代表取締役社長近藤忠登史は、当社及び連結子会社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。
財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2025年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社並びに連結子会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定いたしました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、財務報告に対する金額的及び質的影響並びにその発生可能性を考慮して決定しており、当該必要な範囲は、当社グループの売上高全体の95%をカバーする範囲以外にも連結グループ化して間もない子会社等の質的要素を考慮しております。その結果、当社及び連結子会社8社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果及び前事業年度における決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。なお、連結子会社7社については、金額的及び質的重要性並びにその発生可能性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、当社グループは電気通信事業、高周波事業を営んでおり、事業の核となる製造、建設及び販売業務の規模を示す指標としての連結売上高(連結会社間取引消去後)が事業拠点の重要性を判断する指標として適切と判断いたしました。加えて、当社グループの構造として、アンテナや高周波誘導加熱装置の製造を行うための固定資産及び棚卸資産の金額割合が高いため、総資産を追加的な指標として用いることが適切と判断いたしました。全社的な内部統制の評価が良好であることを踏まえ、連結売上高(連結会社間取引消去後)及び総資産のおおむね3分の2程度を占める当社を「重要な事業拠点」として選定いたしました。
選定した重要な事業拠点においては、当社グループの事業に大きく関わる勘定科目として、製造、建設、販売活動において多額に計上される売上高、完成工事未収入金、売掛金、契約資産及び棚卸資産に至る業務プロセスを評価の対象といたしました。
さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセス(当社及び連結子会社の固定資産の減損損失に関する業務プロセス)を財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして、評価対象に追加しております。なお、前事業年度末における開示すべき重要な不備の再発防止策に関連して新たに整備したプロセスについては、当社グループの決算・財務報告プロセスにおける評価対象に含めております。
上記の評価の結果、当事業年度末日時点において、当社及び連結子会社の財務報告に係る内部統制は有効であると判断いたしました。
(前事業年度末における開示すべき重要な不備の是正)
当社及び連結子会社は前事業年度の決算業務の過程において、下記の誤りがあることが判明し、2024年6月28日に提出した前事業年度に係る内部統制報告書にて財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備がある旨の報告を行いました。
1)固定資産の減損処理の誤り
2)異なる納税主体間での繰延税金資産及び繰延税金負債の誤った相殺処理
3)満期保有目的の債券に係る流動固定区分の分類誤り
4)連結キャッシュ・フロー計算書の科目集計の一部誤りによる決算短信の訂正を含む修正事項の発生
当事業年度においては、上記の開示すべき重要な不備に対し以下の再発防止策を実行し内部統制が改善されていることを確認しました。
当該決算・財務報告プロセスの開示すべき重要な不備に対し、直接虚偽記載の原因となった内部統制だけではなく、今後同様の誤謬を生じさせないようにするために、当事業年度末日までに、以下のとおり再発防止策を実施しました。これには、決算・財務報告プロセスにおける検証機能の強化や会計処理を適時適切に実施するための人員補強等も含まれ、経理部によるモニタリング体制を強化することで、適切な財務報告を担保しました。
当該再発防止策については、当社の内部監査部門がその内容を検討し、誤謬の発生原因に対応したものであることを確認しました。また、再発防止策に関連して新たに整備した以下のプロセスに対する評価手続を実施した結果、不備事項は識別されず、当事業年度末において適切に内部統制が整備・運用されているものと判断しました。なお、これらの評価結果については、当社の取締役会に報告を行いました。
1)固定資産の減損処理の誤り
①誤謬の発生原因となった決算・財務報告プロセスの不備の概要
固定資産の減損に係る手順書及びワークシートにおいて、回収可能価額に正味売却価額を採用する場合の回収可能価額の算定(不動産処分費用を控除する必要がある旨)や、共用資産のグルーピング及び回収可能価額の算定の具体的な手続について手順書が整備されていませんでした。
②再発防止策の概要及びその是正状況
a.決算・財務報告プロセスにおける検証機能の強化
固定資産の減損損失に関する手順書を改訂し、回収可能価額として正味売却価額を採用する場合には処分見込み費用を控除する必要があること、共用資産のグルーピング及び回収可能価額の算定の具体的な手順や留意点を記載しました。
次に決算・財務報告プロセスチェックリストにおいて、減損のグルーピング、兆候、認識、測定の検討を行う際には、手順書に基づき手続を実施する必要があること、測定結果については外部専門家のチェックを受ける必要があることについて記載を行いました。これにより、前事業年度末の不備に対応した手順書が整備されていることを確認しました。
b.会計処理を適時適切に実施するための人員補強等
経理部担当者が減損会計の専門知識として実践的なものが組み込まれている外部セミナーの受講を行っていることを確認し、経理に関する能力・知識の不足への対応が行われていることを確認しました。
次に、公認会計士資格を有する実務経験者の採用、並びに経理経験者の異動による人材の増強が図られていることを確認しました。
上記の整備した手順書及びチェックリストに基づき、固定資産の減損損失の計上について、情報収集及び判定を行い、公認会計士資格を有する社員を含めた複数人によるチェックを実施する等、適正な内部統制の運用が行われたことを確認し、重要な虚偽記載の発生を防止しました。
2)異なる納税主体間での繰延税金資産及び繰延税金負債の誤った相殺処理
①誤謬の発生原因となった決算・財務報告プロセスの不備の概要
M&Aが実施された際に取得原価の配分により識別された無形資産に係る繰延税金負債等、連結固有の繰延税金負債と異なる納税主体の繰延税金資産の相殺処理の要否に関する取扱いが決算・財務報告プロセスのチェックリストにおいて明記されていませんでした。
②再発防止策の概要及びその是正状況
a.決算・財務報告プロセスにおける検証機能の強化
決算・財務報告プロセスチェックリストにおいて、繰延税金資産と負債の相殺等に関して、税効果会計の連結精算表作成時に証跡とともに外部専門家に照会を実施し、相殺処理の要否についてチェックを受ける必要がある旨を記載し、前事業年度末の不備に対応した手順書が整備されていることを確認しました。
b.会計処理を適時適切に実施するための人員補強等
経理部担当者が税効果会計の専門知識として実践的なものが組み込まれている外部セミナーの受講を行っていることを確認し、経理に関する能力・知識の不足への対応が行われていることを確認しました。
次に、公認会計士資格を有する実務経験者の採用、並びに経理経験者の異動による人材の増強が図られていることを確認しました。
上記の整備したチェックリストに基づき、当該相殺処理の要否の判定及び金額の算定を行い、公認会計士資格を有する社員を含めた複数人によるチェックを実施しました。その後、外部専門家に連結精算表とチェックリストによるチェック結果を提出しレビューを受ける等、適正な内部統制の運用が行われたことを確認し、重要な虚偽記載の発生を防止しました。
3)満期保有目的の債券に係る流動固定区分の分類誤り
①誤謬の発生原因となった決算・財務報告プロセスの不備の概要
金融商品に関する会計基準における満期保有目的の債券について、償還期日の確認と合わせ、その債券の発行情報を確認し、1年以内に償還予定のものは流動資産にて区分して計上すべきでないか確認する必要があったものの、有価証券報告書向け注記チェックリストでは当該チェック項目が明記されていませんでした。
②再発防止策の概要及びその是正状況
a.決算・財務報告プロセスにおける検証機能の強化
有価証券報告書作成チェックリストの注意点欄にチェック項目を追記し、前事業年度末の不備に対応した手順書が整備されていることを確認しました。
b.会計処理を適時適切に実施するための人員補強等
経理部担当責任者が金融商品に関する会計基準等の理解のための項目が組み込まれた外部セミナーの受講を行っていることを確認し、経理に関する能力・知識の不足に対応した運用が実行されていることを確認しました。
上記の整備したチェックリストに基づき、経理部担当責任者が、当該流動資産区分への振替要否の判定を行い、チェックを実施する等、適正な内部統制の運用が行われたことを確認し、重要な虚偽記載の発生を防止しました。
4)連結キャッシュ・フロー計算書の科目集計の一部誤りによる決算短信の訂正を含む修正事項の発生
①誤謬の発生原因となった決算・財務報告プロセスの不備の概要
連結キャッシュ・フロー計算書に関して、資金移動を伴わないような勘定科目残高の増減取引について、適切に把握し処理するためのチェック項目が決算チェックリストに設けられていませんでした。
②再発防止策の概要及びその是正状況
a.決算・財務報告プロセスにおける検証機能の強化
各連結子会社への当期末決算における通達事項において、資金移動を伴わない洗替処理や科目振替等により発生した帳簿上の増減額については、連結パッケージ内の対象のシートでの増減金額の集計には含めない旨の周知を行いました。
次に連結キャッシュ・フロー計算書チェックリストを改訂し、有形固定資産、無形固定資産、投資有価証券の増減取引は総勘定元帳を出力したうえで、増減内容を確認し、必要に応じて科目振替を実施するようにチェック項目として明記しました。これにより、前事業年度末の不備に対応した手順書が整備されていることを確認しました。
b.会計処理を適時適切に実施するための人員補強等
経理部担当責任者及び担当者が連結キャッシュ・フロー計算書の作成のための項目が組み込まれた外部セミナーの受講を行っていることを確認し、経理に関する能力・知識の不足への対応が行われていることを確認しました。
上記の整備した手順書に基づき、各連結子会社が実施した連結キャッシュ・フロー計算書の作成のための増減取引に関する確認内容について、公認会計士資格を有する社員を含めた複数人によるチェックを実施しました。その結果生じた要確認事項について、必要に応じて連結子会社担当者への質問等のフォローアップを実施する等、適正な内部統制の運用が行われたことを確認し、重要な虚偽記載の発生を防止しました。
該当事項はありません。