当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当中間連結会計期間において、売上高が減少し経常損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。しかしながら、当社グループの根幹会社である大黒屋は、質屋業としての査定力という強みを活かし一定の粗利率で商品を買取り、在庫規模にかかわらず一定期間内に商品を販売できるビジネスモデルを確立しております。したがって、現在最低水準となっている在庫水準をコロナ前の水準に戻すことが大黒屋にとって最優先に取り組むべき課題と認識しております。その課題の解決に向けた取組として、在庫資金確保のための資金調達、既存の店舗網における買取及びおてがるブランド買取での取組等による在庫買取強化を行うことで、大黒屋及び当社グループの収益は強化されていくものと考えております。
2024年7月1日からサービスを開始している「おてがるブランド買取」を活用した他業種提携企業との共同施策が進む見込みであること、2023年11月30日に決議した第三者割当による新株予約権の行使が進んでいること、更に主要銀行へ追加の保証差入を行い継続的な支援をいただいていることから、資金繰りには問題なく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
当中間連結会計期間における世界経済は、ウクライナ情勢やガザ地区での紛争は終息の見込みが立たないどころか、中東情勢は一段の緊迫化が現実化するなど地政学リスクが続いています。米国では、堅調な景気の中、インフレ圧力の鈍化と労働需要の縮小を受けてFRBが9月に0.5%の利下げを決定し、景気後退を回避しソフトランディングを図っている状況です。欧州でも、サービス業の改善にけん引されて景気回復の兆しが顕在化し、ECBは利下げに転じ景気は持ち直しの状況ですが、フランスの政治の混乱の影響が懸念されます。中国では、国内消費の復活と輸出の増加が景気の追い風となっていましたが、不動産市場の低迷と外出関連消費も落ち着くなど成長の勢いは弱まっています。全般的な世界経済は高インフレが落ち着いてくるなど、底堅い成長を維持しております。
一方、我が国の経済は、3月下旬に日経平均株価4万円超えた、賃上げが5.2%に達したなどプラス材料もあったところですが、7月上旬に160円を超える円安を記録し、日本銀行による7月下旬の0.5%の利上げ後、急激に円高となり、9月末では144円と大きく変動し、日経平均株価も大きく上下を繰り返しているところです。実質賃金は6月に27ヶ月ぶりにプラスに転換(8月はマイナス)し、個人消費が5四半期ぶりに増加するなど、持ち直しの動きが見られますが、国内における経済の先行きは不透明な状態が続いています。
当社グループを取り巻く古物売買業界の事業環境は、社会全体にあって持続可能な世界を目指すSDGs推進によるリユース意識の高まりや円安による物価高により需要の拡大が見込まれております。また、コロナ禍から世界経済が正常化したことや歴史的な円安の状況を踏まえ、インバウンド復活がピーク時の2019年レベルを超える状況となっており、買取・販売が増加しつつあります。
当社グループでは、買取・販売の増加が見込まれることに伴い、今後の新たな収益機会に備えた体制を整え、攻めの経営に転じてまいります。
当社連結子会社である株式会社大黒屋(以下「大黒屋」という。)では、大黒屋とLINEヤフー株式会社(以下「LINE ヤフー」という。)が締結した業務提携契約に基づく「おてがるブランド買取」のサービスを7月1日から開始しました。LINEヤフーが運営する「LINE」上で中古ブランド品を買取り、「Yahoo!オークション」に出品し、落札結果に応じてお客様に還元する新サービスです。多くの国民になじみの深い「LINE」と 「Yahoo!オークション」のプラットフォームに載せることにより、中古ブランド品等の買取に対する抵抗感を和らげて、広範な国民に対する行動変容を促すことが期待されます。
既存の企業と協業することにより、大黒屋の査定、鑑定、買取のERPをAPIで提供することにより、既存小売とネット事業との融合を進めてまいります。今後、DX及び企業の資産効率の追求は重要な課題であり、大黒屋の買取事業を媒介とし、既存の企業と協業することにより、既存事業の顧客のフローを強化していくことができるものと確信しております。既存企業の売り場面積当たり効率と顧客の流れが強化される付加価値を生み出すフローをつくることにより、既存企業のROA及びROEを強化していくことができると考えます。
また、おてがる買取ブランドに、AI音声対話アバター査定士「DAI」の新機能も追加しました。このAIアバター査定士「DAI」と会話をしながら商品をカメラで映すことにより、目安となる買取価格が提示され、疑問点などをその場で聞くことができ、より円滑なコミュニケーションを図ることが可能になります。
生成AIの性能・精度を更に進化させ、店舗及び買取の効率化を強化していきます。生成AI及び大黒屋が培ってきた画像認識システム並びに買取のERPを既存企業へ提供することを内容とする既存企業との協業によって、既存企業のROA、ROEを一層強化できるものと考えております。今後、このおてがるブランド買取を、他の店舗やECを有する企業との提携を拡大していくことを通じて、大黒屋の買取窓口の多角化を実現し、当社グループの中長期的な企業価値の向上につなげていきたいと考えております。
このような状況下、当社グループの当中間連結会計期間の売上高は5,000百万円(前年同期比513百万円減少、同9.3%減)、売上総利益は1,561百万円(前年同期比98百万円減少、同5.9%減)となりましたが、在庫期間の短縮もあり、売上総利益率は31.2%(前年同期比1.1%増)を確保しております。新サービスに向けての投資費用が先行したことや「おてがるブランド買取」のキャンペーン等広告投資を積極的に行い、販売費及び一般管理費が1,925百万円(前年同期比256百万円増加、同15.4%増)に増加した結果、営業損失364百万円(前年同期比355百万円の悪化)となり、減収減益決算となりました。
(売上高)
当社グループの当中間連結会計期間の売上高は、5,000百万円(前年同期比513百万円減少、同9.3%減)となりました。その主な要因は以下のとおりであります。まず、当社グループの根幹会社である大黒屋において、当中間連結会計期間の売上高は4,818百万円(前年同期比558百万円減少、同10.4%減)となりました。
この減少要因は、大黒屋にとって外国人客の主力である中国からの渡航客がピーク時の7割にとどまっており、また、急速な円安進展とその後の乱高下による変動リスクの回避もあり、買取を抑制したことによる在庫水準(棚卸資産1,493百万円、前年同期比255百万円減少)の低下によるものです。
売上高の内訳は、リアル店舗全体での売上高(リアル店舗による販売のこと:以下「リアル」という。)は2,692百万円(前年同期比241百万円減少、同8.2%減)となり前期より減少しました。また、ネット店舗商品売上高(インターネットによる店舗販売のこと:以下「ネット」という。)においても、在庫水準の低下により561百万円(前年同期比248百万円減少、同30.7%減)と大きく減少し、本部商品売上高(古物業者市場等への販売のこと)についても、1,066百万円(前年同期比51百万円減少、同4.6%減)で減少となりました。併営する質料収入においては、質屋事業が庶民金融として生活に定着していることから、質料(貸付金利息)は431百万円(前年同期比6百万円減少、同1.5%減)となりました。なお、質草預かりに伴う営業貸付金残高(1,973百万円)は前年同期比162百万円減少で推移しております。また、越境関連としましては、越境EC等の売上が102百万円(前年同期比53百万円減少)と減少しています。なお、2021年7月より開始したChrono24は84百万円(前年同期比56百万円減少)と推移しております。
(利益)
当社グループの営業損失は364百万円(前年同期比355百万円の悪化)となりましたが、その主な要因は以下のとおりであります。まず、大黒屋において、売上総利益は1,484百万円(前年同期比128百万円減少、同7.9%減)となりましたが、在庫回転期間は2.41ヶ月(前年同期2.44ヶ月)と短縮したこともあり、売上総利益率は30.8%(前年同期比0.8%増)となっております。内訳は、店舗商品売上総利益(リアル)が613百万円(前年同期比75百万円の減少、同10.9%減)、ネット店舗商品売上総利益(ネット)は127百万円(前年同期比69百万円の減少、同35.1%減)となり、本部商品売上高の売上総利益は243百万円(前年同期比25百万円の減少、同9.6%減)と前年同期より減少しました。大黒屋全体の売上総利益率は30.8%(前年同期比0.8%の増)と前期同様の高水準で推移しており、その要因は、前年同期に引き続き、買取価格及び販売価格を見直し、粗利率の高いバッグの回転期間が短いことによるものです。また、質料(貸付金利息)は431百万円(前年同期比6百万円減少、同1.5%減)となりました。なお、質料収入はそのすべてが売上総利益となります。大黒屋の販売費及び一般管理費につきましては、新サービスに向けての投資費用が先行したこと、「おてがるブランド買取」のキャンペーン等、広告投資を積極的に行った結果、1,909百万円(前年同期比222百万円増加、同13.2%増)となりました。なお、大黒屋では、のれんを計上しているため、当中間会計期間の償却費270百万円を販売費及び一般管理費に含めておりますが、連結決算においては、のれん償却費を消去するため、当該金額を控除した金額で記載しております。先行投資を除いた場合の営業利益(のれん控除前)は189百万円、のれん控除後営業損失は82百万円となりました。以上の結果、大黒屋の営業損失は424百万円(前年同期比350百万円悪化)となりました。
一方、連結決算では上記のとおり大黒屋ののれん償却費が相殺されることにより営業損失は364百万円(前年同期比355百万円の悪化)となりました。当社グループの経常損失は474百万円(前年同期比409百万円の悪化)となりました。これは上記売上総利益の減少によるものです。
以上の結果、当社グループの税金等調整前中間純損失につきましては501百万円(前期比423百万円の悪化)となりました。また、親会社株主に帰属する中間純損失は448百万円(前年同期比284百万円の悪化)となりました。なお、大黒屋において企業評価指標の一つであるEBITDAは、売上総利益の減少により△131百万円(前年同期比504百万円の減少)となりました。
以上のとおり当中間連結会計期間において減収減益決算となりました。
セグメント別の業績の状況につきましては以下のとおりであります。
イ.質屋、古物売買業
当中間連結会計期間における質屋、古物売買業の売上高及び営業損失は、それぞれ4,819百万円(前年同期比558百万円の減少、同10.4%減)、損失173百万円(前年同期比351百万円の減少)となりました。その主な要因につきましては、業績の概況にて記載しましたように、大黒屋における在庫水準の低下により売上高、営業利益ともに減少しています。
ロ.電機事業
当中間連結会計期間における電機事業の売上高及び営業利益は、それぞれ181百万円(前年同期比44百万円の増加、同32.7%増)、66百万円(前年同期比34百万円の増加、同107.2%増)となりました。電機事業においては、今もなお電機業界全体において設備投資の抑制が続いていることもあり、最終ユーザーによる設備の新設工事や点検工事などは年々減少しているのが実情であります。また、資材(原材料)価格の上昇や後継者不足による小規模下請け業者の廃業などより一層厳しい環境が続いており、当社グループの電機事業にも大きな影響を与えています。このような状況の下、当社グループ電機事業部門におきましては、適正な利益を確保するため常に販売価格の見直しを行うとともに、製造原価の上昇を抑えるべく仕入先の転換(新規仕入先の拡充等)、現行取引ユーザーとの協力体制の拡充等、さまざまな手法をとって利益率の確保を目指し改善を行っております。
(2)財政状態に関する説明
当中間連結会計期間における、資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
(資 産)
当中間連結会計期間末における流動資産は、5,195百万円となり、前連結会計年度末に比べ30百万円の増加となりました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が24百万円増加、商品及び製品が195百万円増加したものの、営業貸付金が134百万円減少、その他流動資産が62百万円減少したことによるものであります。固定資産は、1,357百万円となり、前連結会計年度末に比べ4百万円の増加となりました。この結果、総資産は6,553百万円となり、前連結会計年度末に比べ34百万円増加いたしました。
(負 債)
当中間連結会計期間末における流動負債は4,549百万円となり、前連結会計年度末に比べ293百万円の減少となりました。固定負債は795百万円となり前連結会計年度末に比べ244百万円の減少となりました。これは主に長期借入金150百万円の減少、新株予約権付社債100百万円の減少によるものであります。この結果、負債合計は、5,344百万円となり、前連結会計年度末に比べ538百万円減少いたしました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は、1,208百万円となり、前連結会計年度末に比べ572百万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は9.0%(前連結会計年度末は△0.0%)となりました。
(3)連結業績予想などの将来の予測情報に関する説明
中間連結会計期間及び通期の業績につきましては本日公表しました「2025年3月期中間連結会計期間の業績予想と実績値との差異及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」をご参照下さい。
(4)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比して増減はなく948百万円となりました。
また、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、643百万円の支出(前年同期は442百万円の支出)となりました。
これは主に、税金等調整前中間純損失501百万円と棚卸資産の増加202百万円が影響を与えたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは7百万円の支出(前年同期は6百万円の支出)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出11百万円及び差入保証金の回収による収入5百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは650百万円の収入(前年同期301百万円の収入)となりました。
これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入940百万円及び短期借入金の返済による支出290百万円によるものです。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの基本方針は粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、市場環境に応じて適正在庫を管理し、適正価格で販売することにより限界収益の極大化を図ることにあります。その中にあって、中古ブランド品の流通は越境ECを始め全世界的規模で拡大し、当社グループが展望していたとおり、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに展開しております。
かかる状況下、当社グループは、質屋業としての査定力という強みを活かし一定の粗利率で商品を買取り、在庫規模にかかわらず一定期間内に商品を販売できるビジネスモデルを確立しております。したがって、現在最低水準となっている在庫水準をコロナ前の水準に戻すことが当社グループにとって最優先に取り組むべき課題と認識しております。その課題の解決に向けた取組として、在庫資金確保のための資金調達、既存の店舗網における買取及びおてがるブランド買取での取組等による在庫買取強化を行うことで、当社グループの収益は強化されていくものと考えております。
このような環境の中、今後の当社グループの連結収益の改善並びに経営基盤の強化を図るために対処すべき課題とその対処方針は以下のとおりであります。
① AI技術を活用した査定システム等の開発・普及
大黒屋とLINEヤフー社の業務提携に基づく「おてがるブランド買取」(7月1日サービス開始)の新サービスの基となるシステムは、大黒屋がこれまで培ってきた中古ブランド品買取販売のノウハウ、AI 技術に基づく画像鑑定技術、ダイナミックプライシングのノウハウ、AI 技術による機械学習を活用した自然言語処理に基づくチャットボット並びにAI 技術に基づく e-commerce のグローバルなデータベース及び在庫連動システムなどを活用して開発されたものです。このシステムにより、AIによる即時査定が可能となり、チャットボットによる自然なやり取りで、簡易査定から買取申込までLINE上だけで完結するようになりました。
また、おてがる買取ブランドに、AI音声対話アバター査定士「DAI」の新機能も追加しました。これは、ディスプレイモニターやスマートフォンのカメラを利用して、大黒屋のAI音声対話アバター査定士「DAI」とビデオ通話をすることができるシステムです。このAIアバター査定士「DAI」と会話をしながら、 商品をカメラで映すことにより、目安となる買取価格が提示され、疑問点などをその場で聞くことができ、より円滑なコミュニケーションを図ることが可能になります。生成AI(GPT4)と統合された音声とビデオを備えて日本語を話す世界初(※)のアバターであり、ブランド品の査定で生成AIの活用をすることは業界初(※)です。
※大黒屋調べ(2024年7月調査実施・インターネットなどによる調査)
② 買取販売の強化
コロナ禍において、外国人観光客の入国禁止や日本在住者の行動制限等のために売上が低迷したことから、在庫量を減らすという守りの経営を余儀なくされ、コロナ前よりも在庫量が大きく減少しました。新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」の5類への位置づけ変更による行動制限の解除と入国制限が撤廃されたため、在庫量を増加させることとしております。ついては、2023年11月30日の新株予約権の発行等による在庫買取のための資金調達、買取専門店(現在9店舗)の拡大、おたからブランド買取等のAI技術を用いた買取販売の多角化等により、買取販売量を増加させてまいります。生成AIの性能・精度を更に進化させ、店舗及び買取の効率化を強化していきます。生成AI及び大黒屋が培ってきた画像認識システム並びに買取のERPを既存企業へ提供することを内容とする既存企業との協業によって、既存企業のROA、ROEを一層強化できるものと考えております。今後、このおてがるブランド買取を、他の店舗やECを有する企業との提携を拡大していくことを通じて、大黒屋の買取窓口の多角化を実現し、当社グループの中長期的な企業価値の向上につなげていきたいと考えております。
③ 質屋事業の強化
2020年4月に発せられた第1回目の緊急事態宣言時に庶民金融である質屋業が個人の逼迫した資金ニーズを賄うものとして改めて再認識されました。かかる状況下大黒屋では創業以来77年で培った「質の大黒屋」としてのノウハウを活用して、顧客ニーズに応えるべく値付・真贋のできる店舗スタッフを育成・強化するとともに、来店出来ない顧客には訪問質預りで対応する等顧客の要望に応えてまいりました。質屋業界最大手として今後も更に一層庶民金融の一翼を担ってまいります。
④ 相場変動への適時対応、適正価格での在庫保有
当社グループを取り巻く古物売買業界の事業環境はCOVID-19下のリベンジ消費、物価高や急激な円安に伴い高級ブランド品価格がウクライナ危機前まで上昇しましたが、その後米国の金利引き上げもあり、IT関連銘柄の下落、金融市場の混乱、景気動向の不透明感から、円安進行による円建での価格上昇にも関わらず、高級ブランド品の価格が大幅に下落しており、古物市場での流動性が落ち、価格相場の混乱を招いています。一方で、更なるインバウンド復活が見込まれ、買取・販売の増加が既に始まっております。
かかる状況下、大黒屋では、CtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する際に、相場変動への適時対応やシステム内に構築された価格データを駆使して一般顧客より高く買取り、他の顧客に安く販売するというビジネスモデルを展開しております。特にバックにおいては在庫回転期間が30日以内で推移しています。かかる状況を踏まえ、引き続き、相場の状況を注視しながら余剰在庫を削減し、適正価格による在庫の確保を進めてまいります。
⑤ 電機事業の事業構造改革の実施
電機事業については、生産体制の更なる効率化や製品の統廃合や在庫管理の強化により製造原価の逓減を進め、結果として利益率が向上してまいりました。今後も引き続きお取引先に理解を得ながら不採算製品の削減や在庫圧縮を徹底するとともに製造間接費の更なる削減を実施してまいります。
⑥ キャッシュ・フロー重視の経営と経営基盤の拡充
質屋、古物売買業の強化、電機事業の抜本的な事業構造改革及び本社経費の削減等により、営業利益拡大を図るとともに事業リスクを逓減させ投資の回収を図り、キャッシュ・フローを重視した経営を進めてまいります。
⑦ 異業種との業務提携
大黒屋が1947年の創業以来77年で培った正確な真贋鑑定能力、過去の知見に起因するデータの蓄積及びそのDX化の結果として、当社グループが構築した真贋鑑定システム、買取システム、Dynamic Pricing システム及びキュレーションシステム等の展開を更に推し進め当社グループと異業種との業務提携等を含め国内外のプラットフォーマーやブランド品関連企業へ提供していきます。
当中間連結会計期間におきましては、大黒屋とLINEヤフーが締結した本業務提携に基づく共同施策を7月1日から開始いたしました。この「おてがるブランド買取」は、LINEヤフー社が運営する「LINE」上で中古ブランド品を買取り、「Yahoo!オークション」に出品し、落札結果に応じてお客様に還元する新サービスです。このシステムにより、AIによる即時査定が可能となり、チャットボットによる自然なやり取りで、簡易査定から買取申込までLINE上だけで完結するようになりました。このLINEを通して大黒屋が買取ったブランド品等については、「Yahoo!オークション」に出品され、高額落札された場合には、落札額に応じた一定割合をお客様に還元します。多くの国民になじみの深い「LINE」と「Yahoo!オークション」のプラットフォームに載せることにより、中古ブランド品等の買取に対する抵抗感を和らげて、広範な国民に対する行動変容を促すことが期待されます。
大黒屋では、この大黒屋が開発したAI買取査定サービスを、今後他の店舗やECを有する提供企業に拡大していくことによって、より多くの既存ビジネスにおけるアップセリングとクロスセリングを通じて共存し、シナジー効果を産み出していくことを考えております。具体的には、これにより、買取店舗に行くことも、ブランド品を大黒屋又は他社のブランド品買取店舗に持ち込む必要もなくなります。また、販売者が最も興味のある買取値段については、今まで店舗で査定されるまでは知ることができませんでしたが、それをオンラインで数秒で知ることが可能となります。同時に、これまでの他の企業との提携により買取を増やす場合には、相手方の店舗等に大黒屋の社員を派遣し潜在的買取値段等を伝える必要がありましたが、その必要がなくなり、広く実店舗を有する企業との複合的連携が可能となります。
これらの結果として、大黒屋の買取窓口の多角化につながります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。