当社グループが属している電池やエレクトロニクス分野における価格競争や受注の急変動は大変厳しいものとなっております。
当社グループは、FDKグループ戦略Framework「10年の計」で掲げた「Smart Energy Partnerとして、先進技術を結集し、お客様に電気エネルギーを安心して、効率的に活用いただき、持続可能な社会の実現と発展に貢献する」というVisionのもと人々の暮らしと社会を支える企業と個々のユーザーにクリーン且つ、安全な電気エネルギーを安定的に活用できるオファリングをお届けすることで、株主様、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様の期待に応えることが、当社グループの目指す姿であると考えております。
当社グループは、2029年度のあるべき姿の実現に向けて、2022年度を最終年度とする中期事業計画「R1」を策定しており、「R1」の達成に向けては、現行ビジネスの安定化と利益ある成長を確立するとともに次世代につながる新事業を積極的に開拓するためのさまざまな施策を計画・実行してまいります。また、当社グループのステークホルダーである株主様、お客様、社会、従業員すべてに応える「And Game」を実現するため、従業員が自律的にお客様に満足いただける努力を怠らない企業文化の醸成に努めてまいります。当社グループは、「Smart Energy Partner」としてのミッションを果たしていくとともに、事業ポートフォリオの再編に向けた取り組みの強化と財務体質の健全化をより一層進めることで、当社グループの持続的な発展と企業価値の向上に努めていくことが今後の課題であると認識しております。
なお、新型コロナウイルス(COVID-19)への対応に関しましては、当社グループは、お客様、お取引先様、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、各種の感染予防と感染拡大の防止、事業継続に向けた対応に取り組んでおります。
国内外の全拠点において、各国の政府指示に従うとともに在宅勤務や時差勤務などの対策を行なっております。
同感染症は世界規模で経済活動に影響しており、事態の収束までには時間を要することも想定されますが、当社グループといたしましては、引き続き各種の感染予防と感染拡大の防止に努めるとともに、お客様への製品・サービス提供を継続してまいります。また、当社グループのビジネス領域における市場動向の変化についても注視し、柔軟に対応してまいります。
当社グループの事業展開上のリスクについて、投資家の判断に影響をおよぼす可能性が考えられる主な事項については、以下の内容が挙げられます。当社グループは、これらのリスクを適切に把握し、対応することを経営における重要な課題と位置づけ、リスクマネジメントおよびコンプライアンスにかかる最高決定機関として、リスク・コンプライアンス委員会を設置しております。リスク・コンプライアンス委員会を中心として、これらのリスクの発生の可能性を認識・評価したうえで、リスクの回避・軽減を判断し、発生した場合には影響の極小化のための対応に努める所存であります。
なお、以下の内容は、当社グループのすべてのリスクを網羅するものではありません。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境
当社グループの電池事業および電子事業は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。また、同様に電池市場や電子製品市場の需要変動の影響を受けます。従いまして、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退や製品市場の縮小は、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(2) 為替レート
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため米国ドルに代表される為替の急激な変動は、海外ビジネスの売上および損益に影響し、海外に提供する製品の価格競争力の低下などを招くおそれがあります。また、当社グループは、各地域における資産、負債、収益および費用を含む現地通貨建ての項目を連結財務諸表の作成のために円換算しております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響をおよぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。当社グループが生産を行なう地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における製造と調達のコストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(3) 金利の動向
当社グループの当連結会計年度末における連結有利子負債残高は123億40百万円となっており、金利変動の影響を受けるものが含まれています。このため、金利変動により当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(4) 新製品開発力
当社グループは、スピードをあげて新製品・新技術の開発に取り組んでおりますが、エレクトロニクス分野では技術の進歩が大変早く、新製品や新技術は急速に陳腐化します。そのため、当社グループが市場と業界の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や当社グループの製品の価値を著しく低下させるような、画期的な新技術などが他社によって開発された場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(5) 価格競争
エレクトロニクス分野における価格競争は大変厳しいものとなっております。そのため、当社グループが属している各製品市場において、競争の激化に直面する可能性があります。また、当社グループは、高品質で高付加価値のキーデバイスを開発するとともに、コストダウンに取り組んでおりますが、価格下落が当社グループの想定を上回るリスクや調達価格の変動などにより当社グループが十分なコストダウンを実現できない場合、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(6) 新規参入者を含めた競争
エレクトロニクス分野では、既存の競合他社に加え、新規参入者との競争も激しくなっています。現在、当社グループが競争優位性を持っている分野でも、新規参入者を含めた競合他社との競争に晒されており、当社グループが競争力を失い、将来の事業において優位性を確保できない可能性があります。
(7) グローバルでの事業展開
当社グループの生産活動の一部は、中国、台湾で行なわれております。そのため、予期しない法律または規制の変更、テロ、戦争、人材の流出、その他の要因による混乱、対応コストの増加などがおきる可能性があります。従いまして、これらの事象は業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(8) サプライヤー
当社グループは、原材料の調達につきましては、基本的には複数のサプライヤーと契約を結び安定的な調達を心がけておりますが、材料高騰、供給不足、災害、品質管理の問題が同時に発生した場合など、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(9) 顧客への依存
当社グループの電池事業は、電池が使用される機器の拡大・縮小や使用量、長期的な天候状況による消費者の購買動向に影響を受けます。また、電子事業はエレクトロニクス関連のセットメーカーなどを対象としております。これらの企業への売上は、その顧客企業の業績、顧客企業の製品やサービスの売れ行きや当社グループが管理できない要因により大きな影響を受けます。
(10) 投資判断に関するリスク
エレクトロニクス分野においては、競争力維持のため、多額の研究開発投資および設備投資ならびに事業再編などが必要な場合があります。当社グループは、今後も必要な投資や事業再編などを実行してまいりますが、これらの実施の成否は、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。当社グループでは、投資や事業再編にあたって、市場動向、顧客のニーズや当社事業の優位性などを勘案して決定しておりますが、当社グループが有望と考えた市場や技術が、実際には想定ほど成長しなかったり、需要変動や価格下落が予想以上に早くおきる可能性があります。
(11) 知的財産保護
当社グループは他社製品と差別化を図れる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能または限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループでは他社の知的財産権を侵害することのないよう、社内規程の整備、調査の徹底などを行なっておりますが、当社グループの将来の製品または技術について、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
(12) 製品の欠陥
当社グループの工場は、品質保証に関する国際規格「ISO9001」を取得するとともに、当社の厳しい品質管理基準に従って各種製品を製造しております。しかし、すべての製品について欠陥がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(13) 人材に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、経営者、優秀な技術者など、必要とする人材を採用および育成し、ならびに流出を防止することは当社グループにとって重要であり、このような人材を採用または育成することができない場合や優秀な人材の流出を防止できない場合、当社グループの成長や利益に悪影響をおよぼす可能性があります。また、従業員との間で解雇または退職に関する合意が円滑になされない場合、法令にもとづく適切な労務管理ができないことなどにより従業員に重大な労働災害が発生した場合など、これらの労務問題による社会的な企業評価の毀損や紛争につながる可能性があります。
(14) 環境に関するリスク
当社グループでは、環境保全への取り組みを経営の重点課題に位置付け、環境負荷の低減、環境汚染の発生防止などに努めておりますが、事業活動を通じて環境汚染などが発生しないという保証はありません。また、当社グループ工場跡地において、土壌および地下水の調査ならびに浄化活動を行なっておりますが、今後新たな汚染が発生しないとも限りません。このような環境汚染が発生または判明した場合、当社グループの社会的な信用低下または浄化処理などの対策費用発生などにより損益に悪影響をおよぼす可能性があります。
(15) 情報セキュリティに関するリスク
お客様、お取引先様、当社グループの秘密情報または個人情報(マイナンバーを含みます。)の保護については、社内規程の制定、従業員への教育、情報インフラの整備、業務委託先も含めた指導等の対策を実施しておりますが、情報漏洩を完全に防げる保証はありません。万が一、情報漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、お客様の情報を漏洩した場合には法的責任が発生するおそれがあります。また、当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、安定した運用を行なうための体制を構築しておりますが、コンピュータウイルスの侵入またはサイバー攻撃などの不正アクセスによる運用困難および情報漏洩などを完全に防げる保証はありません。
(16) 当社グループの施設に関するリスク
当社グループでは、国内外に工場、営業所など様々な施設を所有または賃借しております。いずれの施設についても、各国の建築基準その他の規制を遵守し、また、独自の安全基準を設けるなどの対策を行なっております。しかしながら、地震、大規模な水害、火災、放射能汚染などの災害またはテロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミスなどが発生した場合、生産ラインの停止など、施設の運用が停止することにより、当社グループの事業に悪影響をおよぼす可能性があります。
(17) 訴訟に関するリスク
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟等を提起されることがあり、その結果、予期せぬ多額の損害賠償を命じられる可能性があります。その額によっては、当社グループの業績と財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(18) コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、当社グループで働くすべての人が積極的に実践すべき内容を示した「FDK企業行動指針」を定めるとともに、富士通グループ共通の理念である「Fujitsu Way」を遵守することにより、社内ルールの浸透と徹底、指針遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構築を推進しています。しかしながら、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできない可能性があり、国内外の関連法令、規制などに抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、あるいは多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、当社グループの事業に悪影響をおよぼす可能性があります。
(19) 災害や停電等による影響
当社グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、すべての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行なっております。しかし、生産拠点で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。
(20) 地震やその他の自然災害、事故等によるリスク
当社グループでは、防災訓練の実施をはじめ、防災に関する連携体制の構築を進めております。また、地震やその他の自然災害が発生しても、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質の製品を安定的に供給するために、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定し、その継続的な見直し、改善を実施する事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。
しかしながら、近年、世界的な気候変動により、台風、水害、大雪などの自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下、東海地方、南海トラフなどにおける巨大地震やテロ、事故による電力供給停止、感染症のパンデミック、火山噴火など不測の事態は、十分に影響度を検討して策定した事業継続計画においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性がありうると考えられます。当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガスなどの供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害などにより、お客様への製品出荷の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響をおよぼす可能性があります。
世界的に感染が拡大し、大きな影響を与えている新型コロナウイルス(COVID-19)について、当社グループでは、お客様、お取引先様、従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先とするとともに、お客様への製品・サービス提供を継続する取り組みを進めております。具体的には、従業員に対する在宅勤務や時差出勤の推奨、社内会議や社内研修等をウェブ、電話会議へ切り替えることや出社することが必須となる業務については、ソーシャルディスタンスの確保、定期的な換気などを実施しております。これらの諸施策の実行などにより、重要な事業を継続維持することで、社会的責任を遂行することを目指しております。しかしながら、当社グループ、委託先またはお客様先の感染者の発生、部材メーカーからの部品供給の不足・遅れ、国内外の政府当局の今後施策によっては、製品・サービスの持続的な提供に影響を与える可能性があります。また、今後、経済活動の低迷を起点とした市況変化によっては、当社グループのビジネス領域における市場動向に変化をもたらし、当社グループの事業に影響が出てくる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、国内外で設備投資や生産等の持ち直しの動きが見られはじめましたが、電子部品や樹脂部品の調達難や原材料価格の高騰、コンテナ不足や港湾混雑など物流混乱の常態化に加え、ウクライナ情勢など依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況のなか、当社グループは中期事業計画「R1」に掲げた目標の達成に向けて、現行ビジネスの安定化と利益ある成長に向けた取り組みを推し進めております。新型コロナウイルス(COVID-19)への感染拡大防止策を柔軟に実施しながら、リチウム電池生産ラインの増設をはじめとした需要増への対応や部品調達難・物流混乱下でのお客様への確実な製品供給などに努めました。また、低温環境下での放電性能や寿命特性を向上させた車載アクセサリ市場向けニッケル水素電池、交通インフラ市場向けニッケル水素バッテリーシステムの開発と量産出荷、自己放電率が低く長期保存が可能なスマートメータ・セキュリティ機器用途向け高容量円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池の開発などとともに、展示会へも出展しビジネス拡大に努めました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、電池事業の売上高はニッケル水素電池とリチウム電池、設備関連ビジネスが増加しましたが、アルカリ乾電池で前連結会計年度に実施した海外製造子会社の株式譲渡や国内市況低迷による売上減により、事業全体として減収となりました。電子事業の売上高はスイッチング電源やトナー、液晶ディスプレイ用途向け各種モジュールが減少しましたが、モビリティ用途向け各種モジュールが増加したことにより、事業全体として増収となりました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ87百万円(△0.1%)減少の614億56百万円となりました。
損益面につきましては、電池事業はニッケル水素電池と設備関連ビジネスの売上増による利益の増加がありましたが、アルカリ乾電池の売上減による利益減少に加え、原材料価格高騰の影響により、減益となりました。電子事業は各種モジュールの売上増により、増益となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ3億39百万円増加の20億83百万円、経常利益は前連結会計年度に比べ6億94百万円増加の19億68百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は関係会社清算益4億59百万円、関係会社株式売却益13百万円の特別利益を計上しましたが、アルカリ乾電池にかかわる固定資産の減損損失12億13百万円を特別損失に計上したことにより、前連結会計年度に比べ12億68百万円減少の7億40百万円となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当連結会計年度の売上高は1億15百万円、営業利益は31百万円それぞれ減少し、経常利益は2百万円増加しております。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
電池事業
電池事業はニッケル水素電池とリチウム電池、設備関連ビジネスが増加しましたが、アルカリ乾電池が減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。
製品別につきましては、ニッケル水素電池は、海外の市販用途および工業用途向けが堅調に推移したことにより、前連結会計年度を上回りました。アルカリ乾電池は、前連結会計年度に実施した海外製造子会社株式譲渡や国内市況の低迷による売上減により、前連結会計年度を下回りました。リチウム電池は、国内外のセキュリティ・スマートメータ用途向けが堅調に推移したことにより、前連結会計年度を上回りました。設備関連ビジネスは、電池組立設備や自動車用部品組立設備受注が堅調に推移したことにより、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ24億97百万円減少の430億82百万円、セグメント利益は2億8百万円減少の12億21百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は1億15百万円、セグメント利益は31百万円それぞれ減少しております。
電子事業
電子事業はスイッチング電源とトナーが減少しましたが、モビリティ用途向け各種モジュールが増加したことにより、前連結会計年度を上回りました。
製品別につきましては、スイッチング電源は、半導体装置用途向けの需要が堅調なものの、部品調達難による納期延伸などにより、前連結会計年度を下回りました。トナーは、在庫調整やテレワーク推奨による印刷減少などにより、前連結会計年度を下回りました。各種モジュールは、液晶ディスプレイ用途向けで減少しましたが、モビリティ用途向けで増加したことにより、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ24億9百万円増加の183億73百万円、セグメント利益は5億47百万円増加の8億61百万円となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ11億60百万円(△2.4%)減の469億3百万円となりました。流動資産は前連結会計年度に比べ3億48百万円(△1.1%)減の319億95百万円、固定資産は前連結会計年度に比べ8億11百万円(△5.2%)減の149億8百万円となりました。流動資産減少の主な要因は、コンテナ不足に伴なう販売延伸や電子部品や樹脂部品の調達難に伴なう先行手配などの影響により、製品および原材料などの棚卸資産が25億91百万円増加した一方で、短期借入金の返済を進めたことにより現預金が42億38百万円減少したことによるものです。固定資産減少の主な要因は、アルカリ乾電池にかかわる固定資産の減損により、有形固定資産が7億43百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ27億32百万円(△7.4%)減の344億43百万円となりました。流動負債は前連結会計年度に比べ23億28百万円(△6.9%)減の314億50百万円、固定負債は前連結会計年度に比べ4億3百万円(△11.9%)減の29億92百万円となりました。流動負債減少の主な要因は、電子部品や樹脂部品の調達難に伴なう先行手配の影響で支払手形及び買掛金が8億85百万円、電子記録債務が6億96百万円増加した一方で、短期借入金の返済を進めたことにより27億10百万円減少したことによるものです。固定負債減少の主な要因は、退職給付に係る負債が3億15百万円減少したことによるものです。
なお、有利子負債残高は、主に借入金の返済により前連結会計年度に比べ27億79百万円減の123億40百万円と2000年度以降最も低い水準となりました。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ15億71百万円(14.4%)増の124億60百万円となりました。純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより利益剰余金が7億34百万円、為替換算調整勘定が6億79百万円、退職給付に係る調整累計額が1億87百万円、それぞれ増加したことによるものです。
収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が6百万円減少したことなどにより純資産が減少しております。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加などによる現金及び現金同等物(以下「資金」という)の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の計上などにより21億77百万円の資金増加(前連結会計年度は19億96百万円の資金増加)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、リチウム電池のライン増設をはじめとする有形固定資産の取得による支出などにより39億20百万円の資金減少(前連結会計年度は3億73百万円の資金減少)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少などにより27億80百万円の資金減少(前連結会計年度は40億77百万円の資金減少)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における資金の期末残高は期首残高より42億38百万円減少し、27億63百万円となりました。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。
なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、注記事項、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、注記事項、重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
当社グループの連結売上高は、614億56百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。電池事業のニッケル水素電池、リチウム電池、設備関連ビジネスや電子事業の各種モジュールの売上増があったものの、電池事業のアルカリ乾電池で前連結会計年度に実施した製造子会社株式の譲渡影響が大きく、前連結会計年度を下回りました。連結営業利益は、アルカリ乾電池の売上減による利益減少に加え、原材料価格高騰の影響による減少がありましたが、ニッケル水素電池、設備関連ビジネスや各種モジュールの売上増による利益の増加により、前連結会計年度に比べ3億39百万円増加の20億83百万円となりました。
当社グループは中期事業計画「R1」において、営業利益率やROIC(投下資本利益率)を経営の指標としており、特に営業利益率を主指標としております。これは当社グループにおいては本業での収益性の向上が最も重要な課題であると認識しているためであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであることに加え、当社グループ事業の製品の売上は、電池事業においては電池が使用される機器の拡大・縮小や使用数の影響を受け、また、電子事業は主たる顧客であるエレクトロニクス関連のセットメーカーの製品やサービスの売れ行きに影響を受けるなど、当社グループが管理できない要因により大きな影響を受けます。
また、当社電池製品の主要材料であるニッケル、亜鉛、リチウムやレアアース類は需給バランスや投機的要因などにより価格が大きく変動するため、材料費に大きな影響を与えます。
さらに、当社グループの売上高の42.2%は海外ビジネスであるため、為替レートの変動により円換算による増減の影響を与えます。この為替変動のリスクに関しては、売上と調達のバランスを取ること、為替予約などにより対処を図っております。
主にこれらの要因が当社グループの経営成績、事業の収益性に影響するものと認識しております。そのため、当社は、毎月1回受注状況、受注見込み、年間予算との乖離などの最新の業績の状況を把握するとともに、必要な改善の立案、実施を行なっております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、当社グループは、主に事業の継続性の確保と収益性向上を図るため、その生産設備類の維持・更新、能力増強を主とした設備投資に加え、SMD対応小型全固体電池(SoLiCell®)をはじめとする新電池の研究開発と量産体制構築に向けた設備投資を継続しており、その財源は営業活動から得られたキャッシュ・フローおよび外部より調達した資金を主としております。
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。
電池事業
当連結会計年度における電池事業の売上高は前連結会計年度に実施した製造子会社株式の譲渡影響が大きく、前連結会計年度から減少したものの、ニッケル水素電池、リチウム電池は伸長しており、営業利益率は0.3ポイント減少の2.8%を確保しております。
売上高の確保・拡大のためには需要が伸張する地域、販路、市場、新規機器メーカーへの拡販が必要であるとの認識のもと、マーケティング、営業力の強化に努めております。市販用途向けニッケル水素電池、アルカリ乾電池はコモディティ化が進んでいるため、市販用途向けニッケル水素電池については品質、特性面での差別化、商品力の強化や環境・安全面での訴求をすすめ、売上拡大と利益率の維持・向上を図っており、アルカリ乾電池については当連結会計年度において固定資産の減損損失を計上しましたが、国内市販向けビジネスで新規顧客の開拓と既存顧客の深耕で売上拡大と事業規模に合った人員体制により、引き続き付加価値向上に取り組んでおります。
また、電池の主要材料価格の変動に関しては、適切な時期での予約などの施策に加え、材料使用量の低減、より安価な材料へのシフト、リサイクル材の活用などの技術VEとコストダウンを行ない、対応力の強化に努めております。
電子事業
当連結会計年度における電子事業の売上高は前連結会計年度から増加し、営業利益率は2.7ポイント増加の4.7%となりました。
電子事業については、事業価値の向上が必要であると認識しており、当連結会計年度においては製品モデル毎の選択と集中を継続し、需要が伸張しているモビリティ用途向け・半導体装置用途向け各種モジュールの売上拡大を図っております。
経営上の目標の達成状況は、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載した方針にもとづき、当社グループは「Smart Energy Partnerとして、先進技術を結集し、お客様に電気エネルギーを安心して効率的に活用いただき、持続可能な社会の実現と発展に貢献する」というFDKグループ戦略Framework「10年の計」のVisionとそのあるべき姿の実現に向けて翌連結会計年度を最終年度とする中期事業計画「R1」を策定し、その達成に向けて取り組んでおります。「R1」の2年目となる当連結会計年度の経営上の目標としては、売上高600億円、営業利益19億円、経常利益15億円、親会社株主に帰属する当期純利益16億円を目指してまいりました。
その結果、当連結会計年度における売上高は614億56百万円、営業利益は20億83百万円、経常利益は19億68百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7億40百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益を除いて目標値を大きく上回りました。
当連結会計年度の目標を上回った主な理由としましては、売上高は電池事業で国内外の市販用途向けニッケル水素電池が期初の見込みを上回ったことや国内外のセキュリティ・スマートメータ用途向けリチウム電池、電子事業でモビリティ用途向け各種モジュールなどが伸張したことにより、目標値を上回りました。営業利益は電子事業における各種モジュールの売上増やコストダウン、費用の削減により、目標値を上回りました。経常利益は為替差損が減少したことにより、目標値を上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益はアルカリ乾電池にかかわる固定資産の減損損失を計上したことにより、目標値を下回りました。
<2022年3月期の目標と結果>
なお、前述のとおり当社グループは、10年後のあるべき姿を示したFDKグループ戦略Framework「10年の計」と中期事業計画「R1」を策定し、「R1」の最終年度である2023年3月期に売上高600億円、営業利益率5.1%、「10年の計」の最終年度である2030年3月期に売上高800億円、営業利益率7.5%を経営上の目標として取り組んでおります。
中期事業計画「R1」の最終年度の2023年3月期の経営成績の見通しは、売上高630億円、営業利益12億円、経常利益10億円、親会社株主に帰属する当期純利益7億円を予想しております。中期事業計画目標と見通しの差異の要因としましては、自助努力によるコスト削減を上回る原材料価格の高騰、電子部品や樹脂部品の調達難により、営業利益が減少するためであります。
これらの課題に対して当社グループは、技術VEによるコスト削減、徹底的な経費削減など原材料価格高騰に対するレジリエンスを強化するとともに販売価格の見直しや新規ビジネスの獲得、深耕開拓を行なうことにより、営業利益見通しと中期事業計画目標値との差異縮小に取り組んでまいります。
また、COVID-19の当社の業績等への影響につきましては、売上面において材料調達難や物流の停滞による供給の延伸などがありましたが、売上高は各種モジュールなどが増加し期初の見込みを上回りました。今後も同感染症の再拡大や当社グループ従業員の感染または濃厚接触による生産、供給への影響懸念が払しょくできず、感染拡大防止策を柔軟に実施しながらこれらの影響を抑制してまいります。
なお、ウクライナ情勢の当社の業績等への影響につきましては、ロシアやウクライナ両国に関連する当社ビジネスは少なく当連結会計年度において大きな影響はありませんが原油や天然ガス高騰により購入部品が一部で値上がりし始めており、今後対象部品の拡大やさらなる値上げ、入手難の影響が出る懸念があり、引き続き情報収集に努めてまいります。
該当事項はありません。
当社グループは、エネルギーの安全かつ効率的な利用を目指し、エネルギー・環境分野における各種電池(ニッケル水素、リチウム、アルカリ、次世代電池)、パワーマネジメントソリューションおよび蓄電システムに関する研究開発を行なっております。
研究開発につきましては、基盤技術・新事業本部の基盤技術統括部、パワーソリューション事業推進室が当社の研究開発活動を統括し、将来の市場環境と技術動向を見据えた新製品・新技術の開発を推し進めております。
また、産学および富士通グループの研究機関等との連携により先端技術の導入を効率的に推し進め、技術開発スピードの加速化を図っております。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費は
当連結会計年度における研究開発の主要目的および研究開発成果は次のとおりであります。
(1) 次世代技術開発(次世代電池開発、要素技術開発)
次世代電池として以下の開発を進めています。
SMD対応小型全固体電池SoLiCell®については、より広いアプリケーションに対応するため、厳しい環境下での耐久性の改善に取り組んでいます。
また、当社のニッケル水素電池とアルカリ乾電池の保有技術を応用し、正極に水酸化ニッケル、負極に亜鉛を用いたニッケル亜鉛二次電池、正極に空気中の酸素、負極に水素吸蔵合金を用いた水素/空気二次電池の開発を進めました。ニッケル亜鉛二次電池はサンプル出荷と量産化に向けて準備中であり、水素/空気二次電池は定置型電源用として環境委託事業の中で実証模擬実験を行ない、更なるコストダウンや性能向上に取り組んでいます。
また、既存電池製品群の性能改良に向けて、材料開発、分析評価、CAE技術による要素技術開発に取り組んでいます。
ニッケル水素電池では、車載アクセサリ市場・電源B/U市場向けの高温高耐久・長寿命電池の開発、交通インフラ市場向けバッテリーシステムの量産化、リチウム電池では国内外で需要が高まっているスマートメータ市場に対応すべくエネルギー密度向上の取り組み、またアルカリ電池においては、放電特性・耐漏液性の改良を進めました。
(2) 次世代技術開発(パワーソリューション)
パワーソリューション事業推進室では、当社が有する電気エネルギーの供給・貯蔵・制御技術を応用した、全種類の蓄電デバイスを対象としたパワーマネージメント応用事業・製品の研究・開発を行なっています。
当連結会計年度においては、その研究のため、当社が保有するセルバランス特許を利用したバッテリマネージメントシステムを搭載した電池モジュールの試作・開発やバッテリモジュールのスマート化への要素技術探索を行なってきました。
今後も、ビジネスパートナーとの共創・アライアンスも視野に、パワーソリューション事業への可能性を追求してまいります。