第2 【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの重要な変更があった事項は、以下のとおりであります。

以下に関しては、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」から変更があった項目を抜粋して記載し、変更箇所を下線で示しております。そのため、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(7) 情報セキュリティ

当社グループは、技術情報、営業情報、個人情報、会社の経営に関する情報等、事業遂行に関連する多数の情報を有しております。当社グループは、関連法令を遵守し、情報の漏洩防止に万全を期すために、情報の管理体制や適切な取り扱い方法等を定めた各種社内規程を制定するとともに、従業員教育、情報管理施策を継続して実行するなど、情報保護の徹底に努めております。また、サイバーセキュリティリスクへの対応強化策として、製品面、情報セキュリティ面各々につき、専門チームを設置しております。

しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用する可能性があり、このような事態が生じた場合、この対応のために生じる多額の費用負担や企業の信頼低下が当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業活動において情報システムの役割は極めて重要であり、当社グループは、情報システムの安定的運用に努めておりますが、コンピュータウイルス、サイバー攻撃、ソフトウェアまたはハードウェアの障害、災害、テロ等により情報システムが機能しなくなる可能性が皆無ではありません。

 

補足事項(不正アクセスによる個人情報等の漏えいについて)

2024年3月、当社グループが利用しているクラウドサービスが外部から不正アクセスを受け、取引先及び当社グループの従業員等の一部の個人情報等が、外部者により不正に閲覧された、または閲覧されたおそれがあることが判明しました。

当社は、当該クラウドサービスで不審な動作を認知した後、個人情報保護委員会へ報告を行うとともに、専門の調査会社及び弁護士と連携して被害状況の調査を進めてまいりました。また、不正アクセスに対しては、発覚後速やかに侵入経路を特定し、同様の手口での不正アクセスが発生しないよう対応しております。

現在、被害状況の調査は終了しており、調査結果に基づき情報漏えいのおそれがある取引先及び個人に対して順次通知を行うとともに、個別の問い合わせ対応等を行っております。なお、現時点では、個人情報の不正利用等の二次被害は確認されておりません。

本件が当社グループの今後の財政状態または経営成績に与える影響については、引き続き精査中です。

当社グループは、これまでも情報セキュリティ対策に取り組んでおりますが、当社グループの機密情報、取引先及び従業員の情報をより一層保護するために、類似の不正アクセスへの防止策を講じるなど、更なるセキュリティ対策の強化に取り組んでまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

① 事業全体の状況

当中間連結会計期間の世界経済は、総じて緩やかな回復基調にある一方で、海外における金融引締めや物価上昇、地政学的リスクの高まり等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続きました。

このような状況下で、当社グループは、中期経営計画(2024~2026年度)の基本方針「社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出し、グローバルトップのソリューションパートナーへ」の下で、持続的な成長の実現に向けて、基盤事業の収益力強化、新規事業の領域拡大、経営変革・人財強化・サステナビリティ強化等の施策に取り組み、グローバルトップのソリューションパートナーを目指して社会課題解決への貢献に努めてまいりました。

売上高については、POSシステム及び複合機の売上が増加したことや為替の影響などから、2,891億72百万円(前中間連結会計期間比10%増)となりました。損益については、複合機の利益が増加したことに加えて、米州を中心に海外市場向けPOSシステムの損益も改善したことなどから、営業利益は94億73百万円前中間連結会計期間比60%増)、経常利益は85億12百万円前中間連結会計期間比132%増)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益については、当社グループの複合機及びオートIDシステムの開発及び製造に関する事業を当社と㈱リコーとの合弁会社であるエトリア㈱に、当社グループのインクジェットヘッド事業の全てを理想科学工業㈱の完全子会社である理想テクノロジーズ㈱に、それぞれ承継させたことに伴い、持分変動利益及び事業譲渡益を特別利益に計上したことなどから、266億8百万円(前中間連結会計期間比244億45百万円増)となりました。

なお、中間配当については、上記の業績や経営環境等を総合的に勘案した結果、2024年5月10日の2024年3月期決算発表時の配当予想のとおり、1株当たり20円の配当を実施させていただきます。

 

② 各報告セグメントの状況

(リテールソリューション事業)

国内及び海外市場向けPOSシステム、国内市場向けオートIDシステム、並びにそれらの関連商品等を取り扱っているリテールソリューション事業は、競合他社との競争激化が続く厳しい事業環境の中で、グローバルリテールプラットフォーム「ELERA」及び戦略的パートナーシップによるソリューションビジネスの拡大、リカーリングビジネスの強化、当社の機器だけでなく他社のIT機器をカバーする保守サービス(BPO)の拡充に加え、新規事業の領域拡大のための顧客基盤の拡大等に取り組んでまいりました。

国内市場向けPOSシステムは、原材料の高騰、物価上昇の影響により厳しい状況が続きましたが、セルフレジ、決済端末、スマートレシート等の拡販に注力し、製品価格、保守サービス価格の改定等の施策に取り組んだことに加え、改刷対応に伴う特需もあって、売上は増加いたしました。

海外市場向けPOSシステムは、米州を中心に売上が増加したことに加えて、為替の影響もあって、売上は増加いたしました。

国内市場向けオートIDシステムは、特定顧客向けを中心にポータブルプリンタ等の販売が伸長しましたが、高級機種の販売が減少したことなどから、売上は減少いたしました。

この結果、リテールソリューション事業の売上高は、1,648億66百万円(前中間連結会計期間比10%増)となりました。また、同事業の営業利益については、国内市場向けPOSシステムの利益が実質的には前中間連結会計期間並みであったものの為替によるマイナス影響により減少しましたが、海外市場向けPOSシステムの損益が米州を中心に改善したことなどから、15億10百万円(前中間連結会計期間比68%増)となりました。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

国内及び海外市場向け複合機、海外市場向けオートIDシステム、国内及び海外市場向けインクジェットヘッド、並びにそれらの関連商品等を取り扱っているワークプレイスソリューション事業は、働き方改革・オフィスのDX推進による印刷量の減少、競合他社との競争激化が続く厳しい事業環境の中で、基盤事業の収益力強化に注力し、MFPソリューション事業、オートIDソリューション事業及び顧客サポートビジネスの展開等に取り組んでまいりました。

なお、当社は、当社グループの複合機及びオートIDシステムの開発及び製造に関する事業をエトリア㈱に、当社グループのインクジェットヘッド事業の全てを理想テクノロジーズに、それぞれ2024年7月1日付で承継させました。複合機及びオートIDシステムについては、販売部門はエトリア㈱への承継対象に含まれておらず、当社グループの販売体制に変更はありませんので、当中間連結会計期間の売上への影響は僅少であります。一方、インクジェットヘッドについては、販売部門を含む全事業を理想テクノロジーズに承継させたため、2024年7月1日以降は、インクジェットヘッドに関する売上は当社グループの売上に含まれておりません。

複合機は、海外での販売が好調であったことに加え、為替の影響もあって、売上は増加いたしました。

海外市場向けオートIDシステムは、全地域で販売が増加したことや為替の影響により、売上は増加いたしました。

インクジェットヘッドは、前記のとおり、その事業の全てを2024年7月1日付で理想テクノロジーズ㈱に承継させたことから、売上は減少いたしました。

この結果、ワークプレイスソリューション事業の売上高は、1,264億94百万円(前中間連結会計期間比9%増)となりました。また、同事業の営業利益は、売上高の増加、これまでに実施した構造改革・構造転換の効果、及び為替の影響等により、79億62百万円(前中間連結会計期間比59%増)となりました。

 

(注)オートIDシステムとは、ハード・ソフトを含む機器により、自動的にバーコード、ICタグなどのデータを取り込み、内容を識別・管理するシステムをいいます。

 

(2)財政状態

当中間連結会計期間の資産は、前連結会計年度に比べ59億3百万円増加し、3,434億12百万円となりました。これは主に、流動資産の「現金及び預金」が84億76百万円、「受取手形、売掛金及び契約資産」が60億86百万円、「商品及び製品」が25億90百万円、「原材料及び貯蔵品」が40億98百万円、固定資産の「有形固定資産」が39億76百万円減少しましたが、流動資産の「その他」が77億67百万円、投資その他の資産の「投資有価証券」が242億60百万円増加したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度に比べ98億95百万円減少し、2,313億77百万円となりました。これは主に、流動負債の「1年内返済予定の長期借入金」が12億38百万円、「未払法人税等」が22億94百万円、固定負債の「長期借入金」が10億33百万円増加しましたが、流動負債の「支払手形及び買掛金」が11億11百万円、「その他」が97億81百万円、固定負債の「退職給付に係る負債」が29億61百万円減少したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度に比べ157億99百万円増加し、1,120億35百万円となりました。これは主に、「利益剰余金」が配当金の支払いにより13億23百万円、「為替換算調整勘定」が65億87百万円、「非支配株主持分」が14億87百万円減少しましたが、「利益剰余金」が親会社株主に帰属する中間純利益により266億8百万円増加したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

営業活動については、税金等調整前中間純利益353億64百万円減価償却費88億72百万円、棚卸資産の減少額が60億87百万円となった一方で、持分変動利益211億51百万円事業譲渡益56億54百万円法人税等の支払額34億56百万円その他125億67百万円となったことなどから、69億75百万円の収入(前中間連結会計期間は67億74百万円の収入)となりました。

投資活動については、事業譲渡による収入64億36百万円となりましたが、有形固定資産の取得による支出82億89百万円無形固定資産の取得による支出15億78百万円となったことなどから、34億32百万円の支出(前中間連結会計期間は63億64百万円の支出)となりました。

これによりフリー・キャッシュ・フローは35億43百万円の収入(前中間連結会計期間は4億10百万円の収入)となりました。

財務活動については、長期借入れによる収入55億53百万円となりましたが、長期借入金の返済による支出31億58百万円ファイナンス・リース債務の返済による支出21億26百万円配当金の支払額13億22百万円となったことなどから、20億2百万円の支出(前中間連結会計期間は38億85百万円の支出)となりました。

以上の結果、当中間連結会計期間の当社グループの資金(中間連結キャッシュ・フロー計算書の「現金及び現金同等物」)残高は、前連結会計年度と比べ13億72百万円増加となりましたが、連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額98億48百万円となったことから、401億5百万円となりました。

 

 

(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

また、当中間連結会計期間において、新たに発生した当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は、126億85百万円であります。

当中間連結会計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、以下のとおりであります。

 

(リテールソリューション事業)

研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

前記のとおり、当社グループの複合機及びオートIDシステムの開発及び製造に関する事業をエトリア㈱に、当社グループのインクジェットヘッド事業の全てを理想テクノロジーズに、それぞれ2024年7月1日付で承継させたことに伴い、同日以降、以下に記載のテーマは、研究開発の対象から外れることとなりました。

・デジタル複合機に関する電子写真技術、光学設計技術、原稿送り機構技術、プリントコントローラ技術、画像形成技術等

・インクジェットヘッド技術

 

(7)従業員数

当中間連結会計期間の末日における当社グループの従業員数は、前連結会計年度の末日から3,217名減少し、15,876名となりました。

これは、前記のとおり、当社グループの複合機及びオートIDシステムの開発及び製造に関する事業をエトリア㈱に、当社グループのインクジェットヘッド事業の全てを理想テクノロジーズ㈱に、それぞれ2024年7月1日付で承継させたことに伴い、ワークプレイスソリューション事業の従業員数が減少したことが、主な要因であります。

なお、従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。

 

(8)主要な設備

前記のとおり、当社グループの複合機及びオートIDシステムの開発及び製造に関する事業をエトリア㈱に、当社グループのインクジェットヘッド事業の全てを理想テクノロジーズ㈱に、それぞれ2024年7月1日付で承継させたことに伴い、提出会社の静岡事業所の機械装置等の一部、並びに在外子会社のうち東芝アメリカビジネスソリューション社の複合機等の生産設備の一部、及び東芝テック深圳社、東芝テックヨーロッパ画像情報システム社、東芝テックマレーシア製造社の設備が減少しております。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、当社グループが締結した経営上の重要な契約は、以下のとおりであります。

契約会社名

相手先の名称

相手先の所在地

契約品目

契約締結日

契約期間

契約内容

東芝テック㈱

理想テクノロジーズ㈱

日本

吸収分割契約

2024年4月23日

当社のインクジェットヘッド事業を、理想科学工業㈱の完全子会社である理想テクノロジーズ㈱に吸収分割の方法で承継させることを目的とした契約

㈱テックプレシジョン

理想テクノロジーズ㈱

日本

吸収分割契約

2024年4月23日

当社の完全子会社である㈱テックプレシジョンのインクジェットヘッド事業を、理想科学工業㈱の完全子会社である理想テクノロジーズ㈱に吸収分割の方法で承継させることを目的とした契約