当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
「我々は人間性を尊重し、環境を大切にする無駄のない物づくりにより、お客様に満足を提供し、社業の発展を通して社会に貢献します」
当社グループでは、上記社是のもと、その実現に向けた活動を進めております。
活動の基軸に、当社グループ独自の統合マネジメントシステムである「∫IΣS(シムス)」を置き、企業理念とビジョンを融合させることにより、当社グループのあるべき姿を描き、その実現を目指しています。
「∫IΣS」は、NPS(※)を源流とした生産面での最大効率を追求する仕組みとなります。この活動により、QCDの不断の向上、3R(Reduce、Reuse、Recycle)活動を推進しております。
「∫IΣS」を含む全体の経営の概念としては、企業が社会の公器である上での大前提となる「企業倫理」を基盤に置き、その上で「∫IΣS」活動を推進することで、ステークホルダー各位への経済的責任を果たすと共に、「安心安全で快適な社会の実現」「持続可能な地球環境の実現」を図ってまいります。
(※)NPS(New Production System)
あらゆる無駄を排除することによって経営効率の向上を図ることを基本思想とし、市場環境の変化にも柔軟・迅速に対応して、最も効率よくモノづくりを推進するマネジメントの手法。
当社グループの経営の概念図
(2)長期経営ビジョン -10年後の指月電機グループのあるべき姿-
2018年度に、当社グループの10年後のあるべき姿を描いた長期経営ビジョンを策定、その実現に向け中期経営計画を展開しております。策定にあたっては、経営者のみならず当社グループの若手・中堅従業員で構成されたワーキングチームが中心となって創り上げたビジョンが基になっております。
長期経営ビジョンの概要
1)長期経営ビジョンの実現に向けた活動
①指月統合マネジメントシステム「∫IΣS」の効率化と進化
当社グループが長年にわたり受け継いできた経営の基本方針である「∫IΣS」の考え方を、生産体制以外の開発、営業、物流へと広げ、改善活動を実施しています。また、生産体制は顧客ニーズを基本としており、変種変量への対応や生産技術を自社保有することで、経営の効率化・進化を進め、「∫IΣS」の基本方針に掲げる、「いかなる環境の変化にも機敏に適応しうる企業体質」をより強固なものとするべく取組んでおります。
※∫IΣS基本方針:指月電機グループの限りなき存続と発展のために、各人の限りある時間と限りなき知恵を駆使して、日常業務遂行の中で創意工夫並びに改善努力を積み重ね、品質の確保と合理性を追求し、如何なる環境の変化にも機敏に適応しうる企業体質を作る。
②「知」の融合の拡大展開
長期経営ビジョンに掲げた「挑戦する社風への変革」を目指し、部門や職種の枠を超えた「知」の融合に取組んでいます。従業員一人ひとりが主体的かつ創造的に挑戦を重ね、その挑戦をこれまで以上に綿密なチームワークで支え合い、活かし合うことができるよう、柔軟で即応性の高いプロジェクトチームの立上げや、挑戦する人材を評価する人事処遇制度の運用によってその活動を支えています。
これらの活動により、グループ全体がワンチームとなり、全員主役の横断型組織を形づくることを目指しています。
2)事業領域と社会的使命
当社グループでは、「安心・安全で快適な社会の実現」「持続可能な地球環境の実現」を社会課題と認識し、その解決を図るために電気に関わる多様なシーンへの製品/システムの販売を行っております。現在の脱炭素/省エネニーズの高まりは、当社グループの目指す方向とも一致しますので、事業力の一層の強化により、社会貢献と会社の持続的成長を実現してまいります。
(3)中期経営計画
長期経営ビジョン(2019~2028年度)に基づく中期経営計画を策定し、推進しております。
第Ⅰ期(2019~2021年度)、第Ⅱ期(2022~2024年度)を通じて“成長性”については一定の成果を得ることができたと考えておりますが、収益性や企業価値の面では、達成ラインに至っていない状況にあると認識しています。
これらを踏まえ、2025年度からスタートした第Ⅲ期(2025~2028年度)では、「企業価値向上に向け 融合からシナジーへ」をテーマに掲げ、前項で述べた「知の融合」をさらに拡大展開し、全社一丸となった組織間連携、能力向上活動により、人的・物的資源の有効活用を促進し、競争力の向上と企業価値向上を目指して事業を推進してまいります。
従来は、各事業の枠組みの中で各々の業務を進めておりましたが、第Ⅲ期ではコンデンサ製品を軸にして、事業毎のメリット・デメリットを踏まえ、互いに良いところを活かし、相互に補完する運営を進めてまいります。
また、当社グループは電力系統の中でデバイスであるコンデンサと、その活用を図るパワエレ装置の技術を保有しておりますが、これまで、その連携が不十分であったと認識しており、第Ⅲ期では、コンデンサとパワエレ装置の技術の融合を図り、革新的なソリューションの構築を進め、次期中期経営計画における事業化を目指してまいります。
<中期経営計画 第Ⅲ期の基本方針>
<中期経営計画の実績と計画>
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|
実績 |
|
中期経営計画 |
|
進捗状況 |
|||
|
2018年度 |
2028年度 |
|
2019年度 |
|
2024年度 |
|||
|
成長目標 |
売上高(億円) |
217 |
380 |
|
235 |
|
273 |
|
|
収益性 |
営業利益率 |
5.1% |
8% |
|
5.0% |
|
7.3% |
|
|
当期純利益率 |
3.2% |
6% |
|
3.0% |
|
4.4% |
||
|
ROE |
3.1% |
8% |
|
3.1% |
|
5.2% |
||
|
株価 |
PBR |
0.9 |
1倍以上 |
|
0.66 |
|
0.45 |
|
|
株主還元 |
配当性向 |
52.1% |
30%以上 |
|
51.5% |
|
29.6% |
|
(4)対処すべき課題
当社グループが対処すべき課題は以下のとおりであります。
1)事業ポートフォリオ戦略
中期経営計画 第Ⅱ期まではシェアの維持・拡大を戦略の基本方針としておりましたが、これは、当社グループの対応市場においては、シェアの保有がビジネスチャンスの拡大につながるとの判断によるもので、市場規模・案件数の増大を前提とした戦略でした。
第Ⅲ期では、その後の事業環境の変化を踏まえ、あらためて当社グループの目指すべきポジションを明確にし、その達成のための課題に対して、最適な資源配分と既存資産や資源の有効活用により実現を図ることが、重要なポイントになると考えております。
xEV市場においては市場環境が混沌としてきており、第Ⅱ期後半に至っては、顧客の発注台数が当初の企画台数を大幅に下回る事態が頻発し、そのために投資回収が進まない状況が発生しております。
一方、産業市場や、電力・環境省エネ市場では、生成AI・データセンター関連や、それに伴う半導体製造関連投資の増加により電力需要自体が増加していくことで、当社グループが対応する市場領域も市場規模が拡大し、それに伴う競争の激化が想定されます。この市場の構造変化に対応するためには、技術力の向上による競争力の強化が必要となってきます。
以上を踏まえ、コンデンサ・モジュールでは、コンデンサ事業トータルでの事業効率を最大化するべく、xEV事業と産業機器事業を統合し、持続的な成長性が見込める市場へ注力することにより、収益への貢献度を高めてまいります。同時に、事業環境の変化に沿った技術の高度化を継続的に進めるとともに、製品開発に留まらず、品質向上・生産性改善も含めたモノづくり全般での対応力を強化してまいります。
また、電力機器システムでは、外部環境として脱炭素社会に向けたエネルギーミックスの変化や電力ネットワークの次世代化、次世代パワー半導体の適用が加速しています。第Ⅲ期においては、コンデンサとの機能統合を図り、エネルギーマネジメントにおける革新的なソリューションビジネスを確立し、次期中期経営計画での事業化を目指し取組んでまいります。
2)持続的成長のための体制強化
各事業における中期経営計画の達成を目指し、必要な運営体制と生産体制を確保するために、環境変化に対応可能な強靭な経営体質の構築を図ってまいります。
中期経営計画第Ⅲ期では、新規事業分野への人員確保と、生産能力の拡充が必須であり、持続的成長を目指した人材確保が必要となりますが、単なる人員確保ではなく個々人の能力向上を進めていくことが重要であり、さらに各人が持つノウハウを所属部門の枠を超えて展開することで、組織間連携をより強固なものとし、そこで生まれるシナジーが事業基盤を強化するものと考えております。
また、一方で、人員や設備増加に依存しない生産改善にも並行して取組みます。これは当社グループの経営の基本方針である∫IΣS(シムス)を拡大展開して進めてまいります。具体的には、業務効率の改善やDX化・AI導入・自働化の推進の他、ものづくり以外の業務も含めた不良の撲滅、さらに、サプライチェーンリスクへの対応に至るまで、環境変化に機敏に適応できる体制の強化を進めてまいります。
3)ROE経営の推進
業績目標については、中期経営計画第Ⅱ期で目標値の途上にある利益率、株主資本コスト上回るROEの改善が急務と認識しております。ここ数期間は、操業度の低下、部材価格の高騰等が収益力を圧迫しておりましたが、2024年度に至り、サプライチェーンにおける価格適正化や生産性改善への取組みの成果が業績値につながり始め、ROEは5.2%まで回復致しました。現状の株主資本コストは7%~8%と認識しており、これを上回る価値を創出できるよう、まずは中期経営計画第Ⅲ期の2028年度にROE8%の達成を目指し、引き続き収益改善に向けた取組を強化してまいります。
加えて、当期純利益率の改善に向けては、事業ポートフォリオの継続的な見直しと製品競争力の強化を進めてまいります。総資産回転率の向上面では、既存設備の有効活用に加え、拠点を越えた生産による設備稼働率の向上を進め、総資産の増加抑制を基本と致します。また、財務レバレッジに着目した活動として、資金効率の改善、株主様への安定配当及び配当性向30%以上を堅持しつつ、DOEを意識した配当での還元を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「人間性の尊重」と「環境を大切にする無駄のない物づくり」を社是としており、サステナビリティの側面では「脱炭素社会実現への貢献」と「人的資本の強化」を中期経営計画に掲げ、活動を推進しております。
サステナビリティ全般にわたる活動を強化しつつあり、昨今の動向を背景に、一層の拡充を図ってまいります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
①ガバナンス
執行役社長を責任者とし、経営企画部サステナビリティ推進課がリスクと機会の検証および全体活動の推進を担っております。これに連携する形で、各事業部・本部・工場・部課等がそれぞれ施策を展開しております。全体の方向性を規定する運営方針は、各年度の経営計画に織込み、策定しております。
経営企画部サステナビリティ推進課は、経営会議の場でサステナビリティに関する進捗や課題について定期的に報告を行い、全社的な対応や検討が必要な場合は執行役会において議論の深掘りと意思決定を行っております。
取締役会はこれらの取組みについて都度報告を受け、執行側の体制や意思決定プロセスを把握し、監督しております。また、2025年度より、事業運営や環境変化への迅速な対応を図るため、ガバナンスの運営体制を見直し、タイムリーな判断と時機を逸しない対応を実行してまいります。
<サステナビリティ推進体制>
<事業運営体制>
②リスク管理
当社グループの経営および財務状況に影響を及ぼす可能性のある事項について、リスクと機会を分析し、対応方針を検討の上、優先度の高い事項について年度活動方針に取り込んで展開しております。毎年、全ての部門が、自部門におけるリスクと機会を抽出・分析しております。その中で、全社横断的なリスクと機会については、経営会議・執行役会の場で議論しております。
さらに、突発的かつ緊急的な課題が起こった場合においても、適宜経営会議・執行役会において議論を行い、対処しております。
リスク管理の詳細については、「
なお、現在未知のリスクや特筆すべき事項とみなしていない他のリスクおよび機会の影響を、将来的に受ける可能性があります。
(2)重要なサステナビリティ項目
サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりです。
・「脱炭素社会実現への貢献」
・「人的資本の強化」
1)脱炭素化への取組
①ガバナンス
気候変動の影響について、経営上、特に重要な課題と認識しております。当社グループの製品は、製造工程で多くの電力を必要とする「リスク」と、顧客が推し進める省エネ・脱炭素化に貢献する「機会」を持ち合わせていると捉えております。
2024年度は脱炭素事務局が中心となり、CO2排出量抑制に向けた取組みを推進してまいりました。各工場においては、エネルギー使用の見える化を実施し、現状把握を通して、設備改善による効率運転や適切な更新を行うことで、ムダのないエネルギー利用に努めています。また、製品や購入部材の輸送についてはモーダルシフトを推進しており、海上輸送や鉄道輸送の活用を拡大することで生産と物流の両面から環境負荷の低減に取組んでおります。この重要課題については、当社グループ全体の横断的な活動を推進強化しております。
②リスク管理
リスクと機会の分析結果は、下表の通りです(一部抜粋)。
|
項目 |
想定リスク |
想定機会 |
|
電力総需要の増加への対応 |
・SMR(小型モジュール炉)を含むマイクログリッド化推進による既存送配電ビジネスの需要低下 |
再エネの大量導入により配電・送電系統で生じる新たなビジネスへの当社技術と製品の提供 |
|
カーボンニュートラルへの対応 |
・対応遅れによる需要獲得機会の 逸失や、エネルギーコストの増加 ・炭素税や省エネ規制等への対応に伴う コストの増加 |
・顧客の省エネに貢献する製品群の 需要拡大 ・環境貢献製品提供企業としての 認知度向上 ・省エネ対応によるエネルギーコストの 低減 |
|
天候/自然災害によるリスクへの対応 |
・災害激甚化による被害増加 ・災害発生対応プロセスの未整備による 取引先の信用低下 ・落雷等に起因した瞬時電圧低下による 設備停止、機会損失の増加 |
BCP対策として、瞬時電圧低下、停電リスクへの対応需要の高まりによる、これらに対応する当社製品の需要拡大 |
|
エネルギーミックスの変化 |
・再エネ比率の上昇に伴う 生産コストの増加 ・電力有効活用に向けた対応が変化する ことにより、現在の当社製対策機器の 売上低下 |
・再エネ発電用設備のニーズ拡大による コンデンサの売上増加 ・電力有効活用に向けた対応のビジネス 拡大による当社製品の拡販 |
③戦略
気候変動の事業/経営への影響及びリスクと機会についてのシナリオ分析は継続的に検討しておりますが、当社グループとしては、サプライチェーン上の当社グループの位置づけを踏まえ、まずは当社グループ自身が直接的かつ具体的に対応できる領域からのアプローチを進めています。
中期経営計画 第Ⅲ期では、脱炭素社会の実現に向けた取組みとして下図のように「事業を通した脱炭素化」と「自社排出量の削減」のそれぞれに数値目標を設定し取組んでおります。
この図の上段部分は、当社の事業を通した脱炭素化となります。パワエレ用のコンデンサや、回生電力再利用装置などは顧客の省エネ・CO2削減を実現する機器であり、この拡大は顧客側のESG活動に資するものと考えております。さらに、当社の瞬低補償装置をご活用頂くことで、顧客設備の保全、操業ロスの回避なども可能となります。近年の省エネ促進基調を活かし、顧客メリットを訴求することで販売拡大を目指します。
一方で、下段の自社排出量の削減については、通常の省エネ活動に加え、設備の検討段階において、CO2削減を追求してまいります。
これらにより、2030年度で、エネルギー原単位で、2020年度比30%の改善を進めます。
<具体的な取組>
|
項 目 |
実施内容 |
|
|
事業を通した脱炭素化 |
コンデンサ |
・パワエレ機器の普及への貢献 |
|
電力機器 |
・顧客の省エネ/効率化への貢献 ・電力品質向上によるロス削減への貢献 |
|
|
自社排出量の削減 |
・生産に伴う排出量削減取組みの継続 ・社会全体の排出量削減効果の取込み |
|
④指標及び目標
なお、2022年度以降のCO2排出量削減の実績は下表の通りです。
|
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実 績 |
目 標 |
||||
|
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
2028年度 |
2030年度 |
|
|
CO₂排出量削減 (エネルギー原単位あたり2020年度比) |
△10% |
△15% |
△25.4% |
△27% |
△29% |
△30% |
2)人的資本の強化
①ガバナンス
当社グループの人的資本強化への取組みは、社是に掲げる「人間性尊重」と「知の融合」の観点で展開しております。この推進にあたっては「挑戦」をキーワードとし、従来の枠にとらわれない発想と行動を促すことによる個々人の能力向上及び、それを支える仕組みの整備に重点を置いて進めております。本社の人事部を主軸とし、各工場の人事担当部署/各部門、事業部の各部門との連携を図りつつ、当社グループ全体へ展開しております。
②リスク管理
リスクと機会の分析結果は、下表の通りです(一部抜粋)。
|
項目 |
想定リスク |
想定機会 |
|
ダイバーシティ・女性活躍・働き方改革の推進 |
・対応遅れによる企業価値の低下 ・従業員のモチベーション低下 ・人材の流出、採用難などによる組織の 競争力低下 |
・多様性を活かしたイノベーションの 創出 ・適切な環境整備による人材の 安定確保 ・業務効率や生産性の向上 |
|
労働力の不足 |
・社員の負担の増加及び事業成長機会の 逸失 ・組織的な業務遂行能力の低下による顧客 満足度の減少 ・人材不足による雇用のミスマッチ |
・省人化ニーズの増加 ・業務効率や生産性の向上 ・教育の重要性を再認識する機会 |
③戦略
中期経営計画における「人的資本強化」の取組みについては、人材育成や能力向上を目指し、各人の挑戦を評価できる人事処遇制度への刷新や、階層別研修制度の定着化を進めてまいりました。第Ⅲ期以降の成長に向けた増強が必要とはなりますが、単に人員を確保するのではなく、各人のパフォーマンスの向上を進めていくことが重要であると考えてります。当社グループの意識調査において、個別業務に関わる研修への要請が引き続き増加していることもあり、これらにきめ細かく応えていくことで、個々人の能力向上を進めてまいります。あわせて、各人が持つノウハウを、所属する部門を超えて展開するための処遇制度の導入を進めます。
㋐「知の融合」観点での業務運営の推進
個々人の能力向上にあたっては、自己の現在位置を知り、それを周囲と比較することから始まるものと考えております。これに基づき、現在、各事業部/各工場が独立し遂行していた開発・生産体制の相互交流を推進しております。
具体的には、産業機器事業の次期モデルの開発におけるxEV事業の担当者の参画、複数工場間での生産方法の統合化など、事業課題ごとに拠点や事業を超えた横断型の運営を推し進めております。この取組みで得られた知見などを共有することで、当社グループ内での「知の融合」を進め、それによる気づきの向上で個々人の能力向上を図り、且つ、自身の担当業務へのフィードバックで各事業の強化へもつながっていくものと考えております。特にこの動きは、今後さらに変革が進む電力市場に対し、コンデンサと電力機器の機能融合により革新的なソリューションを創造していくなかで、大きな課題の解決の道筋になるものと考えております。
㋑挑戦する人材をサポートする体制
2024年度から「挑戦する人材を評価する人事処遇制度」を導入しております。この制度は、新たな発想や行動を促すもので、導入初期の現在は、成果に重きを置くのではなく、行動を起こすことに着目した評価システムとしております。研修制度では、各部門の実情を踏まえ、従業員個々の能力向上ニーズに対応した内容で実施しております。研修カリキュラムの充実についても適宜行っております。また、個人が持つノウハウを、所属部門を超えて展開できるような、中期的なキャリアアップを考慮した人材配置と処遇制度の検討を進めております。
㋒女性活躍、多様性の確保
女性自身の意識向上や多様性や女性活躍推進を図る目的で「女性活躍推進チーム」を立上げ、チーム内で外部講師による勉強会や外部の研修会に参加し、知識を深め、当社グループの課題について議論を重ねております。また、当社グループの役員・管理職を対象に研修も開催しております。今後も、対象者や議題を変え、社内研修や広報誌での情報発信を引き続き行い、全従業員への啓発を進め、会社全体として女性活躍を当たり前のものとして受け入れる意識の形成を進めていきます。
また、障がい者雇用については、雇用促進を目的として養護学校との交流を開始しており、今年度採用に至っております。今後も継続した採用に向け、引き続き検討してまいります。
㋓エンゲージメント向上への取組
2020年度より毎年度、従業員に対し職場環境や業務に関する意識調査を実施し、結果を当社グループで共有しています。調査結果は、働きやすい職場環境づくりの基礎資料とし、外部の情報も取り込みつつ、状況に応じた改善を進めております。本調査の実施を定着化させ、長期経営ビジョンに掲げる「挑戦する意欲と行動を評価し、挑戦する社員を育成・サポートする会社」「社員一人一人の人生・生活を大切にし、仕事のやりがいを提供する会社」の実現に向けた各施策の展開に繋げてまいります。
④指標及び目標
当社グループでは、人材の多様性確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
<女性活躍>
|
|
実 績 |
目 標 |
||||
|
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
2028年度 |
||
|
女性 比率 |
|
11.8% |
12.8% (目標比△1.2%) |
(目標比△10.4%) |
|
25.0% |
|
|
3.5% |
3.3% (目標比△1.5%) |
― |
- |
|
|
<従業員意識調査>
|
実 績 |
計 画 |
|||
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2020年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
2028年度 |
|
初回実施 |
2回目実施 |
3回目実施 |
4回目実施 |
毎年度継続実施の定着 |
|
- |
目標:前回との差異検証 実績:肯定評価49.4% (前回比+10.3%) |
目標:肯定評価50% 実績:肯定評価55.9% (目標比+5.9%) |
目標:肯定評価60% |
目標:肯定評価70% |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)大株主との関係について
① 三菱電機株式会社は発行済株式総数に対し21.1%の当社株式を保有しております。この持株比率は、近年殆ど変化はありません。
なお、三菱電機株式会社が占める当社グループの取引依存度は例年15%程度(当連結会計年度は子会社の三菱電機モビリティ株式会社と合わせて15.4%)で、電機メーカーを中心とする他の大手取引先企業グループの依存度に比べ突出したものではなく、取引条件も市場価格を基に、個別に価格交渉の上、一般的取引条件と同様に決定しております。当社は取引先が一企業グループに偏る営業リスクを避けるため、多くの企業、企業グループの取引構成となるよう努力をしております。
② 2016年10月3日、当社が株式会社村田製作所に対して第三者割当による自己株式処分を行ったことにより、株式会社村田製作所は発行済株式総数の13.5%を保有しております。
株式会社村田製作所とは以前より両社の独自性を確保しつつ経営資源の結集を図り、共同でのマーケティング、商品開発、販売及び株式会社村田製作所が保有するセラミックコンデンサ技術と当社グループが保有するフィルムコンデンサ技術を融合させた新素材の共同開発を推進してまいりました。第三者割当による自己株式処分の目的は、両社の信頼関係の強化と新素材を使用した新商品開発を加速させるためのものであります。
(2)顧客の生産活動の動向による影響について
当社グループの顧客の大部分はメーカーであり、当社グループの業績は顧客の設備投資や生産計画によって、大きな影響を受ける可能性があります。このリスクを最小限にするため、市場動向を見極めるとともに顧客情報の収集及び蓄積により、顧客満足度を向上させる商品をタイムリーに提供する事に努めております。
(3)商品の品質と責任による影響について
当社グループは品質管理体制を整え、多種商品を製造しておりますが、商品に欠陥などの問題が生じる場合があります。このような場合、欠陥に起因し顧客が被った損害の賠償責任が発生する可能性があるとともに、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)為替相場の変動及び関税による影響について
当社グループの取引には直接及び間接的に各国への輸出入取引が含まれており、国内外の経済情勢の変化に起因する為替相場の変動や、各国の経済政策等に伴い、関税率の新設・改定が行われた場合においては、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外進出に潜在するリスクについて
当社グループは、海外事業を拡大すべく、米国(ネブラスカ州)、中国(上海)、タイ(バンコク)で製品の現地生産及び販売などの海外展開を行っております。今後の海外市場への事業進出には、1)予期しない法律又は税制の変更、2)不利な政治又は経済要因、3)テロ、戦争、その他の社会的混乱、等のリスクが内在しています。従って、これらの事象が起きれば、当社グループの事業の遂行に影響を与える可能性があります。
(6)災害、パンデミック、停電等による影響について
当社グループでは、災害、感染症によるパンデミック、停電等の予期せぬリスクを最小限にするため、災害を想定した建屋保全、部材・製品保管及び発生時の対応体制、リモートワーク等による人材の安全確保等、危機管理ルールを作り運用しております。しかし、これら想定を上回る災害、パンデミック、停電等の影響により生産活動に支障が生じる可能性があります。
(7)サプライチェーンについて
当社グループの取引先で自然災害や特殊災害等により被害が生じた場合や、その他の影響により原材料の確保や生産体制の継続が困難となった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このリスクを最小限にするために、取引先との関係強化や定期監査の実施に加えて、継続的に新規取引先の発掘を行っております。
(8)原材料、エネルギー価格の高騰について
当社グループの主要製品に使用する原材料や、製造に必要となる電気等のエネルギー価格の高騰によって、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このリスクを最小化するため、指月統合マネジメントシステム「∫IΣS」に基づいた生産性の改善や、原価低減活動を行うとともに、それでも吸収しきれない調達コストの上昇分については販売価格を適正化することで対応しています。
(9)環境規制について
当社グループの事業活動に対しては様々な環境規制が適用されており、今後規制が厳しくなることで、代替材料の採用や、代替工法の開発を余儀なくされるため、当社グループの事業継続や業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報セキュリティについて
当社グループでは、事業活動上必要な情報の適切な収集と正確な記録、適正な利用・管理を徹底しておりますが、顧客情報、営業情報や技術情報といった企業機密が、サーバー攻撃や、コンピューターウイルス感染の他に、従業員の過失または故意によって社外へ漏洩した場合、事業活動と業績ならびに財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対し、情報セキュリティシステムの対策強化と維持管理を進めております。また、人的対応としては、コンプライアンス憲章に則り、情報の適正な利用・管理と保全を徹底してまいります。
(11)知的財産について
当社グループは、知的財産権を厳格に保全するとともに、他社権利の尊重に努めております。発明やノウハウ等の知的財産は重要な経営資源であり、法令に基づき適切に取得・活用・保護を行っておりますが、他社の特許による当社製品販売と事業への制約や、当社権利が不当に侵害された場合、または、第三者の知的財産権を侵害する事象が発生した場合、もしくは、当社が保有するノウハウ等が第三者へ不当に流出した場合は、事業活動と財務状況に重大な影響を受ける可能性があります。
(12)価格競争リスクについて
当社グループでは、現在、xEV用コンデンサ、産業用コンデンサと電力・環境省エネを重点事業として運営しています。これらの事業において、付加価値の高い競争力のある製品開発を強化しておりますが、国内外の競合他社との間に生じる価格競争により、当社グループの事業、業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対し当社グループでは、開発・製造・販売が一体となって指月統合マネジメントシステム「∫IΣS」の考えに基づいたモノづくりと改善を重ね、顧客ニーズにこたえる製品提供を進めてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境は、継続的な物価の上昇、中国市場での競争激化に加え、ここにきて米国の貿易政策の動向も加わり、一層不透明感が増してきております。
このような経済環境の下、継続して取り組んでいる生産性の改善や価格の適正化に加え、市場の動向を踏まえた資源の再配分などの追求を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は過去最高となる27,346百万円(前年度比4.0%増)となりました。損益につきましては、営業利益1,990百万円(前年度比81.2%増)、経常利益1,797百万円(前年度比60.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,194百万円(前年度比555.9%増)となりました。
なお、セグメント別での結果は次のとおりであります。
①コンデンサ・モジュール
産業機器用コンデンサはパワエレ市場を中心に好調に推移したものの、xEV用コンデンサは当社採用品モデルのピークアウト、次モデルの立上げ遅れ等による影響により、前年同期比で減収となりました。
結果、売上高は18,129百万円(前年度比1.3%減)となりました。
②電力機器システム
力率改善用機器に関しては、国内における需要の増加を受けて好調に推移いたしました。
結果、売上高は9,217百万円(前年度比16.1%増)となりました。
財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産残高は、933百万円増加し、20,112百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,398百万円、電子記録債権の減少248百万円等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産残高は、932百万円増加し、18,231百万円となりました。これは主に、建設仮勘定の増加1,847百万円、投資有価証券の減少227百万円等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債残高は、1,634百万円増加し、6,882百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加1,400百万円等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債残高は、744百万円減少し、7,715百万円となりました。これは主に、長期借入金の減少700百万円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産残高は、974百万円増加し、23,747百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加980百万円等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,398百万円増加し、5,929百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,563百万円の収入となり、前年度比3,835百万円の収入の増加となりました。これは主に、売上債権の回収影響等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、2,573百万円の支出となり、前年度比486百万円の支出の増加となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、305百万円の収入となり、前年度比2,852百万円の収入の増加となりました。これは主に、自己株式の取得による支出の減少等によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
コンデンサ・モジュール |
18,136,192 |
△1.1 |
|
電力機器システム |
9,179,461 |
15.5 |
|
合計 |
27,315,654 |
3.9 |
(注) 金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
コンデンサ・モジュール |
18,560,358 |
9.3 |
7,922,051 |
5.8 |
|
電力機器システム |
10,536,444 |
48.0 |
3,751,135 |
54.2 |
|
合計 |
29,096,802 |
20.7 |
11,673,186 |
17.6 |
(注) 金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
コンデンサ・モジュール |
18,129,313 |
△1.3 |
|
電力機器システム |
9,217,228 |
16.1 |
|
合計 |
27,346,541 |
4.0 |
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(千円) |
割合 |
金額(千円) |
割合 |
|
|
株式会社TMEIC |
3,137,645 |
11.9% |
3,503,272 |
12.8% |
|
三菱電機株式会社 |
4,099,433 |
15.6% |
1,967,214 |
7.2% |
(注) 東芝三菱電機産業システム株式会社は、2024年4月1日に株式会社TMEICに社名変更しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、経営者は見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や現状等を考慮して合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローについては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
次期の当社グループの資金需要については、主に、自動車用コンデンサの生産増強体制の確立のための設備投資を予定しております。
⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年度を起点とし、10年後の2028年度を最終年度とする長期経営ビジョンを策定し、その実現に向け、中期経営計画を3期に分けて策定・展開しております。
2024年度は、中期経営計画第2期(2022年度からの3年間)の最終年度となりますが、業績面では、受注・売上が好調に推移した一方で、利益はxEV用の急激な規模減による操業度の悪化により目標に届きませんでした。
当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
|
指標 |
当連結会計年度 (計画) |
当連結会計年度 (実績) |
当連結会計年度 (計画比) |
|
売上高 |
28,000百万円 |
27,346百万円 |
653百万円減(2.3%減) |
|
営業利益 |
2,300百万円 |
1,990百万円 |
309百万円減(13.4%減) |
該当事項はありません。
当社グループは、電気エネルギーのマネジメントで、環境と社会へ貢献することを基本とした商品及び要素技術の開発を積極的に行っております。
現在、研究開発は、コンデンサ開発部、xEV技術部、eパワー事業部開発部を設け、市場のニーズに対し、機敏に応えることができる組織体制の上で、今まで以上に商品開発のスピードアップを図っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
当連結会計年度における各事業の研究目的、主要取組、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)コンデンサ・モジュール
環境対応車用の車載インバータに使われるコンデンサの製品開発を推進しております。今年度は、高電圧用途のコンデンサ素子の製造プロセスの最適化による性能向上と、複数供給体制の構築のためサプライチェーン強化を進めました。成果物として、カスタム設計品をTier1数社に対して、サンプル提供しております。
また、市場が期待する性能に対して最適設計ができるように、構成材料の基礎データ取得や解析手法の確立にも取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は
(2)電力機器システム
省エネやエネルギーの脱炭素化が重要課題となっており、当社では以下の研究開発を推進しました。
省エネニーズに対しては、注1)回生電力再利用システムをすでに商品化(PAR-CuBe)していますが、更なる小型・高効率化に取り組むとともに省資源化に向け、蓄電部へのリユースEV電池搭載の開発を完了し、2024年度は各自動車メーカーの実フィールドでの実証試験にて一定の省エネ効果が有ることを確認しております。本年度は量産採用に向け、設計の最適化を推進してまいります。
注1)回生電力とは昇降機の巻下げ時や搬送機の減速・停止時にモータが負荷により回される事で、モータは発電機となり回生エネルギーが発生します。従来は熱としてそのエネルギーを廃棄します。
脱炭素化においては、再生可能エネルギーの拡大による電圧・周波数などの電力安定化ニーズの顕在化やEV導入の拡大による充電インフラの整備、電力リソースとしてEV活用ニーズの高まりが予想され、それぞれのニーズに対し電力品質改善装置やV2Xシステム(製品名称:EXCEV)の開発を推進しています。2024年度は急速充電規格のCHAdeMO認証取得品にて社内実証実験を推進しており、本年度は実フィールドでの実証試験を予定しております。
また、循環型社会の実現に向け、環境負荷物質の低減も急務であり、先ずは電気鉄道用変電所向け電力設備の絶縁油として植物油を使用した製品の開発を推進しています。
併せて、デジタルトランスフォーメーション(DX)社会へ対応するため、装置のクラウド経由での遠隔監視システムや、機械学習を用いた製造用部品の外観・寸法確認システムの技術開発を推進しています。
今後も上記研究・開発を継続するとともに、先進的な要素技術開発へ積極的に取り組んで参ります。
当事業に係る研究開発費は