第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の世界経済情勢を振り返りますと、米国では雇用環境の改善により個人消費が増加したことなどから、景気の回復が続きました。欧州でも緩やかな景気の回復が続きました。また、新興国経済については、一部の国は減速した状態にありましたが、全体としては景気刺激策の効果などから緩やかに回復しました。

我が国においては、設備投資が緩やかに増加したことに加え、雇用・所得環境の改善などを背景に個人消費が底堅く推移したことから、緩やかな景気回復基調が続きました。

この間、為替相場を見ますと、当連結会計年度の平均為替レートは、1USドル108.78円、1ユーロ120.26円と、前年と比べUSドルは11.3%の円高、ユーロは11.7%の円高になりました。

分析・計測機器業界におきましては、半導体関連は、データセンター向けサーバー需要やスマートフォンの高機能化を背景に、半導体・電子部品の需要が拡大しました。これにより、半導体メーカーでは年間を通して高い水準での設備投資が続き、半導体製造装置需要は拡大しました。自動車関連では、国内外の自動車メーカーによる設備投資や研究開発投資には一時的に慎重な姿勢が見られました。一方で、欧州での排ガス新規制に続き、日本でも平成30年に新規制が導入されることが決定したことなどから、排ガス計測に関する需要は拡大傾向で推移しました。科学分析機器関連では、中国において最先端の科学分析機器の需要が高い水準で推移したものの、それ以外の地域での需要は低調に推移しました。

このような経営環境のもと、当社グループにおいて、当連結会計年度に実行した各事業部門の強化施策といたしましては、次のとおりです。

自動車計測システム機器部門では、インドにおける自動車計測機器のビジネス拡大を実現するため、自動車開発・デモンストレーション施設「ホリバ・インド社テクニカルセンター」を稼働させました。また、平成27年に英国のMIRA社より買収したECT※(自動車開発全般に関するエンジニアリング・試験)事業においては、自動運転を含む次世代モビリティの開発などの領域へ事業拡大をめざし、積極的な投資を実施しました。

※ECT:Engineering Consultancy & Testing

 

環境・プロセスシステム機器部門では、アジアでの事業拡大を実現するため、各地域における環境規制強化や地域環境の改善に繋がる分析計測ソリューションの提案を、現地大学や協力企業等と進めました。また、平成25年にキャメロン社(米国)より買収したプロセス計測設備事業では、石油精製市場での積極的な活動を実施しました。

医用システム機器部門では、フランスで自社開発による血球計数分野の新製品投入を加速させると同時に、生化学分析装置の販売提携などを進め、製品ラインアップの拡充を進めました。

半導体システム機器部門では、半導体製造装置需要の高まりに対応するため、株式会社堀場エステック阿蘇工場の増設拡張工事に着手しました。

科学システム機器部門では、中国において研究開発目的でのラマン分光分析装置などの販売体制を強化したほか、新市場への事業展開を実現するため、各事業部門における技術リソースや顧客ネットワークの相互活用を図り、顧客層の拡大に注力しました。

この他、日本では、自動車計測システム機器部門と環境・プロセスシステム機器部門におけるガス計測分野の開発・生産力の強化のため建設を進めていた、びわこ工場「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」を本格稼働させました。また、中長期経営計画「MLMAP2020」でも重点項目の一つに掲げる水計測関連事業の強化を進めるため、堀場製作所と株式会社堀場アドバンスドテクノに分散していた水質計測関連の開発・生産リソースを統合して株式会社堀場アドバンスドテクノに集約することを決定し、その準備を進めました。水質計測関連事業の成長とグローバルでのブランド力の強化を実現します。さらに、資産効率の向上と同時に事業成長を加速させるため、資産効率を測る当社独自の経営指標を新たに導入し、当該指標のグループ全体への浸透を図っております。

こうした経営施策に加え、売上拡大に努力しましたが、円高の影響もあり、当連結会計年度の業績は、売上高170,093百万円と前期比1.1%の減収となり、利益面でも営業利益18,499百万円、経常利益18,279百万円、親会社株主に帰属する当期純利益12,962百万円とそれぞれ前期比8.2%、同6.9%、同2.4%の減益となりました。

 

 セグメント別の状況は、次のとおりであります。

 

(自動車計測システム機器部門)

 世界的な自動車排ガス規制強化を背景に、エンジン排ガス測定装置の売上が増加したことに加え、平成27年7月に英国のMIRA社より買収したECT事業が通年で売上に寄与しました。一方で、円高の影響により海外での売上高が円換算で減少したほか、MCT(自動車計測機器)事業においては、顧客の投資姿勢が一時的に慎重となったことなどから売上高が減少しました。これらの結果、売上高は前期比4.9%減の62,207百万円となりました。利益面では、平成28年5月に稼働したHORIBA BIWAKO E-HARBORへの移転に伴う費用や、MCT事業の売上減などにより、営業利益は同32.1%減の3,529百万円となりました。

(環境・プロセスシステム機器部門)

 発電所や工場向けに煙道排ガス分析装置等の売上が、アジアや欧州では低調に推移しましたが、国内では堅調に推移しました。また、米州でのプロセス計測設備事業が、原油安による需要増を受け堅調に推移したことなどにより、売上高は前期比0.3%増の16,753百万円となりました。利益面では、海外案件の収益率が悪化したことなどにより、営業利益は同12.3%減の1,540百万円となりました。

(医用システム機器部門)

 日本において、平成27年3月に発売した自動血球計数CRP測定装置の売上が高い水準で推移しましたが、円高ユーロ安の影響のため欧州での売上高が円換算で減少したことなどにより、売上高は前期比4.0%減の26,564百万円となりました。利益面では、国内販売による利益寄与などから、営業利益は同9.7%増の2,806百万円となりました。

(半導体システム機器部門)

 円高の影響を受けたものの、半導体メーカーの高水準の設備投資を背景に、半導体製造装置メーカー向けの売上が大幅に増加しました。この結果、売上高は前期比9.8%増の38,828百万円となり、営業利益は同2.6%増の9,678百万円となりました。

(科学システム機器部門)

 大学向け等の研究開発用分析装置の売上が、日本や中国において堅調に推移しましたが、欧米では低調に推移しました。また、欧州では円高ユーロ安の影響により売上高が円換算で減少しました。この結果、売上高は前期比3.8%減の25,738百万円となり、営業利益は同21.1%減の944百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,081百万円増加し、51,940百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより、15,871百万円のプラス(前連結会計年度は14,770百万円のプラス)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、ホリバMIRA社のMIRA Technology Park、ホリバ・インド社テクニカルセンター、当社の本社工場への投資等の有形固定資産の取得による支出などにより、10,427百万円のマイナス(前期は30,642百万円のマイナス)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があるものの、配当金の支払や長期借入金の返済などにより、451百万円のマイナス(前期は12,843百万円のプラス)となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

自動車計測システム機器

60,822

96.4

環境・プロセスシステム機器

16,720

102.7

医用システム機器

26,894

96.8

半導体システム機器

39,456

99.7

科学システム機器

25,166

97.3

合計

169,061

98.0

 (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

自動車計測システム機器

67,931

111.6

48,938

113.2

環境・プロセスシステム機器

16,260

97.9

4,323

89.8

医用システム機器

26,353

91.5

3,426

94.2

半導体システム機器

41,567

123.2

5,879

187.2

科学システム機器

25,513

96.3

9,018

97.6

合計

177,626

106.7

71,586

111.8

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

自動車計測システム機器

62,207

95.1

環境・プロセスシステム機器

16,753

100.3

医用システム機器

26,564

96.0

半導体システム機器

38,828

109.8

科学システム機器

25,738

96.2

合計

170,093

98.9

 (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

 当社グループは、市場別に自動車計測システム機器、環境・プロセスシステム機器、医用システム機器、半導体シ

ステム機器、科学システム機器の5つのセグメントで事業展開をしています。これは5つの異なる市場で事業を行う

ことにより、各セグメントがそれぞれの強みを発揮すると共に、お互いの弱みを補強しながらバランスよく成長させ

ることを意図しています。セグメントごとの技術やノウハウはお互い連携し合っており、セグメント間で「人財」や

生産設備等の事業リソースをシフトすることによって、好調な事業にリソースを一時的に集約させるなど、業績の悪

い事業の負担を軽減する柔軟な対応を取ることができ、効率的な経営が可能となっています。

 当社グループは、平成28年2月に5年後の平成32年度を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2020(Mid-Long Term Management Plan 2020)」を策定し、連結売上高2,500億円、営業利益300億円、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上、をめざしております。

 今まで、当社グループは、“HORIBA Group is One Company.”の経営方針のもと、地域単位での効率化とマトリッ

クス経営を推進しグループ一体となった経営を行ってきました。次のステージとして、平成26年1月に始動した

「HORIBAステンドグラス・プロジェクト」(※) を通じてグループ力をさらに高め、あらゆるお客様に対して分析・

計測の真のパートナーとなるべく、“ONE STEP AHEAD”をスローガンに事業成長と事業範囲の拡大を実現します。

 

※HORIBAステンドグラス・プロジェクト:「性別・年齢・国籍・障害などを乗り越えて多様な個性・才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現する」をミッションに掲げたプロジェクト。平成26年1月にスタート、平成29年1月にステンドグラスプロジェクト推進室を設立し、グローバルにプロジェクトの成長を加速させる。

 

また、当社は平成27年12月22日開催の取締役会において、以下のとおり「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」を決議しております。

 

<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針>

当社は、株主、投資家、お客様、取引先、従業員等の様々なステークホルダー(利害関係者)との相互関係に基づき成り立っています。当社は、世界で事業展開する分析機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、さまざまな産業分野の市場に対して、付加価値の高い製品やサービス、分析技術を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」などに貢献することを使命とし、それによって、全てのステークホルダーに対する企業としての社会的責任(社会貢献)を果たすことができると考えています。

また、当社は、将来の収益を生み出す源泉であり企業の永続を担保する人財・技術力やそれを支える企業文化といった「見えない資産」を大切に育成し、これらを包括する「HORIBAブランド」の価値を高める活動を展開しています。これにより、企業価値向上と様々なステークホルダーとの強い信頼関係の構築をめざします。

当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社に対して投資していただいている株主の皆様には、当社の企業理念及び経営方針にご賛同いただいたうえで、そのご判断により当社の経営を当社経営陣に対して委ねていただいているものと考えます。言い換えれば、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方について、株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと当社は考えており、当社株式の大量取得行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かについても、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えています。

一方、わが国の資本市場において、企業価値の源泉となるステークホルダーの存在を無視して、自己の短期的な利益のみを追求していると思われる株式の大量取得行為があり得ると認識しています。当社としては、上述の社会的責任を果たし、企業価値を向上させることが、このような濫用的な株式の大量取得行為への最善の対応であり、いわゆる買収防衛策の導入は不要と判断しています。

ただ、仮に、このような濫用的な株式の大量取得行為の提案がなされた場合には、株主、投資家の皆様に適切にご判断いただくために、当社経営陣はそのような濫用的な提案の内容や条件について十分検討し、その検討結果及び見解を株主、投資家の皆様に提供することが、重要な責務であると考えています。

また、当社では、株主の皆様に対して善管注意義務を負う経営者の当然の責務として、株式の買付けや買収提案に際しては、当社の企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に判断し、適切な措置を講じます。

そのため、社外の専門家も起用して株式の買付けや買収提案の評価及び買付者や買収提案者との交渉を行うほか、当社の企業価値、株主共同の利益を損なうと判断される株式の買付けや買収提案に対しては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切と考え、関連する法令に従い、適切に対応します。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(平成29年3月27日)現在、入手しうる情報に基づいて当社が判断したものであります。

(1)事業に関するリスク

① 国際的活動に伴う諸リスク

 当社グループは、アメリカ・欧州・アジアなど、世界各国で事業活動を行っておりますが、これらの海外市場においては、対象市場の経済状況及び製品需給の急激な変動、競合による販売価格の急激な変化、法律・規制・税制の変更、テロ・戦争等の社会的混乱などのリスクが伴い、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、為替レートの大幅な変動リスクについては、現地生産・現地調達を推進し、また、輸出入取引金額の範囲内において為替予約等を行い、為替変動リスクの軽減に努めております。しかしながら、為替相場の変動は連結決算における円貨換算額に影響を与えるため、当社グループの予想の範囲を超えて為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 買収や提携に伴う業績や財政状態の変化リスク

 当社グループは、事業展開を効率よく、効果的に行うために、買収や提携を積極的に行ってきました。今後とも、買収・提携等を行う場合には、業績面・キャッシュフロー面への悪影響を回避すべく、十分且つ慎重な検討を重ねてゆく所存であります。しかしながら、それらの買収・提携等が当初の計画通りに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 自然災害による設備の破損とそれに伴う納期遅延等リスク

 当社グループの製造拠点は、国内(京都府、滋賀県、熊本県)、欧州(フランス・ドイツ・チェコ)、アメリカ(米国・ブラジル)、アジア(中国・韓国・インド)等に分散して展開しております。しかし、万一、大地震等の自然災害が発生した場合、製造拠点の設備修復等に多額の費用が発生したり、サプライチェーンの被害などから生産、物流に影響が出るなどして、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

④ 契約や取引に関するリスク

 当社グループでは、お客様、仕入先ほか利害関係者との間で、様々な契約を締結し、これに基づき、信義誠実の原則のもと、事業活動を継続しておりますが、契約の履行や取引の条件などを巡って、利害関係者と見解が食い違う場合がないではなく、こうした場合に損害賠償請求を受ける可能性があります。

⑤ その他の事業に関するリスク

 上記のほか、情報システムの停止・誤作動、情報セキュリティへの脅威、事業に関する種々の法規制などに関するリスクがあり、それぞれにつき予防措置を講じておりますが、これらの動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)開発・製造に関するリスク

① 製造物責任によるリスク

 当社グループは製品・サービスに対して最適な品質管理を行い、信頼性の維持に努めておりますが、予期せぬ欠陥が生じ、それに伴いリコール・訴訟が発生する可能性があります。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的な賠償額を十分にカバーできるという保証はなく、このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

② 新製品開発の遅延リスク

 当社グループが活動している分析・計測機器事業は、非常に専門性が高く、高い技術力を必要とされております。そのため、製品開発には多額の投資を行っていますが、予期せぬ事態により、期待した成果が得られない場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

③ 知的財産権に関するリスク

 当社グループは、自社が製造する製品に関連して、特許、商標、ノウハウ等の様々な知的財産権を保有し、競争上の優位性を有しております。これらの知的財産権の管理に関しては万全の注意を払っておりますが、万一、第三者から侵害を受けた場合、期待された収益が得られない可能性があります。また将来、他社との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響をもたらす可能性があります。

 

④ 原材料価格変動のリスク

 当社グループは、仕入価格の変動のリスクを考え、必要に応じ先行手配等をしておりますが、仕入価格が大きく変動した場合、仕入価格の変動を販売価格に転嫁するまでに一定の期間を要するため、十分な価格転嫁ができない期間が生じることから、収益性の悪化を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)財務に関するリスク

① 有価証券の減損

 当社グループは、事業戦略、取引先との関係強化、地域社会との関係維持などを総合的に勘案し、中長期的な企業価値を向上させるため株式を保有しています。毎年、取締役会で株式保有に伴う利益と投資額等を総合的に勘案して、その投資可否を判断していく方針ですが、保有株式の時価の下落により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 固定資産の減損損失

 当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 制度変更や会計上の方針変更に伴う繰延税金資産の取り崩しなどの発生

 当連結会計年度末において計上している繰延税金資産については、制度面の変更(税率引き下げ等)によっては、一部取り崩しを求められる可能性があります。

④ 厚生年金基金の解散

 当社及び一部の国内連結子会社が加入している京都機械金属厚生年金基金(総合型)は、代議員会において特例解散の方針を決議しております。これに伴い、解散時に発生する損失に備えるため、損失の見込額を厚生年金基金解散損失引当金として計上しておりますが、解散認可は平成29年9月の見込みとなっており、それまでの運用環境の変動や他の加入企業の任意脱退、廃業、倒産等により、損失見込額は変動する可能性があります。

 

(4)各事業のリスクについて

 当社グループは、自動車計測システム機器部門、環境・プロセスシステム機器部門、医用システム機器部門、半導体システム機器部門、科学システム機器部門という5つの事業分野で構成されております。当社グループでは、これら5つの事業分野を確立することで、それぞれの事業分野における損益を相互に補完し合えるような事業ポートフォリオになっておりますが、個々の事業分野には以下のような業績変動要因があります。

① 自動車計測システム機器部門

 自動車計測システム機器部門では、自動車メーカー、自動車部品メーカー及び官公庁が主たるユーザーであり、排ガス測定装置が主力製品となっております。そのため、排ガス規制の動向により需要が変動することから、今後の規制動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車計測システムの自動化等により、システム機器が大型化する傾向にあることから、こうした分野の設備投資動向により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、ECT事業では事業の性格上、多額の固定資産を所有しております。自動車メーカーの研究開発動向等により、固定資産の稼働率が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 環境・プロセスシステム機器部門

 環境・プロセスシステム機器部門では、大気・水質汚染分析装置等の環境分野の製品において官公庁による環境関連の法的規制の動向により需要が増減し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 医用システム機器部門

 医用システム機器部門では、血球計測装置が主力製品であり、当社グループは、特に中小病院・開業医向けの中小型機器の市場に注力しております。今後、競争激化や価格競争等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 半導体システム機器部門

 半導体システム機器部門では、半導体製造装置用の流体制御機器や半導体メーカーにおける品質管理や研究開発サポート機器が主力製品となっております。当社グループでは、半導体市況の変動による影響を軽減するため、受注から納品までのリードタイムの短縮や顧客のニーズに迅速に対応する体制作りに取り組んでいますが、半導体の急激な需要変動による半導体製造装置及び半導体メーカー等の設備投資動向により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 科学システム機器部門

 科学システム機器部門では、研究開発や品質管理等で使用される理科学用分析装置が主力であることから、官公庁の研究開発予算や民間企業の研究開発並びに生産向けの設備投資の動向で需要が増減し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、平成28年5月19日開催の取締役会において、平成29年1月1日を効力発生日といたしまして、当社の水質・液体分析機器事業を会社分割し、当社の100%子会社である株式会社堀場アドバンスドテクノに承継させることを決議し、平成28年6月20日付けで吸収分割契約を締結しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は12,933百万円であり、報告セグメント毎の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

(1)自動車計測システム機器部門

 当連結会計年度には、最新の排ガス規制動向に対応すべく、排ガス計測機器の製品ラインアップを拡張しました。特に、EUが国際標準として普及を進める排ガス試験法 Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure(WLTP)及び、Real Driving Emissions(RDE)試験の対応に注力しました。このうち、RDEは、実路走行時の排ガスを計測する新たな試験法です。国内でもRDE規制導入に向けた検討が進められており、RDE計測機器の需要拡大が見込まれます。さらに、排ガス分析計測システムとダイナモメーター等を制御する統合テストオートメーションによる、実走行時の計測と試験室内での計測をシームレスにつなぐソリューションや、ホリバMIRA社(イギリス)によるRDE試験サービスを提供していきます。また、ガソリン車・ディーゼル車に加え、電動化車両の開発ニーズにも応えるため、新製品・サービスの研究開発を続けています。

 当セグメントに係る研究開発費は4,424百万円であります

 

(2)環境・プロセスシステム機器部門

当連結会計年度には、ガス計測分野において、研究開発から現場の品質管理にかかわるプロセス計測まで幅広い測定用途に対応した汎用ガス分析計と、トレースレベルの不純ガス成分が測定可能な微量ガス分析装置の開発を行いました。また、水質計測分野においては、工業用データ通信規格の一つであるHART機能を有する現場設置型変換機の開発を行い、海外市場向けの製品を強化しました。グループ会社内の開発リソースを相互に活用し、効率的な開発体制を進め、日本市場のみならず、海外市場にも向けた製品展開を進めております。

 当セグメントに係る研究開発費は1,175百万円であります。

 

(3)医用システム機器部門

 当連結会計年度には、日本国内向けの血球計数装置にIoTを使ったリモートモニタリングサービスを開始し、装置メンテナンスの効率化をはかりました。ホリバABX社(フランス)では、小型血球計数装置のラインアップを強化し、インド、ブラジル、中東地域を中心に販売しています。また、血液サンプルの搬送装置を備えた中・大型血球計数装置の開発も行い、平成29年度にヨーロッパ地域で発売予定です。当社及びホリバABX社(フランス)が中心となり、血球計数装置をはじめ、血糖値測定装置、生化学分析装置、免疫分析装置等の製品開発を行っております。

 当セグメントに係る研究開発費は2,425百万円であります

 

(4)半導体システム機器部門

 当連結会計年度には、高度化する半導体最先端プロセスに対応するマスフローコントローラーのラインアップ及び通信インターフェースの拡充、高精度薬液濃度モニターの新製品投入に取り組みました。特に、圧力式マスフローコントローラーは、半導体の次世代製造プロセスで本格的に採用されております。また、対応アプリケーションの拡大に向けチャンバークリーニング終点検知モニターの新製品を市場投入いたしました。シリコン半導体や、LED(発光ダイオード)照明、FPD(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ)、太陽電池、その他製造プロセスの最新技術分野について、主に当社及び㈱堀場エステック、㈱堀場アドバンスドテクノ、ホリバ・インスツルメンツ社(アメリカ)が研究開発を行っております。

 当セグメントに係る研究開発費は2,495百万円であります。

 

(5)科学システム機器部門

 当連結会計年度には、中長期経営計画「MLMAP2020」で掲げる新分野・新市場への新たな拡大を実現するため、顧客ニーズに合わせてカスタマイズする提案の強化などの活動に注力いたしました。小型で耐熱に優れた次世代パワーデバイス向け材料としてGaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)などが期待されています。それらの結晶欠陥を可視化するイメージング装置の開発を行いました。また、創薬・製薬の分野においては、ラマン分光技術を適用し、新しいアプリケーションの開発を行いました。水質計測の分野においては、卓上型とハンドヘルド型の2製品を上市しました。

 当セグメントに係る研究開発費は2,412百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループにおける財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(平成29年3月27日)現在、入手しうる情報に基づいて当社が判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度(平成28年1月1日~平成28年12月31日)の当社グループは、経営戦略全般を起案し推進する経営戦略本部による事業改革を推し進め、市場のニーズに合った製品投入を加速させました。

また、各事業部門においては、自動車計測システム機器部門では、インドにおける自動車計測機器のビジネス拡大を実現するため、自動車開発・デモンストレーション施設「ホリバ・インド社テクニカルセンター」を稼働させました。また、平成27年に英国のMIRA社より買収したECT※(自動車開発全般に関するエンジニアリング・試験)事業においては、自動運転を含む次世代モビリティの開発などの領域へ事業拡大をめざし、積極的な投資を実施しました。

※ECT:Engineering Consultancy & Testing

環境・プロセスシステム機器部門では、アジアでの事業拡大を実現するため、各地域における環境規制強化や地域環境の改善に繋がる分析計測ソリューションの提案を、現地大学や協力企業等と進めました。また、平成25年にキャメロン社(米国)より買収したプロセス計測設備事業では、石油精製市場での積極的な活動を実施しました。

医用システム機器部門では、フランスで自社開発による血球計数分野の新製品投入を加速させると同時に、生化学分析装置の販売提携などを進め、製品ラインアップの拡充を進めました。

半導体システム機器部門では、半導体製造装置需要の高まりに対応するため、株式会社堀場エステック阿蘇工場の増設拡張工事に着手しました。

科学システム機器部門では、中国において研究開発目的でのラマン分光分析装置などの販売体制を強化したほか、新市場への事業展開を実現するため、各事業部門における技術リソースや顧客ネットワークの相互活用を図り、顧客層の拡大に注力しました。

この他、日本では、自動車計測システム機器部門と環境・プロセスシステム機器部門におけるガス計測分野の開発・生産力の強化のため建設を進めていた、びわこ工場「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」を本格稼働させました。また、中長期経営計画「MLMAP2020」でも重点項目の一つに掲げる水計測関連事業の強化を進めるため、堀場製作所と株式会社堀場アドバンスドテクノに分散していた水質計測関連の開発・生産リソースを統合して株式会社堀場アドバンスドテクノに集約することを決定し、その準備を進めました。水質計測関連事業の成長とグローバルでのブランド力の強化を実現します。さらに、資産効率の向上と同時に事業成長を加速させるため、資産効率を測る当社独自の経営指標を新たに導入し、当該指標のグループ全体への浸透を図っております。

こうした経営施策に加え、売上拡大に努力しましたが、円高の影響もあり、当連結会計年度の業績は、売上高170,093百万円と前期比1.1%の減収となり、利益面でも営業利益18,499百万円、経常利益18,279百万円、親会社株主に帰属する当期純利益12,962百万円とそれぞれ前期比8.2%、同6.9%、同2.4%の減益となりました。

 

 なお、セグメント別の概況につきましては、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。

 

(2)財政状態についての分析

資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ7,535百万円増加し、239,657百万円となりました。為替レートが円高に推移したことにより日本円換算後の資産金額が圧縮されたものの、新規投資により有形固定資産が増加したことや第4四半期における半導体システム機器部門の売上増加に伴い売上債権が増加したことなどによります。

負債総額は前連結会計年度末に比べ1,588百万円増加し、106,466百万円となりました。総資産と同じく円高により負債金額が圧縮されたものの、海外において新規投資に伴い借入金が増加したことや第4四半期における半導体システム機器部門の売上増加に伴い買入債務が増加したことなどによります

純資産は前連結会計年度末に比べ5,947百万円増加し、133,191百万円となりました。為替換算調整勘定が円高により4,150百万円減少したものの、利益剰余金が9,871百万円増加したことなどによります

(3)資本の財源及び資金の流動性の分析

① 財務政策

 当社グループの財務政策は、資産構成に合わせた最適な資金調達を行うことを基本方針としております。事業成長に向けた投資資金需要に対しては、その投資の内容に加え、資本コスト、資金調達環境及び条件、自己資本比率、手許流動性の水準などを総合的に勘案し、長期的な企業価値向上に最も資すると考える方法により対応しております。運転資金需要に対しては内部留保や短期借入債務などにより対応しております。借入債務については、主に社債の発行や金融機関からの調達であります。

 なお、連結子会社が資金調達を実施する際には、グローバルな資金効率を向上させる観点から、グループ内で資金融通を行う一方、外部調達を行うことによる経営規律向上、ガバナンス強化を目的として、金融機関からの借入も実施させております。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

「4 事業等のリスク」を参照。

 

(5)経営戦略の現状と見通し

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、世界で事業展開する分析機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、様々な産業分野のグローバルな市場に対して、分析技術を中心とした事業活動を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」などをもたらすことにより社会貢献することを基本理念としています。

また、連結経営を重視し、世界49社にのぼる当社グループの「人財」・「技術」リソースを活かした連携強化及び融合を積極的に推進しております

② 目標とする経営指標

当社グループは、平成28年2月に5年後の平成32年度を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2020(Mid-Long Term Management Plan 2020)」を策定し、連結売上高2,500億円、営業利益300億円、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上、をめざしております。計画達成に向けて諸施策を推し進めてまいります

③ 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、市場別に自動車計測システム機器、環境・プロセスシステム機器、医用システム機器、半導体システム機器、科学システム機器の5つのセグメントで事業展開をしています。これは5つの異なる市場で事業を行うことにより、各セグメントがそれぞれの強みを発揮すると共に、お互いの弱みを補強しながらバランスよく成長させることを意図しています。セグメントごとの技術やノウハウはお互い連携し合っており、セグメント間で「人財」や生産設備等の事業リソースをシフトすることによって、好調な事業にリソースを一時的に集約させるなど、業績の悪い事業の負担を軽減する柔軟な対応を取ることができ、効率的な経営が可能となっています

当社グループは、“HORIBA Group is One Company.”の経営方針のもと、地域単位での効率化とマトリックス経営を推進しグループ一体となった経営を行ってきました。次のステージとして、平成26年1月に始動した「HORIBAステンドグラス・プロジェクト」 を通じてグループ力をさらに高め、あらゆるお客様に対して分析・計測の真のパートナーとなるべく、“ONE STEP AHEAD”をスローガンに事業成長と事業範囲の拡大を実現します。

  具体的には平成32年に向けての中長期経営計画「MLMAP2020」において、以下の施策を実行します。

 

 ※HORIBAステンドグラス・プロジェクト:「性別・年齢・国籍・障害などを乗り越えて多様な個性・才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現する」をミッションに掲げたプロジェクト。平成26年1月にスタート、平成29年1月にステンドグラスプロジェクト推進室を設立し、グローバルにプロジェクトの成長を加速させる。

 

●重点施策1:当社グループの技術を新分野・新市場に展開、分析・計測の真のパートナーに

前・中長期経営計画で実施した拠点整備や、次の成長を狙った数々の投資を活用し、特に事業成長機会が大きいと考える自動車計測と半導体システム機器部門において大きな成長を期待している他、各事業部門で新たな投資を伴った戦略的な成長を実現します

自動車計測システム機器部門では、HORIBA BIWAKO E-HARBORでの生産拡大と収益性向上を進め、グローバルに規制強化が予想される排ガス規制分野での事業拡大を進めます。また、ECT事業を成長させると同時に、ホリバMIRA社が保有する自動運転技術等に関する試験ノウハウを生かし、次世代モビリティ分野での事業拡大を実現します

半導体システム機器部門では、ハイテク/オンライン化の進む自動車や医療分野等で使用される半導体の飛躍的増加により、半導体製造分野の市場規模拡大が予想されます。当社は、高精度な製品を安定供給する能力を有しており、半導体分野でのさらなる事業拡大をめざします。

この他、成長が大きく期待される燃料電池に代表される代替燃料関連や、バイオ・ライフサイエンス分野、水に関する分析・計測分野など、新たな可能性のある新分野や新市場に、M&Aや新規投資を積極的に行います。各事業部門における技術リソースや顧客ネットワークを相互に活用することで戦略的な成長を実現し、各事業部門での計画達成と同時に、次なる事業の柱を創出します

 

●重点施策2:Super Dream Teamによる企業成長を加速

 これまで当社は、One Companyの経営方針に基づいたバランス経営とマトリックス経営によりグループ一体となった経営を行ってきました。この体制をさらに発展させるため、当社のダイバーシティ推進プロジェクト「HORIBAステンドグラス・プロジェクト」を通じ、多様な人財によるSuper Dream Teamを実現し、既存ビジネスの変革や新ビジネスの創出を加速します。

 

●重点施策3:資産効率の向上により、企業価値の最大化を実現

 前・中長期経営計画においては、グローバル規模で多くの拠点整備や事業買収を実施し、次なる成長に向けた土台作りを進めました。この資産を有効に活用するため、グループ会社や事業部門がそれぞれに資産効率目標を設定し効率運営を徹底します

 

 ※なお、上記の数値目標はあくまでも経営管理上めざす目標であり、将来の様々な要因によって目標とする数値を達成できない可能性があります。

 

(6)経営者の問題意識と今後の方針について

 「3 対処すべき課題」を参照。