文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、azbilグループが判断したものであります。
(1)経営方針
azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念のもと、事業を通して持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を実現することで、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。
このため、“技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ”、“地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」”、“体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す”の3つを基本方針に、事業収益力の強化及びグローバルな事業基盤の整備を進めつつ、これらを基にした事業成長施策を展開しております。具体的には、ビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)の3事業において、計測と制御の技術を核に、「人を中心としたオートメーション」の発想に基づく製品・サービスを提供し、お客様のニーズや社会課題の解決に貢献することで、お客様・社会とともに自らの持続的成長を目指しております。
(2)経営戦略等
当社は、人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、お客様の安全・安心や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になることを長期目標と設定、段階的に中期経営計画を立案し、この目標達成に向けた取り組みを行ってまいりました。
これまでは、オートメーションに焦点をあてつつ単一市場への過度な集中を避け、3つの事業分野から成る複合的な事業ポートフォリオの構築を進め、顧客開拓やシナジー等による事業領域の拡大に取り組んでまいりました。これらの事業領域には、既存の製品・サービスの提供では持続的な成長の実現が厳しくなってきている成熟領域もあれば、IoTやAIといった新たな技術革新に伴い、急激に変化している領域もあります。基盤を確たるものとし、企業としての存続を確かなものとする取組みを継続するとともに、更なる成長を実現するため、国内外の事業機会の変化を的確に捉え、事業創造の視点から「商品と顧客現場の連携」によるソリューション提案力の向上に取り組み、azbilグループならではの価値の提供を実現してまいります。
このように2030年度に向けた長期目標を掲げる当社グループは、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献とサステナビリティの観点から、SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)を経営の重要な道標と位置付け、事業として取り組む領域として「環境・エネルギー」、「新オートメーション」の2つを、また企業活動全体で取り組む領域では「サプライチェーン、社会的責任」、「健幸経営※1、学習する企業体」の2つを「azbilグループSDGs目標」と定め、様々な取組みを進めております。
2022年度は、新型コロナウイルス感染症や地政学的リスクに端を発したグローバルサプライチェーンの混乱に加え、エネルギー価格の高騰やインフレ等が世界経済に大きな影響を与えた年となりました。このような厳しい状況下において当社グループとしましては、顧客の生産性改善ニーズ等による受注を着実に捉え、調達・生産プロセス改善により売上を拡大するとともに、インフレ等によるコスト上昇に対しサプライチェーンを意識した適正な価格転嫁を含む収益力強化と、業務効率化の展開により過去最高業績を更新しました。
2023年度においても事業環境の構造的変化が一定範囲で継続することを前提に、顧客・社会の変化を支援できることがオートメーション事業の価値との考えに基づき、アズビルならではの技術・製品・サービスを活かすことのできる「新オートメーション事業」、「環境・エネルギー事業」、「ライフサイクル型事業」という3つの成長事業領域に注力し、新たな課題の解決策を提供することにより、BA、AA、LAの3事業での成長を実現してまいります。
2023年度以降はこれまでの取組みを起点に、持続可能な社会へ“直列”に繋がる貢献に向け、“安全を継続”しながら、更なる成長を目指し“変革”を加速してまいります。具体的には、商品力強化に向けた、製品開発・生産面での積極的な投資に加え、外部パートナーとの共創に向けた投資も進めます。成長領域としての海外事業では、カバレッジの拡大と商品拡大を強化します。こうした取組みを通じて、方針に掲げたサステナビリティ経営の推進に向け、ガバナンス体制の強化と企業成長の原動力でもある人的資本への投資に積極的に取り組むことで中期経営計画の着実な達成に繋げてまいります。
2022年度における具体的な活動といたしましては、藤沢テクノセンター内に先進的なシステムソリューション、MEMS※2技術を活用した高機能・高性能デバイスの開発力強化に向け新実験棟が竣工し、技術開発環境の整備が進みました。また、生産面においても、中国大連生産子会社の新工場棟の竣工に続き、タイ生産子会社にも2024年春の竣工を目指し新工場棟の建設を計画するなど、グローバルでの生産基盤の強化が進みました。さらに、成長領域における事業拡大に向け、出資を含む他社協業を実施し、GX(グリーントランスフォーメーション)※3の推進を通じ脱炭素社会の実現に貢献してまいりました。

▲第103建物 ▲第104建物
藤沢テクノセンター内に建設された新実験棟
収益力という観点では、これまで取り組んできた受注時の採算性改善、海外生産・調達の拡大、価格転嫁といった収益力強化施策に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を通じた業務効率化をグローバルに展開することにより、一層の収益力強化を行いました。また、資本コストを意識した経営の観点からは、投下資本利益率(ROIC)を導入したことにより、投下資本からの収益性に基づく経営資源活用の最大効率化、並びに事業ポートフォリオ管理の強化を実践することで、当社グループ全体の企業価値向上(ROEの向上)に繋げてまいりました。
それに加え、持続的な企業価値向上の基盤として、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題とし、取締役会の監督・監査機能強化、経営の透明性や健全性の強化、執行の責任体制の明確化等に取り組んでまいりました。その取組みの一つとして、2022年6月23日開催の第100期定時株主総会にて「指名委員会等設置会社」へ移行し、各委員会の委員長は社外取締役といたしました。また、これを機に報酬委員会にて、移行後の体制に向けて役員報酬の決定方針を策定、株式報酬制度導入を含む役員報酬制度の改定を行ったことに伴い、新たな報酬ポリシーを開示いたしました。これにより、取締役・執行役等の企業価値向上への意識及び株主価値の最大化への意欲を一層高め、株主の皆様との価値共有に繋げてまいりました。
今後も不安定な事業環境は一定の範囲で継続することを前提に、持続可能な社会に向けた取組みの強化が一層重要になると認識しております。アズビルの基幹事業であるオートメーション事業は、建物、工場、ライフラインといった領域の“空間の質”を向上させながら、資源・エネルギー使用量を適正に抑制することが可能であり、我々の事業を拡大することが地球環境負荷の低減に繋がります。持続可能な社会の実現のためには、資源・エネルギー使用量を適正に抑制する仕組みを構築する必要があり、当社グループは事業を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実現してまいります。
※1 健幸経営:健康で幸せ、活き活きとした“働きの場と人”を創るためのアズビル独自の取組み。
※2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器。
※3 GX(グリーントランスフォーメーション):カーボンニュートラルの実現に向けた経済社会システムの変革。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする長期目標※4として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画※4においては、最終年度に売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。
※4 2021年5月14日、当社グループは長期目標、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念のもと、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を事業活動の中心に据えて企業活動を進めています。2023年度においても当社グループは着実に安定した収益基盤構築のための財務基盤の確保と更なる事業成長に向けた外部リソースの活用も含めた積極的な投資を継続します。中期経営計画におきましても、経営資源を有効かつ戦略的に配分し、様々な取組みの加速・定着を図ってまいります。その具体的な内容は次のとおりです。
① 国内事業
3事業とも国内では成熟産業に位置しておりますが、それぞれが置かれている環境は事業毎に大きく異なります。
ビルディングオートメーション(BA)事業は、引き続き高水準で推移する首都圏での需要を着実に捉えるため、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体としたDX推進により、ジョブ遂行能力の強化と効率化を進めてまいります。またIoT、クラウド等の新しい技術活用も含めた商品力強化を推進することによりビジネスモデルの再構築を引き続き進めるとともに、拡大する省エネルギー・CO2削減等に関するソリューションへの関心に対しても対応してまいります。
具体的には、お客様のカーボンニュートラル※5への取組みに貢献するため、省エネルギーと再生可能エネルギーのソリューションをワンストップで提供するESP※6事業の展開を開始いたしました。また、働き方改革や感染症対策等による居住空間の価値や要件の大きな変化に対応し、空間の質向上による付加価値の提供を目指してまいります。新しい働き方やオフィス利用の多様化に対応する新空調システム等を導入し、お客様にご提案、ご体感いただけるイノベーションプラザを国内にもオープンいたしました。これらの取組みにより、お客様の事業展開にあわせて継続的な価値を提案・提供してまいります。
▲ESP事業
アドバンスオートメーション(AA)事業では、部品調達難等による製造業設備投資への影響は予断を許さないところではありますが、中長期的にはグローバルな経済成長の継続や更なる生産性の改善要求、生産現場での人手不足、設備老朽化、脱炭素化等を背景に生産設備の自動化への投資は引き続き拡大基調にあり、製造業全般では設備投資が高い水準を継続している市場環境にあります。技術の潮流変化を捉え、今後の成長と付加価値の提供が見込める製造業の領域を選択・創出・集中することにより成長を図るとともに、グローバルな共通事業モデルに経営資源を集中することにより競争力を強化いたします。これら成長戦略と価格転嫁を含む収益力強化策をCP事業、IAP事業、SS事業の3つの事業単位でのオペレーションにより着実に実行してまいります。
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具体的には新しいオートメーションの創造に資する製品開発の加速に取り組んでおり、CP事業において2023年1月にMEMS加工技術で |
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▲BiG EYES
ライフオートメーション(LA)事業では、ライフライン分野にて水道・各種ガスメータのIoT対応を引き続き進めております。スマートメータで計測・計量し、様々なデータをクラウドで収集、それらを掛け合わせることで、脱炭素を含めた企業の環境経営及び生活品質の向上への新たな価値提供の検討等、SMaaS(Smart Metering as a Service)時代を見据えた新たなオートメーション領域への事業展開を進めており、この度、既設直読式水道メータに取付け可能な漏水検知機能付きOCR※8アタッチメントの開発にも着手いたしました。また、戸建て住宅向け全館空調分野においても、全館空調システム事業にて培った、こだわりの空気環境をより多くのお客様にお届けするために研究・開発した製品として、全館空気清浄換気システム「e-kikubari™」を発売し、住環境の快適さを追求したソリューションを強化することで、生活関連分野の収益改善を継続してまいります。
以上のような3つの事業軸への取組みに加えて、持続可能な社会への貢献に「直列」に繋がる「新オートメーション事業」、「環境・エネルギー事業」の成長領域の目標達成のため、出資を含む他社協業を実施します。具体的には2022年度は、環境省が設立準備を進めてきた官民ファンド「株式会社脱炭素化支援機構※9」に出資し、脱炭素に資する新たな事業機会や、脱炭素に取り組む事業者とのパートナーシップ等の創出を目指します。また、株式会社クリーンエナジーコネクト(CEC)との資本業務提携では、アズビルがエネマネ事業者※10として長年得意としてきた省エネルギーソリューションに、CECのグリーン電力ソリューションを組み合わせてワンストップで提供できるようになることで、GXの推進を通じ脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
※5 カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること。
※6 ESP(Energy service provider):エネルギー関連設備の導入、運転管理・保守メンテナンスなどのサービスまで一括で提供するビジネス。従来の省エネソリューションに再生可能エネルギーの調達サポートや運用段階での最適なマネジメントを加え、お客様の目標達成に向けてのニーズに応える事業をカスタマイズで立案し、包括的なエネルギーソリューションとして価値を提供していくサービス。
※7 デポ:デポジション(Deposition)の略語で「堆積」の意味。ここでは半導体製造の成膜工程で薄膜を生成する際にセンサ表面に付着する生成物を指す。
※8 OCR(Optical Character Recognition):光学文字認識。手書きや印刷された文字をイメージスキャナやデジタルカメラによって読み取り、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術。
※9 株式会社脱炭素化支援機構:国の財政投融資(産業投資)と当社を含む民間82社からの出資を資本金としてファンド事業を行う株式会社。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素に資する多様な事業への呼び水となる投融資(リスクマネー供給)を行い、脱炭素に必要な資金の流れを太く速くし、経済社会の発展や地方創生、知見の集積や人材育成など新たな価値の創造に貢献。
※10 エネマネ事業者:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されたエネルギー管理支援サービス事業者。EMS(Energy Management System)の導入や補助金申請サポート等を行う。
② 海外事業
海外市場におきましては、事業成長と収益拡大を支えるための更なる事業基盤強化策の一つとして、各国や各地域の市場環境に対応し、付加価値の高い特長ある新製品・ソリューションの提案を継続的に強化し、グローバルでの事業拡大を目指します。東南アジア地域においては、シンガポールを拠点とする「東南アジア戦略企画推進室」により、同地域での横断的な事業推進・戦略企画・経営管理を加速させております。それに加えて2022年度からは日本-米州-アジアの3つの地域を繋ぎ、技術開発連携のグローバル体制づくりのステップとして、同室内に開発組織を設立いたしました。
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BA事業では、海外市場でのシェア拡大に向け、次世代ビルディングオートメーションシステムを軸に、国内事業モデルでの強み(省エネルギーのアプリケーション、エンジニアリング・サービス力)を展開し、各国の事業環境・事業基盤に応じた施策を実施するとともに、ライフサイクル型ビジネスモデルの段階的な強化に努めております。このような活動は、スマートビルディングソリューションの分野において高く評価され、その結果、「2022年東南アジア スマートビルディングソリューション カンパニー オブ ザ イヤー アワード」をFrost & Sullivan (フロスト・アンド・サリバン)※11から受賞し、同社からの表彰は3年連続となりました。 |
▲Frost & Sullivanアワード |
また、海外向け統合型ビルディングマネジメントシステム(IBMS)※12の導入に向けた新たなデジタルツイン製品の開発をシンガポール経済開発庁の支援を受けてシンガポールで開始いたしました。
AA事業では、海外での工場向けオートメーション市場の拡大が引き続き見込まれるなか、戦略地域の営業体制強化や営業活動の質の改善を継続することで、顧客のカバレッジ拡大を通じた事業成長を継続しております。加えて、価格転嫁を含む収益力強化施策も継続し、高い利益率を引き続き確保しております。海外においても脱炭素社会に向けた対応等の新しいオートメーションが求められるなか、先進的なオートメーションの展開を通じた更なる海外での事業成長を進めてまいります。
LA事業では、ライフサイエンスエンジニアリング領域で事業展開する欧州のアズビルテルスター有限会社において、欧州における急速なインフレ進行による費用増加への影響が懸念されるなか、適切なコスト管理、販売価格適正化等に継続して取り組んでまいります。
以上に加えて、azbilグループの海外子会社における経営管理面におきましても、リモートでの管理体制の強化に加えて、現地法人の評価体制を拡充するなど、引き続きグループ・ガバナンスを強化し、各社の堅確な体制構築を進めてまいります。
※11 Frost & Sullivan (フロスト・アンド・サリバン):国際的な成長戦略コンサルティング・リサーチ会社。
※12 IBMS(Intelligent Building Management System):大規模複合施設の各種設備管理システムを一括管理し、効率的で高品質な設備管理やエネルギー管理、テナント情報の管理等を実現するシステム。
③ 生産・開発
azbilグループの事業拡大に向けて、グループ生産体制を再編し、商品力強化に向けて開発リソースの集約・強化を進めてまいりました。国内では、生産機能の湘南工場への一拠点化を完了し、藤沢テクノセンターにおける技術開発機能との連携を強化したグループ内のマザー工場として機能整備を推進中です。また、藤沢テクノセンターにつきましてはクラウドやAIを活用した先進的なシステムソリューションやMEMS技術を活用した高機能・高性能デバイスの開発力を一層強化するための中核研究開発拠点として、センター内に新棟を建設、2022年9月に竣工し、技術開発環境の整備が進みました。海外では、タイに当社グループ最大規模の調節弁整備機能を持ち、さらに異常予兆検知や調節弁の診断サービス等、IoT・AI技術を活用した次世代インテリジェントサービス提供を目的にSolution and Technology Centerが稼働中です。また、グローバルでの需要拡大に対応した生産能力拡大、生産工程の高度化と更なる自動化の推進を目的に、中国大連生産子会社の新工場棟竣工に続き、タイ生産子会社にも2024年春の竣工を目指し新工場棟の建設を計画するなど、日本、タイ、中国を3極とした生産体制を強化しました。また、海外事業の更なる拡大を目指し、工業市場向け調節弁の技術開発及びグローバルスタンダードに対応した製品特性試験のため、アズビル京都株式会社に流量試験設備を新設しました。
▲アズビルプロダクションタイランド新工場棟(2024年春竣工予定)
なお、2023年度もグローバルサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の高騰やインフレ等は一定の範囲で継続すると想定しております。今後も生産のオペレーションを改善しながらBCPに備え在庫している部品の一部使用、市場流通品の確保、代替部品への切り替えや設計変更等の対応を行い、サプライチェーン各社と連携して、生産の継続及び製品の納期への影響軽減のための取組みを継続してまいります。
④ 経営管理
創業時の精神である「人間の苦役からの解放」の考え方を、人間の幸福のために社会に貢献する価値観として受け継ぎ、グループ理念である「人を中心としたオートメーション」の実践を通じて、あらゆるステークホルダーと信頼関係を構築することにより継続的な企業価値の向上を図り、人々の「安心、快適、達成感」を実現するとともに、地球環境に貢献し、持続可能な社会に「直列」に貢献することをサステナビリティ方針としております。
2022年8月には、脱炭素やコロナ禍等、顧客ニーズ、社会が大きく変化するなか、事業環境の変化(機会とリスク)を勘案、ステークホルダーの皆様のご意見を伺い、azbilグループが「長期にわたり取り組む重点課題」を特定しました。今後は、特定した重点課題の更なる評価・優先度検証とそれぞれの目指す姿に向けて、当社グループのサステナビリティ推進体制を通じて、目標設定も含めた取組みを強化してまいります。あわせて重要なリスクの選定プロセスを大きく見直し、そのリスクの責任者を明確にすることで、効率的かつ実効的にリスク低減を実行してまいります。
経営管理面では、国際財務報告基準(IFRS)の任意適用も視野に入れた会計水準の向上と、それに伴う内部統制の強化を進めてまいります。また、経営の公正性、中立性及び透明性を高めるべく、コーポレートガバナンス・コードへの対応を継続しながら、全てのステークホルダーの皆様との間で建設的な対話を進めるための体制整備を積極的に進めております。
なお、azbilグループとして、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも積極的な活動・取組みを進めております。E(環境)に関しては、TCFDの国際的な枠組みに賛同表明し、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標について有価証券報告書等で開示するほか、自らの事業活動に伴う温室効果ガス排出量(スコープ1+2)に加えてサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(スコープ3)削減目標を設定し、その実現に取り組んでおります。また、地球環境に配慮した商品・サービスの創出・提供に向け、2030年度の目標として「全ての新製品をazbilグループ独自のサステナブルな設計※13とする」という環境・エネルギーにおけるSDGs目標の新たな指標を決定いたしました。
S(社会)については、「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」に係わる「国連グローバル・コンパクト」に署名し、中期経営計画において人的資本・知的財産への戦略的検討を行っております。また、社員が健康で活き活きと仕事に取り組んでいけるようにするための総合的な取組みを「健幸経営」と定義し、様々な制度・施策の整備・展開を実施してまいりました。その取組みの一つでもある育児と仕事の両立支援制度の拡充について、この度、厚生労働大臣に評価頂き「子育てサポート企業」として「プラチナくるみん認定」※14を受けました。
G(ガバナンス)については2022年に「指名委員会等設置会社」へ移行し、コーポレート・ガバナンスの更なる改革を進め、監督機能と執行機能の明確な分離を図ることで意思決定の迅速性を高め、経営監督機能の更なる強化を進めております。
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これらの取組みの結果、環境省が主催する第4回ESGファイナンス・アワード・ジャパン※15環境サステナブル企業部門において、開示充実度が一定基準を満たしている企業として「環境サステナブル企業」に選定されました。また国際環境非営利団体であるCDP※16により、「気候変動」に対する取組みとその情報開示に関して世界的に優秀な企業として評価され、Aリスト(最高評価)に2年連続で選定されました。 |
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▲ESGファイナンス・アワード・ジャパン
2023年度においても、持続可能な社会の実現に「直列」に繋がり、企業価値の向上を目指してESGにおける各課題を整理し、今後更なる改善への取組みを継続してまいります。
※13 地球規模の環境課題(脱炭素化、資源循環、生物多様性保全)解決に貢献する製品の創出・提供を目指した設計。
※14 プラチナくるみん認定:次世代育成支援対策推進法に基づき、行動計画を策定し、計画に定めた目標を達成した企業として「くるみん認定」を受けた企業のうち、より高い水準の取組みを行った企業が受けることができる特例認定。
※15 ESGファイナンス・アワード・ジャパン:ESG金融又は環境・社会事業に積極的に取り組み、インパクトを与えた機関投資家、金融機関、仲介業者、企業等について、その先進的取組みなどを広く社会で共有し、ESG金融の普及・拡大に繋げることを目的として環境大臣が表彰するもの。環境サステナブル企業部門では、重要な環境課題に関する「リスク・事業機会・戦略」「KPI」「ガバナンス」の開示充実度が一定の基準を満たしている企業を「環境サステナブル企業」として評価・選定する。
※16 CDP:企業や自治体を対象とした世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非営利団体。2000年に英国に設立され、130兆米ドルを超える資産を保有する680以上の投資家と協働し、資本市場と企業の調達活動を介して、企業に環境情報開示、温室効果ガス排出削減、水資源保護、森林保護を働きかけている。
azbilグループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの基幹事業であるオートメーション事業は、建物、工場、ライフラインといった領域の“空間の質”を向上させながら、資源・エネルギー使用量を適正に抑制することが可能であり、我々の事業を拡大することが地球環境負荷の低減に繋がります。持続可能な社会の実現のためには、資源・エネルギー使用量を適正に抑制する仕組みを構築する必要があり、昨今社会からその役割を一層強く期待されています。これは当社グループが事業を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実現することが可能であると同時に、持続可能な社会の実現への貢献が当社グループの持続的な成長に繋がることを意味します。
創業時の精神を引き継ぎ、以下のサステナビリティに関する方針を公表し、地球環境に貢献し、持続可能な社会へ「直列」に貢献するよう引き続き取組みを行ってまいります。
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azbilグループのサステナビリティの方針 創業時の精神である「人間の苦役からの解放」の考え方を、人間の幸福のために社会に貢献する価値観として受け継ぎ、グループ理念である「人を中心としたオートメーション」の実践を通じて、あらゆるステークホルダーと信頼関係を構築することにより継続的な企業価値の向上を図り「人々の安心、快適、達成感」 を実現するとともに、地球環境に貢献し、持続可能な社会へ「直列」に貢献する |
(1)サステナビリティ経営の取組み
<ガバナンス>
azbilグループでは、サステナビリティ全般に関わる担当役員を据え、それぞれに設けた専門組織を事務局とし、「azbilグループCSR推進会議」及び「SDGs推進会議」を開催、これらの会議で確認された進捗状況・課題を取締役会・経営会議に報告しています。以下の図に示すとおり、グループ全体でサステナビリティの取組みを検討・推進する体制を整えております。
<戦略>
2030年度に向けた長期目標を掲げる当社グループは2022年8月に、脱炭素やコロナ禍等、社会の環境、ニーズが大きく変化する中、グループ理念を基に“機会”と“リスク”の両面から事業環境変化を勘案し、当社グループのマテリアリティとして、「長期にわたり取り組む重点課題」を特定しました。
今後は、特定した10の重点課題(以下、「マテリアリティ」とする)の更なる評価・優先度検証とそれぞれの目指す姿に向けて、サステナビリティ推進体制を通じて取組みを強化してまいります。
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マテリアリティ |
達成を目指す姿 |
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環境 |
気候変動 |
脱炭素社会の実現に向けた環境課題への貢献 |
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資源循環 |
地球環境に配慮した製品・サービスを通じた資源課題への貢献 |
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イノベーション |
イノベーション |
安心・快適な社会に向けた新しいオートメーションの継続的な追求 |
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社会 |
サプライチェーン |
サプライチェーンにおけるCSR価値(環境・人権等)の共有 |
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地域社会への貢献 |
地域に根差した活動を通じ住み続けられる地域社会への貢献 |
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人材 |
人権・安全・健康 |
「人を中心」とした価値観に基づく企業活動、健幸経営の推進 |
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学習と人材育成 |
「学習する企業体」の企業風土の醸成と教育基盤の強化 |
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ガバナンス |
商品安全・品質 |
お客様の安全・安心を第一とする高品質な製品・サービスの提供 |
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コーポレート・ガバナンス |
透明性の高い経営を通じた企業価値の継続的向上 |
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コンプライアンス |
高い企業倫理に基づく社会的責任の遂行 |
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<リスク管理>
当社グループは、2022年8月、次の図表のようにマテリアリティを特定しました。グループ理念を基に、STEP1として各種ガイドライン等を踏まえ考慮すべき社会課題を網羅的に特定、STEP2では“機会”として長期目標・中期経営計画、“リスク”としてリスクマネジメントの見直しプロセスを通じて優先順位付けを実施、STEP3で投資家、ステークホルダーとの対話や取締役会での議論等を通じて妥当性を確認しています。
そのリスク管理においては、毎四半期、部門の責任者等をメンバーとして開催される「azbilグループCSR推進会議」において、リスクマネジメントの推進状況について確認・検討を行っています。また、半期に一度、リスク管理担当役員を統括責任者、経営層をメンバーとして開催する「総合リスク委員会」にて、一連のリスクマネジメント活動に対して経営層による状況確認と方針決定を行います。具体的には「
機会管理においては、原則毎月経営層が実施する「全社事業検討会」において、中期経営計画に基づきマテリアリティを含む幅広いテーマについての状況や課題を共有し、着実な実行に向けて議論等を行うことで、戦略的な事業展開に繋げています。
また、引き続きステークホルダーの皆様との対話の機会を随時設け、その意見を企業活動にフィードバックすることで、活動の実効性を高めています。
<指標及び目標>
当社グループでは、持続的な向上や改善を目指し続けるマテリアリティについて、次表のように特に4つに区分したSDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)の領域において、指標及び目標を「azbilグループSDGs目標」として具体的に定めております。事業として取り組む領域を「環境・エネルギー」、「新オートメーション」の2つ、また企業活動全体で取り組む領域では「サプライチェーン、社会的責任」、「健幸経営、学習する企業体」の2つに区分し、これらをazbilグループのサステナビリティの方針の重要な道標と位置付け、様々な活動を進めております。
他方、マテリアリティのうち、企業が社会に存立する上で果たさなければならない基本的責務である商品安全・品質、コンプライアンスについては、前掲の「azbilグループCSR推進会議」において、リスク管理に加え各部門で設定したCSR活動計画の策定・進捗確認を行うことで、その維持・向上に取り組んでおります。また、コーポレート・ガバナンスについては、昨年、指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役を過半数とする取締役会及び3つの法定委員会の体制のもと、適切な監督と実効性の向上を図っております。
「マテリアリティ」と「azbilグループSDGs目標」
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マテリアリティ |
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azbilグループSDGs目標 |
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基本目標 |
ターゲット |
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環境 |
気候変動 |
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Ⅰ |
協創による地球環境とエネルギー課題の解決への貢献 |
環境・エネルギー |
エネルギー課題の解決(脱炭素社会に向けて) ◆ お客様の現場におけるCO2 削減効果340万トン/年 ◆ 事業活動に伴うGHG※1排出量を55%削減※2 ◆ サプライチェーン全体のGHG 排出量を20%削減※3 環境課題への貢献(環境統合型経営※4の実現) ◆ 地球環境に配慮した商品・サービスの創出・提供 - 全ての新製品をazbilグループ独自のサステナブルな設計※5とする ◆ 天然資源※6の有効活用と廃棄物発生量の削減 - 全ての新製品を100%リサイクル可能な設計※7とする |
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資源循環 |
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イノベーション |
イノベーション |
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Ⅱ |
新たなオートメーションによる持続可能な生産現場・職場環境、安心・快適な社会の実現 |
新オートメーション |
お客様の持続可能な生産現場・職場環境、さらなる安心・快適・達成感の実現に向け、生産空間・居住空間(ビル建物)・生活空間における「計測の高度化」、「データ化」、「自律化」などにより、社会が求める時々の課題を解決、付加価値を創出 ◆ 2030年に延べ8,000事業所※8で事業環境変化に強い状態を実現 ◆ 2030年に延べ600万人※9にストレスフリー、多様な働き方につながる環境を提供 事業環境変化に強いオートメーションの実現 - 内的環境変化(設備不調、原材料品質など)による影響の予測・診断と自律的意思決定・制御 - 外的環境変化(自然災害、社会情勢など)による影響の予測・診断と自律的意思決定・制御 ストレスフリーな職場環境の実現 - データに基づく作業支援による作業ミス・計画外作業の低減など - 労働生産性向上となる「快適かつ省エネ」環境の構築 多様な働き方につながる環境の実現 - 時間や場所に合わせた最適な就労環境の構築 - 年齢や性別、スキルなどによらない就労環境の構築 |
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社会 |
サプライチェーン |
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Ⅲ |
サプライチェーンにおける社会的責任の遂行と地域・社会への貢献 |
サプライチェーン、 社会的責任 |
お客様、お取引先様と共に社会的責任を果たす(価値共有を目指したアズビルCSR 活動の拡充) ◆ お取引先様と共に、SDGsを共通目的として連携し、サプライチェーンにおけるCSRの価値共有を実現 地域活性への貢献(事業拠点を軸とした社会貢献) ◆ 地域に根差した社会貢献活動をすべての事業所※10において実施し、社員一人ひとりが積極的に参加※11 |
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地域社会への貢献 |
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人材 |
人権・安全・健康 |
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Ⅳ |
健幸経営と永続的な学習による社会課題解決の基盤強化 |
健幸経営、 学習する企業体 |
健幸経営(働きがい、健康、ダイバーシティ&インクルージョン)の実現(柔軟な働き方と総労働時間削減、社員の心身の健康の維持・増進、多様な人材が能力発揮できる場づくり) ◆ azbilグループで働くことに満足している社員65%以上 ◆ 2024年までに女性活躍ポイント※12を2倍にする(2017年比) 学習する企業体の発展・強化(グローバルに活躍する人材の継続的育成とステークホルダーと共に学ぶ機会の拡大) ◆ 一年間で仕事を通じて成長を実感する社員65%以上 ◆ 2024年までに研鑽機会ポイント※13を2倍にする(2012年比) |
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学習と人材育成 |
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ガバナンス |
商品安全・品質 |
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(企業が社会に存立する上で果たさなければならない基本的責務) * 商品安全・品質、コンプライアンスについては、「azbilグループCSR推進会議」において、部門毎に業務に直結した指標及び目標をCSR活動計画として設定 * コーポレート・ガバナンスについては、昨年、指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役を過半数とする取締役会及び3つの法定委員会の体制のもと、適切な監督と実効性を確保 |
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コーポレート・ガバナンス |
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コンプライアンス |
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※1 温室効果ガス(CO2 など) ※2 2017年基準 ※3 2017年基準
※4 脱炭素化・資源循環・生物多様性保全等の幅広い環境活動が統合的に事業に取り込まれた経営
※5 地球規模の環境課題(脱炭素化、資源循環、生物多様性保全)解決に貢献する製品の創出・提供を目指した設計
※6 天然に存在して、人間の生活や生産活動に利用しうる物資・エネルギーの総称
※7 BAT(Best Available Technology:経済的および技術的に実行可能な最も効果的な技術)の範囲
※8 2022年4月時点で530事業所で稼働。2030年には15倍の8,000事業所を目指す
※9 2022年4月時点で60万人に提供。2030年には10倍の600万人への提供を目指す
※10 国内・海外を含む全事業所 ※11 azbilグループ社員数規模の参加を目指す
※12 女性の役員、役職者、管理職など役割に応じたウエイトをつけて独自に集計したポイント
※13 社内外のステークホルダーとともに学ぶ機会(回数および参加人員数)を独自に集計したポイント
(2)重要なサステナビリティ項目
グループ理念である「人を中心としたオートメーション」の実践を通じて、地球環境に貢献し、持続可能な社会へ「直列」に貢献することを目指すazbilグループにおいて、前述のサステナビリティ経営の取組みにおけるガバナンス及びリスク管理を通して識別された、重要なサステナビリティ項目は、マテリアリティである、以下の「気候変動」であり、またその企業価値の創造の源泉となる「人材」を資本として捉える「人的資本」です。
「気候変動」に対しては、製品・サービス・ソリューションの提供を通じて、お客様の現場におけるCO2削減に取り組むことで、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献と当社グループの持続的な成長を実現してまいります。また、「気候変動」に対応した3つの成長事業領域をはじめとし、当社グループの価値創造の原動力となる「人的資本」の投資についても強化してまいります。具体的には、事業の成長及びそれを支える全社機能に対して人員計画に基づく着実な採用、適材適所の配置、及び人材育成を積極的に実施することで、サステナビリティ経営の実現を長期的に支えてまいります。
①気候変動への対応(TCFD提言への取組み)
azbilグループは2019年11月、気候変動が事業活動に与える影響を正しく把握し、適切に開示するという気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言内容に賛同いたしました。賛同表明後、気温上昇のシナリオに基づいた各事業の機会とリスクの双方を検討した結果、CO2削減に貢献する事業活動の機会がリスクを大きく上回ると認識しております。今後も、TCFDの提言に沿った形で、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標について、継続的に開示を進めてまいります。
<ガバナンス>
気候変動は、グループ理念に基づいて経営を行ううえでの最重要課題の一つと認識し、担当役員を統括責任者としたグループ横断的なタスクフォースを組成、事業影響と財務的影響開示の視点から経営会議で審議し、その内容は取締役会で適切に監督しております。
<戦略>
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、国際エネルギー機関(IEA)や各種機関からの情報を基に、2℃未満シナリオ(脱炭素社会に向けた規制強化や技術革新が促され、気温上昇が持続可能な範囲で収まるシナリオ)と4℃シナリオ(温室効果ガス排出を削減する有効な対策が打ち出されず、気温上昇が継続し、異常気象や自然災害が増大するシナリオ)の2つのシナリオで、2030年までの長期的な当社グループの事業上の機会やリスクを特定しています。
機会とリスクの開示
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種類 |
シナリオ |
ビルディングオートメーション事業 |
アドバンスオートメーション事業 |
ライフオートメーション事業 |
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機会 |
2℃未満 |
世の中のニーズにあわせた省エネルギー・省CO2ソリューションやサービスの需要拡大等 |
環境影響を軽減する新しい産業・プロセスに向けた、センサ・各種計測器、ソリューション等への需要が増加 |
IoT技術を活用したガスメータ活用によるSMaaS事業の拡大等 |
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4℃ |
気象災害に適応した建物に向けた製品・サービス・ソリューションの需要の増加等 |
異常予知機能を具備した製品・サービス・ソリューションへの需要の増加等 |
気象災害に適応した製品・サービス・ソリューションへの需要の増加等 |
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種類 |
シナリオ |
概要 |
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移行 リスク |
2℃未満 |
・新たな規制にあわせた新製品やサービス開発のコスト増加 ・エネルギー価格上昇による製造・調達コストの増加 ・炭素税導入などコスト負担増に伴うお客様の従来型設備投資の減退 |
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物理 リスク |
4℃ |
・異常気象による操業停止、製品・サービス・ソリューション提供の休止 ・異常気象による事業不安定化に伴う、お客様の投資の大幅な減少 |
気温上昇のシナリオに基づいた各事業の機会とリスクの双方を検討した結果、CO2削減に貢献する事業活動の機会がリスクを大きく上回ると認識しております。
リスクを抑制し、機会を拡大するため、当社グループでは、「自らの事業活動における環境負荷低減」を進めるとともに、それらの取組みを通じて得られる技術・ノウハウを活かし、計測と制御の技術を駆使してお客様の環境に関わる課題解決を支援することで「本業を通じた地球環境への貢献」を推進し、持続可能な社会の実現へと繋げてまいります。
(注)当社グループの財務計画等に及ぼす影響と対策の詳細については、ホームページにて掲載を行っている「
<リスク管理>
気候変動に関する主なリスクは、2(1)サステナビリティ経営の取組みに記載の<ガバナンス>のサステナビリティ推進体制のもと、経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクについて、気候変動を含めて網羅的に管理しています。具体的には、①部門責任者等で構成される「総合リスク管理部会」でリスクを抽出・分析したのち、②リスク管理担当役員が統括責任者を務める「総合リスク委員会」で「azbilグループ重要リスク」を特定し、取締役会にて審議・決定しております。
<指標及び目標>
持続可能な社会へ「直列」に繋がる事業活動により、当社グループのお客様、及び当社グループとサプライチェーン全体を視野に入れた指標及び目標をazbilグループSDGs目標として掲げて、気候変動への取組みを推進しております。このazbilグループSDGs目標の達成に向けて、経営会議で年度毎の実行目標設定と進捗確認を行い、取締役会で報告を行っております。また、状況変化や課題に対しては経営会議等で対策を適宜検討・立案し、実効性を高めております。
・お客様の現場におけるCO2削減効果を2030年度に340万トンまで拡大することを目標としております。
・当社グループの事業活動に伴う温室効果ガス(GHG)※1の排出量(スコープ1+2※2)を2050 年に実質ゼロにすることを目指す「2050年 温室効果ガス排出削減長期ビジョン」を策定し、カーボンニュートラルの実現を目指しております。この達成に向けた中間目標として、「2030年 温室効果ガス(GHG)排出削減目標」を定め、サプライチェーン全体での排出量削減に取り組んでおります。
・2021年度の事業活動に伴うGHG排出量(スコープ1+2)は1.9万トン※3で2017年度比27%削減となりました。
なお、2022年度のGHG排出量(スコープ1+2)は、確定後、「
《2030年 温室効果ガス(GHG)排出削減目標》
事業活動に伴うGHG排出量(スコープ1+2) 55%削減(2017年基準)
サプライチェーン全体のGHG排出量(スコープ3※2)を20%削減(2017年基準)
※1 温室効果ガス(GHG=Greenhouse Gas):大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体の総称
※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3:事業者の活動に関連する他社の排出(スコープ1、スコープ2以外の間接排出)
※3 集計範囲:アズビル株式会社、国内連結子会社及び海外主要生産拠点(グループ全体のGHG排出量95%以上に該当)
②人的資本
azbilグループでは人材を「資本」として捉えており、「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という普遍の考え方をベースに、当社グループが常に世の中に価値ある存在として継続的な成長を図り、持続可能な社会の実現に「直列」に貢献できるよう、人的資本を強化しております。今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に誘発される事業構造の変化に対応し、長期目標、中期経営計画の達成に向けて、様々なバックグラウンドに基づく多様な価値観を有する人材を採用し、社員が長期にわたって活躍できるよう人事制度を整えるとともに、「学習する企業体」として変化に柔軟に対応する人材を育成し、適材適所の配置を進めています。 10,000人を超える当社グループ社員が、これら人事戦略、人事施策のもとで能力を発揮し、イノベーションを起こし、生産性を一層高めることで、持続的な企業価値向上へと繋げています。
<ガバナンス>
当社グループの人事戦略及び人事施策は経営会議にて議論を行い、その実現に向け、人件費や人的資本強化に関する経費等の予算を含む人的資本への投資計画を取締役会で審議・承認しております。人事戦略及び人事施策並びに人的資本の投資計画に基づき実施される、人的資本強化の主要テーマである健幸経営の取組みや多様性の確保、及び人材育成に関わる進捗状況は毎年経営会議にて確認するとともに、その方向性を取締役会等の場でも活発に議論を行うことで、人的資本価値向上に関わる実行状況を適切に監督しております。
(人材育成の推進体制)
※アズビル・アカデミー:「学習する企業体」への変革を目指し2012年に設立された人材育成の専門機関
<戦略>
当社グループは、働き方改革とダイバーシティ推進を両輪とする、多様な社員が健康で活き活きと能力を発揮するための総合的な取組みを「健幸経営」と定義し、社員が働きやすい環境を整備するとともに、人材育成の専門機関であるアズビル・アカデミーを中心に「人材から人財(全ての社員が“財”をもつ人財)」へと育成するなど人的資本強化を進めるほか、長期目標・中期経営計画達成に向けて、3つの成長事業領域への人材投資を行っております。
a.3つの成長事業領域への人的資本投資
社会や産業等、様々な環境の変化から生まれた新たなニーズに対応し、社会・お客様とともに成長していくために、当社グループは、「オートメーション技術を共通基盤とした3つの成長事業領域」を柱にビジネスモデルの「変革」を推進していますが、それぞれの成長事業領域を手掛けることができるのは、1世紀余りにわたってオートメーション事業に従事し、社会・お客様の現場で、数多くのデータ、ノウハウを蓄積し、人を中心とした空間の最適化を構想から設計、施工、据付、エンジニアリング、メンテナンスまでを一貫して追求してきた当社グループならではの事業価値といえます。これら当社グループが強みをもつ3つの成長事業領域「新オートメーション事業」「環境・エネルギー事業」「ライフサイクル型事業」を推進するために、さらに必要なリソースとしての人材要件を整理し、事業戦略にあわせた人的資本投資を進めています。
新たな課題を新製品・サービスで解決する「新オートメーション事業」では国内外に通じた先端技術開発が必要であり、タレントマネジメントシステムを活用した技術者の育成と最適配置、専門人材の採用、大学や研究機関との共同研究・開発、及び共同研究先への派遣等による育成強化を図っています。
省エネルギー・再生可能エネルギー領域での実績に基づく強みを発揮していく「環境・エネルギー事業」ではカーボンニュートラルを実現するエンジニアの育成が必要であり、エンジニアリング力と再生可能エネルギーに関する知見を一層高めるため、提携企業との人材の相互交流を通じた育成を進めているほか、社内認定制度をクリアした技術プロフェッショナルやマイスターがエンジニアリング力強化をリードしてまいります。
顧客資産を長期にわたってサポートしていく「ライフサイクル型事業」においては、ネットワークを活用した高付加価値サービスを提供していくにあたってDXによるエンジニアリング・サービス力の強化、グローバル人材強化が必要であり、生産からサービスメンテナンス、エンジニアリング、それを支えるスタッフ部門など広範にわたり、LMS(Learning Management System)によるDX教育等を通じたリスキリングを進めています。
b.人材育成に関する考え方と取組み
当社グループの持続可能な社会へ「直列」に繋がる事業活動を継続していくために、人材育成の専門機関であるアズビル・アカデミーを中心に「人材育成の基本理念」にそって、「①仕事のプロとしてチームワークで協働」、「②一流を目指す強い意欲と挑戦」、「③高い志と倫理観、国際感覚」を求める人材像に掲げ、「学習する企業体」としての取り組みを進めています。
《人材育成の基本理念》
1.azbilグループ成長の源泉は人材であり、人材の成長なくしてazbilグループの成長はありえない
2.そのため、社員力と組織力の最大化を目指して、
①個人:自己の成長、能力開発に最大の責任を持つ
②上司:職場における部下の能力開発に責任を持つ
③会社:公平な機会提供を通じ個人と組織を支援する
お客様の現場で課題を把握し、最適なソリューションをお届けするには、高い技能・豊富な知識をもったエンジニアが要となります。例えば、IoT・AI時代を見据えた次世代のエンジニアを育成するために、最新の技術動向や実践例を含めた技術者育成プログラムを策定。付加価値の高いソフトウエアや高度なエンジニアリング・サービスの実現に必要な知識と技術力の強化を図っています。
アズビル・アカデミーを通じて他にも各種研修やLMSを整備するほか、多様な人材が活躍するための人材育成施策を推進しています。2017年度に立ち上げたダイバーシティ推進タスクにより、女性のほか外国人社員、中途採用者など様々なバックグラウンド・価値観を有する人材が活躍できるよう、リーダー育成、職場風土改革、多様な働き方の検討・導入等の取組みが進んでいます。
c.社内環境整備に関する取組み
「azbilグループ健幸宣言」において、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言しており、多様な人材が各々の社会的、身体的特徴、思想や価値観の違いを認め合い、活躍する機会を尊重しています。
《azbilグループ健幸宣言》
azbilグループは、社員ひとりひとりの健康が企業活動の重要な基盤であるととらえ、会社で働くすべての人々が安心・安全で、快適に、活き活きと、自分らしく健やかに働き、それぞれが持つ多様な能力を発揮し、公私ともに充実した人生を送ることが、生産性や業績の向上、イノベーション、社会への貢献につながると考えています。健幸な「働きの場と人」を創るために、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言します。
社員が活き活きと自分らしく働くことができるようにするためには、快適で働きやすい職場環境が必要であり、社員一人ひとりの繋がりを高めるコミュニケーション施策を展開することで、エンゲージメント(会社への愛着や仕事のやりがい)向上にも繋がっています。社長自ら国内外のazbilグループ社員と対談を行う機会を設け、自由闊達な双方向でのコミュニケーションを行うとともに、その内容を社内ホームページ等で共有することで繋がりを高めているほか、若手社員を中心とするCoP(Community of Practice:特定のテーマについて問題意識、熱意ある社員が集まり、交流を通して自らの知識と専門性を深める活動)により、事業上の課題や業務の改善についての議論とその実践を図るなど、様々な取組みを行っています。
人事制度においても「永続的な人材の育成」「人材の能力発揮の最大化」「社員の生活の充実と人材の確保」をコンセプトとし、年齢、国籍、性別等に関わらず、能力発揮度合いに基づく公正な評価と処遇・登用を行うことで多様な人材の活躍を支えています。また、育児・介護をはじめとする様々なライフイベントがあっても仕事と両立できるよう、勤務地域限定制度、短時間・短日数勤務等の柔軟な勤務制度、配偶者の海外転勤に伴う帯同休職制度など、生涯を通じて長期にわたりアズビルで活躍できるよう、制度拡充を進めてきました。
ほかにも、社員一人ひとりが“企業価値向上”を意識して日々の“働き”を創造し、企業理念を実践することにより、会社とともに自己成長、発展していくことを期待し、退職後の生活の一助となることを目的とした社員向け「株式給付制度(J-ESOP)※4」や、同じく会社と社員が一体となって業績向上に努めることで、社員の長期的な資産形成の一助となることを目的とした「社員持株会」及び社員持株会を通じて中長期的な企業価値向上時のメリット付与を行う「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)※5」を導入するなど、福利厚生も含めた環境整備に努めています。
※4 J-ESOP:社員に対し個人の貢献度等を勘案して計算されるポイントを付与し、一定の条件により受給権の取得をしたときに当該付与ポイントに相当する当社株式を給付する制度。社員に対し給付する株式は、予め信託設定した金銭により将来分も含め取得(2017年5月に制度開始、信託期間(10年)中で、取得時の価額で約40億円の自社株式を付与予定)している。
※5 E-Ship:予め信託設定した期間(3年)にわたり持株会が取得すると見込まれる数の当社株式を信託が予め取得(2022年5月に制度開始、取得時の価額で約48億円の自社株式を取得)し、その後、信託から持株会に対して継続的に当社株式の売却が行われるとともに、信託終了時点で従持信託内に株式売却益相当額が累積した場合には、当該株式売却益相当額が残余財産として受益者適格要件を満たす者に分配される制度。
<リスク管理>
人的資本に関する機会の評価は、原則毎月開催される全社事業検討会及び年4回開催されるazbilグループ社長会等の場を通じて中長期の人員計画を検討するとともに健幸経営、働きの創造や人材育成など広範にわたる内容についてazbilグループCSR推進会議で社内外の状況確認と議論を行い、各部門、各社取り組みの好事例を横展開するなど人的資本強化の機会を捉えた活動へと繋げています。
また、人的資本に関するリスクは、「
<指標及び目標>
人材育成及び社内環境整備については、2030年度に向けたazbilグループSDGs目標として「一年間で仕事を通じて成長を実感する社員の比率65%以上」「azbilグループで働くことに満足している社員の比率65%以上」を掲げております。
それぞれの状況は、毎年の社員満足度調査を通じて確認することとしており、2022年度に国内azbilグループ社員に実施した調査により、「一年間で仕事を通じて成長を実感する」社員は59%、「azbilグループで働くことに満足している」社員は58%であることを確認しています。
目標達成に向けて、全ての社員が活躍できるようダイバーシティ&インクルージョンの取組みを推進するとともに、働きの創造(働く環境の整備と学習する機会の提供)に取り組んでおり、それぞれazbilグループSDGs目標のターゲットの位置付けで、2024年度に女性活躍推進ポイント※6を2017年度比で2倍にすること、研鑽機会ポイント※7を2012年度比で2倍にすることを掲げております。2022年度時点でいずれも目標値に近い成果が得られていることを確認しており、2030年度に向け、azbilグループSDGs目標及びターゲットともに社員満足度調査結果を分析することで各部門、年代、職種毎の課題を把握し、取組み計画に反映するとともに改善を行うことで、更なる人材育成、社員の働きがい向上へと繋げております。
なお、女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金格差等は、今後も多様な人材を確保していくうえで重要な指標であると認識しており、これらについての実績は、「
※6 女性活躍推進ポイント:女性の役員、役職者、管理職など役割に応じたウエイトをつけて独自に集計したポイント
※7 研鑽の機会ポイント:社内外のステークホルダーとともに学ぶ機会(回数及び参加人員数)を独自に集計したポイント
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がazbilグループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)リスクマネジメント体制
当社では、スリーラインディフェンスに基づくリスク管理を行っております。azbilグループ全般の活動において、責任を明確にした3つの防衛線を通じて、組織の内部統制・リスク対応機能の向上を図っております。特に第一の防衛線については、確実にリスクを低減するため、リスク毎に担当役員を明確にし、防衛線での自律的管理の強化を図っております。また、リスクマネジメント事務局がリスク管理活動全体の管理と支援を行う中で、第二の防衛線では、主に各間接管理部門が組織全体で対応すべきリスクに対する対策の展開と管理、支援の責任を果たすことで、リスク管理に対する牽制・支援の役割を担っております。さらに、内部監査部門が第三の防衛線として第一線・第二線によるリスク管理体制の検証・保証を行います。
<リスク担当役員の明確化による防衛線の強化>
当社では、ボトム(現場部門)の情報をトップ(経営層)が十分に把握し、意思決定を行うことが重要だと認識しており、ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチを一体としたリスクマネジメントを実施するための体制として、「総合リスク管理部会」、「総合リスク委員会」、「azbilグループCSR推進会議」を設置しております。
「総合リスク管理部会」は部門の責任者等をメンバーとして実施され、主にリスクの抽出と評価に関して現場側の意見集約を行います。なお、リスクの抽出と評価については経営層の意見も別途ヒアリングを行って集約し、経営層と現場部門の意見を統合するプロセスを構築しております。
「総合リスク委員会」はリスク管理担当役員を統括責任者、経営層をメンバーとして半期に一度実施され、一連のリスクマネジメント活動に対する経営層による状況確認と方針決定を行います。具体的には、「総合リスク管理部会」や経営層へのヒアリングから得られた情報に基づくリスクの対応優先度の決定(azbilグループが優先して対処すべき「azbilグループ重要リスク」とそれ以外の「部門管理リスク」の選定)、リスク対応計画の進捗確認を行います。なお、「総合リスク委員会」での審議結果は取締役会で審議しております。
「azbilグループCSR推進会議」は部門の責任者等をメンバーとして四半期に一度実施しており、リスクマネジメントの推進状況について確認・検討を行っております。リスク対応計画の進捗確認を総合リスク委員会よりも高頻度に行うことで、タイムリーな状況変化に対応できるようにしております。
(2)リスクマネジメントプロセスの運用
当社では、経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクの網羅的な抽出と影響度及び発生可能性の評価を行っております。具体的には、経営層に対するヒアリングによる経営目線でのリスクの抽出・評価と、総合リスク管理部会での審議に基づく現場目線でのリスクの抽出・評価を行い、結果をリスク一覧表(抽出されたリスクの内容と評価結果を一覧化した資料)とリスクマップ(リスクを影響度と発生可能性に基づき5×5のマトリックスに配置した資料)に取りまとめます。なお、リスクの評価にあたってはリスク発生時の影響金額やリスクの発生頻度等に基づく定量的な評価基準を設定し、評価結果を客観的に比較・統合できるようにしております。上記のアウトプットを参照資料として「総合リスク委員会」にて経営層によるワークショップ形式の審議を行い、「azbilグループ重要リスク」及びそれ以外の「部門管理リスク」を選定します。選定結果については取締役会に提出され、審議のうえ最終決定されます。
抽出された各リスクに対しては、期初に年間のリスク対応計画を策定し、期中と期末に行われる「総合リスク委員会」にて計画の進捗報告を行い、計画の遅延や推進上の課題を都度認識・改善することでPDCAサイクルを回しております。「azbilグループ重要リスク」についてはリスク毎に担当役員が直接状況報告を行いますが、「部門管理リスク」については、計画の進捗状況を集約した台帳ベースで確認を行います。また、四半期に一度実施される「azbilグループCSR推進会議」では、より高頻度にリスク対応計画の進捗確認を行っております。
<リスクマネジメントプロセス>
<リスクマップ>
影響度と発生可能性でリスクをプロットすることにより、
管理すべき優先順位を視覚的に把握する
(3)事業等のリスク
今回選定されたazbilグループ重要リスクに関する詳細は以下の通りです。
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①品質に関するリスク |
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リスク認識 製品の設計・製造品質の確保不足、あるいは量産工程における教育不徹底や意識不足等によるデータの不備や不適合品等が発生した場合、製品不具合によるリコールが必要となり、多額のコストが事業の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社の事業上の強みが「高い品質」にあることから、上記の事象が顧客からの評価や信用の低下を引き起こし、影響が重大化もしくは長期化する可能性も考えられます。昨今ではSNSの普及により品質トラブルを含む風評が広まりやすく、当該リスクの影響度及び発生可能性が以前よりも高まっているため、常に経営としてできる限りの備えが必要だと認識しております。 |
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対策 当社グループでは、製品の設計・製造品質を確保するための対策として、開発プロセスや安全設計に関する標準の運用や、生産現場の各工程で不適合品を「①入れない②つくらない③出さない」ための標準手順の策定・運用、安全な製品提供のための審査制度、適正な検査作業工程維持のための生産ラインの管理・改善、グループワイドでの業務プロセス点検といった取組みを行っております。また、法規制の変化に対応するため、製品に含有する化学物質規制や、製品安全関連の法規制・規格等について製品開発時や量産段階における確認プロセスを標準化し、厳格化しております。 製品品質に関わる重大な問題が発生した場合、市場品質情報として即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映や設計知識データベースへの登録を行い、再発防止に努めております。なお、製造物責任や製品欠陥に起因する損害賠償につきましては、保険に加入するなど問題発生に際しての備えも強化しております。 品質管理対応に関連する情報は、グループ品質保証担当役員を委員長とした品質保証委員会をはじめとする会議体にて共有・可視化されるように努めております。 |
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②情報セキュリティに関するリスク |
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リスク認識 当社グループでは、事業上の重要情報及び事業活動の過程で入手した個人情報や顧客、取引先、提携先等の機密情報を保有しておりますが、昨今、国内外ではGDPR(EU一般データ保護規則)等に代表される個人情報を主体とする各種情報の保護に対する法令の制定が進んでおり、遵守とそのためのルール整備や情報システムの強化が求められております。これらに関連するリスクとして、 ①メールやFAXの誤送信、パソコンや書類の紛失等により、顧客から受領した機密情報や従業員の個人情報が漏えいするリスク ②クラウドサービス間のAPI等による情報連携において不適切な情報を公開(提供)してしまうリスク ③データサービスにおいて顧客(企業)や個人を特定できる状態でデータを利用、提供してしまうリスク などが存在しており、その結果として、損害賠償の支払いなど、社会的な信用の低下により業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 また、情報セキュリティに関しては、サイバーセキュリティ室による商品・サービスから業務システムまでの一貫した管理・対策を中心に対応を図っておりますが、新たなサイバー攻撃の手口が絶えない現在の状況において、想定外の攻撃による以下のリスクを完全に防ぐことは難しいと考えております。 ①ランサムウェアや標的型攻撃等のサイバー攻撃により顧客及び自社の機密情報が漏えいするリスク ②当社グループが顧客に提供しているクラウドサービス商品がサイバー攻撃を受け、サービス提供不能や顧客の機密情報漏洩を起こしてしまうリスク その結果として、損害賠償の支払いや顧客・社会からの信用喪失により、当社グループの業績及び財政状態が大きく影響を受ける可能性があります。当社グループでは2020年度に発生したコンピューターウイルス感染の事態を重く受け止め、日々変化する状況に対応して、情報セキュリティ対応の高度化に一層努めてまいります。 |
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対策 事業上の重要情報の機密保持とあわせて、個人情報保護に関しての法令遵守のため、社内規程の整備と運用及び社員への教育を行っております。具体的には、 ①PCストレージの暗号化 ②メール誤送信防止アドインソフトのインストール ③社内から社外へのインターネットアクセス制限による情報漏洩リスク軽減 ④azbilグループ情報セキュリティ教育での啓蒙(誤送信防止の注意ポイント、情報紛失時の対応等) ⑤グループとして緊急事態対応の体制を整備・迅速な対応による影響最小化 の対策をとっております。 また、当社グループでは、激化するコンピューターウイルス等によるサイバー攻撃に対する備えとして、より強固なIT環境の整備や社員の情報リテラシー(情報活用能力)を高めるための定期的な教育等を継続して行うとともに、様々なサイバー攻撃に対して、以下のような対策を行っております。 ●システム上の対策 ①ネットワーク経路上の監視・防御 ②生産設備とオフィス系ネットワークの分離 ③システム及び利用PCのマルウェア対策(新たにEDR※1を導入してセキュリティ強化) ●体制・運用 ①適切なバックアップによるデータ消失対策 ②azbilグループ情報セキュリティ教育での啓蒙・訓練(マルウェア感染が疑われた際の対応等) ③CSIRT※2の設置による初動対応の迅速化 さらに、商品セキュリティに対しては、セキュリティ専門組織によるリリース前のサイバーセキュリティ審査を実施し、セキュリティ事故を未然に防止するようにしております。リリース後も新たな脆弱性情報を収集し、脆弱性が発見された場合は商品への影響調査・対策を実施する運用をしております。 以上のような情報セキュリティに関するリスクへの対応を、azbilグループ情報セキュリティ基本方針のもと遂行してまいります。
※1EDR(Endpoint Detection and Response):PCやサーバーなどネットワークに接続されている端末を監視し、不審な挙動を検知するとリアルタイムに通知する製品・サービスの総称 ※2CSIRT(Computer Security Incident Response Team):当社のセキュリティ事故対応チーム |
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③技術・商品開発に関するリスク |
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リスク認識 近年、メタバース※3やWeb3.0※4、生成型AI※5等といったDXの先端的な潮流に代表される技術革新は目覚ましく、その流れをキャッチアップできないことにより事業に影響が生じる可能性があります。具体的には、商品の陳腐化と顧客離れが進み、市場からの撤退を迫られるリスクや、事業領域が広がらず、縮小均衡に陥ってしまい事業成長できないリスクが想定されます。また、研究開発投資について、現時点では適切なテーマ設定に基づく技術・商品開発プロジェクトへの人的、資金的リソースの投入を行っておりますが、開発テーマを継続的に確保するための対応が不十分な場合、中長期的には開発テーマ不足に至る可能性があり、リニューアル商品、新規商品が不足し、中長期目標の達成が不達になることが考えられます。加えて、製品・技術の研究開発を進めていても、研究開発プロセスの管理不備やリソース不足、開発力自体の低下が生じた場合には、新製品の投入遅延や開発自体の失敗によってマーケットシェアが減少し、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
※3メタバース:一つの仮想空間内において、様々な領域のサービスやコンテンツが生産者から消費者へ提供される場 ※4Web3.0(ウェブスリー):ブロックチェーンによる相互認証、データの唯一性・真正性、改ざんに対する堅牢性を基に、個人がデータを所有・管理し、中央集権不在で個人同士が自由に繋がり交流・取引する世界 ※5生成型AI:自らの訓練に使用されたデータを基に、テキストや写真、動画、コード、データ、3D画像等の出力を生成又は作成する人工知能アルゴリズム |
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対策 技術革新に対しては、関連技術動向、競合動向、国際標準動向を各開発組織やマーケティング組織で継続して注視しております。加えて、全社マーケティング・開発横断で実施される技術開発担当役員を議長とした商品力強化会議にて情報の捕捉や課題認識に努め、全社開発検討会では、より具体的なテーマ(AI、クラウド、通信、カスタムIC等の領域)について、取組み状況を確認しております。 技術・商品開発の具体的なテーマの抽出においては、ニーズ・シーズマッチング活動※6等により、マーケティング・開発一体でのテーマ創出活動を強化・推進しております。外部環境変化への対応の必要性も捉えるために、特に海外開発拠点であるアズビル北米R&D株式会社や東南アジア戦略企画推進室による海外の技術開発パートナーとの連携によるエコシステム構築への対応も進めております。また、“現場で価値を創る”ことを目指した商品提案力強化のため、azbilグループシステム・プロダクト事業ポートフォリオ検討タスクを構成して対応を進めております。具体的な施策としては、保有する技術の競争優位性を高めるためにMEMSを主力としたセンシングデバイス領域、アクチュエータ領域、クラウド領域における組織体制変更を行い、技術開発本部組織改定によるMEMS開発・生産の機能強化、アクチュエータ開発本部の設立、プロダクト事業強化としてスパイラル型事業開拓※7組織の設立、システム事業強化としてクラウドサービスの統制を担う組織を設立しております。 研究開発プロセスの管理不備による開発遅延に対しては、開発プロセス標準の改良(リスク要因の抽出プロセスの設定、リスク検証における管理技術の導入による後戻り防止や遅延リスクの事前検討、伝承すべき技術要素のドキュメント化等)を実施しております。また、技術開発担当役員を委員長とした技術委員会を活用した、更なる全社での開発の連携強化や人材リソース配置の調整によるリソース確保を実施しております。 中長期的な開発力向上については、開発プロジェクト推進の根幹となる開発人材(マネジメント及びスペシャリスト等)の育成が必要であり、開発人材の最適配置と育成、開発人材の流動化に関する企画立案と施策展開として、技術委員会傘下の開発系人材専門部会によるタレントマネジメントシステムの導入・運用等の実行により、強化を進めております。また、イノベーションを起こす風土づくりを推進するため、国内外における外部連携(大学やスタートアップ企業等)の拡大や全社研究開発の中核拠点である藤沢テクノセンターに新たに建設された新実験棟に協創エリアを設置するなど、協創活動をより一層強化しております。
※6ニーズ・シーズマッチング活動:ニーズ(消費者が求めている必要性)とシーズ(メーカの持っている特別な技術や材料)のマッチングを推進する活動 ※7スパイラル型事業開拓:当社独自の技術を有し、強みを発揮できる領域において、顧客を含む関係者とともに開発を進め、より短いスパンでの市場投入、その後の維持、リニューアルを実現することを目指す事業開拓 |
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④国際情勢変化への対応に関するリスク |
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リスク認識 グローバル事業の拡大に伴い、進出先における政治経済情勢の変化、現地の法律や規制等の改正、自然災害、テロ、ストライキ、戦争等の発生や米中貿易摩擦、ロシア・ウクライナ情勢、台湾情勢等の地政学的リスクの増大、感染症の蔓延等、不測の事態に遭遇する危険性が増しております。そのような中、主要国における経済措置等を原因とした対立の激化や予期せぬ戦争状態の発生、それに対する各国の制裁措置等が発動された場合に、当社のグループ企業の従業員の安全性が損なわれる可能性があることに加え、事業、与信管理も含めた業績及び財政状態に一定の影響が出る可能性があります。 また、国際情勢環境の変化に伴い、関連する国内外の輸出管理関連法令等の動向については、当社グループが予期しない突発的な法制、規制や承認手続きなどの変更に直面するリスクがあります。 加えて、急激又は大幅な為替レートの変動は、売上高、原材料・部品の価格、販管費等の経費に影響し、当社グループの業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。 |
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対策 当社グループでは、進出先の各国・各地域の地政学的リスクの変化に十分な注意を払い、常に情報の収集に努めております。そのうえで、国毎にリスクを判断し、必要な場合には人命安全マニュアル等に基づく人命第一の対策を講じております。また、事業継続に対するリスクについては、国際情勢の変化等を踏まえたBCP(Business Continuity Plan-事業継続計画)の整備を進めているほか、特定地域におけるシナリオプランニング等、当社グループにとって致命的な影響を及ぼすイベントについて重点的な検討を行っております。加えて、既獲得案件については案件単位で状況を把握し、適切に対応しております。 輸出管理関連法令等については、国際情勢及び国内外の関連法規制の変化に十分な注意を払い、常に情報の収集に努めております。法規制の変更があった場合には、輸出取引審査をより慎重にするなど社内の運用体制の見直しなどを実施し、適正な輸出管理を行っております。かかる法規制の変化や運用体制の見直しなどの取組みについては、当社グループ内に周知徹底するとともに、グループ内の各種会議体においても報告や議論を行っております。 為替変動に対しては、適切な財務上の為替ヘッジを行いつつ、海外生産の拡大等によるリスク軽減に取り組んでおります。 |
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⑤自然災害に関するリスク |
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リスク認識 当社グループのBA事業、AA事業の国内生産拠点(製造子会社を含む)や、マザー工場として生産機能の中核となる湘南工場、海外の生産拠点において、地震・津波、噴火といった自然災害や火災・爆発など不測の事態が発生した場合、建屋や生産設備・機械、出荷前の製品等の損傷に対して復旧費用が必要となる可能性があります。また、自社の生産ラインに加えて社会インフラやサプライヤーにも被害が生じ、工場生産や事業活動が停止することによって業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。 |
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対策 当社グループでは地震等の自然災害の発生時に生じる損害を最小限に抑えるべく、人員や生産設備等に求められる対応準備を進めております。具体的には、工場等の重要施設や建物における耐震化、非常用電源や非常用通信網の整備、災害備蓄品の配備に加え、社員の安否確認システムの導入や各拠点における安全確保のため初動対応ガイドラインの作成、定期的な防災訓練や初期消火訓練といった対策を行っております。 また、事業の中断、阻害に対処するためのBCP策定にも取り組んでおり、実効性を確保できるよう継続的に改善を進めております。災害による事業停止に対しては対応可能な事業継続期間を検証し、そのために必要な資金及び製品や部品の在庫の確保、最優先業務を継続するための代替拠点の設定とその体制を整備しております。具体的には、生産と研究開発部門の再編や、主要生産品目を国内他地域及び中国とタイの海外工場へ移管するなど、生産拠点の分散化を図ることにより、拠点集中リスクの軽減を図ってまいりました。さらに、首都圏の活動制限等のロックダウン相当の事態を想定した生産対応計画を策定しております。 |
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⑥人材の確保・育成に関するリスク |
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リスク認識 今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に誘発される事業構造の変化に対しては、既存の人事制度にとらわれない柔軟かつ適切な人材配置の必要性が高まる可能性があります。 また、少子高齢化や多様性の進展、働き方改革をはじめとした新労働法制の施行等を受けて労働者の意識や絶対数に変化が生じており、今まで通りの人材採用戦略を継続することによって、中長期的な人材不足が発生し、事業のパフォーマンスが慢性的に低下する可能性があります。 加えて、当社グループの成長においては海外事業及び新規事業の展開・拡大が不可欠であり、目的に合致した人材の確保やスキル教育等が順調に進捗しない場合には、事業成長目標の達成を阻害する要因となる可能性があります。 |
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対策 当社グループは、「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という普遍の考え方をベースに、「健幸経営」をスローガンに各種人事施策を展開しております。 事業構造の変化に対しては、2012年度以降、全社員の10%に相当する人員の再配置及び新しい部署で必要となるスキル・知識のリスキリングを行うことで、環境変化への柔軟な対応力を持つ社員の確保に努めております。さらに2018年度からは新たな人事制度として全社員の異動意向調査やオープンチャレンジ制度(希望する部署への異動制度)を導入し、適材適所の人材配置を計画的に進めております。また、特にスキル・知識レベルの高いベテラン社員のスペシャリストに関しては、その技術・ノウハウ継承に向けて、個人毎に後継者育成計画を立案し遂行しております。 採用環境の変化に対しては、事業側と人事部が一体となった人員計画に基づく採用活動の強化に加えて、DX化による業務改革やアウトソースを活用した適正負荷配分、65歳以上の雇用延長、ベテラン社員のリスキリング、短日数・短時間勤務制度の導入等を通じて生産性を向上しています。 海外事業や新規事業の展開に必要な人材の確保に関しては、従来の新卒採用やキャリア採用に加え、社員紹介や経験者の再雇用といった手法を有効に活用するとともに、新卒採用のうち10%は海外出身者を採用するなどの対策を実施しております。また、海外現地法人の採用強化策として、本社における採用方法・ノウハウを各現地法人に順次に展開しており、その一環として、海外大学からのインターンシップ学生の受入れや国内大学から海外現地法人への送出しを積極的に行っております。 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,969億3千万円(前連結会計年度は2,869億5千万円)と、前連結会計年度比3.5%の増加となりました。
売上高につきましては、2,784億6百万円(前連結会計年度は2,565億5千1百万円)と、前連結会計年度比8.5%の増加となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比10.7%増加の312億5千1百万円(前連結会計年度は282億3千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比8.9%増加の321億4千万円(前連結会計年度は295億1千9百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比8.8%増加の226億2百万円(前連結会計年度は207億8千4百万円)となりました。
(単位:百万円)
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
増減率 |
|
受注高 |
286,950 |
296,930 |
9,979 |
3.5% |
|
売上高 |
256,551 |
278,406 |
21,854 |
8.5% |
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営業利益 (利益率) |
28,231 (11.0%) |
31,251 (11.2%) |
3,020 (0.2pp) |
10.7%
|
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経常利益 |
29,519 |
32,140 |
2,621 |
8.9% |
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親会社株主に帰属する (利益率) |
20,784 (8.1%) |
22,602 (8.1%) |
1,818 (0.0pp) |
8.8%
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当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて168億2千1百万円増加し、資産合計で2,968億7千3百万円となりました。これは主に、売上債権等が109億6千4百万円、棚卸資産が84億8千2百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて140億8千2百万円増加し、負債合計で909億9千3百万円となりました。これは主に、信託型従業員持株インセンティブ・プランの導入に伴い当社株式を取得するための必要資金を信託スキームにより借り入れたことなどにより長期借入金が33億2百万円増加したことに加え、製品保証引当金が24億3千5百万円、未払法人税等が19億3千4百万円、仕入債務が17億1千4百万円それぞれ増加したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて27億3千8百万円増加し、純資産合計で2,058億8千万円となりました。これは主に株主資本が、取締役会決議に基づく自己株式の取得により99億9千9百万円、配当金の支払いにより86億1千4百万円、信託型従業員持株インセンティブ・プランにおける当社株式の取得及び売却により33億6千4百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により226億2百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の71.5%から68.3%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は131億1千8百万円となり、前連結会計年度に比べて29億9千7百万円の増加となりました。これは主に、売上高及び受注高の増加を背景に当連結会計年度において売上債権の計上及び棚卸資産が増加したものの、税金等調整前当期純利益が増加したことに加えて、前連結会計年度においては当社の標準支払条件の変更により仕入債務の支払額が一時的に増加していたことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は19億7千7百万円となり、前連結会計年度に比べて20億1千3百万円の支出の減少となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が増加したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は196億9千4百万円となり、前連結会計年度に比べて8億9千万円の支出の減少となりました。これは主に、一部の海外子会社において短期借入れによる収入が増加したことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より66億5千8百万円減少し、712億3千2百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ビルディングオートメーション事業 |
46,442 |
107.9 |
|
アドバンスオートメーション事業 |
37,373 |
118.8 |
|
ライフオートメーション事業 |
34,250 |
113.7 |
|
報告セグメント計 |
118,065 |
112.8 |
|
その他 |
- |
- |
|
合計 |
118,065 |
112.8 |
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
|
ビルディングオートメーション事業 |
135,311 |
102.1 |
82,877 |
110.3 |
|
アドバンスオートメーション事業 |
113,968 |
104.0 |
53,427 |
126.1 |
|
ライフオートメーション事業 |
49,646 |
106.0 |
20,125 |
116.6 |
|
報告セグメント計 |
298,927 |
103.5 |
156,430 |
116.1 |
|
その他 |
56 |
104.0 |
0 |
133.0 |
|
消去 |
(2,053) |
- |
(401) |
- |
|
連結 |
296,930 |
103.5 |
156,029 |
116.2 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ビルディングオートメーション事業 |
128,561 |
107.3 |
|
アドバンスオートメーション事業 |
103,988 |
110.3 |
|
ライフオートメーション事業 |
47,915 |
108.3 |
|
報告セグメント計 |
280,464 |
108.6 |
|
その他 |
56 |
103.9 |
|
消去 |
(2,115) |
- |
|
連結 |
278,406 |
108.5 |
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの会計上の見積りに与える影響は軽微と判断しております。
(請負工事に関する収益認識)
請負工事契約については、履行義務の充足に係る工事の進捗度を合理的に見積もり、履行義務を充足する一定の期間にわたり収益を認識しております。工事の進捗度の見積りは主に、当連結会計年度末までに実施した工事に関して発生したコストが見積総原価に占める割合に基づく方法(インプット法)によっております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗度について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当金残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境は、国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、換気改善、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も着実に増加いたしました。生産設備向けの各種計測制御機器・システムにつきましては、第3四半期以降、半導体製造装置など一部の市場において市況が悪化いたしましたが、新型コロナウイルス感染拡大時における設備投資低迷からの緩やかな回復や工場・プラントのDX化に向けた需要の拡大を受けて、通期での設備投資需要は高い水準を維持しました。
その結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。
受注高は、ビルディングオートメーション(BA)事業が首都圏における都市再開発案件や海外での需要回復を主因に増加しました。アドバンスオートメーション(AA)事業は一部の製造装置市場が減速しましたが、製造業全体では需要が継続し、受注が増加しました。加えてガス・水道メータ分野での受注拡大を主因にライフオートメーション(LA)事業も増加したことから、全体として前連結会計年度比3.5%増加の2,969億3千万円(前連結会計年度は2,869億5千万円)となりました。また売上高につきましても、前年度における受注増加を背景にBA事業・LA事業が増加し、部品調達難への対応、生産能力の強化により、AA事業の売上高が第2四半期以降、回復、増加に転じたことから、3事業全てで増加し、前連結会計年度比8.5%増加の2,784億6百万円(前連結会計年度は2,565億5千1百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画施策に沿った研究開発費の計上に加えて、部品調達難に伴う費用や経費の増加等がありましたが、増収及び収益性改善により前連結会計年度比10.7%増加の312億5千1百万円(前連結会計年度は282億3千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比8.9%増加の321億4千万円(前連結会計年度は295億1千9百万円)となり、特別損失にて製品保証引当金繰入額※1を計上する一方で投資有価証券の売却益を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比8.8%増加の226億2百万円(前連結会計年度は207億8千4百万円)となりました。
※1 製品保証引当金繰入額:
当社グループが製造したLPガスメータ(LA事業)の一部に発生した不具合に対応するため、製品保証引当金繰入額(24億9千5百万円)を特別損失として計上しております。
セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、首都圏における都市再開発案件や工場向け空調の需要が継続しています。省エネ・CO2排出量削減に対する需要も継続しており、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応したビル環境に対する新たなソリューションへの関心も高まっています。また、海外市場においては、新型コロナウイルス感染症による建築計画順延・工事遅延等の影響からの着実な回復が見られました。
こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。
この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、前連結会計年度における複数年サービス契約の更新の反動がありましたが、堅調な市場環境を背景に、新築大型建物向けに機器・システムを販売・施工する分野と海外事業が伸長しました。また、換気改善、省エネ・CO2排出量削減等のソリューション需要の高まりから既設建物の改修に関する分野も増加し、全体としては前連結会計年度比2.1%増加の1,353億1千1百万円(前連結会計年度は1,325億1千1百万円)となりました。売上高は、前連結会計年度末における受注残を背景とする新築大型建物向け分野の増加及び海外事業の伸長を主因に、あわせて既設、サービス分野も増加したことから、前連結会計年度比7.3%増加の1,285億6千1百万円(前連結会計年度は1,197億6千4百万円)となりました。セグメント利益は、研究開発費やその他経費の増加がありましたが、増収及び採算性改善施策の効果により前連結会計年度比16.0%増加の160億7千4百万円(前連結会計年度は138億6千2百万円)となりました。
中長期的には大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されています。BA事業では、納入実績等を基にこれらの需要を確実に獲得してまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2排出量削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する換気・入退室管理等の安全・安心ニーズ、さらには利便性や快適性を備え、新しい働き方にも適応するオフィス需要等に対し、リモートメンテナンス、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、DXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
|
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
増減率 |
|
受注高 |
132,511 |
135,311 |
2,800 |
2.1% |
|
売上高 |
119,764 |
128,561 |
8,796 |
7.3% |
|
セグメント利益 (利益率) |
13,862 (11.6%) |
16,074 (12.5%) |
2,211 (0.9pp) |
16.0%
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アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、第3四半期以降、第2四半期までにあった先行発注の反動や半導体製造装置市場の市況悪化がありましたが、コロナ禍からの緩やかな回復もあり、製造業全般では設備投資が高い水準を維持しました。
こうした事業環境のもと受注は引き続き高い水準を維持しました。売上高及びセグメント利益については、前年度から続く部品調達難の影響を第1四半期で大きく受けましたが、第2四半期以降、部品調達難に改善が見られるとともに、製品の設計変更をはじめとした各種の対策により、生産の回復が着実に進み、第3四半期・第4四半期は前年同期を大きく上回る改善を実現しました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、製造業全般における設備投資需要の回復による増加や継続した海外での事業拡大により、前連結会計年度比4.0%増加の1,139億6千8百万円(前連結会計年度は1,095億6千2百万円)となりました。売上高は、部品調達難の影響を受けましたが、生産・調達面での対策により徐々に回復し、通期では前連結会計年度比10.3%増加の1,039億8千8百万円(前連結会計年度は942億7千6百万円)となりました。セグメント利益は、当連結会計年度全般を通じて部品価格高騰の影響を受けましたが、収益性改善の取組みに加えて、第2四半期からの生産回復による増収により前連結会計年度比10.1%増加の145億7千9百万円(前連結会計年度は132億3千6百万円)となりました。
AA事業では、短期的には半導体製造装置市場を中心に市況悪化の傾向が見られますが、豊富な受注残を背景に生産の回復に伴う売上高及びセグメント利益の改善が今後見込まれます。また、中長期的には、海外での顧客カバレッジの拡大を通じて継続した事業成長が見込まれ、また人手不足、脱炭素化への対応、新技術の導入による生産性向上等を目的とした生産ラインの自動化に係る投資の拡大、すなわち工場向けオートメーション市場の拡大が期待できます。引き続き3つの事業単位※2(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、脱炭素社会に向けた対応等の新しいオートメーションが求められるなか、先進的なオートメーションの展開を通じて、更なる事業成長を目指してまいります。
(単位:百万円)
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
増減率 |
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受注高 |
109,562 |
113,968 |
4,406 |
4.0% |
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売上高 |
94,276 |
103,988 |
9,711 |
10.3% |
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セグメント利益 (利益率) |
13,236 (14.0%) |
14,579 (14.0%) |
1,342 (△0.0pp) |
10.1%
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※2 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリング・サービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス(都市ガス/LPガス)・水道等のライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメータ市場が循環的な不需要期にあります。一方、ライフサイエンスエンジニアリング分野では、製薬プラント設備への投資が継続しています。こうした事業環境を背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフライン分野での増加を主因に前連結会計年度比6.0%増加の496億4千6百万円(前連結会計年度は468億4千5百万円)となりました。売上高は、受注増加によりライフライン分野が増加し、ライフサイエンスエンジニアリング分野も前連結会計年度における受注増加を背景に増加したことから、前連結会計年度比8.3%増加の479億1千5百万円(前連結会計年度は442億3千8百万円)となりました。セグメント利益は、増収ながら、欧州におけるインフレの影響を主因として人件費・経費が増加し、素材価格高騰、エネルギーコスト・輸送費も増加したことにより前連結会計年度比48.9%減少の5億8千8百万円(前連結会計年度は11億5千1百万円)となりました。
LA事業では、ライフサイエンスエンジニアリング分野において欧州における急速なインフレ進行による費用増加の影響が懸念されますが、適切なコスト管理、価格転嫁等に取り組んでまいります。また、LPガスメータの一部に発生した不具合については、対策実施に関わる費用として製品保証引当金繰入額を特別損失として計上しております。LA事業におきましては、品質管理も含め、抜本的なコスト管理を通じて収益の安定化に取り組んでまいります。なお、これらと並行しつつ、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メータからのデータを活用したサービスプロバイダとしての新たな事業の創出にも取り組んでまいります。
(単位:百万円)
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
増減 |
増減率 |
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受注高 |
46,845 |
49,646 |
2,801 |
6.0% |
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売上高 |
44,238 |
47,915 |
3,677 |
8.3% |
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セグメント利益 (利益率) |
1,151 (2.6%) |
588 (1.2%) |
△562 (△1.4pp) |
△48.9%
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2023年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定、目標達成に向けた取組みを進めております。持続可能な社会の実現に向けて、現在、様々な社会課題やお客様の課題が生まれており、こうした課題への解決策を提供できるオートメーションの役割が拡大、需要の増加が期待されます。中期経営計画では、こうした事業機会を捉え、当社グループならではの技術・製品・サービスを活かした新たな課題の解決策を提供することにより自らの持続的な成長を目指しております。
当社グループを取り巻く次期の事業環境は、部品不足・価格高騰影響の一部継続やインフレの拡大、地政学リスクの高まりなど、不透明な状況が継続すると思われます。大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は引き続き堅調さが見込まれますが、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましては、半導体製造装置市場等における市況悪化が継続するものと思われます。
2023年度の業績につきましては、こうした事業環境の不透明さを前提としつつも、期首における豊富な受注残を、前年度における調達・生産プロセスの改善により着実に売上高へ転化することにより引き続き増収を計画いたします。利益面につきましても、これまで取り組んできた事業収益力強化施策に加え、DX推進を通じた業務効率化や適切な価格転嫁の進捗により、研究開発・設備・人的資本等への成長投資による経費負担増を上回る増益を目指します。
BA事業では、大型建物向けの空調制御機器・システムの需要が引き続き高い水準で推移しております。こうした事業環境のもと、新築建物における期首受注残の積み上がりと、収益性の良い既設建物の改修需要並びにサービスの拡大を背景に、下期では前年同期の売上高水準をやや下回るものの、年度を通して全体で増収を見込みます。一方、セグメント利益につきましては、外注費用等の増加により若干の減少となる見込みです。
AA事業は、製造業の設備投資需要に不透明感がありますが、豊富な受注残を背景に、前年度における調達・生産プロセスの改善のもと、着実に売上を計上することで増収を見込みます。セグメント利益についても、増収並びに価格転嫁を含めた収益力強化の取組みにより増益を計画いたします。
LA事業は、期首受注残の状況やガス・水道メータにおける需要動向から、売上高はほぼ前年度並みとなる見込みですが、市場環境変化に対する抜本的なコスト管理を推進し、プロジェクト管理の強化や価格転嫁によりセグメント利益は改善を見込みます。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
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(単位:億円) |
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2023年3月期 実績 |
2024年3月期 見通し |
増減 |
増減率 |
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ビルディング |
売上高 |
1,285 |
1,300 |
14 |
1.1% |
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セグメント利益 (利益率) |
160 (12.5%) |
156 (12.0%) |
△4 (△0.5pp) |
△2.9%
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アドバンス オートメーション事業 |
売上高 |
1,039 |
1,060 |
20 |
1.9% |
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セグメント利益 (利益率) |
145 (14.0%) |
155 (14.6%) |
9 (0.6pp) |
6.3%
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ライフ |
売上高 |
479 |
480 |
0 |
0.2% |
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セグメント利益 (利益率) |
5 (1.2%) |
9 (1.9%) |
3 (0.6pp) |
52.8%
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その他 |
売上高 |
0 |
1 |
0 |
75.7% |
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セグメント利益 (利益率) |
△0 (△2.6%) |
0 (0.0%) |
0 (2.6pp) |
-
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連結 |
売上高 |
2,784 |
2,820 |
35 |
1.3% |
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営業利益 (利益率) |
312 (11.2%) |
320 (11.3%) |
7 (0.1pp) |
2.4%
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経常利益 |
321 |
321 |
△0 |
△0.1% |
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親会社株主に帰属 する当期純利益 (利益率) |
226 (8.1%) |
238 (8.4%) |
11 (0.3pp) |
5.3%
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③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は88億1千2百万円で、前連結会計年度末に比べて7億6千6百万円増加しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は108億4千4百万円、研究開発費の総額は123億7千1百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする長期目標※として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画※においては、最終年度に売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。
※ 2021年5月14日、当社グループは長期目標、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。
該当事項はありません。
事業環境や技術動向の変化を捉え、フィールド機器とシステムソリューション、及び、その融合による計測・制御技術の一層の強化に取り組んでおります。
・フィールド機器
MEMS※1技術の深化と先端技術原理の応用、AI技術も備えた自律的に処理できるセンシングデバイス。
・システムソリューション
操業現場で得られたビッグデータを処理し、AI技術により複雑な現象を人に分かりやすく伝え、全体最適を行う技術。
・IoT・DX(デジタルトランスフォーメーション)によるフィールド機器とシステムソリューションの融合
フィールド機器のネットワーク化、システムのクラウド化、フィールドとシステムを融合するネットワークの強化。
※1 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器。
特にクラウドやAIを活用した先進的なソリューションと計測制御機器、及び高機能・高性能なMEMSセンサの研究・開発の場として藤沢テクノセンターを整備(2022年5月竣工)することで研究・開発を推進しております。
これらの技術を融合することで成長事業領域と位置付ける「新オートメーション」「環境・エネルギー」「ライフサイクル型事業」の3領域で競争力のある製品・サービスを生み出してまいります。
3つの成長事業領域において実現するデバイス・アプリケーション、ソリューション例
・ニューノーマルな働き方に対応する新空調システム・セル型空調システムネクスフォートTMDD
・生産設備の安定化・保安化を実現するクラウド型バルブ解析診断サービス
・温室効果ガス排出量の算定・可視化クラウドサービス
・大規模施設のCO2排出量削減GX(グリーントランスフォーメーション)ソリューション
各事業分野においては、以下の開発を推進してまいります。
・ビルディングオートメーション事業
「建物ライフサイクルを通じたカーボンニュートラル」、「建物設備管理の省力化・高度化」、「新しい働き方に対応した建物執務空間の生産性・ウェルネス向上」、これらの実現に貢献する製品及びクラウドサービスの開発。
・アドバンスオートメーション事業
AI、IoT活用により生産設備の安全、効率運用をリモートで実現するクラウドサービスの開発。
・ライフオートメーション事業
エネルギー・インフラの維持の省力化からビッグデータ収集・活用による新サービスの開発。
研究開発体制といたしましては、米国のシリコンバレーに設置した研究開発拠点及び欧州グループ会社による、日本、米国、欧州の3極体制で技術・商品開発を行っております。
・米国の研究開発会社においては次世代計測技術を実現する技術開発の推進及びIoT等の最新の技術動向調査や国際標準活動。
・欧州ではアズビルテルスター有限会社との協創による製薬関連施設や医療機関等に提供する商品力強化。
生産技術としては、高度なパッケージ技術を強みとした次世代MEMSセンサの生産技術の強化、機械・システムの知能化技術による新生産ラインやAIを導入した自動化技術による多品種少量生産、カスタマイズ生産を実現し、多様化する顧客ニーズに応える高付加価値生産を実現してまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は12,371百万円(売上高比4.4%)となりました。
各セグメント別の研究開発費及び主な成果は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
研究開発費 (百万円) |
主な成果 |
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ビルディングオートメーション事業 |
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国際的な成長戦略コンサルティング及びリサーチ会社であるFrost & Sullivan (フロスト・アンド・サリバン)から、2022年 東南アジア スマートビルディングソリューション カンパニー オブ ザ イヤー アワードを受賞 |
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オフィスビルをはじめとした大規模な施設のCO2排出量を削減し、社会全体のカーボンニュートラル実現に向け、NTTグループ及びダイキン工業株式会社と空調制御に関する協業を開始 |
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アドバンスオートメーション事業 |
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医薬品・医療機器のグローバル展開や強化される法規制等、多様化する市場要求に応じて、製造管理システム構築を顧客が主体で行うことができる「Pharmanage™ V」 |
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高精度、高速応答を実現し、導入から保守までの運用負荷を軽減する「デジタル指示調節計SDC 形 C1A」 |
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MEMS加工技術で半導体製造における薄膜を生成する成膜工程でのデポ※2対策を強化した「サファイア隔膜真空計 形 V8」 |
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ライフオートメーション事業 |
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全館空調システム事業にて培った空気清浄、換気の技術を応用し、PM2.5やウイルス等に起因する住宅内の空気環境に関する懸念を解決する全館空気清浄換気システム「e-kikubari」 |
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その他 |
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合計 |
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※2 デポ:デポジション(Deposition)の略語で「堆積」の意味。ここでは半導体製造の成膜工程で薄膜を生成する際にセンサ表面に付着する生成物を指す。