第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループが属している電池やエレクトロニクス分野における価格競争や受注の急変動は大変厳しいものとなっております。

当社グループは強みを有する電池技術、回路技術およびパワーエレクトロニクス技術を結集させて、“電気エネルギーを効率的に利用する技術でグローバルに社会に貢献”する「スマートエナジーマネージャー」として、お客様に“One FDK”でサービス・価値を提供し、株主様、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様の期待に応えることが、当社グループの目指す姿であると考えております。 

IoT、車載、5Gなどモビリティ社会が急速に進展するなか、インダストリアル市場向けには高性能で高品質な電池、電子製品およびこれらの技術を融合させたシナジー製品を開発、供給してまいります。コンシューマ市場向けには強みである品質と高性能な電池で他社と差別化し、FUJITSU電池とOEM販売の両面で国内外で拡販に努めてまいります。また、大容量ニッケル水素蓄電池“メガトワイセル®”や全固体リチウムイオン電池をはじめとする新規開発電池に戦略的に投資し、早期の市場投入を今後計画してまいります。

当社グループは「スマートエナジーマネージャー」としてのミッションを果たしていくとともに、事業の強化と財務体質の健全化をより一層進めることで、持続的な発展と企業価値を向上させることが今後の課題であると認識しております。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上のリスクについて、投資家の判断に影響をおよぼす可能性が考えられる主な事項については、以下の内容が挙げられます。当社グループは、リスクマネジメント部門を中心として、これらのリスクの発生の可能性を認識・評価したうえで、リスクの回避・軽減を判断し、発生した場合には影響の極小化のための対応に努める所存であります。

なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境

当社グループの電池事業および電子事業は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。また、同様に電池市場や電子製品市場の需要変動の影響を受けます。従いまして、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退や製品市場の縮小は、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(2) 為替レート

当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため米国ドルに代表される為替の急激な変動は、海外ビジネスの売上および損益に影響し、海外に提供する製品の価格競争力の低下などを招くおそれがあります。また、当社グループは、各地域における資産、負債、収益および費用を含む現地通貨建ての項目を連結財務諸表の作成のために円換算しております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響をおよぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。当社グループが生産を行なう地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における製造と調達のコストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(3) 金利の動向

当社グループの当連結会計年度末における連結有利子負債残高は204億77百万円となっており、金利変動の影響を受けるものが含まれています。このため、金利変動により当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

 

(4) 新製品開発力

当社グループは、スピードをあげて新製品・新技術の開発に取り組んでおりますが、エレクトロニクス分野では技術の進歩が大変早く、新製品や新技術は急速に陳腐化します。そのため、当社グループが市場と業界の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や当社グループの製品の価値を著しく低下させるような、画期的な新技術などが他社によって開発された場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(5) 価格競争

エレクトロニクス分野における価格競争は大変厳しいものとなっております。そのため、当社グループが属している各製品市場において、競争の激化に直面する可能性があります。また、当社グループは、高品質で高付加価値のキーデバイスを開発するとともに、コストダウンに取り組んでおりますが、価格下落が当社グループの想定を上回るリスクや調達価格の変動などにより当社グループが十分なコストダウンを実現できない場合、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(6) 新規参入者を含めた競争

エレクトロニクス分野では、既存の競合他社に加え、新規参入者との競争も激しくなっています。現在、当社グループが競争優位性を持っている分野でも、新規参入者を含めた競合他社との競争に晒されており、当社グループが競争力を失ったり、将来の事業において優位性を確保できない可能性があります。

 

(7) グローバルでの事業展開

当社グループの生産活動の大部分は、中国、東南アジアで行なわれております。そのため、予期しない法律または規制の変更、テロ、戦争、人材の流出、その他の要因による混乱、対応コストの増加などがおきる可能性があります。従いまして、これらの事象は業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(8) サプライヤー

当社グループは、原材料の調達につきましては、基本的には複数のサプライヤーと契約を結び安定的な調達を心がけておりますが、材料高騰、供給不足、災害、品質管理の問題が同時に発生した場合など、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(9) 顧客への依存

当社グループの電池事業は、電池が使用される機器の拡大・縮小や使用量、長期的な天候状況による消費者の購買動向に影響を受けます。また、電子事業はエレクトロニクス関連のセットメーカーなどを対象としております。これらの企業への売上は、その顧客企業の業績、顧客企業の製品やサービスの売れ行きや当社グループが管理できない要因により大きな影響を受けます。

 

(10) 投資判断に関するリスク

エレクトロニクス分野においては、競争力維持のため、多額の研究開発投資および設備投資ならびに事業再編などが必要な場合があります。当社グループは、今後も必要な投資や事業再編等を実行してまいりますが、これらの実施の成否は、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。当社グループでは、投資や事業再編にあたって、市場動向、顧客のニーズや当社事業の優位性などを勘案して決定しておりますが、当社グループが有望と考えた市場や技術が、実際には想定ほど成長しなかったり、需要変動や価格下落が予想以上に早くおきる可能性があります。

 

 

(11) 知的財産保護

当社グループは他社製品と差別化を図れる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能または限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループでは他社の知的財産権を侵害することのないよう、社内規定の整備、調査の徹底などを行なっておりますが、当社グループの将来の製品または技術について、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。

 

(12) 製品の欠陥

当社グループの工場は、品質保証に関する国際規格「ISO9001」を取得するとともに、当社の厳しい品質管理基準に従って各種製品を製造しております。しかし、全ての製品について欠陥がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(13) 人材に関するリスク

当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、経営者、優秀な技術者など、必要とする人材を採用および育成し、ならびに流出を防止することは当社グループにとって重要であり、このような人材を採用または育成することができない場合や優秀な人材の流出を防止できない場合、当社グループの成長や利益に悪影響をおよぼす可能性があります。また、従業員との間で解雇または退職に関する合意が円滑になされない場合、法令にもとづく適切な労務管理ができないことなどにより従業員に重大な労働災害が発生した場合など、これらの労務問題による社会的な企業評価の毀損や紛争につながる可能性があります。

 

(14) 環境に関するリスク

当社グループでは、環境保全への取り組みを経営の重点課題に位置付け、環境負荷の低減、環境汚染の発生防止などに努めておりますが、事業活動を通じて環境汚染などが発生しないという保証はありません。また、当社グループ工場跡地において、土壌および地下水の調査ならびに浄化活動を行なっておりますが、今後新たな汚染が発生しないとも限りません。このような環境汚染が発生または判明した場合、当社グループの社会的な信用低下または浄化処理などの対策費用発生などにより損益に悪影響をおよぼします。

 

(15) 情報セキュリティに関するリスク

お客様、お取引先、当社グループの秘密情報または個人情報(マイナンバーを含みます)の保護については、社内規定の制定、従業員への教育、情報インフラの整備、業務委託先も含めた指導等の対策を実施しておりますが、情報漏洩を完全に防げる保証はありません。万が一、情報漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、お客様の情報を漏洩した場合には法的責任が発生するおそれがあります。また、当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、安定した運用を行なうための体制を構築しておりますが、コンピュータウィルスの侵入またはサイバー攻撃などの不正アクセスによる運用困難および情報漏洩などを完全に防げる保証はありません。

 

(16) 当社グループの施設に関するリスク

当社グループでは、国内外に工場、営業所など様々な施設を所有または賃借しております。いずれの施設についても、各国の建築基準その他の規制を遵守し、また、独自の安全基準を設けるなどの対策を行なっております。しかしながら、地震、大規模な水害、火災、放射能汚染などの災害またはテロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミスなどが発生した場合、生産ラインの停止など、施設の運用が停止することにより、当社グループの事業に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

 

(17) 訴訟に関するリスク

当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟等を提起されることがあり、その結果、予期せぬ多額の損害賠償を命じられる可能性があります。その額によっては、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(18) コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、当社グループで働くすべての人が積極的に実践すべき内容を示した「FDK企業行動指針」を定めるとともに、富士通グループ共通の理念であるFUJITSU Wayを遵守することにより、社内ルールの浸透と徹底、指針遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構築を推進しています。しかしながら、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできない可能性があり、国内外の関連法令、規制などに抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、あるいは多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、当社グループの事業に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(19) 災害や停電等による影響

当社グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行なっております。しかし、生産拠点で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。

 

(20) 地震やその他の自然災害、事故等によるリスク

当社グループでは、防災訓練の実施をはじめ、防災に関する連携体制の構築を進めております。また、地震やその他の自然災害が発生しても、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質の製品を安定的に供給するために、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定し、その継続的な見直し、改善を実施する事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。

しかしながら、近年、世界的な気候変動により、台風、水害、大雪などの自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下、東海地方、南海トラフなどにおける巨大地震やテロ、事故による電力供給停止、感染症のパンデミック、火山噴火など不測の事態は、十分に影響度を検討して策定した事業継続計画においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性がありうると考えられます。当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガスなどの供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害などにより、お客様への製品出荷の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響をおよぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態、経営成績等の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、国内においては企業収益や雇用環境の改善、設備投資の増加、個人消費も緩やかな回復基調である一方、北米や欧州、東アジアの地政学的リスクの懸念などの影響により、先行き不透明な状況で推移しました。

このような状況のなか、当社グループはインダストリアル市場向けでは、モビリティの発展により今後成長が期待されるIoTや車載、情報通信などの分野において、グローバルでの新規顧客の開拓、工業用途向けニッケル水素電池やリチウム電池、積層パワーインダクタの供給数量拡大に努めました。また、前連結会計年度に開発した全固体リチウムイオン電池用正極材料の特性向上に加え、早期の製品サンプル出荷に向けた実用化技術の開発を推し進めました。コンシューマ市場向けでは、北米のアルカリ乾電池とニッケル水素電池の店頭における販売が伸びない状況のなか、インターネット販売用途向けの供給数量拡大に努めました。

当連結会計年度の経営成績につきましては、電池事業の売上高はリチウム電池や蓄電システムが堅調に推移したものの、アルカリ乾電池とニッケル水素電池が減少しました。また、電子事業の売上高はDC-DCパワーモジュールやセラミックス部品、液晶ディスプレイ用信号処理モジュールなどが減少しましたが、積層パワーインダクタやコイルデバイスなどが堅調に推移しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ5億52百万円(△0.7%)減の731億29百万円となりました。

損益面につきましては、電池事業はアルカリ乾電池とニッケル水素電池の売上減、原材料価格高騰の影響があったものの、リチウム電池や蓄電システムの売上増とコストダウンにより、前連結会計年度と同水準の利益を確保しました。また、電子事業はDC-DCパワーモジュールやセラミックス部品、液晶ディスプレイ用信号処理モジュールの売上が落ち込みましたが、積層パワーインダクタ、スイッチング電源、コイルデバイスなどの売上増や前連結会計年度に実施した固定資産の減損処理による固定費減少の影響により、損失幅が縮小しました。技術VEやコストダウンのみならず、全社であらゆる費用の削減に取り組んだ結果、営業利益は前連結会計年度に比べ9億97百万円増と回復し、6億66百万円(前連結会計年度は3億30百万円の営業損失)となりました。

経常利益は営業外費用として為替差損4億34百万円などを計上したものの78百万円(前連結会計年度は6億97百万円の経常損失)と、黒字転換しました。親会社株主に帰属する当期純損失は電池事業のアルカリ乾電池と電子事業にかかわる固定資産の減損損失5億27百万円を計上しましたが、6億30百万円(前連結会計年度は31億66百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)と、損失幅が縮小しました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

電池事業

アルカリ乾電池は、インターネット販売用途向けが堅調に推移したものの、欧米のOEM販売用途向けが落ち込み、前連結会計年度を下回りました。ニッケル水素電池は、非常用照明バックアップ用途などの工業用途向けが堅調に推移しましたが、海外の市販用途が減少し、前連結会計年度を下回りました。蓄電システムは、サーバ・エレベータ・通信機器などのバックアップ用途向けが堅調に推移し、前連結会計年度を上回りました。リチウム電池は、国内の次世代スマートメータ・住警器用途向けが堅調に推移し、前連結会計年度を上回りました。設備関連ビジネスは、自動車用部品組立設備が堅調に推移しました。

その結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ8億71百万円減少の485億36百万円、セグメント利益は26百万円増加の18億14百万円となりました。

 

 

電子事業

コイルデバイスは、車載・LED照明・各種製造設備用途向けが堅調に推移し、前連結会計年度を上回りました。積層パワーインダクタは、スマートフォン用途向けや産業機器用集積回路用途向けが堅調に推移し、前連結会計年度を上回りました。セラミックス部品は、デジタルカメラ市場の低迷により、前連結会計年度を下回りました。DC-DCパワーモジュールは、ネットワーク機器用途向けが落ち込んだことにより、前連結会計年度を下回りました。液晶ディスプレイ用信号処理モジュールは、タブレット用途向けや中・大型液晶用途向けが落ち込んだことにより、前連結会計年度を下回りました。スイッチング電源は、半導体関連装置用途向けなどが堅調に推移し、前連結会計年度を上回りました。

その結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ3億19百万円増加の245億92百万円、セグメント損失は11億47百万円(前連結会計年度は21億18百万円のセグメント損失)となりました。

 

当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ19億21百万円(3.9%)増の510億54百万円となりました。流動資産は前連結会計年度に比べ18億47百万円(5.9%)増の333億23百万円、固定資産は前連結会計年度に比べ73百万円(0.4%)増の177億30百万円となりました。流動資産増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が18億88百万円増加したことによるものです。

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ22億67百万円(5.1%)増の467億60百万円となりました。流動負債は前連結会計年度に比べ35億86百万円(9.7%)増の405億64百万円、固定負債は前連結会計年度に比べ13億19百万円(△17.6%)減の61億96百万円となりました。流動負債増加の主な要因は、短期借入金が24億85百万円、支払手形及び買掛金が13億78百万円それぞれ増加したことによるものです。固定負債減少の主な要因は、長期未払金が6億円、退職給付に係る負債が4億44百万円それぞれ減少したことによるものです。

なお、有利子負債残高は、前連結会計年度に比べ21億82百万円増の204億77百万円となりました。

当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ3億45百万円(7.4%)減の42億93百万円となりました。純資産減少の主な要因は、退職給付に係る調整累計額が5億16百万円増加しましたが、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得等により非支配株主持分が7億12百万円、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が6億30百万円それぞれ減少したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加などによる現金及び現金同等物(以下「資金」という)の減少はありましたが、減価償却費の計上や仕入債務の増加などにより5億67百万円の資金増加(前連結会計年度は3億27百万円の資金増加)となりました。

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより19億59百万円の資金減少(前連結会計年度は32億52百万円の資金減少)となりました。

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、ファイナンス・リース債務の返済や連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出などがありましたが、短期借入金の増加などにより15億59百万円の資金増加(前連結会計年度は7億33百万円の資金増加)となりました。

これらの結果、当連結会計年度における資金の期末残高は期首残高より1億81百万円増加し、37億20百万円となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

電池事業

47,562

△1.7

電子事業

24,681

3.5

合計

72,244

0.0

 

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電池事業

48,293

△6.4

6,681

△3.6

電子事業

25,047

3.4

3,599

14.8

合計

73,341

△3.2

10,280

2.1

 

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

電池事業

48,536

△1.8

電子事業

24,592

1.3

合計

73,129

△0.7

 

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。

なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、注記事項、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループの連結売上高は、731億29百万円(前連結会計年度比0.7%減)となりました。電池事業のリチウム電池や蓄電システム、電子事業の積層パワーインダクタやコイルデバイスなどの売上増があったものの、電池事業のアルカリ乾電池やニッケル水素電池、電子事業のDC-DCパワーモジュールやセラミックス部品、液晶ディスプレイ用信号処理モジュールなどの売上減により、売上高は前連結会計年度を若干下回りました。連結営業利益は、電池事業が売上増とコストダウンにより前連結会計年度と同水準の利益を確保し、電子事業は売上増や前連結会計年度に実施した固定資産の減損処理による固定費減少の効果で損失幅が縮小し、営業利益は前連結会計年度に比べ9億97百万円改善の6億66百万円(前連結会計年度は3億30百万円の営業損失)となりました。

当社グループは営業利益率を経営の主指標としております。これは当社グループにおいては本業での収益性の向上が最も重要な課題であると認識しているためであります。当連結会計年度における営業利益率は0.9%であり、これは著しく低い水準であり、向上のための有効な施策が必要であると認識しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであることに加え、当社グループ事業の製品の売上は、電池事業においては電池が使用される機器の拡大・縮小や使用数の影響を受け、また、電子事業は主たる顧客であるエレクトロニクス関連のセットメーカーの製品やサービスの売れ行きに影響を受けるなど、当社グループが管理できない要因により大きな影響を受けます。

また、当社電池製品の主要材料であるニッケル、亜鉛、リチウム、レアアース類は需給バランスや投機的要因などにより価格が大きく変動するため、材料費に大きな影響を与えます。

さらに、当社グループの売上高の47.2%は海外ビジネスであるため、為替レートの変動により円換算による増減の影響を与えます。

主にこれらの要因が当社グループの経営成績、事業の収益性に影響するものと認識しております。そのため、当社は、毎月1回受注状況、受注見込み、年間予算とのかい離などの最新の業績の状況を把握するとともに、必要な改善の立案、実施を行なっております。

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性については、当社グループは、主に当社グループ事業の継続性の確保と収益性向上を図るため、その生産設備類の維持・更新、能力増強を主とした設備投資を継続しており、その財源は営業活動から得られたキャッシュ・フローおよび外部より調達した資金を主としております。

 

 

セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

電池事業

当連結会計年度における電池事業の売上高は前連結会計年度から微減しており、営業利益率は3.7%にとどまっております。売上高の確保・拡大のためには需要が伸張する地域、販路、市場、新規機器メーカーへの拡販が必要であるとの認識のもと、マーケティング、営業力の強化に努めております。コンシューマ向けアルカリ電池、ニッケル水素電池はコモディティ化が進んでいるため、品質、特性面での差別化、商品力の強化をすすめ、売上拡大と利益率の維持・向上を図っております。

また、電池の主要材料価格の変動に関しては、適切な時期での予約などの施策に加え、材料使用量の低減、より安価な材料へのシフトなどの技術VEを強化し、対応力の強化に努めております。

さらに、為替変動のリスクに関しては、当社のグローバルな生産体制を活かした最適地生産、外貨建て材料購入の活用強化などにより対処を図っております。

 

電子事業

電子事業の売上高は低迷が続いており、営業損失の状態が継続しております。

電子事業に関しては、市場の変化への対応が遅れ、また当社が優位性を持つ事業・製品が減少していると認識しております。電源バックアップ用途、エネルギー使用効率改善用途など当社電池製品とのシナジー効果が創出できるような事業、製品への選択と集中の加速を図っております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、エネルギーの安全かつ効率的な利用を目指し、エネルギー・環境分野における各種電池(ニッケル水素、リチウム、アルカリ、次世代電池)、電子材料、電子部品、電源、モジュール製品および蓄電システムに関する研究開発を行なっております。

研究開発につきましては、基盤技術統括部が当社の研究開発活動を統括し、将来の市場環境と技術動向を見据えた新製品・新技術の開発を推し進めております。また、産学や海外および富士通グループの研究機関等との連携により先端技術の導入を効率的に推し進め、技術開発スピードの加速化を図っております。

当社グループの研究開発部門の開発スタッフは92名であり、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は10億61百万円であります。

当連結会計年度における各事業区分別の研究開発の主要目的、研究開発成果および研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 電池事業

当社グループの電池の性能や品質向上を目的として、材料開発、生産効率の向上および環境対策の研究開発を行なっております。

当連結会計年度におきましては、ニッケル水素電池では、通信基地局や車両通信機用のバックアップ電源用途向けに幅広い温度環境で使用できる電池、大型蓄電や電動機器用途等の大容量を必要とする用途向けに「メガトワイセル®」、次世代電池として、水素吸蔵合金を応用した空気電池の開発に取り組みました。

リチウム電池では国内外で需要が高まっているスマートメータ用電源として高容量タイプの円筒形一次電池2モデルを新しく開発し、量産を開始しました。また、量産中のカード用薄形一次電池における放電特性および生産性の改善に取り組みました。

アルカリ電池においては、放電特性・生産性の改善、および品質・信頼性の更なる改善に取り組みました。

さらに、次世代電池として注目されている全固体電池の正極材料開発を、株式会社富士通研究所と共同で行ない、既存の正極材料を大幅に凌駕する新材料の開発も行ないました。

また、蓄電システムについては、高電圧(380V)蓄電システムやIT機器用小型蓄電システム、および使用温度範囲の広い屋外用途向けの蓄電システムの開発を行ないました。

当事業に係わる研究開発費は8億79百万円であります。

 

(2) 電子事業

当社グループのキーテクノロジーであります粉体・材料技術、プロセス技術、CAE技術、回路技術、高密度実装技術を駆使して電子材料、電子部品、モジュールおよびニッケル水素電池や薄形リチウム電池とのシナジー製品の開発を行なっております。

当連結会計年度におきましては、コンポーネント事業においては、材料・プロセス技術を活かした低損失フェライト、次世代高周波フェライト、各種トランス・コイル、積層パワーインダクタ、圧電製品およびトナーの開発を行ないました。

モジュール事業では、株式会社富士通研究所と共同で、DCDCパワーモジュール高効率小型化の実現を目的に、従来アナログ制御方式で実現していた高効率変換回路を、デジタル制御で実現する事に取り組み、小型化に最適な回路パラメータの導出方法なども含め、シミュレーションベースで実現化する手法の目処を立てました。

当事業に係わる研究開発費は1億82百万円であります。