション事業

95,484

102.1

ライフオートメーション事業

44,116

96.6

報告セグメント計

256,022

99.2

その他

70

104.8

消去

(1,281)

連結

254,810

99.2

 (注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 azbilグループは、「人を中心としたオートメーションで、人々の安心、快適、達成感を実現するとともに、地球環境に貢献する」というグループ理念を掲げ、この理念の実践を通して、azbilグループならではのユニークな企業集団として存続・発展することを目指しています。このため、長年培った計測と制御を中核とした技術とリソースを活かし、安全・安心で高品質・高付加価値の製品・サービスを組み込んだソリューションをお届けすることでお客様の課題解決に貢献します。

 私たちは、上記のグループ理念のもと、中長期的な視点に立って、ビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)の3つの事業分野でグループ一体となった経営を展開し、企業価値の向上・最大化に取り組むことで株主の皆様・お客様・従業員・地域社会の皆様等、全てのステークホルダーのご期待に応えるとともに、持続可能な社会の実現に向け先進的な役割を果たしてまいります。

(2)経営戦略等

 当社は、「人を中心としたオートメーション」すなわち、人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、お客様の安心・安全や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になることを長期目標と設定、段階的に中期経営計画を立案し、この目標達成に向けた取組みを行ってまいりました。

 これまでは、オートメーションに焦点をあてつつ単一市場への過度な集中を避け、異なる市場構造を持つBA/AA/LAの3つの事業分野から成る複合的な事業ポートフォリオの構築を進め、顧客開拓やシナジー等による事業領域の拡大に取り組んでまいりました。しかしながら、これらの事業領域では、既存の製品・サービスの提供では持続的な成長の実現が厳しくなってきている成熟領域もあれば、IoTやAIといった新たな技術革新に伴い、急激に変化している領域もあります。基盤を確たるものとし、企業としての存続を確かなものとする取組みを継続するとともに、更なる成長を実現するため、国内外の事業機会の変化を的確に捉え、事業創造の視点から「商品と顧客現場の連携」によるソリューション提案力の向上に取り組み、グローバルでの顧客や社会の長期パートナーとして、azbilグループならではの価値の提供を実現してまいります。

 新中期経営計画(2017年度~2019年度)においても、事業構造改革並びに体質強化に取り組むとともに、以下の3つの基本方針を堅持し、その効果を最大化してまいります。

 1) 技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ

 2) 地域の拡大と質的な転換による「グローバル展開」

 3) 体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す

 さらに、長期的視点から、事業変化に対応し、持続的な成長を実現できるように、IoTやAIの活用へ向けた投資も進めてまいります。

 以上の取組みにより、世界水準の総合オートメーションメーカとして、企業と社会の持続可能な発展を目指し、グループ経営資源の最適かつ効率的な活用により、社会・環境・経済へ積極的に貢献するCSR経営を実行してまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 azbilグループは、株主重視の方針に基づき、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して長期目標として、ROE10%以上を目指しております。

(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

 azbilグループは、事業の中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を図ることで、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。このため、azbilグループとして長期目標を設定し、この目標達成に向け、「人を中心としたオートメーション」の探求を通じて3つの事業軸(BA事業、AA事業、LA事業)において技術・製品を基盤に、ソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」となること、地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」を進めること、さらにその具現化に向け「学習する企業体」へと組織的な変革を進めることの3つを基本方針として掲げ、事業拡大へとつなげることのできる事業体質への変革を進めてまいりました。しかしながら、会社を取り巻く内外の状況や環境変化を考えると、更なる成長のためには、前中期計画における構造改革及び収益体質強化への取組みの成果等を活かしつつ、国内外とも事業単位での構造・体質改革の更なる加速、先進的なグループ開発・生産体制の構築、技術革新(IoT、ビッグデータ、AI等)に対応した製品開発を進めるとともに、コーポレート・ガバナンス強化に継続して取り組み、今後も経営資源を有効かつ大胆に配分し、この変革活動の加速・定着を図ることで、持続的な成長を目指します。

① 3事業とも国内では成熟産業に位置しますが、置かれている環境は事業毎に大きく異なります。BA事業は首都圏での再開発に伴い拡大する需要を着実に捉えるため、グループ内の継続的な人員異動や体制変更を行い、働き方改革も意識し適正な労働時間でジョブ遂行が行える体制を強化しております。また、再開発計画一巡に備え、既設建物向けの改修・サービス提案を拡大するとともに、クラウドサービスの機能拡充等により、お客様のライフサイクルにわたる新たな付加価値の提供と、その提供のための内部効率の向上を図ります。AA事業は、多岐にわたる市場から、今後の成長と付加価値提供が見込める領域を選択・集中することにより成長を図ります。3つのサブセグメント(CP事業、IAP事業、SS事業)単位に顧客ニーズや市場環境に合わせた事業モデル創出による高収益体質への変革を継続いたします。ガス流量制御が必要な製造プロセスにおいて、製造装置・分析装置のIoT化に必要な機能に絞り小型化した「マスフローコントローラ F4H」によるソリューション展開はこうした取組みの一つです。また、LA事業はBA/AA事業との連携を強化し、スマートメータ化による製品力強化を軸としたエネルギー管理事業の推進や、戸建て住宅向け全館空調システムへ「さらなる快適性」と「省エネ」を両立する可変風量(VAV)制御の導入、製造装置領域での新サービス領域への拡張等へ取組みを始めております。このように事業環境の変化に合わせ、azbilグループ内のリソースの再配置・最適化を継続して強力に実施し、成熟領域における確実な収益の確保と同時に、新たな成長事業領域への更なるシフトを目指します。

② 海外市場におきましては、収益拡大に向けた更なる事業基盤の強化策の一つとして、増加している大型プロジェクトを含めた現地固有の市場ニーズへの対応と新製品を導入することにより、グローバル展開の拡大を目指します。BA事業は、アジア市場でのシェア拡大に向け、次世代ビルディングオートメーションシステム(savic-net G5)をリリースいたしました。タイ大手ディベロッパーの多目的コンプレックスビルへの導入を皮切りに、東南アジア各国の大型プロジェクトへの提案を加速しており、事業成長が期待されます。AA事業は、国内と同様に事業セグメントの選択・集中により成長を加速します。競争力のある製品を軸としたパッケージソリューションや、IoTを活用したお客様のライフサイクルにわたるサービス展開等に取り組んでまいります。企業運営面におきましても、引き続き海外子会社の構造改革、管理、ガバナンスの強化を進めてまいります。LA事業のライフサイエンスエンジニアリング領域を担当する欧州のアズビルテルスター有限会社は事業構成の見直しを進め、プロジェクト管理体制の強化とazbilグループ全体のリソースを活用した製品開発を進めることにより収益性の強化に取り組んでまいります。医薬品製造向けに磁気アクチュエータを応用した搬送機能を持つ凍結乾燥装置を開発し、省スペース、無発塵、高滅菌性を実現したのは、こうした取組みの一つです。

③ azbilグループの事業拡大に一層貢献するために、グループ生産体制を再編し、商品力強化に向けて開発リソースの集約・最適化を進めてまいります。国内工場の再編を進めるとともに、タイ、中国(大連)での海外生産を拡大いたしました。海外調達の拡大とあわせて、生産体制の変革により製品のコスト競争力を高めてまいります。また、研究開発としては、モノと情報の融合による産業構造変革への対応として、技術革新(IoT、ビッグデータ、AI等)へ対応するための開発体制を構築し、工場・ビル運営においてより企業経営に近いポジションでの新オートメーション領域の開拓を推進いたします。

④ グループ経営の推進とガバナンス体制の充実を推進するとともに、リスク管理(品質・PL、防災・BCP、情報)、コンプライアンス(企業倫理・法令遵守)、人を重視した経営、地球環境への貢献及び社会貢献を重点取組み領域として、azbilグループをあげてCSR経営の推進に継続して取り組んでおります。特に経営の公正性、中立性及び透明性を高めるべく、コーポレートガバナンス・コードへの対応を進めながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資するよう、全てのステークホルダーの皆様との間で建設的な対話が進むための体制整備を積極的に進めてまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 azbilグループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のとおりであります。これらリスクについては年に一度リスク評価を実施し、経営層と関連部門によるリスク軽減策やリスク発生時の対応策を講じております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業環境及び事業活動等に係わるリスク

① 景気の下落、停滞による影響

azbilグループの商品やサービスの需要は、その事業に関連する市場である建設及び製造業や機械産業市場等の経済状況に左右される構造的な要因があり、事業を展開する地域の経済環境、及び市場の大幅な景気後退、需要減少は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 競争に係わるリスク

azbilグループの事業領域であるビルディングオートメーション事業、アドバンスオートメーション事業、そしてライフオートメーション事業の各市場における競争は厳しいものとなっております。そうした中で、azbilグループの商品及びサービスは、技術的・品質的・コスト的に他社に比べて優位な高付加価値な商品であると考えており、また、激化する価格競争、あるいは新たな競合他社の参入等に備えた対処を進めておりますが、今後予期せぬ競争関係の変化があった場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

③ 商品の品質に係るリスク

azbilグループの製品、システム及びサービスは、各種のプラント、建物における安全と品質にかかわる重要な計測・制御に使用されております。品質面につきましては、委員会での情報共有等をはじめとして品質情報の共有・可視化を進め品質管理体制を強化しております。また、製造物責任につきましては、保険に加入するなど問題発生に際しての備えを強化しておりますが、当社グループの製品、システム及びサービスの欠陥による事故が発生した場合の影響は、多額のコストの発生や当社グループに対する顧客からの評価に重大な影響を与え、それにより事業、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

④ 研究開発活動に係るリスク

azbilグループは、継続的に技術的強みを持つ次世代商品の開発に向けた研究開発活動を経営の重要課題の一つと位置付けており、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念に基づき、省資源、省エネ、省力、安全、環境保全及び快適環境の実現を目指した研究開発活動を行っております。

当社グループでは、お客様のニーズを的確に捉え、魅力的な製品やサービスをタイムリーにお客様に届けるよう、活動を強化しておりますが、ニーズや技術潮流の見誤り、研究開発の遅れ、技術対応力の不足等により、新製品の市場投入が遅延した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 国際事業活動に伴うリスク

azbilグループは、海外に40以上の現地法人及び2つの支店にて事業を展開しており、また、製造拠点も中国の大連に加えて、タイとサウジアラビアにも置いております。海外売上比率が増加傾向にあり、また製造拠点の海外を含めた分散化を進めております。今後ともカントリーリスクに留意しながら、国際事業の拡大を進めてまいりますが、計画に遅れが出た場合や進出先において予期しない政治経済情勢の変化、現地の法律等の改正、自然災害、テロ、ストライキ等の発生等により、生産・調達活動の一部又は全部が影響を受ける可能性があり、事業、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

⑥ 為替変動に係るリスク

azbilグループは、為替変動に対して海外生産の拡大等によるリスク軽減に取り組んでいますが、急激な為替レートの変動は、売上高、原材料・部品の価格、販管費等の経費に影響し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) その他のリスク

① 人材の確保と育成に係るリスク

azbilグループは、創業以来の「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という考え方のもと、人材育成に注力しております。しかし、今後、従業員の安全、健康の確保、高齢化対策、技術や技能及びノウハウの継承、多能工化、グローバル化に向けた国内外の事業拡大のための人材の確保・育成等の課題に対応できない場合は、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

② 情報漏洩等に係るリスク

azbilグループは、事業上の重要情報及び事業の過程で入手した個人情報や取引先等の機密情報を保有しております。当社グループでは、これらの情報の取扱い及び管理の強化や社員の情報リテラシー(情報活用能力)を高める対策を講じておりますが、万一、予測できない事態によってこれらの情報が漏洩した場合は、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

③ 災害等に係るリスク

azbilグループのビルディングオートメーション事業、アドバンスオートメーション事業の国内生産拠点(製造子会社を含む)は6拠点中主要な2拠点が神奈川県に立地しております。また、ライフオートメーション事業のアズビル金門株式会社の国内生産拠点は、5拠点中3拠点が福島県に集中しております。当社グループは、必要とされる安全対策、保険の付保及び事業継続・早期復旧のための対策(BCP策定)等を講じておりますが、これらの地区において、大規模災害等による直接的又は間接的な影響が及んだ場合は、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

④ 法的規制等に係るリスク

azbilグループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、環境や安全、製品規格、その他理由による法的規制を受けております。今後これらの法的規制が想定を上回って変更された場合、あるいは新設された場合には、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

特に、今後ますます厳格となる環境規制に対して、azbilグループは、法律による環境規制を遵守することも含め、様々な環境負荷低減活動を推進してきましたが、万一、環境規制への適応が難しい場合、当該ビジネスの一部撤退等も想定され、当社グループの業績及び財務状態に影響が出る可能性があります。

⑤ 知的財産権に係るリスク

azbilグループは、競争優位性を確保、維持するために、グループ内製品及びサービスの開発の中で差別化技術及びノウハウを蓄積し、それらの知的財産権の保護に努めております。また製品の開発・生産に必要な第三者の特許の使用許諾権の確保に努めております。しかし、これらが十分に行えない場合、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 azbilグループでは、「人を中心としたオートメーション」の理念に基づく次世代商品を迅速に顧客へ提供するため、マーケティング部門と研究開発部門の連携を強め、新商品開発と技術開発に取組んでおります。また、建物・産業・ライフラインや人々の生活を取り巻く様々な環境変化に対応し、中長期にわたり技術的強みを持つ次世代商品の開発を実現するため、5つの戦略技術領域を定めております。具体的には、以下のとおりです。

・人間・機械融合システム技術

ファクトリーオートメーション領域及びライフサイエンス領域における知能化生産システムの開発

・自在計測制御技術

加工組立産業における新たなセンシング・パッケージング技術開発とリアルタイム計測を可能にするセンサの開発

・わかる化プロセス情報技術(複雑なプロセスの状況・課題に対し飛躍的かつ高度にシステムを制御・進化させる情報処理技術)

IoTの動向に対応した工場の生産性改善や設備保全を支援する技術開発とビル向け遠隔省エネ支援システムの開発

・環境調和計測制御技術

環境変化を学習して環境負荷低減を目指す技術で東京オリンピック開催や首都圏再開発に向けた中長期にわたり継続的に価値提供可能な空調制御システムの開発

・快適空間計測制御技術

快適及び知的生産性向上と省エネルギーを両立する空調制御技術の開発

 

 特に2017年度は、各事業領域における各開発と技術革新(IoT、ビッグデータ、AI等)を組み込んだ製品開発によりライフサイクル型事業強化、新オートメーション領域開拓、及び環境エネルギー分野拡大を目指します。

・ビルディングオートメーション事業領域

次世代空調システム機能強化、各種クラウド商品、空調コントローラ機能拡充、新空調計装機器

・アドバンスオートメーション事業領域

次世代微小流量センサ、光電センサ機能拡張、次世代電磁流量計、ファクトリーオートメーション向け技術及び
各種商品

・ライフオートメーション事業領域

新機能ガスメータ、新方式凍結乾燥装置

 

 事業のグローバル展開に合わせて、米国のシリコンバレーに設置した研究開発拠点及び欧州グループ会社による、日本・米国・欧州の3極体制で技術・商品開発を行っております。米国の研究開発会社においては当社の目指す「自在計測制御技術」を実現する技術開発の推進と、IoT等の最新の技術動向の調査や国際標準活動を行っております。欧州ではアズビルテルスター有限会社等との協創により製薬関連施設や医療機関等に提供する凍結乾燥装置や滅菌乾燥装置の商品力強化を行うとともにエンジニアリング強化も図っております。

 生産技術としては、人間・機械融合システム技術による新生産ラインを開発するとともに自社生産ラインのIoT化を図ることで、品質・設備保全に関する生産情報を遠隔管理してグローバル生産を強化してまいります。また、技術標準化においては、国際標準への対応、開発・設計の標準化、計測標準の3つに取組み、商品の機能・コスト・品質・信頼性・安全性の強化を図ることによって事業の競争力を高めてまいります。

 

 当連結会計年度の研究開発費の総額は104億4千5百万円(売上高比4.1%)となりました。

 

 

 各セグメント別の研究開発費及び主な成果は、次のとおりであります。

セグメントの名称

研究開発費

(百万円)

主な成果

ビルディングオートメーション事業

5,059

・建物ライフサイクルを通したシステムの有効活用と、ビル管理者の情報把握・業務経験の質向上を図る海外市場向け次世代ビルディングオートメーションシステム「savic-net G5」を開発

・建物運営に関わる情報を関係者が共有・活用できるビル向けクラウドサービスに、建物管理業務の効率化、品質向上を実現する「BM(設備保全管理)」と、居室者の利便性を高める「TS(テナントサービス)」を追加

アドバンスオートメーション事業

4,325

・製造装置組込み用としての使いやすさを追求した小型デジタルマスフローコントローラ(形 F4H)を開発

・装置内プロセス制御におけるローカルコンピューティングにより、装置の故障予知検出に貢献するグラフィカル調節計を開発

ライフオートメーション事業

1,061

・部屋ごとの温度設定や大幅な省エネを図る、戸建て住宅向け全館空調システム向けVAV制御を開発

・アズビルテルスター有限会社は、医薬品業界で不可欠な凍結乾燥ライン向けの磁気ねじを用いた新たな搬送装置を開発

その他

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合計

10,445

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 ビルディングオートメーション事業におきましては、国内市場では前年度並みとなりましたが、為替及び子会社譲渡の影響から海外が減少したことにより、売上高は1,164億2千1百万円と前連結会計年度に比べて2.0%の減少となりました。

 アドバンスオートメーション事業におきましては、為替変動に伴う減収影響があったものの、半導体製造装置市場等が国内外で拡大するとともに積極的な拡販活動による成果もあり、売上高は954億8千4百万円と前連結会計年度に比べて2.1%の増加となりました。

 ライフオートメーション事業におきましては、ガス・水道メータ分野及び住宅用全館空調システム分野が増加したものの、ライフサイエンスエンジニアリング分野が事業見直しと為替の影響により減少したことを主因に441億1千6百万円と前連結会計年度に比べて3.4%の減少となりました。

 その他の売上高は、7千万円(前連結会計年度は6千6百万円)となりました。

 以上の結果、売上高は2,548億1千万円と前連結会計年度に比べて0.8%の減少となりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

 事業構造改革の進捗等により、売上原価率は前連結会計年度に比べ0.4%改善の64.1%となり、売上原価は1,633億1千9百万円となりました。販売費及び一般管理費は利益体質の改善、事業構造改革の成果に加えて、のれん償却費が減少したこと等により売上高比率は0.8%改善の28.0%となり、販売費及び一般管理費は713億4千6百万円となりました。

③ 営業利益

 営業利益は前連結会計年度比17.6%増加の201億4千5百万円となりました。セグメント利益は、ビルディングオートメーション事業は115億1千2百万円と前連結会計年度比4.2%の減少、アドバンスオートメーション事業は72億4百万円と前連結会計年度比43.3%の増加となりました。ライフオートメーション事業は14億2千万円(前連結会計年度は7千9百万円)となりました。その他は1千8百万円(前連結会計年度は1千7百万円)となりました。

④ 経常利益

 経常利益は営業利益の増加及び為替差損の減少を主因として前連結会計年度比23.1%増加の204億7千5百万円となりました。

⑤ 特別利益及び損失

 特別利益は投資有価証券売却益6千2百万円、固定資産売却益4千7百万円を計上したことにより1億1千万円となり、特別損失は関係会社整理損10億5千7百万円、固定資産の減損損失5億6千9百万円、固定資産除売却損3億3千万円を計上したことにより19億5千7百万円となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比41.6%増加の186億2千9百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比59.1%増加の131億5千3百万円となりました。

 

(2)資本の財源及び流動性についての分析

① 資産の状況

 当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて41億8千9百万円増加し、資産合計で2,633億1千7百万円となりました。これは主に、売上債権が32億7千1百万円、たな卸資産が19億6千8百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が57億2千8百万円増加したことに加え、短期運用目的の有価証券が41億1百万円増加したことによるものであります。

② 負債の状況

 当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて45億9千6百万円減少し、負債合計で975億6千5百万円となりました。これは主に、仕入債務が51億3千1百万円減少したことによるものであります。

③ 純資産の状況

 当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて87億8千5百万円増加し、純資産合計で1,657億5千1百万円となりました。これは主に、配当金の支払により51億6千4百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により131億5千3百万円増加したことによるものであります。

④ キャッシュ・フローの状況

 「1 業績等の概要」における「(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

⑤ 資金調達の状況

 当連結会計年度において重要な資金調達はありません。