第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、経営理念に「時代のニーズを先取りし、失敗を恐れぬチャレンジ精神の溢れた前向きの企業たることを期す」ことを掲げ、同じく「優れた製品を社会に提供し、社会に貢献する」ことを実現すべく、長年培ってきた電気通信技術・高周波応用技術に関する豊富な知識と経験に基づき、経営重点方針のもと、たゆまぬ技術開発の推進と品質性能の向上を目標とした各施策を行うことにより、企業価値を高め、株主の皆様や顧客各位のご期待に応えることを経営上の最大基本方針と位置づけております。

また、2021年3月に中長期経営戦略を掲げ、「社会貢献への積極的関与」と「企業価値の向上・成長の実現」により、当社グループのありたい姿である「未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future)」の実現に向けた取り組みを進めております。

これらを踏まえ、2023年3月期からの3ヵ年計画である中期経営計画(DKK-Plan2025)を2022年5月に策定し、社会課題の解決を通じた持続的な成長の実現に向けて事業活動を展開してまいりました。しかしながら、原材料等の価格高騰や既存顧客の設備投資抑制などの外部環境の変化が業績面に強く影響する状況等を鑑み、外部環境の変化に対応できる体制や基盤を構築、早期の業績回復を目指すため、2024年3月にDKK-Plan2025のローリングプランを策定し、事業構造改革による収益体制の構築を推進しております。

なお、当社グループは、2025年5月に中期経営計画(DKK-Plan2028)を策定いたしました。DKK-Plan2028では「収益創出体制の確立による成長の実現」を基本方針に据え、重点施策に「事業構造改革」「経営資源の最適化」「サステナビリティ経営の発展」を掲げ、成長の実現・加速に向けた各種取り組みを進めてまいります。詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、中期経営計画(DKK-Plan2025)ローリングプランにて、DKK-Plan2025で設定した数値目標である自己資本当期純利益率(ROE)5%の達成年度を2年延期し、2027年3月期の達成を目指すこととし、利益及び資本収益性を重視し、営業利益を新たな定量的目標として掲げ、事業構造改革と財務戦略の推進により収益創出体制の構築を目指しております。また、2024年3月に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」の記載のとおり、収益性の向上と市場評価の向上のための取り組みを進め、2027年3月期を目標に株価純資産倍率(PBR)1.0倍超を目指してまいります。

また、当社は「サステナビリティ経営の推進による企業価値の向上」に向け、マテリアリティ(重要課題)に掲げる「職場風土・働き方改革」「コーポレートガバナンスの強化」「社会インフラ整備への貢献」「環境経営の推進」「新規事業の創出」の5つの課題に対するそれぞれのKPIの達成に向け、その取り組みを進めております。

なお、2025年5月に中期経営計画(DKK-Plan2028)を策定し、2028年3月期を達成年度とした新たな経営指標を設定するとともに、DKK-Plan2028との連動性を高め、事業と一体となったサステナビリティ経営を推進するために、マテリアリティ及びKPIの見直しを行っております。詳細につきましては、当社ウェブサイト及び「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、経営環境の変化に迅速に対応し、事業の継続性と安定した収益の確保を目指すとともに、継続的なコーポレートガバナンスの強化に向けた取り組みを進めることで、企業価値の増大を図ることを基本としています。

当社の中長期的な経営戦略としては、2021年3月に開示いたしました「中長期経営戦略」に記載しておりますとおり、「社会貢献への積極的関与」と「企業価値の向上・成長の実現」により、当社グループのありたい姿である「未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future)」の実現を目標としております。

また、上記「中長期経営戦略」のビジョン達成に向けた第2ステップとして、2026年3月期からの3ヵ年における目標及び施策として中期経営計画(DKK-Plan2028)を策定いたしました。DKK-Plan2028は、2022年3月に策定した前回中期経営計画であるDKK-Plan2025による経営基盤の構築に続く、成長の実現と加速に向けた経営計画となります。「収益創出体制の確立による成長の実現」を基本方針に据え、重点施策に「事業構造改革」「経営資源の最適化」「サステナビリティ経営の発展」を掲げております。

詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

 

①事業構造改革

・主な取り組み:「事業ポートフォリオの深化」「収益改善の取り組み推進」「経営管理の高度化」

 

「事業構造改革」においては、収益創出体制の確立と成長の実現に向けて、市場成長性と現状の事業収益性を踏まえ、事業ポートフォリオの再定義を実施いたしました。ローリングプランで定めた注力セグメントを成長事業グループと導入期事業グループに区分し、成長事業グループとして、防衛関連分野と誘導加熱装置分野、熱処理受託加工分野を設定いたしました。導入期事業グループには、ソリューション分野と高周波新領域関連分野を設定し、収益の柱である成長事業グループへ育成を図ります。移動通信関連分野や固定無線関連分野などのセグメントは、再構築事業グループに区分し、事業の収益性改善を推進してまいります。

また、各事業分野の成長や、収益改善に関する取り組みを確実なものとするため、業績や営業パイプラインのモニタリング体制を強化いたします。業績の進捗や事業分野別の状況をタイムリーに管理し、スピード感ある意思決定や問題の早期発見、軌道修正ができる経営管理体制を構築いたします。

 

②経営資源の最適化

・主な取り組み:「考動できる人財の育成と事業戦略に沿った最適配置」「研究開発の選択と集中」

「アセットライトとキャピタルアロケーションによる資産活用」

 

「経営資源の最適化」においては、当社グループ全体での効率性や収益性を高めるために、適切な配分・戦略をもった活用を通じて、企業価値の向上を目指してまいります。

人的資本戦略としては、人財管理、スキルアップ支援、DE&Iや健康経営に関する各種施策を実行することで、「考動」により変革を成し遂げる人財を育成するとともに、従業員エンゲージメントの向上を目指します。また、各事業分野の状況に応じた柔軟な組織設計により、人財の最適配置や生産性向上を実現いたします。

研究開発戦略は、新規事業分野における当社グループの技術の社会実装を加速するとともに、コアコンピテンシーの維持拡充と、その応用市場分野の拡大を目指してまいります。

資本戦略については、現状の事業環境を踏まえ、新たなキャピタルアロケーションを策定いたしました。M&Aや成長投資を中心にキャッシュを活用し、安定的かつ継続的な株主還元を実施することにより、成長の実現と株主還元の強化を目指していく所存です。

 

③サステナビリティ経営の発展

・主な取り組み:「事業を通じた社会貢献」「持続可能なサプライチェーンの構築」「気候変動への対応」

 

「サステナビリティ経営の発展」においては、新たに策定した中期経営計画(DKK-Plan2028)に併せ見直した5つのマテリアリティ「人的資本経営の推進」「コーポレートガバナンスの強化」「環境経営の推進」「事業の持続的成長と発展」「イノベーションの推進」に基づきKPI(目標)を設定し、サステナビリティに関する取り組みを推進してまいります。製品の生産性と信頼性の確保に努め、社会課題に対応した研究開発を行うことで「事業を通じた社会貢献」を実現いたします。またサプライチェーンマネジメントを社内、社外両面に対し徹底することで「持続可能なサプライチェーンの構築」を確立します。そして温室効果ガス排出量削減の取り組みを中心に環境保全に関する活動に取り組み「気候変動への対応」を目指していく所存です。

 

(4)経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に弱い動きが見られますが緩やかに回復しております。生産活動は一進一退の動きとなっておりますが、物価高の影響で一部弱い動きが見られている消費は持ち直しており、高水準の企業収益を背景に設備投資が底堅く推移しております。

一方、商品市況の高止まりや資材価格の高騰は継続しており、米国による関税を始めとした通商政策の見直しにより、先行きについては不確実性がさらに高まる状況となりました。

当社グループの関係しております電気通信関連業界におきましては、移動通信関連分野では、顧客の設備投資計画が依然として全般的に抑制されております。固定無線関連分野では、自治体の防災体制の強化等により防災行政無線の需要に回復傾向が見られており、防衛関連分野においては防衛費予算の増額の影響から堅調に推移しております。放送関連分野においては放送事業者による設備更新需要は依然として停滞しておりますが、メンテナンス需要は改善傾向にあります。高周波応用機器業界におきましては、米国の関税政策に対する懸念の影響が表面化しておりますが、自動車関連分野における設備投資需要は全般的には回復傾向にあります。

 

(5)会社の対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、国内景気は緩やかに回復傾向にありますが、変化する事業環境や価格競争の激化から、当社グループを取り巻く経営環境につきましては、幾分回復の兆しは見られるものの厳しい状況が続くことが想定されます。

以上のような環境の中、2024年3月に公表した中期経営計画(DKK-Plan2025)のローリングプランに記載した事業構造改革による収益体制の構築を一層と推進し、当社グループの業績回復を確実なものとしてまいります。

電気通信関連事業においては、移動通信関連分野では、通信品質改善に向けた設備投資需要に対し、移動通信基地局用アンテナに加え、無線装置の拡販に注力してまいります。固定無線関連分野においては、緊急防災・減災事業債の期限が最終年度となるため、地方自治体向け防災行政無線の需要の積極的な獲得と確実な施工を進めてまいります。防衛関連分野においては、防衛費の予算増額を背景とした需要の増加に対し、装備品の安定供給と既存設備の維持・点検整備事業への積極的な提案による受注獲得を図ってまいります。ソリューション関連分野においては、AIソリューションによる社会課題解決に向け、提案力・開発力の増強に向けた組織改編を実施したうえで、子会社である株式会社サイバーコアとの協業による受注拡大を進めてまいります。また、高周波関連事業においては、高周波誘導加熱装置分野では、米国の通商政策の影響等による自動車関連業界における設備投資動向を見定めたうえで、新たに稼働した試作拠点の活用による自動車EV化に伴う需要を含めた受注の獲得や既存設備のメンテナンス需要の掘り起こしを進め、熱処理受託加工分野についても、需要の着実な獲得、国内外における生産体制の構築に取り組んでまいります。

また、2025年5月に中期経営計画(DKK-Plan2028)を公表いたしました。DKK-Plan2028は、前回中期経営計画であるDKK-Plan2025による経営基盤の構築に続く、成長の実現と加速に向けた経営計画となります。「収益創出体制の確立による成長の実現」を基本方針に据え、重点施策に「事業構造改革」「経営資源の最適化」「サステナビリティ経営の発展」を掲げております。

当社の経営環境はエネルギー及び部品価格等の高騰や人件費の高騰、既存顧客の設備投資抑制、社会構造の複雑化など大きく変化しております。そのような環境の中、収益創出体制を確立し、事業戦略・人的資本戦略・研究開発戦略・サステナビリティの取り組みを連動させ、持続的な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。

 

(経営理念)

・優れた製品を社会に提供し、社会に貢献する。

・時代のニーズを先取りし、失敗を恐れぬチャレンジ精神の溢れた前向きの企業たることを期す。

・絶えず生産性の向上に務め、常に適正な利益を確保する。

・一社一家、グループ一家の和の精神をもって発展成長し、社員の生活向上に務める。

 

(中長期経営戦略のビジョンと戦略)

ビジョン:ありたい姿である「未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future)」の実現

戦略:「新規事業の創出」、「既存事業の更なる拡大」、「経営基盤の強化」

 

(サステナビリティ経営の実現に向けたマテリアリティ(重要課題))

マテリアリティ:「職場風土・働き方改革」「コーポレートガバナンスの強化」「社会インフラ整備への貢献」「環境経営の推進」「新規事業の創出」

 

(中期経営計画DKK-Plan2025ローリングプランの方針と重点施策)

基本方針:「事業構造改革による収益体制の構築」

重点施策:「収益改善のための構造改革」「中長期的な成長戦略」「適切な資本構成」

 

(次期(2026年3月期)の経営重点方針)

全体目標:「業績の更なる改善と収益創出体制の確立」

取組方針:「グループ全体で強い意志を持った利益の最大化と事業構造改革の推進」「研究開発の選択と集中と新規事業の確実な創出」「業務の見える化による業務改善と効率化の実現」「考動できる人財の育成」「コンプライアンスと安全・品質・情報管理の徹底」

 

(次期中期経営計画(DKK-Plan2028)の基本方針と重点施策)

基本方針:「収益創出体制の確立による成長の実現」

重点施策:「事業構造改革」「経営資源の最適化」「サステナビリティ経営の発展」

 

(次期サステナビリティ経営の実現に向けたマテリアリティ(重要課題))

マテリアリティ:「人的資本経営の推進」「コーポレートガバナンスの強化」「環境経営の推進」「事業の持続的成長と発展」「イノベーションの推進」

 

<その他>

当社は、2024年12月5日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」といいます。)に基づく勧告(以下、「本勧告」といいます。)を受けました。当社では、当社製品の一部部品の製造について、下請法の対象と認定されたお取引先様(以下、「下請事業者様」といいます。)に委託しておりますが、当該部品の製造に使用する当社所有の金型等を下請事業者様に貸与していたところ、当該金型等を用いて製造する部品の発注を長期間行わないにもかかわらず、当該金型等を無償で保管させていた行為が、下請法第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反すると判断されたものであります。

当該金型等を無償で保管させたことによる費用に相当する額については、公正取引委員会の確認を得た上で、速やかに下請事業者様にお支払いいたします。また、対象となる金型等のうち、次回以降の具体的な発注時期を示せない金型等167個については、2022年10月から2024年8月までの間に廃棄の対応を既に実施しております。

当社は、本勧告を厳粛に受け止め、今後の取引において同様の問題が発生することのないよう、当社取締役会の決議により確認するとともに、勧告内容を全役職員に周知徹底の上、下請法遵守の社内教育の実施、チェック体制を強化するなど、コンプライアンスの強化と再発防止に努めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、2030年を見据えた「未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future)」の実現に向けたビジョン及び成長戦略である「中長期経営戦略」を策定いたしました。それをもとにサステナビリティ基本方針を定め、当社グループの課題としてマテリアリティ(重要課題)を掲げ、各種KPI達成に向け取り組み、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上を目指しております。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みについては、以下のとおりとなります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、社会に貢献し、持続可能な社会の実現に貢献するための方針として、サステナビリティ基本方針を策定し、企業活動に取り組んでおります。また、サステナビリティ経営の推進を図るための組織として、代表取締役社長を委員長とし、社内取締役及び執行役員等で構成されるサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ課題の特定や多様性や労働環境、人権などの社会問題や、気候変動等に関する環境問題に関する方針・KPIの設定、重点取り組み事項に関する進捗状況について審議・議論を行っております。

 サステナビリティ経営の推進に当たっては、当社グループの事業及びステークホルダーに対して優先的に取り組むべき課題を5つのマテリアリティ(重要課題)として設定し、5つのマテリアリティごとに重点取り組み事項を定めております。

 各マテリアリティに対しては、取締役を含めた部門横断型のワーキンググループ(WG)を設置し、重点取り組み事項及び目標とする指標であるKPIを定め、継続的に取り組みを進めております。

 また、WGの取り組み内容については、サステナビリティ委員会にて協議の上、定期的に取締役会に報告を行っております。

<電気興業グループ サステナビリティ ガバナンス体制>

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(2)戦略

 サステナビリティ経営の推進に向けては、サステナビリティ基本方針に基づき、設定したマテリアリティへの取り組みを継続することにより、持続的な社会の成長への貢献と企業価値の向上を図っております。2025年5月に策定いたしました中期経営計画「DKK-Plan2028」と併せ、サステナビリティ経営の推進に向けた当社マテリアリティの見直しを実施し、「人的資本経営の推進」「コーポレートガバナンスの強化」「環境経営の推進」「事業の持続的成長と発展」「イノベーションの推進」といたしました。

 なお、特定したマテリアリティにおける当社グループの事業や業績に与えるリスク及び機会、並びに重点取り組みについては、下記のとおりとなります。

 

マテリアリティ

リスク

機会

重点取り組み

人的資本経営の推進

・技術力、専門性を有する人財の不足による競争力の低下

・従業員エンゲージメントの停滞による企業力の低下

・人財の強化によるビジネススタイルの変化への対応力向上

・職場風土、モチベーションの向上による企業力の増大、事業の効率化による成長

 ・多様な人財の活躍推進

 ・働き方改革による業務の効率化

 ・健康経営の推進

コーポレート
ガバナンスの強化

・コンプライアンス不全等による、社会における信頼の低下

・コーポレートガバナンスの機能不全による事業継続リスク及び損失の発生

・人権、ハラスメントに関する問題の発生による、レピュテーションリスクを始めとした企業価値の下落

・健全性/透明性/実効性の確 保

・法改正等の変化への適正な対応

・経営基盤の確立、強化

・ステークホルダーの信頼獲得

 ・コンプライアンス重視の経営

 ・サプライチェーンマネジメントの推進

 ・経営における透明性の確保

 ・情報セキュリティの強化

環境経営の推進

・異常気象による自然災害の甚大化

・環境への取り組み姿勢の評価による受注と売上への影響

・環境課題、再生可能エネルギー等の事業機会の増加

 ・カーボン・ニュートラルの推進

 ・循環型社会実現の推進

事業の

持続的成長と発展

・製品やサービスの品質低下による顧客満足度の低下

・事業環境への対応の遅れによる受注と売上の低下

・高品質な製品、サービスの提供による社会貢献、事業機会の拡大

・社会やお客様からの信頼性向上

・労働生産性の向上

 ・製品の生産性と信頼性の確保

 ・周辺市場の業容拡大

 ・技術力の強化

イノベーションの推進

・技術革新による既存技術の陳腐化

・特許取得漏れもしくは遅延による市場優位性の喪失、知的財産権管理の不足による技術的優位性の喪失

・事業領域の拡大、顧客の多様化による需要の拡大

・知的財産を生かした競争力の強化

 ・社会課題に対応した研究開発

 ・知的財産の保護および強化

 

(気候変動)

 気候変動が当社グループの事業・業績に与える影響について、シナリオ分析を実施いたしました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)・国際エネルギー機関(IEA)に基づき、2℃、4℃シナリオで分析を実施しており、事業への影響度※は大・中・小で評価をしております。評価対象は当社グループ全体としており、分析の時間軸は移行リスクについては2030年、物理的リスクについては2050年を基準としております。

 当社グループでは引き続き、特定したリスクと機会に関して、1.5℃シナリオでの分析や財務インパクトの把握やリスク・機会の対応策の導出を進めてまいります。

 

※影響度は、発生可能性と事業活動への影響の大きさを総合的に勘案し、定性的に判断

 大:発生可能性が中程度以上で、事業に大きな影響を与え、事業計画・体制の変更を余儀なくされる可能性あり

 中:発生可能性が中程度で、事業に影響を与え、事業計画・体制の見直しが必要となる可能性あり

 小:発生可能性が低く、事業への影響は限定的で、事業計画・体制に変更がない可能性あり

 

(リスク)

カテゴリ

世界観

シナリオ

セグメント

項目

影響度

政策・規制

各国で炭素税が導入

2℃

全事業

・温室効果ガス(GHG)削減が政府の目標に対して

遅延することにより、税負担コストが増加

テクノロジー

次世代高速通信の普及

2℃

移動通信

・6G等の新技術により、既存ビジネスの需要減少

次世代自動車の普及

2℃

誘導加熱装置・熱処理

受託加工

・EVの普及により、既存の高周波焼入需要減少

市場動向

原油・原料価格の高騰

2℃

全事業

・CO2排出規制により原油・原料価格が高騰し、

原材料コストが増加

グリッドパリティ未到達

2℃

全事業

・太陽光発電などの再エネ電力の導入により、

電力コストが増加

評判

取引先からの脱炭素対応要請の拡大

2℃

全事業

・取引先企業から求められる環境対応が遅延し、

仕入先選好により事業機会減少

物理的リスク

(急性)

異常気象の発生増加

4℃

全事業

・サプライチェーンが分断され、主要原材料の

入手が困難になり、生産遅延やコスト増加

物理的リスク

(慢性)

気温上昇によるエネルギー使用量の増加

4℃

全事業

・気温上昇により空調等に使用する電力コスト

増加

 

(機会)

カテゴリ

世界観

シナリオ

セグメント

項目

影響度

エネルギー源

再エネ技術の普及

2℃

その他

(電気通信)

・太陽光発電関連の設置、メンテナンス工事や

架台販売の需要増加

・風力発電関連のLED航空障害灯、航路標識や

メンテナンス/監視システムの需要増加

市場

スマートシティ化・次世代高速通信の普及

2℃

移動通信

・5G、ローカル5G、6G関連ビジネスの需要拡大

次世代自動車の普及

2℃

誘導加熱装置・熱処理

受託加工

・モーターシャフト等のEV向け高周波誘導加熱

ビジネス機会の獲得

・EV充電スタンド関連の需要増加

資源効率

バリューチェーンの脱炭素需要増

2℃

高周波

新領域

・廃棄物、食品関連等の様々な高周波誘導加熱

ビジネス機会の獲得

製品・

サービス

異常気象の激甚化

4℃

その他

(電気通信)

ソリューション

固定無線

・メタノール燃料電池、ディーゼル燃料電池の

需要増加

・防災無線や高所監視カメラ、防災情報ネット

ワークなどの防災関連商材の需要増加

レジリエンス

異常気象や感染症リスクの増加

4℃

全事業

・サプライヤーとBCP対策の検討など、安定した

サプライチェーンを構築

 

 

セグメント名

主な事業内容

移動通信

携帯電話向け基地局アンテナ・工事・鉄塔、無線設備等

固定無線

官公庁向け防災無線・消防無線等

防衛

防衛向け通信アンテナ・設備等

放送

テレビ・ラジオ放送向け送信所設備、メンテナンス等

ソリューション

サービスを含めたネットワーク関連事業(画像AIソリューション、ローカル5G等)

その他(電気通信)

鉄鋼構造物製造・めっき処理、航空障害灯、LED照明、再生可能エネルギー関連等

誘導加熱装置

自動車部品向け高周波誘導加熱装置の製造、メンテナンス

熱処理受託加工

自動車部品等の熱処理受託加工

高周波新領域

環境関連・食品関連向け高周波応用事業、その他新領域向け事業

 

 

(人材育成方針/社内環境整備方針)

 当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

 

① 人材育成方針

 当社グループは、経営理念において「一社一家、グループ一家の和の精神をもって発展成長し、社員の生活向上に務める。」と掲げており、企業成長の源泉は「人財」であり、個人の人格や個性を尊重し、風通しの良い職場環境整備や教育の場を積極的に提供することで、企業の原動力である「チャレンジ精神」「生産性向上」につながるものと考えております。また、人財育成の継続なくしては、将来の発展と成長はないものと考えており、「中長期経営戦略」の達成に向け、下記の人財育成重点取り組みを実行しております。

 

※当社グループでは、「ヒト」を企業の礎を築く最も重要な要素の一つ「宝(タカラ=財)」と考え、“人材”ではなく“人財”とあらわしております。

 

(人財育成重点取り組み)

重点取り組み

実施事項

1.人財育成の推進

① 新たなキャリアアップを目指す新人事制度の導入、定着化へ向けた研修の実施

② 社内人財の育成・能力開発の強化

2.多様な人財の雇用と活躍

① ダイバーシティマネジメント研修、人権研修の実施

② 経験豊富な人財、プロフェッショナル人財の中途採用

 (新規事業展開、経営基盤強化に即した中途採用)

③ シニア社員活躍のための「70歳までの雇用制度」の立案

④ 障がい者雇用

 

② 社内環境整備方針

 当社グループが持続的に発展するためには、従業員全員が安心して、いきいきと働ける職場環境の整備が必要であると考えております。マテリアリティにおいては「人的資本経営の推進」を掲げ、サステナビリティ活動を推進しており、従業員一人ひとりがお互いを尊重しながら能力を最大限に発揮できる働きやすい職場環境づくりに注力しております。また、労働安全衛生の維持向上にも注力し、従業員とその家族がより豊かで幸福な生活を維持していけるようにするため、労働災害防止をはじめ、過重労働による健康障害防止にも努めております。

 

 

(社内環境整備重点取り組み)

重点取り組み

実施事項

1.働きやすい職場環境づくり

① 表彰制度の拡充

② 社員全員を対象としたハラスメント教育の実施

③ 職場環境アンケートの実施

④ 労使協議会の実施

⑤ 各職場にて交流会(夏季、冬季)の実施

⑥ 男性社員を対象とした育児休業取得促進教育の実施

2.働き方改革

① 提案活動の推進

② 各種特別休暇の導入

 (時間単位の有給休暇、バースデイ休暇、ボランティア休暇)

③ 有給休暇奨励日の設置

④ ノートPC化の推進

3.労働災害の防止

① 安全衛生大会の実施

② 安全パトロール活動の推進

4.過重労働の防止

① 労働時間勉強会の実施

② ノー残業Day/ライトダウンの実施

③ PC自動シャットダウンシステムの導入

④ 時間外労働に関するモニタリング強化

⑤ ストレスチェックの実施

 

(3)リスク管理

① リスク管理体制

 当社グループは、社会課題や環境課題などサステナビリティに関するリスクの特定にあたり、サステナビリティ委員会が中心となり、外部及び内部環境の変化を踏まえ、社会及び当社事業に与える影響度の高いリスクを識別・評価の上、マテリアリティとして設定いたしました。サステナビリティに関するリスクについては、マテリアリティへの取り組みをサステナビリティ委員会でモニタリングを行い、定期的に取締役会に報告しております。今後も進捗や事業環境に応じて、適宜事業戦略の見直しを図るなど、長期的な視点でリスクへの対応を行ってまいります。

 また、全社的なコーポレートリスクマネジメント体制として、リスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会においては、当社グループのリスク・危機の洗い出し、評価の上、重要なリスクを特定し、モニタリング、運用状況の把握、是正指示を行っております。特定された重要リスクの対応策と進捗状況については、定期的に取締役会に報告をしております。詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 サステナビリティに関するリスクとリスク管理委員会におけるコーポレートリスクマネジメントは、グループ横断的に情報の集約と管理の強化を行い、情報連携の上で取締役会にて総合的にリスクの把握・管理・発生頻度や影響の低減を図っております。

 

 

<リスク管理体制>

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② 人権に関するリスクへの対応(人権デューデリジェンス)

 当社グループは人権の尊重が重要な社会的責任であるとの認識に立ち、「DKKグループ人権方針」を制定しており、人権尊重への責任を果たすよう努めております。

 当社のガバナンス体制の一つであるリスク管理委員会に人権部会を設置し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権課題の特定、防止、軽減、是正の一連のサイクルに集中的に取り組んでおります。また、人権に対してサプライチェーン全体で取り組むため、当社グループの掲げる「サプライチェーンにおけるサステナビリティガイドライン」の中で、人権尊重を明記し、当社グループはもとより、サプライヤーの皆様へ当社グループの取り組みや考え方への理解とご協力を求める活動を実施しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、中長期的な観点から5つのマテリアリティを掲げており、その取り組みについて成果を評価する指標(KPI)を下記のとおり設定し、確実に推進を図っていくことで、持続的な社会の成長への貢献と企業価値の維持・向上を目指しております。重点取り組みやKPIについてはサステナビリティ委員会、取締役会において協議の上、見直しを行っております。

 なお、KPI(中長期目標)の実績及び進捗状況については当社ウェブサイトに掲載しております。

 https://denkikogyo.co.jp/sustainability/data/

 

<人的資本経営の推進>

重点取り組み

KPI(目標年度)

多様な人財の活躍推進

 ・女性管理職比率102027年度

 ・えるぼし認定(1段階目)の取得(2027年度)

 ・障がい者雇用率(法定雇用率)の遵守2.7%毎年継続

 働き方改革による業務の効率化

 ・時間外労働の削減:2024年度比5%削減(2027年度)

 ・有給休暇取得率852027年度

 ・男性育児休業取得率30維持(2027年度

 健康経営の推進

 ・定期健康診断受診率100%毎年継続

 ・定期健康診断再検査受診率80%以上(毎年継続

 ・特定保健指導受診率80%以上(2027年度

 ・エンゲージメントスコア50%以上(2027年度

 

※上記「人的資本経営の推進」に関する取り組み及び指標については、当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みを実施しているものの、一部の取り組みに関しましては連結グループに属する全ての会社では実施されていないため、連結グループにおける記載が困難であります。現在、当社グループにおいては取り組みを展開しており、今後目標指標についても充実を図ってまいります。

 

<コーポレートガバナンスの強化>

重点取り組み

KPI(目標年度)

コンプライアンス重視の経営

 ・コンプライアンス研修受講率:100%(毎年継続)

 ・人権研修受講率:100%(毎年継続)

 ・ハラスメント研修受講率:100%(毎年継続)

 サプライチェーンマネジメントの推進

 ・サプライチェーンに関する社内教育受講率:100%(毎年継続)

 ・サプライヤーに対する当社方針(サプライチェーンにおけるサステナビリティガイドライン)の対応状況の確認:1回/年(毎年継続)

経営における透明性の確保

・取締役と投資家との対話:5件/年(毎年継続)

 ・取締役の取締役会出席率:100%(毎年継続)

 ・取締役会実効性評価:1回/年(毎年継続)

 情報セキュリティの強化

 ・情報セキュリティ研修受講率:100%(毎年継続)

 ・サイバー攻撃対応訓練実施:1回以上/年(毎年継続)

 

<環境経営の推進>

重点取り組み

KPI(目標年度)

カーボン・ニュートラルの推進

 ・Scope1,2温室効果ガス排出量:2019年度比42%以上削減(2029年度)

 ・Scope3温室効果ガス排出量:2019年度比25%以上削減(2029年度)

 循環型社会実現の推進

 ・総排出量の再資源化率:96%以上(毎年継続)

 ・グリーン調達の体制構築(2027年度)

 

<事業の持続的成長と発展>

重点取り組み

KPI(目標年度)

製品の生産性と信頼性の確保

 ・現業部門有効稼働変化率:2024年度比12%増(2030年度)

 ・現業部門1人当たりの生産利益額増加率:2024年度比12%増(2030年度)

・営業部門1人当たりの粗利額:2024年度比120万円増(2030年度)

・製品補償の発生件数:2024年度比50%以下(2030年度)

 周辺市場の業容拡大

 ・新製品投入数:2024年度比累計30件(2030年度)

 ・新規顧客獲得数:4事業部門×各10件(2030年度)

 ・サービス拡充・顧客満足度シートの平均点:4.2/5.0点以上(2030年度)

 ・企画制作プロジェクトのアイデア事業化(2030年度)

 技術力の強化

 ・経営事項審査申請に係る国家資格保有率:70%以上維持(2030年度)

 ・研究開発費回収率(新技術開発に限る):2024年度比5%以上増(2030年度)

 

<イノベーションの推進>

重点取り組み

KPI(目標年度)

社会課題に対応した研究開発

 ・社会課題に対応した製品・サービスの技術検証完了:3件/年(2030年度)

 知的財産の保護および強化

 ・産業財産権の出願件数:30件/年(2030年度)

 

(気候変動)

 当社グループは、マテリアリティに基づき「環境経営の推進」に取り組んでおり、カーボン・ニュートラルの推進、循環型社会実現の推進についてそれぞれ定量的な目標を掲げ、具体的な施策に取り組んでおります。

 カーボン・ニュートラルの推進においては、今後も継続把握並びに精度向上に努め、当社グループの気候変動に関する戦略策定とも併せて、2029年に2019年度比で42%以上(Scope1,2)、25%以上(Scope3)の温室効果ガス(GHG)削減を目標として、グループ一丸となって取り組んでまいります。

 なお、GHG排出量の実績については当社ウェブサイトに掲載しております。

 https://denkikogyo.co.jp/sustainability/data/

 

(人材育成方針/社内環境整備方針)

 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、各々指標を用い目標達成年度を定め、取り組んでおります。

 

 各領域の課題に対し、既存従業員には人材育成方針をもととした教育研修を行い、新たな人財獲得では社内環境

整備方針による多様性を重視した採用を展開しております。

 これら二つの方針を通じて、当社グループ従業員一人ひとりが、持続可能な社会の実現に貢献できる一員として、価値ある人財となれるよう、企業としてその育成責任を果たすことを目標としております。

 人材育成方針/社内環境整備方針の実績については、「第1 企業の情報 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みを実施しているものの、連結グループに属する全ての会社では実施されていないため、連結グループにおける記載はしておりません。今後目標・指標についても充実を図ってまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループにおいては、全社的なコーポレートリスクマネジメント体制として、リスク管理委員会を設置し、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、リスク・危機の洗い出し及び評価の上、重要なリスクを特定し、モニタリング、運用状況の把握、是正指示を行っております。また、特定された重要リスクの対応策と進捗状況については、定期的に取締役会に報告をしております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(リスク管理委員会で特定された重要なリスク)

 

① 大規模自然災害等

 地震や台風等の大規模な自然災害、その他の事象により、製造ラインの稼働停止等の事業遂行に直接的又は間接的な混乱が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、そのような災害等の有事に備え、被害を最小限に抑え、事業の継続を図るべく、事業継続マネジメント(BCM)・事業継続計画(BCP)の整備及びその対応に努めております。

 

② 情報セキュリティ

 当社グループにおきましては、事業の遂行に必要な顧客や取引先情報を多数管理しているほか、技術・営業・その他事業に関する秘密情報を保有しており、コンピューターウィルスの感染や外部からの不正アクセス、関係者を騙る標的型詐欺メール、サイバー攻撃、あるいはSNS等を用いた従業員による不適切な情報発信などの不測の事態により、システム障害、秘密情報の漏えい、サイバー詐欺被害、重要な事業情報の滅失等が発生して、当社グループのレピュテーションが悪化するなど業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ対策の拡充に加え、定期的な教育や標的型攻撃メールを想定した訓練等の情報セキュリティマネジメントを徹底し、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めております。

 

③ 事業選択

 新規事業の失敗、事業ポートフォリオの見誤りにより、予定した収益が計上できず、開発等に要したコストと時間が無駄になることや、業績の継続的な悪化などが生じ、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、景気や社会情勢に左右されない事業基盤の構築を目指し、事業に関する選択と集中を進めることとしております。

 

④ 中期経営計画

 外部開示した各種計画が未達となることにより、想定した業績を達成できない、あるいは、投資額に見合うリターンを得られない場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、中期経営計画で設定した取り組みや数値目標の見直しの検討を適宜行うこととしております。

 

⑤ 労働安全衛生

 労働環境において災害や事故が発生し、従業員が傷害や健康被害を受けた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、安全衛生・品質方針に従い、社内での啓発活動に加え、各種安全設備の拡充を図り、災害や事故の発生抑制に努めております。

 

⑥ 人財確保

 特に技術部門において、十分な知識と技術を有する人財を十分確保できなかった場合、あるいは、従業員の会社に対する不信感や処遇不満からモチベーションが低下するなどの事象が生じた場合、競争優位性や企業価値の向上が期待できなくなり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、より良い労働環境の維持・構築のため、時間外労働時間の発生状況等のモニタリングの強化をはじめ、従業員が離職した場合その理由の分析やモチベーション向上のためのアンケート結果を分析して、人財流出防止とモチベーション向上に努め、必要な人財の確保を図っております。

 

(上記リスク以外のリスク)

 

① 海外事業展開に潜在するリスク

 海外での事業展開におきましては、予期せぬ法規制の変更、政治経済情勢の悪化、自然災害、疫病、紛争、テロ、ストライキ等の社会的混乱が生じた場合に、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクに対する取り組みとして、進出国の税制、法規制動向、政治経済情勢など、情報収集に努めております。

 また、その子会社の財務諸表上の資産・負債・収益・費用等の現地通貨建ての項目は連結財務諸表を作成する上で、円建てに換算されております。外貨建てによる輸出入取引につきましては、換算時の為替レートにより、円換算後の計上額が影響を受けることとなります。当社グループでは、為替予約等を通じてリスクの最小化に努めております。

 

② 工事契約及び設備据付工事等における収益認識

 当社グループにおきましては、工事契約及び設備据付工事等の一部について、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。案件ごとに継続的に見積原価総額や予定期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合には、当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このリスクに対応するため、原価総額の見積りの精度向上を図り、適宜決算に反映するように努めております。

 

③ 固定資産の減損会計

 「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用しており、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産について、時価及び事業環境の変動により減損損失を認識するに至った場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、投資計画時に想定されるリスクと対応策を検討した上で、採算性を分析し、投資判断を行っております。

 

④ 市場動向による株価の影響

 企業価値を向上させるための中長期的な視点に立ち、取引金融機関、関係会社、重要取引先の株式を中心に長期保有目的の有価証券を保有しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があり、所有株式について個別銘柄毎に取引状況を検証し、市場動向を常に注視するなど、リスクの最小化に努めております。なお、当社は、政策保有株式の縮減方針に従い、保有する上場株式を2027年度末(2028年3月末)までに全て売却することとしております。

 

⑤ 退職給付債務

 当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。従いまして、前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 今後におきましても、退職金制度の変更、金利情勢の変化による割引率の変更、運用利回りの悪化により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクに対する取り組みとして、一部で確定拠出年金を導入することにより追加拠出リスクを低減する他、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っております。

 

⑥ 業界の動向について

 適正価格による受注及びコスト低減による利益の確保に努めておりますが、市場の価格競争の激化、技術革新及び原材料となる鋼材等の仕入価格の上昇など、関連する業界の需給環境の動向によっては、所期の売上及び利益目標を達成できず、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、業界他社動向を常に注視しつつ、技術革新にも適時的確に対応していくことに加え、業務の効率化及び原価低減活動による利益の拡大に取り組み、業績向上に努めております。

 

⑦ 製品の欠陥、工事の災害事故

 当社グループにおきましては、品質管理及び安全の徹底を図っております。しかしながら、全ての製品・工事施工について欠陥、事故等が発生しないという保証はなく、各種製品の欠陥及び工事の災害事故等が発生した場合、当社グループの社会的評価ばかりでなく、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、一部の事業所及び子会社を除き、品質管理基準(ISO9001)に基づき、各種製品の製造及び工事の施工を行っております。また、請負工事・製造物の責任保障については損害保険に加入するなどの対策を行っております。

 

⑧ 重要な訴訟事件の発生等

 当連結会計年度において、将来の業績に重大な影響を及ぼす訴訟事案を受けた事実はございませんでしたが、今後、事業展開を進めて行くなかで、製品の不具合、工事施工時の事故、その他様々な事由で当社グループに対し提訴その他の請求が起こされた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、訴訟リスクに対応するため、品質及び安全確保の徹底、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を行っております。

 

⑨ 知的財産権

 当社グループが保有する知的財産権について、訴訟やクレーム等の問題が発生した場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業活動に関連する有用な知的財産権の取得並びに保護に努めております。

 

⑩ 法的規制について

 当社グループが事業を行うにあたり、建設業法、下請代金支払遅延等防止法、製造物責任法など様々な各種法規制の適用を受けております。法令解釈の相違等により、結果的に法令に抵触すると判断された場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、内部統制の徹底、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を行っております。

 

⑪ 資金調達環境について

 当社グループは、金融機関からの借入れにより資金調達を行っておりますが、借入金の一部に財務制限条項の付されているものがあります。今後、事業計画どおりに業績改善を図ることができず、期限の利益喪失請求が行われた場合には、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 特定の取引先の依存に係るもの

 電気通信関連事業におきましては移動通信関連事業者及び放送事業者、高周波関連事業におきましては自動車メーカー各社をはじめとした自動車関連業界に対する受注・売上高の依存割合が高く、各事業者の設備投資需要の動向によっては当社グループの業績と財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。仕入に関しても、特定の取引先への過度な依存により起因する問題が発生し、各事業者の要求を満たさなくなった場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、今後もこれまでの取引関係を維持発展させていく一方、事業領域の拡大に向けて、ビジネススタイルの変革や顧客層の拡大、差別化を追求し、これまでの事業とは異なる新たな収益の源泉を創出し、その供給体制についても各取引先の生産状況、材料調達の状況などを把握するとともに、必要に応じて代替の取引先の構築にも努めております。

 

⑬ 不正及び不法行為等によるリスク

 役員や従業員等の不正及び不法行為等の防止に万全を期しているものの、万が一不正及び不法行為等が発生した場合には、その内容や規模の大きさによっては、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。不正及び不法行為等によるリスク回避に向け、当社は、コンプライアンス・プログラムを定め、その充実・強化を図るとともに、監査及びコンプライアンス教育を通じてこれらのリスクの回避及び影響の最小化に努めております。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ22億2千1百万円減少し530億1千6百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ3億5千9百万円減少し383億4千3百万円となりました。その主な要因は、受取手形を含む売掛債権が23億9千7百万円、棚卸資産が3億9千8百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が28億8千5百万円、有価証券が4億1百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ18億6千1百万円減少し146億7千2百万円となりました。その主な要因は、有形固定資産が10億9千8百万円増加したものの、無形固定資産が18億8千8百万円、投資有価証券が11億6千4百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ10億1千4百万円増加し113億5千3百万円となりました。その主な要因は、環境対策等引当金が1億4千9百万円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が9億4千8百万円、未払法人税等が3億8百万円それぞれ増加したこと等が挙げられます。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ16億2千万円減少し45億5千5百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が12億1千7百万円、繰延税金負債が3億3千3百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ16億1千5百万円減少し371億7百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が2億5百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が6億1千6百万円、退職給付に係る調整累計額が1億5千1百万円、非支配株主持分が2億3百万円それぞれ減少、自己株式の取得等により自己株式が9億9千2百万円増加し純資産が減少したこと等が挙げられます。

 

b.経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に弱い動きが見られますが緩やかに回復しております。生産活動は

一進一退の動きとなっておりますが、物価高の影響で一部弱い動きが見られている消費は持ち直しており、高水準

の企業収益を背景に設備投資が底堅く推移しております。

 一方、商品市況の高止まりや資材価格の高騰は継続しており、米国による関税を始めとした通商政策の見直しに

より、先行きについては不確実性がさらに高まる状況となりました。

 当社グループの関係しております電気通信関連業界におきましては、移動通信関連分野では、顧客の設備投資計

画が依然として全般的に抑制されております。固定無線関連分野では、自治体の防災体制の強化等により防災行政

無線の需要に回復傾向が見られており、防衛関連分野においては防衛費予算の増額の影響から堅調に推移しており

ます。放送関連分野においては放送事業者による設備更新需要は依然として停滞しておりますが、メンテナンス需

要は改善傾向にあります。高周波応用機器業界におきましては、米国の関税政策に対する懸念の影響が表面化して

おりますが、自動車関連分野における設備投資需要は全般的には回復傾向にあります。

 このような事業環境の中、当社は中期経営計画「DKK-Plan2025」ローリングプランで掲げた事業構造改革による

収益体制の構築を推進しております。事業ポートフォリオの最適化に向けた注力セグメントへの資源の投入、組織

のスリム化による生産性の向上や固定費の削減など、利益創出に向けた取り組みを推進し、業績の大幅な回復を果

たすことができました。

 その結果、受注高は前年同期比8.4%増の347億7千6百万円となり、売上高は前年同期比12.9%増の325億8千2百万円となりました。

 利益の面では営業利益は9億3千5百万円(前連結会計年度は17億8千7百万円の営業損失)、経常利益は10億2千4百万円(前連結会計年度は15億3千7百万円の経常損失)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は7億7千7百万円(前連結会計年度は19億7千7百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 セグメントごとの業績は次のとおりであります。(報告セグメント等の業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。)

 

(電気通信関連事業)

 当事業では、移動通信関連分野においては、移動通信事業者による通信品質改善に向けた設備投資需要に回復の

兆しが見られておりますが、全般的には設備投資は依然として抑制されております。固定無線関連分野では、各自

治体における防災体制強化とデジタル化の動きに伴う防災行政無線の需要が、緊急防災・減災事業債の期限を見据

え回復傾向が見られております。防衛関連分野の需要についても、防衛費予算の増額の影響から増加傾向が継続し

ております。放送関連分野においては、放送事業者によるメンテナンス需要は改善傾向にありますが、デジタル放

送設備の更新需要は依然として先送りとなっております。ソリューション関連分野においては、子会社である株式

会社サイバーコアの画像AI技術と当社が培ってきた無線通信技術を組み合わせ、人流・交通分析をはじめとしたソ

リューションや無線環境の整備などにより、様々な社会課題を解決する事業を推進しております。その他分野とし

ては、屋外建築鉄骨や鋼構造物の表面処理需要の継続的な確保に加え、LED航空障害灯や燃料電池といった環境負

荷の低い製品において、積極的に需要開拓を進めております。

 このような事業環境のもと、当事業分野では注力セグメントにおける需要の取り込みに加え、生産性の向上と固

定費削減の取り組みを積極的に図ってまいりました。

 その結果、受注高は前年同期比14.0%増の251億5千5百万円、売上高は前年同期比15.3%増の220億9千7百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、19億1千7百万円(前連結会計年度は5千6百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。

 

(高周波関連事業)

 当事業では、主力であります高周波誘導加熱装置分野においては、自動車関連業界において米国を中心とした通

商政策による不透明感が年度末にかけて生じておりますが、設備投資需要は全般的に回復傾向にありました。ま

た、生産活動の回復に伴うメンテナンス・アフターサービスに関する需要の獲得についても取り組みを強化してま

いりました。熱処理受託加工分野においても、自動車メーカー各社の生産に伴う需要は回復傾向にあります。高周

波新領域関連分野においては、過熱水蒸気装置を用いた食品や廃棄物の処理における需要の創出を進めるため、過

熱水蒸気技術の高度化、課題の検証、データ・ノウハウの蓄積を図り、新たな事業領域の開拓に向けた取り組みを

さらに強化し、積極的に推進しております。

 このような事業環境のもと、当事業分野においても原材料費やエネルギーコスト等の高騰による原価上昇要因が

発生しておりますが、生産性・品質の向上や販売価格の見直しによる利益の拡大に取り組んでまいりました。

 その結果、受注高は前年同期比3.8%減の96億2千万円、売上高は前年同期比8.2%増の104億1千1百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比70.4%増の17億4千3百万円となりました。

 

(その他)

 その他事業は、土地・事務所等の子会社等への賃貸を行う設備貸付事業並びに売電事業であります。売上高については前年同期比1.1%減の2億6千2百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比2.5%増の1億2千6百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33億1千3百万円減少し、当連結会計年度末には140億1千6百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は18億2千3百万円(前年同期は7億5千4百万円の使用)となりました。これは主に減損損失の計上17億6千5百万円、税金等調整前当期純利益の計上10億4千2百万円等の増加要因に対し、売上債権の増減額23億4千7百万円、投資有価証券売却益の計上17億8千2百万円等の減少要因が上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は3億9千6百万円(前年同期は38億6千3百万円の獲得)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入22億1千6百万円等の増加要因に対し、有形及び無形固定資産の取得による支出19億3百万円等の減少要因が下回ったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は20億9千7百万円(前年同期は7億7千万円の使用)となりました。これは主に自己株式の取得による支出9億9千2百万円、配当金の支払額5億7千1百万円、長期借入金の返済による支出3億2千1百万円等の減少要因によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

電気通信関連事業

9,965

3.6

高周波関連事業

10,407

7.7

合計

20,372

5.6

(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 電気通信関連事業のうち、工事に係る生産実績を定義することが困難であるため、上記生産実績から除いて表示しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

電気通信関連事業

25,155

14.0

14,552

26.9

高周波関連事業

9,620

△3.8

3,097

△20.3

合計

34,776

8.4

17,650

15.0

 

c.売上実績

 当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

電気通信関連事業

工事

12,265

21.7

設備・機材売上

9,801

8.2

小計

22,067

15.3

高周波関連事業

10,411

8.2

その他

103

△0.5

合計

32,582

12.9

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 「その他」区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、設備貸付事業並びに売電事業を含んでおります。

3 主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

 

 

 なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。

電気通信関連事業

a.受注高、売上高、繰越高及び施工高

期別

売上

区分

前期

繰越高

(百万円)

当期

受注高

(百万円)

(百万円)

当期

売上高

(百万円)

次期繰越高

当期

施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち施工高

(%、百万円)

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

工事

4,843

11,564

16,407

9,245

7,162

0.8

56

9,270

設備・機材売上

2,639

6,696

9,335

5,665

3,670

50.5

1,855

5,979

7,482

18,260

25,743

14,911

10,832

17.6

1,911

15,250

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

工事

7,162

11,932

19,094

11,511

7,582

1.1

80

11,536

設備・機材売上

3,670

8,422

12,093

6,547

5,545

29.7

1,647

6,336

10,832

20,354

31,187

18,059

13,128

13.2

1,728

17,872

(注)1 前期以前に受注した物件で、契約の更改により受注金額に変更のあるものについては、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高においても増減額が含まれております。

2 次期繰越高のうち、施工高は、支出金により物件毎の進捗度を勘案して手持高中の施工高を推定したものであります。

3 当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致いたします。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されております。

期別

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

21.7

78.3

100

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

22.3

77.7

100

(注) 上記%は、請負金額比であります。

 

c.売上高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

工事

(注)1

4,634

4,610

9,245

設備・機材売上

(注)2

207

5,457

5,665

4,842

10,068

14,911

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

工事

(注)1

5,858

5,652

11,511

設備・機材売上

(注)2

466

6,081

6,547

6,325

11,734

18,059

(注)1 完成工事高

2 製品売上高

3 売上高のうち主なものは次のとおりであります。

前事業年度の売上高のうち主なもの

受注先

工事件名等

KDDI㈱

基地局アンテナ及び無線中継装置納品

㈱NTTドコモ

基地局アンテナ及び無線機納品

広島市

防災行政無線通信機器更新整備

防衛省 沖縄防衛局

与那国(3)鉄塔新設建築その他工事

奥出雲町

防災行政無線整備工事

 

当事業年度の売上高のうち主なもの

受注先

工事件名等

㈱NTTドコモ

基地局アンテナ及び無線機納品

熊本防衛支局

えびの送信所(3)鉄塔支線更新工事

KDDI㈱

基地局アンテナ及び無線中継装置納品

八重山広域市町村圏事務組合

八重山地区ラジオ中継局機能強化事業

一般社団法人1.7GHz移行推進協会

航空自衛隊OH通信設備撤去工事

4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合

前事業年度

KDDI㈱

1,938百万円

13.0%

前事業年度

㈱NTTドコモ

1,501百万円

10.1%

当事業年度

㈱NTTドコモ

2,912百万円

16.1%

 

 

d.手持高(2025年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

工事

3,788

3,794

7,582

設備・機材売上

399

5,146

5,545

4,187

8,940

13,128

 

 手持高のうち主なものは次のとおりであります。

受注先

工事件名等

完成予定年月

熊本防衛支局

えびの送信所(6)鉄塔支線等整備工事

2028年2月

豊田市

豊田市防災行政無線(同報系)更新整備等業務委託

2026年3月

日本電気㈱

無線通信システム用アンテナ納品

2027年7月

熊本防衛支局

えびの送信所(5)鉄塔支線更新工事

2027年2月

安中市

280MHz帯デジタル同報無線システム整備工事

2026年3月

 

 

高周波関連事業

a.生産実績

区分

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

高周波焼入受託加工

116

145

高周波誘導加熱装置

5,380

5,981

5,496

6,126

(注) 金額は販売価格で示しております。

 

b.受注実績

区分

前々事業年度

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注残高

(百万円)

受注高

(百万円)

受注残高

(百万円)

受注高

(百万円)

受注残高

(百万円)

高周波焼入受託加工

116

145

高周波誘導加熱装置

1,976

6,447

3,048

5,552

2,417

1,976

6,563

3,048

5,697

2,417

(注) 受注品目が多岐にわたり、数量の表示は困難であるため記載しておりません。

 

c.販売実績

区分

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

高周波焼入受託加工

116

2.1

145

2.3

高周波誘導加熱装置

5,375

97.9

6,182

97.7

5,491

100

6,327

100

(注)1 販売品目が多岐にわたり、数量の表示は困難であるため記載しておりません。

2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合

前事業年度

㈱豊通マシナリー

1,027百万円

18.7%

当事業年度

㈱豊通マシナリー

2,421百万円

38.3%

3 電気通信関連事業の設備・機材当期売上高に上記販売実績を合算した金額が、提出会社の損益計算書の製品売上高に一致いたします。

 

 

その他の事業

a.売上実績

区分

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

設備貸付事業

168

63.4

165

63.2

売電事業

97

36.6

96

36.8

265

100

262

100

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。

当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は前年同期比12.9%増の325億8千2百万円となり、利益につきましては、営業利益は9億3千5百万円(前連結会計年度は17億8千7百万円の営業損失)、経常利益は10億2千4百万円(前連結会計年度は15億3千7百万円の経常損失)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は7億7千7百万円(前連結会計年度は19億7千7百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、外部環境の変化、業界の動向や取引先の動向等によっては、所期の目標を達成できない可能性があります。

 

経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容をセグメント別にみますと、電気通信関連事業のうち、移動通信関連分野においては、一部の移動通信事業者による通信品質改善に向けた設備投資需要に回復の兆しが見られておりますが、全般的に顧客の設備投資動向は依然として抑制されております。固定無線関連分野においては、各自治体における防災体制の強化とデジタル化の動きに伴う防災行政無線の需要が、緊急防災・減災事業債の期限を見据え回復傾向が見られておりますが入札における価格競争が続いている状況です。防衛関連分野においては、防衛費予算の増額の影響から受注の増加傾向が継続しており堅調に推移しております。放送関連分野においては、放送事業者によるメンテナンス需要は改善傾向にありますが、デジタル放送設備の更新需要は依然として先送りとなっております。ソリューション関連分野においては、グループ会社の株式会社サイバーコアの画像AI技術と当社が培ってきた無線通信技術を組み合わせ、人流・交通分析をはじめとしたソリューションや無線環境の整備などにより、様々な社会課題を解決する事業を推進しております。その他分野としては、屋外建築鉄骨や鋼構造物の表面処理需要の継続的な受注の確保に加え、LED航空障害灯や燃料電池といった環境負荷の低い製品において、積極的に需要開拓を進めております。このような事業環境のもと、当事業分野では注力セグメントにおける需要の取り込みに加え、組織のスリム化による生産性の向上や固定費削減の取り組みを積極的に図ってまいりました。

一方、高周波関連事業のうち、主力であります高周波誘導加熱装置分野においては、自動車関連業界において米国を中心とした通商政策による不透明感が年度末にかけて生じておりますが、設備投資需要は全般的に回復傾向にありました。また、生産活動の回復に伴うメンテナンス・アフターサービスに関する需要の獲得についても取り組みを強化してまいりました。熱処理受託加工分野においても、自動車メーカー各社の生産に伴う需要は回復傾向にありました。高周波新領域関連分野においては、過熱水蒸気装置を用いた食品や廃棄物の処理における需要の創出を進めるため、過熱水蒸気技術の高度化、課題の検証、データ・ノウハウの蓄積を図り、新たな事業領域の開拓に向けた取り組みをさらに強化し積極的に推進しております。このような事業環境のもと、当事業分野においても原材料費やエネルギーコスト等の高騰による原価上昇要因が発生しておりますが、生産性・品質の向上や販売価格の見直しによる利益の拡大に取り組んでまいりました。

なお、売上高及び営業利益の詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載しております。

経常利益につきましては、為替差損の影響もありましたが、営業利益9億3千5百万円(前連結会計年度は17億8千7百万円の営業損失)を認識したこともあり10億2千4百万円(前連結会計年度は15億3千7百万円の経常損失)となりました。また、特別利益で政策保有株式の縮減の取り組みによる投資有価証券売却益を認識する一方で、特別損失で当社及びグループ会社の一部拠点等にて保有する固定資産、のれん及び技術関連資産の減損損失を計上するなどあり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては7億7千7百万円(前連結会計年度は19億7千7百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

そのような状況の中で、当社は、経営環境の変化に迅速に対応し、事業の継続性と安定した収益の確保を目指すとともに企業価値向上を図ることを基本に事業を推進するよう努めております。当社の経営理念である「優れた製品を社会に提供し、社会に貢献する」、「時代のニーズを先取りし、失敗を恐れぬチャレンジ精神の溢れた前向きの企業たることを期す」、「絶えず生産性の向上に務め、常に適正な利益を確保する」、「一社一家、グループ一家の和の精神をもって発展成長し、社員の生活向上に務める」並びに「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)会社の経営の基本方針、(2)目標とする経営指標、(3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載されている成長戦略のもと、企業価値を高め、株主の皆様や顧客各位のご期待に応えることに向け取り組んでまいります。

今後の見通しにつきましては、国内景気は緩やかに回復傾向にありますが、変化する事業環境や価格競争の激化から、当社グループを取り巻く経営環境につきましては、幾分回復の兆しはみられるものの厳しい状況が続くことが想定されますが、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)会社の対処すべき課題」にもありますとおり、2025年5月に公表した中期経営計画(DKK-Plan2028)に記載の「収益創出体制の確立による成長の実現」の基本方針のもと、当社グループの業績回復を確実なものとしてまいります。

セグメント別に見た場合、電気通信関連事業においては、移動通信関連分野では、通信品質改善に向けた設備投資需要に対し、移動通信基地局用アンテナに加え、無線装置の拡販に注力してまいります。固定無線関連分野においては、緊急防災・減災事業債の期限が最終年度となるため、各自治体向け防災行政無線の需要の積極的な受注の獲得と確実な施工を進めてまいります。防衛関連分野においては、防衛費の予算増額を背景とした需要の増加に対し、装備品の安定供給と既存設備の維持・点検整備事業への積極的な提案による受注獲得を図ってまいります。ソリューション関連分野においては、AIソリューションによる社会課題解決に向け、提案力・開発力の増強に向けた組織改編を実施したうえで、グループ会社の株式会社サイバーコアとの協業による受注拡大を進めてまいります。また、高周波関連事業においては、高周波誘導加熱装置分野では、米国の通商政策の影響等による自動車関連業界における設備投資動向を見定めたうえで、新たに稼働した試作拠点(東海熱処理研究センター)の活用による自動車EV化に伴う需要を含めた受注の獲得や既存設備のメンテナンス需要の掘り起こしを進め、熱処理受託加工分野についても、需要の着実な獲得、国内外における生産体制の構築に取り組んでまいります。加えて、これまでに推し進めた生産性の向上と固定費削減による収益性の改善を一層と推進してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動において18億2千3百万円の使用、投資活動において3億9千6百万円の獲得、財務活動において20億9千7百万円使用したこと等から、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ33億1千3百万円減少し140億1千6百万円となりました。また、預入期間が3ヶ月を超える定期預金を含めた現金及び預金の残高につきましては、前連結会計年度末に比べ28億8千5百万円減少し161億8千万円となりました。

なお、キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金需要のうち主なものは製品及び原材料の購入費、外注費のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの資金の源泉は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、生産設備の増強・合理化・更新等を含めた設備投資や長期運転資金の必要性が生じた際は、リースや金融機関からの長期借入を行う場合があります。

なお、当社はキャピタルアロケーションを策定し、レバレッジを活用しつつ、保有する資産の売却及び営業キャッシュ・フローにて資金調達の水準を高め、株主還元、成長戦略の実現に向けた投資を行っていくことを掲げております。なお、レバレッジの活用の具体的な主な事例として、主要取引金融機関と総額110億円のコミットメントライン契約を締結した上で、2025年3月31日時点で44億円のシンジケートローンを組成し、また、日本生命保険相互会社より長期借入金として10億円の調達を実施しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、将来の特定の費用又は損失であって、その発生が過去の実績や状況に応じ合理的にその金額を見積ることができる場合には費用又は損失として認識しております。ただし実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(工事契約及び設備据付工事等における収益認識)

工事契約及び設備据付工事等における収益認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(固定資産の減損処理)

固定資産の減損処理に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(退職給付引当金)

当社グループは、従業員の退職給付費用について、各連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき引当計上しております。これらは割引率、昇給率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等の重要な見積りを加味して計上しております。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

 

5【重要な契約等】

(連結子会社の吸収合併)

 当社は、2024年12月23日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるDKK of America, Inc.とDKK North America, Inc.との間で、2024年12月31日を効力発生日とする組織再編(合併)を行うことを決議し、2024年12月31日をもってDKK of America, Inc.を存続会社とし、DKK North America, Inc.を消滅会社とする吸収合併を行いました。

 詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (共通支配下の取引)」に記載しております。

 

(コミットメントライン契約の締結)

 2024年4月1日前に締結されたコミットメントライン契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、創造的なアイデアと技術力を活かし、持続的な成長と発展に貢献することを目的としております。市場ニーズを的確に捉えた競争力のある製品の開発、スピード感を重視した開発、そして将来の事業拡大を支える基盤研究に重点を置き取り組んでまいりました。これらは中長期的な視点に立ち、移動通信関連・固定無線関連・放送関連・高周波関連のコア技術を基盤としながら、それぞれの周辺分野への展開を図る取り組みであり、営業・製造・開発の各部門が連携し、部門横断的に研究開発を推進しております。

当社グループの研究開発体制は、2022年4月に発足したR&D統括センターにおける、ワイヤレス研究所(電気通信関連事業)および未来研究所(高周波関連事業)を中心に構成されており、これらの研究所を軸に、当社および連結子会社の開発・設計部門が、それぞれの関連部門と連携・協力しながら、各種課題に取り組むことを基本方針としております。また、産学連携をはじめとする外部研究機関との協力体制を強化することで、新技術の開発を加速させております。

当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の内容は、以下のとおりであります。

 

電気通信関連事業においては、特に移動通信分野での5Gへの取り組みを一層強化しております。5GオープンネットワークのためのO-RANインタフェース仕様に準拠した無線装置の開発・製品化、基地局アンテナの高性能化、複数の携帯電話事業者共用を可能とするシェアリング用アンテナの開発、さらに深層学習を活用したエリア推定の簡略化など、多岐にわたる研究開発を進めました。放送関連分野においては、テレビ局向けアンテナの更新需要に対応した製品開発、固定無線関連分野では、防災行政無線用機器などの製品開発を実施しました。これらの製品開発にあたっては、小型化・高性能化・低価格化に加え、当社独自の技術を追求することで市場競争力の強化に努めております。さらに、顧客ニーズを的確に捉え、製造と販売が一体となって、タイムリーかつ的確な技術提案・製品提案を行ってまいりました。また、新規事業の開拓においては、画像AI技術による人流解析システムや、ローカル5Gと画像AI技術双方の利点を活かした港湾におけるコンテナ管理のDX化など、システムソリューションの開発および実装において、各部門および子会社が連携して取り組みました。基礎研究においては、今後の技術動向や技術適用領域の拡大を見据え、大学や外部研究機関と連携しながら、ミリ波帯のビームフォーミングアンテナ、Beyond 5Gおよび6G向けサブテラヘルツ帯の通信システム用アンテナ、さらにワイヤレス電力伝送の実用化に向けた技術開発などを進めております。

高周波関連事業においては、高周波熱処理設備の高機能化を目指し、焼入設備における搬送時間・冷却時間の短縮、省エネルギー化やロボット化の技術確立に取り組み、高性能化・低コスト化・省人化を実現し、多様なニーズに対応可能な設備の開発を進めました。加えて、過熱水蒸気技術を活用したリサイクル処理装置や食品加工装置、脱臭装置の開発にも取り組み、熱処理技術の応用領域拡大に向けた研究開発を積極的に推進しております。

なお、当連結会計年度において支出した研究開発費の総額は1,105百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

(電気通信関連事業)

 当連結会計年度における研究開発費の金額は891百万円であります。

・移動通信、放送、固定通信関連

(1)アンテナ新技術の開発

(2)5G無線装置の開発

(3)移動通信アンテナシステムの開発

(4)通信・障害灯・防災・放送機器の開発

(5)防衛事業向けアンテナシステムの開発

・施設関連

(1)支線碍子安定供給のための開発

(2)燃料電池後継機種の開発

(3)新型DK局舎の開発

・新分野

(1)システムソリューションの開発

(2)花粉採取最適期判定システムの開発

(3)空間伝送型WPT技術の開発

 

(高周波関連事業)

 当連結会計年度における研究開発費の金額は214百万円であります。

・誘導加熱関連

(1)高周波設備の開発・機能の向上

・高周波新領域関連

(1)新規事業に向けた新技術の開発