文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において連結会社が判断したものです。
① 魅力ある製品で、お客様に満足を提供する。
② 変化を先取りし、世界の市場で発展する。
③ 自然を大切にし、社会と共生する。
④ 個性を尊重し、活力ある企業をつくる。
を経営の方針としています。
当社は売上収益及び営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いています。
(3) 対処すべき課題
世界的な人口増加や高齢化、都市化が拡大する中で、CO2排出による地球温暖化や交通事故は、ますます大きな社会課題となっています。加えて、社会は情報化・知能化の飛躍的な進展により、ビジネスモデルの変化や、人々の価値観・消費行動の多様化が起こっています。
モビリティ領域においても、IoTやAIの進化により、電動化、自動運転、コネクティッド、シェアリングの動きが加速しており、当社を取り巻く環境は大変革期を迎えています。
このような大変革期においても持続的に成長し続けるために、当社は2017年10月に、2030年の目指す姿を描いた、2030年長期方針を策定しました。従来注力している「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきたいと考えています。

また、企業活動を通じて社会課題を解決し、持続的な社会の実現に貢献するため、優先課題を定め取り組みを進めています。国連のSDGsを含む様々な社会課題の中から、持続可能な社会実現のために重要度が高く、当社が特に貢献できる分野を「環境」「安心」「企業基盤」の3つの分野とし、各分野の優先取り組み課題を全社で共有しています。企業活動を通じてこれらの目標達成を図ることによって、社会課題解決に貢献していきます

電動化分野においては、地球にやさしく、より快適に移動できる電動車両システムを提供するために、長年、電動化技術の開発を行っています。その結果、ハイブリッド車に欠かせない主要製品の高性能化や小型化、省燃費を実現し、世界中で生産実績を積み上げてきました。今後は、当社の幅広い事業領域を活かし、車内のあらゆるシステムや製品をつなぎ、クルマの中のエネルギーを効率よくマネジメントすることで、さらなる燃費性能の向上や省電力化に貢献していきます。
そのための具体的な取り組みとして、近年の電動化製品の世界的な需要の高まりを受け、今後の開発、生産体制の強化の一環として、2020年6月にデンソー安城製作所内に「電動開発センター」を開設しました。電動開発センターでは、先行開発から試作、実証、量産ラインの立ち上げ・安定化までを一貫して行うことで、電動化領域の製品開発のスピードを加速します。
また、2020年4月にトヨタ自動車株式会社の広瀬工場が当社に合流し、「デンソー広瀬製作所」としての活動を開始しました。今後、安城製作所とともに電動化領域のグローバルマザーとして、開発、生産工程を確立し、競争力のある電動化製品を世界各地域へ幅広く普及させることで、持続可能な社会の実現に貢献します。
先進安全・自動運転分野においては、当社は、交通事故のない、誰もが安心・安全に移動できるモビリティ社会を目指し、品質と信頼性の高い安全技術の開発に取り組んできました。これまで培ってきたセンシング技術に加え、今後は、AI・情報技術に磨きをかけることで、自動運転技術の発展にさらに貢献していきます。創業以来変わらない品質へのこだわりをつらぬき、モビリティ社会の未来に確かな安心を届けます。
そのための具体的な取り組みとして、トヨタ自動車株式会社と当社は、次世代の車載半導体の研究及び先行開発を行う合弁会社「MIRISE Technologies(株式会社ミライズ テクノロジーズ)」を2020年4月に設立しました。トヨタ自動車株式会社の持つモビリティ視点、並びに当社が培ってきた車載視点での知見を掛け合わせることで、クルマ軸と部品軸の両輪で、電動車両や自動運転車両の技術革新のカギとなる次世代の車載半導体を、より早期に開発し、豊かな環境、安全と心地よさを合わせ持つモビリティ社会の実現を目指します。
また、当社では東京エリアを、先進的なモビリティの先行開発の総本山として、自動運転等の研究開発を推進しています。車両メーカやパートナーとの共創により、企画・開発・実証を加速させ、早期の市場投入を目指します。また、2020年7月には、羽田空港跡地にテスト路を備えた試験車両の整備棟とオフィスの開設を予定しており、実車による公道実証も含めた研究開発体制を構築し、一層の開発加速を実現します。
連結会社の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。連結会社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていきます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月19日)現在において連結会社が判断したものです。
(1) 事業環境に関するリスク
① 経済状況
連結会社の全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、連結会社が製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジアを含む連結会社の主要市場における景気後退及びそれに伴う自動車需要の縮小は、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、連結会社の事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、連結会社と同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、連結会社の売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、連結会社のみならず他のメーカでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
② 為替レートの変動
連結会社の事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高(特に連結会社の売上の重要部分を占める米ドル、ユーロ及び元に対する円高)は連結会社の事業に悪影響を及ぼし、円安は連結会社の事業に好影響をもたらします。
連結会社が日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、連結会社製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。連結会社は、為替相場や金利の変動リスクを軽減するために、現地生産や通貨ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、中長期的な為替レートの変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料や部品の供給による影響
連結会社は、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、基本取引契約を締結し、安定的な取引を行っていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故等により原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合、連結会社製品の製造原価の上昇、さらには生産停止を招く等、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスク
① 新製品開発力
連結会社は、直近売上収益の9%台を目安として研究開発投資を行う等、積極的な研究開発活動を実施しており、継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
ⅰ) 新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
ⅱ) 長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
ⅲ) 連結会社が顧客からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、また、これらの製品の販売が成功する保証はありません。
ⅳ) 新たに開発した製品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
ⅴ) 技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、連結会社製品が時代遅れになる可能性があります。
ⅵ) 現在開発中の新技術の製品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、連結会社が業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 価格競争
自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっています。特に、自動車メーカからの価格引き下げ要請は、近年、強まってきています。
また、連結会社は、連結会社が属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。競合先には他自動車部品メーカがあり、その一部は連結会社よりも低コストで製品を提供しています。さらに、自動車のカーエレクトロニクス化の進展に伴い、民生用エレクトロニクス製品メーカ等、新しい競合先又は既存競合先間の提携が台頭し、市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。
連結会社は、技術的に進化した高品質で高付加価値の自動車関連製品を送り出す世界的なリーディングメーカであると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 製品の欠陥
連結会社は世界中の工場で世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き連結会社がこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストの発生や連結会社の評価が低下することに伴う売上の減少を招き、連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 顧客企業の業績への依存
連結会社の事業の大部分を占める自動車メーカ向け部品供給事業は、世界中の自動車メーカを対象としており、提供する製品は、自動車部品におけるパワトレインシステム、エレクトリフィケーションシステム、センサ&セミコンダクタ、サーマルシステム、モビリティエレクトロニクス等多岐にわたります。これらの分野における顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や連結会社が管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、顧客企業の価格引き下げ要請は、連結会社の利益率を低下させる可能性があります。顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、顧客企業の調達方針の変化、大口顧客の要求に応じるための値下げは、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
連結会社の売上の約半分を、トヨタグループ向けが占めています。これらの特定の顧客グループへの売上は、その顧客企業の業績により大きな影響を受ける可能性があります。
⑤ 企業買収・資本提携
連結会社は、既存提携関係の強化又は新規提携を行うことにより、事業の拡大、機能強化又は新技術の開発を目指しています。このため、他社との提携による新会社設立や既存企業への投資を行っており、さらに、今後も投資活動を行う可能性があります。
新規投資については、幅広い視点から十分に議論を重ねた上で実行に移していますが、投資先企業の価値が低下した場合や提携企業との間で戦略性や優先順位について不一致が生じた場合には、投資に見合った効果を享受できず、投資金額の回収が困難となり、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
連結会社の生産及び販売活動において、北米や欧州、アジア等の海外市場の占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合には、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ⅰ) 予期しない法律又は規制の変更
ⅱ) 不利な政治的又は経済的要因の発生
ⅲ) 人材の採用と確保の難しさ
ⅳ) 社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響
ⅴ) 潜在的に不利な税影響
ⅵ) ストライキ、テロ、戦争、疾病、その他の要因による社会的又は経済的混乱
⑦ 環境問題の重要性向上に係るリスク
連結会社は、国内及び海外の環境法規制を遵守した上で、サステナビリティの視点を経営戦略に取り込み、環境負荷の低減と高効率な移動の実現に取り組んでいます。具体的には、事業活動における環境負荷の削減、環境効率・資源生産性の追求及び環境規制に適合した製品開発に努めています。
しかし、環境に関する取組みの重要性は益々高まる傾向にあり、今後も様々な規制が改正・強化され、即時の対応や将来に向けての取組みを求められる可能性があります。その対応が不十分な場合には、製品の売上減少、生産量の限定又はレピュテーション低下等、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、連結会社は、気候変動をリスクとしてだけではなく、機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決してくことを目指します。気候変動に関連するリスク、機会及びその影響の評価に取り組んでいく姿勢を明確にするため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)による提言に賛同しており、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報開示に取り組んでいきます。
⑧ 情報セキュリティリスク
連結会社は、様々なグループ内専用ネットワークや情報技術システムを利用しています。さらに、連結会社の車載製品は、高度運転支援や自動運転等の高度な情報技術システムに使われています。
連結会社は、社内ネットワークや生産ライン等にセキュリティ対策を講じ、情報資産の保護、安定的な供給の実現を図っているほか、車載製品をサイバー攻撃から守る技術を開発し、確実に搭載すべくグループ独自の仕組みを構築しています。
しかしながら、サイバー攻撃等の不正行為は脅威を増しており、連結会社も攻撃の標的にされる可能性があります。想定を大幅に超えるサイバー攻撃等を受けた場合、重要な業務の中断、機密情報の漏洩、車載製品の機能への悪影響等が生じる可能性もあります。その結果、競争力の喪失やレピュテーション低下を招き、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) イベント性のリスク
① 災害等による影響
連結会社は、大規模な自然災害、事故、疫病等の発生時に製造ラインの中断等による事業へのマイナス影響を最小化するため、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検、事業継続計画(BCP)や有事行動マニュアルの策定等の減災対応に取り組んでいます。
しかし、連結会社の生産施設及び連結会社の顧客企業、仕入先企業で発生する災害等による中断等の影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、連結会社の事業所の多くは東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震が発生した場合、生産・納入活動が停止する可能性があります。
② 法的手続
連結会社はビジネス活動において、継続的なコンプライアンスの実践に努めています。それにも関わらず、様々な訴訟及び規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
なお、連結会社は、特定の自動車部品の過去の取引に関する独占禁止法違反の疑いに関連して、一部の国において当局による調査を受けており、また、米国等で提起された民事訴訟に対応しているほか、一部の自動車メーカとの間で和解交渉を行っています。その結果を予測することは困難ですが、連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、連結会社では、顧客、取引先及び従業員の安全や健康を第一に考え、また、更なる感染拡大を防ぐために、WHO及び各国政府当局の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域との往来の制限、イベントの休止、テレワーク(在宅勤務)の推進等に努めながら事業活動を行っています。
提出日現在、事業影響の低減を図っており、原材料や部品の確保等に問題はありませんが、各国政府当局による外出制限等の影響もあり、連結会社及び取引先の一部において工場の稼働停止や生産調整が行われており、生産・納入活動に影響が生じています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界経済はリーマンショック以来のマイナス成長となることが見込まれています。事態がさらに長期化すれば、世界的な景気の悪化等によって自動車メーカによる車両販売数の減少が深刻となり、また、原材料や部品の確保等が困難となることにより、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
連結会社に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
連結会社の連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。また、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において連結会社が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦等、保護主義の拡大が世界貿易に影響し、経済が減速局面入りしたところ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が加わり、全世界の経済がさらに悪化しました。日本経済は、消費税の増税影響等により、成長が鈍化しました。自動車市場は、米中は貿易摩擦、インドは金融不安、ASEANではローン規制強化等の影響により縮小し、日本でも消費税の増税影響等により縮小しました。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も2020年2月以降に顕在化し、各市場とも、前年度比でマイナスに転じました。
連結会社は、「デンソーグループ2030年長期方針」を策定し、「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」というスローガンを定めました。また、この長期方針を実現するための道筋として、「デンソーグループ2025年長期構想」を策定し、「電動化」、「先進安全・自動運転」、「コネクティッド」、「非車載事業(FA※/農業)」を注力分野に定め、事業活動を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。
※FA:ファクトリー・オートメーション(生産ラインの機械化による自動化)
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度の経営成績については、売上収益は、物量ベースで第3四半期までは前年度比で横ばいを維持していたものの、為替や第4四半期の新型コロナウイルス感染症拡大による大幅な市場減速の影響により、5兆1,535億円(前年度比2,093億円減、3.9%減)と減収になりました。
営業利益は下半期に発生した品質費用の引当や、売上減少に伴う操業度差損等により、611億円(前年度比2,551億円減、80.7%減)、税引前利益は896億円(前年度比2,664億円減、74.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は681億円(前年度比1,864億円減、73.2%減)と減益になりました。
当連結会計年度の財政状態については、資産は、営業債権及びその他の債権の減少等により、5兆6,518億円(前年度末比1,406億円減)となりました。
負債は、引当金の増加等により、2兆929億円(前年度末比709億円増)となりました。
資本は、投資有価証券の評価時価の下落等により、3兆5,589億円(前年度末比2,115億円減)となりました。
セグメント別の業績については、日本は、トヨタ自動車株式会社向けを中心とする販売の増加等はあったものの、消費税の増税影響や輸出の減少により、売上収益は、3兆2,635億円(前年度比25億円減、0.1%減)と微減となりました。営業利益は、品質費用の引当等により888億円の営業損失(前年度は1,260億円の営業利益)となりました。資産は、現金及び現金同等物や繰延税金資産の増加等により、3兆7,267億円(前年度末比1,953億円増)となりました。
北米地域は、市場の減速や為替の影響により、売上収益は1兆1,763億円(前年度比361億円減、3.0%減)減収、営業利益は、合理化努力があったものの、操業度差損や生産能力増強のための投資等により235億円(前年度比61億円減、20.6%減)と減益になりました。資産は、その他の金融資産や棚卸資産の増加等により、6,252億円(前年度末比103億円増)となりました。
欧州地域は、市場の減速により、売上収益は5,833億円(前年度比692億円減、10.6%減)と減収、営業利益は、操業度差損や労務費の増加により、144億円(前年度比85億円減、37.1%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や有形固定資産の減少等により、3,862億円(前年度比237億円減)となりました。
アジア地域も、市場の減速により、売上収益は1兆2,785億円(前年度比1,379億円減、9.7%減)と減収、営業利益は、操業度差損等により、1,033億円(前年度比251億円減、19.6%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や現金及び現金同等物の減少等により、1兆719億円(前年度末比322億円減)となりました。
その他地域は、売上収益は607億円(前年度比120億円減、16.5%減)と減収、営業利益は98億円(前年度比5億円減、5.2%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や有形固定資産の減少等により、382億円(前年度末比87億円減)となりました。
② 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
連結会社はトヨタ自動車株式会社を始めとして、各納入先より四半期ごとに生産計画の提示を受け、連結会社の生産能力を勘案して生産計画を立てる等、すべて見込生産を行っています。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
3.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
① キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、営業活動により5,953億円増加、投資活動により4,474億円減少、財務活動により2,409億円減少等の結果、当連結会計年度は前連結会計年度と比べ1,138億円減少し、5,978億円となりました。
当連結会計年度における営業活動から得た資金は、前連結会計年度の5,335億円に対し、5,953億円となり、618億円増加しました。この増加は、資金流出を伴わない項目である引当金の増減額が1,697億円増加したことや、売上債権の回収額が1,146億円増加したことによるものですが、税引前利益が2,664億円減少したことにより、一部相殺されています。
当連結会計年度における投資活動に使用した資金は、前連結会計年度の5,147億円に対し、4,474億円となり、673億円減少しました。この減少は、定期預金の預入額が821億円減少したことによるものです。
当連結会計年度における財務活動に使用した資金は、前連結会計年度の922億円に対し、2,409億円となり、1,487億円増加しました。この増加は、借入金の調達額が1,259億円減少したことや、社債の発行額が900億円減少したことによるものですが、自己株式の取得額が284億円減少したことにより、一部相殺されています。
当連結会計年度における有形固定資産の取得額は、前連結会計年度の4,102億円から3.5%増加し、4,245億円となりました。この増加は、次期型化や拡販等の事業成長に向けた投資に加え、電動化投資をグローバルに加速したことによるものです。
② 資本の財源及び資金の流動性について
資本の財源及び資金の流動性について、連結会社の運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、必要に応じて借入又は社債の発行等による資金調達を実施することを基本方針としています。
当連結会計年度は、連結会社の設備投資資金について、主として自己資金により充当しました。
連結会社の資本的支出は、生産拡大対応、次期型化、新製品切替及び新製品開発のための研究開発投資を重点的に推進する予定であり、その財源は、上記基本方針に従ったものとする予定です。
連結会社は、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力等により、連結会社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による資金繰りへの影響について、連結会社は即時実行可能な銀行融資枠を十分に確保しているため、当面の資金繰りに懸念はありません。
当社は、トヨタ自動車株式会社より主要な電子部品事業を譲り受けることについて、2019年4月5日付でトヨタ自動車株式会社との事業譲渡契約を締結し、2020年4月1日付でトヨタ自動車株式会社の主要な電子部品事業を譲り受けました。詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記34「後発事象」をご参照ください。
デンソーグループ2030年長期方針では、スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」を宣言し、「環境」「安心」「共感」の3つをキーワードに、従来から注力している「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」頂ける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。この経営思想を事業活動に結びつけ、社会の持続的発展を目指し、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の一翼を担い、経済的価値と社会的価値の両立を目指すサステナビリティ経営を実践していきます。
2025年度の成長目標として、電動化、自動運転の実現に伴うモビリティの新領域で成長することで、売上収益7兆円、営業利益率10%を実現します。そのために、「経営改革5本の柱」を定め、経営改革を推進するとともに、「電動化」「先進安全・自動運転」「コネクティッド」「非車載事業(FA・農業)」の4分野を注力分野として取り組みます。
電動化の分野では、近年の電動化製品の世界的な需要の高まりを受け、今後さらなる開発、生産体制を強化するため、当社グループ全体で2018年度から2020年度末までの3ヵ年で約1,800億円の投資を行います。その一環として、2020年6月にデンソー安城製作所内に「電動開発センター」を開設しました。また、トヨタ自動車株式会社と当社は、モビリティ視点(クルマ軸)並びに車載視点(部品軸)での知見を掛け合わせることで、電動車両や自動運転車両の技術革新のカギとなる次世代の車載半導体を早期に開発していく合弁会社「MIRISE Technologies(株式会社ミライズテクノロジーズ)」を2020年4月に設立しました。さらに、Honeywell International,Inc.(ハネウェル)と当社は、電動航空機用推進システムの共同開発を2019年6月に開始しました。世界各国では、大都市化・高密度化による交通量の増加を受け、タクシーや電車等に代わる高速移動手段として、空のモビリティ、特に電動航空機のニーズが高まっています。
先進安全・自動運転の分野では、当社製「Global Safety Package」を搭載したトヨタ自動車株式会社のアルファード及びヴェルファイアが、日本における自動車の安全性評価プログラムであるJNCAPにおいて、2018年度の予防安全性能評価で最高得点となり、予防安全性能評価大賞を受賞しました。当社製「Global Safety Package」は、ミリ波レーダと画像センサを組み合わせることで、昼夜を問わず歩行者等を認識し、安全な運転をサポートするシステムです。
コネクティッドの分野では、近年コネクティッドカーと呼ばれるネットワークとつながるクルマが急速に普及する等、ICTを活用した新しい自動車技術・サービスが次々と生まれています。その一方で、サイバー攻撃は日々高度化・巧妙化し続けているため、コネクティッドカーを見守り、早期に攻撃を検知・解析し、状況に応じた適切な対応をするためのセキュリティ技術が求められています。2017年から、NTTコミュニケーションズ株式会社と当社は、車両に搭載されたセキュリティ機能からの出力データを解析することで、サイバー攻撃を検知し、その影響範囲を特定する車両SOC(セキュリティオペレーションセンター)技術を開発していますが、これまで開発してきた車両SOC技術の実用化を目指し、実車環境での車両SOC技術の検証を2020年1月から開始しました。
非車載事業(FA・農業)の分野では、当社はオランダの施設園芸事業者であるセルトングループ(Certhon Build B.V.)に出資しました。セルトンは、施設園芸分野での世界トップクラスの先進技術を有し、大規模施設園芸ソリューションを世界20ヵ国以上へ販売する企業です。当社は資本提携を通じて、植物工場の完全自動化等の次世代施設園芸の技術開発と、セルトンのグローバルな農業ビジネスの知見を活かし世界各国の多様なニーズに合わせた施設園芸パッケージの販売に取り組み、農業ソリューションの提供を目指します。また、2018年に株式会社浅井農園と設立した株式会社アグリッドでは、2020年3月、国内最大級の農業用ハウスを竣工し、人と機械の協働の実現に向けて、自働化による人の作業量の低減と農場の24時間稼働に取り組み、当社が開発した自動収穫ロボット「FARO(ファーロ)」の実証を開始しています。
当社は、世界のイノベーションの震源地にR&D機能を配置することで、大学や研究機関、スタートアップ企業等様々なパートナーとの連携、オープンイノベーションを強化しています。2019年7月に、新たなサテライトR&D拠点として、IT系企業や大学が多く集結している米国シアトルに「シアトル・イノベーション・ラボ」を開設しました。本拠点において、当社が保有する多様な車両データを収集・解析するための車載コンピュータや、車両データをクラウドコンピュータと通信で連携させる技術と、先進的なIT技術の融合を進めて、次世代のモビリティ社会の実現に貢献します。また、当社はD-Wave Systems Inc.が量子コンピュータのクラウド利用サービス「Leap2」を新型コロナウイルス感染症対応で利用する企業・団体に無償提供するプロジェクトに参画します。当社は、これまで量子コンピュータを使った工場の効率化シミュレーションの実証実験をはじめとする研究を行ってきました。その中で培った知見を社会に役立てるべく、現実の問題を量子コンピュータが解くことができる形にする定式化や、問題を解くスピードを高速化する等の技術支援を行います。
連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は