文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において連結会社が判断したものです。
① 魅力ある製品で、お客様に満足を提供する。
② 変化を先取りし、世界の市場で発展する。
③ 自然を大切にし、社会と共生する。
④ 個性を尊重し、活力ある企業をつくる。
を経営の方針としています。
連結会社は売上収益及び営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いています。
(3) 対処すべき課題
世界的な人口増加や高齢化、都市化の拡大、CO2排出による地球温暖化や交通事故がますます大きな社会課題となる中、当社は、2017年度に2030年長期方針を策定し、従来注力してきた「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献する活動を推進してまいりました。
しかし2019年度に経営の基盤を揺るがす品質問題が発生、2019年度から2020年度にかけて売上成長にブレーキをかける新型コロナウイルス感染症の影響など、事業環境は大きく変化しました。
そこで2021年度末までに、新しいデンソーとして再出発することを目指した、変革プラン「Reborn(リボーン)21」の取り組みを開始しました。
連結会社は創業当初より自動車関連分野を中心とし、その技術を応用した生活・産業関連機器の開発や製造に取り組んできました。その事業領域を「モビリティ」「モノづくり」「ソサエティ」に広げ、「環境」「安心」への取り組みを再定義し、成長戦略を立案・実行していきます。人の幸せに貢献すること、社会課題に解決策を提供することで利益を生み出し、持続可能なビジネスとして成立させていきます。また企業基盤となる、よい商品を早くお届けする仕事の進め方や組織の変革、変化に強い財務体質、事業ポートフォリオの見直しなど、事業を通じて社会課題を解決するサステナブル経営を強化していきます。


電動化分野においては、連結会社は長年、電動化技術の開発を行ってきました。その結果、ハイブリッド車に欠かせない主要製品の高性能化や小型化、省燃費を実現し、世界中で生産実績を積み上げてきました。今後は、当社の幅広い事業領域を活かし、車内のあらゆるシステムや製品をつなぎ、クルマの中のエネルギーを効率よくマネジメントすることで、さらなる燃費性能の向上や省電力化により、CO2排出ゼロに貢献していきます。
現在、主な電動化関連製品は日本(安城、広瀬)、アメリカ(テネシー)、中国(天津)で製造し、お客様に製品を届けています。また、激変する電動化の動きに対して開発効率を上げスピーディに対応していくため、安城製作所内に電動開発センターを設立いたしました。今後も電動化関連製品の需要拡大に対応するため、中国南部での生産増強のほかアジアや欧州での生産を検討しています。
先進安全・自動運転分野においては、連結会社は交通事故のない、誰もが安心・安全に移動できるモビリティ社会を目指しています。そのために、これまで品質と信頼性の高いセンシング技術の開発に取り組んできました。今後はAI※・ソフトウェア技術を高度化することにより、モビリティ社会の未来に確かな安心をお届けします。
具体的な取り組みとして、後付け装着可能な「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」が、SUBARU、マツダ、スズキ、日産自動車、三菱自動車工業の各車両メーカの純正用品として採用されました。この製品は、ドライバーの操作に対して、発進時や後退時の加速を抑制します。連結会社はブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いによる衝突事故の軽減に貢献することで安心・安全なクルマ社会の実現を目指します。また、高度運転支援の実現には、車両周辺の検知性能の向上、高精度な自車位置の特定、センサー情報の高速処理が必要です。連結会社は乗員に安心感を与える高度運転支援を実現する技術開発と車両の安全性能向上に貢献する製品を開発し、2021年4月発売のLEXUS 新型「LS」および、TOYOTA新型「MIRAI」 に搭載される「Advanced Drive」向けの製品として採用されました。
※AI:人工知能(Artificial Intelligenceの略)
連結会社の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。連結会社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていきます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月22日)現在において連結会社が判断したものです。
(1) 事業環境に関するリスク
① 経済状況
連結会社の全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、連結会社が製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジアを含む連結会社の主要市場における景気後退及びそれに伴う自動車需要の縮小は、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、連結会社の事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、連結会社と同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、連結会社の売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、連結会社のみならず他のメーカでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
② 為替レートの変動
連結会社の事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高(特に連結会社の売上の重要部分を占める米ドル、ユーロ及び元に対する円高)は連結会社の事業に悪影響を及ぼし、円安は連結会社の事業に好影響をもたらします。
連結会社が日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、連結会社製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。連結会社は、為替相場や金利の変動リスクを軽減するために、現地生産や通貨ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、中長期的な為替レートの変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料や部品の供給による影響
連結会社は、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、基本取引契約を締結し、安定的な取引を行っていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故等により原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合、連結会社製品の製造原価の上昇、さらには生産停止を招く等、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスク
① 新製品開発力
連結会社は、直近売上収益の9%台を目安として研究開発投資を行う等、積極的な研究開発活動を実施しており、継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
ⅰ) 新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
ⅱ) 長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
ⅲ) 連結会社が顧客からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、また、これらの 製品の販売が成功する保証はありません。
ⅳ) 新たに開発した製品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
ⅴ) 技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、連結会社製品が時代遅れになる可能性があります。
ⅵ) 現在開発中の新技術の製品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、連結会社が業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 価格競争
自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっています。特に、自動車メーカからの価格引き下げ要請は、近年、強まってきています。
また、連結会社は、連結会社が属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。競合先には他自動車部品メーカがあり、その一部は連結会社よりも低コストで製品を提供しています。さらに、自動車のカーエレクトロニクス化の進展に伴い、民生用エレクトロニクス製品メーカ等、新しい競合先又は既存競合先間の提携が台頭し、市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。
連結会社は、技術的に進化した高品質で高付加価値の自動車関連製品を送り出す世界的なリーディングメーカであると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 製品の欠陥
連結会社は世界中の工場で世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き連結会社がこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストの発生や連結会社の評価が低下することに伴う売上の減少を招き、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 顧客企業の業績への依存
連結会社の事業の大部分を占める自動車メーカ向け部品供給事業は、世界中の自動車メーカを対象としており、提供する製品は、自動車部品におけるサーマルシステム、パワトレインシステム、モビリティシステム、エレクトリフィケーションシステム、センサ&セミコンダクタ等多岐にわたります。これらの分野における顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や連結会社が管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、顧客企業の価格引き下げ要請は、連結会社の利益率を低下させる可能性があります。顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、顧客企業の調達方針の変化、大口顧客の要求に応じるための値下げは、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
連結会社の売上の約半分を、トヨタグループ向けが占めています。これらの特定の顧客グループへの売上は、その顧客企業の業績により大きな影響を受ける可能性があります。
⑤ 企業買収・資本提携
連結会社は、既存提携関係の強化又は新規提携を行うことにより、事業の拡大、機能強化又は新技術の開発を目指しています。このため、他社との提携による新会社設立や既存企業への投資を行っており、さらに、今後も投資活動を行う可能性があります。
新規投資については、幅広い視点から十分に議論を重ねた上で実行に移していますが、投資先企業の価値が低下した場合や提携企業との間で戦略性や優先順位について不一致が生じた場合には、投資に見合った効果を享受できず、投資金額の回収が困難となり、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
連結会社の生産及び販売活動において、北米や欧州、アジア等の海外市場の占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合には、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ⅰ) 予期しない法律又は規制の変更
ⅱ) 不利な政治的又は経済的要因の発生
ⅲ) 人材の採用と確保の難しさ
ⅳ) 社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響
ⅴ) 潜在的に不利な税影響
ⅵ) ストライキ、テロ、戦争、疾病、その他の要因による社会的又は経済的混乱
⑦ 環境問題の重要性の高まりに係るリスク
連結会社は、国内及び海外の環境法規制を遵守した上で、環境負荷の低減と高効率な移動の実現に取り組んでいます。具体的には、会社の環境方針「エコビジョン2025」に基づき、事業活動における環境負荷の削減、環境効率・資源生産性の追求及び環境規制に適合した製品開発に努めています。
しかし、世界的な人口の増加や経済発展・利便性の追求により、エネルギーや資源の消費スピードが加速していることから、地球温暖化や資源枯渇、環境汚染等のリスクへの懸念が高まっています。それに伴い環境に関する取組みの重要性は益々高まり、今後も様々な環境規制が改正・強化され、即時の対応や将来に向けての取組みを求められる可能性があります。その対応が不十分な場合には、製品の売上減少、生産量の限定又はレピュテーション低下等、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 気候変動によるリスク
国連気候変動枠組条約第21回締結国会議(COP21)において「パリ協定」が採択され、平均気温の上昇を抑えるため、温室効果ガスの削減に向けた取り組みが世界的に進められています。また直近では、欧・米・中・日などの主要各国政府が脱炭素を宣言、国家成長戦略の重大な政策の1つとして位置づけています。このような背景から、気候変動への対応は、経済成長を制約するものではなく、競争力の源泉になるものと考えています。
連結会社では、持続可能なモビリティ社会のあり方を模索し、長期ビジョンで掲げた、「環境」の提供価値を最大化する目標に向けて、2019年に賛同を表明した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のフレームワークを参照し、気候変動が事業に与える影響とそれによる機会とリスクをシナリオに基づいて分析、事業戦略に反映していくように検討を進めました。
最近では、気候変動によるリスクについては、以下の通り連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。脱炭素社会への移行リスクとして、気候変動に伴う燃費・排ガス規制や電動化の拡大に、現行製品が適切に対応できないことで、販売機会を損失する可能性があります。また物理リスクとしてサイクロンや洪水などの異常気象の深刻化と頻度の上昇が考えられ、工場操業停止やサプライチェーンの分断により売上が減少する可能性があります。
これらのリスクへ対処すべく、移行リスクについては、エレクトリフィケーションシステム事業、サーマルシステム事業、パワトレインシステム事業において新たな燃費規制や電動化需要に応えるための研究開発の加速と得意先への提案をしています。また物理リスクについては、建物、構造物への気象災害対策(洪水含む)の実施のほか、部材などの購入先を複数社化することによりサプライチェーンに対するリスクマネジメントの強化に取り組んでいます。
2021年度からは、「35年カーボンニュートラル」の実現を目指して「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3つの領域において脱炭素に向けた取り組みを加速させてまいります。具体的には、「モノづくり」においては、再生可能エネルギーの利用、徹底した省エネ活動の実行、低カーボンな材料・設備・生産工程の採用、Factory-IoTの導入などを加速させ、2025年には工場から排出されるCO2を証書・クレジットを利用してゼロ、2035年にはクレジットなしでゼロを目指します。「モビリティ製品」においては、駆動システムとサーマルシステムを核としたエネルギーマネジメント技術により、BEV・HEV・PHEV・FCEVからe-VTOL(electric Vertical Take-Off and Landing)まで全方位で技術開発を推進するなど、電動化の普及に貢献することで可能な限りCO2排出量を削減、2025年に電動化分野で売上1兆円を目指します。「エネルギー利用」においては、再生可能エネルギーを貯める技術や、人工光合成のような新技術など、CO2を再エネルギー化・再資源化する技術開発に取り組みます。この技術により、家庭や産業から排出されるCO2、大気中のCO2を、必要な場所でどこでも回収・再利用できるシステムを開発し、2025年には社会実証、2030年には事業化、そして2035年にはこの分野で売上3,000億円を目指します。
⑨ 情報セキュリティリスク
連結会社は、様々なグループ内専用ネットワークや情報技術システムを利用しています。さらに、連結会社の車載製品は、高度運転支援や自動運転等の高度な情報技術システムに使われています。
連結会社は、社内ネットワークや生産ライン等にセキュリティ対策を講じ、情報資産の保護、安定的な供給の実現を図っているほか、車載製品をサイバー攻撃から守る技術を開発し、確実に搭載すべくグループ独自の仕組みを構築しています。
しかしながら、サイバー攻撃等の不正行為は脅威を増しており、連結会社も攻撃の標的にされる可能性があります。想定を大幅に超えるサイバー攻撃等を受けた場合、重要な業務の中断、機密情報の漏洩、車載製品の機能への悪影響等が生じる可能性もあります。その結果、競争力の喪失やレピュテーション低下を招き、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) イベント性のリスク
① 災害等による影響
連結会社は、大規模な自然災害、事故、疫病等の発生時に製造ラインの中断等による事業へのマイナス影響を最小化するため、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)や有事行動マニュアルの策定等の減災対応に取り組んでいます。
しかし、連結会社の生産施設及び連結会社の顧客企業、仕入先企業で発生する災害等による中断等の影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、連結会社の事業所の多くは東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震が発生した場合、生産・納入活動が停止する可能性があります。
② 法的手続
連結会社はビジネス活動において、継続的なコンプライアンスの実践に努めています。それにも関わらず、様々な訴訟及び規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
なお、連結会社は、特定の自動車部品の過去の取引に関する独占禁止法違反の疑いに関連して、一部の国において当局による調査を受けており、また、米国等で提起された民事訴訟に対応しているほか、一部の自動車メーカとの間で和解交渉を行っています。その結果を予測することは困難ですが、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、連結会社では、顧客、取引先及び従業員の安全や健康を第一に考え、また、更なる感染拡大を防ぐために、WHO及び各国政府当局の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域との往来の制限、イベントの休止、テレワーク(在宅勤務)の推進等に努めながら事業活動を行っています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症が拡大した場合には、原材料や部品の確保等が困難となり生産に支障をきたすことや、世界的な景気の悪化等によって自動車メーカによる車両販売数の減少が深刻となること等が想定され、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
連結会社に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
連結会社の連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。また、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において連結会社が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、2020年初めより新型コロナウイルス感染症が拡大し、世界的に経済が大きく落ち込みました。日本の企業収益や業況感は、4月に発令された緊急事態宣言が段階的に解除されていくにつれ、4、5月を底として再び持ち直し始めたものの、新型コロナウイルス感染症による先行きの不確実性が高い状況が続きました。自動車の国内生産、輸出は5月を底としてその後回復基調となりましたが、新型コロナウイルス感染症の状況が不安定であったほか、半導体や素材不足などの影響により車両の生産は世界、日本ともに前年比マイナスとなりました。
連結会社は、「デンソーグループ2030年長期方針」を策定し、「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」というスローガンを定めています。一方、新型コロナウイルスの影響や品質問題の発生などにより社会やお客さまへの新しい価値の提供と、経営・信頼の基盤である品質の立て直しが急務となりました。そのために「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行と、環境変化に左右されない「引き締まった強靭な企業体質への転換」を同時に推進すべく、デンソー変革プラン「Reborn(リボーン)21」の取り組みを開始しました。デンソーは、「環境」「安心」分野で社会に確かな貢献をすることで「共感」いただける企業を目指し続けます。
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度の経営成績については、売上収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大による市場減速の影響により、第1四半期に車両販売が大幅に減少し、その後回復に転じたものの、半導体や素材不足による売上減少などもあり4兆9,367億円(前年度比2,168億円減、4.2%減)と減収になりました。
営業利益は新型コロナウイルス感染症の影響による操業度差損や品質費用の引当があったものの、緊急の止血施策やソフト開発ツール導入による研究開発の効率化など体質変革の加速により、1,551億円(前年度比940億円増、153.9%増)、税引前利益は1,938億円(前年度比1,041億円増、116.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,251億円(前年度比570億円増、83.6%増)と増益になりました。
当連結会計年度の財政状態については、資産は、その他の金融資産の増加等により、6兆7,677億円(前年度末比1兆1,159億円増)となりました。
負債は、社債及び借入金の増加等により、2兆6,910億円(前年度末比5,981億円増)となりました。
資本は、投資有価証券の評価時価の上昇等により、4兆767億円(前年度末比5,178億円増)となりました。
セグメント別の業績については、日本は、トヨタ自動車株式会社向けを中心とする販売の増加等はあったものの、売上収益は、3兆1,770億円(前年度比865億円減、2.7%減)と微減となりました。営業利益は、品質費用の引当等があったものの226億円の営業利益(前年度は888億円の営業損失)となりました。資産は、その他の金融資産や有形固定資産の増加等により、4兆5,854億円(前年度末比8,587億円増)となりました。
北米地域は、売上収益は1兆262億円(前年度比1,501億円減、12.8%減)と減収、営業利益は、146億円(前年度比89億円減、37.7%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の金融資産や棚卸資産の増加等により、6,754億円(前年度末比502億円増)となりました。
欧州地域の売上収益は5,197億円(前年度比636億円減、10.9%減)と減収、営業利益は、31億円(前年度比112億円減、78.3%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産の増加等により、4,164億円(前年度末比302億円増)となりました。
アジア地域は中国での売上が当連結会計年度を通じて牽引し、売上収益は1兆3,038億円(前年度比254億円増、2.0%増)と増収、営業利益は、1,114億円(前年度比81億円増、7.9%増)と増益になりました。資産は、現金及び現金同等物や営業債権及びその他の債権の増加等により、1兆2,620億円(前年度末比1,901億円増)となりました。
その他地域は、売上収益は404億円(前年度比203億円減、33.5%減)と減収、営業利益は70億円(前年度比28億円減、28.4%減)と減益になりました。資産は、棚卸資産や営業債権及びその他の債権の増加等により、427億円(前年度末比45億円増)となりました。
第1四半期ではアジアを除くすべての地域で営業損失となっておりましたが、当連結会計年度累計ではすべての地域で黒字となりました。
② 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
連結会社はトヨタ自動車株式会社を始めとして、各納入先より四半期ごとに生産計画の提示を受け、連結会社の生産能力を勘案して生産計画を立てる等、すべて見込生産を行っています。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
3.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
① キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、営業活動により4,372億円増加、投資活動により3,959億円減少、財務活動により2,387億円増加等の結果、当連結会計年度は前連結会計年度と比べ2,996億円増加し、8,974億円となりました。
営業活動により得られた資金は、前年度の5,953億円に対し、4,372億円となり、1,581億円減少しました。この減少は、売上債権の増減額が前年度と比べ、2,044億円増加したこと等によるものです。
投資活動により使用した資金は、前年度の4,474億円に対し、3,959億円となり、515億円減少しました。この減少は、資本性金融商品の取得による支出が492億円減少したこと等によるものです。
財務活動により得られた又は使用した資金は、前年度の2,409億円の資金の減少に対し、2,387億円の資金の増加となり、4,796億円増加しました。この増加は、借入金の調達額が8,880億円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度における有形固定資産の取得額は、前連結会計年度の4,245億円から6.8%減少し、3,955億円となりました。この減少は、止血施策の一環として投資案件の精査を強化したことによるものです。
② 資本の財源及び資金の流動性について
資本の財源及び資金の流動性について、連結会社の運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、必要に応じて借入又は社債の発行等による資金調達を実施することを基本方針としています。
当連結会計年度は、連結会社の運転資金及び設備投資資金について、自己資金及び、借入・社債発行による資金を充当しました。
連結会社の資本的支出は、生産拡大対応、次期型化、新製品切替及び新製品開発のための研究開発投資を重点的に推進する予定であり、その財源は、上記基本方針に従ったものとする予定です。
連結会社は、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力等により、連結会社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。
該当事項はありません。
デンソーグループ2030年長期方針では、スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」を宣言し、「環境」「安心」「共感」の3つをキーワードに、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」頂ける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。
昨年より「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行と、環境変化に左右されない「引き締まった強靭な企業体質への転換」を同時に推進する変革プラン「Reborn(リボーン)21」を推進しています。「環境」分野においては、既に公表のとおり、2035年までに二酸化炭素(CO2)排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルを実現することを目指しています。また、「安心」分野においては、交通事故のない安全な社会と快適で自由な移動の実現を目指し、信頼性の高い安全技術の開発に取り組んでいます。
事業の柱としては、2030年長期方針で掲げた4つの注力分野「電動化」「先進安全・自動運転」「コネクティッド」「非車載事業(FA・農業)」に取り組んでいます。
電動化の分野では、電動化領域の開発、生産体制を強化するため、安城製作所内に「電動開発センター」を開設しました。本センターでは、先行・量産開発、車両やシステムの試験などを行う開発棟、信頼性試験を行う耐久棟、開発した製品の走行試験を行う屋外試験路、量産ラインの立上げを行うための工場を機能的に配置しています。生産人員に加えて、開発・設計人員も集結し、先行開発から試作、実証、量産ラインの立ち上げ・安定化までを一貫して行うことで、電動化領域の製品開発を加速します。また、工場から排出されるCO2ゼロを目指し、CO2を回収して循環利用する実証施設「CO2循環プラント」を安城製作所 電動開発センター内に建設し、実証実験を開始しています。実証実験を開始した CO2循環プラントは、主に工場で発生するCO2を回収し、エネルギー源や他の材料に循環利用することを想定した設備です。ここでは、ガスを使用する機器の排気から回収したCO2と、再生可能エネルギー電力を用いて生成した水素から、メタンを合成してエネルギー源として再利用するプロセスを実証しています。
先進安全・自動運転の分野では、乗員に安心感を与える高度運転支援技術の実現と車両の安全性能向上に貢献する製品を開発しました。これらの製品は、LEXUS新型「LS」および、TOYOTA新型「MIRAI」に搭載される高度運転支援技術「Advanced Drive」向けの製品として採用されました。開発した製品は、車両や道路の形状を検知するLiDAR、2種類のカメラで自車の前方環境を検知するロケーター望遠カメラ、高い精度で自車位置を特定するECU、それらの製品などから得られる情報を高速処理するECUです。各ECUは、無線通信によるソフトウェアアップデートに対応しており、ユーザーに車両が渡った後の機能の追加、性能向上に貢献します。また、既販車に対しても、後付け装着可能なペダル踏み間違い時の加速抑制装置を開発して、乗用車メーカーへの展開を促進し、交通事故の低減に貢献することで、安心・安全なクルマ社会の実現を目指しています。
コネクティッドの分野では、当社とKDDI株式会社は、交通事故や交通渋滞のない安心・安全なモビリティ社会の実現に向け、自動運転への5G活用に向けた共同検証を開始しました。本検証で両社は、当社が自動運転などの研究開発を行う拠点「Global R&D Tokyo, Haneda」内のテスト路を5G通信環境で整備し、高精細車載カメラや路側センサーなどを用いた自動運転車両の走行支援に対する技術検証を共同で行います。また、トラックに搭載されている当社製冷凍機を遠隔監視し、異常を即時検知して通知するサービスとして、「D-FAMS(ディー・ファムス)」を開発しました。「D-FAMS」を利用することで、冷凍機の故障や異常のタイムリーな検知が可能になり、その後の迅速な修理によって、車両が使えない時間や配送商品の品質劣化を低減することができます。
非車載事業(FA・農業)の分野では、世界130工場をIT、IoTの技術でつなぐ、Factory-IoTプラットフォームを開発しました。開発したプラットフォームにより、工場のさまざまな機器から収集したデータを一つのクラウドに蓄積し、自由に活用できるようになります。世界の工場がクラウドでつながることで、各地の需要に合わせた生産変動などにも即座に対応できるグローバルな生産体制の強化や、作業者の動きや生産設備の稼働状況などリアルタイムな分析が可能になります。また、当社とセルトングループは施設園芸ソリューションを提供する販売会社「株式会社デンソーアグリテックソリューションズ」を設立しました。新会社では、当社のプロファームTキューブをはじめとする施設園芸製品に加え、セルトンの持つ世界最先端の施設園芸製品、今後両社で共同開発する次世代施設園芸製品、お客様のご要望に合わせた栽培コンサルティング、およびアフターサービスをパッケージ化し販売していく予定です。
当社は、世界のイノベーションの震源地にR&D機能を配置することで、大学や研究機関、スタートアップ企業等様々なパートナーとの連携、オープンイノベーションを強化しています。例えば、先端R&Dを行う新たな拠点として、米国に「ピッツバーグ・イノベーション・ラボ」を開設して、自動運転レベル4の実現に向けた研究開発や、AIなどの先端要素技術の開発を加速させます。
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、車内空間において「換気」の重要性が改めて注目されるとともに、健康面に配慮した空気質へのニーズも高まっています。当社は、車載用空気清浄機と空気清浄度モニター、「Puremie(ピュアミエ)」を開発しました。高性能フィルターを搭載した空気清浄機によって車内の微粒子を除去し、浄化された空気の清浄度を空気清浄度モニターに表示することで、車内の空気質に対する安心感を高めることができます。
連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は