第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、azbilグループが判断したものであります。

(1)経営方針

 azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、事業を通して持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を実現することで、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。

 このため、“技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ”、“地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」”、“体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す”の3つを基本方針に、事業収益力の強化及びグローバルな事業基盤の整備を進めつつ、これらを基にした事業成長施策を展開しております。具体的には、ビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)の3事業において、計測と制御の技術を核に、「人を中心としたオートメーション」の発想に基づく製品・サービスを提供し、お客様のニーズや社会課題の解決に貢献することで、お客様・社会とともに自らの持続的成長を目指しております。

 

(2)経営戦略等

 当社は、「人を中心としたオートメーション」すなわち、人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、お客様の安全・安心や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になることを長期目標と設定、段階的に中期経営計画を立案し、この目標達成に向けた取組みを行ってまいりました。

 これまでは、オートメーションに焦点をあてつつ単一市場への過度な集中を避け、異なる市場構造を持つBA/AA/LAの3つの事業分野から成る複合的な事業ポートフォリオの構築を進め、顧客開拓やシナジー等による事業領域の拡大に取り組んでまいりました。これらの事業領域には、既存の製品・サービスの提供では持続的な成長の実現が厳しくなってきている成熟領域もあれば、IoTやAIといった新たな技術革新に伴い、急激に変化している領域もあります。基盤を確たるものとし、企業としての存続を確かなものとする取組みを継続するとともに、更なる成長を実現するため、国内外の事業機会の変化を的確に捉え、事業創造の視点から「商品と顧客現場の連携」によるソリューション提案力の向上に取り組み、グローバルでの顧客や社会の長期パートナーとして、azbilグループならではの価値の提供を実現してまいります。

 2021年5月14日、当社グループは2030年度をゴールとする新長期目標及び新中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。当社グループは、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を目指し、グループ理念から経営戦略までが持続可能な社会に対して「直列」に繋がるよう行動指針・行動基準を改定いたしました。さらに、SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)を経営の重要な道標と位置付け、事業として取り組む領域として「環境・エネルギー」、「新オートメーション」の2つを、また企業活動全体で取り組む領域では「サプライチェーン、社会的責任」、「健幸経営※1、学習する企業体」の2つを「azbilグループSDGs目標」と定め、様々な取組みを進めております。

 「持続可能な社会」に向けて、我々を取り巻く環境では、気候変動・脱炭素への対応から社会構造や価値観の変化、ウイルス共生時代における安全・安心の確保に至るまで、様々な社会課題やお客様の課題が生まれております。こうした大きな変化に対応し、解決策を提供できるオートメーションの価値は益々向上しており、需要の増加が期待されます。当社グループといたしましては、アズビルならではの技術・製品・サービスを活かすことのできる「新オートメーション」「環境・エネルギー分野」「ライフサイクル型事業」という3つの事業領域に注力し、新たな課題の解決策を提供することにより、BA、AA、LAの3事業での成長を実現してまいります。

 新中期経営計画におきましては、上述の3つの事業領域での成長を確実なものとするために、研究開発拠点(藤沢テクノセンター)の機能強化に向けた設備投資や研究開発費の増加等、必要な投資を積極的に行い、MEMS※2技術を活用した高度なセンサやシステムソリューション開発力の強化を進め、新製品開発・市場投入を加速いたします。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を通じて、事業・業務の効率化や製品・サービスの高付加価値化を行ってまいります。さらに、これまでに成果を上げてきた収益力強化施策の徹底と新たな施策の導入により、一層の事業収益性強化を行ってまいります。加えて、こうした事業成長施策、事業基盤強化の実践に向けて、経営資源を有効かつ戦略的に配分してまいります。また、これまで経営の最も重要な位置付けとしてまいりました、当社ならではのCSR経営をさらに推し進め、社会の要請でもあるESG(環境・社会・ガバナンス)にも積極的に取り組んでまいります。

 未だ収束を見ず、新型コロナウイルス感染の蔓延が続く状況は、2021年度においても世界経済や生産活動に影響を及ぼし、事業の見通しを不透明なものとしており、当社グループの事業にも影響を及ぼすものと思われます。当社グループといたしましては、お客様と社員の安全確保と感染防止策の実施を最優先に、事業継続に必要な取組みを引き続き行っております。生産、エンジニアリングやサービス等の現場業務につきましては、お客様と社員の安全を第一に業務を継続することで、感染防止と社会インフラやお客様の重要施設の維持という両面で社会の要請に応えてまいります。また、営業・管理業務等につきましては、DXによる働き方の改革を推進し、在宅勤務の拡大等に取り組むことで感染拡大防止に貢献するとともに、リモートワーク等を通して生産性向上等も図ってまいります。あわせて、危機管理対応としての防疫強化、BCP(Business Continuity Plan‐事業継続計画)整備、強固な財務体質の強化、さらに資金調達力の強化・多様化といった点にも引き続き取り組んでまいります。

 

※1 健幸経営:健康で幸せ、活き活きとした“働きの場と人”を創るためのアズビル独自の取組み。

※2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 azbilグループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする新長期目標として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の新中期経営計画においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益を360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。

 

(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、事業を通して持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を実現することで、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。

 このため、“技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ”、“地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」”、“体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す”の3つを基本方針に、事業収益力の強化及びグローバルな事業基盤の整備を進めつつ、これらを基にした事業成長施策を展開しております。

 当社グループでは、新中期経営計画におきましても、経営資源を有効かつ戦略的に配分し、前述の様々な取組みの加速・定着を図ってまいりますが、その具体的な内容は次のとおりです。

 

① 国内事業

 3事業とも国内では成熟産業に位置しますが、それぞれが置かれている環境は事業毎に大きく異なります。

 BA事業は、引き続き高水準で推移する首都圏での需要を着実に捉えるため、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体にDX推進により、ジョブ遂行能力の強化と効率化を進めてまいります。またIoT、クラウド等の新しい技術活用も含めた商品力強化を推進することによりビジネスモデルの再構築を進めます。具体的には、次世代ビルディングオートメーションシステム「savic-net™ G5」を軸に、センサ・アクチュエータ領域の拡充、先進のビル向けクラウドサービスの拡張、ファシリティマネジメントサービスの変革等を継続して進めております。また、働き方改革や感染症対策等による居住空間の価値や要件の大きな変化に対応し、空間の質向上による付加価値提供を目指してまいります。パーソナルな執務環境や可変性の高いレイアウトに適応し、快適で使い勝手の良いオフィス空間を実現する新空調システム「ネクスフォート™DD」はその一例です。これらの取組みにより、お客様の事業展開にあわせて継続的な価値を提供・提案してまいります。

 AA事業では、感染症拡大による影響は予断を許さないところではありますが、中長期的にはグローバルな経済成長の継続や更なる生産性の改善要求、生産現場での人手不足、設備老朽化対応等を背景に生産設備の自動化投資は引き続き拡大基調にあります。多岐にわたる市場から、技術の潮流変化を捉え、今後の成長と付加価値提供が見込める領域を選択・創出・集中することにより成長を図るとともに、グローバルな共通事業モデルに経営資源を集中することにより競争力を強化します。これら成長戦略と収益力強化策をCP事業、IAP事業、SS事業の3つの事業単位でのオペレーションにより着実に実行してまいります。具体的には国内外での顧客カバレッジ拡大のための営業DX導入を含めた営業体制強化、新規客先を継続的なリピート顧客にすることによる受注拡大、新しいオートメーションの創造に資する製品開発の加速等に取り組みます。バルブの稼働データをクラウドで解析して“健康診断結果”を可視化することで生産設備の安定化・保安力強化を実現する「Dx Valve Cloud Service」等は、こうしたソリューションの事例となります。

 LA事業では、水道・各種ガスメータのIoT対応を引き続き進めております。各種検針・アラームデータのスマート化実証実験、電気・ガス・水道のデータを利用して新たな価値を創造するサービスの検討等、SMaaS(Smart Metering as a Service)時代を見据えた新たなオートメーション領域への事業展開を加速しております。また商品力強化に加えてサービス関連事業を拡大し、ライフサイエンスエンジニアリング分野、戸建て住宅向け全館空調の生活関連分野の収益改善を図ります。

 以上のような3つの事業軸への取組みと同時に、国内外で大きく変化していくことが見込まれるエネルギーマネジメント領域における、製品面、事業インフラ面、サービス面といった多方面において東光高岳グループと協業を進め、事業コンセプトを「DX-EGA」と定めエネルギーデータ(電力:Electricity、ガス:Gas、水道:Aqua)等様々なデータを利用して、生活品質向上や企業の環境経営に新たな価値提供の可能性を確認しております。さらに、IoT、AI等の最新技術の応用、商品のサービス化・クラウド化等、IT関連の事業環境変化に対応し、2020年4月に立ち上げた「ITソリューション推進部」を中心にクラウド運用体制を強化し、商品企画・開発・運用を強力に推進しております。

 

② 海外事業

 海外市場におきましては、事業成長と収益拡大を支えるための更なる事業基盤強化策の一つとして、各国や地域の市場環境に対応し、付加価値の高い特長ある新製品・ソリューションの提案を継続的に強化し、グローバルでの事業拡大を目指します。東南アジア地域においては、シンガポールを拠点とする東南アジア戦略企画推進室により、同地域での横断的な事業推進・戦略企画・経営管理を加速させております。

 BA事業では、海外市場でのシェア拡大に向け、次世代ビルディングオートメーションシステムを軸に、国内事業モデルでの強み(省エネルギーのアプリケーション、エンジニアリング・サービス力)を展開し、各国の事業環境・事業基盤に応じた施策を実施するとともに、ライフサイクル型ビジネスモデルの段階的な強化に努めております。また、シンガポールではCapitaLand社主導のイノベーションラボに参加し、空気感染リスクを軽減し安全なオフィスの実現を目指すなど、オープンイノベーション推進を含めて製品力強化とサービスの組合せによる高付加価値化を図り、新オートメーション領域の開拓と環境負荷低減に努めてまいります。

 AA事業では、海外での戦略地域の営業体制強化や営業活動の質の改善を図るとともに、主要製品のリニューアルや戦略製品の投入、新市場向けの拡張製品開発や異常予兆検知・AI設備診断等、新しいオートメーション領域の開拓を進めてまいります。

 LA事業では、ライフサイエンスエンジニアリング領域を担当する欧州のアズビルテルスター有限会社において、今後の成長に向けて、ワクチン等の医薬品製造関連ソリューション等に取り組んでまいります。

 以上に加えて、azbilグループの海外子会社における経営管理面におきましても、リモート管理体制の強化に加えて、現地法人の評価体制を拡充するなど、引き続きグループ・ガバナンスを強化し、各社の堅確な体制構築を進めてまいります。

 

③ 生産・開発

 azbilグループの事業拡大に向けて、グループ生産体制を再編し、商品力強化に向けて開発リソースの集約・強化を進めてまいりました。国内では、生産機能の湘南工場への一拠点化を完了し、藤沢テクノセンターにおける技術開発機能との連携を強化したグループ内のマザー工場として機能整備を推進中です。また、藤沢テクノセンターにつきましてはクラウドやAIを活用した先進的なシステムソリューションや高機能・高精度なデバイスの開発力を一層強化するための中核研究開発拠点として、新棟が2022年に竣工予定です。海外では、異常予兆検知や調節弁の診断サービス等、IoT・AI技術を活用した次世代インテリジェントサービス提供を目的に、タイにSolution and Technology Centerを開設いたしました。グループで最大規模の調節弁整備施設を保有しており、自社・他社を問わず年間10,000台規模の整備が可能であり、将来的に東南アジア全体への事業展開を目指しております。

 

④ 経営管理

 グループ経営の推進とガバナンス体制の充実を図るとともに、リスク管理(品質・PL、防災・防疫・BCP、情報)、コンプライアンス(企業倫理・法令遵守)、人を重視した経営、地球環境への貢献及び社会貢献を重点取組み領域として、azbilグループを挙げてCSR経営の推進に継続して取り組んでおります。

 経営管理面では、国際財務報告基準(IFRS)の任意適用も視野に入れた会計水準の向上と、それに伴う内部統制の強化を進めてまいります。また、経営の公正性、中立性及び透明性を高めるべく、コーポレートガバナンス・コードへの対応を継続しながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資するよう、全てのステークホルダーの皆様との間で建設的な対話を進めるための体制整備を積極的に進めております。前述のとおりESG(環境・社会・ガバナンス)に対しても積極的に取組みを進めており、この結果、2020年度も年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が選定した4つのESG指数※3の構成銘柄に選定されております。また、独自のSDGs目標の着実な達成に向けて「サステイナビリティ推進本部」を設置し、取組みを推進しております。

 

※3 ESG指数:FTSE Blossom Japan Index、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)、S&P/JPXカーボンエフィシェント指数。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がazbilグループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。これらのリスクについては、総合リスク委員会及び取締役会にて審議され、総合的なリスク管理体制の推進を図るとともに、関連部門におけるリスク軽減策やリスク発生時の対応策を講じております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営環境に係わるリスク

 azbilグループの商品やサービスの需要は、その事業に関連する市場である建設及び製造業や機械産業市場等の経済状況に左右される構造的な要因があり、事業を展開する地域の経済環境、感染症の蔓延に伴う社会環境の変化や市場の大幅な景気後退、需要減少は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 これに対して、当社グループでは景気循環サイクルの異なる各事業(建物市場におけるビルディングオートメーション(BA)事業、工業市場におけるアドバンスオートメーション(AA)事業、生活関連市場におけるライフオートメーション(LA)事業)に取り組んでおり、景気変動の影響の軽減を期待できる複数の事業構成となっております。

 BA、AA、LAの各事業領域においては、景気変動に対し比較的安定した需要特性をもつライフサイクル型ビジネスに取り組んでおります。上記の景気変動による影響に加え、個別の事業領域における変化として、BA事業では、リモートワークの急激な普及に伴い、国内外のオフィス需要が想定以上に急激に減少する可能性があります。これに対して当社グループでは、オフィスの将来像を事前に予測し、オフィスの有用性をアピールしてまいります。また、省エネルギーソリューションに加えて、空気質の向上やパンデミック対応の環境を提供するなどの施策を強化してまいります。

 一方、事業構造改革を進めるLA事業の今後の成長に向けた取組みを含めて、バランスの取れた3事業の展開及び3事業におけるライフサイクル型ビジネスの拡大を進め、安定した経営に注力してまいります。

(2) 競争環境における成長に係わるリスク

① 事業運営に係わるリスク

昨今、新たな技術やそれらの影響による社会インフラの変化、エネルギー市場の自由化等の規制緩和、グローバル化の進展、深刻化する少子高齢化など社会動向の劇的な変化が既存の事業に大きな影響を与え、新たなビジネスモデルの出現や異業種競合の市場参入など業界の構造変化を引き起こす可能性があります。azbilグループにおいても、この変化に伴う事業形態・運営における新たなリスクを認識したうえで、新しいサブスクリプションモデル等の展開や戦略的な協業展開等にも積極的に取り組んでおります。

こうした競争環境の下での更なる成長を実現するために、当社におきましても他社との更なる提携やM&Aも視野に入れた事業展開を採りうる選択肢としておりますが、適正なタイミングでの望ましい候補先との機会を得ることや、またM&A後のシナジーにつきましても初期段階から効果を得ることは難しい可能性もあり、さらに提携、買収先企業とのコミュニケーションや理解不足による事業遂行上のリスクを負う可能性もあるため、十分な検討の必要性を認識しております。

このような事業や技術の提携及びM&Aの候補先検討を多面的に継続する一方で、新たな事業等に自社単独で参入する場合におきましては、体制構築や人材配備、法令や契約等の法規制や商習慣への対応等が必要となり、成果を得るために要する時間や投入すべき経営資源負担増の懸念も考慮し、事業等の目的や条件と照らし合わせ、慎重かつ合理的な判断を行ってまいります。

② テクノロジー(技術)に係わるリスク

研究開発におきましては、AIやビッグデータなど新たな技術潮流の見誤り、研究開発の遅れ、また不十分なオープンイノベーション活用や技術開発の失敗等、技術対応力の不足等により、グループの成長を阻害する競争力の低下や新製品の市場投入の遅延及び売れ行きの不振等による業績への影響が懸念されます。また、データ活用や業務ツール標準化等のデジタル化対応に遅れが発生した場合は競争力の低下が懸念されます。

azbilグループではこのような状況を認識し、競争優位を獲得するための適切な研究開発への投資やITソリューション推進、クラウドサービス運用等の専門分野に特化した新組織体制の構築、新たなビジネスモデル検証のための活動、企業内大学(アズビル・アカデミー)による職種転換・教育による体制整備、M&A機会の探索を継続、基幹情報システムの更新・強化・グループ展開等、今後とも環境変化への対応遅れや競争上の不利な状況を回避すべく施策展開を継続してまいります。

(3) 商品の品質に係わるリスク

 azbilグループにおきましては、製品開発及び生産段階において専任の組織による品質確認や、適正な検査作業工程維持のための生産ラインの管理・改善の取組み、及び工場運営に関わる法令遵守状況の確認等、品質管理対応を強化しており、活動状況や関連する情報は、品質保証委員会をはじめとする会議体にて共有・可視化されるように努めております。

 また、サービスや製品を安心してご使用・ご採用いただけるよう、設計段階や生産工程における確認に加え、安全面に特化した専任組織による審査を行うなど、対応を図っております。

 製造物責任につきましては、保険に加入するなど問題発生に際しての備えも強化しておりますが、当社グループの製品、システム及びサービスの欠陥や不良による事故が発生した場合は、多額のコスト発生や顧客からの評価に重大な影響を与え、それにより事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) グローバル事業活動に係わるリスク

 azbilグループでは、グローバル化が進展する昨今の情勢下、高い成長率が見込まれる海外市場での事業拡大を目指し、活動を展開しております。

 成長戦略としての海外での事業拡大は、現在40以上の現地法人及び2つの支店による営業・サービス活動をはじめ、中国の大連とタイの基幹工場における生産活動及び新たに投資した海外グループ企業による事業活動等により、積極的な展開を行っており、それらの効果も現れておりますが、今後の活動の継続にあたりましては、以下のようなリスクを想定しております。

① 地域の政治経済変化、法改正、テロ・商習慣の違いなどによる影響

グローバル事業の拡大に伴い、進出先においての政治経済情勢の変化、現地の法律や規制等の改正、自然災害、テロ、ストライキ等の発生、また新型コロナウイルス等の感染症の蔓延等、不測の事態に遭遇する危険性が増しており、防災対応や在宅勤務の導入、BCP(Business Continuity Plan-事業継続計画)の検討等により、そのリスクへの備えを進めておりますが、事業、与信管理も含めた業績及び財政状態に一定の影響が出る可能性があります。

② BA事業の海外事業展開遅行による影響

BA事業では、東南アジア・中国を中心とした拠点設立と自社エンジニア及びパートナ-企業の確保等の事業遂行体制の整備、ビルディングオートメーション(BA)システム「savic-net G5」等の海外市場向け商品の投入、並びに海外でのライフサイクル型ビジネス立ち上げのためサービス事業の定着を図るべく施策を展開しておりますが、BA市場における地域の特異性等により計画している事業展開に遅れが生じ業績に影響が出る可能性があります。

③ 為替変動による影響

azbilグループは、為替変動に対して、適切な財務上の為替ヘッジを行いつつ、海外生産の拡大等によるリスク軽減に取り組んでおりますが、急激な為替レートの変動は、売上高、原材料・部品の価格、販管費等の経費に影響し、当社グループの業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。

(5) 人材の確保と育成に係わるリスク

 azbilグループは、「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という普遍の考え方をベースに、「健幸経営」をスローガンに各種人事施策を展開しておりますが、以下のような状況においてリスクが生じる可能性を認識しております。

① 事業構造変化に応じた適材適所の人材配置

azbilグループでは、今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に誘発される事業構造の変化に対しての適切な人材配置の必要性を認識しており、加えて少子高齢化や多様性の進展、働き方改革をはじめとした新労働法制の施行等への対応も求められていることなどから、2018年度に新たな人事制度の定着に向けた活動を展開しております。しかしながら、求める人材の確保、教育や円滑な配置展開等に支障をきたす場合には、生産性など組織パフォーマンスが低下するおそれがあります。

② 事業拡大のためのグローバルな人材確保と育成

海外事業展開のための人材確保と育成に係わる施策の遂行は、azbilグループの成長のための重要課題との認識のもと、拠点の増強とあわせて取組みを進めておりますが、目的に合致した人材の確保や事業展開のためのスキル教育等が順調に展開できない場合には、計画した事業成長目標の達成を阻害する要因となる可能性がリスクとして懸念されます。

(6) 情報漏洩やITセキュリティ対応等に係わるリスク

① 情報漏洩による影響

azbilグループでは、事業上の重要情報及び事業活動の過程で入手した個人情報や顧客、取引先、提携先等の機密情報を保有しておりますが、昨今、国内外ではGDPR(EU一般データ保護規則)等に代表される個人情報を主体とする各種情報の保護に対する法令の制定が進んでおり、遵守とそのためのルール整備や情報システムの強化が求められております。当社グループにおきましても、事業上の重要情報の機密保持とあわせて、個人情報保護に関しての法令遵守のため社内規程整備と運用及び社員への教育を行っておりますが、2020年度はコンピュータウイルス「Emotet(エモテット)亜種」に感染した事象が発生いたしました。当社ではこの事態を重く受け止め、今後、同様の事態が発生しないようにマクロ付ファイル送受信やzipファイル送信等のメール添付ファイルの送受信制限やVPN方式の変更、社外へのネットワーク通信への対応等を含めた更なる情報セキュリティの管理強化の徹底に努めております。

しかしながら、万一、予測できないウイルス感染等による情報漏洩が生じた場合は、業績及び財政状態への影響や企業評価が毀損するリスクが想定されます。

② ウイルス・サイバーテロ等による影響

azbilグループでは、激化するコンピューターウイルス等によるサイバー攻撃に対しての備えとして、より強固なIT環境の整備や社員の情報リテラシー(情報活用能力)を高めるため定期的な教育等の対応を継続的に行っております。

また当社で販売する商品やサービスの情報セキュリティ対応として、既存の開発部門に加えて、2019年4月に設置の情報セキュリティに特化した新たな審査部門(商品サイバーセキュリティ審査室)による確認を中心に、安心してご使用いただけることを目指した対応を図っておりますが、2020年度のコンピューターウイルス感染の事態を重く受け止め、日々変化する状況に対応して、情報セキュリティ対応の高度化に、より一層努めてまいります。

しかしながら、新たな手口の出現が絶えない現在の状況に対して、サイバー攻撃を完全に防御することは難しいと言われており、想定外の攻撃によるリスクは残るものと考えております。

(7) 環境・気候変動・自然災害等に係わるリスク

① 不測の事態発生時の生産機能への影響及び製品・サービスの供給支障による業績と企業評価への影響(国内拠点の集中によるリスク)

azbilグループのBA事業、AA事業の国内生産拠点(製造子会社を含む)は、過去3つの主要拠点が神奈川県に立地しておりましたが、生産と研究開発部門の再編や、主要生産品目を国内他地域及び中国とタイの海外工場へ移管するなど生産拠点の分散化を図ることにより、拠点集中リスクの軽減を図ってまいりました。ただし、マザー工場として生産機能の中核となる湘南工場や、海外の生産拠点において、大規模災害等による直接的又は間接的な被害が及んだ場合は、一定程度の業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

② BCP(事業継続計画)対応に起因する影響

azbilグループでは、災害等発生時に生じる顧客や関係取引先企業、自社への損害を最小限に抑えるべく、これまで特定の事態を想定のうえ、対応可能な事業継続期間を検証し、そのために必要な資金及び製品や部材の在庫、人員や生産設備等に求められる対応準備も進めるとともに、特定の事象に限定せずに事業の中断、阻害を引き起こす様々な事象の発生でも対処できるよう取り組んでおりますが、BCP対応の想定を超える事態(世界レベルでのパンデミック事象の長期化等)が発生した場合には、業績及び財政状態に大きな影響が出る可能性があります。

③ 気候変動がもたらす市場構造や顧客状況の変化による影響

当社は地球温暖化に対する取組みとして、2030年のazbilグループの事業活動に伴う温室効果ガスの排出量削減目標について「Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)」の認定を取得、さらに2050年には「排出量実質ゼロ」を目指す長期ビジョンを策定いたしました。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同の表明を行うとともに、自らの企業活動にとどまらない環境負荷低減に努めておりますが、気候変動による、長期的な市場構造の変化や主力事業における顧客の売上減少等による業績への一定の影響が発生する可能性があります。そのため気候変動により引き起こされる可能性のある様々な事象と、その経営に与えるリスク内容や影響を確認したうえで複数シナリオで分析・分類して、リスクの明示化を図ってまいります。

また、気候変動に関するグローバルな規制、国内の政策、金融機関や投資家等のステークホルダーの要請の変化が進んでおり、上述のTCFDやSBTi等の対応を進めておりますが、変化への対応が遅れる場合や対応や説明が不十分とステークホルダーから認識される場合等は、業績や財政状態に影響が出る可能性があります。

なお、当社においては、当社グループにおける2030年の気候変動の影響を把握し、評価するため、TCFDの枠組みを活用して、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の観点での整理、分析に取り組んでおります。現時点で当社が特定している主なリスクと機会に基づく評価・試算においては、当社の製品・ソリューション・サービスによるCO削減量が、自社の事業活動によるCO排出量を大きく上回ることから、機会の方が大きいと認識しており、今後もさらに分析・評価を進めてまいります。

(8) コンプライアンスに係わるリスク

① 法令違反(独占禁止法、建設業法、労働基準法、贈収賄)による行政罰、課徴金等の発生リスク

azbilグループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、環境や安全、製品規格、その他理由による法的規制を受けており、法令遵守は最優先事項であるとの認識のもと、周知・教育活動を全社員に対して行うなど、徹底を図っております。しかしながら、新たに進出する地域や業界特性への対応、新たな法令や既存法制の改正対応の遅れなどにより、違反が生じた場合には、業績及び財政状態に影響が出る可能性があります。

② 営業停止、顧客離れなど二次的な影響が発生するリスク

万一、法令やガイドラインに違反するような事態に陥った場合の影響度合いにつきましては、法令で定められた処罰内容や法令が対象とする事業の範囲等により異なってきますが、深刻なケースでは、国や自治体による特定の事業に対する業務停止命令や入札停止等の事態が想定されます。

azbilグループでは、CSR経営推進のもと、法令遵守は最優先事項であると認識し、国内外の定期的なモニタリングによる遵守確認や契約締結体制の強化とあわせて、周知・教育活動を全社員に対して行うなど、徹底を図っておりますが、こうした重大な法令違反等における不適切な行為等により、そのような事態に陥ってしまった場合には、風評被害による影響も含めまして、当社グループの企業評価が低下するリスクも想定されます。

(9) 社員のワークスタイルの変化に係わるリスク

働き方改革の取組みや在宅勤務の増加、感染症対策等によるリモート対応等、ワークスタイルが変化しております。システムや業務プロセスの見直しに沿った各種社内基準やルールの見直しなどの対策を進めておりますが、業務標準・共通化が社員の新しいワークスタイルの変化に対応しきれず、その間に統制上の問題が生じる可能性や、業務効率が低下する可能性があります。

また、社員に対して疾病予防セミナー、健康づくりプログラム、アンケート調査や注意喚起等を実施しておりますが、コミュニケーション不足によるメンタルヘルス不調、運動不足に起因する健康問題が社員に発生する可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,478億7千3百万円(前連結会計年度は2,580億7千9百万円)と、前連結会計年度比4.0%の減少となりました。

 売上高につきましては、2,468億2千1百万円(前連結会計年度は2,594億1千1百万円)と、前連結会計年度比4.9%の減少となりました。

 損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比5.6%減少の257億2千万円(前連結会計年度は272億5千5百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比5.0%減少の263億3千8百万円(前連結会計年度は277億1千2百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比0.6%増加の199億1千8百万円(前連結会計年度は197億9千3百万円)となりました。

(単位:百万円)

 

2020年3月期
前連結会計年度

2021年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

258,079

247,873

△10,206

△4.0%

売上高

259,411

246,821

△12,590

△4.9%

営業利益

(利益率)

27,255

(10.5%)

25,720

(10.4%)

△1,535

(△0.1pp)

△5.6%

 

経常利益

27,712

26,338

△1,374

△5.0%

親会社株主に帰属する
当期純利益

(利益率)

19,793

(7.6%)

19,918

(8.1%)

125

(0.4pp)

0.6%

 

 

 当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。

資産の状況

 当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて、100億3千7百万円増加し、資産合計で2,845億9千7百万円となりました。これは主に、国内外での新型コロナウイルス感染拡大影響に備えた資金の流動性確保等により現金及び預金が107億6千1百万円増加したことに加え、保有株式の売却以上に時価が上昇したことで投資有価証券が28億2百万円増加したことによるものであります。

負債の状況

 当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて52億6千7百万円減少し、負債合計で839億9千万円となりました。これは主に、仕入債務が65億3千万円減少したことによるものであります。

純資産の状況

 当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて153億5百万円増加し、純資産合計で2,006億7百万円となりました。これは主に株主資本が、配当金の支払いにより70億7千3百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により199億1千8百万円増加したことによるものであります。

 

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の66.7%から69.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は226億3百万円となり、前連結会計年度に比べて72億8百万円の減少となりました。これは主に、税率改正に伴い消費税の納付が増加したことに加え、前連結会計年度には2019年3月期末が金融機関の休日のため未決済であった売上債権の決済が含まれていたことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動による資金の増加は2億8千3百万円(前年同期は41億7千2百万円の支出の超過)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が増加したことに加え、当連結会計年度において国内の工場統合を通じた有形固定資産の売却による収入があったことによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は69億9千6百万円となり、前連結会計年度に比べて117億7千1百万円の支出の減少となりました。これは主に、前連結会計年度において取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出があったことによるものであります。

 

 以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より159億9百万円増加し、906億5千2百万円となりました。

 

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

40,102

93.3

アドバンスオートメーション事業

27,307

96.0

ライフオートメーション事業

29,182

99.8

報告セグメント計

96,592

95.9

その他

合計

96,592

95.9

 (注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

ビルディングオートメーション事業

118,503

96.4

64,050

101.4

アドバンスオートメーション事業

87,523

95.2

27,751

99.9

ライフオートメーション事業

43,350

96.8

14,275

106.2

報告セグメント計

249,377

96.1

106,077

101.6

その他

54

92.4

0

消去

(1,558)

(211)

連結

247,873

96.0

105,866

101.5

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

117,521

94.9

アドバンスオートメーション事業

87,778

94.2

ライフオートメーション事業

42,942

97.5

報告セグメント計

248,243

95.1

その他

54

90.6

消去

(1,477)

連結

246,821

95.1

 (注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの会計上の見積りに与える影響は軽微と判断しております。

 

(工事進行基準)

 当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については主として工事完成基準を適用しております。

 なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(受注損失引当金)

 受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。

 なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内

 azbilグループを取り巻く事業環境は、大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が継続し、換気・省エネ対策に対する関心が高まりを見せており、新型コロナウイルス感染拡大の影響による改修案件等の一部計画の延期が見られましたが、その影響は限定的なものにとどまりました。生産設備につきましては、既存設備の維持・安全の確保等の需要が底堅く推移し、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞から、年間での需要は低調となりましたが、リモートワークや5Gサービスの急速な普及により半導体関連市場で回復が見られ、これを牽引役として、年度後半からは、コロナ禍で落ち込んだ受注が回復してきております。この結果、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響は一定の範囲に収まり、当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 受注高につきましては、市況の低迷の影響を受けたアドバンスオートメーション(AA)事業が減少したことに加え、当連結会計年度は更新時期を迎える複数年契約のサービス案件が少ない端境期に当たるなどの理由からビルディングオートメーション(BA)事業が減少し、また、ライフオートメーション(LA)事業もLPガスメータ等の需要が減少したことにより、全体として前連結会計年度比4.0%減少2,478億7千3百万円(前連結会計年度は2,580億7千9百万円)となりました。

 売上高につきましては、BA事業が、前連結会計年度において新築大型建物向けに空調制御機器・システムを販売・施工する分野が高水準であったことの反動等により減少し、またAA事業及びLA事業が、受注同様、市況の低迷の影響を受けたことから、前連結会計年度比4.9%減少の2,468億2千1百万円(前連結会計年度は2,594億1千1百万円)となりました。

 損益面につきましては、営業利益は、経費の抑制及び事業収益力強化策の効果等もありましたが、減収の影響により前連結会計年度比5.6%減少の257億2千万円(前連結会計年度は272億5千5百万円)となり、経常利益につきましても、営業利益の減少を主因に前連結会計年度比5.0%減少の263億3千8百万円(前連結会計年度は277億1千2百万円)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券売却益に加え、国内の工場統合を通じた固定資産売却益の計上等によりほぼ前連結会計年度並みの199億1千8百万円(前連結会計年度は197億9千3百万円)となりました。

 

 セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。

 

ビルディングオートメーション(BA)事業

 BA事業を取り巻く事業環境は、国内市場においては、一部計画の延期等が見られましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は限定的なものにとどまりました。首都圏における都市再開発案件の需要は継続しており、換気改善、省エネ・CO2削減や運用コスト低減に関するソリューションへの関心も拡大しております。一方、海外市場においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により需要の低迷・工事遅延等の影響等が見られました。

 こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの拡大を進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 受注高につきましては、新築大型建物向け空調制御機器・システムの販売・施工分野の需要が継続し、換気改善、省エネ・CO2削減等のソリューションに向けた既設改修・サービス需要も堅調ですが、当連結会計年度において更新時期を迎える複数年契約の案件が少ないことによりサービス事業の分野が減少し、加えて、当連結会計年度上期において、一部の案件で採算性を考慮した結果、既設建物向けの分野も一時的に減少したことなどから、全体としては前連結会計年度比3.6%減少の1,185億3百万円(前連結会計年度は1,229億5百万円)となりました。売上高につきましては、竣工が集中した前連結会計年度の反動で、引き続き高水準ながら、新築大型建物向けの分野が減少したことに加え、前述の要因から既設建物向けの分野が減少し、さらに海外事業も新型コロナウイルス感染拡大による工事遅延等の影響から減少したため、全体としては前連結会計年度比5.1%減少の1,175億2千1百万円(前連結会計年度は1,237億9千4百万円)となりました。セグメント利益につきましては、経費抑制及び採算性改善策の効果もありましたが、減収の影響により、前連結会計年度比5.8%減少の140億2千3百万円(前連結会計年度は148億9千万円)となりました。

 中長期的には、2021年度以降も大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されており、納入実績を基にこれらの需要を確実に獲得してまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する換気・入退室管理等の安全・安心に対するニューノーマル時代のオフィス需要等に対し、リモートメンテナンス、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高利益体質を実現してまいります。

(単位:百万円)

 

2020年3月期
前連結会計年度

2021年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

122,905

118,503

△4,402

△3.6%

売上高

123,794

117,521

△6,272

△5.1%

セグメント利益

(利益率)

14,890

(12.0%)

14,023

(11.9%)

△867

(△0.1pp)

△5.8%

 

 

アドバンスオートメーション(AA)事業

 AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、5G関連投資の広がりなどを受け半導体製造装置市場では需要が拡大するなど、製造装置市場を中心にコロナ禍からの回復傾向が見られております。新型コロナウイルス感染拡大の影響は予断を許さないところではありますが、今後も国内外の製造装置市場等の需要増加は続く見通しにあります。

 こうした事業環境のもと、今後の更なる需要回復と将来の成長へ向けて、顧客開拓や海外での拠点・体制整備等の施策を着実に推し進め、さらに、これまで実績を上げてきた各種の収益力強化施策の徹底と拡大に取り組んでまいりました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 受注高につきましては、第4四半期において前年同期比で増加いたしましたが、通期では新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界経済低迷の影響を受け、前連結会計年度比4.8%減少の875億2千3百万円(前連結会計年度は919億1千5百万円)となりました。売上高につきましても、海外事業の拡大や製造装置市場での市況の好転等がありましたが、全般では市況低迷による設備投資減少の影響を受け、前連結会計年度比5.8%減少の877億7千8百万円(前連結会計年度は931億5千6百万円)となりました。セグメント利益につきましては、減収の影響により、前連結会計年度比2.2%減少の102億5千1百万円(前連結会計年度は104億8千6百万円)となりましたが、成長戦略と収益力強化施策の更なる進展により、厳しい環境でも更なる利益率の改善を実現いたしました。

 中長期的には、人手不足、脱炭素社会への対応、リモートワーク等のニューノーマルへの対応、新技術の導入による生産性向上等を目的とした継続的な製造装置・生産ラインの自動化に係る投資需要の拡大が見込まれます。引き続き3つの事業単位※1(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、MEMS※2等の技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、アズビルならではの新しいオートメーション領域を創出していくことで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。

(単位:百万円)

 

2020年3月期
前連結会計年度

2021年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

91,915

87,523

△4,391

△4.8%

売上高

93,156

87,778

△5,377

△5.8%

セグメント利益

(利益率)

10,486

(11.3%)

10,251

(11.7%)

△235

(0.4pp)

△2.2%

 

 

※1 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」

CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)

IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)

SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)

※2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器。

 

ライフオートメーション(LA)事業

 LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。

 売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータ交換の需要を主体としており、基本的には安定した需要が見込まれますが、売上の一部を占めるLPガスメータが不需要期に入り、また、水道メータ市場において新型コロナウイルス感染拡大の影響により検定満期の延長が行われ、需要が先送りされるなどの変化が見られました。ライフサイエンスエンジニアリング分野及び住宅用全館空調システムの生活関連分野におきましては、需要の増減がある中でも、引き続き事業構造改革による安定的な収益の実現と向上に取り組み、成果を上げております。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 受注高につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による製薬市場での研究開発設備需要増によりライフサイエンスエンジニアリング分野は増加いたしましたが、LPガスメータの循環的な需要の減少等によりライフライン分野が減少したことを主因に、全体として前連結会計年度比3.2%減少の433億5千万円(前連結会計年度は448億6百万円)となりました。売上高につきましても、前連結会計年度における受注増加等を背景にライフサイエンスエンジニアリング分野は増加いたしましたが、ライフライン分野が減少したことにより、前連結会計年度比2.5%減少429億4千2百万円(前連結会計年度は440億3千3百万円)となりました。セグメント利益につきましては、ライフライン分野での減収による減益の影響により、前連結会計年度比23.1%減少の14億3千4百万円(前連結会計年度は18億6千6百万円)となりました。

 LA事業では今後も引き続き、同事業を構成する各事業分野の収益の安定化・向上に取り組んでまいります。また、これと並行して、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、従来からの製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メータからのデータを活用したサービスプロバイダとしての新たな事業を創出し、売上高拡大、利益の向上に取り組んでまいります。

(単位:百万円)

 

2020年3月期
前連結会計年度

2021年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

44,806

43,350

△1,455

△3.2%

売上高

44,033

42,942

△1,090

△2.5%

セグメント利益

(利益率)

1,866

(4.2%)

1,434

(3.3%)

△431

(△0.9pp)

△23.1%

 

 

2021年度の見通し

 azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定しました。2021年度の事業環境を見ると、大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は堅調さを維持しており、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましては、先行的な動きを示す製造装置市場での回復が国内外で顕著となっています。また、新型コロナウイルスの感染拡大については、当社グループの2020年度業績に対するその影響は限定的なものにとどまりましたが、同ウイルスの世界的な収束の見通しは未だたっておらず、世界経済並びに国内外におけるお客様の設備投資の状況は不透明さを残しております。2021年度においても国内外経済活動への影響は、当面継続するものと見ており、当社グループといたしましては、新型コロナウイルスの感染状況の変化を注視し、迅速に対応することで業績への影響を抑えてまいります。

 上述の事業環境認識のもと、2021年度の業績につきましては、これまで築き上げたライフサイクル型事業の基盤を活かしつつ、回復基調にある市場の需要を確実におさえるとともに、将来の成長に向けた研究開発・設備投資を着実に実施しつつも、営業利益率の着実な改善等、事業収益力の強化に引き続き取り組み、増収を計画するとともに、営業利益ベースでは過去最高益の更新を目指してまいります。

 新中期経営計画の初年度にあたる2021年度の売上高は、2020年度比5.3%増加の2,600億円を見込み、損益面につきましては、営業利益で2020年度比6.9%増加の275億円、経常利益は2020年度比4.4%増加の275億円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2020年度と同水準の200億円を見込んでおります。

 BA事業は、大型建物向けの空調制御機器・システムの需要が引き続き高い水準で推移しており、新築建物における受注残高と既設改修における需要の拡大を背景に増収・増益を見込んでおります。

 AA事業は、国内外での製造装置市場を牽引役に、設備投資の回復が全般として見込まれており、海外での積極的な顧客開拓や新製品の投入の効果と更なる収益力強化施策の進展により、増収・増益を見込んでおります。

 LA事業は、法定によるメータ交換需要をベースにしつつも、クラウドを活用したサービス事業の拡大によるライフライン分野での伸長や、製薬市場の装置需要拡大によるライフサイエンスエンジニアリング分野での前連結会計年度受注残高増加を背景に、増収・増益を見込んでおります。

 なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

2021年3月期

実績

2022年3月期

見通し

増減

増減率

ビルディング
オートメーション事業

売上高

1,175

1,214

38

3.3%

セグメント利益

(利益率)

140

(11.9%)

143

(11.8%)

2

(△0.2pp)

2.0%

 

アドバンス

オートメーション事業

売上高

877

942

64

7.3%

セグメント利益

(利益率)

102

(11.7%)

116

(12.3%)

13

(0.6pp)

13.2%

 

ライフ
オートメーション事業

売上高

429

457

27

6.4%

セグメント利益

(利益率)

14

(3.3%)

16

(3.5%)

1

(0.2pp)

11.5%

 

その他

売上高

0

1

0

82.4%

セグメント利益

(利益率)

0

(12.2%)

0

(0.0%)

△0

(△12.2pp)

 

連結

売上高

2,468

2,600

131

5.3%

営業利益

(利益率)

257

(10.4%)

275

(10.6%)

17

(0.2pp)

6.9%

 

経常利益

263

275

11

4.4%

親会社株主に帰属

する当期純利益

(利益率)

199

(8.1%)

200

(7.7%)

0

(△0.4pp)

0.4%

 

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより2020年10月16日付で引き上げられた発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、新たにコマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。

 当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は90億3千5百万円で、前連結会計年度末に比べて8億1千万円増加しております。

 他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は50億3千9百万円、研究開発費の総額は111億8千1百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。

 株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2020年度につきましては、新型コロナウイルス感染拡大が続く中、以下の感染状況に関する前提に基づく業績への影響を踏まえて2020年11月5日に修正発表した業績予想において、売上高2,480億円、営業利益255億円を見込んでおりました。

<2020年度連結業績予想の前提>

 ・新型コロナウイルスの感染拡大状況が世界的に長期化

 ・市場の不透明感が継続し、2020年度内は厳しい事業環境が続く

 ・感染拡大の中でもazbilグループの生産及びエンジニアリング、工事、サービス等の現場業務の全面的な停止は発生せず、事業は継続

 

 この業績予想に対し、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞等、厳しい事業環境下にあってもお客様・社員の安全を第一に、社会インフラ・お客様の重要施設の維持のためのエンジニアリング・施工・サービス業務及び生産活動の継続により業績に対する影響は一定の範囲に収まり、売上高はほぼ計画通りの2,468億円、営業利益は257億円と計画を達成いたしました。また、ROEも10.4%と前年度に続き10%台を確保いたしました。

 なお、当社グループは、2030年度をゴールとする新長期目標及びこの目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の新中期経営計画(2021~2024年度)を策定し、2021年5月14日に公表いたしました。新長期目標では、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しており、また新中期経営計画においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。さらに、2021年度より資本コストを意識した経営の観点から投下資本利益率(ROIC)を導入し、投下資本からの収益性に基づく経営資源活用の最大効率化と事業ポートフォリオ管理を実践することで、当社グループ全体の企業価値向上(ROEの向上)に繋げてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 「人を中心としたオートメーション」の理念に基づく次世代商品を迅速に顧客へ提供するためにマーケティング部門と研究開発部門の連携を強め、新商品開発と技術開発に取り組んでおります。

 建物・産業を取り巻く様々な環境変化に対応し中長期にわたり技術的強みを持つ次世代商品の開発を実現するため5つの戦略技術領域を定めており、具体的には以下のとおりです。

 

・人と機械の協調を実現する技術

 人が持つ知能・技能・感覚等を機械に取り入れ、人と機械の協調を実現する技術

・あらゆる対象を自在に計測制御する技術

 今まで計測が困難で制御できなかった対象を、自在に計測・制御する技術

・プロセスを「わかる化」する情報技術

 複雑なプロセスの状態・課題を「見える化」から「わかる化」に進化させ、新しい価値と安心を提供する情報処理技術

・人と環境を調和するエネルギー制御技術

 人の快適性と環境変化を学習し、最適なエネルギー供給を行うことで、環境負荷を低減する制御技術

・安全で快適な空間をつくる計測制御技術

 人が過ごす空間を最適に計測制御し、健康で快適に過ごせる環境を提供する技術

 

 特に2021年度は、各事業領域において以下の開発を推進してまいります。

・ビルディングオートメーション事業領域

 セル型空調システム、海外向けシステム製品機能強化、赤外線アレイシステム機能強化、セキュリティシステム機能強化、クラウド機能強化

・アドバンスオートメーション事業領域

 近接センサリニューアル、マスフローコントローラリニューアル、温度調節計リニューアル、熱画像センサ、真空計リニューアル、次世代電磁流量計、新発信器、バルブリニューアル、プロセス及びファクトリーオートメーション向け各種IoT商品

・ライフオートメーション事業領域

 高機能ガスメータ、LPガス・都市ガス・水道総合クラウドシステム、住宅向け全館空調システムの機能強化

 

 未来を見据えた開発としては以下を推進してまいります。

・社会のスマート化を支えるデジタル最新技術(IoT・AI・ビッグデータ・5G等)の活用とそれらを搭載した商品、次世代IoT・AI空調技術、クラウドプラットフォーム、サイバーセキュリティ

・高度な力覚技術により、従来人の手に頼っていた“精密な繰り返し作業”や“微妙な力制御を必要とする作業”等を実現する次世代スマートロボット

・次世代MEMS技術の研究開発の推進

※MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器。

 

 研究開発体制としては、米国のシリコンバレーに設置した研究開発拠点及び欧州グループ会社による、日本、米国、欧州の3極体制で技術・商品開発を行っております。米国の研究開発会社においては次世代計測技術を実現する技術開発の推進及びIoT等の最新の技術動向調査や国際標準活動を行っております。欧州ではアズビルテルスター有限会社との協創により製薬関連施設や医療機関等に提供する商品力強化を図っております。

 生産技術としては、商品の機能・コスト・品質・信頼性・安全性の強化を図ることによって事業の競争力を高めてまいります。

・グローバル生産体制を支える自在生産ラインのIoT化及びDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

・次世代MEMS技術の応用製品を実現するパッケージング技術及び生産技術の研究開発の推進

 また、技術標準化においては、国際標準への対応、開発・設計の標準化、計測標準の3つに取り組み、商品の機能・コスト・品質・信頼性・安全性の強化を図ることによって事業の競争力を高めてまいります。

 

 当連結会計年度の研究開発費の総額は11,181百万円(売上高比4.5%)となりました。

 

 

 各セグメント別の研究開発費及び主な成果は、次のとおりであります。

セグメントの名称

研究開発費

(百万円)

主な成果

ビルディングオートメーション事業

4,321

・平常時の一般病室を、必要時には室内の気圧を低くした陰圧に制御することによって感染症対応病室に切り替えることができる「パンデミック対応空調システム」

・顔認証システムに高解像度赤外線サーモグラフィカメラを搭載し、非接触で0.5秒以内、±0.3℃の精度で検温する「AI温度検知ソリューション」

・ニューノーマル時代の働き方にあわせてよりパーソナルな執務環境や可変性の高いレイアウトに適応し、快適で使い勝手の良いオフィス空間を実現する新空調システム「セントラル空調向け セル型空調システム ネクスフォートDD」

アドバンスオートメーション事業

5,810

・工場の製造・検査・設備点検等、作業結果の手書きの記録作業を簡単にデジタル化するクラウドサービス

・多数の品種やロットと呼ばれる製造単位への対応を必要とするバッチプロセスを有するプラントにおけるオンライン異常予兆検知システム「BiG EYES™ R200」

・パソコン上での直感的な画面操作のみで、スマートフォンやタブレット端末向けのWEBアプリが構築できる「現場でつくる作業記録サービス」

・各種制御デバイスの情報連携をプログラムレスで実現する通信ゲートウェイを機能強化 (計装ネットワークモジュール スマート・デバイス・ゲートウェイ形 NX-SVGの機能強化バージョン)

・プラントで稼働するバルブの健康診断をクラウドで提供し、生産設備の安定化・保安力強化に貢献する「Dx Valve Cloud Service」

・重要プロセス変数(温度、圧力、流量、レベル等)変動監視ソフトウエア「ACTMoS™」グローバル版(英語版及び中国語版)

・製造機械メーカを対象としたスターターパック(導入支援)付きオンライン異常予兆検知システム「BiG EYES EM」

ライフオートメーション事業

1,049

・LPガス市場向けに膜式スマートメータ「K-SMα™」のラインナップとして、従来の業務用マイコンメータに新たな機能を追加するとともに、メータ本体へ通信端末を搭載

・エネルギーデータを軸として、様々な領域でのDXを加速させ、生活品質の向上や企業の環境経営に新たな価値提供する事業コンセプト「DX-EGA」策定

その他

合計

11,181