第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下同じ)が判断したものであります。なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社グループが現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念のミッションである「新しい発想でお客様の価値創造に貢献します。」の下、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置いて、事業を通じた社会課題の解決に努め、持続可能な未来を実現するために、地球環境と社会に貢献しながら成長し続ける企業グループを目指します。そのため、これまでの歴史で培ってきた基幹技術、多様な事業領域や強い知的財産、さらには幅広い業界における顧客基盤といった強みを結集し、「三新活動」※1と「ニッチトップ戦略」※2でイノベーションを加速させ、地球環境や社会に貢献できる製品やソリューションを創出していきます。

また、地球環境や人類・社会、世の中にとって「なくてはならない」存在となり、持続的な成長をさらに加速させるために、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定しています。ESG領域に対して定めた10のマテリアリティに取り組むことで、社会課題の解決と経済価値の創造の両立を実現し、企業価値向上を図ります。

 

領域

ありたい姿

マテリアリティ

E

(環境)

未来の地球を守る

脱炭素社会の実現

循環型社会の実現

生物多様性の保全

PlanetFlagsTM※3の創出

S

(社会)

人と社会を豊かにする

安全なモノづくり

多様な人財の活躍

人権の支持と尊重

サプライチェーンの強靭化

HumanFlagsTM※3の創出

G

(ガバナンス)

ステークホルダーの

期待と信頼に応える

経営の安全性向上

 

サステナビリティに関する考え方及び取組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

※1.新用途開拓と新製品開発に取り組むことで、新しい需要を創造する当社グループ独自のマーケティング活動です。

※2.変化しながら成長するマーケットを見極め、その中のニッチな領域を対象に、当社グループ固有の技術・知見の融合と、ステークホルダーとの共創により、なくてはならない「製品」「機能」「ビジネスモデル」を継続的に生み出し、シェアNo.1を狙う、当社グループ独自の差別化戦略です。

※3.当社グループは環境・人類に貢献する製品の認定スキームを2022年度に制定しました。当社グループの生み出す製品・サービスの環境・人類への貢献を可視化し、特に貢献度合いの高い製品・サービスをPlanetFlagsTM/HumanFlagsTMとして認定しています。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

① 2030年ありたい姿と中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」

当社グループは、2030年ありたい姿として、“ニッチトップクリエーターとして驚きと感動を与え続ける「なくてはならないESGトップ企業」”を掲げています。「Nittoらしさ」である、「チャレンジを楽しむ」社風・文化を土壌に、「環境・人類に貢献するニッチトップ」を創出し、お客様に最高の「驚きと感動」を提供することで、豊かな未来に貢献します。当社グループは、お客様をはじめステークホルダーとの共創イノベーションで新たな価値を生み出し、持続可能な地球環境・人類社会になくてはならない存在として、皆様からの信頼と期待に応えていきます。

 

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2023年度から2025年度までを実行期間とする中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」では、「ニッチトップ戦略×Nitto流ESG戦略」の実践をスローガンに掲げ、「環境・人類に貢献する事業ポートフォリオ変革」、「ニッチトップを生み出すイノベーションモデルの進化」、「人財・チームの挑戦を加速する組織文化の改革」、「変化を先取る経営インフラへの変革」の4つの重点項目に取り組んでいます。2030年ありたい姿「なくてはならないESGトップ企業」を実現するために、中期経営計画を確実に遂行していきます。

 

② 中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」の重点項目と進捗

a.環境・人類に貢献する事業ポートフォリオ変革

社会価値と経済価値の両軸で見極めた“伸ばすもの”に対しては重点投資を進める一方で、将来の成長が見込まれない、環境化学物質規制で製造できなくなる可能性があるなどの“残さないもの”に対しては、撤退・売却も含めた打ち手で構造改革を実行します。M&Aやスタートアップ企業への出資を含む戦略的アライアンスを積極的に活用し、新規領域では、環境ビジネス・ソリューションビジネス創出にもチャレンジすることで、事業ポートフォリオの変革を進めます。

当連結会計年度においては、Global Niche TopTM※1製品であるCISやHumanFlagsTM認定製品である高精度基板の増産に対応するための新工場が、亀山事業所とベトナム拠点において竣工しました。今後のデータセンター需要の増加に伴う高容量HDD市場の拡大やハイエンドスマートフォンでの新たな展開への対応を強化していきます。

また、HumanFlagsTM認定製品の一つである核酸合成用ポリマービーズNittoPhaseTM※2を製造する東北事業所において、自家再生エネルギーを最大利用した、当社グループ初となるCO2排出量ゼロを達成する工場を竣工し、当連結会計年度より生産稼働を開始しました。NittoPhaseTM製造能力の増強により、今後急速に成長する核酸医薬業界をサポートし、人々の健康と安心な社会に貢献していきます。

新規領域においては、環境ビジネスとして、脱溶剤化などによる消費エネルギー削減に加え、製造工程での排出が避けられないCO2の回収などのネガティブエミッション技術(大気中のCO2を回収・吸収し、貯蓄・固定することで大気中のCO2を除去する技術)の開発を加速させ、CO2削減のためのトータルソリューションとしての提案に向けて取り組んでいくネガティブエミッションファクトリー構想を推進しています。当連結会計年度は、2024年11月11日~22日にアゼルバイジャン共和国のバクーで開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)において、環境省が設置する「ジャパン・パビリオン」に出展する企業に採択され、CO2分離回収・変換・利用技術をテーマに実地展示しました。

 

※1.「Global Niche Top」「Area Niche Top」は当社の登録商標です。

※2.NittoPhaseTMは核酸原薬合成用ポリマービーズで、多孔質構造による多量の核酸合成が可能な高収量の特徴と、粒子が均一で高い再現性が得られる高品質の特徴を合わせ持った製品です。

 

b.ニッチトップを生み出すイノベーションモデルの進化

当社グループは、ESGを経営の中心に置き、社会課題の解決と経済価値の創造の両立を目指しています。「パワー&モビリティ」「デジタルインターフェース」「ヒューマンライフ」の3つを重点分野として位置付け、さらにこれらの交わる領域で当社グループの技術の強みやコンバージェンスを活かし、「なくてはならない」存在を目指します。社会課題に対してなくてはならないニッチトップソリューションを提供する差別化技術を磨き、PlanetFlagsTM/HumanFlagsTMを生み出すこと、マーケティング力の強化で事業開発力を高めること、お客様をはじめステークホルダーとの共創による事業化を進めることで、これまで当社グループが培ってきた勝ち方に加えて、新しい勝ち方の確立を進めていきます。

当連結会計年度においては、PlanetFlagsTM/HumanFlagsTMとして新たに11製品(累計35製品)を認定しました。その一つとしてPlanetFlagsTMに認定されたハーネス外装保護PVCテープは、薄さと耐摩耗性を両立したテープであり、自動車の軽量化に貢献するとともにライフサイクルCO2排出量46%削減※に貢献しています。また、HumanFlagsTMに認定された車載ディスプレイ用高耐久LUCIACSTMは、フラットディスプレイ面と光学フィルムの貼り合わせに用いられる透明粘着シートです。車載ディスプレイの耐久性と視認性の向上に寄与し、自動車の安全性に貢献しています。また、当製品はGlobal Niche TopTM製品にも認定されています。当社グループは、ESG経営をさらに加速させるため、このような社会課題の解決と経済価値の創造の両立を実現するPlanetFlagsTM/HumanFlagsTMとGlobal Niche TopTM製品/Area Niche TopTM製品の双方に認定される製品(ダブル認定製品)を増やしていきます。

 

※ データの得られた車種で計算。車種によって削減率は異なる。

 

c.人財・チームの挑戦を加速する組織文化の改革

当社グループは、「人財は最も重要な財産」と位置付けています。持続的な成長に必要となる新しいイノベーションを生み出すために、「チャレンジを楽しむ」文化の醸成と人事・育成制度の変革を行います。その一環として、新規事業創出大会「Nitto Innovation Challenge」に取り組んでいます。新規事業創出のためのアイデアをグループ全社から募り、その中から有望なアイデアについては会社として実現に向け支援を行う取組みです。当連結会計年度は開催5回目を迎え、エントリー数は過去最高の1,500件を超える結果となりました。当取組みはPlanetFlagsTM/HumanFlagsTMひいてはGlobal Niche TopTM製品/Area Niche TopTM製品創出を促進する仕組みの一つにもなっています。

なお、人的資本についての機会とリスクをしっかりと捉えている点や複数の独自指標を用いながら人的資本経営を推進している点が高く評価され、「人的資本調査2024」において、「人的資本リーダーズ2024」及び「人的資本経営品質(ゴールド)」を2年連続で受賞しました。

 

d.変化を先取る経営インフラへの変革

当社グループが目指す「ニッチトップ戦略×Nitto流ESG戦略」の実践には、取り巻く事業環境の変化を先取りすることが必要です。そのため、「なくてはならないESGトップ企業」を支える強靭な経営インフラへの変革を進めます。

当連結会計年度においては、サプライチェーンリスクへの先見力と対応力の向上を目指し、前連結会計年度より導入しているEcoVadis※1社が提供しているプラットフォームを日本に加えて、欧州、北米、東・南アジアのサプライヤー様へも展開しました。今後も、対象サプライヤー様の拡大、受審率の向上、低スコアの改善に注力し、評価サイクルを適正化していきます。デジタル活用によるデータドリブン経営の実践においては、業務改革やビジネスモデル変革などを進める中で、基幹システムの整備やデータを活用する基盤の構築を進めました。ESG先進企業への取組み加速・ブランド認知獲得においては、「Nitto ATP Finals」※2の協賛活動の一環として、ATP(男子プロテニス協会)及びFITP(イタリアテニスパデル協会)、開催地のトリノ市とともに、CO2排出量の削減を目的とした共創活動である「Nitto ATP Finals Torino Green Project」を進めました。活動を通じ、チャリティーオークションによる収益や寄付を原資としイナルピアリーナ会場周辺の公園への植樹、バス停屋根の緑化など、トリノ市の緑地化を推進しました。また、サステナブルな大会運営に向けて、当社グループで製造する環境に配慮した材料を使った物品を寄贈しました。

なお、当社グループのESGを経営の中心に置いた各種取組みが評価され、当連結会計年度において世界的な調査・格付け会社であるS&P Global社が発行した「The Sustainability Yearbook 2025」※3において、「Sustainability Yearbook Member」に初選定されました。また、業界内で前年度から最も評価が向上した企業として「Industry Mover」に選定されました。

 

※1.EcoVadisは、組織がバリューチェーン全体にわたってサステナビリティパフォーマンスを管理、測定、改善できるように設計された、さまざまなサステナビリティソリューションを提供する企業です。評価対象となる企業に対して、EcoVadisレーティングは、環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達などの分野における企業のサステナビリティパフォーマンスの詳細な評価を提供するものです。

※2.「Nitto ATP Finals」は、男子プロテニスシーズンのクライマックスを飾るイベントとして、世界のシングルス並びにダブルスから選抜されたベスト8が進出し、シーズンの最終タイトルを競う大会です。1970年に始まり、現在はイタリアのトリノで開催されています。当社グループでは2017年からタイトルスポンサーを務めています。

※3.S&P Global社は、世界の企業を対象に経済・環境・社会の側面から企業の持続可能性を同社独自の評価手法であるCSA(Corporate Sustainability Assessment)より、各産業において特に評価の高い上位15%の企業を掲載した「The Sustainability Yearbook」を毎年発行しています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「Nitto for Everyone 2025」において、2025年度末における経営上の目標を営業利益1,700億円、営業利益率17%及びROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)15%と定めました。

また、当社グループでは、現時点では未だ財務には至っていないが将来的に財務となり得る要素、あるいは財務に転換していく要素を“未財務”と呼び、9つの未財務指標を設定しています。これら未財務指標の目標達成に向けた活動を推進することで変革を加速し、企業価値向上を図ります。

環境系未財務指標の一つであるCO2排出量は、「Nittoグループ カーボンニュートラル2050」の達成に向けScope1+2をターゲットに目標を設定していましたが、当社グループだけではなくサプライチェーン全体での環境負荷ゼロに向け、新たにScope3をターゲットにSBT※1に基づく2030年度の目標として「排出量1,460kton」を設定しました。脱溶剤化や再生可能エネルギーの推進※2などに取り組み、脱炭素社会の実現に向けての活動をさらに加速していきます。

 

未財務指標

2024年度
実績

2025年度
目標

2030年度
目標

関連する

マテリアリティ

ニッチトップ売上収益比率(1)

48%

50%

50%以上

PlanetFlagsTM/HumanFlagsTM
カテゴリ売上収益比率(2)

44%

40%

50%以上

PlanetFlagsTMの創出

HumanFlagsTMの創出

新製品比率(3)

41%

35%以上

35%以上

廃プラスチック
リサイクル率(4)

50%

50%

60%

循環型社会の実現

サステナブル材料使用率(5)

18%※3

20%

30%

CO2排出量(6)

472kton/年

470kton/年

400kton/年

脱炭素社会の実現

エンゲージメントスコア(7)※4

78

85

多様な人財の活躍

チャレンジ比率(8)

41%

70%

85%

女性リーダー比率(9)

22%

24%

30%

 

(1)なくてはならないNitto製品の拡大を計る指標

(2)Nitto流ESG経営の根幹であるPlanetFlagsTM/HumanFlagsTM製品の拡大を計る指標

(3)当社グループの競争力の源泉である新製品の創出度合を計る指標

(4)サーキュラーエコノミーに対する取組みの進捗を計る指標

(5)環境やサプライチェーンの人権を考慮したサステナブルな材料の調達度合を計る指標

(6)「Nittoグループカーボンニュートラル2050」に向けた取組みの進捗を計る指標、対象はScope1+2

(7)組織の業績成長との関係性が強い、従業員の「帰属意識・貢献意欲」「生産的な職場環境」「心身の健康・活力」の3要素を計る指標

(8)新たな価値創造に向けて自分の経験や可能性を拡げるチャレンジをした従業員の割合を計る指標

(9)組織を牽引する女性リーダー増加によるダイバーシティの促進を計る指標

 

※1.SBTとは、Science Based Targetsの略で、パリ協定で採択された科学的根拠に基づく目標(産業革命前比で気温上昇を1.5℃未満に抑える目標)と整合した、企業が設定する「温室効果ガス排出削減目標」を指します。当社グループは2030年度に向けた温室効果ガス排出目標が、科学的根拠に基づいた目標であるとしてSBT認定を取得しました。

※2.当社グループは、使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指していることから、RE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ)へ加盟しました。

※3.国内(単体)での集計です。

※4.エンゲージメントスコアについては、当連結会計年度は調査対象外としています。

 

(4)各報告セグメントの戦略と取組み

各報告セグメントにおける主な戦略と取組みは、次のとおりであります。

 

・インダストリアルテープ

欧州を中心に法制化が進むスマートフォンなどの電子機器における修理する権利(Right to Repair)に対し、当連結会計年度に新たに販売を開始したバッテリー固定用電気剥離テープの採用機種が拡大することが見込まれます。資源循環型社会構築の機運を追い風に当社グループの剥離技術を活用し、さらなる事業拡大を図ります。また、生成AIの普及を背景に、半導体やセラミックコンデンサー向け工程用材料の需要が増加することが見込まれます。一方で、自動車材料は、グローバル自動車生産台数が伸び悩むなど、引き続き厳しい事業環境が想定されますが、インダストリアルテープ全体として安定的に高い利益率を生み出せる事業基盤の構築を進めます。

 

・オプトロニクス

情報機能材料は、ディスプレイ市場が成熟化する中、車載ディスプレイやフォルダブル(折り畳み式)スマートフォン向けのハイエンド製品に注力します。車載ディスプレイは1台当たりの搭載数の増加と大型化が年々進んでおり、当社グループの耐久性に優れた光学フィルムの需要が引き続き堅調に推移する見込みです。フォルダブルスマートフォン向けには、光学フィルムが不要な新たなディスプレイが主流となる中で、当社グループは透明粘着シートに光学特性を付与した製品の開発を進めています。また、製造プロセスにおいて、脱溶剤によるCO2排出削減を積極的に推進し、ディスプレイ周辺部材のトータルソリューションプロバイダーとして、さらなる付加価値を追求していきます。

回路材料は、HDD市場においてデータセンター向けのストレージ需要が引き続き増加することに加え、HAMR(Heat-Assisted Magnetic Recording)などの新たな技術の進展によりHDDのさらなる高容量化が進むことが想定されます。これらに対し、当社グループのベトナム拠点の生産能力を増強するとともに、HAMR向け製品の拡販を進めます。また、ハイエンドスマートフォン向け高精度基板は、既存顧客向けに新たな用途での新製品開発に取り組んでおります。

 

・ヒューマンライフ

ライフサイエンスは、核酸医薬の受託製造事業において、将来商用化が見込まれる大型案件が進捗し需要が増加する見通しです。また、当連結会計年度に稼働を開始した米国マサチューセッツ州の新工場で増産を予定しています。

核酸創薬においては、核酸DDS(Drug Delivery System)設計技術の開発とライセンス契約締結に注力していきます。なお、難治性の癌治療薬の開発は、ライセンスアウトに向けて、引き続き取り組んでまいります。

メンブレンは、各国における排水規制強化に対して、インドを中心に排水・廃液のゼロ化に貢献する製品の需要が増加する見通しです。

パーソナルケア材料は、おむつ向け衛生材料の新製品と生分解性技術を用いた環境貢献型製品の拡販により、収益性の改善を図ります。

 

・その他

その他における新規事業では、次世代半導体、環境ソリューション、デジタルヘルスの分野でPlanetFlagsTM/HumanFlagsTMの候補となるテーマに経営資源を集中的に投入し、早期の事業化を目指します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会を実現するために、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置き、社会課題の解決と経済価値の創造の両立を目指すESG経営の推進を経営上の重要課題と認識しています。このESG経営を機能させるために、ガバナンス体制の構築に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指しています。

サステナビリティに関する課題を解決するために、取締役社長兼CEOを最高責任者とし、取締役会の指示・監督の下、経営戦略会議を中心としたガバナンス体制を構築し、短中期及び長期的な戦略策定・推進を図っています。

取締役会は、中期経営計画やイニシアチブ賛同など、サステナビリティに関する経営方針や経営指標・目標(未財務目標)などの重要事項について、意思決定しています。また、中期経営計画のサステナビリティに関する目標(未財務目標)及び目標達成に向けた取組み状況について、四半期ごとに定期的な指示・監督を行うとともに、重要な事項が発生した場合は必要に応じて随時議題を追加しています。取締役会は、サステナビリティに関する資質・学識・経験等を持つ取締役によって構成することで、持続的かつより高い監督機能を有しています。

取締役のスキルについては、当社ウェブサイト

(https://www.nitto.com/jp/ja/ir/governance/board_policy/)をご参照ください。

そのため取締役報酬は、報酬のうち業績連動型株式報酬(中期的業績向上のインセンティブの追加的報酬)の中にESG項目(重要課題と位置付けた未財務目標)を組み入れました。具体的には、連続する3事業年度を評価期間として連結営業利益、連結ROE、ESG項目(中期経営計画で掲げる未財務目標)に応じて、0~150%としています。

また、経営戦略会議は、取締役社長兼CEOを議長とし、サステナビリティに関する経営方針や経営指標に基づく具体的な取組み方針・施策について討議・意思決定するとともに、リスク・機会の管理や目標達成に向けた取組みの進捗確認(モニタリング)を毎月行っています。討議・意思決定した内容や取組みの進捗結果について、四半期ごとに定期的に取締役会へ報告を行うとともに、重要な事項が発生した場合は必要に応じ随時追加の報告を行っています。

当社グループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置き、経営を推進しています。そのため、一般的なサステナビリティ委員会やESG委員会を設置せず、取締役社長兼CEOを責任者として全ての執行役員を構成員とする経営戦略会議を、ESG経営推進の議論の場としています。これにより、ESGを迅速かつ適正に経営へ組み込むことが可能となり、企業の持続可能性と成長戦略が一体化することでより高い実行性を確保するガバナンスを実現しています。

 

②戦略

当社グループは、社会課題の解決と経済価値創造の両立を実現させるため、サステナビリティ基本方針に基づく具体的な活動として、サステナビリティ重要課題を特定しています。ESGを経営の中心に置き、地球環境や人類・社会、世の中にとって「なくてはならない」存在となり、持続的な成長をさらに加速させるために、2024年にサステナビリティ重要課題を見直しました。マテリアリティは、自社及びステークホルダー(環境・社会)に影響する長期的な課題から重要性が高い項目を抽出・特定しています。取組みにあたっては、それぞれの課題におけるリスクと機会を認識し、事業計画へ反映しています。

マテリアリティ特定プロセスについては、当社ウェブサイト(https://www.nitto.com/jp/ja/sustainability/infocus/materiality/)に公表されている「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」をご参照ください。

 

ありたい姿

マテリアリティ

リスク

機会

実行内容

未来の地球を守る

脱炭素社会の実現

•脱炭素社会への対応遅れに伴う事業活動の継続困難

•環境規制強化による既存製品の販売困難化

•GHG※削減要求に対応した環境配慮型生産ラインへの移行に伴う生産性向上

•低カーボンフットプリント製品提供によるビジネス機会拡大

GHG排出の削減

循環型社会の実現

•原材料価格上昇や調達困難による操業停止

•廃棄物処理のイノベーションや新技術開発の遅れによる競争力低下

•資源・素材を循環利用するための技術・製品へのニーズ拡大

•廃棄物の減量化やリサイクルに伴う資源有効活用やコスト削減

原材料、エネルギー、廃棄物の循環促進

生物多様性の保全

•大気、水、土壌汚染によるステークホルダーの健康被害

•法規制対応のコスト増加や操業許認可の取得困難化

•汚染・有害物質の適正管理による地域社会、顧客からの信頼獲得

•有害物質の分離・除去・浄化などに資する技術・製品へのニーズ拡大

大気、水、土壌の汚染防止

PlanetFlagsTMの創出

•環境ニーズへの対応遅れによる受注量減少

•環境保全に対する社会的要求への対応不足

•低カーボンフットプリントもしくはカーボンネガティブ製品提供によるビジネス機会拡大

•生物多様性配慮技術やノウハウの蓄積及び新市場やビジネスモデルの創出

脱炭素・資源循環ソリューションの提供

ネイチャーポジティブ製品の提供

 

 

ありたい姿

マテリアリティ

リスク

機会

実行内容

人と社会を

豊かにする

安全なモノづくり

•事業活動中の災害発生による人的被害や操業停止

•品質問題によるリコール・訴訟などの発生

•安全で安心な労働環境による生産性向上と顧客からの信頼獲得

•安全で高品質な製品の提供による顧客からの信頼と支持の獲得

労働環境の改善

製品の安全性・品質向上

多様な人財の活躍

•人財不足による安定的な事業活動の困難化

•人財の多様性の欠如による新しいアイデアやイノベーションの停滞

•働き方改革及び人財育成による生産性向上

•多様な人財が活躍できる場の提供による従業員モチベーション向上

チャレンジする人財の獲得・育成

DE&Iの推進

人権の支持と尊重

•人権尊重に関する法規制違反に伴う操業停止・企業価値の毀損

•人権侵害による従業員の健康被害や労働条件悪化に伴う人財流出

•社会的責任や公正さの実践による、企業イメージやブランド価値向上

•人権に関する法規制への適合や先行による社会的信頼度向上

人権デューデリジェンスの推進

サプライチェーンの強靭化

•サプライチェーン上の工場やインフラの損傷に伴う、生産や流通の停止

•関連会社や取引先企業における不正や違法行為に起因する自社ブランドイメージ低下

•サプライチェーンの最適化に基づく製品の供給効率化やコスト削減

•統合的なサプライチェーン管理による取引先及び社会からの信頼獲得

持続可能な調達慣行

HumanFlagsTMの創出

•社会ニーズへの対応不十分による競争優位性や成長性の低下

•代替技術の出現や自社技術のコモディティ化による自社製品の優位性低下

•QOL向上や疾患拡大防止向けの製品・サービス提供によるビジネス機会の拡大

•次世代技術の適合や先行による競争優位性や成長性向上

デジタル社会を推進する製品の提供

快適で安心な生活に繋がる製品の提供

健やかな暮らしを支える製品の提供

 

 

ありたい姿

マテリアリティ

リスク

機会

実行内容

ステーク

ホルダーの

期待と信頼に応える

経営の安全性向上

•不適切な内部統制やワークフローによる業務効率や品質低下

•サイバー攻撃によるシステム停止や機密情報の漏洩

•経営の効率化に伴うコスト削減や利益増加

•情報資産の価値や活用方法の把握を通じた新市場やビジネスモデルの創出

コンプライアンスの遵守

安全・品質文化の構築

情報セキュリティ管理の推進

※GHG(Greenhouse Gas)=温室効果ガス

 

③リスク管理

当社グループは、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識したサステナビリティに関する主要なリスク・機会について、適切に管理しています。

事業活動におけるサステナビリティに関する主要なリスク・機会については、社内外環境変化に伴う自社への影響を把握し、インシデントが発生した場合の事業への「影響度」、実際に発生する「発生可能性」から相対的な重要度評価・特定(選定)を行うとともに、リスク・機会の優先順位を決定しています。サステナビリティに関するリスク・機会は、事業執行部署、エリア統括が連携してモニタリングを行うとともに、その管理責任を各専門機能部署が負います。モニタリングしたリスク・機会に関する情報は、取締役、執行役員によって構成される経営戦略会議にて毎月報告・審議されます。審議結果は直ちに関係部署に展開され、リスク・機会への対策を速やかに実行し、統制の強化を図ります。実行内容や改善状況は再び経営戦略会議において報告・確認し、グループのマネジメントの実効性を高めています。

リスクの詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3)リスクの選定と管理の状況」をご参照ください。

 

④指標及び目標

当社グループは、2030年ありたい姿の実現に向け、サステナビリティ重要課題に対する指標・目標(未財務目標)を設定するとともに、確実に実行するための適正な進捗管理を行っています。

詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載する表をご参照ください。

 

(2)気候変動

①ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つとして「脱炭素社会の実現」を挙げ、気候変動への取組みを強化しています。

気候変動を含む環境課題を解決するために、取締役社長兼CEOを最高責任者とし、取締役会の指示・監督の下、経営戦略会議を中心としたガバナンス体制を構築し、短中期及び長期的な戦略策定・推進を図っています。

また、気候変動を含む環境課題への取組みの実行性を高めるために、気候変動関連課題を推進する担当役員を責任者とするGlobal Green Committeeを設置し、組織横断的な連携を強化するとともに、戦略検討や課題への対応策の実行・推進を行っています。

 

②戦略

当社グループは、2015年パリ協定締結や日本政府のカーボンニュートラル宣言など、社外動向に沿う形で、自社のみならずサプライヤーから顧客までバリューチェーン全体において、気候変動により想定される移行及び物理的なリスク・機会について、シナリオ分析を行いました。このシナリオ分析結果は、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」を含む2030年経営指標や中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」に組み込まれており、脱溶剤化や省エネルギー化、再生可能エネルギーの利用、環境貢献製品の創出などの取組みは、リスクの最小化及び機会の最大化を可能とし、戦略の有用性を確認しました。

気候変動に伴う事業環境変化が、自社の事業や経営に与える影響を予想し、想定される世界観(シナリオ)を作成しています。2050年を見据え、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えることを目標とした「1.5℃シナリオ」、及び世界平均気温が、工業化以前と比べて3.2~5.4℃上昇する可能性の高い「4℃シナリオ」について検討をしています。

各シナリオにて想定される事業環境下での短期(3年未満)、中期(3-6年未満)、長期(6年以上)のリスク・機会を把握しています。短期・中期におけるリスク・機会は、中期経営計画へ反映し、長期におけるリスク・機会は各シナリオが実現した際の事業への影響(財務影響)を把握するために財務的な定量評価を行いました。長期における事業への影響については以下のとおりであります。

 

 

リスク・機会の種類

事象

想定されるリスク・機会

インパクト算出対象

1.5℃

4℃

2030

2050

2030

2050

移行

リスク

政策及び

法規制

低炭素規制強化

低GHG排出原材料への切替えコスト(原材料コスト)の上昇

サステナブル材料への原材料切替えコスト増加額

再生可能エネルギーの普及による再生可能エネルギー調達費(再エネ調達コスト)の高騰

再エネ調達コスト増加額

再生可能エネルギーの普及による設備投資費(再エネ設備導入コスト)の増加

再エネ設備導入による設備投資コスト増加額

GHG排出価格の上昇

炭素税、炭素賦課金の導入拡大による税制コスト(操業コスト)の上昇

租税賦課の増加による操業コスト増加額

技術

新規技術投資による低炭素製品への移行

エネルギー効率の高い技術の開発や導入による設備投資費(高効率設備導入コスト)の高騰

高効率設備導入による設備投資コスト増加額

業界/市場

原材料価格の高騰

化石燃料の高騰により石油由来原材料調達コストの上昇

石油由来原材料価格高騰による調達コスト増加額

バリューチェーンの上流における炭素税等の課税が原材料に価格転嫁されることによる石油由来原材料コストの上昇

化石燃料の高騰によりエネルギー価格の上昇

化石燃料価格のエネルギーコスト増加額

物理的

リスク

急性的

異常気象や自然災害の発生(急性)

洪水や高潮などによる自社工場の建屋・設備・インフラなどの損傷や工場停止、及び機会の損失(売上減少)

設備やインフラの損傷や停止による資産被害額

洪水や高潮などで主要サプライヤーが被災することによる自社工場の稼働停止、及び機会の損失(売上減少)

設備やインフラの損傷や停止による機会損失額

機会

製品とサービス

低炭素製品の需要増加

(嗜好の変化)

リサイクル製品の需要増加により、環境貢献製品の売上増加

環境貢献製品売上増加額

医療関連製品の需要増加

(感染症への対応)

平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加により、医療関連製品の売上増加

医療関連製品売上増加額

金額影響 小:30億円未満、中:30~100億円未満、大:100億円以上、(-)事業影響は極めて小さいものと想定し評価対象外

 

リスクへの対応策(リスクの最小化)

1.5℃シナリオでは、リスクの最小化を図るために脱溶剤化による製造工程の省エネルギー化を進めるとともに、インフラ・ユーティリティ高効率化の推進に伴う省エネルギー化、100%再生可能エネルギーの利用に取り組みます。さらには、サプライヤーと協働したリサイクル材料開発の推進によりサステナブル材料の効果的な調達や資源の有効利用による原材料使用量の削減を進めます。

4℃シナリオでは、リスクの最小化を図るために資源の有効利用による原材料使用量の削減やNittoグループ拠点の事業継続マネジメント(BCM)推進による未然防止対策などに取り組みます。

 

機会への対応策(機会の最大化)

1.5℃シナリオでは、機会の最大化を図るために環境貢献製品(PlanetFlagsTM認定製品)の拡充に取り組み、リサイクル製品など低炭素製品の需要増加による売上増加を見込んでいます。

4℃シナリオにおいても、人類貢献製品(HumanFlagsTM認定製品)の拡充に取り組み、平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加による医療関連製品の売上増加を見込んでいます。

 

③リスク管理

当社グループは、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識した気候変動に関する主要なリスク・機会について、適切に管理しています。また、事業活動に重要な影響を与えるその他の主要なリスクと統合させることで、グループ全体としても包括的に管理しています。

事業活動における気候変動に関する主要なリスク・機会については、社内外環境変化に伴う自社への影響を把握し、インシデントが発生した場合の事業への「影響度」、実際に発生する「発生可能性」から相対的な重要度評価・選定(特定)を行うとともに、リスク・機会の優先順位を決定しています。

気候変動を含む環境に関するリスク・機会は、事業執行部署、エリア統括が連携してモニタリングを行うとともに、その管理責任を環境担当部署が負います。モニタリングしたリスク・機会に関する情報は、その他専門機能部署で管理されている情報とともに取締役、執行役員によって構成される経営戦略会議にて毎月報告・審議されます。審議結果は直ちに関係部署に展開され、リスク・機会への対策を速やかに実行し、統制の強化を図ります。実行内容や改善状況は再び経営戦略会議において報告・確認し、グループのマネジメントの実効性を高めています。

 

④指標及び目標

当社グループは、サステナビリティ重要課題の一つとして「脱炭素社会の実現」を掲げており、地球温暖化の原因であるGHG(CO2)排出を削減することは、持続的成長と持続可能な環境・社会の実現に不可欠であり、重要な社会的責務と考えています。そのため、2050年CO2排出量(Scope1+2)実質ゼロを掲げ、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」宣言を行っています。

また、リスクの最小化や機会の最大化を図るべく、対応策を確実に実行し、またその対応状況を定期的に把握・管理するために、2030年指標及び目標を設定しています。「CO2排出量(Scope1+2)」「廃プラスチックリサイクル率」「サステナブル材料使用率」「PlanetFlagsTM・HumanFlagsTMカテゴリ売上収益比率」など主要な指標・目標については、経営指標である未財務目標としても掲げ、Nittoグループ全体での管理を行っています。

2024年度は、2022年5月に設定した2030年目標CO2排出量(Scope1+2)470ktonの前倒し達成が見えてきたことから、2025年目標を470ktonとし、2030年目標を科学的根拠に基づき1.5℃に沿ったより高い目標※1とすべく400ktonへ見直しを行いました。

また、新たに2030年目標CO2排出量(Scope3)1460ktonを掲げ、自社だけではなく、サプライチェーン全体での環境負荷ゼロに向け、脱炭素社会の実現に向けての活動を更に加速します。

※1.2024年8月、CO2排出量(Scope1+2)及び(Scope3)削減目標についてSBT認定を取得しました。

 

CO2排出量(Scope1+2)に関する取組みと実績

2024年度実績は、472ktonとなりました。

順調にCO2排出量の削減が進んでおり、2025年目標達成を見込んでいます。

今後は、新たに掲げた2030年目標「CO2排出量(Scope1+2)400kton」達成に向け、サプライチェーン全体でCO2排出量の削減を推進する計画です。2024年5月、「Renewable Energy 100%(RE100)」にも加盟※2し、社会全体の再生可能エネルギー実装に貢献するとともに、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換することで、NittoグループのCO2排出量削減へとつなげていきます。

※2.2035年までにグローバルでのRE100達成を目指します。

 

廃プラスチックリサイクル率に関する取組みと実績

2024年度実績は、50%となりました。

2030年目標「廃プラスチックリサイクル率60%」達成に向け、①リサイクルしやすいもの、②リサイクルに向けて新たな技術開発が必要なもの、③現時点ではリサイクルが困難なものに分類し、素材特性ごとのリサイクル戦略を構築しています。「①リサイクルしやすいもの」の一例として、テープ製品の製造時に使用するはく離ライナーは、フィルムとして再生させるほか、繊維化により従業員のユニフォームやエコバックとして再利用、樹脂ペレット化によりプラスチックトレーとして再利用するなど着実にリサイクル実績を積み上げています。

今後は、リサイクルの難易度が高い分野での取組みを加速するとともに、リサイクルが困難な廃棄物については、ケミカルリサイクルを検討していきます。

 

サステナブル材料使用率に関する取組みと実績

2024年度実績は、18%となりました。

2025年度目標「サステナブル材料使用率20%」達成に向けて、サプライヤー様のご理解・ご協力を得ながら、今後もサステナブル材料への転換を推進していきます。

 

PlanetFlagsTM/HumanFlagsTMカテゴリ売上収益比率に関する取組みと実績

2024年度実績は、44%となりました。

昨今、気候変動問題への関心が高まる中、環境課題を解決するPlanetFlagsTMの創出が急がれます。そのためには社内外での連携が重要です。技術変革を図ることで脱炭素、資源循環などの取組みを推進するGlobal Green Committeeの場も通じ、事業部とエリア、そして機能部署の3つの軸が有機的に連携し、新たなPlanetFlagsTMを創出していきます。さらに、お客様やサプライヤー様との協力を強化し、スタートアップやベンチャー企業への出資も含め、多様な手段で事業化のスピードアップを図ります。

 

気候変動に関する詳細な情報については、当社ウェブサイト(https://www.nitto.com/jp/ja/sustainability/infocus/TCFD/)に公表されている「TCFD提言に基づく情報開示」をご参照ください。

 

(3)人的資本

①ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つとして「多様な人財の活躍」を挙げ、チャレンジする人財の獲得・育成及びDE&Iの推進への取組みを強化しています。

人財に関する課題を解決させるために、取締役社長兼CEOを最高責任者とし、取締役会の指示・監督の下、経営戦略会議を中心としたガバナンス体制を構築し、短中期及び長期的な戦略策定・推進を図っています。

また、人財マネジメントに関する重要な方針・戦略・課題・施策を社内基準に基づき、各会議体で報告・決議しています。そこで意思決定された活動についてグローバルな取組みはコーポレート人財本部が各エリアへ展開、日本エリアについては日本エリア人財・ガバナンス本部が中心となり、各事業部門や各拠点、国内外のグループ会社と密に連携し取組みを進めています。

各会議体と各人事機能の業務執行により、人財戦略に基づく適切な人財マネジメントの管理体制を構築しています。

 

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②戦略

当社グループは、「人財は最も重要な財産」と位置づけ、The Nitto Wayを実践できるNitto Personをグローバルで育成しています。

そのために、経営理念を人財面で具現化するものとして「人財マネジメント基本方針」を策定し、Nitto Personの目指す姿を明文化し、個別施策の強力な推進に繋げています。

●国籍・性別・年齢・職歴・障がいなどの多様性を理解・尊重し、誠実に行動できる人財を育成・活用します。

●従業員を個人として尊重し、自律的なキャリア形成のため、適材適所による成長機会を提供します。

●多様な働き方の推進とオープンな組織風土の下、働きがいのある安全・安心・健康な職場環境を築きます。

●失敗を恐れずチャレンジした成果をフェアに評価し、従業員がベストを尽くせる公正な処遇を実現します。

●優秀な人財をグローバルで発掘・育成し、変化を先取りし実現力を発揮できるリーダーを養成します。

 

当社グループは、これまで「グローバルニッチトップ戦略」、「三新活動」、「顧客密着」でお客様に驚きと感動をもたらすことを価値とする独自のカルチャーを育んできました。このカルチャーの下、数々のイノベーションが生み出されました。その源流は、ゼロからイチを生み出す技術や、他ではできない技術を磨くことを追求する当社グループのカルチャーと人財力にあります。

私たちは、これら当社グループの強みを維持し、さらに発展させるために、人財戦略として「誰もが活き活きとやりがいをもって活躍できる環境の構築」を掲げており、多様性を尊重し、従業員のエンゲージメントを高め、チャレンジを楽しむ風土を醸成することを目指しています。そしてその達成状況を示すのが「未財務指標」です。

当社グループでは、「未財務指標」のモニタリングによって、あるべき姿と現状のギャップをあぶり出し、個人と組織の双方の活性化を図る施策を推進しています。

今後も、経営・事業戦略と一体となったこの人財戦略をグループ一丸となって実践することで、事業の成長を後押ししてまいります。

 

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―女性リーダー育成

グローバルで多岐にわたる事業を展開する当社グループにとって、人財の多様性・公平性・包括性(DE&I)は人財戦略を進めていくベースとなるものです。未財務指標の一つに掲げる「女性リーダー比率」は、単なる「管理職」ではなく、組織やチームをけん引できる人財、すなわち「リーダー」を育成するという点に大きな特徴があります。

当社グループではその実現に向けて、2022年4月から、日本国内の女性リーダー育成のための施策の一つ「Female Leaders Ownership Empowermentプログラム(FLOWERプログラム)」を継続してきました。メンター制度、マネジメント能力育成研修などのプログラム、会社幹部や社外有識者による講演会等により、リーダーに向けてのマインドセットとマネジメントに関するビジネススキルの向上を図っています。多くの受講者が自身のステップアップに対して前向きに変化し、「女性リーダー」の輩出にも繋がっています。

今後も地道な活動の継続により、幅広い視点を持った人財にあふれる、価値創造を加速させる風土の醸成を目指します。

 

―従業員エンゲージメント向上活動

当社グループでは未財務指標に「エンゲージメントスコア」を掲げ、2年に1度エンゲージメントサーベイを行っています。2023年度はグローバルで実施しスコアは81と、前回よりも7ポイント上昇しました。一方で、今後さらなる従業員エンゲージメント向上を目指すためには、各職場単位での自律的な活動が一層重要となります。

2024年度は、本社主導で、職場の様々な先行的な取組みを「好事例集」として社内展開するなど、啓発活動に注力してまいりました。今後は、各職場自らが、課題を特定しアクションに繋げていくための支援活動を強化していきます。またこれまで以上に、サーベイデータの分析・活用にも取り組んでいきます。

 

―チャレンジを楽しむ風土づくり

「チャレンジを楽しむ文化」の醸成のため、2023年度より、「会社の価値創造に貢献するテーマ」をチャレンジした人をカウントし「チャレンジ比率」として未財務指標に掲げています。

2024年度は、グローバル共通施策である、小集団活動や新規事業創出大会等に加え、各地域や事業部門が独自で企画運営する「チャレンジプログラム」への参加者が大きく拡大しました。今後は、各施策の主幹部署との連携強化により、各人のチャレンジを後押しし、チャレンジを楽しむ文化の醸成につながるよう各種施策を積極的に展開してまいります。

 

 

―健康経営

当社グループでは従業員の健康に対する投資を行うことが、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や企業としての価値向上に繋がると考え、グループ全社で健康増進活動に取り組んでいます。

当社グループの健康経営推進体制は代表取締役社長の下、人事担当役員を責任者に置いた運営体制を組織しており、健康増進事務局と、各事業所の人事総務部門や産業保健スタッフ、健康保険組合、労働組合等が連携を取りながら活動を行っています。各事業所においては、安全衛生委員会等の会議体を通して、人事総務部門と産業保健スタッフ、労働組合が定期的に議論を重ね、全社の健康課題のみならず、事業所個別の健康課題に対しても取組みを行っています。

なお、当社グループでは、喫煙対策・メンタルヘルス疾患予防・生活習慣病予防の3点を重点課題と捉えて、禁煙希望者への卒煙サポート費用の会社補助、メンタルヘルスセミナー実施による従業員のヘルスリテラシー向上、若年肥満者面談の実施等、さまざまな取組みを実施し従業員の意識改善・行動変容を促しています。

 

③リスク管理

当社グループは、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識した人財に関する主要なリスク・機会について、適切に管理しています。また、事業活動に重要な影響を与えるその他の主要なリスクと統合させることで、グループ全体としても包括的に管理しています。

人財に関するリスク・機会は、事業執行部署、エリア統括が連携してモニタリングを行うとともに、その管理責任を人財担当部署が負います。モニタリングしたリスク・機会に関する情報は、その他専門機能部署で管理されている情報とともに取締役、執行役員によって構成される経営戦略会議にて毎月報告・審議されます。審議結果は直ちに関係部署に展開され、リスク・機会への対策を速やかに実行し、統制の強化を図ります。実行内容や改善状況は再び経営戦略会議において報告・確認し、グループのマネジメントの実効性を高めています。

 

④指標及び目標

当社グループでは、人財戦略「誰もが活き活きとやりがいをもって活躍できる環境の構築」と連動した、下記の指標を設定し、2030年に向けた目標を掲げています。

 

・女性リーダー比率(2030年 30%)

2024年度の女性リーダー比率は、前年度から全体で2ポイント上昇し、22%となりました。地域別では、東南アジア・オセアニアエリアが2ポイント上昇したほか、日本エリアでも、女性リーダー育成プログラム「FLOWERプログラム」が効果をあげ始めており、1ポイント上昇の8%となりました。

 

・エンゲージメントスコア(2030年 85)

エンゲージメントサーベイは2年に1度実施しており、前回2023年度の時点で81と、2025年度の中間目標78を前倒しで達成しています。2024年度は、2030年目標達成に向けた土台づくりとして、当社グループ内の先行的な取組みを社内へ共有し横展開を促すなど、各職場に対する支援・啓発活動に注力しました。

 

・チャレンジ比率(2030年 85%)

2024年度のチャレンジ比率は、前年度の37%からは4ポイント上昇し41%となりました。コーポレート人財本部と、各事業部門や各エリアの人事・企画部門との連携により、本指標に対する当社グループ内での理解が深まったことで、本指標の集計対象である「チャレンジプログラム」への参加者が拡大したことが上昇要因として挙げられます。

 

詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載する表をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

(1)基本的な考え方

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識した主要なリスクについて、事業に関わるリスクを「事業リスク」とし、その他当社グループ全般に及ぼすリスクを「業務リスク」として以下に記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(2)リスクマネジメント体制

当社グループでは、主要なリスクについて、「内部統制基本方針」に定めたリスクマネジメント体制にて、リスクマネジメントを推進しています。

事業執行部署が「事業リスク」を、専門機能部署が「業務リスク」を管理しています。またグローバルなリスクモニタリングを実現するため、海外主要地域にエリア統括を配置し、エリアごとのモニタリングを実施します。

各責任部署が管理するリスク情報については、取締役、執行役員が出席する経営戦略会議で毎月報告され、審議されます。ここでの審議結果は直ちに各責任部署に指示され、対策の実施、統制の強化を速やかに実行し、実行内容、改善状況は再び経営戦略会議に報告されることでグループのリスクマネジメントについて実効性を高めています。

 

[リスクマネジメント体制図]

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(3)リスクの選定と管理の状況

当連結会計年度の主要なリスクについては、前連結会計年度から継続するリスクに加え、リスクマネジメント担当役員及び担当部署によって、取締役及び各責任部署、監査法人等からの意見聴取、取締役会及び経営戦略会議での議題、審議内容を分析の上、経営戦略会議での審議を経て選定されます。

これらリスクについては、実際に発生・顕在化した場合の事業への「影響度」を縦軸に、実際に起こる「発生可能性」を横軸として、二軸での分析を行い、リスクの重要性を以下のように分類し、各リスクの相対的な重要性を認識しています。

 

[当連結会計年度末のリスクマップ]

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当連結会計年度末において、これら主要なリスク(事業リスク・業務リスク)の管理体制、統制・対策の実行、インシデントの発生と対応などについては、責任部署が自己評価したものをリスクマネジメント担当部署及びリスクマネジメント担当役員が評価基準に基づき独立的に評価し、経営戦略会議及び取締役会に報告します。

当連結会計年度末の各リスクの評価結果は以下のとおりであります。各リスクの評価は期初からリスクが増加したか否かを示しています。

 

[各リスクの当連結会計年度評価]

 

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※矢印の向きは期初からのリスクの増減を表す(↗:リスク増加、→:増減なし、↘:リスク減少)

 

 

[各リスクの当連結会計年度末の状況]

(1)事業リスク

[海外取引・為替リスク]

[関連するマテリアリティ] サプライチェーンの強靭化

当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、海外売上収益比率は8割を超えており、約40社の関係会社が貿易取引を行っています。

進出国において電力供給や輸送の停止、人件費の上昇、雇用関係の悪化や労働争議、サイバーテロ、環境影響によるリードタイム長期化などのリスクがあります。また、紛争、感染症の発生などによる世界経済の急変は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、想定を超えた為替レート、株式や金利などの市場変動や金融システム不安、米国の関税政策など保護主義の台頭や安全保障上の貿易規制も、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではサプライチェーンにおけるリスクの可視化、物流BCP(事業継続計画)の構築により物流を管理し、サプライチェーンの強靭化を図っています。また、グループ内資金残高、資金繰り、通貨別の資産負債の状況などをタイムリーに把握するとともに、各エリアに資金統括拠点を設置して資金集約や為替リスクヘッジなどに取り組んでいます。

 

[顧客の財務状況]

[関連するマテリアリティ] 経営の安全性向上

当社グループが、売上債権を有するお客様において、事業環境の大きな変化により財務上重大な問題が発生する可能性があります。

特に、変化の激しいエレクトロニクスやライフサイエンス分野における債権の大きいお客様で貸倒れが発生した場合、回収不能額が多額となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、債権管理部署を設け、お客様について十分な信用調査のうえ、取引を行うほか、取引信用保険の付保などによるリスクの軽減も行っています。

 

[原材料確保]

[関連するマテリアリティ] サプライチェーンの強靭化

当社グループは、一部の原材料を特定の購入先に依存しています。

その購入先が自然災害や事故、倒産などの止むを得ない事情により、原材料供給を縮小したり停止した場合、需給バランスがくずれ、必要な原材料の確保ができなかったり、コストの上昇などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、原材料調達先を複数にする、一定期間分の在庫を決めて管理するなど、主要原材料の確保においてリスクを低減するよう取り組んでいます。これまでサプライチェーンにおける持続可能な調達を目指して複数部署を横断したチーム編成でサプライチェーンコミッティを発足させ、近年高まりつつある地政学リスクや化学物質規制リスクなどを可視化し、サプライチェーン上流へのリスク対策を講じてきました。当連結会計年度はコミッティを恒久的体制として調達本部内に組織化し、さらなるサプライチェーンの強靭化を図るべく取り組んでいます。

 

[研究開発]

[関連するマテリアリティ] PlanetFlagsTMの創出・HumanFlagsTMの創出

当社グループが事業展開する業界は市場変化が激しく、その変化の予測は容易ではありません。

他社の新技術や新製品により、当社グループ製品が突然予期せぬ陳腐化を起こすこともあります。このような状況が生じた場合、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、特定の事業の動向に左右されないよう「三新活動」を起点とした新技術・新製品の研究開発や、その設備への投資に取り組んでいます。さらに、ESGを経営の中心に置くとのグループ方針に従い、独自に制定した「PlanetFlagsTM/HumanFlagsTM」の候補となるテーマにリソースを集中的に投入しています。こうして得た製品を、知的財産マネジメントの強化を図り、参入障壁を創り守っています。

 

 

 

[知的財産権]

[関連するマテリアリティ] PlanetFlagsTMの創出・HumanFlagsTMの創出

当社グループは、市場競争力を高める目的から多くの知的財産権を保有し、維持、管理しています。

しかし、第三者から無効を主張される可能性、特定の地域で十分な保護が得られない可能性、模倣される可能性、訴訟を受ける可能性などがあり、知的財産権による保護が大きく損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは技術知財戦略本部と事業部が一体となり、他社の知的財産権に抵触していないか注意を払う一方で、当社グループの知的財産権に抵触する製品が市場に出回っている場合には摘発する活動を進めています。

 

各セグメントの事業リスクは、次のとおりであります。

[インダストリアルテープ事業]

[関連するマテリアリティ] マテリアリティ全般

基盤機能材料は、重点三分野である情報デバイス・ディスプレイ、半導体・電子部品、モビリティを含む幅広い業界に向けて、多種多様な製品をグローバルに提供しています。現在、各分野でお客様から付加価値の高い製品を要望されることが増えています。

情報デバイス・ディスプレイ、半導体・電子部品分野では、米国の関税政策による価格の上昇や経済状況の悪化などによるエレクトロニクス製品や半導体の市況の変動により、業績に影響を与える可能性を含んでいます。「ニッチトップ戦略」と「三新活動」による「Global Niche TopTM」製品・「Area Niche TopTM」製品創出の取組みの中で「PlanetFlagsTM/HumanFlagsTM製品」を新たな成長の軸とすることで、市場の影響を受け難い体質作りを進めています。さらに、お客様のプロセスを理解し、ニーズに合ったラインナップを揃えることで、材料と設備を合わせた提案を行い、お客様の生産性向上にも貢献します。

モビリティ分野では、自動車の構造接着材料や気密、防水用途のシーリング材料を、グローバル市場に提供しており、エレクトロニクス製品や半導体の市況と同様の要因による、自動車生産台数の変動が業績に影響を与える可能性を含んでいます。EV(電気自動車)やCASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化)等の成長領域への取組みを進め、既存ビジネスに付加して成長分野でのビジネスを取り込むことで、市場の影響を受け難い体質作りを進めています。成長領域の取組みにおいてはグループ企業間のコラボレーションを強化し、幅広い製品群での対応を推し進めています。

また、インダストリアルテープ事業が対応している市場では、エレクトロニクス産業や自動車産業を始め環境貢献に注力されるお客様が増えています。このため、インダストリアルテープにおいても、環境負荷の少ない「PlanetFlagsTM」製品の開発とモノづくりに取り組むと同時に、お客様で廃棄される材料の回収・リサイクルを推進することで、サプライチェーン全体におけるCO2削減を推進し、環境配慮型製品として付加価値の提供も行っています。

 

 

 

[オプトロニクス事業]

[関連するマテリアリティ] マテリアリティ全般

情報機能材料の主要市場であるディスプレイ業界は、市場の変化が早く、競合との厳しい競争に晒されています。また、当社グループの部材が組み込まれた製品や技術の汎用化、市場の成熟による売上収益の低下、競合の参入による収益性の圧迫などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。米国の関税政策の転換により、ディスプレイ業界関連製品に高い関税が課せられる場合、対象製品の販売動向やサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。その他にも、地政学リスクや環境規制などが、材料価格高騰、安定供給に影響を及ぼす場合、当社グループの生産や製品供給に影響を与える可能性があります。

ディスプレイ業界をリードするお客様の新たなニーズを早期に把握し、技術力を基に新製品の開発、市場投入を継続するとともに、非ディスプレイ市場への製品投入を加速し、自社製品の対象市場を拡大します。また様々な外部環境の変化に対応すべく、安定的な調達先を確保する、生産拠点を分散させる、DX化を進めデータドリブン経営を推進するなど、事業のBCP対策を取っています。

回路材料は、データ社会/スマート社会を支え成長が期待される市場や製品に集中して対応し、高シェア製品を供給しています。世界的なインフレ継続による材料価格/動力費の高騰、生成AIサービス需要に伴うデータセンターへの投資動向、米国の関税政策や米中貿易摩擦の過熱が、一時的に業績に影響を及ぼす可能性があります。長期的に市場の成長が維持された場合、需要動向に対応した製品供給責任が、今後業績に影響を及ぼす可能性があります。その対応として、複数拠点での生産バックアップ体制及び材料調達のBCP、自動化・AI・DX活用に基づく生産性改革など、需要変動に対応可能な生産能力の確保を進めています。

 

[ヒューマンライフ事業]

[関連するマテリアリティ] マテリアリティ全般

ヒューマンライフは、ライフサイエンス事業、メンブレン事業、及びパーソナルケア材料事業から構成されます。

ライフサイエンス事業は、核酸医薬関連事業を中心に当社グループの新たな事業分野として取組みを強化しています。核酸医薬市場は、後期臨床テーマや新薬承認の増加が見込まれ、今後の拡大が見込まれている市場です。当事業における核酸医薬の受託製造は、お客様が進めている研究開発活動や臨床試験の進捗により需要が変動するため、科学的根拠に基づいてお客様の臨床試験が中断又は中止された場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。また米国の関税政策により、原材料の調達金額に対して影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における核酸医薬の創薬は、当社グループで研究開発を進めた後に製薬業界のお客様へ技術を提供するため、お客様への価値提供に繋がる、競争優位性を持った技術の研究開発の進捗状況によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、お客様の研究開発活動や臨床試験の案件を幅広く受託することで、需要の変動による影響を緩和することに努めています。米国の関税政策に対しては、原材料のさらなる原価低減を図るなど、関税の影響を緩和することに努めています。一方、核酸医薬の創薬においては、外部機関との連携を含め、安全性と有効性を確保するために、着実に研究開発活動を進めています。

メンブレン事業は、様々な産業における水処理装置や排水処理用途向けを中心に部材を供給しています。各産業における市況の悪化や、資材の価格高騰、供給不足の影響等で、プラントの建築やお客様の部材調達の計画が遅延する場合や、競合環境の激化によって販売量や販売価格への影響が発生する場合、業績に影響を与える可能性があります。

市場の影響を受けにくい体質を作るために、新規市場開拓の強化や新製品の早期投入を進めるとともに、コスト競争力の強化を行っていきます。米国の関税政策に伴い、米国内における生産拠点の製造原価が上昇するリスクがあります。これについては、出荷先に応じた生産場所の調整や、販売価格への転嫁を進めることで、影響を低減していきます。

パーソナルケア材料事業は、主におむつ部材を中心に衛生材料を提供しています。主要市場は衛生材料・日用品向けであり、比較的需要は安定していますが、一方でコモディティー市場であるがゆえに、競合参入しやすい環境から販売価格の低下が業績に影響を及ぼす可能性が有ります。また、米国の関税政策の変更に伴うビジネス機会の損失や地政学的影響(ロシア・ウクライナ戦争の長期化)に伴うエネルギーコストの上昇及びインフレによる物価高(原材料費高騰)が業績に影響を及ぼす可能性があります。

適切な設備投資及びデジタリゼーションを推進し、生産性向上による原価低減を実現することで、外部環境変化の影響を受けにくい生産体制構築に努めます。併せて、高付加価値品の拡販及び環境対応製品の展開に努め、さらなる収益性の向上を図ります。

 

 

 

[その他]

[関連するマテリアリティ] マテリアリティ全般

新規事業が計画通りに立ち上がらない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、定期的に当該市場やお客様の状況と当社グループの状況の整合を図りながら、適切な事業推進に努めています。

 

[その他・補足事項: M&A]

[関連するマテリアリティ] マテリアリティ全般

当社グループは、企業価値向上に向けた技術の獲得や新たな事業領域への進出、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合は、必要に応じて、M&Aや業務提携、戦略的投資を実施しております。

しかしながら、市場環境や競争環境の著しい変化などにより、当初想定していた成果やシナジーが得られない、買収した事業が計画通りの収益を確保することができない場合、のれんや固定資産の減損により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、他社との協業に際し、市場動向やお客様のニーズ、相手先企業の経営状況、市場での優位性などを十分に考慮し、判断を行っております。

 

(2)業務リスク

[製品安全]

[関連するマテリアリティ] 安全なモノづくり

当社グループは、安全なモノづくりを目標に、厳しい品質管理基準に従い中間材料又は製品を製造し、お客様に納入しています。加えて近年はフッ素化合物等の化学物質に関する規制強化も求められています。

製品に対し品質不具合等の欠陥や化学物質に関しての法令、品質不正などの品質コンプライアンス違反が生じた場合、同欠陥に対する賠償責任や法令等の違反に対する罰則等を負うことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、業界に準じた厳しい国際的な品質マネジメントシステムを認証し継続的改善に努めています。品質コンプライアンス問題に関してはその教育に加え,製造や検査環境のハード対策、3線ディフェンスを利用した監査などの取組みを強化しています。

加えて、規制の強化が予想されるPFASの代替製品検討やビスフェノール類・塩化ビニルなどの管理体制の強化に取り組んでいます。

化学物質関連の規制に対しては先取り対応の一環として特定の業界団体に所属し、審議段階から規制情報を入手して業界団体全体で順法対応を推進するなど、取組みを強化しています。

 

[環境(脱炭素社会の実現)]

[関連するマテリアリティ] 脱炭素社会の実現

当社グループは、気候変動や自然災害が深刻化する中、脱炭素社会の実現をマテリアリティとして定め、サプライチェーン全体での脱炭素を目指しています。

炭素税の賦課、再生可能エネルギーや排出権取引などの価格高騰が生じた場合、製造コストの上昇が避けられず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、厳格化される関連法令・規則を遵守するとともに、CO2排出に対する社会的要求を満たすべく製造工程における省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入を図っているほか、製品やソリューションを通じてお客様のCO2排出量削減にも取り組んでいます。

 

[環境(循環型社会の実現)]

[関連するマテリアリティ] 循環型社会の実現

当社グループは、資源の枯渇やプラスチックによる海洋汚染など、地球環境が危機的状況にある中、循環型社会の実現をマテリアリティとして定め、プラスチックを中心に資源循環を目指しています。

プラスチックや有機溶剤などの廃棄物の引き取り拒否や引き取り価格の高騰により、廃棄物の処理が困難となり生産活動が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品や廃棄物などが不適切に処理された場合、社会的信用の失墜やブランドイメージの低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、関連法令・規則を遵守するとともに、資源の有効活用やサプライチェーン全体のリサイクル促進を図り、資源循環型社会の構築に取り組んでいます。

 

 

 

[環境(生物多様性の保全)]

[関連するマテリアリティ] 生物多様性の保全

当社グループは、生物の絶滅や生態系の破壊など、人間活動により生物へ甚大な被害を与えている中、生物多様性の保全をマテリアリティとして定め、製造工程で使用している汚染・有害物質の排出削減を目指しています。

設備故障などの原因により、揮発性有機化合物が大気や河川などに排出された場合、地域環境汚染が生じ、社会的信用の失墜やブランドイメージの低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、関連法令・規則を遵守するとともに、独自により厳しい管理基準を設け汚染・有害物質を管理するとともに、使用量の削減にも取り組んでいます。

 

[情報セキュリティ]

[関連するマテリアリティ] 経営の安全性向上

当社グループにとって、情報システムは事業活動のあらゆる側面において非常に重要な役割を担っております。一方、サイバー犯罪の巧妙化や、内部不正・過失など人為的リスクも高まっています。

当社グループで情報システムに障害が発生した場合や、過失、故意を問わず、技術情報、お客様情報、取引情報、個人情報などの情報流出や不正使用が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、サイバー攻撃に対する、多層防御、早期検知・対応体制「CSIRT」整備に加え、有事を想定したBCP訓練を行うなどのハード・ソフト両面で様々な情報セキュリティ対策を実施しています。また、情報流出や不正使用などの過失防止のため、役員・従業員への情報セキュリティの重要性を説く教育や標的型攻撃メール訓練、情報の持ち出し手段の制限など、当社の情報管理ルールを徹底することで、経営の安全性向上を図っています。

 

[法規制の変化とコンプライアンス]

[関連するマテリアリティ] 経営の安全性向上

当社グループでは、法規制や社内ルールを遵守することのみならず、社会規範や倫理への適合も含めて、コンプライアンスを推進しています。一方、当社グループは27の国と地域で事業展開を行っており、それぞれの法規制、社会規範や倫理観などに対応するため、コンプライアンスの対象が多面化しています。

企業によるコンプライアンス違反は、企業価値に影響を与えるだけではなく、お客様の調達や消費、サプライヤーの生産、地域住民の日常生活などステークホルダーへも影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、コンプライアンスの基礎と位置付けている、「Nittoグループビジネス行動ガイドライン」を18言語に翻訳し、グループ全役員・従業員へ周知しています。また、当社グループでは内部通報制度を全エリアで運用中で、法令違反や倫理違反の早期発見に努めています。また、サプライヤーからの通報に関する社外受付窓口について、当連結会計年度中に全エリアでの設置を完了し、周知活動を進めています。

 

[グループ会社のガバナンス]

[関連するマテリアリティ] 経営の安全性向上

当社グループは、世界27の国と地域に展開する当社、子会社88社及び関連会社4社により、グローバルに幅広い分野で事業展開を行っています。

これら関係会社の役員・従業員による不正行為や、経営方針に従わない取引や判断により、ガバナンスや内部統制が機能せず、当社グループに損失を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは基盤機能材料、情報機能材料、回路材料、ライフサイエンス、メンブレン、パーソナルケア材料などによる事業軸、世界を7つの地域に分けたエリア軸、人事、経理などの専門機能部署については機能軸という、3つの軸が互いに補完、協力して経営を行う、3軸経営を推進しています。事業軸はガバナンスと内部統制体制を構築し、エリア軸と機能軸は、その統制状況を地域レベル、業務レベルで適切に監査・モニタリングしています。ここで報告、発見された事業・業務上の課題やリスクを毎月の経営戦略会議で共有し、速やかに改善を実施することで緊密なガバナンス、内部統制強化を図っています。

調達本部では、ESG経営に資する調達活動を推進するため、調達基本方針、サプライヤー行動規範、調達基本規程などを改定し、ポリシーや規程を整備しました。本部直轄のグローバル調達部と、海外各エリアに配置しているエリアリーダーが連携し、グループ各社に展開・周知することでガバナンスの強化に努めています。

 

 

 

[自然災害・気候変動]

[関連するマテリアリティ] 経営の安全性向上

当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、日本国内及び海外に複数の生産拠点及び販売拠点を有しています。

国内外で発生する、気候変動により激甚化する暴風雨や、地震などの自然災害により、当社グループの従業員、拠点や施設が被災する可能性があります。さらに電力、ガス、水道などのユーティリティや陸海空の物流網、インフラに被害が発生し、その結果広範囲にわたるサプライチェーンの分断が起これば、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、お客様、サプライヤーに大きな被害が生じ、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「安全をすべてに優先する」方針の下、事故や災害に備えた、各拠点での避難訓練や災害対策本部設立時の意思決定訓練を実施しているほか、事業機能停止を防止する対策として、BCP(事業継続計画)を策定して経営の安全性向上を図っています。

 

[人財確保]

[関連するマテリアリティ] 多様な人財の活躍

当社グループが事業活動を推進し、将来にわたって発展するためには、研究開発・製造・販売・管理など様々な分野において人財の確保と育成が必要です。従業員一人ひとりが働きがいをもってチャレンジを楽しむ組織風土の醸成が重要であり、併せて、社会環境の変化に合致した労働環境を構築するためにDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進が必要です。加えて、国内の少子高齢化に伴う労働人口減少をはじめグローバルでの人財獲得・競争が激化する中、働き方・キャリアに関する価値観が多様化して人財の流動性が高まっているため、人財の定着に向けた人事制度や処遇水準の見直しが継続的な課題となっています。

人財の継続的な獲得と流出の防止ができない場合、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

このように人的資本経営の重要性が高まる中、当社グループでは、従業員のエンゲージメント向上のための取組み好事例を共有するとともに、新規事業創出大会(Nitto Innovation Challenge)への提案や海外トレーニーなど様々な分野でチャレンジできる環境整備と、採用ブランディングの向上やインターンシップの拡充による採用力強化で、多様な人財の採用と育成に取り組んでいます。また、育児・介護等との両立支援やテレワーク勤務制度など多様な人財が働きやすい職場環境づくり、競争力のある報酬水準となるように賃金の引上げ等を実施し、人財の定着と動機付けを図っています。

 

[労働安全衛生]

[関連するマテリアリティ] 安全なモノづくり

当社グループは、安全な社会の実現を目指し、「あらゆる事故災害ゼロ」をスローガンに、安全をすべてに優先したモノづくりを行っています。

死亡・後遺症が残る又はそれらに準じる怪我や疾病など人的被害が発生した場合や、生産に影響が出る火災が発生した場合には、社会的な信用が低下するとともに、操業やお客様からの取引が停止することにより、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、怪我や疾病につながるリスクや火災につながるリスクの低減に向け、予見可能なリスクを漏れなく抽出し、リスクの低減策に努めるとともに、実施されたハード対策や決められたルールの順守など維持管理策にも取り組んでいます。

 

 

 

[人権]

[関連するマテリアリティ] 人権の支持と尊重

昨今、企業の人権に対する取組みは、ステークホルダーにおいて関心が高まっています。2011年に国連人権理事会で承認された、「ビジネスと人権に関する指導原則」では、人権尊重に関するコミットメント、救済・是正への取組みは、企業の責任として定められています。また、企業の責任範疇は自社内だけではなく自社のサプライチェーン全体に及んでいます。

企業が児童労働、強制労働、外国人労働者への差別など、種々の人権に係る課題をマネジメントする仕組みを構築していない場合、お客様やサプライヤーは取引の継続を控え、株式市場では投資を見送る傾向が高まっています。

当社グループでは、Nittoグループ人権基本方針を10言語で公開し、人権尊重に関する方針をステークホルダーへ伝えております。また、コンプライアンスマネジメント活動の1つとしてコンプライアンスサーベイを実施し、各拠点のリスク度の可視化と低減活動に取り組んでいます。当連結会計年度は従業員への教育・啓蒙として、まずは日本国内全従業員へ人権尊重も含めたESGに関する教育プログラムを立上げました。今後はそれを海外グループ全従業員へも展開していきます。

一方、グローバルでパートナーシップミーティングを開催し、主要サプライヤーへ当社グループのCSR調達方針や活動内容を周知しています。また、人権・労働など順守すべきルールを示したサプライヤー行動規範に基づいて、CSR調達アンケートを年1回実施しています。アンケート実施後にはリスク評価を行い、ハイリスクと判断したサプライヤーに対しては改善提案を実施し、その後に改善状況を確認しています。また、評価の客観性・妥当性の確認、外部要求に対応するため、前年度から新たに第三者評価としてEcoVadisによるCSR評価を導入し、各エリアにて順次導入を進めてきました。人権リスクの高い原材料を扱うサプライヤーに対しては、原産地調査と人権ポリシーに関するアンケートへの回答を依頼し、原材料調達における人権配慮への理解・協力を仰いでいます。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)財政状態

当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べ70,833百万円増加し、1,321,920百万円となりました。流動資産は32,251百万円増加の750,209百万円、非流動資産は38,581百万円増加の571,711百万円となりました。

流動資産の増加は、現金及び現金同等物が21,074百万円増加したこと、売上債権及びその他の債権が1,077百万円増加したこと、棚卸資産が6,127百万円増加したこと、その他の金融資産が2,511百万円増加したこと、その他の流動資産が1,460百万円増加したことによるものであります。

非流動資産の増加は、有形固定資産が39,101百万円増加したこと、のれんが8,889百万円減少したこと、無形資産が3,648百万円減少したこと、持分法で会計処理されている投資が5,203百万円増加したこと、金融資産が1,904百万円増加したこと、繰延税金資産が3,112百万円減少したこと、その他の非流動資産が8,284百万円増加したこと等によるものであります。

当期末の負債合計は、前期末に比べ10,767百万円増加し、276,806百万円となりました。流動負債は14,878百万円増加の221,735百万円、非流動負債は4,111百万円減少の55,070百万円となりました。

流動負債の増加は、仕入債務及びその他の債務が1,542百万円増加したこと、未払法人所得税等が14,781百万円増加したこと、その他の金融負債が2,294百万円減少したこと等によるものであります。

非流動負債の減少は、確定給付負債が4,139百万円減少したこと等によるものであります。

当期末の資本合計は、前期末に比べ60,065百万円増加し、1,045,114百万円となりました。

これは、利益剰余金が前期末に比べ81,977百万円増加したこと、自己株式が8,501百万円増加したこと、その他の資本の構成要素が13,419百万円減少したこと等によるものであります。

 

(2)経営成績

当連結会計年度における経済環境は、世界的なインフレ圧力の緩和を受けて、欧米の中央銀行が利下げに転じるなど、金融政策に変化が見られました。米国では、個人消費が堅調に推移する一方で、労働市場の緩やかな減速により、連邦準備制度理事会(FRB)は金利を引き下げました。トランプ新政権発足以降は、追加関税などの意向を表明したことでインフレ再燃への警戒感が広がりました。欧州では、実質所得の増加により個人消費が回復する一方で、ドイツを中心に製造業の低迷が見られました。中国では、長引く不動産不況と厳しい雇用環境による国内需要の低迷に対して、政府は消費財の買い替え促進策を実施しました。日本においては、物価高を上回る賃金上昇に加え、訪日外国人旅行者数が過去最高を更新したことによるインバウンド消費の伸びや、企業の積極的な設備投資により、景気が緩やかに回復しました。なお、為替相場は、1ドル160円を超える歴史的な円安水準から、急速に円高が進むなど不安定な状況が見られたものの、前連結会計年度に対しては円安が進みました。

このような中、当社グループの主要な市場においては、データセンター向けの高容量ハードディスクドライブ(HDD)やIT機器の生産が想定を上回り、当社製品の需要が増加しました。

当連結会計年度の対米ドル為替レートは、前連結会計年度と比較し6.3%円安の1ドル152.9円となり、円安による影響は、営業利益で233億円の増益要因となりました。

以上の結果、売上収益は前連結会計年度と比較し、10.8%増(以下の比較はこれに同じ)の1,013,878百万円となりました。また、営業利益は33.4%増の185,667百万円、税引前当期利益は33.4%増の185,329百万円、当期利益は33.6%増の137,307百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は33.7%増の137,237百万円となりました。

 

 

セグメント別の経営成績

① インダストリアルテープ

 基盤機能材料は、前連結会計年度に対して売上収益が伸長しました。ハイエンドスマートフォン向け組み立て用部材は、既存製品の採用モデル拡大に加え、新たにバッテリー固定用電気剥離テープの販売を開始し、需要が増加しました。また、半導体メモリやセラミックコンデンサー等の生産に使用される工程用材料の需要が、引き続き緩やかに回復しました。自動車材料は自動車生産台数の減少により低調に推移しました。

 以上の結果、売上収益は355,733百万円(5.3%増)、営業利益は46,043百万円(19.0%増)となりました。

 

② オプトロニクス

 情報機能材料は、前連結会計年度に対して売上収益が伸長しました。ハイエンドノートパソコンやタブレット端末の生産が好調に推移したことで、光学フィルムや透明導電性フィルムの需要が大幅に増加しました。また、グローバル自動車生産台数が低迷する一方で、車載ディスプレイの大型化や搭載数の増加に伴い、高耐久な光学フィルムの需要も増加しました。

 回路材料は、前連結会計年度に対して売上収益が伸長しました。生成AIの普及によりデータセンター向けのストレージ需要の高まりやHDDのさらなる高容量化により、CIS(Circuit Integrated Suspension)の需要が大幅に増加しました。高精度基板はハイエンドスマートフォンの生産が堅調に推移したことにより需要が増加しました。なお、第3四半期連結会計期間にプラスチック光ファイバー・ケーブルについて、事業化を中止することを決定し、減損損失等2,690百万円を計上しました。

 以上の結果、売上収益は542,999百万円(15.4%増)、営業利益は173,121百万円(39.0%増)となりました。

 

③ ヒューマンライフ

 ライフサイエンスは、前連結会計年度に対して売上収益が伸長しました。核酸受託製造は、米国マサチューセッツ州の拠点に新設した工場で、将来商用化が見込まれる案件の生産を開始しました。また、核酸材料(NittoPhaseTM)は、一部顧客の商用薬向けに需要が増加しました。核酸医薬の創薬においては、難治性の癌治療薬の臨床第1相試験が第1四半期連結会計期間に完了し、ライセンスアウトに向けて、引き続き取り組んでまいります。

 メンブレン(高分子分離膜)は、前連結会計年度に対して売上収益が伸長しました。各種産業用途向けの需要が中国を中心に減少する一方で、インドにおいて、排水規制強化に伴い、排水・廃液のゼロ化に貢献するZLD(Zero Liquid Discharge)の需要が増加しました。

 パーソナルケア材料は、前連結会計年度に対して売上収益が伸長しました。おむつ向け衛生材料の新製品と生分解性技術を用いた環境貢献型製品の拡販を進めました。なお、第4四半期連結会計期間に当社連結子会社であるNitto Advanced Film Gronau GmbH社の事業計画を見直した結果、のれんに関して3,298百万円を減損損失として計上しました。

 以上の結果、売上収益は132,098百万円(6.1%増)、営業損失は11,902百万円(前年同期は営業損失9,490百万円)となりました。

 

④ その他

 当セグメントには未だ十分な売上収益を伴っていないその他製品が含まれております。なお、第3四半期連結会計期間に当社連結子会社であるNitto Bend Technologies社のフレキシブルセンサの事業計画を見直した結果、のれんに関して5,199百万円を減損損失として計上しました。

 以上の結果、売上収益は19百万円(53.9%増)、営業損失は12,229百万円(前年同期は営業損失5,661百万円)となりました。

 

 当連結会計年度において、マネジメント体制の変更を行った結果、「インダストリアルテープ」の一部関連事業を「オプトロニクス」へ移管しております。

 当該変更を反映した組替後の数値で前連結会計年度との比較を行っております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は363,344百万円となり、前連結会計年度末より21,074百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は217,908百万円(前連結会計年度は155,521百万円の増加)となりました。

これは主に、税引前当期利益185,329百万円、減価償却費及び償却費65,595百万円、減損損失12,339百万円、確定給付負債の増減額1,048百万円、仕入債務及びその他の債務の増減額2,369百万円、利息及び配当金の受入額2,849百万円による増加、売上債権及びその他の債権の増減額3,791百万円、棚卸資産の増減額8,526百万円、法人税等の支払額又は還付額34,304百万円による減少の結果であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は115,105百万円(前連結会計年度は67,927百万円の減少)となりました。

これは主に、有形固定資産及び無形資産の取得による支出106,003百万円、定期預金の増減額2,371百万円、関係会社株式の取得による支出6,256百万円による減少の結果であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は78,890百万円(前連結会計年度は90,784百万円の減少)となりました。

これは主に、リース負債の返済による支出5,822百万円、自己株式の増減額35,062百万円、配当金の支払額38,040百万円による減少の結果であります。

 

なお当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

 親会社所有者帰属持分比率(%)

75.0

78.2

78.7

79.0

 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

119.3

108.1

155.8

143.8

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.2

0.1

0.2

0.1

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

269.8

337.4

255.0

269.3

 

(注)1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

 親会社所有者帰属持分比率(%)       親会社所有者帰属持分÷総資産

 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) 株式時価総額÷総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)  有利子負債÷キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)   キャッシュ・フロー÷利払い

2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

4 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

インダストリアルテープ

230,513

109.6

オプトロニクス

622,425

117.9

ヒューマンライフ

124,541

110.3

その他

0

18.5

合計

977,480

114.9

 (注)金額は、売価換算値によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)受注実績

 当社グループは、おおむね需要動向から見た見込み生産を行い、それ以外の製品については一部受注生産を行っておりますが、受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

インダストリアルテープ

351,698

105.5

オプトロニクス

537,481

115.9

ヒューマンライフ

123,203

105.6

その他

1,495

111.8

合計

1,013,878

110.8

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対応する割合は、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手が無いため記載を省略しております。

3 当連結会計年度において、報告セグメントの分類に一部変更があります。前年同期比は、当該変更を反映した前連結会計年度の数値に基づき算定しております。

 

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度(以下「当期」という。)は、売上収益は前連結会計年度(以下「前期」という。)と比べて10.8%増の1,013,878百万円となりました。これは情報機能材料、回路材料等の売上収益が増加したこと等によるものです。

売上原価は、前期比5.8%増の618,365百万円となりました。売上収益に対する売上原価の比率は、前期比2.8ポイント減の61.0%となりました。

販売費及び一般管理費は、前期比3.9%増の151,835百万円となりました。売上収益に対する販売費及び一般管理費の比率は、前期比1.0ポイント減の15.0%となりました。研究開発費は、前期比7.6%増の46,771百万円となりました。売上収益に対する研究開発費の比率は、前期より0.2ポイント減少し4.6%となりました。

以上の結果、営業利益は前期比33.4%増の185,667百万円となりました。

税引前当期利益は前期比33.4%増の185,329百万円となりました。

法人所得税費用は、前期の36,146百万円から、当期は48,021百万円となり、税効果会計適用後の法人税等の負担率は25.9%(前期は26.0%)となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比33.7%増の137,237百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期比36.0%増の195円74銭となりました。

 

なお、経営成績の概況及びセグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、変化の激しい事業環境下においても継続的に企業価値を向上させていくために、資金の使途を①設備投資、②配当、③M&A、④自己株式取得と順位付けし、経営の目安としています。

 当社グループの資金の源泉は、主として自己資金であり、トレジャリーマネジメントシステムを活用し、グループ内資金をタイムリーに漏れなく把握するとともに、各エリアに設置した資金統括拠点へ配当やキャッシュ・プーリングを活用して集約し、資金効率の向上に努めています。

 なお、当連結会計年度末の連結借入金総額は前連結会計年度末に比べ109百万円増加し、455百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は363,344百万円となっております。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針の要約 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

当連結会計年度において、重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発は、「イノベーションによる社会課題の解決」を基本方針に掲げ、地球の環境保全・改善や、人々の生活の質の向上のための新製品や新サービス、新規事業を創造することを目指しています。「粘接着」「光学設計」「回路形成」「薄膜形成」「多孔」「分離」「核酸合成」「ドラッグデリバリーシステム」の8つの基幹技術をベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。

全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発統括部の3つの部署と技術知財戦略本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。研究開発拠点として、2016年3月に大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外にNitto Denko Technical Corporation(U.S.A.-Oceanside)、Nitto BioPharma, Inc.(U.S.A.-San Diego)、Nitto Bend Technologies, Inc.(U.S.A.-Farmington)、Nitto Denko Asia Technical Centre Pte. Ltd.(Singapore)を配置しています。

当社グループでは地球環境の保全に大きく貢献する取組みとして、工場のボイラー排ガスに含まれるCO2を分離・回収する技術の開発を行っています。当連結会計年度、アゼルバイジャン共和国で開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」で、初めてこの技術を展示し大きな反響を得ました。2025年度中の事業化に向けて開発を加速させていきます。

また、当社グループはオープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、様々なアカデミアや企業と連携をしながら新技術や新製品の開発を行っています。当連結会計年度、北海道大学と行っているドラッグデリバリー技術に関する共同研究で、核酸医薬の一つであるmRNAを選択的に脾臓に送り届ける技術を確立しました。今後も様々なアカデミアや企業と連携しながらドラッグデリバリー技術の開発を進め、核酸医薬品の実用化に貢献してまいります。

さらに、当社グループでは知財戦略を重視して研究開発を進めており、研究開発で確立した技術を戦略的な特許出願で支えながら着実に事業につなげています。この活動の結果として、当連結会計年度「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2025」に選出されました。これは、クラリベイト・アナリティクス社が「影響力」「成功率」「グローバル性」「希少性」の4つの基準から優れた研究開発活動、知的財産管理を行っている企業や研究機関100社を選出したもので、2012年の開始からNittoは12度目の受賞となります。

 

当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で1,136名、グループ全体で1,785名です。また、当社グループの研究開発費の総額は46,771百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は10,725百万円です。

 

セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりであります。

(1)インダストリアルテープ

当社グループの持続的成長と持続可能な環境・社会の実現にCO2排出削減は不可欠です。そのため、有機溶剤を使用しない新製品の開発を拡大し生産活動におけるCO2排出削減に取り組んでいます。また、サプライチェーン全体のCO2削減にもつながるバイオマス粘着剤、資源循環によるリサイクル材料の活用や当社グループの粘着技術を用いて「熱・光・電気等」をトリガーとした剥離技術を構築し、リワーク・リサイクルを実現可能にする製品開発に取り組んでいます。

新製品開発はデジタルデバイス、半導体、水素・電池の3つを重点分野と定め、お客様のご要望に応える新製品開発、そして製品ラインアップの拡充を進めています。

デジタルデバイス分野では従来テープに求められる接着性や衝撃吸収性だけでなく、循環社会を目指し、再剝離性の付与、リサイクル材使用によるサステナビリティ向上にも貢献してまいります。

半導体分野では半導体の製造工程、特に先端半導体向け製造工程などでご使用いただくプロセステープの開発を進め、高品質を追求し続けるお客様の製造工程において生産性向上に貢献してまいります。

また、水素・電池分野では新規用途のマーケティング・開発活動を進め、安心・クリーンな社会実現に向けて貢献してまいります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は7,504百万円です。

 

(2)オプトロニクス

ディスプレイ業界では、スマートフォンを中心に有機ELディスプレイ(OLED)の普及が進んでおり、今後はタブレットPC、ノートPC、家電製品、車載ディスプレイへの採用拡大が期待されています。ディスプレイとしての表示品位などの基本特性の向上に加え、デバイス特有の屈曲性、高信頼性、曲面追従性など、多様なご要望に対応しています。偏光フィルム、位相差フィルム、粘着剤に機能を付与し、各フィルム、粘着剤トータルでの設計を最適化することで、お客様のニーズに応えています。また、お客様の生産工程の生産性向上に貢献できる製品開発にも注力しています。

新規デバイスとして仮想現実(VR)デバイス向けの製品開発に加え、2024年度に出資したTruLife Optics社との協業による拡張現実(AR)グラスに関わる光学フィルムの開発にも着手いたしました。

ディスプレイ以外では、ITOフィルム製膜に用いているスパッタ技術を活用し、タッチセンサ用途だけでなく、自動車の調光ルーフ用など、様々なセンサ向けの電極フィルムの製品開発も行っています。

これらの開発活動において、リサイクル材料やバイオベース材料の採用、粘着剤の無溶剤化など、環境技術と融合することで、お客様、社会及び地球環境への価値提供を加速させています。

回路材料関連では、データセンターで使用されるハードディスク(HDD)向け回路基板を提供しています。データセンター市場は、昨今のAI技術の進化・普及に伴い大きく成長しております。HDDの記録密度の技術開発も進むなど、期待の高まる同市場の継続成長に引き続き貢献してまいります。また、HDD向け回路基板を応用したスマートフォン向け「高精度基板」を展開しており、プリント回路基板における生産能力拡大を進めています。

新しい市場への挑戦では、当社グループ独自の多孔化技術を用いた低誘電材料でフレキシブル回路基板の量産を開始しました。高速信号伝送用途での拡販を進めてまいります。

環境配慮に対する取組みでは、フッ素規制(PFAS)に対応した絶縁材料を開発し、自社製品への適用を推進してまいります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は17,249百万円です。

 

(3)ヒューマンライフ

ライフサイエンス関連では、核酸プロセス材料の新工場での2025年度本格生産に向け、製造能力増強のためのプロセス開発を実施できました。また、核酸合成での新製法や新技術に対応し、核酸合成での高収量や純度向上につながる核酸プロセス材料の開発にも着手いたしました。さらには、核酸合成事業においてもお客様のコスト削減や新合成法に対応した技術開発を行っており、お客様のイノベーションに貢献できることを目指します。

一方、医療材事業では環境負荷を低減した製品開発に取り組み、製品化を完了しました。溶剤を使わない粘着剤開発、環境負荷を低減したパッケージなど工夫を行っています。

将来動向を見据えながら社会や顧客ニーズに基づく製品開発及びプロセス開発を行うとともに、引き続きCO2負荷削減に取り組んでいきます。

分離膜・メンブレン関連では、処理される原水の多様化の中で、省エネ、長期安定性、廃棄物の削減といった、新たなニーズに合わせた製品開発に取り組んでおります。そのような市場ニーズに合わせ、2024年度は省エネに特化し、従来品よりも運転時のエネルギーを約30%削減できる省エネに優れた新製品を開発しました。また、メンブレンの製品の中から新たに「省エネ排水処理RO膜」と「長寿命NF膜」の2製品が、環境貢献に優れた製品に授与されるPlanetFlagsTMに社内認定されました。今後も、社会的ニーズにあわせた製品開発を進めるとともに、サステナブルな原材料を使用するなど、省エネと長寿命に加えてさらにCO2排出量削減や循環型社会へ貢献できる製品開発へ取り組んでまいります。

パーソナルケア材料関連では、フィルム技術と不織布技術をコア技術とし、おむつ部材などの衛生材料製品の開発を行っています。地球環境に貢献できる無溶剤の接着・ラミネーションや加工技術・バイオマスや生分解性材料を用いた製品創出で、消費者様がより快適に、より安全にお使いいただける衛生材料のイノベーションに寄与できるよう、市場の最先端分野に注力してまいります。

また、機能性フィルム・不織布の製造技術を社内外へ用途展開することで、衛生材料関連以外の「半導体関連」「モバイル関連」「自動車関連」などの事業展開を積極的に促進いたします。製品設計活動を社内で密接かつ迅速に行えることから、新事業の開拓並びに事業成長のシナジー活動に注力してまいります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は5,962百万円です。

 

(4)その他

新規事業関連では、デジタルヘルス領域や次世代半導体領域など新しい領域に向けて様々な製品を開発しています。当連結会計年度、米国メンタルヘルス市場に向けて、生体情報をリアルタイムに解析・可視化する心理カウンセラー向けサービスを米国カリフォルニア州で開始しました。

当連結会計年度における研究開発費の金額は5,329百万円です。