第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 azbilグループは、「人を中心としたオートメーションで、人々の安心、快適、達成感を実現するとともに、地球環境に貢献する」というグループ理念を掲げ、この理念の実践を通して、azbilグループならではのユニークな企業集団として存続・発展することを目指しています。このため、長年培った計測と制御を中核とした技術とリソースを活かし、安全・安心で高品質・高付加価値の製品・サービスを組み込んだソリューションをお届けすることでお客様の課題解決に貢献します。

 私たちは、上記のグループ理念のもと、中長期的な視点に立って、ビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)の3つの事業分野でグループ一体となった経営を展開し、企業価値の向上・最大化に取り組むことで株主の皆様・お客様・従業員・取引先・地域社会の皆様等、全てのステークホルダーのご期待に応えるとともに、持続可能な社会の実現に向け先進的な役割を果たしてまいります。

 

(2)経営戦略等

 当社は、「人を中心としたオートメーション」すなわち、人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、お客様の安全・安心や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になることを長期目標と設定、段階的に中期経営計画を立案し、この目標達成に向けた取組みを行ってまいりました。

 これまでは、オートメーションに焦点をあてつつ単一市場への過度な集中を避け、異なる市場構造を持つBA/AA/LAの3つの事業分野から成る複合的な事業ポートフォリオの構築を進め、顧客開拓やシナジー等による事業領域の拡大に取り組んでまいりました。これらの事業領域には、既存の製品・サービスの提供では持続的な成長の実現が厳しくなってきている成熟領域もあれば、IoTやAIといった新たな技術革新に伴い、急激に変化している領域もあります。基盤を確たるものとし、企業としての存続を確かなものとする取組みを継続するとともに、更なる成長を実現するため、国内外の事業機会の変化を的確に捉え、事業創造の視点から「商品と顧客現場の連携」によるソリューション提案力の向上に取り組み、グローバルでの顧客や社会の長期パートナーとして、azbilグループならではの価値の提供を実現してまいります。

 中期経営計画(2017年度~2019年度)においては、事業構造改革並びに体質強化に取り組むとともに、以下の3つの基本方針を堅持し、その効果を最大化してまいります。

 1) 技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ

 2) 地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」

 3) 体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す

 さらに、長期的視点から、事業変化に対応し、持続的な成長を実現できるように、IoTやAIの活用へ向けた投資も進めてまいります。

 以上の取組みにより、世界水準の総合オートメーションメーカとして、企業と社会の持続可能な発展を目指し、グループ経営資源の最適かつ効率的な活用により、社会・環境・経済へ積極的に貢献するCSR経営を実行してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 azbilグループは、株主重視の方針に基づき、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して2021年度をゴールとした長期目標として、営業利益300億円以上、売上高3,000億円規模、ROE10%以上を目指しております。

 また中期経営計画の最終年度である2019年度は、グループ全体でのシナジーにより、グローバルで技術・製品・サービスを基盤とした事業を活性化・伸長させることで、営業利益250億円、売上高2,700億円を目指してまいります。

 

(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

 azbilグループは、事業の中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を図ることで、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。このため、azbilグループとして「人を中心としたオートメーション」の理念に基づく長期目標を設定し、この目標達成に向け、3つの事業軸(BA事業、AA事業、LA事業)において技術・製品を基盤に、ソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」となること、地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」を進めること、さらにその具現化に向け「学習する企業体」へと組織的な変革を進めることの3つを基本方針として掲げ、事業拡大へとつなげることのできる事業体質への変革を進めてまいりました。しかしながら、会社を取り巻く内外の状況や急速な環境変化を考えると、更なる継続的な成長のためには、これまでの延長線上の事業運営では十分とは言えないため、国内外とも事業単位での構造・体質改革、先進的なグループ開発・生産体制の構築や技術革新(IoT、ビッグデータ、AI、ロボット等)に対応した技術・製品開発等の取組みを一層、加速して推進いたします。さらに、コーポレート・ガバナンス強化に継続して取り組むとともに今後も経営資源を有効かつ戦略的に配分し、これらの取組みの加速・定着を図ることで、持続的な成長を目指します。

① 3事業とも国内では成熟産業に位置しますが、置かれている環境は事業毎に大きく異なります。BA事業は首都圏での再開発に伴い拡大する需要を着実に捉えるため、人的リソースの効率的・計画的な配分を進め、継続的な人員異動・教育や業務形態の変革を含む体制整備を行い、働き方改革を総合的に進めることで適正な労働時間でジョブ遂行が行える体制の更なる強化も進めております。また、オープン化をさらに加速し、既存のシステムとの結合性を高め、ジョブ効率を飛躍的に高める次世代ビルディングオートメーションシステム「savic-net G5」を導入いたしました。これにより、お客様の事業展開のステージに合わせて継続的な価値提供を行うとともに、先進のビル向けクラウドサービスを組み合わせることで、新たな設備管理、企業経営支援を提案してまいります。AA事業は、多岐にわたる市場から、今後の成長と付加価値提供が見込める領域を選択・集中することにより成長を図るとともに、顧客ニーズや市場環境に合わせた特長ある事業モデル創出による高収益体質への変革を継続いたします。半導体製造装置向けに販売を開始した、従来では困難であった30mL/min以下の微小液体流量計測を可能とする新製品熱式微小液体流量計「F7M」を用いた薬液添加の制御ソリューションはこうした取組みの一つです。LA事業では、水道・各種ガスメータのIoT対応を進めております。LPガス市場においては、様々な通信に柔軟に対応できる新型のLPガスメータ「K-SMα」を導入し、新技術「LPWA」※1を活用したIoTによる検針値の計測やビッグデータを活用した配送合理化等の実証事業を開始し、新たな事業領域の展開に向けた準備を進めております。このような事業環境の変化に合わせ、azbilグループ内のリソース配分の最適化を継続して実施し、事業プロセスや業務構造の改革を迅速に進めるための、学習する企業体のコンセプトに基づいた新たな人事制度・育成体系を導入し、成熟領域における確実な事業機会の創造と同時に、新製品や新技術の導入により新たな成長事業領域への更なる展開を目指します。

 

※1 LPWA:Low Power Wide Areaの略。従来よりも圧倒的に少ない電力で長距離通信が可能になる無線通信技術で、IoTでの活用が期待されています。

 

② 海外市場におきましては、事業成長と収益拡大を支える更なる事業基盤強化策の一つとして、各国や地域の市場環境に対応し、付加価値の高い特長ある新製品・ソリューションを継続的に強化し、グローバルでの事業拡大を目指します。特に、国をまたがる事業が拡大している東南アジア地域においては、事業支援及び事業管理の一元化を通じて、同地域における更なる事業成長を図ることを目的として、シンガポールに「東南アジア戦略企画推進室」を開設しました。今後、同地域での横断的な事業推進・戦略企画・経営管理機能を担ってまいります。海外における事業毎の展開につきましては、BA事業は、アジア市場でのシェア拡大に向け、昨年リリースした次世代ビルディングオートメーションシステム「savic-net G5」と日本の最新省エネ技術の導入により、商業ビル市場において大型プロジェクト等への提案を強化するとともに、ライフサイクル型事業の強化を図ります。AA事業は、国内と同様に強いオートメーション領域の開拓・深耕により成長を加速させます。具体的には、販売力の強化に加えて、競争力のある製品を軸としたソリューションを展開し、さらにIoTを活用したお客様の設備の診断などライフサイクルにわたるサービスを組み合わせることで、一層の成長に取り組んでまいります。また、LA事業は、ライフサイエンスエンジニアリング領域を担当する欧州のアズビルテルスター有限会社における事業構造改革を進め、プロジェクト管理体制の強化等により収益性の改善に取り組んでまいりました。今後、新たな成長戦略を策定しその早期実現を進めてまいります。以上に加えて、azbilグループの海外子会社における経営管理面におきましても、引き続き各社の堅確な体制構築とグループ・ガバナンスの強化を進めてまいります。

③ azbilグループの事業拡大に向けて、グループ生産体制を再編し、商品力強化に向けて開発リソースの集約・強化を進めてまいります。国内は神奈川県下にある生産機能を湘南工場に集約し、グローバルでの事業展開をリードするazbilグループのマザー工場として建設・再編を進めています。また、タイ工場や中国大連工場での生産能力をさらに拡大し、部材の海外調達の拡大と併せて、製品のコスト競争力をより高めるとともにグローバルでのお客様対応や物流の最適化を進めてまいります。研究開発においては、モノと情報の融合による産業構造変革への事業展開のため、技術革新(IoT、ビッグデータ、AI等)に対応した商品・サービスの研究開発投資を継続して行い、お客様の工場・ビル運営等においてより企業経営に近いビジネス・プロセスに関わる新たなオートメーション領域の事業開拓を推進いたします。また、独自の計測制御技術を活かした力覚※2と視覚機能を持つ次世代スマートロボットを開発し、従来のロボットでは困難であった、例えば豆腐のような柔らかな物体を掴む動作や瞬時停止などの安全機能を実現することにより、人とロボットが共存する人協調型という新たな分野での利用を探索してまいります。

 

※2 力覚:物に触れたとき、物から受ける抗力についての感覚

 

④ グループ経営の推進とガバナンス体制の充実を推進するとともに、リスク管理(品質・PL、防災・BCP、情報)、コンプライアンス(企業倫理・法令遵守)、人を重視した経営、地球環境への貢献及び社会貢献を重点取組み領域として、azbilグループをあげてCSR経営の推進に継続して取り組んでおります。特に経営の公正性、中立性及び透明性を高めるべく、コーポレートガバナンス・コードへの対応を進めながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資するよう、全てのステークホルダーの皆様との間で建設的な対話を進めるための体制整備を積極的に進めております。azbilグループは、これまでも社会の持続的発展に貢献する取組みを継続しており、2017年度は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が選定した3つのESG(環境・社会・ガバナンス)指数※3の構成銘柄にも選定されております。また、アズビルは、創業者の想いを進化させ「人を中心としたオートメーション」というグループ理念を制定しております。この理念にもとづく経営を推進することにより、国連が定めたSDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)に継続的に取り組んでまいります。

 

※3 3つのESG指数:FTSE Blossom Japan Index、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)

 

 

2【事業等のリスク】

 azbilグループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のとおりであります。これらリスクについては年に一度リスク評価を実施し、経営層と関連部門によるリスク軽減策やリスク発生時の対応策を講じております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業環境及び事業活動等に係わるリスク

① 景気の下落、停滞による影響

azbilグループの商品やサービスの需要は、その事業に関連する市場である建設及び製造業や機械産業市場等の経済状況に左右される構造的な要因があり、事業を展開する地域の経済環境、及び市場の大幅な景気後退、需要減少は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 競争に係わるリスク

azbilグループの事業領域であるビルディングオートメーション事業、アドバンスオートメーション事業、そしてライフオートメーション事業の各市場における競争は厳しいものとなっております。そうした中で、当社グループの商品及びサービスは、技術的・品質的・コスト的に他社に比べて優位な高付加価値な商品であると考えており、また、激化する価格競争、あるいは新たな競合他社の参入等に備えた対処を進めておりますが、今後予期せぬ競争関係の変化があった場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

③ 商品の品質に係るリスク

azbilグループの製品、システム及びサービスは、各種のプラント、建物における安全と品質にかかわる重要な計測・制御に使用されております。品質面につきましては、委員会での情報共有等をはじめとして品質情報の共有・可視化を進めており、また他社不正事例を受けて、生産ラインの管理状況並びに工場運営に関わる法令遵守状況の確認を行うなど、品質管理体制を強化しております。また、製造物責任につきましては、保険に加入するなど問題発生に際しての備えを強化しておりますが、当社グループの製品、システム及びサービスの欠陥による事故が発生した場合の影響は、多額のコストの発生や当社グループに対する顧客からの評価に重大な影響を与え、それにより事業、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

④ 研究開発活動に係るリスク

azbilグループは、継続的に技術的強みを持つ次世代商品の開発に向けた研究開発活動を経営の重要課題の一つと位置付けており、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念に基づき、省資源、省エネ、省力、安全、環境保全及び快適環境の実現を目指した研究開発活動を行っております。

当社グループでは、お客様のニーズを的確に捉え、魅力的な製品やサービスをタイムリーにお客様に届けるよう、活動を強化しておりますが、ニーズや技術潮流の見誤り、研究開発の遅れ、技術対応力の不足等により、新製品の市場投入が遅延した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 国際事業活動に伴うリスク

azbilグループは、海外で40以上の現地法人及び2つの支店にて事業を展開しており、また、製造拠点も中国の大連とタイに置いております。海外売上比率が増加傾向にあり、また製造拠点の海外を含めた分散化を進めております。今後ともカントリーリスクに留意しながら、国際事業の拡大を進めてまいりますが、計画に遅れが出た場合や進出先において予期しない政治経済情勢の変化、現地の法律等の改正、自然災害、テロ、ストライキ等の発生等により、生産・調達活動の一部又は全部が影響を受ける可能性があり、事業、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

⑥ 為替変動に係るリスク

azbilグループは、為替変動に対して海外生産の拡大等によるリスク軽減に取り組んでおりますが、急激な為替レートの変動は、売上高、原材料・部品の価格、販管費等の経費に影響し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) その他のリスク

① 人材の確保と育成に係るリスク

azbilグループは、創業以来の「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という考え方のもと、人材育成に注力しております。しかし、今後、従業員の安全、健康の確保、高齢化対策、技術や技能及びノウハウの継承、多能工化、グローバル化に向けた国内外の事業拡大のための人材の確保・育成等の課題に対応できない場合は、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

② 情報漏洩等に係るリスク

azbilグループは、事業上の重要情報及び事業の過程で入手した個人情報や顧客、取引先、提携先等の機密情報を保有しております。当社グループでは、法令遵守も含め、これらの情報の取扱い及び管理の強化や社員の情報リテラシー(情報活用能力)を高める対策を講じておりますが、万一、予測できない事態によってこれらの情報が漏洩した場合は、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

③ 災害等に係るリスク

azbilグループのビルディングオートメーション事業、アドバンスオートメーション事業の国内生産拠点(製造子会社を含む)は6拠点中主要な2拠点が神奈川県に立地しております。また、ライフオートメーション事業のアズビル金門株式会社の国内生産拠点は、5拠点中3拠点が福島県に集中しております。当社グループは、必要とされる安全対策、保険の付保及び事業継続・早期復旧のための対策(BCP策定)等を講じておりますが、これらの地区において、大規模災害等による直接的又は間接的な影響が及んだ場合は、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

④ 法的規制等に係るリスク

azbilグループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、環境や安全、製品規格、その他理由による法的規制を受けております。今後これらの法的規制が想定を上回って変更された場合、あるいは新設された場合には、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

特に、今後ますます厳格となる環境規制に対して、当社グループは、法律による環境規制を遵守することも含め、様々な環境負荷低減活動を推進してきましたが、万一、環境規制への適応が難しい場合、当該ビジネスの一部撤退等も想定され、当社グループの業績及び財務状態に影響が出る可能性があります。

⑤ 知的財産権に係るリスク

azbilグループは、競争優位性を確保、維持するために、グループ内製品及びサービスの開発の中で差別化技術及びノウハウを蓄積し、それらの知的財産権の保護に努めております。また製品の開発・生産に必要な第三者の特許の使用許諾権の確保に努めております。しかし、これらが十分に行えない場合、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外のIT関連需要の拡大等を受けて輸出や生産の持ち直しが続き、緩やかな回復基調が継続いたしました。設備投資においても、企業業績の改善に伴い様々な市場において投資の持ち直しや伸長が見られたほか、人手不足を背景とした合理化・省力化へ向けた投資等も見られました。海外経済におきましては、中国では堅調な内外需要により景気は持ち直しの動きが続き、欧州ではユーロ高による輸出下押しの影響が懸念されるものの、景気は緩やかに回復しております。また、米国におきましても消費や設備投資の回復が着実に続きました。

 azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、3つの基本方針※1を軸として、中期経営計画(2017~2019年度)を策定し、持続的な成長の実現に向けた取組みを進めております。当連結会計年度におきましても、更なる事業構造変革、利益体質の改善を推し進めるとともに、持続的な成長が期待される「ライフサイクル型事業の強化」、「新オートメーション領域の開拓」、「環境・エネルギー分野の拡大」を推進し、併せてこれら領域の開拓、持続的成長を実現するための基盤強化として、研究開発及び生産体制の整備・拡充等に取り組んでまいりました。

 

※1 3つの基本方針:

・技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ

・地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」

・体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す

 

当連結会計年度における経営成績につきましては次のとおりです。

 

 国内の活況な都市再開発投資等を背景に、大型建物向けの機器やシステムの需要が高い水準で推移しており、また、生産設備に対する設備投資も国内外において堅調です。こうした事業環境を背景に、受注拡大に積極的に取り組んだ結果、アドバンスオートメーション(AA)事業、ライフオートメーション(LA)事業で受注高※2が大きく増加し、前連結会計年度比4.4%増加の2,662億6千2百万円(前連結会計年度は2,549億7千4百万円)となりました。また売上高につきましては、ビルディングオートメーション(BA)・AA両事業を主体に全てのセグメントで増加し、前連結会計年度比2.2%増加の2,603億8千4百万円(前連結会計年度は2,548億1千万円)となりました。

 損益面につきましては、前年度からの利益体質改善の取組みがさらに進展したことなどにより、営業利益が前連結会計年度比19.3%増加の240億2千6百万円(前連結会計年度は201億4千5百万円)と大きく増加いたしました。経常利益につきましても、営業利益の改善を主因に、前連結会計年度比18.8%増加の243億1千6百万円(前連結会計年度は204億7千5百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業利益の増加及び投資有価証券売却益の計上に加えて、関係会社整理損の減少、子会社の繰延税金資産の回収可能性の見直し等による税金費用の減少もあり、前連結会計年度比36.0%増加の178億9千万円(前連結会計年度は131億5千3百万円)となりました

 

※2 受注高:

従来の受注高には、前連結会計年度末及び当連結会計年度末受注残高に含まれる外貨建契約に関する為替換算差額等を含んでおりましたが、当連結会計年度より当該為替換算差額等を除いた受注高を記載しており、比較年度の情報も組み替えております。

これは海外事業戦略の拡大に合わせ、当社グループの現地通貨ベースでの事業活動に即した表示とすることで、より有用な投資判断情報とするための変更であります

 

各セグメント別の経営成績は、以下のとおりです。

 

ビルディングオートメーション(BA)事業

 BA事業を取り巻く環境は、国内市場では、首都圏における都市再開発案件に加え、省エネルギーや運用コスト低減に関するソリューション需要も高く、引き続き堅調に推移しております。海外市場においても、アジア・中国のローカル市場の開拓が着実に進捗いたしました。

 こうした事業環境を背景に、受注高は、既設建物分野において大きく伸長しましたが、前年度における大型の複数年契約※3計上の反動等を受け、全体としては減少となりました。売上高は、前年度よりの体制強化を継続し、着実に現場施工を進めた新設分野で増加し、併せて、既設・サービス分野も現場に密着したソリューション提案の拡大により伸長し、海外市場においても、前年度に実施した子会社譲渡に伴う影響があるものの増収を実現いたしました。

 この結果、BA事業の当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比3.3%増加の1,202億3千3百万円(前連結会計年度は1,164億2千1百万円)となりました。セグメント利益は、費用負担増等がありましたが、利益改善の取組みの成果に加えて、一時的な引当費用も当連結会計年度は減少し、体制整備、新製品開発費用等の増加を吸収して、前連結会計年度比9.3%増加の125億8千3百万円(前連結会計年度は115億1千2百万円)となりました。

 

※3 大型の複数年契約(市場化テスト):

当社では、契約期間が複数年にわたるサービス案件は、その複数年分の契約額を契約期間の初年度に一括で受注計上しております。前年度においては、「市場化テスト」と呼ばれる官民競争入札制度を通して大型の複数年契約のサービス案件を受注計上いたしました。この「市場化テスト」は、入札により決定する元請企業が主体となり、提供するサービスに適した専門業者を用いて、対象となる建物に関わる様々なサービスを提供するものであります。また契約期間が3年間から5年間と長期にわたるため、代表企業の受注動向には大きな影響が出る一方、単年度での利益への影響は限定的となります。

 

アドバンスオートメーション(AA)事業

 AA事業を取り巻く国内外の環境は、半導体製造装置市場等が拡大傾向にあり、その他市場も含め全般として良好な状況が継続しております。こうした事業環境のもと、前年度より取り組んでいるグローバルでの競争力の獲得を目指した3つの事業単位※4(CP事業、IAP事業、SS事業)でのオペレーションを徹底するとともに、事業成長施策と事業収益力強化を進めてまいりました。

 この結果、新製品の展開等新たなオートメーション領域の事業開拓も進み、AA事業の受注高は大きく伸長いたしました。売上高につきましても、国内が比較的堅調に推移するとともに、海外も半導体製造装置をはじめとするコントローラ、センサ関連の需要を取り込んで増加し、AA事業の当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比1.8%増加の972億3千1百万円(前連結会計年度は954億8千4百万円)となりました。セグメント利益は、前述の事業収益力強化への取組みにより3つの事業単位それぞれにおいて利益体質が大きく改善し、前連結会計年度比37.9%増加の99億3千1百万円(前連結会計年度は72億4百万円)となりました。

 

※4 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント):

CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)

IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)

SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)

 

ライフオートメーション(LA)事業

 LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しております。

 当連結会計年度のLA事業の受注高は、収益改善を目的として前年度に事業領域の選択と集中を実施したLSE分野での伸長を主な要因として大きく増加いたしました。

 売上高につきましては、前連結会計年度比0.2%増加の442億8百万円(前連結会計年度は441億1千6百万円)となりました。セグメント利益は、主にLSE分野での改善により、前連結会計年度比5.7%増加の15億1百万円(前連結会計年度は14億2千万円)となりました。

 

その他

 その他の当連結会計年度の売上高は6千5百万円(前連結会計年度は7千万円)となり、セグメント利益は9百万円(前連結会計年度は1千8百万円)となりました

 

当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。

(資産の状況)

 当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて153億1千2百万円増加し、資産合計で2,786億2千9百万円となりました。これは主に、現金及び預金が78億1千2百万円減少したものの、短期運用目的の有価証券が107億9千9百万円、株式時価の上昇等により投資有価証券が45億8千2百万円、売上債権が29億1千9百万円それぞれ増加したことに加え、国内の工場統合・拡充に向けた投資等により建設仮勘定が20億9千8百万円増加したことによるものであります。

(負債の状況)

 当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて31億1百万円増加し、負債合計で1,006億6千6百万円となりました。これは主に、未払法人税等が15億8千2百万円、仕入債務が10億4千2百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(純資産の状況)

 当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて122億1千1百万円増加し、純資産合計で1,779億6千2百万円となりました。これは主に株主資本が、配当金の支払により59億4千4百万円、取締役会決議に基づく自己株式の取得により29億9千9百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により178億9千万円増加したことに加え、その他有価証券評価差額金が33億5千2百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の62.2%から63.2%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は194億8千1百万円となり、前連結会計年度に比べて4億6千7百万円の減少と、ほぼ同水準となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したものの、当連結会計年度の末日が金融機関の休日であった影響等のために売上債権の回収額が減少したことに加え、法人税等の支払額が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は4千8百万円となり、前連結会計年度に比べて90億1千2百万円の支出の減少となりました。

 これは主に、国内の工場統合・拡充に向けた有形固定資産の取得による支出増や資本政策等に対応して、定期預金や短期の有価証券運用等から資金を一部充当したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は108億5千1百万円となり、前連結会計年度に比べて44億1千万円の支出の増加となりました。

 これは主に、自己株式の取得による支出が増加したことによるものであります

 

 以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より88億2百万円増加し、686億4千万円となりました。

 

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

41,189

100.3

アドバンスオートメーション事業

33,970

108.2

ライフオートメーション事業

29,206

99.9

報告セグメント計

104,366

102.6

その他

合計

104,366

102.6

 (注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。

 

b.受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

ビルディングオートメーション事業

117,811

98.2

60,224

95.9

アドバンスオートメーション事業

101,737

108.9

30,789

118.1

ライフオートメーション事業

48,013

112.5

14,560

143.6

報告セグメント計

267,562

104.5

105,575

106.6

その他

64

93.0

0

消去

(1,364)

(70)

連結

266,262

104.4

105,504

106.6

 (注)従来の受注高には、前連結会計年度末及び当連結会計年度末受注残高に含まれる外貨建契約に関する為替換算差額等を含んでおりましたが、当連結会計年度より当該為替換算差額等を除いた受注高を記載しており、比較年度の情報も組み替えております。

なお、従来の算出方法による受注状況は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

ビルディングオートメーション事業

117,633

100.0

アドバンスオートメーション事業

101,944

108.8

ライフオートメーション事業

48,630

115.6

報告セグメント計

268,208

105.8

その他

65

93.1

消去

(1,364)

連結

266,909

105.8

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

120,233

103.3

アドバンスオートメーション事業

97,231

101.8

ライフオートメーション事業

44,208

100.2

報告セグメント計

261,673

102.2

その他

65

92.9

消去

(1,354)

連結

260,384

102.2

 (注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 azbilグループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内

 azbilグループの当連結会計年度の経営成績につきましては、堅調な事業環境を背景に、事業施策及び利益体質改善の取組みが大きく進展したことで、前年度比で増収、大幅な増益を達成することができました。国内の活発な都市再開発投資等を背景に大型建物向けの機器、システムの需要が高い水準で推移しており、また、生産設備に対する設備投資も国内外において堅調です。こうした事業環境を背景に、受注拡大に積極的に取り組んだ結果、受注高は前連結会計年度比4.4%増加の2,662億6千2百万円となりました。事業セグメント別では、ビルディングオートメーション(BA)事業の受注高は、事業環境は堅調なものの、前年度における大型の複数年契約計上の反動等の影響により、全体として減少となりましたが、アドバンスオートメーション(AA)事業、ライフオートメーション(LA)事業が大きく増加いたしました。また、売上高については、BA・AA両事業を主体に全てのセグメントで増加し、2,603億8千4百万円と前連結会計年度に比べて2.2%の増加となりました。損益面につきましては、増収に加えて前年度からの利益体質改善の取組みがさらに進展したことなどにより、営業利益は、計画を上回る前連結会計年度比19.3%増加240億2千6百万円となりました。経常利益につきましても、営業利益の改善を主因に前連結会計年度比18.8%増加243億1千6百万円となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業利益の増加及び投資有価証券売却益の計上に加えて、関係会社整理損の減少、子会社の繰延税金資産の回収可能性の見直し等による税金費用の減少もあり、前連結会計年度比36.0%増加178億9千万円となりました。

 また、azbilグループの資本の財源及び資金の流動性については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における「(1)経営成績等の状況の概要」に記載の「①財政状態及び経営成績の状況」及び「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財政基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。他方、キャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資の増加や技術革新に対応した研究開発費用の増加等を実現しております。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。

 azbilグループの運転資金及び設備投資資金につきましては、主に内部資金によっておりますが、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は10,171百万円で、前連結会計年度末に比べて498百万円減少しております。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、現在の中期経営計画(2017年度~2019年度)において、最終年度である2019年度の営業利益を250億円、売上高を2,700億円、ROEは9%以上を目標としております。さらに、2021年度をゴールとした長期目標では、営業利益300億円以上、売上高3,000億円規模、ROE10%以上を目標としております。当連結会計年度においては、事業施策の着実な実行、収益体質改善の取組みの成果により、売上高2,603億円、営業利益240億円を計上し、ROEは10.5%となりました。なお、投資有価証券売却益や子会社の税金費用の減少による一時的な影響を除く試算ベースでもROEは約9.5%であり、着実に改善しております。また、2018年度につきましても、営業利益260億円、売上高2,670億円と、引き続き増収、増益を計画しております。営業利益260億円は、現中期経営計画の最終年度(2019年度)の目標を上回る水準であり、これは、各種事業施策及び収益体質改善の取組みが相当程度進捗したことによるものと認識しております。

 なお、2019年度の目標に関しては、長期目標である2021年度までを展望しますと、国内では少子高齢化・人口減少による市場縮小が見込まれ、グローバルな経済環境も不安定要素を抱えており、また設備投資も特に、国内の需要が限定的でその継続性が必ずしも楽観視できる状況ではなく、不透明であることから、今後の変化を踏まえて改めて目標を提示させていただくものとし、現時点では、その目標は据え置いております。

 セグメント毎の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。

 BA事業におきましては、売上高は1,202億3千3百万円と前連結会計年度に比べて3.3%の増加となり、セグメント利益は、125億8千3百万円と前連結会計年度比9.3%の増加となりました。BA事業を取り巻く環境は、国内市場では、首都圏における都市再開発案件に加え、省エネルギーや運用コスト低減に関するソリューション需要も高く、引き続き堅調に推移しております。海外市場においても、事業環境は堅調であり、アジア・中国のローカル市場の開拓が着実に進捗いたしました。IoT等の技術動向を捉え、オープンネットワーク化を強化する等、顧客ニーズにライフサイクルで応えることのできる新ビルディングオートメーションシステムの投入も成果をあげており、アジア諸国のランドマーク物件等で着実に実績を積み上げることができました。

 なお、国内の新設建物案件は、首都圏の各都市再開発計画や東京オリンピック・パラリンピック関連需要を受けて高い水準での受注継続が見込まれており、また、オリンピック前の再開発ラッシュによる人手不足・建築費高騰の影響を避けて施主が工期をずらす等、需要が平準化される傾向にあるため、2020年以降も大きく落ち込むことなく需要は継続する見込みです。併せて、2020年以降には既設建物の改修需要の拡大が見込まれております。当社では、前年度に整備・強化した、効率的に業務を遂行できる体制のもと、東京オリンピック・パラリンピックに向けて継続して見込まれる高水準の新設建物案件への対応を着実に進め、今後のサービスや既設建物の改修といったライフサイクルでの事業機会につなげてまいります。また、拡大が予想される既設建物の改修需要獲得に向けた提案も積極的に行っております。採算の良いこれら既設建物改修案件の増加は、今後の収益性向上に寄与するものと認識しております。

 AA事業におきましては、売上高は972億3千1百万円と前連結会計年度に比べて1.8%の増加となり、セグメント利益は、99億3千1百万円と前連結会計年度比37.9%の増加となりました。AA事業を取り巻く国内外の環境は、半導体製造装置市場等が拡大傾向にあり、その他市場も含め全般として良好な状況が継続しております。こうした事業環境のもと、グローバルでの競争力獲得を目指した3つの事業単位(CP事業、IAP事業、SS事業)による、マーケティングから開発、生産、販売・サービスに至る一貫体制でのオペレーションを徹底するとともに、海外での事業拡大を含めた事業成長施策と事業収益力強化を進めてまいりました。具体的には、国内の石油・化学業界のような市場では、メンテナンスや機器のリプレース等の安定需要で採算性向上を図る一方、IoT、ビッグデータ等を活用したスマート保安などの新領域の開拓を進めております。また、国内外で半導体、FPD(フラットパネルディスプレイ)、二次電池に代表される最先端の成長市場に向け、高精度位置計測センサをはじめ、多様な生産工程でのオートメーションをサポートする製品を投入しております。これらの結果、2017年度においては、特に利益面において、前年度を大きく上回る改善を実現しました。AA事業では、2018年度も引き続き利益体質の改善を進展させるとともに、半導体製造装置分野、高機能素材生産関連分野、燃焼関連装置分野等のazbilグループが強みを活かすことができる領域に人員を含めた経営資源を集中的に投入し、高付加価値事業の拡大を加速させてまいります。

 LA事業におきましては、売上高は、前連結会計年度とほぼ同水準の442億8百万円と前連結会計年度に比べて0.2%の増加となり、セグメント利益は15億1百万円と前連結会計年度比5.7%の増加となりました。同事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業構造改革及び事業基盤整備の成果により収益構造の安定化が定着しつつあります。加えて、ガス自由化の進展やIoT等の技術革新を捉えた新たな領域の開拓にも積極的に取り組んでおります。例えば、LPWAネットワーク対応の通信モジュールを内蔵した新型LPガスメータを開発し、遠隔自動検針実証事業に参画しています。また、ライフサイエンスエンジニアリング(LSE)分野では、医薬品製造の安全性・生産性向上に貢献する「凍結乾燥装置向け自動搬送システム」を開発いたしました。LA事業では今後も引き続き、同事業を構成する各事業分野の収益の安定化・向上に取り組むとともに、各事業の枠を超えたグループでのシナジーを発揮し、ガス等のエネルギー供給市場での事業機会創出やグローバルな製薬市場の変化に対応する新製品・新サービスの開発を推進してまいります。

 なお、その他は主にazbilグループ内の保険代理業であり、売上高は6千5百万円、セグメント利益は、9百万円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 azbilグループでは、「人を中心としたオートメーション」の理念に基づく次世代商品を迅速に顧客へ提供するため、マーケティング部門と研究開発部門の連携を強め、新商品開発と技術開発に取り組んでおります。また、建物・産業・ライフラインや人々の生活を取り巻く様々な環境変化に対応し、中長期にわたり技術的な強みを持つ次世代製品の開発を実現するため、5つの戦略技術領域を定めております。具体的には以下のとおりです。

・人間・機械融合システム技術

ファクトリーオートメーション領域及びライフサイエンス領域における知能化生産システムの開発

・自在計測制御技術

加工組立産業における新たなセンシング・パッケージング技術開発とリアルタイム計測を可能にするセンサの開発

・わかる化プロセス情報技術

IoTの動向に対応した工場の生産性改善や設備保全を支援する技術開発とビル向け遠隔省エネ支援システムの開発

・環境調和計測制御技術

東京オリンピック・パラリンピック開催や首都圏再開発に向けた中長期にわたり継続的に価値提供可能な空調制御システムの開発

・快適空間計測制御技術

快適性及び知的生産性向上と省エネルギーを両立する空調制御技術の開発

 

 2018年度においては、各事業領域において以下の開発を推進してまいります。

・ビルディングオートメーション事業領域

次世代空調システム機能強化、多拠点管理システム、各種クラウド製品、空調コントローラ機能拡充、流量計測バルブ各種、赤外線アレイシステム、快適性評価機能強化

・アドバンスオートメーション事業領域

次世代電磁流量計、温度調節計機能拡張、バルブ診断機能拡張、流量計機能拡張、人工知能を用いたファクトリーオートメーション向け技術及び各種製品

・ライフオートメーション事業領域

新機能ガスメータ、業務用ルーツメータ、新型水道メータ

 

 未来を見据えた開発としては以下を推進してまいります。

・IoT、ビッグデータ、AIをはじめとする最新技術を駆使し、「つながる世界」の実現とサイバー空間の連携による製造業の飛躍的な生産性の向上を支援し、企業の持続的発展の実現に貢献するソリューション

・高度な力覚技術により柔らかいものをつかむハンドやダイレクト教示などを特徴とする次世代スマートロボット

・次世代MEMS技術の研究開発

※ MEMS:Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)

 

 事業のグローバル展開に合わせて、米国のシリコンバレーに設置した研究開発拠点及び欧州グループ会社による、日本・米国・欧州の3極体制で技術・商品開発を行っております。米国の研究開発会社においては当社の目指す「自在計測制御技術」を実現する技術開発の推進と、IoT等の最新の技術動向の調査や国際標準活動を行っております。欧州ではアズビルテルスター有限会社等との協創により製薬関連施設や医療機関等に提供する凍結乾燥装置や滅菌乾燥装置の商品力強化を行うとともにエンジニアリング強化も図っております。

 生産技術としては、人間・機械融合システム技術による新生産ラインを開発するとともに自社生産ラインのIoT化を図ることで、品質・設備保全に関する生産情報を遠隔管理してグローバル生産を強化してまいります。また、技術標準化においては、国際標準への対応、開発・設計の標準化、計測標準の3つに取組み、商品の機能・コスト・品質・信頼性・安全性の強化を図ることによって事業の競争力を高めてまいります。

 

 当連結会計年度の研究開発費の総額は112億6千1百万円(売上高比4.3%)となりました。

 

 

 各セグメント別の研究開発費及び主な成果は、次のとおりであります。

セグメントの名称

研究開発費

(百万円)

主な成果

ビルディングオートメーション事業

5,343

・ビルディングオートメーションシステムsavic-net™シリーズに、IoT等の技術革新を捉え既存製品との継続的な接続を考慮した新ラインアップ「savic-net G5」を開発

・海外向けの空調制御弁ラインアップに「流量計測制御機能付電動二方弁ACTIVAL +™ (アクティバル プラス)」の大口径モデル(口径125mm~150mm)を開発

・IoTに対応してBMS(Building Management System)をクラウド化した「ビル向けクラウドサービス」の開発

・エリア内の人の位置と数を把握して省エネルギーを実現する赤外線アレイセンサシステムを開発

・執務者の温冷感の要望に応じて快適な執務空間を実現する空調制御システムを開発

アドバンスオートメーション事業

4,968

・レーザーセンサに相当する検出性能を実現した、距離設定形光電スイッチHP7-BGSを開発

・グラフィカル調節計C7GのIoT化を見据えた機能向上及び機種拡張開発

・安定して30mL/minの微小な液体流量の計測が可能となる、熱式微小液体流量計 形 F7Mを開発

ライフオートメーション事業

950

・今後のIoT化を見据え、様々な通信方式にフレキシブルに対応出来る新型LPガス用膜式スマートメータ「K-SMα™」を開発

・新技術Sigfoxを活用した水道メータ自動検針システムを開発

・LPガス用データセンタ運用開始と新型ACU™システムとLPWAシステムを開発

その他

・アライドテレシス㈱とアズビル セキュリティフライデー㈱がSecure Enterprise SDN(SES)ソリューションで連携

合計

11,261