文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、経営理念として、
1.お客様に喜ばれる商品を創造し、豊かな社会づくりに貢献する
2.個性とチャレンジ精神を尊重し、若さと夢あふれた企業をめざす
3.社会の一員として、法と倫理を遵守し自然・地域と共生する企業をめざす
を掲げ、お客様の期待に応える商品の提供を通じて、企業価値を増大し、株主の皆様を始めとしたステークホルダーの方々に貢献していきます。2024年5月には、私たちがめざすべき将来像として、改めて会社としての志・存在意義のパーパス「『技術の進化』と『人』をつなぎ、感動をかたちに」、志を実現するための取組であるビジョン「安全・安心で豊かな社会の実現に貢献」、当社グループ社員が共有する価値観・行動指針のバリュー「東海理化グループ『考動宣言』」を明確にしました。
(2) 経営戦略等
当社グループは、中期経営計画を掲げ、更なる成長のための経営体質強化を図っています。
2024年5月には、以下の構成で中期経営計画の一環としての成長戦略を発表しました。
1.東海理化が目指す将来像:パーパス/ビジョン/バリュー
2.将来像実現に向けた挑戦:社会の“モノ”や“コト”へ事業の幅を拡大
3.カーボンニュートラル戦略の推進:持続可能な社会の実現に向け、新技術導入、地域連携
2024年8月には、中期経営計画を反映した全社年度方針を一言で表し、個人の成長が会社の未来に繋がると考え、「『健康・考動・笑顔』で未来を創ろう!!」をスローガンに掲げ、グループ一丸となって成長戦略を推進しています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等と今後の取組
(世界経済)
地政学リスクのさらなる高まりに加え、米国新政権発足によりサプライチェーンの再構築や生産体制・調達システムの見直しが迫られる可能性があり、世界成長率は下振れが予想されます。
(自動車業界)
自動車業界におきましては、インドの安定成長はあるものの、中国市場の成長鈍化と競争の激化、ASEAN諸国全体における経済低迷が懸念されるなど、自動車市場の成長は鈍化しております。
(今後の取組)
2024年5月に会社としての志・存在意義のPurpose、志を実現するための取組であるVision、当社社員が共有する価値観・行動指針のValueを明確にいたしました。未来に向けて、より良い社会の実現と当社の更なる成長の両立を目指し取り組んでおります。
①新たなビジネス領域への挑戦の加速
「新しいビジネスチャンスや成長領域の創出」及び「組織全体のイノベーション促進」に向けて、従来の組織の枠組みにとらわれない異なるスキル・知識・視点をもつメンバーで構成される「共創型チーム」を発足しました。これにより、部門間の壁をなくし、迅速な意思決定と高い生産性を実現いたします。
②未来創造投資
新技術・新領域への挑戦を加速させ、当社の未来を創造するために、「未来創造投資」を進めております。「未来創造投資」として、株式会社名城ナノカーボンと資本業務提携を開始し、同社の保有する高品質なカーボンナノチューブの製造技術と、当社が車載部品で培ってきた製品開発力・量産マネジメント力を活かし、糸状のカーボンナノチューブを用いた熱電変換素子などの商品の企画・開発・生産を行い、それらを早期に事業化し自動車、宇宙など様々な分野への販売活動を行います。
また、リチウムイオンバッテリーの性能を向上させる革新的技術を保有する名古屋大学発ベンチャー NU-Rei株式会社へ出資し、蓄電池事業の拡大を進めてまいります。
当社グループは、人に優しい、人に寄り添う製品・サービスを提供することにより、「豊かな社会づくりに貢献」する会社を目指すことで、企業価値の向上に努めてまいります。
(1)考え方
当社グループは2020年12月にマテリアリティを以下のようなプロセスで策定し、取締役会にて決議しました。
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プロセス |
内容 |
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STEP1 |
GRIスタンダード32項目と当社独自の2項目、合計34項目について当社にとっての重要度の観点から社内関係部署にヒアリングし点数化(3段階評価) |
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STEP2 |
外部評価機関が着目する課題とベンチマーク4社がマテリアリティとしている項目の会社数を加点し、3段階に層別(第三者機関にて評価) |
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STEP3 |
当社にとっての重要度とステークホルダーの関心度が「特に高い領域」に位置する項目を最重要視すべき課題と判定 |
|
STEP4 |
5つの重要テーマと重要課題15項目を決定(2024年9月に見直し、取締役会決議を経て11項目に変更) |
(2020年12月策定時と2024年9月見直し時のマテリアリティの変化)
生物多様性への取り組み、コーポレート・ガバナンス、全社CSR体制の再構築が外れ、人権尊重が追加
策定されたマテリアリティを反映し、2021年5月に経営に社会課題の解決を取り込む「将来の成長に向けて
(SDGs経営)」を発表し、全社年度方針とSDGsの目標との関連付けを始めました。2022年5月にはその考えに基づく「中期経営計画」を発表し、サステナビリティ推進と経営を別々ではなく、同期させて進めてまいります。
(2)ガバナンス
当社グループは取締役会が経営の最高意思決定機関であり、業務執行を監督しています。
なお、取締役会の構成員が必要なスキル及びコンピテンシーを保有していることは、51ページの
経営会議が業務執行の意思決定、伝達機関であり、業務執行の中でサステナビリティに関連する議題を取り上げることがあり、取締役会への付議又は報告をします。
コンプライアンス委員会では公正な取引(腐敗防止・反競争的行為)などを、全社環境委員会では気候変動への対応、持続可能な資源利用などマテリアリティを中心とした個別テーマを扱い、年に2回取締役会に定期的に報告し指示を受けています。(全社環境委員会は2025年度より実施)
「サステナビリティ推進と経営の同期」をさらに推進する目的で、2025年5月には代表取締役社長を議長とし、執行役員、監査役及び外部有識者としての知見を活かすため社外取締役で構成されるサステナビリティ委員会を設置しております。
①サステナビリティガバナンス体制図
②サステナビリティ関連委員会の概要
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組織体 |
構成員 |
役割 |
開催頻度 |
事務局 |
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サステナビリティ委員会 (2025年5月~) |
・代表取締役社長(委員長) ・代表取締役副社長(副委員長) ・執行役員 ・監査役 ・社外取締役 |
・サステナビリティ経営の提言・提案 ・マテリアリティの検討 ・リスクと機会の検討 ・開示内容の検討 |
年4回 |
総務部 |
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コンプライアンス委員会 |
・代表取締役社長(委員長) ・執行役員 ・監査役(オブザーバー参加) ・必要と認められる者(本部長、センター長等) |
・基本方針の審議 ・社員行動指針等の審議 ・取組に関する審議・承認 ・活動状況の評価 ・重大な違反への対応方針・対応策の審議・決定 |
年2回(必要あるときは随時) |
総務部 |
|
全社環境委員会 |
・代表取締役社長(委員長) ・代表取締役副社長(副委員長) ・製品環境委員会委員長、副委員長 ・生産環境委員会委員長、副委員長 ・グリーン調達委員会委員長 ・各地区委員会委員長 |
・環境方針、中長期目標の決定 ・重要な変化点への対応方針の決定 ・EMS(環境マネジメントシステム)の有効性に対するレビュー |
年2回 |
カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー戦略推進室 |
③サステナビリティに関する取締役会報告内容:2024年度
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開催時期 |
議題 |
内容 |
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毎月 |
健康経営指標(KPI) |
今年度より導入の「健康方針」KPIに対する実績報告 |
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2024年4月 |
コンプライアンス委員会開催報告の件 |
左記委員会開催内容の報告 |
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2024年5月 |
カーボンニュートラル戦略費用の件 |
全社戦略費用の包括決議 |
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2024年9月 |
マテリアリティ見直しの件 |
2020年12月に策定したマテリアリティ見直し |
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2024年10月 |
コンプライアンス委員会開催報告の件 |
左記委員会開催内容の報告 |
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2024年11月 |
統合レポート発行の件 |
11月に発行した統合レポート内容の最終報告 |
(3)戦略
マテリアリティのうち、2022年5月に策定した中期経営計画に影響のあるものに対し、リスク及び機会、指標と目標を管理・監督しています。
<マテリアリティ及び中期経営計画での対応項目>
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マテリアリティ |
中期経営計画での対応項目 |
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社会課題型商品開発 |
Ⅰ.事業戦略の推進・新規事業戦略 |
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顧客の安全・品質保証 |
[品質]安心安全でお客さまに選び続けられる品質 |
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健康と安全 |
[安全]安全で健康にいきいきと働ける職場 |
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ダイバーシティ&インクルージョン |
Ⅱ.経営基盤の強化・人財育成 |
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人財育成 |
|
|
気候変動への対応 |
Ⅱ.経営基盤の強化・カーボンニュートラル戦略 |
|
公正な取引(腐敗防止・反競争的行為) |
Ⅱ.経営基盤の強化・不正防止の取組 |
(4)リスク管理及び指数と目標
当社グループは、マテリアリティに対してリスクと機会を評価し、指数及び目標を設定のうえ取締役会が管理・監督しています。
この指数及び目標は中期経営計画にも反映され、2024年5月に取締役会で承認されました。
事業全体のリスクは22ページの「
<リスクと機会及び目標>
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マテリアリティ |
リスク |
機会 |
2030年度指数及び目標 |
|
社会課題型商品開発 |
・競争力の低下 |
・既存事業の枠組みを超えた価値創造 |
2030年売上150億円に向けた ・デジタルキーを中心としたクラウドビジネス基盤の開発と販売活動の強化 ・消費者向け商品の開発と販売活動の強化 |
|
顧客の安全・品質保証 |
・お客さまへの被害 ・生産性の低下 |
・お客さまの信頼獲得 |
・既販車処置:0件 ・納入不良(法規・機能) :0件 ・重大インシデント:0件 |
|
健康と安全 |
・社員のモチベーション低下 ・人材確保困難 |
・優秀な人材の育成・確保 |
(5)人的資本に関する考え方 参照 |
|
ダイバーシティ&インクルージョン |
・画一的な思考・判断がもたらすリスクの発生 |
・社員全員活躍 ・イノベーションの促進 |
|
|
人財育成 |
・次世代を担う人材の枯渇 |
・持続可能な成長 |
|
|
気候変動への対応 |
(6)気候変動への対応参照 |
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公正な取引(腐敗防止・反競争的行為) |
・権力と地位の濫用への加担 ・不健全な市場の助長 |
・健全な官民・民民の交流を促進 ・公正な自由競争市場の 確立 |
・公務員等との会食や協業案件等について、全件事前の法的確認による違反案件0の継続 |
(5)人的資本に関する考え方
当社は、2024年5月に発表した成長戦略を踏まえた人的資本経営に取り組み、持続的な成長を実現するため、多様な個を活かし合い、挑戦を通じて新たな価値を創造する環境・人財づくりを目指します。
①健康と安全(健康経営の取組)
当社では、健康経営のより一層の推進を図るため健康方針を策定し、「社員が自ら健康維持・増進に努める(自己保健義務)」と「社員が心身ともに健康かつ安全に働けるための配慮をする(安全配慮義務)」の両輪で健康活動を推進しています。社員一人ひとりが主体的に健康づくりに取り組み、心身ともに健康でいきいきと働き続けることができる会社の実現を通じて、社員やその家族の心身の健康リスクの低減と、会社における生産性の向上を目指しています。具体的には、社員の筋肉量アップと体脂肪量のダウンを通じて、社員の健康増進をはかる「TR InBodyチャレンジ」を開催し、毎年個人や部署単位での表彰制度を設けています。また、社員・ご家族に悲しい思いをさせないため、疾病の早期発見・早期治療を目的に新社内定期健康診断(がん検診含む)、節目人間ドック、脳血管検査を受診することで「適切な時期に必要な健康診断・がん検診の受診100%」を目指しています。また「異常を指摘された場合の精密検査受診率100%」も実現します。これらの取組が評価され、2020年から6年連続で「健康経営優良法人」に選定されています。
②ダイバーシティ&インクルージョン
a.女性の活躍支援
当社では、ジェンダー、ジェネレーション、ハンディキャップ、ナショナリティなどに関わらず、意欲をもった社員が活躍できる職場環境を目指しています。中でも女性社員の活躍に向けては、自身のキャリアについて考えてもらう機会として、女性の技術者や、生産部のリーダーといったカテゴリーで、異業種他社との交流会を開催しております。当社は、2022年9月には子育てサポート企業として厚生労働大臣より「プラチナくるみん」(最高位)の認定を受けています。これからも女性社員の活躍推進のみならず多様な人財の活躍を支援する取組を展開し、一人ひとりの能力と個性を輝かせ、それによって生じるシナジーを企業の持続的成長につなげていきます。
b.障がい者の活躍推進
当社は、障がいをもつ社員が活躍できる環境を醸成するため、職場の上司・同僚の障がいに対する理解を深める活動として「よこ糸会」を発足し、近隣にある特別支援学校への訪問、行政の方や専門医といった有識者による講演会や勉強会を開催してきました。また、聴覚障がい者向けの自動文字起こしツールの導入や、生産部で働く若手社員の発意による車いすライン整備を行うなど、障がい者本人に向けたハード面のサポートや働く作業環境整備についても積極的に取り組んでいます。
c.シニア社員のセカンドキャリア支援
シニア社員向けの取組としては、「自身の将来について考える風土を醸成する」を主眼に、すでに会社を退職され、セカンドライフを送っているOBの方々に当社で得た経験や現在の生活、自身の人生観などについてインタビューを行うなどして、現役社員自らが人生100年時代の生き方についてイメージできる取組を続けています。50歳という節目には、自身の健康、資産運用、仕事などについて考える機会を提供することを目的に「50代から考える幸せライフセミナー」を開催しています。
③人財育成
<キャリア自律支援>
当社では、東海理化の人財として価値を提供し続けるための仕組みを整備し、提供をしています。具体的には、社内外の多様な機会を提供する他、経営・マネジメント・専門などのキャリア志向に合った成長をオンデマンド教育や異業種交流会などの場を通じて後押ししています。
a.キャリア面談の強化
社員自身がこの先どうなりたいかを考える機会を提供するため、キャリアデザインシートの項目を見直し、キャリア自律支援で重要な役割を担う面談者(職場上司)を対象に毎年説明会を開催し、部下の成長につなげる面談のやり方やフィードバックの仕方について教育を行っています。
b.異動希望のある社員の育成計画
3年連続で異動希望のある社員を抽出し、各部署で育成計画を立案。その育成計画に基づいた、異動を提供できる仕組みを導入しています。
c.異業種交流会
社内の知と経験のダイバーシティを高め、文化の継承と新たな文化が生まれる風土づくりを促進するため、異業種交流の機会をさまざまな形で提供しています。他社との合同セミナー、ワークショップ、リーダー講演会などを通じて自社にない考え方を獲得するとともに、自社の枠を超える体験をスキルアップや行動変革につなげてもらうための育成的出向の取組もスタートしています。
d.オンデマンド教育
社員のキャリア自律に向け、必要な知識やスキルを身に付ける機会としてオンデマンド教育の導入を決定しました。教育を受けられる対象者は全社員とし、その内約10%の社員がこの制度を利用しています。
<人財の確保・育成>
a.次世代リーダー育成
当社の成長戦略に必要な人財の確保・育成に向けて、重要ポストである次世代のセンター長・本部長、次期幹部職候補者、部門長・国内外の拠点長候補者を特定し、可視化するとともに早期育成に取り組んでいきます。特定した候補人財を対象とした育成プログラムを導入し、実践的な知識やスキルを身に付けるだけでなく、リーダーシップの考え方や価値観醸成を図ります。
b.リスキリングプログラムによるソフトウエア人財の育成
ソフトウエアスキルの獲得意向がある社員に対し、エレクトロニクスの知識や経験のレベルに応じて、6ヶ月間のソフト基礎教育、5ヶ月間のソフト専門教育プログラムを経て、2025年3月末時点で、新たに71名がソフトウエア人財として活躍しています。
c.東海理化学園でのソフトウエアエンジニアリングコース新設
ソフト人財の育成を目的として、ソフトウエアエンジニアリングコースを新設し、2025年度からの開校と初年度は8名の受け入れを実現しました。当コースの指導者の育成、1,760時間にも及ぶ教育カリキュラムの策定、指導体制づくりなどの準備を進め、事業の推進・拡大に必要なスキルの教育と実践を通じて、ソフトエンジニアを育成しています。
上記の戦略に関する指標、目標及び実績は次のとおりです。
|
指標 |
2023年度 |
2024年度 |
目標 |
主な施策 |
|
|
健康と安全(健康経営の取組) |
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4.0% |
|
( |
・二次検査(医療機関)100%受診 |
|
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22.4% |
|
( |
・健康イベント開催 ・講演会開催 |
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|
28.4% |
|
( |
・InBodyイベント実施 ・食事改善指導 |
|
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ダイバーシティ&インクルージョン |
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1.9% |
|
( |
・女性の技術者、生産現場リーダーの異業種交流開催 |
|
|
2.3% |
|
( |
・働く作業環境整備 |
|
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人財育成(キャリア自律支援) |
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68.4% |
|
( |
・キャリア面談強化 ・異動希望のある社員の育成計画 |
|
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14.6% [981名] |
7.6% [ |
30% ( |
・他社との合同セミナー開催 ・異業種交流ワークショップ開催 |
|
|
|
実績なし |
|
( |
・ライン長向け研修 ・オンデマンド教育 |
|
|
人財育成(人材の確保・育成) |
|
60名 |
|
( |
・社内公募 ・ソフトウエア教育 |
|
|
実績なし |
実績なし |
( |
・ソフトエンジニアリングコース立上げ ・配属確約採用 |
|
(注)1 上記の戦略に関する指標、目標及び実績については、提出会社を対象範囲としているため、連結子会社は含んでおりません。まずは提出会社において人的資本の戦略に関する取組を実践し、実績を積み重ね、その後、連結子会社にも同様の取組を展開してまいります。
2 「今の会社で働くことができて良かったと思う回答率」は5段階中の肯定回答である「そう思う」・「ややそう思う」を選択した社員の割合となります。
3 「チャレンジングな目標設定ができている回答率」は、2024年度から調査を開始しております。
4 「新卒コース別によるソフトウエア技術者の確保」は、2025年度に向けて取組を開始しており、2023年度、2024年度の実績はありません。
(6)気候変動への対応
当社は、気候変動への対応をマテリアリティ(重要課題)の1つとして掲げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に基づいて抽出したリスクと機会に対して、対応の方針・計画を策定することで、リスクの低減及び機会の拡大を確実に行っていきます。
a.ガバナンス
<リスクと機会に対する取締役会の監督体制>
取締役会は、カーボンニュートラル中期戦略の進捗状況について、定期的に報告を受け、レビューを実施しています。戦略実行のための予算については、年度ごとに包括決議を行い、年間の計画に対する判断・監督をしており、高額投資案件に対しては、個別に報告を受け、決議を行っています。
<リスクと機会の評価と管理における経営者の役割>
取締役社長を委員長とする全社環境委員会にて、リスク及び機会に対する対応方針となるカーボンニュートラル戦略の決定と目標・実行計画の承認、計画に対する進捗管理とレビューを行っています。
b.戦略
気候変動に対しては、移行リスク、物理リスクがそれぞれ最大となる2種類のシナリオを設定し、シナリオ分析によりリスクと機会を抽出しています。リスクに対しては、レジリエンスを強化するための取組を環境委員会にて検討し、中期計画に織り込むことで、確実かつ計画的に対応を進めていきます。これにより各シナリオで想定する社会において、東海理化の事業活動は適応できると考えています。
<シナリオの設定>
①1.5℃シナリオ
地球温暖化の抑止が社会基盤となり、温室効果ガス排出抑制・再生可能エネルギー関連の政策や、技術革新・インフラ整備により脱炭素化が加速し、気温上昇を1.5℃以内に抑えることが実現している社会。気温上昇による物理リスクは低減されるが、規制強化やステークホルダーからのニーズの変化など、社会変化に対する対応が求められるため、移行リスクが最大となるシナリオとして設定しています。
②4℃シナリオ
地球温暖化を食い止めることができず、気温が4℃上昇してしまった社会。気温の上昇に伴う気候変動により、集中豪雨・台風の発生回数増加や強度増大などの自然災害による急性リスク増加や、降雨パターンの変化による水不足などの慢性リスクが発生し、物理リスクが最大となるシナリオとして設定しています。
<リスクと機会>
|
種類 |
短期・中期・長期のリスクと機会 |
事業・戦略・財務に及ぼす影響 |
||||
|
区分 |
説明 |
時間軸 |
可能性 |
影響額 |
||
|
移行 (1.5℃) |
規制 |
リスク |
炭素税の導入による操業費用の増加 |
中期 |
大 |
10億円 |
|
機会 |
温室効果ガスの削減によるコスト低減(炭素税、電力料金等) |
中期 |
― |
15億円 |
||
|
評判 |
リスク |
脱炭素化を目指さないことによる、お客さまからの取引解消 |
長期 |
大 |
200億円 |
|
|
機会 |
カーボンニュートラル対応の情報開示による資金調達の安定化 |
長期 |
― |
― |
||
|
技術 |
リスク |
低炭素化へ向けた材料変更による、材料コストの増加 |
長期 |
中 |
50億円 |
|
|
機会 |
低CO2製品開発による受注拡大 |
長期 |
― |
10億円 |
||
|
物理 (4℃) |
急性 |
リスク |
自然災害の激甚化による |
長期 |
中 |
100億円 |
|
慢性 |
リスク |
平均気温の上昇による空調コストの増加 |
長期 |
大 |
1億円 |
|
|
リスク |
降水量の変化による水供給不足 |
長期 |
小 |
30億円 |
||
(注) 時間軸は、短期を5年未満、中期を5~10年未満、長期を10年以上としています。
<レジリエンス強化の取組>
|
リスク |
レジリエンス強化の取組 |
|
炭素税の導入による操業費用の増加 |
・省エネの徹底、温室効果ガスの代替化による工場CO2排出量の低減 ・再エネの導入拡大による、再エネ率向上 ・物流効率改善、FCV導入による輸送CO2排出量低減 |
|
脱炭素化を目指さないことによる、 お客さまからの取引解消 |
・中長期戦略の策定と開示 ・仕入先との連携強化 |
|
低炭素化へ向けた材料変更による、 材料コストの増加 |
・低CO2材料の開発 |
|
自然災害の激甚化による工場操業停止、 サプライチェーン分断による売上減少 |
・事業継続計画(BCP)の策定 |
|
平均気温の上昇による空調コストの増加 |
・空調設備のトップランナー設備への更新 |
|
降水量の変化による水供給不足 |
・製造工程の水再利用により取水量抑制 |
c.リスク管理
<リスクと機会の特定・評価プロセス>
IEA(国際エネルギー機関)Net Zero by 2050やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)RCPなどの気候変動シナリオを参考に分析を行い、リスクの特定・影響評価を行っています。影響評価は金額での定量化に努め、財務に対する影響の把握を行っています。
<リスクと機会の管理プロセス>
特定したリスクと機会に対しては、具体的な対応と目標を環境取組の対応方針・計画に織り込み、進捗管理を行っています。また、リスクと機会は、最新のシナリオや社会動向により定期的に評価の見直しを行い、評価制度の向上を図ることとしています。
<組織全体のリスク管理への統合・伝達状況>
組織全体のマテリアリティ分析では、社会の土台である自然環境の保全を分析項目として取り上げ、その中から「気候変動への対応」を重要課題として特定しています。そして、全社年度方針では、6つの経営の柱の1つとして環境経営を位置づけており、その中で課題に対する取組としてカーボンニュートラルの実現を挙げています。全社年度方針の下位にあるカーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー方針では、カーボンニュートラルの実現のための、より具体的な取組とKPIを定めています。
d.指標と目標
<中期KPI:カーボンニュートラル戦略2030>
|
KPI |
対象 |
基準年 |
2030年目標 |
|
SCOPE1,2 |
連結 |
2013 |
▲60%以上 |
|
再エネ率 |
連結 |
- |
25%以上 |
|
製品CO2 |
単独 |
2013 |
▲10%以上 (2040年▲30%以上) |
|
主要仕入先のエネCO2 |
単独 |
2020 |
▲30%以上 |
<SCOPE1,2 低減シナリオ>
<短期KPIと実績:第7次環境取組プラン(~2025年度)>
|
KPI |
対象 |
2025年度目標 |
2024年度 |
||
|
基準年 |
目標 |
目標 |
実績 |
||
|
工場CO2排出量 [エネルギー起源] (t-CO2) |
連結 |
2013 |
97,920以下(▲25%) |
102,882以下 |
96,600 |
|
単独 |
2013 |
42,320以下(▲25%) |
43,495以下 |
38,332 |
|
|
再エネ率(%) |
連結 |
- |
15%以上 |
12.8以上 |
18.8 |
|
輸送CO2排出量(t-CO2) |
単独 |
2013 |
2,831以下(▲12%) |
2,863以下 |
2,829 |
|
取水量(千㎥) |
単独 |
2019 |
551以下(基準年実績以下) |
551以下 |
464 |
<温室効果ガス排出量(連結)> 単位:t-CO2
|
区分 |
2023年度 |
2024年度 |
|
|
SCOPE1 |
自らによる直接排出 |
|
|
|
SCOPE2 |
他社からの電気等の供給に伴う間接排出 |
|
|
|
SCOPE3(上流) |
事業活動に関する他社の排出量 |
|
|
|
CATEGORY1 |
購入した製品・サービス |
1,324,065 |
1,267,551 |
|
CATEGORY2 |
資本財 |
80,847 |
115,925 |
|
CATEGORY3 |
SCOPE1,2に含まれない燃料 |
12,703 |
12,968 |
|
CATEGORY4 |
輸送・配送(上流) |
50,786 |
49,068 |
|
CATEGORY5 |
事業から出る廃棄物 |
497 |
405 |
|
CATEGORY6 |
社員の出張 |
2,743 |
3,327 |
|
CATEGORY7 |
社員の通勤 |
22,897 |
10,603 |
|
CATEGORY8 |
リース資産(上流) |
SCOPE1,2に含まれる |
|
|
合計 |
1,713,751 |
1,625,744 |
|
<SCOPE1,2算定の基準>
温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルver5.0、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインver2.6、同算定のための排出原単位データベースver3.4、LCIデータベースIDEA ver3.3を用いて算定しています。算定範囲は支配力基準に基づく連結とし、CO2の排出係数は、日本国内拠点はマーケット基準、海外拠点はロケーション基準を採用しています。そして、信頼性のあるデータ開示を行うためSGSジャパン株式会社による第三者保証を受けております。
当社グループではリスクを「会社運営・業績・株価などに重大な影響を及ぼす可能性のある事項」と捉え、「経営の基本方針」、「中期的な経営方針・対処すべき課題」を遂行する上で取り組むべき課題として認識しております。
当社グループの業績は自動車の販売台数に依存しておりますが、自動車業界を取り巻く環境はクルマの在り方の変化、着実な電気自動車需要の増加により、当社グループの新製品開発へも大きな影響を与えております。従って、対応次第では大きなリスクにもなります。
また、品質に関しては当社グループとして最優先で取り組んでおります。リコール等の品質問題は業績への影響のみならず、お客様の信頼にも大きな影響を与えます。さらに、「環境変化に耐えられる柔軟かつ強固な経営基盤の確立」を目指すうえで、事業継続計画(BCP)へのリスク認識は不可欠で、減災活動、生産復旧活動、電子部品の安定供給など、当社グループのみならず仕入先も含めたリスク対応を実施しております。
当社グループは、以上のような項目を中心に重要なリスクを識別し、対策を検討しております。なお、文中の将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)自動車産業及び、主要客先への販売依存
当社グループの製品は、主としてHMI製品、スマートシステム、シートベルト、シフトレバー等の自動車部品であり、当社グループ製品の販売実績は自動車の販売台数に大きく依存しております。従いまして、直近での米国の関税政策のような完成車メーカーの生産動向に直接的な影響を与える事象は当社グループへも大きな影響を与えます。
また、主要客先であるトヨタ自動車株式会社、及びトヨタグループ(関連会社含む)への売上高比率は74%と比較的高い水準になっており、当社グループの経営成績はトヨタ自動車株式会社の生産動向の影響を大きく受けております。
更なる成長に向け、各拠点にて他の完成車メーカーへの拡販活動を継続し、当社グループ製品の搭載は拡大しております。
(2)新製品開発
自動車業界は100年に一度の大変革期を迎え、クルマの変化・使われ方を見据えた製品企画・技術開発が必要となります。特にクルマの自動化・電動化の進捗は既存の製品やビジネスモデルを大きく変える可能性があり、当社グループにとってその遅れは既存・新規ビジネスの機会を逸する事になり、当社の経営成績に影響を及ぼします。
このような環境のなか、既存事業においては車両室内空間の有効利用と操作性、意匠性に優れるシフトバイワイヤシフターは、自動運転や自動駐車機能との相性もよく、様々なタイプの開発を進めています。自動運転向けでは、路線バス車内での転倒などの事故防止をはじめとした自動運転社会の実装に向けた画像認識システムの実用化に向けた共同検証を行っております。
また、デジタルキー分野では社用車管理システム「Bqey(ビーキー)」を提供する当社と、モビリティの遠隔起動制御技術を持つ Global Mobility Service株式会社、それぞれと協業関係にある大日本印刷株式会社が、アルコールチェックと車両の起動システムを連携させた「飲んだらエンジンがかからない仕組み」を実現し、社用車向けにアルコール・インターロック機能の提供を開始しました。
(3)競争の激化
自動車業界の再編や、自動化・電動化に伴い当社グループの事業領域への他業種からの新規参入により競争が激化しております。
当社グループでは、新製品開発による競争力強化に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進による開発、生産準備のリードタイム短縮や間接部門業務プロセスの改善、更には国内外の生産体制再編による競争力強化に取り組んでおります。
(4)海外進出に内在するリスク
当社グループは海外12か国31拠点に生産及び営業拠点を構え、当社グループの事業活動における海外比率は年々高まっております。これら海外市場、特に新興国には法令・規制の変化、その他要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブルの発生リスクが内在しております。従って、政治又は法環境の変化、労働力不足、ストライキ等、予期せぬ事象により当社の事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
当社グループとしては、現地での法律・規制・租税制度等に関する動向を海外拠点スタッフの情報網に加え、外部コンサルタント等を積極的に活用する事で適時適切に入手し対応するように努めております。
(5)リコール等の品質問題
当社グループは品質第一を基本的な考え方として各種製品を製造しておりますが、将来においてリコールや製造物責任が発生する可能性があります。また、自動車業界における部品の共通化は効率化、取引拡大の機会となる反面、品質不具合が発生した際に影響を受ける対象が拡大するため、多額のコストが発生する可能性があります。
その対応として、①リコールフリー必達に向けた品質確保、②品質の東海理化を支える基盤強化、③新事業のお客様満足の向上、を柱に品質向上活動を行っており、2025年頃「お客様に選び続けられる東海理化」、2030年頃「お客様にとって無くてはならない東海理化」を目指した活動を推進しております。
(6)自然災害等による影響と事業継続計画
地震・台風・洪水などの自然災害、又は感染症等により企業活動・生産活動が停止する可能性があります。さらに災害への備えが不十分な場合、甚大な被害をおよぼし生産活動に大きな支障をきたし、生産停止からの復旧が遅れるなどの可能性があります。対策として、減災対応の強化や社員の災害対応力向上のために初動対応訓練を実施することで災害リスクの軽減を図るように努めています。また、大規模自然災害や感染症等の発生を想定した生産復旧訓練による全社BCP(事業継続計画)の強化をはじめ、BCP用電子部品の在庫積み増し、有事の際の外製移行といった代替シミュレーションを実施しております。
(7)仕入先への供給依存
当社グループの生産は仕入先からの原材料や部品の供給に依存しております。当社グループは供給元と取引基本契約を結び、原材料や部品の安定的な取引を前提としておりますが、事故・災害により仕入先の操業が不安定になる可能性があります。仕入先からの供給停止は当社グループの安定生産に大きな影響を与えます。また、需給逼迫等による価格の高騰や供給量不足が生じる可能性もあります。
当社グループでは、事業継続性の観点からリスクの高い供給元の特定を行い、対象となる仕入先において在庫管理、工程管理、生産管理が適切に行われているかを確認するとともに課題を共有し、仕入先ごとに改善計画を策定しております。
(8)情報セキュリティ
企業や組織、生産システムの情報のデータ化促進に伴い、情報資産の最適活用が重要になっております。また、組織内において情報の共有化のみならず提供・収集が電子的に行われる事が一般的になっており、扱われる情報が高密度なものになっております。このような環境下においては機密情報や個人情報が外部流出し、事業活動が一時的に停止する可能性があります。
対策として、情報セキュリティポリシーを策定し、3大要素であるCIA「機密性(Confidentiality)」、「完全性(Integrity)」、「可用性(Availability)」の確立に向けて活動を進めております。
また、有事の際の影響を最小限に抑えるため、子会社を含めた初動体制整備を進めるとともに、特定の企業や組織を狙った「標的型攻撃」への教育訓練の実施等で社員の情報セキュリティ意識の向上に努めております。
(9)気候変動対応
気候変動がもたらすリスクは、製品の開発設計から調達・生産・物流・販売まで、企業活動全般に渡って存在しており、異常気象による災害リスクがもたらす生産影響、規制強化によるコスト増等は企業活動を停滞させる恐れがあります。
当社グループでは「カーボンニュートラル戦略2030」を策定しCO2削減の様々な取組を推進しています。生産戦略では温室効果ガスの代替化、既存生産技術の改善、革新生産技術の開発導入、再生可能エネルギーの利用拡大により工場CO2を2030年までに60%以上削減(2013年度比)し、先行して本社・本社工場ではカーボンニュートラルの実現にチャレンジしています。
加えて、環境情報の開示に関してはCDPによる気候変動質問書への回答を通じて環境情報を開示しています。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)最終提言に沿った取組を推進しています。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (6)気候変動への対応」をご参照ください。
(10)法令への適合
当社グループは事業の遂行にあたり各国の法的規制の適用を受けております。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける可能性があります。訴訟及び規制当局法的手続きの当事者になる事で和解金及び罰金等の費用が発生し、業績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループではコンプライアンス委員会を設置しております。また、法令主管部署及び各部にコンプライアンス管理責任者・担当者を設置し職場に適した活動やコンプライアンス相談窓口の設置とその適切な対応を継続的に行う事が出来るように取り組んでおります。
(11)知的財産管理
当社グループは知的財産に関し、当社技術の保護及び他社権利の侵害防止などの取組を強化しておりますが、当社グループ製品には多くの技術が使われているため、知的財産が理由で係争や訴訟に巻き込まれたり、第三者から思いがけない指摘を受けたりすることによって当社グループの不利益につながる可能性があります。
対策としては、当社製品に採用される技術を特許出願により確実に保護するとともに、他社による権利侵害が持続しないように対処しております。また、技術開発・製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。
(12)為替変動の影響
当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度60%となっております。当社グループの経営成績は為替変動により重要な影響を受ける可能性があります。当社グループでは一部の外貨建輸出債権を対象とした為替予約によるリスクヘッジを実施し影響を最小限にするよう取り組んでおります。
(13)退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上の前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14)人権
当社グループは「社会の一員として、法と倫理を遵守し自然・地域と共生する企業」を理念とし、全ての事業活動において人権尊重の重要性を認識しておりますが、当社グループの事業活動が各国・各地域において潜在的又は実際に、人権への影響を及ぼすリスクがあると認識しております。これらのリスクの顕在化や取組不足によっては、社会的信用の失墜により、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは「東海理化グループ人権方針」に基づいた人権デューデリジェンスとして、事業活動における人権への負の影響の特定・評価を行い、評価結果に基づく適切な対応策、モニタリング、及び情報開示に取り組んでおります。また、人権を尊重した持続的な事業活動の実現に向けて、社内外のステークホルダーとの対話を通じて、自社の活動にフィードバックしています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経済状況)
当連結会計年度における世界経済は、金融政策の転換などを背景に、底堅い成長を維持しつつも不確実性が高い状況が続いております。
(自動車業界)
自動車業界におきましては、インドの安定成長はあるものの、中国市場の成長鈍化と競争の激化、ASEAN諸国全体における経済低迷が懸念されるなど、自動車市場の成長は鈍化しております。
(取組)
当社グループでは、「安心、安全そして心と体の健康に主軸を置いた施策の実行」、「お客様に選び続けられる品質の確保」、「カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの先駆者的、先進的推進」、「株価、配当を中心に株主が株主であり続けてくれる資本政策の実施」、「人的資本経営の推進」、「当社の未来を創造する経営」を年度方針に掲げ、グループ一丸となって継続的に取り組んでまいりました。
主なトピックスは、以下のとおりです。
<既存製品>
主にヒューマン・インタフェースシステムなどの拡販による既存事業の拡大へ貢献しました。
また、新開発の金属調塗装によりアルミホイールと遜色ない高い意匠性、質感を樹脂で実現した「ホイールフルオーナメント(WFO)」が、車両の空力性能向上や軽量化に貢献しアルミホイールの標準化による種類削減に寄与する点を評価され、トヨタ自動車株式会社から「技術開発 最優秀賞」を受賞しました。さらに、従来の技術を活かし開発した、大型車のタイヤ脱落の予兆を検知するシステム「天護風雷(てんごふうらい)」が、国土交通省の実施する「大型車の車輪脱落事故防止(ハード対策)の実証調査」に採用されました。今後、タイヤ脱落事故の撲滅に向け、トラックを取り扱う会社への搭載提案を進めてまいります。
<新規事業>
社用車管理システム「Bqey(ビーキー)」を提供する当社と、モビリティの遠隔起動制御技術を持つ Global Mobility Service株式会社、それぞれと協業関係にある大日本印刷株式会社が、アルコールチェックと車両の起動システムを連携させた「飲んだらエンジンがかからない仕組み」を実現し、社用車向けにアルコール・インターロック機能の提供を開始しました。管理業務の負担が軽減できるだけでなく、アルコールチェックの徹底により交通事故を未然に防ぎ、人々が安全・安心に暮らせる社会の実現を目指します。
<新工場>
放置竹林の活用や、雇用創出による地域貢献を目指し、竹繊維を50%以上含むバイオマス複合材料「BAMBOO+(バンブープラス)」の生産開始に向け、高知県香南市に新たに工場を取得しました。
東北地方でのビジネス拡大、モノづくりによる地域貢献を目的として設立した当社子会社の株式会社東海理化トウホクでは、照合ECU及びシフトバイワイヤシフターの供給を開始しました。また、横手市の各イベントに参加し盛り上げるなど、地域に根ざした会社となるべく取り組んでおります。
海外では、今後の経済・自動車市場の成長が見込まれているインドにある当社子会社のトウカイリカ ミンダ インディア株式会社の新工場でシフトレバーの供給を開始し、取引拡大に向けた取組を積極的に進めております。
<新棟建設>
本社敷地内において、働き方改革の一環として共創とモノづくりを融合する「新技術開発棟」の建築を決定し、2027年竣工を目指して準備を進めております。従来、異なる場所で行っていた業務を集約し、仕事の案件ごとに同じ場所で議論し合える環境を作り、新製品の投入スピードをより早めるとともに、より良い働き方を実現し、未来につなげてまいります。
<健康経営>
6年連続で、当社は、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選定されました。2024年度より全社年度方針に「健康方針」を掲げ、健康管理意識の向上と生活習慣改善へのサポート体制を充実させました。社員が笑顔で元気に働くことができる会社づくりに日々取り組んでおります。
<TR SPORTS>
硬式野球部が2年連続で都市対抗野球に出場しました。現地及びパブリックビューイングで社員一丸となり応援し、社内の一体感の醸成につながりました。
また、パリ2024パラリンピックでは、当社所属の小田 凱人(おだ ときと)選手が、車いすテニスシングルスで史上最年少の金メダルを、ダブルスでは銀メダルを獲得しました。
<SDGs、環境・地域貢献への取組>
当社の生物多様性保全活動が評価され、愛知県が生物多様性保全に積極的に取り組む企業を認定する「あいち生物多様性優良認証企業」の認証を取得しました。
また、シートベルト端材を使ったサステナブル&アップサイクルブランド「Think Scrap(シンクスクラップ)」は、愛知県内の高校や福祉施設などとタイアップし、様々なアップサイクル製品を販売してまいりました。また、Think Scrapのペンケースとポーチが、本社所在地の愛知県丹羽郡大口町のふるさと納税の返礼品として採用されました。
<従業員向け株式報酬制度の導入>
従業員の帰属意識や経営参画意識を醸成し、当社業績や株価上昇への意識を高めることにより、中長期的な企業価値向上を図ることを目的とした従業員向け株式報酬制度を導入いたしました。
<配当方針の変更>
企業価値向上に向けた取組として、2024年5月の中期経営計画で示した株主還元の考え方に沿って配当方針を見直し、安定的な配当の継続を基本に、「株主資本配当率(DOE)3%」を目安とし、「連結配当性向」、「配当利回り」とあわせ、収益状況や財務状況などを総合的に勘案して配当額を決定することを方針としております。
(当期実績)
当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は617,660百万円と、前連結会計年度に比べ5,898百万円(△0.9%)の減収となりました。利益につきましては、連結営業利益は35,439百万円と、前連結会計年度に比べ6,617百万円(23.0%)の増益となりました。連結経常利益は34,479百万円と、前連結会計年度に比べ5,113百万円(△12.9%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は27,808百万円と、前連結会計年度に比べ2,958百万円(11.9%)の増益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
<日本>
客先生産台数の減少などにより、売上高は307,672百万円と、前連結会計年度に比べ5,485百万円(△1.8%)の減収となりました。営業損失は、合理化努力などにより、△783百万円と、品質費用のあった前連結会計年度に比べ9,036百万円の損失縮小となりました。
<北米>
円安による為替換算上の影響などにより、売上高は164,765百万円と、前連結会計年度に比べ598百万円(0.4%)の増収となりました。営業利益は、売価変動の影響などにより、8,061百万円と、前連結会計年度に比べ1,585百万円(△16.4%)の減益となりました。
<アジア>
客先生産台数の減少などにより、売上高は192,730百万円と、前連結会計年度に比べ3,109百万円(△1.6%)の減収となりました。営業利益は、売上高の減少などにより、23,964百万円と、前連結会計年度に比べ1,363百万円(△5.4%)の減益となりました。
<その他>
売上高は49,326百万円と、前連結会計年度に比べ190百万円(△0.4%)の減収となりました。営業利益は、3,495百万円と、前連結会計年度に比べ74百万円(△2.1%)の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、74,609百万円となり、前連結会計年度末より5,195百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は前連結会計年度に比べ、13,954百万円減少し、39,312百万円となりました。
これは、主に製品保証引当金の増減額が13,742百万円減少した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ、5,274百万円減少し、26,172百万円となりました。
これは、主に投資有価証券の売却による収入が6,825百万円増加した結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ、14,594百万円減少し、7,980百万円となりました。
これは、主に自己株式の取得による支出が14,756百万円減少した結果であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
246,848 |
△1.6 |
|
北米(百万円) |
164,889 |
1.7 |
|
アジア(百万円) |
158,344 |
△1.0 |
|
報告セグメント計(百万円) |
570,083 |
△0.5 |
|
その他(百万円) |
48,793 |
1.0 |
|
合計(百万円) |
618,876 |
△0.4 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、トヨタ自動車株式会社をはじめとして、各納入先より四半期ごと及び翌月の生産計画の提示を受け、当社グループ(当社及び連結子会社)の生産能力を勘案して生産計画をたて生産しております。このため、受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
246,180 |
△1.5 |
|
北米(百万円) |
164,518 |
0.5 |
|
アジア(百万円) |
158,209 |
△1.6 |
|
報告セグメント計(百万円) |
568,908 |
△1.0 |
|
その他(百万円) |
48,751 |
△0.7 |
|
合計(百万円) |
617,660 |
△0.9 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
134,196 |
21.5 |
133,547 |
21.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は617,660百万円、営業利益は35,439百万円、経常利益は34,479百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は27,808百万円となりました。
上記の他、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は74,609百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,195百万円増加いたしました。営業活動の結果獲得した資金が39,312百万円と前連結会計年度に比べ13,954百万円減少し、投資活動の結果使用した資金が26,172百万円と前連結会計年度に比べ5,274百万円減少し、財務活動の結果使用した資金が7,980百万円と前連結会計年度に比べ14,594百万円減少しております。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは現在、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は社債発行等により資金調達することとしております。当連結会計年度末において、社債の残高は10,000百万円であります。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営目標の達成状況
当社は、経営目標の達成状況を判断するための客観的指標として営業利益を用いております。目標達成のために、会社別・項目別に収益改善計画を立て、活動に取り組んでおります。2024年4月25日に公表した業績予想と比較しまして、当連結会計年度の連結営業利益は売上高の増加に加え、北米を中心に原材料等の価格高騰分の回収が進んだことなどから、12,439百万円の増益となりました。
|
|
2025年3月期 (予想) |
2025年3月期 (実績) |
増減 |
増減率(%) |
|
売上高(百万円) |
580,000 |
617,660 |
37,660 |
6.5 |
|
営業利益(百万円) |
23,000 |
35,439 |
12,439 |
54.1 |
(1)業務提携契約
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契約会社名 |
相手方の名称(国名) |
契約の内容 |
|
当社 |
豊田合成株式会社(日本) |
エアバッグ、シートベルト等を一体としたセイフティシステムの開発、設計、販売及び生産について豊田合成㈱と当社は提携して業務を行う。業務提携の範囲は日本国を含む全世界を適用範囲とする。 |
(2)共同経営契約
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契約会社名 |
相手方の名称(国名) |
契約の内容 |
契約期間 |
|
当社 |
豊田通商株式会社(日本) PT.TOYOTA TSUSHO INDONESIA (インドネシア) |
自動車用スイッチ、キーセット及びステアリングロック等の製造及び販売に関するトウカイリカインドネシア㈱の設立並びにその事業活動 |
自 2011年5月6日 至 当事者の合意解除等により本契約が終了する日 |
|
当社 |
信昌機械廠股份有限公司(台湾) 無錫理昌科技有限公司(中国) PT.INDOSAFETY SENTOSA INDUSTRY (インドネシア) |
自動車用シートベルトの製造及び販売に関するトウカイリカセイフティインドネシア㈱の設立並びにその事業活動 |
自 2012年12月1日 至 当事者の合意解除等により本契約が終了する日 |
当社グループは、クルマの変化に伴い、自らの技術を磨き続け、常に人とクルマをつなぐ製品を提供してきました。クルマで培った「理・化・電・機」の技術を高め、人と社会・環境に役立つ製品・サービスを提供し、安全・安心で豊かな社会の実現に貢献してまいります。
主な事業領域である自動車用部品を中心に、クルマという概念から拡大した「モビリティ」の分野に対応した製品・サービスの開発を進めるとともに、クルマやモビリティ以外の分野において、技術の「進化」そして「深化」を追求することで、「モノ」だけでなく「コト」への幅を広げ、さらにはWell-Being・持続可能な社会の実現に貢献できる製品やサービスの開発に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
最近の主な取組として、透過加飾技術の採用により、色柄に制約なく綺麗な透過照明を実現するHidden techステアリングスイッチやヒーターコントロールスイッチを開発し、展開を進めています。また、ステアリングスイッチ生産でCO2排出量低減を実現する型内塗装技術を量産化しました。「ホイールフルオーナメント(WFO)」は、樹脂に金属調の塗装を行いアルミホイールに装着することで、従来と遜色ない質感を保ちつつ車両の軽量化・燃費向上を実現しました。小型化ニーズに応えた次期標準のリトラクタや、2029年のアセスメント要求に対応した乗員保護性能を高める将来のシートベルト開発にも取り組んでおり、安全・安心な社会の実現に貢献してまいります。新しい盗難対策を施したスマートキーシステム及び低価格車向けスマートキーシステムの開発と展開により、利用者への利便性を向上するサービスの開発を継続的に行っております。車両室内空間の有効利用と操作性、意匠性に優れるシフトバイワイヤシフターは、自動運転や自動駐車機能との相性もよく、様々なタイプの開発を進めています。モノづくりにおいては、量変動にフレキシブルに対応できる汎用モジュール自動組立ラインを開発し、今年度中に量産を開始します。
社会課題や人の困りごとの解決に向けた取組として、社用車管理サービス「Bqey(ビーキー)」にアルコール・インターロック機能を開発しました。アルコールチェック未実施、又はアルコールが呼気から検知された場合にエンジンを始動させないことにより「飲んだら乗れない」を実現し、飲酒運転による交通事故の撲滅に貢献していきます。また、無人レンタカーサービス「Uqey(ユーキー)」は、10都道府県にサービス範囲を拡大しています。スマホでレンタカーの利用が完結する利用者に対する利便性向上と、人手不足が深刻な事業者に対する課題解決の両軸を価値として提供するサービスの開発を継続的に行ってまいります。シートベルトの端材などを利用してSDGsに貢献するアップサイクルブランド「Think Scrap(シンクスクラップ)」では、自社製品に加えて、社外パートナーとの共創による商品群の拡充も進めております。また、大型車のタイヤ脱落事故課題に対応した脱落検知センサシステムの開発及び市場実装により、安全・安心で豊かなMobility lifeに貢献してまいります。他にも、クルマの部品を70年以上創り続ける過程で培ってきた高品質なモノづくりやコア技術による社会課題や人の困りごとを解決する取組として、ゲーミングギア市場の課題の解決と新たな価値を創造していく「ZENAIM KEYBOARD(ゼンエイムキーボード)」など、従来にないスピード感をもって新しいビジネスチャンスや成長領域の創出を目的とする「共創型チーム」を新設しました。異なる部署のスキル・知識・視点を持つメンバーが自律的に意思決定し、主体的に行動できるチームによる迅速な事業化を模索してまいります。
Well Being・持続可能な社会の実現に向けた取組として、当社の中期経営計画目標の実現と将来の成長に向けた挑戦を加速させるための「未来創造投資」を行っております。半導体関連では、ウエハ1枚から生産できるライン構築、0.35µmプロセス開発をしながら、カスタム半導体の外販に取り組んでおります。国産の竹を原料としたバイオマス複合材料「BAMBOO+(バンブープラス)」では、工場を高知県で取得、一貫製造ラインを整備し年内量産開始に向け準備を進めています。新たにエネルギー分野の取組として、温度差を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換するカーボンナノチューブを用いた熱発電技術を開発している株式会社名城ナノカーボンへ出資し、事業化を目指します。他には、従来比で容量2倍となるリチウムイオンバッテリーを開発するNU-Rei株式会社へ出資し、蓄電池システムに搭載することで蓄電池事業の拡大を進めてまいります。
これらの新たな開発を進めていくには社員がやる気になる環境をつくることも必要であり、未来創造Work Base構築企画として新技術開発棟の構築も進めており、社内外の人との交流・共創により新しい価値の創出を加速してまいります。
グローバルな技術開発体制としては、日本において先行開発や要素技術開発を行い、北米・欧州・中国の各拠点においては地域ニーズの把握、地域最適を目指した企画提案や製品開発を行っております。
このような活動による研究開発費は、日本セグメント