以下の文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2019年3月25日)現在、入手しうる情報に基づいて判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、世界で事業展開する分析・計測機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、様々な産業分野のグローバルな市場に対して、分析技術を中心とした事業活動を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」などをもたらすことにより社会貢献することを基本理念としています。
また、連結経営を重視し、世界49社にのぼる当社グループの「人財」・「技術」リソースを活かした連携強化及び融合を積極的に推進しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2016年2月に5年後の2020年度を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2020(Mid-Long Term Management Plan 2020)」を策定し、連結売上高2,500億円、営業利益300億円、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上をめざしております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、市場別に自動車計測システム機器、環境・プロセスシステム機器、医用システム機器、半導体システム機器、科学システム機器の5つのセグメントで事業展開をしております。各市場において設備投資や研究開発投資の循環サイクルなどの特性があり、それぞれに柔軟に対応する必要があります。5つの異なる市場で各事業部門が強みを発揮できるよう、継続的にバランスよく投資を進めています。事業部門間で「人財」や生産設備等の事業リソースを一時的にシフトすることにより、業績の悪い事業の負担を軽減する柔軟な対応をとるなど、互いに補完しながら持続的に成長できる体制を取っております。
当社グループは、“HORIBA Group is One Company.”の経営方針のもと、地域単位での効率化とマトリックス経営を推進しグループ一体となった経営を行ってきました。また、2014年1月に始動した「HORIBAステンドグラス・プロジェクト」(※) を通じてグループ力をさらに高め、あらゆるお客様に対して分析・計測の真のパートナーとなるべく、“ONE STAGE AHEAD”をスローガンに事業成長と事業範囲の拡大を実現します。
具体的には2020年に向けての中長期経営計画「MLMAP2020」において、以下の施策を実行します。
(※)HORIBAステンドグラス・プロジェクト:「性別・年齢・国籍・障害などを乗り越えて多様な個性・才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現する」をミッションに掲げたプロジェクト。2014年1月にスタート、2017年1月にステンドグラスプロジェクト推進室を設立し、グローバルにプロジェクトの成長を加速させる。
●重点施策1:当社グループの技術を新分野・新市場にも展開、分析・計測の真のパートナーに
自動車計測と半導体システム機器部門において大きな成長を期待しているほか、新たな投資を伴った戦略的な成長を実現します。
自動車計測システム機器部門では、HORIBA BIWAKO E-HARBORでの生産拡大と収益性向上を進め、グローバルに規制強化が予想される排ガス規制分野での事業拡大を進めます。また、ECT事業を成長させると同時に、ホリバMIRA社が保有するノウハウを生かし、次世代モビリティ分野でも事業拡大を実現します。
半導体システム機器部門では、自動車や医療分野等で使用される半導体の飛躍的増加により、半導体製造分野の市場規模拡大が予想されます。当連結会計年度においては、2017年12月に増設拡張した堀場エステック阿蘇工場が本格稼働し供給体制の強化に努めました。当社は、高精度な製品を安定供給する能力を有しており、半導体分野でのさらなる事業拡大をめざします。
燃料電池に代表される代替燃料関連や、バイオ・ライフサイエンス分野、水に関する分析・計測分野など、新たな可能性のある新分野や新市場において、M&Aや新規投資を積極的に行います。当連結会計年度においては、電動化車両用バッテリーや燃料電池の試験装置の開発に強みを有するFuelCon社(ドイツ)を買収しました。
各事業部門における技術リソースや顧客ネットワークを相互に活用することで戦略的な成長を実現し、各事業部門での計画達成と同時に、次なる事業の柱を創出します。
●重点施策2:Super Dream Teamによる企業成長を加速
これまで当社は、One Companyの経営方針に基づいたバランス経営とマトリックス経営によりグループ一体となった経営を行ってきました。この体制をさらに発展させるため、当社のダイバーシティ推進プロジェクト「HORIBAステンドグラス・プロジェクト」を通じ、多様な人財によるSuper Dream Teamを実現し、既存ビジネスの変革や新ビジネスの創出を加速します。
●重点施策3:資産効率の向上により、企業価値の最大化を実現
当社グループが保有する資産を有効に活用するため、グループ会社や事業部門がそれぞれに資産効率目標を設定し効率運営を徹底します。2017年より、営業利益と資本コスト(投下資本×社内資本コスト率)を用いた独自の経営指標を導入しました。引き続き資産効率の向上に取り組みます。
また、当社は2015年12月22日開催の取締役会において、以下のとおり「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」を決議しております。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針>
当社は、株主、投資家、お客様、取引先、従業員等の様々なステークホルダー(利害関係者)との相互関係に基づき成り立っています。当社は、世界で事業展開する分析機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、さまざまな産業分野の市場に対して、付加価値の高い製品やサービス、分析技術を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」などに貢献することを使命とし、それによって、全てのステークホルダーに対する企業としての社会的責任(社会貢献)を果たすことができると考えています。
また、当社は、将来の収益を生み出す源泉であり企業の永続を担保する人財・技術力やそれを支える企業文化といった「見えない資産」を大切に育成し、これらを包括する「HORIBAブランド」の価値を高める活動を展開しています。これにより、企業価値向上と様々なステークホルダーとの強い信頼関係の構築をめざします。
当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社に対して投資していただいている株主の皆様には、当社の企業理念及び経営方針にご賛同いただいたうえで、そのご判断により当社の経営を当社経営陣に対して委ねていただいているものと考えます。言い換えれば、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方について、株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと当社は考えており、当社株式の大量取得行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かについても、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えています。
一方、わが国の資本市場において、企業価値の源泉となるステークホルダーの存在を無視して、自己の短期的な利益のみを追求していると思われる株式の大量取得行為があり得ると認識しています。当社としては、上述の社会的責任を果たし、企業価値を向上させることが、このような濫用的な株式の大量取得行為への最善の対応であり、いわゆる買収防衛策の導入は不要と判断しています。
ただ、仮に、このような濫用的な株式の大量取得行為の提案がなされた場合には、株主、投資家の皆様に適切にご判断いただくために、当社経営陣はそのような濫用的な提案の内容や条件について十分検討し、その検討結果及び見解を株主、投資家の皆様に提供することが、重要な責務であると考えています。
また、当社では、株主の皆様に対して善管注意義務を負う経営者の当然の責務として、株式の買付けや買収提案に際しては、当社の企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に判断し、適切な措置を講じます。
そのため、社外の専門家も起用して株式の買付けや買収提案の評価及び買付者や買収提案者との交渉を行うほか、当社の企業価値、株主共同の利益を損なうと判断される株式の買付けや買収提案に対しては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切と考え、関連する法令に従い、適切に対応します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2019年3月25日)現在、入手しうる情報に基づいて当社が判断したものであります。
(1)事業に関するリスク
① 国際的活動に伴う諸リスク
当社グループは、米州・欧州・アジアなど、世界各国で事業活動を行っておりますが、これらの海外市場においては、対象市場の経済状況及び製品需給の急激な変動、競合による販売価格の急激な変化、法律・規制・税制の変更、テロ・戦争等の社会的混乱などのリスクが伴い、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、為替レートの大幅な変動リスクについては、現地生産・現地調達を推進し、また、輸出入取引金額の範囲内において為替予約等を行い、為替変動リスクの軽減に努めております。しかしながら、為替相場の変動は連結決算における円貨換算額に影響を与えるため、当社グループの予想の範囲を超えて為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 買収や提携に伴う業績や財政状態の変化リスク
当社グループは、事業展開を効率よく、効果的に行うために、買収や提携を積極的に行ってきました。今後とも、買収・提携等を行う場合には、業績面・キャッシュ・フロー面への悪影響を回避すべく、十分且つ慎重な検討を重ねてゆく所存であります。しかしながら、それらの買収・提携等が当初の計画通りに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害による設備の破損とそれに伴う納期遅延等リスク
当社グループの製造拠点は、国内(京都府・滋賀県・熊本県)、欧州(フランス・ドイツ・チェコ)、米州(米国・ブラジル)、アジア(中国・韓国・インド)等に分散して展開しております。しかし、万一、大地震等の自然災害が発生した場合、製造拠点の設備修復等に多額の費用が発生したり、サプライチェーンの被害などから生産、物流に影響が出るなどして、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
④ 契約や取引に関するリスク
当社グループでは、お客様、仕入先ほか利害関係者との間で、様々な契約を締結し、これに基づき、信義誠実の原則のもと、事業活動を継続しておりますが、契約の履行や取引の条件などを巡って、利害関係者と見解が食い違う場合がないではなく、こうした場合に損害賠償請求を受ける可能性があります。
⑤ その他の事業に関するリスク
上記のほか、情報システムの停止・誤作動、情報セキュリティへの脅威、事業に関する種々の法規制などに関するリスクがあり、それぞれにつき予防措置を講じておりますが、これらの動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(2)開発・製造に関するリスク
① 製造物責任によるリスク
当社グループは製品・サービスに対して最適な品質管理を行い、信頼性の維持に努めておりますが、予期せぬ欠陥が生じ、それに伴いリコール・訴訟が発生する可能性があります。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的な賠償額を十分にカバーできるという保証はなく、このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
② 新製品開発の遅延リスク
当社グループが活動している分析・計測機器事業は、非常に専門性が高く、高い技術力を必要とされております。そのため、製品開発には多額の投資を行っていますが、予期せぬ事態により、期待した成果が得られない場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
③ 知的財産権に関するリスク
当社グループは、自社が製造する製品に関連して、特許、商標、ノウハウ等の様々な知的財産権を保有し、競争上の優位性を有しております。これらの知的財産権の管理に関しては万全の注意を払っておりますが、万一、第三者から侵害を受けた場合、期待された収益が得られない可能性があります。また将来、他社との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響をもたらす可能性があります。
④ 原材料価格変動のリスク
当社グループは、仕入価格の変動のリスクを考え、必要に応じ先行手配等をしておりますが、仕入価格が大きく変動した場合、仕入価格の変動を販売価格に転嫁するまでに一定の期間を要するため、十分な価格転嫁ができない期間が生じることから、収益性の悪化を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(3)財務に関するリスク
① 有価証券の減損
当社グループは、事業戦略、取引先との関係強化、地域社会との関係維持などを総合的に勘案し、中長期的な企業価値を向上させるため株式を保有しています。毎年、取締役会で株式保有に伴う利益と投資額等を総合的に勘案して、その投資可否を判断していく方針ですが、保有株式の時価の下落により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 固定資産の減損損失
当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 繰延税金資産の回収可能性及び国際税務に関するリスク
当社グループは、将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っておりますが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響をもたらす可能性があります。
また、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
(4)各事業のリスクについて
当社グループは、自動車計測システム機器部門、環境・プロセスシステム機器部門、医用システム機器部門、半導体システム機器部門、科学システム機器部門という5つの事業分野で構成されております。当社グループでは、これら5つの事業分野を確立することで、それぞれの事業分野における損益を相互に補完し合えるような事業ポートフォリオになっておりますが、個々の事業分野には以下のような業績変動要因があります。
① 自動車計測システム機器部門
自動車計測システム機器部門では、自動車メーカー、自動車部品メーカー及び官公庁が主たるユーザーであり、排ガス測定装置が主力製品となっております。そのため、排ガス規制の動向により需要が変動することから、今後の規制動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車計測システムの自動化等により、システム機器が大型化する傾向にあることから、こうした分野の設備投資動向により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、ECT事業では事業の性格上、多額の固定資産を所有しております。自動車メーカーの研究開発動向等により、固定資産の稼働率が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 環境・プロセスシステム機器部門
環境・プロセスシステム機器部門では、大気・水質汚染分析装置等の環境分野の製品において官公庁による環境関連の法的規制の動向により需要が増減し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 医用システム機器部門
医用システム機器部門では、血球計測装置が主力製品です。今後、競争激化や価格競争等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 半導体システム機器部門
半導体システム機器部門では、半導体製造装置用の流体制御機器や半導体メーカーにおける品質管理や研究開発サポート機器が主力製品となっております。当社グループでは、半導体市況の変動による影響を軽減するため、受注から納品までのリードタイムの短縮や顧客のニーズに迅速に対応する体制作りに取り組んでいますが、半導体の急激な需要変動による半導体製造装置及び半導体メーカー等の設備投資動向により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 科学システム機器部門
科学システム機器部門では、研究開発や品質管理等で使用される理科学用分析装置が主力であることから、官公庁の研究開発予算や民間企業の研究開発並びに生産向けの設備投資の動向で需要が増減し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績
当連結会計年度の分析・計測機器業界を振り返りますと、自動車関連では、2017年に欧州、2018年に日本で排ガス新規制が導入されたほか、中国やインドでも今後新規制が導入される予定です。これらに伴う内燃機関制御の複雑化や電動化技術の著しい発展、さらに自動運転といった次世代自動車技術への期待はより一層高まり、国内外の自動車関連メーカーによる設備投資や研究開発投資に積極的な姿勢が見られました。半導体関連では、データセンターの処理量増加やAI、IoTの浸透などにより、メモリーを中心とした半導体需要は大幅に増加しました。その影響を受け、前年に引き続き年前半は半導体メーカーの高い水準での設備投資が続きましたが、年後半からはメモリーへの設備投資において一時的な調整が生じている状況です。環境関連では、中国やインド、東南アジアでの環境規制の強化を背景に、環境・プロセスシステム機器の需要に高まりが見られました。
この間、為替相場を見ますと、当連結会計年度の平均為替レートは、1USドル110.44円、1ユーロ130.35円と、前年と比べUSドルは1.6%の円高、ユーロは2.8%の円安になりました。
このような経営環境のもと、当社グループにおける、当連結会計年度に実行した各事業部門の強化施策といたしましては、次のとおりです。
自動車計測システム機器部門では、電動化車両のバッテリーや燃料電池の試験装置の開発を行うFuelCon社(ドイツ)を買収し、次世代自動車技術に関わるビジネス領域の拡大を図りました。また、2016年に本格稼働したびわこ工場「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」ではさらなる生産効率の向上に取り組み、排ガス新規制による需要の高まりに対応しました。
環境・プロセスシステム機器部門では、成長著しいアジア市場での競争力強化に向け、中国・インドでの現地対応能力の強化に取り組みました。また、水質管理における新規事業「はかるEXpress」を開始し、従来のハードウェア販売に加え、データ販売へのビジネス領域拡大に取り組みました。
医用システム機器部門では、ローム株式会社より微量血液検査システム事業を承継し、製品ラインアップの拡充に取り組みました。
半導体システム機器部門では、半導体製造装置需要の高まりに対応するため増設拡張した株式会社堀場エステック阿蘇工場が本格稼働し、主力製品であるマスフローコントローラーの安定供給体制の強化を進めました。また、ホリバ・インスツルメンツ社(アメリカ)が半導体分野における開発拠点として「HORIBA Reno Technology Center」を開設し、グローバルでの研究開発体制を強化しました。
科学システム機器部門では、ホリバ・インスツルメンツ社(アメリカ)の分光分析技術に関する新しい拠点となる「HORIBA New Jersey Optical Spectroscopy Center」を開設し、開発・生産能力を強化しました。
この他、2018年1月1日付で役員人事異動を行い、代表取締役会長兼グループCEOに堀場 厚が、代表取締役副会長兼グループCOOに齊藤 壽一が、代表取締役社長に足立 正之が就任しました。これにより、グループ経営力の強化やグループ経営体制の明確化、さらなる技術力と開発力強化を図りました。また、日本では、中長期経営計画「MLMAP2020」でも重点項目の一つに掲げる水質計測関連事業の強化を進めるため、2017年に水質計測関連の開発・生産リソースを統合、集約させた株式会社堀場アドバンスドテクノにおいて、水質計測関連事業の成長とグローバルでのブランド力強化に取り組みました。さらに、事業成長を加速させると同時に資産効率の向上をめざし、資産効率を測る当社独自の経営指標「HORIBA Premium Value」を本格導入し、当該指標のグループ全体への浸透を図りました。
こうした経営施策に加え、販売拡大に努力した結果、当連結会計年度の業績は、売上高210,570百万円と前期比7.8%の増収となり、利益面でも営業利益28,838百万円、経常利益28,316百万円、親会社株主に帰属する当期純利益22,313百万円と、それぞれ前期比7.5%、同6.4%、同37.0%の増益となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりであります。
(自動車計測システム機器部門)
アジアを中心に、エンジン排ガス測定装置の販売が増加するとともに、2015年に英国のMIRA社より買収したECT※(自動車開発全般に関するエンジニアリング・試験)事業においても販売が増加しました。この結果、売上高は79,656百万円と前期比8.6%の増収、営業利益は米国での一時的な費用やFuelCon社(ドイツ)の買収費用が発生したものの、7,702百万円と同0.3%の増益となりました。
※ ECT:Engineering Consultancy & Testing
(環境・プロセスシステム機器部門)
アジアにおいて、水質計測装置や大気汚染監視用分析装置が、米州において、プロセス計測設備事業の販売が増加しました。この結果、売上高は19,361百万円と前期比11.1%の増収となりました。利益面では、アジアでの収益性が改善したことなどから営業利益は2,027百万円と同85.3%の増益となりました。
(医用システム機器部門)
アジアにおいて、血球計数装置の販売が増加しました。この結果、売上高は26,012百万円と前期比3.3%の増収となりました。利益面では、研究開発費用が増加したことなどから営業利益は1,823百万円と同4.9%の減益となりました。
(半導体システム機器部門)
足元では一服感があるものの、前期比では半導体製造装置メーカー向けの販売が増加しました。この結果、売上高は57,785百万円と前期比8.4%の増収、営業利益は17,063百万円と同9.1%の増益となりました。
(科学システム機器部門)
企業の高水準な研究開発投資などを背景に販売が増加し、売上高は27,754百万円と前期比6.3%の増収となりました。利益面では、米州で拠点強化に伴う費用などが発生したことなどから営業利益は221百万円と同55.6%の減益となりました。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ12,216百万円増加し、278,136百万円となりました。為替レートが円高に推移したことにより日本円換算後の資産金額が圧縮されたものの、高水準の受注残を背景にたな卸資産が増加したことなどによります。
負債総額は、前連結会計年度末に比べ1,063百万円増加し、116,117百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ11,152百万円増加し、162,018百万円となりました。為替換算調整勘定が円高により減少したものの、利益剰余金が増加したことなどによります。
③キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,503百万円増加し、62,837百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益などにより、19,536百万円のプラス(前期は28,287百万円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、日本、欧州、米州における有形固定資産の取得による支出などにより、11,029百万円のマイナス(前期は13,167百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、3,240百万円のマイナス(前期は9,044百万円のマイナス)となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
自動車計測システム機器 |
85,638 |
12.1 |
|
環境・プロセスシステム機器 |
21,184 |
19.1 |
|
医用システム機器 |
27,351 |
10.0 |
|
半導体システム機器 |
65,070 |
5.6 |
|
科学システム機器 |
28,334 |
8.2 |
|
合計 |
227,581 |
10.0 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前期比(%) |
|
自動車計測システム機器 |
84,703 |
2.9 |
64,690 |
11.8 |
|
環境・プロセスシステム機器 |
19,754 |
8.4 |
5,498 |
7.7 |
|
医用システム機器 |
25,809 |
△0.4 |
3,939 |
△4.9 |
|
半導体システム機器 |
54,076 |
△7.0 |
6,995 |
△34.7 |
|
科学システム機器 |
27,271 |
0.1 |
9,656 |
△4.8 |
|
合計 |
211,615 |
△0.1 |
90,780 |
3.2 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
自動車計測システム機器 |
79,656 |
8.6 |
|
環境・プロセスシステム機器 |
19,361 |
11.1 |
|
医用システム機器 |
26,012 |
3.3 |
|
半導体システム機器 |
57,785 |
8.4 |
|
科学システム機器 |
27,754 |
6.3 |
|
合計 |
210,570 |
7.8 |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2019年3月25日)現在、入手しうる情報に基づいて当社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする繰延税金資産、貸倒引当金、製品保証引当金、たな卸資産の評価、固定資産の減損、退職給付に係る会計処理などについては、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積りおよび判断をしております。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析つきましては「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」に記載しております。
c. 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの財務政策は、資産構成に合わせた最適な資金調達を行うことを基本方針としております。事業成長に向けた投資資金需要に対しては、その投資の内容に加え、資本コスト、資金調達環境及び条件、自己資本比率、手許流動性の水準などを総合的に勘案し、長期的な企業価値向上に最も資すると考える方法により対応しております。運転資金需要に対しては内部留保や短期借入などにより対応しております。借入については、主に社債の発行や金融機関からの調達であります。
なお、連結子会社が資金調達を実施する際には、グローバルな資金効率を向上させる観点から、金融子会社を設立しグループ内で資金融通を行う一方、外部調達を行うことによる経営規律向上、ガバナンス強化を目的として、金融機関からの借入も実施させております。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2016年2月に5年後の2020年度を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2020(Mid-Long Term Management Plan 2020)」を策定し、連結売上高2,500億円、営業利益300億円、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上をめざしております。
当連結会計年度における業績につきましては、積極的なM&Aによる成長に加え、自動車計測システム機器部門および半導体機器部門を中心とした既存事業の着実な成長により、売上高は2,105億円となりました。利益面では、半導体分野の需要拡大を背景にした利益の伸長により、営業利益は288億円となりました。このような利益成長が牽引し、ROE(自己資本当期純利益率)は14.32%と目標を上回りました。
引き続き、MLMAP2020達成に向けて諸施策を推し進めてまいります。達成に向けた施策につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載しております。
当連結会計年度において、新たに決定又は締結した経営上の重要な契約等はありません。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は15,183百万円であり、報告セグメント毎の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)自動車計測システム機器部門
当連結会計年度には、まず、各国排ガス規制の強化に伴ってエンジン・車両開発プロセスでの規制適合要求が増加する中、このような市場に対応するべく、排ガス計測分野での関連製品の拡充とアプリケーション開発に注力しました。最大28成分の濃度を高精度にリアルタイム測定するFTIR(フーリエ変換赤外分光)法エンジン排ガス測定装置「FTX-ONE」を市場投入、車載型排ガス測定装置OBS-ONEの法規対応ソフトウェアを拡充、そして生産ライン向け排ガス測定装置の新製品として「MEXA-1300R」の販売を開始しました。引き続き、データ検証及び適合業務の効率化ソリューションへのニーズが増加しており、今後も、さらなる製品・アプリケーション開発を進めます。
次に、自動車産業において加速する電動化に対する取り組みとして、ホリバMIRA社(イギリス)での先進的バッテリー開発試験設備が稼働したことに加え、電動化車両用バッテリーや燃料電池の試験装置の開発・製造販売を行うFuelCon社(ドイツ)を買収、びわこ工場「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」における、電動化車両用バッテリーや燃料電池などの評価試験室の開設工事を着工しました。電動化車両の開発においても、当社グループの分析・計測技術を統合し、同領域のさらなる拡大と新たな製品・サービスの拡充を進めます。
さらに、自動運転技術の開発ニーズに応えるべく積極的な投資を行い、次世代モビリティに関する新製品やサービスの研究開発を続けております。
当セグメントに係る研究開発費は5,879百万円であります。
(2)環境・プロセスシステム機器部門
当連結会計年度には、ガス計測分野において、2017年に開発を行った汎用マルチガス分析計に加え、幅広い計測ニーズに対応する目的として壁掛けタイプの製品を開発しました。また、大気中のPM2.5中に含まれる元素の分析装置「PX-375」を活用した新たな計測アプリケーションの開発を行いました。
水質計測分野においては、油分測定用の新規抽出溶媒「H-519」、および全窒素全リン計用のデータマネジメントシステム「はかるEXpress」を開発し、上市しました。「H-519」は安全性とオゾン層保護法に抵触しないHORIBA独自の溶媒です。また、「はかるEXpress」は、IoTを活用して計測データを収集し、状況に応じたメンテナンス(Condition Based Maintenance; CBM)や予防保全を提供するシステムです。
当セグメントに係る研究開発費は1,377百万円であります。
(3)医用システム機器部門
当連結会計年度には、小型で白血球の多項目の測定が可能な血球計数CRP測定装置「Yumizen H630 CRP」の販売が本格化し、既存製品の主とした販売先であるクリニックに加え、白血球5分類が要求される、中・小規模の病院の検査室への販売が拡大しました。また、医療法等の一部改正に伴って、検査室における精度管理の要求が高まったことから、IoTを活用したリモートモニタリングサービス「HORIBA MEDISIDE LINKAGE」のバージョンアップを行い、クリニックにある機器の精度管理関連業務を簡便にするソリューションの提供を開始しました。
また、微量血液検査システム事業を、ローム株式会社より事業承継いたしました。消耗品のチップに用いられているμ-TAS(マイクロタス)の開発・生産技術を取り入れることで、当社の得意とするPOCT(Point of Care Testing)事業へのさらなるソリューション提供に期待できます。
さらに、凝固分析装置について、小型から大型でラインアップを揃えたYumizen Gシリーズの製品化を行い、欧州で販売を開始しました。今後、試薬・アプリケーションを拡充し、グローバルに展開をめざします。
当セグメントに係る研究開発費は2,704百万円であります。
(4)半導体システム機器部門
当連結会計年度には、研究開発機能の更なる強化を目的とし、米国ネバダ州のHORIBA Reno Technology Centerの移転拡張や、京都府福知山市の京都福知山テクノロジーセンターの拡張を完了しました。また、半導体最先端プロセスに対応する熱式マスフローコントローラーの新モデルをリリースしたことに加え、薬液濃度モニターに関しても対応可能なアプリケーションの拡大を継続して進めています。
当セグメントに係る研究開発費は2,297百万円であります。
(5)科学システム機器部門
当連結会計年度には、元素分析関連で、蛍光X線分析顕微鏡「XGT-9000」を上市しました。高解像度の顕微鏡・高強度のX線ビームを搭載したことで、デバイス(リチウムイオン電池、半導体)、食品、化粧品、薬品等の製造プロセスで問題となる異物の解析や、半導体パターン等の微小部元素分析や膜厚・付着量測定が可能となります。
また、分光分析関連では、蛍光分光光度計と吸光光度計を搭載し、分析対象の発光特性を解析する蛍光吸光分光装置「DUETTA」を上市しました。医薬品、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、食品化学、環境分析、これらにおける発光特性を有する物質の分析に幅広く貢献します。
さらに、技術開発・生産機能の強化・効率化を目的とし、米国での拠点(HORIBA New Jersey Optical Spectroscopy Center)の整備を行いました。同拠点では、カーボンナノチューブなどの材料やバイオ分野の先端研究に使用される蛍光分光装置、光分析装置に使用する回折格子、分光器、光検出器などの開発・生産・販売を行っています。
当セグメントに係る研究開発費は2,924百万円であります。