第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営理念と企業ミッション

当社グループは、経営理念に「社会と共に、顧客と共に、従業員と共に、成長する企業」と掲げ、日々の事業活動を行っています。「エネルギーの変換効率を極限まで追求することにより、人類と社会に貢献する」という企業ミッションのもと、半導体技術、回路技術、実装技術をあわせ持つ製造企業として、これらの技術を融合し、発展・応用させていくことで、脱炭素社会実現の一翼を担う製品を創造してまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

昨今、市場のニーズや価値観が多様化する一方、地球温暖化など気候変動や、資源枯渇といった地球規模で進行しつつある社会的課題は、市場経済にも影響を及ぼし始めています。このような状況下、当社が果たすべき役割を土台に、企業として“ありたい姿”を定めた長期的な経営ビジョンを策定し、それらに紐づく施策を中期経営計画や年次経営計画と連動させることで、中長期にわたる持続的な成長サイクルを確立してまいります。

 

<長期ビジョン2030>

当社グループは、時代に適合した製品ポートフォリオを構築し、社会的課題の解決に貢献することが、持続可能性(サステナビリティ)が要求される現代において企業価値の向上に資するものと考えております。

これらを踏まえ、以下の通り2030年度を見据えた長期ビジョンを策定いたしました。

 

<長期ビジョン2030 ありたい姿>

革新的な技術によって地球環境に配慮した先進的なソリューションを生み出して持続可能な社会に貢献し、あらゆるステークホルダーから必要とされ続けるパワーエレクトロニクスカンパニー

 

長期的な観点で、「脱炭素社会のキーパーツとなるパワーデバイス」「ヒトと環境の未来を託されるモビリティソリューション」「全事業のコア技術を融合した環境ソリューション」を創出し、環境貢献をより重視した製品ポートフォリオを継続的に整備してまいります。あわせて、持続的成長の前提となる安定的な経営基盤を構築するために資本効率を重視し、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資等を含む経営資源の最適配分を進めてまいります。

 

<第17次中期経営計画>

2022年度から2024年度までの第16次中期経営方針では、長期ビジョンに掲げたありたい姿を実現するための基盤づくりを完了させることに主眼を置き取組みを進めてまいりました。しかし、中国における景気停滞をはじめ外部環境の大きな変化への対応に追われ、課題を残す結果となりました。一方、モビリティ分野における電動化普及を見据えて製品開発を進めてきた伸長事業においては、電動化普及時期が2030年以降になると想定されるなか、時間軸に合わせた製品ポートフォリオの見直しを実施いたしました。

このようななか第17次中期経営計画では、「強固な事業基盤の確立と資本効率の向上により成長ステージへ」を方針に掲げました。新たな中期経営計画の始動に際し全社的な機構改革に着手し、この体制のもとデバイス事業の収益改善を筆頭に足もとの課題を早急にクリアし経営基盤を整えるとともに、将来核となる事業・製品を確立させるなど長期戦略を実行してまいります。具体的には下記4項目を掲げ事業を進めてまいります。

 

・稼ぐ体質づくり

設計・調達・製造販売のトータルパッケージで収益性を高める仕組みを構築する。

・成長分野へのリソース集中投下

将来核となる事業・製品へリソースを集中的に投下し、2030年までに事業の柱へと育成する。

・ターゲット市場の開拓

インド市場の開拓に向け優先的にリソースを配分し、事業部門、非事業部門を問わず全社で総力をあげて挑む。

・サステナビリティ経営の推進

事業活動と人財投資を積極的に進めることで環境貢献製品を社会へ提供し、脱炭素社会の実現に向け持続的な成長サイクルを構築する。

 

これらの方針を推進するため、戦略的なリソース配分を実施するとともにキャッシュアロケーション・財務戦略を強化することにより、資本コストや株価を意識した経営を推進し、2027年度末までにPBR1倍以上を目指してまいります。

 

<2027年度の経営目標(連結)>

・売上高 1,200億円

・営業利益率 5.0%

・ROE 6.0%

 

・設備投資額(3ヶ年累計) 300億円

・研究開発費(3ヶ年累計) 145億円

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組

①ガバナンス及びリスク管理

当社グループでは、中長期的な企業価値向上に向け、サステナビリティ基本方針を定め、事業活動を行っております。

 

<サステナビリティ基本方針>

新電元グループは、『企業ミッション』の実践とともにESG(環境・社会・ガバナンス)経営を積極的に推進します。持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な視点での企業価値の向上に努めます。

ついては、以下を推進します。

・『環境ビジョン』を掲げ、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」 の実現に貢献します。

・人権と多様性を尊重し、ステークホルダーエンゲージメントの向上を図ります。

・人材育成と社内環境整備を通じて、「安心・安全」で働きがいのある職場づくりに努めます。

・公正かつ透明性の高い経営を行い、幅広いステークホルダーの信頼と期待に応えます。

 

企業活動そのもので環境・社会に貢献する重要な課題について機会・リスク分析を行い、サステナビリティマテリアリティとして「環境配慮型製品による価値提供」「事業活動と環境との調和」「多様で、働きがいのある職場づくり(ウェルビーイング)」「持続的かつ公正・透明性が高い経営基盤の強化」の4つを特定しております。中期経営計画と連携し、これらのサステナビリティマテリアリティを実践していくことで、環境・社会課題に貢献し、持続可能な企業価値を創出いたします。

これらを実行するために代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、当委員会の配下に関連委員会を組織することでサステナビリティに資する課題を統合的に管理することにくわえ、BCM(Business Continuity Management)委員会において「防災・事業継続基本方針」のもと、国内外のグループ会社からのリスク情報の収集と発信の機能を一元管理することで迅速な初動対応ができる体制を整えております。

 

また、サステナビリティ基本方針に沿って的確に取組みを進めていくため、サステナビリティマテリアリティの実践を主眼に置いた目標策定と評価を行っており、その達成度合いの検証・評価・総括結果を次年度の指標に反映しております。

 

ガバナンス体制の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

②指標及び目標

サステナビリティ基本方針に沿って的確に取組みを進めていくため、下表のとおり、マテリアリティの項目ごとに取組みと指標、目標(KPI)を定めております。

 

マテリアリティ

取組み

指標

目標(KPI)

2025年度

2026年度

2027年度

環境配慮型製品による価値提供

当社製品使用による脱炭素貢献

当社製品使用によるCO2削減貢献量(連結)

700,000t-CO2

750,000t-CO2

780,000t-CO2

事業活動と環境との調和

事業活動における温室効果ガス排出量の削減(基準年2021年)

Scope1,2排出量削減率(連結)

32.0%

35.0%

37.0%

Scope3排出量削減率(連結)

11.0%

13.0%

16.0%

資源再利用と廃棄物削減

廃棄物リサイクル率(国内)

99.9%

99.9%

99.9%

水資源の保全

取水量(連結)

※103期有価証券報告書より開示予定

多様で、働きがいのある職場づくり(ウェルビーイング)

安全衛生の確保

重大な労働災害件数※1(単体)

0件

0件

0件

健康経営の推進

定期健康診断受診率(単体)

100.0%

100.0%

100.0%

多様な人財の活躍

20代の従業員における女性比率(単体)

23.0%

24.0%

25.0%

男性育児休暇取得率(単体)

100.0%

100.0%

100.0%

障がい者雇用率(単体)

2.50%

2.50%

2.70%

人財育成

キャリア研修時間(年間1人あたり 単体)

40.0時間

41.0時間

42.0時間

柔軟な働き方の拡充

SDKエンゲージメント指数(単体)

64.0

65.0

66.0

人権尊重

人権関連研修受講率(単体)

100.0%

100.0%

100.0%

持続的かつ公正・透明性が高い経営基盤の強化

経営資本の強化、適切な情報開示と透明性の確保

ガバナンス、コンプライアンス強化

 

リスクマネジメントの推進(BCM・情報セキュリティ・知的財産・輸出入管理等)

DX戦略の実践

知財戦略の実践

ものづくり改革の実践

サプライチェーンにおける人権尊重

※1 不休も含む一時に3人以上の労働者が業務上死傷又は罹病した災害

 

(2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応状況

①ガバナンス

当社の取締役会は、当社グループにおける気候変動関連のリスク及び機会を含む経営上の重要事項に関して審議・決定しております。くわえて、取締役の業務執行状況について適宜報告を受けており、適切に管理・監督されるよう体制を整えております。

BCM委員会は、気候変動問題を含む事業継続の有効性について確認し、環境委員会は、環境に係わる方針および目的・目標の審議、気候変動問題をはじめとする地球環境保護に関する諸施策の協議並びに進捗状況確認などを担っております。また、環境委員会の下部機関として、専門的立場より調査・検討し、具体案を答申するための専門部会を設置しております。

これら組織の活動状況はサステナビリティ委員会を通して適宜取締役会に報告され、コーポレート・ガバナンスの充実ならびにサステナビリティ活動の強化に努めております。

当社グループは「長期ビジョン2030」にて会社のありたい姿を「革新的な技術によって地球環境に配慮した先進的なソリューションを生み出して持続可能な社会に貢献し、あらゆるステークホルダーから必要とされ続けるパワーエレクトロニクスカンパニー」と定めております。気候変動を社会的な重要課題であると認識するとともに、事業上のリスクおよび機会として捉え、CO2排出量削減活動や循環型ビジネスの拡大などの取組みを長期的かつ継続的に強化してまいります。

 

②戦略

気候変動対策を経営戦略に反映するため、TCFD提言に沿ってシナリオ分析を実施しました。なおシナリオ分析には、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の示す2℃未満シナリオ、4℃シナリオを参照しております。

分析の結果、2℃未満シナリオでは、脱炭素社会に向けた規制強化や技術革新が促され、気温上昇が持続可能な範囲で収まり、脱炭素化に向けた政策転換、技術革新、評判の変化など、移行リスク・機会への対応が推進されると考えられます。4℃シナリオでは、CO2を削減する有効な対策が打ち出されず、気温上昇が継続し、異常気象の激甚化など、物理的リスク・機会への対応が最重要課題になると考えられます。いずれも当社グループにとって、コストの増加が懸念される一方、環境対応型製品の需要拡大が想定されるため、ビジネスの裾野は広がりをみせると捉えております。

現時点で想定している主なリスク、機会、対応策および財務影響は下表のとおりです。なお、事業活動に与える財務影響度合を「大」「中」「小」の3段階で評価しました。

 

<移行リスク・機会>

想定項目

リスク●/機会◎

対応策

財務影響

政策

各国のエネルギー政策促進(xEV進展、補助金拡大など)

●脱炭素・低炭素エネルギー利用が促進されることにより、購入エネルギー費用などの事業コスト負担が増える。
●内燃エンジン車の利用を禁止する政策に伴い現行の関連製品が衰退する。
◎xEV進展により、各種パワー半導体、制御ユニット、コンバータ、EV充電器等の需要が増加する。
◎空調・サーバー向けにダイオード等の需要が増加する。

環境配慮型製品の開発リソースを強化する。
工場で使用するエネルギーの効率化、物流の最適化、更なる省エネにつながる高効率設備の導入等を推進する。

炭素税の導入

●炭素税の導入または炭素税率の上昇によりコストが増加する(再生可能エネルギーの購入によるコスト増、サーチャージUPによる輸送コスト増など)。
●内燃エンジン車の利用を禁止する政策に伴い現行の関連製品が衰退する。
◎xEV進展により、各種パワー半導体、制御ユニット、コンバータ、EV充電器等の需要が増加する。
◎空調・サーバー向けにダイオード等の需要が増加する。

製品の小型化、軽量化、再生材料の使用拡大など資源効率を向上させる。
工場で使用するエネルギーの効率化を図る。

技術

脱炭素化に向けたマーケット要求の変化、製品開発への影響

●エネルギー関連技術の開発競争が激化し、設備投資や研究開発費が増加する。
●脱エンジン化の加速により現行の関連製品は販売機会を逸する。
◎AI・IoT・スマートシティなど、制御の高度化、デジタル技術の拡大、再生可能エネルギーの導入、EV化の増加等が想定され、関連製品の需要拡大につながる。
◎社会の脱炭素化により、環境配慮型製品の需要が増加し、事業拡大につながる。

カーボンニュートラル部材を調達する。
工場、事業所の自然エネルギー利用比率を向上させる。
更なる低炭素化に向けた製品の企画・開発を強化する。

評判

顧客・投資家による評価の変化

●気候変動への対応が不十分な場合、収益の悪化や資金調達が困難となる。
◎環境負荷に考慮した製品ニーズが増加し収益が拡大する。顧客、投資家から当社の評価が上がり、企業価値が向上する。

環境負荷低減製品のPRや気候変動を含む環境課題に関する取組みを積極的に開示する。
工場や事業所にて使用するエネルギーを再生可能エネルギーに切り替える。

 

 

<物理的リスク・機会>

想定項目

リスク●/機会◎

対応策

財務影響

急性

異常気象の激甚化(風水害の多発)

●風水害による操業停止、生産減少、設備復旧や保険料UP等コスト発生、サプライチェーン寸断による納期遅延などにより、収益を悪化させる。
◎風水害対策用の発電/蓄電関連製品の需要が拡大する。
◎災害からの復旧・復興需要やBCP対策投資活性化に伴い通信用電源や発電/蓄電等の関連製品の需要が増加する。

部品調達から生産・販売までのサプライチェーン全体で事業継続計画(BCP)体制を強化する。
暴風、豪雨、浸水対策および訓練を実施する。
サプライヤーや輸送手段の多角化を進める。
発電/蓄電関連製品や耐水・耐熱性に優れた製品の開発を進める。

慢性

降水パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇

●洪水あるいは水不足等により生産能力が減少する。
●暑熱対策による空調等のコスト増や電力需要逼迫による停電の発生が収益を悪化させる。
◎降水パターンの変化など気候変動の慢性的な影響が顕在化することにより、発電/蓄電、xEV、空調市場の需要が増える。

部品調達から生産・販売までのサプライチェーン全体で事業継続計画(BCP)体制を強化する。
高効率生産設備、自家発電設備等を導入する。
発電/蓄電関連製品や耐水・耐熱性に優れた製品の開発を進める。

 

③リスク管理

取締役会および環境委員会は、気候変動に関連する規制や当社グループの事業運営に影響を及ぼすリスク要因について幅広く情報収集するとともに、気候変動によってリスクが顕在化すると想定される事象については、その影響を評価しリスクの最小化に向けて対策を講じるなど、適切に管理しております。

また、気候変動関連リスクを含む全ての業務リスクについては、BCM委員会において評価し、適宜、取締役会に報告を行っております。くわえて、事業継続計画(BCP)に基づき、自然災害などによって通常の状態では事業の遂行が困難になった場合に備えて実践的なBCP訓練を実施するなど、企業としての防災力、事業継続力の更なる向上に努めております。

 

④指標及び目標

地球環境保護への取組みを経営の重要課題の一つと位置づけ、長期的な視点から持続可能な地球環境と社会の実現に向けた活動をグループ一丸となって推進することを目的に「環境ビジョン2050」を策定しました。当社グループが目指す持続可能な社会を「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」と定め、自社グループの事業活動のみならず、2050年を目標にバリューチェーン全体を視野に入れた環境負荷の最小化を目指します。また「環境ビジョン2050」に向かう道標として、「2030年度 環境目標」を合わせて設定し、当社グループが特定したSDGsマテリアリティの実践を通じて環境貢献を加速いたします。

 

 

 

(3)人的資本経営の取組み状況

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当社は「社会と共に、顧客と共に、従業員と共に、成長する企業」を経営理念に掲げ、人の成長が企業の価値創造の源泉であり、多様で自律的な知と知の融合が新たな価値創造と持続的な成長をもたらすと捉えて人的資本経営に取り組んでおり、『個人の成長と組織の活性化』を目指して『つながり』をテーマとした人財戦略を展開しています。

 

人財戦略『個人の成長と組織の活性化』

多様な従業員一人ひとりが働きがいを感じて自発的に能力を発揮できるよう、そして自律的な個人の知と知が融合して新たな価値を創出していくよう環境を整えることを目指し、人財戦略は『個人の成長と組織の活性化』を目標としています。

 

テーマ『つながり』

当社の人的資本経営の構成は「人権尊重」「安全と健康」を基盤とし、人財戦略の主要課題「人財育成」「多様な人財の活躍」「柔軟な働き方の拡充」と合わせて5つの分野から成ります。そしてコロナ禍や在宅勤務で薄れつつある人と人のつながりや部門間のつながりを再生することを目指し、『つながり』をテーマとして掲げています。

 

①人財育成

当社では労働人口の減少傾向を受けて優秀な人財の確保が重要な課題となってきており、第二新卒の採用など採用の多様化を進めると同時に、若年層の定着率の向上と後継者育成を図るべく、各種キャリア研修やリスキリングにより能力を発揮する場を拡げるキャリア形成支援を行っており、社内副業制度も進めていきます。新入社員研修、入社2年目・3年目研修、資格別研修、職種別研修、職位別研修に加え、公募制の財務研修やマーケティング研修などの自己啓発型教育研修を実施するとともに、自己申告制度や社内公募制度により一人ひとりのキャリア形成を支援しています。また、外国語研修や若手社員の海外研修などにより益々グローバル化する事業をリードしていく人財を育成しています。くわえて、発明、発案、公的資格取得における褒賞制度を設け、研究開発の向上や多様な職場、職務において従業員一人ひとりの活躍を推進しています。

重点指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

キャリア研修時間(年間1人あたり)

40.0時間

44.4時間

40.0時間

 

②多様な人財の活躍

a.女性のキャリア形成支援

当社では、男女差なく活躍できる多様な働き方を推進するため、女性従業員比率を高め、活躍の場の機会を広げていきます。従業員の出産および産前産後の健康管理について各種休暇や育児時間・健康管理時間を設け、育児休業や介護休業の制度を拡充するとともに男性の育児休業取得を奨励しています。

 

重点指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

新卒採用女性比率

30.0%

25.7

20代の従業員における女性比率

23.0

男性育児休業取得率

80.0%

81.5

100.0

その他関連指標の2024年度実績は以下のとおりです。

・女性従業員比率  (単体) 11.3% ・女性従業員比率  (連結) 39.4%

・女性管理職比率  (単体)  0.9% ・女性管理職比率  (連結) 11.2%

 

b.シニアの活躍推進

当社グループでは、60歳定年退職者の再雇用制度により65歳まで継続雇用を行っています。また当社では2022年9月より定年を65歳に延長して有能な経験者を確保し、社内副業やリスキリングにより活躍する機会の拡大を推進しています。

 

c.障がい者雇用と活躍の促進

当社グループでは障がい者の雇用促進とともに入社後のフォローにより活躍を推進しています。

重点指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

障がい者雇用率

2.50%

2.58

2.50

 

d.外国籍従業員の活躍推進

当社グループでは、事業のグローバル化に伴い海外の従業員数が国内の従業員数を上回るなか、当社グループ人権方針を通じて異なる価値観や経験を互いに尊重し、従業員一人ひとりの個性を最大限に活かす機会を提供することで、社会の変化に対応した新しい価値観やビジネスの創造と従業員の精神的な豊かさの追求につながると考えています。

 

e.マイノリティ平等の実現

当社グループでは、ダイバーシティ研修などにより認識を高めマイノリティ平等の実現に努めています。

 

③柔軟な働き方の拡充

a.エンゲージメントの向上

タレントマネジメントシステムにて運用する自己申告制度を活用して独自のエンゲージメント指数を設定し、年代や職場に対応した施策へ展開することにより、指数の向上を目指しています。

重点指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

SDKエンゲージメント指数

60.0

63.1

64.0

 

b.職場の心理的安全性の向上

コミュニケーションの活性化を促す施策とともに、出社日の設定など在宅勤務の普及により薄れつつある『つながり』の再生を図っています。

 

c.ワークライフバランスの充実

フレックスタイム勤務制度を併用した在宅勤務制度、勤続年数に応じたリフレッシュ休暇、有給休暇5日/年の取得義務化、残業上限時間の設定など働きやすい環境の充実に取組んでいます。

 

④人権尊重

当社グループは、人権方針にて「人権配慮に関する国際的な価値観を尊重し、人権に関する認識を高め、人権尊重に向けた取り組みを推進していきます」と掲げています。人権リスク防止策としてハラスメント研修およびダイバーシティ研修などの人権関連研修を実施するほか、サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスを定期的に実施するなど人権リスクアセスメントを実施しています。

重点指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

人権関連研修受講率

100.0%

99.4

100.0

 

 

⑤安全と健康の推進

当社グループでは、安全衛生活動の推進を重要課題に掲げ、労働安全衛生の継続的な改善を図り、従業員の安全と健康に配慮した職場環境を整備しています。

当社朝霞事業所および一部グループ会社は労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001の認証を取得し、これとともに当社グループを包括する労働安全衛生方針を制定しています。また、2024年度は健康経営優良法人2025の認定を取得いたしました。

なお、当社朝霞事業所は「CASBEE建築評価認証Sランク」「ZEB Ready」「CASBEEウェルネスオフィスSランク」と建築物の代表的な評価・認証の3つ全てを取得し、「安全・安心、環境、健康・快適性」を評価されています。

重点指標

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

健康経営優良法人認定

2025年認定取得

2025年認定取得

2026年認定継続

 

(4)知的財産に関する取組み状況

当社グループは知的財産を会社の重要な経営資源と位置付け、企業価値の向上と持続的成長の実現を目指して以下の基本方針に基づき行動します。

 

知的財産に関する基本方針

•知的財産に関わる各種法令を遵守します。

•知的財産権を適切に管理・取得・保護・活用します。

•第三者の知的財産権を十分に尊重しながら事業を展開します。

 

また、第17次中期全社知的財産方針を以下の通り策定いたしました。

 

第17次中期全社知的財産方針

「攻めの知的財産戦略~経営資源の源泉である知的財産を強化しステークホルダーの信頼に応える~」

 

当該方針を達成するため知的財産部門・事業部門・研究開発部門が三位一体となり知財ミックス戦略や知財ポートフォリオの可視化・強化などに取組みます。また、グループ間での知的財産関連活動の連携や、開放特許を通じたアライアンスによる新規市場開拓などの諸施策を講じ、知的財産をリスクマネジメントの域に留まらず、当社事業の競争優位性確保と強化に役立てます。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特注品および特定市場への依存

当社グループの営業収入の過半は、特定顧客企業による特注品によって占められており、顧客企業の需要変動により、当社グループの業績が重要な影響を受ける場合があります。

また、当社グループでは、二輪車を含む自動車市場への依存度が高く、一般的に国内外の景気動向に対し、強い影響を受け、収益性の低下を引き起こすリスクがあります。

このような事態を回避するため、当社グループは、重点市場と位置付ける二輪車を含む自動車市場のほか、産業機器市場、家電市場、通信インフラや情報機器を中心とする情報通信市場向け等、パワーエレクトロニクスを必要とするあらゆる市場に対し製品を提供することで、リスクの分散化を図っております。

(2)特定のグループ外供給元への依存

当社グループは、電源回路製品の基幹部品である半導体を内製化している一方で、ほかの主要部品および半導体の原材料については、複数のグループ外企業の供給に依存しております。したがって、一般的な経済動向およびサプライヤー個別の事由により、需給の急激な変動や価格の高騰が起きた場合には、必要な部材の入手に支障を来し、当社グループが顧客企業に対し供給責任を果たせない、あるいは部材価格高騰による原価の上昇など、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような事態を回避するため、各サプライヤーとの定期的な情報共有や、複数購買の促進により、供給リスクの低減を図っております。

(3)国際的活動および海外進出

当社グループは、日本国内のみならずアジア、北米、欧州の各地域で生産又は販売活動を行なっており、また、様々な販売チャネルを通じ、他の地域にも製品を販売しております。近年、当社グループの海外生産および販売の比重は高まってきております。したがって、当該地域における、予測できない法規制などの改正、政治および経済状況の変動、労働争議や雇用条件の急激な変化、天変地異や火災、戦争やテロ、疫病の流行といった社会情勢の変動などにより、当社グループのサプライチェーンに支障が生じ事業活動が制限される場合があり、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような事態を避けるため、サプライチェーン寸断リスクに備えた体制を強化したほか、定期的に当社グループ間で情報共有を行うとともに、生産面においては複数拠点において代替生産を可能とする体制の構築を進めております。

(4)為替レートの変動

当社グループは、円貨のみならず米ドル、ユーロ、アジア通貨等で販売および調達活動を行っております。また海外の生産および販売拠点は、原則としてその拠点の属する国または地域の通貨によって財務諸表を作成しており、連結財務諸表作成にあたっては、在外関係会社の財務諸表を円換算しております。したがって、為替レートの変動は当社グループの業績および財務状況に影響を与えており、一般的には、円高の場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安の場合は好影響を及ぼします。

当社グループでは、為替予約および通貨オプションなどの取引を行なうほか、進出先での資材調達の促進など為替レートの変動による悪影響を最小限にとどめる努力をしております。

(5)需要変動

当社グループの顧客企業のうち、一部の市場においては、需要動向に固有の変動要因があります。また、産業構造の変化や顧客企業および当社グループの競争環境の変化などが、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすことがあります。

また、近年顧客企業の短納期要請が高まっており、供給リスクを避ける主旨などから一部の材料については先行手配をせざるを得ず、当社グループが独自の判断で調達した棚卸資産については、その後の顧客の需要変動により、当社の責任において処分する場合があり、利益率の低下を引き起こす可能性があります。

このような事態を回避するため、当社グループではリードタイムの短縮につとめるほか、市場動向の変化に迅速に対応するため、関連部門が定期的な情報共有を行っております。

(6)価格競争

当社グループが属する電子部品業界における競争は大変厳しいものとなっており、価格に対しては、顧客企業による値下げ要請、競合他社の攻勢などにより、価格下落の圧力は日々強くなっております。特に、デバイス事業や電装事業においては、競合他社の参入により国内外での競争が一段と激化しております。一方、材料費や運送費などコストの上昇により収益性を低下させるリスクもあります。そのため、将来的に価格競争力を維持できない可能性があり、その場合、当社グループは販売シェアが低下し、業績及び財政状態を悪化させる可能性があります。

このような事態を回避するため、当社グループは、差別化しうる新製品の開発を進めるとともに、サプライヤーと一体となったコストダウン活動や生産性の向上に努めております。

(7)技術特許などの知的財産権

当社グループは、独自の半導体技術および回路技術をもとに各種製品を製造・販売しておりますが、特定の国または地域においては知的財産権による完全な保護が不可能な状況にあります。したがって、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを防止できない可能性があります。

また、当社グループの使用する技術が、他社の保有する特許その他の技術的権利に全く抵触しないという保証はなく、その場合、当社の業績および財政状態を悪化させる可能性があります。

そのため、他社が保有または主張する特許などについては、開発段階において徹底した調査を行い、必要に応じて他社とライセンス契約を結ぶなど、回避に努めております。

(8)製品の欠陥

当社グループは、各生産拠点においてISOやIATFといった世界的に認められた品質管理基準に基づき、各製品の製造を行なっておりますが、全ての製品について全く欠陥がなく、将来にわたりリコールや顧客企業からのクレームなどの事態が発生しないという保証はありません。

また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。

大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような重大な製品の欠陥が発生した場合、顧客企業への補償や対策費用などの費用発生に加え、市場における信用の低下などにより、当社グループの業績および財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

このような事態を回避するため、各事業本部では設計上流工程から品質を意識した開発や、顧客の使用方法を再現した製品評価等を実施しています。くわえて事業部門を横断して品質の定期的な連絡会を実施することで、気づきの水平展開に努めております。

(9)新製品開発力

当社グループは顧客企業または市場のニーズに合わせた製品および要素技術の開発を常に行っており、また当社グループの将来的な成長力の鍵は、こうした研究開発活動の成否にかかっていると考えております。しかしながら、エレクトロニクス業界のニーズは多様化しており、また技術や製品のサイクルも短くなってきております。くわえて、とりわけ自動車市場においては電動化、自動運転などの導入により、高度で複雑な技術が必要となってきております。当社グループが顧客企業または市場のニーズに合わせた製品をタイムリーに提供できない場合、または競合他社に先んじられた場合には、当社グループは新製品の販売機会を失うか制限され、それまでの研究開発投資の回収が困難になる可能性があります。

また、近年エレクトロニクス業界でも顕著になってきている標準化競争の如何や、当社グループおよび顧客企業が基盤とする技術が主流となり得なかった場合には、当社グループが事業機会を失う場合もあります。これらのことが、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような事態を回避するため、当社グループでは産学連携など外部の知見の活用により、開発スピードの強化や、事業領域の拡大に向けた取組みを進めております。

(10)人材の確保と育成

当社グループの競争力の源泉は、技術開発力、生産性、品質、営業力および効率的な経営ノウハウなどであり、これらを維持し、また継続的に発展させる人材の確保と育成は、当社グループの将来性を決定づける重要な要素のひとつでありますが、できなかった場合には、当社グループの将来の成長、財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような事態を回避するため、係る人材、特にソフトウエアなど高度なスキルを持つエンジニアや特定の有資格者について、企業買収や国籍を問わない幅広い採用など、その確保および育成に注力をしております。
 

(11)設備投資

当社グループは生産能力および研究開発力の維持・増大のため、設備投資を継続的に行なっておりますが、将来の需要動向によりその額は変化します。設備投資の結果、増強した能力が必ずしも業績に貢献しない場合も想定され、その場合、業績、財政状態およびキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす場合があります。

当社グループは、電装事業においては、二輪車市場が広がるアセアンやインドを中心に生産拠点を置くなど、コスト競争力と効率的な生産活動を追求しております。生産拠点間での代替生産を行う体制整備や在庫の一定水準の保有など、供給責任を果たすべく措置を取るほか、当該生産拠点においては、日常の安全管理および危機管理のための対策を取っております。

(12)公的規制等

当社グループは、事業を展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。当社グループは事業活動を行うにあたり、これらの規制に細心の注意を払っておりますが、規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があり、さらにペナルティを課せられるなど発生費用の増加を伴い、当社グループの業績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

これらの事態を回避するため、当社グループは規制に対する対策を積極的に進めており、全社組織を形成したうえで周知徹底を図っております。

また、当社グループおよび当社グループの顧客企業が事業を行うにあたり、EU(欧州連合)によるRoHS指令(有害物質使用制限に関する指令)をはじめ、環境問題や人権問題などに対応するための様々な規制が国や地域ごとに設けられております。しかしながら、技術やその他の制約により、規制に合致した対策が取れない可能性があり、その場合、当社グループは販売について規制を受けて事業機会を逸し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、規制に対応するための費用が業績および財政状態を圧迫する可能性もあります。

このような事態を回避するため、専門部署を設け、最新の法令改正状況を調査し、対策を講じる体制を構築しております。

(13)災害等のリスク

地震や台風など大規模な自然災害や火災等の事故災害、感染症によるパンデミックの発生などにより、当社グループの建物や設備、従業員等が被害を受け操業停止せざるを得ない事象のほか、経済活動への影響が重大または長期間となった場合、当社グループの業績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、こうした事態に備えたBCP(事業継続計画)を策定し、災害等の発生時における影響を最小限に留めるべく、リスク耐性の強化を図っております。

(14)情報セキュリティ

当社グループは、研究開発や知的財産などの機密情報を有するほか、事業活動を通じて顧客やサプライヤー等の機密情報を入手し、保有しております。また従業員等の個人情報も保有しております。これらの情報の取り扱いにつきましては、新電元グループ情報セキュリティ基本方針に基づき厳正な管理を行っておりますが、不測の事態により情報侵害が発生した場合、当社グループの信用低下や賠償責任等により業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような事態を回避するため、情報セキュリティ委員会を設置し、データ侵害等を想定したセキュリティを強化しリスク低減に努めるほか、規定類の見直しや全従業員へ教育活動を行う等、情報セキュリティの維持向上に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、雇用・所得環境の改善などを背景に国内の消費活動は緩やかに回復している一方、米国の政策動向や中東情勢の不安定化によるエネルギー価格高騰など、様々な要因が複合的に作用し、依然として不透明な状況が続きました。

当社グループは、第16次中期経営計画(2025年3月期までの3ヶ年計画)の経営方針である「稼ぐ体質づくり」、「伸長事業拡大の布石」、「温室効果ガス排出量削減分野へのリソース配分」に基づき事業を展開しました。これらの方針のもと、成長分野であるインドの車載市場などをターゲットとし現地での生産能力拡大と競争力を強化すべく、2027年の新電元インディア第2工場稼働開始にむけた体制構築を進めました。また、デバイス事業の収益性を改善すべく事業構造改革を行い、生産・販売・物流体制の適正化を図るとともに人員削減を行うなど、長期ビジョンの実現に向けた基盤づくりとして諸施策に取組みました。

 

このようななか、当連結会計年度の売上高は中国における景気低迷の長期化を主要因にデバイス事業が減少した一方で、電装事業およびエネルギーシステム事業が堅調に推移したことにより105,830百万円(前期比3.5%増)となりました。損益面では円安効果やエネルギーシステム事業における製品保証引当金の戻入などがあった一方で、原材料価格の高騰やデバイス事業での構造改革に伴う棚卸評価損や除却損の計上などにより営業利益は128百万円(前期比89.9%減)となりました。経常損失は主に為替差損を計上したことから523百万円(前期は1,660百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は繰延税金資産計上に伴い法人税等調整額が減少したものの、デバイス事業の構造改革に伴う特別損失が大きく影響し2,436百万円(前期は712百万円の損失)となりました。

 

第16次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)の最終年度である2024年度の達成状況は以下のとおりです。

指標

2024年度(計画)

2024年度(実績)

2024年度(計画比)

売上高

106,600百万円

105,830百万円

770百万円減(0.7%減)

営業利益率

2.3%

0.1%

 

ROE

2.1%

△3.6%

 

ROA

1.9%

△1.7%

 

 

 

セグメントの業績は次のとおりであり、セグメント間の取引については相殺消去して記載しております。

 

(デバイス事業)

デバイス事業の売上高は31,098百万円(前期比3.6%減)、営業損失は2,247百万円(前期は1,193百万円の損失)となりました。

車載向け製品は堅調に推移した一方で、産機向け製品や家電向け製品は中国における景気低迷や価格競争激化などにより厳しい状況が続き、事業全体では減収となりました。損益面においては、減収影響にくわえて構造改革に伴う棚卸評価損や除却損の計上などが影響し、大幅に減益となりました。

 

(電装事業)

電装事業の売上高は65,541百万円(前期比3.6%増)、営業利益は5,666百万円(前期比19.3%減)となりました。

主力の二輪向け製品がインド・インドネシアにおいて好調を持続したことにくわえ、四輪向け製品の増加や為替相場が円安に推移したことなどもあり増収となりました。損益面においては為替効果があったものの原材料価格の高騰やプロダクトミックスの影響などにより減益となりました。

 

(エネルギーシステム事業)

エネルギーシステム事業の売上高は9,037百万円(前期比36.9%増)、営業利益は1,324百万円(前期は115百万円の損失)となりました。

通信インフラ向け整流装置およびEV充電器が増加し、増収となりました。損益面においては通信インフラ向

け整流装置の増収影響にくわえて、製品保証引当金の戻入により増益となりました。

 

(その他)

その他の売上高は153百万円(前期比12.2%増)、営業利益は42百万円(前期比6.3%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フ ローで2,179百万円減少、投資活動によるキャッシュ・フローで4,528百万円減少、財務活動によるキャッシュ・ フローで186百万円減少した結果、前連結会計年度末に比べ資金は5,942百万円減少し、当連結会計年度末は20,397百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、2,179百万円のマイナス(前期は2,206百万円のプラス)となりまし た。これは、主に減価償却費が5,379百万円となったものの、税金等調整前当期純損失が1,754百万円、仕入債務の減少額が3,543百万円となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、4,528百万円のマイナス(前期は1,776百万円のマイナス)となりま した。これは、主に有形固定資産の取得による支出が4,624百万円となったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、186百万円のマイナス(前期は252百万円のマイナス)となりまし た。これは、主に長期借入金10,000百万円の資金調達をしたものの、長期借入金の約定弁済が7,495百万円、社債の償還による支出が1,027百万円、配当金の支払額が1,340百万円となったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

デバイス事業(百万円)

31,807

△3.9

電装事業(百万円)

66,193

4.3

エネルギーシステム事業(百万円)

8,832

31.5

報告セグメント計(百万円)

106,833

3.5

その他(百万円)

-

-

合計(百万円)

106,833

3.5

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

デバイス事業

30,784

△2.5

6,827

△4.5

電装事業

65,345

2.8

3,621

△5.1

エネルギーシステム事業

8,923

27.8

946

△10.8

報告セグメント計

105,053

2.9

11,395

△5.3

その他

1,049

24.2

255

24.0

合計

106,102

3.0

11,651

△4.8

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

デバイス事業(百万円)

31,098

△3.6

電装事業(百万円)

65,541

3.6

エネルギーシステム事業(百万円)

9,037

36.9

報告セグメント計(百万円)

105,677

3.5

その他(百万円)

153

12.2

合計(百万円)

105,830

3.5

(注)1.セグメント間の取引については含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ピー・ティ・アストラホンダモーター

12,082

11.8

12,175

11.5

3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

a.資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、136,496百万円(前期比8,173百万円減)となりました。これは、主に現金及び預金や投資有価証券が減少したことによるものであります。

負債は70,352百万円(前期比3,400百万円減)となりました。これは、主に支払手形及び買掛金の減少によるものであります。

純資産は、66,144百万円(前期比4,773百万円減)となりました。これは、主に利益剰余金の減少によるものであります。

以上の結果、1株当たり純資産は6,411円20銭となりました。

b.連結損益及び包括利益計算書の分析

当連結会計年度の売上高は105,830百万円(前期比3.5%増)となりました。当社グループを取り巻く環境は、雇用・所得環境の改善などを背景に国内の消費活動は緩やかに回復している一方、米国の政策動向や中東情勢の不安定化によるエネルギー価格高騰など、様々な要因が複合的に作用し、依然として不透明な状況が続きました。このようななか、営業利益は128百万円(前期比89.9%減)、経常損失は523百万円(前期は1,660百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,436百万円(前期は712百万円の損失)となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し

パワーデバイス分野においては、世界経済悪化に伴う急激な需要の減少や、原材料費、物流費高騰による調達コストの増加、競争激化など、外部環境の変化に影響を受けるリスクを伴っております。また、アジアを中心とする二輪車市場においては、需要の急変、為替変動の影響など不安定要素をはらんでおります。さらに、各製品の生産拠点において、日常の安全衛生管理および危機管理のための対策は取っておりますが、予期せぬ天変地異、災害、停電などの事態が発生した場合、その影響を完全に防止または軽減できないことがあります。

足もとの世界経済は、米国においてはインフレの長期化やトランプ政権の保護主義政策による不透明感が増しているほか、中国においては景気停滞に米中対立の激化が追い打ちをかけるなど、多くのリスクをはらんでいる状況が続いております。また日本経済は賃上げ等による所得環境の改善や緩和的な金融環境の継続が下支えとなり緩やかな回復が見込まれる一方で、世界経済の影響を受けて下振れする可能性もあります。

他方、EV化の進展などモビリティ分野を中心にパワーエレクトロニクス製品の需要は中長期的には拡大を見込んでいます。このような環境下、当社グループは、「長期ビジョン2030」及び「第17次中期経営計画」のもと持続的成長と企業価値向上に努めてまいります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローで前連結会計年度より4,386百万円少ない2,179百万円のマイナスとなりました。これは、主に減価償却費が5,379百万円となったものの、税金等調整前当期純損失が1,754百万円、仕入債務の減少額が3,543百万円となったことによるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より2,751百万円多い4,528百万円の資金を使用いたしました。これは、主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より65百万円少ない186百万円の資金を使用いたしました。これは、主に長期借入金10,000百万円の資金調達をしたものの、長期借入金の約定弁済が7,495百万円、社債の償還による支出が1,027百万円、配当金の支払額が1,340百万円となったことによるものであります。

これにより当社グループの有利子負債の残高は40,281百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,378百万円増加いたしました。また、手元資金の残高は前連結会計年度末に比べて5,942百万円減少し、20,397百万円となりましたが、必要な手元流動性は十分に確保されていると考えております。

 

5【重要な契約等】

当社は、京セラ株式会社 (本社:京都府)がパワーデバイス事業を分社型分割し、新たに設立予定の会社の全株式を取得し子会社化することを、2025年5月14日開催の取締役会にて決議いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発体制は、おもに基礎研究および応用技術開発を担当する技術開発センターと、商品開発を担当する各事業部門およびグループ会社の設計・開発部門で構成しております。

企業ミッションである「エネルギーの変換効率を極限まで追求することにより、人類と社会に貢献する」のもと、技術開発センターでは当社グループの主要事業領域に新たな技術を移管していく取組みを続けております。半導体デバイス分野においては、低損失技術の開発、高速・高温動作対応および複合部品化の実装技術開発を主要テーマとして取組んでいます。パワーエレクトロニクス分野においては、主に高効率技術、高密度実装技術および低ノイズ化の研究開発を推進しています。これらの研究課題を解決し、当社のコア技術を活かしたシナジー効果により商品力強化を図るとともに、市場の要求や用途に適した新商品をタイムリーに開発してまいります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は5,821百万円(売上高比5.5%)であり、各セグメントの主な成果および研究開発費は以下のとおりであります。

 

(デバイス事業)

当セグメントの研究開発活動として、ダイオード製品は高性能なブリッジダイオードやサージ吸収用ダイオード、SiCショットキーバリアダイオードの開発を実施しました。ウエハー大口径化と低コスト化を実現する新構造の技術開発を継続し、早期製品化に向けて推進しています。

MOS製品では、車載用の低ノイズ、低Ronの第2世代MOSの耐圧やパッケージへのシリーズ展開の開発を実施したほか、第3世代となる新構造の技術開発を推進しています。またSiCMOSのシリーズ展開の開発を実施しました。

パワーモジュール製品では、xEV用DC/DCコンバータ向けに低ノイズ化を実現したSiCMOSフルブリッジモジュールの開発を実施しました。くわえて顧客対応のフルカスタムモジュールや二輪用のMOSモジュールの開発を推進しています。

IC製品では、理想ダイオードのマルチチップ化の製品開発を実施したほか、48Vバッテリー化対応に向けた製品開発を推進しています。

当事業に係る研究開発費は2,010百万円であります。

 

(電装事業)

当セグメントの研究開発活動として、二輪分野では、内燃機関製品向けに外部センサが不要となるモーター駆動制御や充電制御技術、バイオ燃料の使用を可能にするエンジン制御の確立を推進しています。電動車向け製品では、外部への出力可能なコンバータを搭載したPCUの技術確立に取り組みました。環境負荷低減の一環として低比重樹脂の開発も推進しています。

四輪分野では、プラットフォーム技術を取り入れた高電圧入力・高出力電源の開発を含め、プラットフォーム電源のラインナップ拡充を図りました。また、高電力密度を狙ったモジュールタイプの電源の開発に着手しました。

昨今、必要性が高まっているサイバーセキュリティへの対応を二輪・四輪のいずれの製品にも適用すべく技術確立を進めています。

共通実装技術では、シミュレーション技術の向上としてはんだの応力解析や振動減衰の推定に取組み、製品開発のスピードアップに繋がる活動を推進しています。

当事業に係る研究開発費は1,403百万円であります。

 

(エネルギーシステム事業)

当セグメントの研究開発活動として、EV充電インフラの分野では、次期製品の電源ユニットの小型化およびディスペンサー型構造の技術開発に取り組み、三相V2Xシステムや従量課金対応型充電器の量産に向けた開発を進めました。

情報・通信市場分野では、従来品に対して高効率・小型化をした通信事業者向け三相200V入力DC48V4000Aの整流装置の開発、高効率大容量に加えて耐環境性能を向上した小容量インバータの開発を行いました。

当事業に係る研究開発費は621百万円であります。

 

(全社共通)

全社共通に係る研究開発費は1,786百万円であります。