第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2024年3月25日)現在、入手しうる情報に基づいて判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、社是「おもしろおかしく」のもと世界で事業展開する分析・計測機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、様々な産業分野のグローバルな市場に対して、分析技術を中心とした事業活動を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」等をもたらすことにより社会貢献することを基本理念としています。

また、連結経営を重視し、世界49社にのぼる当社グループの「人財(※1)」「技術」リソースを活かした連携強化及び融合を積極的に推進しています。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2028年を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2028(Mid-Long Term Management Plan 2028)(※2)」を2024年2月に策定し、「MAXIMIZE VALUE(※3)」のスローガンのもと、連結売上高4,500億円、営業利益800億円、ROE(自己資本当期純利益率)12%以上をめざしています。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、社是「おもしろおかしく」のもと、5つのセグメント(自動車、環境・プロセス、医用、半導体、科学)と、4つの地域(日本、アジア、欧州、米州)によるマトリックス組織を通じてグループ一体となった経営を行い、事業成長を実現してきました。

昨今、持続可能な社会実現の機運が高まり、AI・IoTをはじめとした技術革新がますます進んでいます。一方で、パンデミックの発生や政情不安等、予測困難な事象も発生しています。そのような中、当社グループの使命は、外部環境の変化に柔軟に対応していくとともに、ビジョン「Joy and Fun for All おもしろおかしくをあらゆる生命へ」のもと、「ほんまもん(※4)」と多様性を礎にソリューションで社会課題の解決を実現することです。

ビジョン「Joy and Fun for All おもしろおかしくをあらゆる生命へ」の実現に向けた第一歩として、また、さらなる事業成長と企業価値向上を実現するため、当社グループは「MAXIMIZE VALUE」をスローガンに据えた中長期経営計画「MLMAP2028」を策定しスタートしました。後述する3つの戦略の実現を通じて、2028年に売上高4,500億円、営業利益800億円、ROE12%以上の達成をめざします。

また、「MLMAP2028」実行による事業成長に加え、創出した資金を将来の成長分野に積極的に再投資していくことにより、企業価値を長期的かつ継続的に向上させます。そのための施策として、2017年より導入しているHORIBA Premium Value(※5)を活用することにより、資本コストを意識した経営を引き続き推進します。

 

① 3つの注力分野(エネルギー・環境、バイオ・ヘルスケア、先端材料・半導体)における社会課題解決をめざす事業戦略

新しい社会に欠かせない次の3つの注力分野において、当社グループがグローバルに培ってきたコア技術、生産能力、顧客ネットワーク、サービス能力を有機的に組み合わせ、独自のソリューションを創出し、社会課題の解決に貢献します。

 

<エネルギー・環境>

・ビジョン

「持続可能な地球環境を実現するために、お客様の課題を解決し、信頼される真のパートナーとなる」

・2028年財務目標

売上高 1,580億円 営業利益 158億円 営業利益率 10%

 

当分野で解決をめざす社会課題は、おもにエネルギー分野での取り組みが重要となっている「カーボンニュートラル」の実現です。当社グループは、研究開発・法規認証等の各プロセスに対して、当社グループが培ってきた技術と経験を統合し、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを展開します。

 

<バイオ・ヘルスケア>

・ビジョン

「ユニークなソリューションで、あらゆる生命の「ヘルスケアジャーニー(※6)」を変革し、社会価値を創造する」

・2028年財務目標

売上高 570億円 営業利益 57億円 営業利益率 10%

 

当分野で解決をめざす社会課題は、あらゆる生命が健康でいるために、ウェルビーイングや予防を含めた「ヘルスケアジャーニー」の変革です。当社グループが持つ多様なコア技術とグローバルネットワークを活用し、ユニークなソリューションを提供。POCT(※7)を用いた臨床現場の課題解決やバイオ医薬品の開発・生産プロセスの最適化等に貢献します。

 

<先端材料・半導体>

・ビジョン

「持続可能な社会実現に向けて、先端材料・半導体分野への革新的なソリューションで市場を形成する」

・2028年財務目標

売上高 2,350億円 営業利益 585億円 営業利益率 25%

 

当分野で解決をめざす社会課題は、半導体製造プロセス、関連先端材料、そしてファシリティが互いに関係するバリューチェーンのマトリックス「ウーブンバリューチェーン(※8)」における技術革新です。当社グループは、先端材料分野等に最先端のソリューションを提供し、半導体分野において全方位でお客様のオペレーションをサポートします。

 

<グローバル経営基盤の強化(開発、サービス、生産、ディストリビューション)>

事業戦略を推進するにあたり、各ファンクションでのグローバル経営基盤の強化が不可欠です。それぞれ以下の施策を行い、グローバルレベルでの最適化を実現します。

 

開  発         技術と人財を有機的に結びつけ、ほんまもんの技術を磨く

サービス         高品質なサービスと分析ソリューションで独自のサービスモデルを確立する

生  産         持続可能なバリューチェーンにより安定的に高品質な製品を提供する

ディストリビューション  顧客価値に繋がるソリューションの拡充・流通チャネルの構築を実現する

 

② ホリバリアン(※9)の力を最大限引き出す人財戦略

・ビジョン

「ホリバリアン一人ひとりが『おもしろおかしく』の実践によりその力を発揮し、『ほんまもん』を追求する舞台をグループ全体で創りあげる」

・2028年非財務目標

「全ホリバリアンによるバリュー(※10)の実践」

「『ほんまもん』の価値の創出」

 

当社グループが社会価値を創出するためには、多様なホリバリアンがそれぞれの個性、強み、能力を発揮し、HORIBA(※11)のバリューを実践していくことが不可欠であると考えます。その実現に向け、人財が持つ力を最大限に発揮し、「ほんまもん」を追求する「舞台」をグローバルに創りあげます。

 

③ ソーシャル・インパクトを生み出すサステナビリティ戦略

・ビジョン

「HORIBA独自の手法で、持続可能な社会実現に貢献する」

・2028年非財務目標

「2050年カーボンニュートラル」

「2032年CO2排出量42%削減(Scope 1,2)」

 

当社グループの使命は、独自性の高い製品とソリューションの提供を通じ、持続可能な社会の実現に貢献することです。また、当社グループを含むサプライチェーン全体での対応強化と社会貢献活動の促進に、グローバルレベルで取り組みます。

(注)※1.人財:当社グループでは、従業員を大切な財産と考えて「人財」と表現しています。

※2.MLMAP(Mid-Long Term Management Plan):当社グループでは中長期経営計画を「MLMAP」として社内浸透させています。

※3.MAXIMIZE VALUE:「HORIBAグループのあらゆるVALUE(価値)を最大限に発揮する」ことを表現する「MLMAP2028」のスローガン。「VALUE(価値)」には「ホリバリアンの『価値』」、「社会『価値』」、「顧客提供『価値』」、「技術『価値』」の意味を込めています。

※4.ほんまもん:「ほんもの」から派生した、京都で使われている言葉。当社グループでは、「心をこめてより良いものを追い求めつづけた先に生まれる、唯一無二の価値」を表しています。「ほんまもん」を追い求めるひと、そのひとの行動や努力、その結果として生まれることやもののすべてが「ほんまもん」であり、それらは「ほんもの」を越えて人の心を揺さぶる存在になっていきます。

※5.HORIBA Premium Value:前回の中長期経営計画「MLMAP2023」で導入された、資本効率の最大化を実現するための当社グループ独自の経営指標です。

※6.ヘルスケアジャーニー:健康な生活にはじまり、予防、診断、治療、ホームケアに至るまで、ヘルスケアについて経験する各種イベントとプロセスを、一つの旅路として捉え、「ヘルスケアジャーニー」と表現しています。

※7.POCT(Point of Care Testing):診察室等「患者に近い場所」で行われる検査の総称。

※8.ウーブンバリューチェーン:当社グループでは、半導体製造プロセスを横糸、その工程ごとに存在する関連材料市場を縦糸とし、複合化したバリューチェーン全体を織物(ウーブン)に例えて「ウーブンバリューチェーン」と表現しています。

※9.ホリバリアン:当社グループで働くすべての人を同じファミリーであると考え、ホリバリアンと呼んでいます。

※10.バリュー:我々ホリバリアンを突き動かし、独自性あふれるソリューションを生み出しつづけるための道しるべとして、「チャレンジ精神」、「誠実と信頼」、「卓越の追求」をかかげています。

※11.HORIBA:当社並びに連結子会社及び持分法適用関連会社を指します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2024年3月25日)において当社グループが判断したものです。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、社是「おもしろおかしく」のもと「HORIBA Corporate Philosophy」を制定し、「事業」、「顧客対応」、「投資への責任」、「ホリバリアン」の4項目にて企業価値向上のための基本姿勢を示しています。

HORIBA Corporate Philosophyは当社グループのサステナビリティ方針の根幹であり、分析・計測機器ソリューションプロバイダーとして様々な産業分野のグローバルな市場に対して、分析・計測技術を中心とした事業活動を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」等をもたらすことにより持続可能な社会を実現することを基本理念としています。

 

① ガバナンス

当社グループでは、取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を発足させ、関係する部門長を委員に任命し、サステナビリティの取組を推進しています。また、同委員会で議論された内容は委員長から定期的に取締役会に報告されます。当社グループにおけるサステナビリティの取組は事業を通じて行うことが基本的な考えですが、気候変動への対応をはじめ、社会全体から期待される役割に対し具体的に応えるための検討を、同委員会を中心に実施します。

また、サステナビリティ委員会の下部組織として、実務者による組織横断的な協議、情報交換の場であるESGワークショップを設置しています。サステナビリティ委員会によるトップダウンアプローチや、ESGワークショップによるボトムアップアプローチとの双方向からのアプローチで、当社グループは全方位的にサステナビリティに対応しています。

 

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② 戦略

当社グループでは5年後を目標年度とした中長期経営計画「MLMAP(Mid-Long term Management Plan)」を策定しており、2024年2月には2028年を目標年度としたMLMAP2028を新たに策定し、発表しました。MLMAP2028では、過去20年に渡って進めてきた5セグメント制から3フィールドグループ制に移行し、当社グループが保有する事業ノウハウと技術を、新しい社会に欠かせない3つの注力分野(フィールド)に対して提供、拡大を実現します。また同時に人財育成とサステナビリティ戦略の遂行を事業目標と同じく3本柱の一つとして取り上げ、中期的な戦略立案と実行を推進します。

サステナビリティ戦略「Creating Social Impact by HORIBA」では、「HORIBA独自の手法で、持続可能な社会実現に貢献する」をビジョンに掲げ、HORIBAならではの発想で、持続可能な社会の実現に貢献する活動を進めます。

上記の3つの戦略の実現を通じて、売上高や営業利益等の財務目標を達成するとともに、さらなる事業成長と企業価値向上を実現します。

 

③ リスク管理

当社グループは、持続的な企業価値の向上のために、サステナビリティ項目を含めた全社横断的に対応が必要となるリスクへの対応を、当社取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」及び「グループリスク管理委員会」で、リスク管理の方向性の策定や取組の進捗管理等を行っています。リスク管理の詳細は、「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(2) 気候変動

当社グループは、気候変動への対応は経営上の重要課題の一つとして捉えており、国際的な枠組みである気候変動問題に関するパリ協定目標達成と2050年のカーボンニュートラル社会実現に貢献するため、気候変動に対応する自社の目標を定め、事業を通して積極的にCO2を削減するための取組を進めています。

自社の活動に伴う直接的、間接的なCO2排出量の削減と共に、当社グループが提供する全ての分析・計測装置やソリューションによって、お客様の拠点でのCO2排出削減に貢献します。また、その分析データをお客様が活用することによって、お客様が提供する製品の性能を飛躍的に高め、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減に貢献します。

 

① ガバナンス

当社グループは、経営戦略、事業計画に関連する気候変動への対応を最重要課題の一つとして取り組んでいます。気候関連のリスクと機会は、当社取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」及び「グループリスク管理委員会」で、リスク管理の方向性の策定や取組の進捗管理等を行い、TCFDの提言を参照してリスクや機会について定期的に確認、審議し、また必要に応じて取締役会へ報告しています。

 

② 戦略

当社グループの事業活動に影響を与える可能性がある気候関連のリスクと機会を、シナリオ分析によって特定し影響度の評価を開始しています。気候リスクについては、当社グループからの直接排出に当たるスコープ1の排出削減の検討を開始するとともに、エネルギーの間接排出に当たるスコープ2の再生エネルギー使用への転換検討を開始しています。また、スコープ3においては、資材購入や製品稼働時におけるCO2排出量が最も大きいと想定しており、重点対応項目を特定し、削減対策の実行を進めます。

 

③ リスク管理

当社グループでは、経営に関わる全てのリスク管理を行い、取締役会の監督のもと、各種委員会が対策を協議、決定しています。気候変動に関してはサステナビリティ委員会がリードし、シナリオ分析による影響度評価で特定したリスクを中心に評価を実施します。

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、2050年カーボンニュートラルの実現を目標にしています。そのため、気候変動のリスクと機会を特定、評価していますが、今後カーボンニュートラルに向けた取組を推進していくためにCO2削減の中期目標を設定して取り組みます。

具体的には、当社グループの事業活動によるCO2排出量(スコープ1とスコープ2)に加え、特に排出量が大きく顧客の関心も高い、販売した製品の使用等によるCO2排出量(スコープ3)の削減に向け、環境貢献製品シリーズを定義し、新製品での採用率を高める活動に取り組みます。

また、当社グループとして最も社会貢献度が大きいと考えるのは、当社グループが提供する製品・ソリューションを活用するお客様が、分析・計測ソリューションを通じてCO2削減に直接貢献することです。すなわち、当社グループのビジネスの最大化が、脱炭素社会を実現し、気候関連リスクの低減と機会の増大につながると考えます。

 

当社グループのCO2の削減目標と実績、及び削減に向けた取組の詳細は、ウェブサイトを参照ください。

https://www.horiba.com/jpn/company/social-responsibility/environment/environmental-activities/

 

(3) 人財戦略(人的資本に関する取組)

① 戦略

a.人財戦略

当社グループの事業を通じた社会価値創出の原動力は、多様な人財がそれぞれの個性、強み、能力を主体的に発揮していくことで生み出されます。2023年までの中長期経営計画「MLMAP2023」においては、2014年から開始された当社グループにおけるダイバーシティ推進プロジェクト「ステンドグラスプロジェクト(※1)」のもと、性別、年齢、国籍、障がい等の多様性が活かされて価値を創造し続けるための取組を推進してきました。2024年から始まる新たな中長期経営計画「MLMAP2028」においても、「ホリバリアン一人ひとりが『おもしろおかしく』の実践によりその力を発揮し、『ほんまもん』を追求する舞台をグループ全体で創りあげる」というビジョンのもと、人財育成及び社内環境の整備に取り組みます。

b.人財育成方針

ホリバリアン一人ひとりの「おもしろおかしく」を活かし、当社グループのバリュー「チャレンジ精神」、「誠実と信頼」、「卓越の追求」の実践に向けた育成の取組を進めていくことで、人財という最も重要な資産の価値を最大化していくことを目指します。

 

施策の例

・一人ひとりの人財の多様な強みの発揮、「ほんまもん」へのチャレンジを支え、対話を生む新資格・評価制度の定着と活用

・リーダーシップ研修等を通じたグローバルに活躍するリーダー、グループ経営基幹人財の育成

・高度な専門性を有する人財の活躍を促す人事制度の推進

・ブラックジャック活動(※2)の更なる推進

 

c.社内環境整備方針

ホリバリアンがHORIBAで働くことに「誇り」や「喜び」を感じる気持ち(エンゲージメント)の向上に向けて、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取組、健康で安全な職場環境の整備、「チャレンジ精神」の発揮を応援する施策等を推進するとともに、継続的な検証、改善に取り組みます。

 

施策の例

・エンゲージメントの継続的な検証、改善への取組を進めるためのアンケート

・海外公募研修をはじめとしたグローバルでの多様なキャリア開発、チャレンジの機会の創出

・人権、労働マネジメント体制の整備

・「こころとからだの健康づくり宣言」及び「当社グループ安全宣言」に基づく安全衛生マネジメント体制の推進

・Good Place勤務制度(テレワーク制度)、時差出勤制度等の多様な働き方の効果的な活用の推進

・自律的なキャリア開発を支援する公募型の異動制度等の積極的な推進

・付加価値の向上と従業員報酬引き上げの持続的な好循環

 

② 指標及び目標

多様な人財の活躍をめざす取組の一環として、積極的な採用活動や、育児休業制度の社内周知等を推進しており、中長期経営計画「MLMAP2028」の最終年度の2028年度に向けて、管理職に占める女性従業員の割合への目標設定及び育児休業取得率向上を図っています。なお、従業員に占める男性、女性の割合及び育児休業取得率は以下のとおりです。

 

a.従業員に占める男性、女性の割合

 

 

2023年12月期実績

男性

女性

人数(名)

比率(%)

人数(名)

比率(%)

採用人数(新卒入社)

57

69.5

25

30.5

採用人数(キャリア入社)

113

76.4

35

23.6

従業員数

2,356

75.8

751

24.2

(注) 当社及び国内グループ会社在籍者

 

b.管理職に占める女性従業員の割合

(単位:%)

 

2023年12月期実績

2028年12月期目標

株式会社堀場製作所

9.8

15.0

株式会社堀場エステック

6.1

10.0

株式会社堀場アドバンスドテクノ

9.3

15.0

株式会社堀場テクノサービス

6.4

10.0

 

c.男性育児休業取得率

(単位:%)

 

実績

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

株式会社堀場製作所

35.8

50.0

75.0

90.7

97.4

株式会社堀場エステック

34.9

72.7

71.4

71.4

104.3

株式会社堀場アドバンスドテクノ

-

116.7

33.3

63.6

75.0

株式会社堀場テクノサービス

17.4

16.7

66.7

78.9

61.9

 

(注)※1.ステンドグラスプロジェクト:2014年~2023年に実施された「性別、年齢、国籍、障がい等を乗り越えて多様な個性と才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現する」をミッションに掲げたプロジェクトです。

※2.ブラックジャック活動: 1997年から継続している 「従業員の意識と行動の変革」を目的として現場の挑戦を後押しする当社グループ独自のボトムアップ活動。活動のプロセスから得られる「気づき」「学び」「喜び」が「ほんまもん」の追求を目指す人財育成の起点となっています。

 

3【事業等のリスク】

重要リスクを選定するにあたり、グループリスク管理基本規程に定めるリスク項目をベースに現業部門及び管理部門が当社グループにおける個別のリスク項目を抽出し、各リスクについて、発生の可能性と経営への影響度において3段階の点数付けを行いました。その後、点数化したリスク項目を整理して、当社グループにおけるリスクマップを作成し、グループリスク管理委員会にて協議・承認を行いました。

リスクマップに挙げた項目のうち、下図の網掛け部分に該当するリスク項目を当社グループにおける重要リスクと位置付けて、有価証券報告書に記載しています。

なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2024年3月25日)現在、入手しうる情報に基づいて当社グループが判断したものです。

 

<当社グループのリスクマップ>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発生の可能性

 

(1) 各セグメントのリスクについて

当社グループは、自動車、環境・プロセス、医用、半導体、科学という5つのセグメントで事業を推進しています。これら5つの事業分野をそれぞれ確立しており、損益を相互に補完し合えるような事業ポートフォリオになっていますが、個々の事業分野には以下のような業績変動要因があります。

 

① 自動車セグメント

自動車セグメントでは、自動車メーカー、自動車部品メーカー及び官公庁が主たるユーザーであり、エンジン排ガス測定装置が主力製品となっています。そのため、排ガス・燃費規制の動向により需要が変動することから、今後の規制動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車の電動化や自動運転技術の進展等、自動車産業の構造変化がもたらす自動車関連メーカーの研究開発・設備投資動向が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、各国補助金を受けた事業者が主たるユーザーとなる水素等の新エネルギーや、カーボンニュートラルといった領域におけるビジネスについては、補助金の打ち切り等、政策動向によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。更に、ECT(自動車開発全般に関するエンジニアリング・試験)事業では事業の性格上、多額の固定資産を所有しています。自動車メーカーの研究開発動向等により、固定資産の稼働率が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、世界的に環境問題への規制強化が進む中、行政機関から発信される最新情報の収集を継続的に行うとともに、規制適合や排ガス低減技術開発に必要なエンジン排ガス測定装置の開発と供給に努めています。また、世界的な電動車両に対する需要の高まりを背景に、市場規模の拡大が見込まれるバッテリーや燃料電池の評価装置の生産能力を増強しています。さらに、コネクテッド・自動運転車(CAV)の設計から実車検証まで包括的なサポートを行う開発エンジニアリング機能を増強し、幅広い需要に応えるため事業基盤の強化に取り組んでいます。

 

② 環境・プロセスセグメント

環境・プロセスセグメントでは、大気・水質汚染分析装置等の環境分野の製品において、官公庁による環境関連の法的規制動向及び一般企業の研究開発・投資動向により需要が増減することから、今後の需要動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、グループ間の情報連携を強化し、グローバルでの環境関連規制動向を把握するとともに、環境規制関連以外で使用される製品等、製品ラインナップを拡大することで、リスク低減を図っています。

 

③ 医用セグメント

医用セグメントでは、血球計数装置が主力製品となっています。今後、競争激化や価格競争等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、グループ間の情報連携を強化し、市場要求・競合の動向に合わせて新しい製品・事業の拡大を推進するとともに、現地生産を含むローカライズの推進等により、リスクの低減に努めています。

 

④ 半導体セグメント

半導体セグメントでは、半導体製造装置用の流量制御機器や、半導体メーカーにおける品質管理や研究開発サポート機器が主力製品となっています。当社グループでは、半導体市況の変動による影響を低減するため、受注から納品までのリードタイムの短縮や顧客ニーズに迅速に対応する体制作りに取り組んでいますが、半導体及び半導体製造に関わる技術変化や半導体の急激な需要変動による半導体製造装置及び半導体メーカー等の設備投資動向は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、顧客と地理的に近い場所に拠点を置き、顧客の設備投資情報をはじめとする最新情報を収集し、市場ニーズを迅速に取り込んだ開発を強化する体制を構築しています。生産体制においても需要の増減に合わせ、調達を含めた柔軟な対応ができる体制をとることでリスクの低減に努めています。

 

⑤ 科学セグメント

科学セグメントでは、研究開発や品質管理等で使用される理化学用分析装置が主力であることから、官公庁の研究開発予算並びに民間企業の研究開発や生産向けの設備投資の動向で需要が増減し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、グループ間の情報連携を強化し、医薬品製造や半導体製造プロセスといった成長が見込める産業へ、科学セグメントが有する様々な分析・計測技術の投入を強化することでリスクの低減に努めています。

 

(2) 全社に関するリスク

① 気候変動に関するリスク

気候変動は世界共通の解決すべき社会課題と考えられており、多くの国や地域で脱炭素やカーボンニュートラルをめざす政策や規制の導入が進むとともに、社会からの要求が増大しています。当社グループはこのような変化を事業機会と捉え、環境変化に対する取り組みを進めていますが、対応が極めて困難な事象が発生する場合や、各国補助金を受けた事業者が主たるユーザーとなる水素等の新エネルギー及びカーボンニュートラルといった領域におけるビジネスについては、補助金の打ち切り等、政策動向によっては事業活動の大幅な見直しや費用の増加等、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、当社グループが展開する国や地域の情勢や規制動向等を適切に見極め、経営への影響が最小限になるように取り組んでいます。

当社グループが提供する分析・計測ソリューションは、それを活用するお客様が提供するサービスにおいてCO2削減を実現しています。環境汚染の低減や関連規制への対応に貢献する分析・計測技術の発展に取り組み続けており、気候変動に対しても、エネルギー社会の変革という視点を中心に当社独自の技術を展開し、課題解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

② ビジネスと人権に関するリスク

事業活動を推進する上で、人権への配慮がこれまで以上に求められており、社会からの要求も増大しています。当社グループはもとより人権擁護を支持していますが、予期せぬ事態により人権問題が発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、当社グループは、グローバルでの規範となる「Code of Ethics」を制定しており、その制定にあたり「人権」を重要事項と捉えて、差別の排除・労働の自主性・労働基本権の尊重・救済と再発防止の措置を明示し、社内浸透を図っています。また、国連グローバル・コンパクトへの支持も表明しており、ここで謳われている人権方針と国際的な人権規範も尊重しています。サプライチェーンにおける人権の取り組みについても、人権尊重の指針を示し、人権侵害の未然防止を図っています。

 

③ 情報セキュリティに関するリスク

業務上の人為的ミスや内部不正による情報漏洩、サイバー攻撃による情報の改ざん・破壊・漏洩、各国で整備・強化が進む個人情報保護の法規制に関するリスク等が考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、個人情報保護方針及びセキュリティポリシーを制定し、教育により従業員のセキュリティ意識の向上に努めています。また、情報セキュリティアセスメントを通じて、個人情報・営業情報・技術情報等の機密情報に対してリスクに応じたグローバルな組織的・技術的な安全管理措置を講じています。

 

④ 為替変動に関するリスク

当社グループは世界各国で事業活動を行っていますが、為替相場の変動は連結決算における円貨換算額に影響を与えるため、当社グループの予想の範囲を超えて為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、進出国の政治経済情勢や金融市場動向等の情報収集に努めています。また、適地調達・適地生産の推進、社内規程に基づく輸出入取引金額の範囲内の為替予約取引等を行っています。

 

⑤ 国際情勢に関するリスク

当社グループは世界各国で事業活動を行っていますが、ロシア・ウクライナ、イスラエル・パレスチナの情勢、米中関係の複雑化等、当社グループの事業を取り巻く国際情勢は大きく変化しています。特に海外市場においては、対象市場の経済状況及び製品需給の急激な変動、法律・規制・税制の変更、テロ・戦争等の社会的混乱等のリスクが伴い、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、進出国の政治経済情勢、市場動向、税制、法規制動向等の情報収集、モニタリングに努めています。

 

⑥ 自然災害による設備の破損とそれに伴う納期遅延等のリスク

 地震等の自然災害により、製造拠点の設備修復等に多額の費用の発生、営業・生産等の事業活動の停止を余儀

なくされることで、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策とし

て、当社グループでは、ISO22301の認証を取得し、有事の際の事業の中断・阻害に対して、購買先の複数化、在

庫の適正化、また生産拠点間での生産の多重化に取り組み、事業継続計画(BCP)の運用が経営と確実に密接に

結びついた形で実施され、効果的・効率的・継続的に運用するための体制を整備しています。

 

⑦ 買収や提携に伴う業績や財政状態の変化のリスク

当社グループは、自社の成長や事業の拡大を目的に、企業買収や業務提携を積極的に行っています。しかしながら、それらの買収・提携による事業展開が当初の計画通りに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、買収・提携前のデューデリジェンスを通じてリスクの洗い出しを行っています。また、買収後・提携後には定期的に事業計画と実績との比較・解析を行い事業環境の変化に対応できる仕組み作りを行うと同時に、既存事業との統合等、業務効率の向上に努めています。

 

⑧ 固定資産の減損損失リスク

当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合及び事業の損失が継続するような場合並びに事業の収益性が低下し帳簿価額の全部又は一部を回収できないと判断した場合には固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、投資判断を行う際、その収益性・投資回収予定時期を社内で厳格に精査することに加え、設備投資後は、業績進捗について毎期モニタリングを実施するとともに、業績評価を行っています。また、採算性の悪化が見込まれ、キャッシュ・フローの獲得が期待できない場合には、戦略を立案し、実行することで減損損失の計上リスクの低減を図っています。

 

⑨ パンデミックに関するリスク

感染症拡大によるパンデミックは、営業・生産等の事業活動の停止を余儀なくされることで、当社グループの経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、これまでに経験してきた感染症の対策をもとに、WHOや厚生労働省が発出するパンデミック基準の各フェーズにおける社内や従業員の家庭における対応、内容をまとめ、リモートワーク制度の充実等を進めています。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 経営成績

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、自動車セグメントを中心に販売が増加し、売上高は290,558百万円と前期比7.6%の増収、営業利益は47,296百万円、経常利益は48,251百万円、それぞれ前期比3.2%、3.0%の増益となりました。また、関係会社株式売却益を計上したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は40,302百万円と、前期比18.3%の増益となりました。

この間、為替相場を見ますと、当連結会計年度の平均為替レートは、1USドル140.67円、1ユーロ152.11円と、前年と比べUSドルは6.9%、ユーロは10.1%の円安になりました。

 

セグメント別の状況は、次のとおりです。

 

(自動車セグメント)

アジア、米州においてエンジン排ガス測定装置、また欧州においてMCT(※)事業等の販売が増加しました。この結果、売上高は80,406百万円と前期比19.1%の増収、営業利益は1,209百万円と黒字転換しました(前期は667百万円の営業損失)。

(注)※ MCT:Mechatronics(自動車計測機器)

 

(環境・プロセスセグメント)

欧州において大気汚染監視用分析装置、また米州においてプロセス計測設備事業及び水質計測装置の販売が増加しました。この結果、売上高は24,959百万円と前期比10.7%の増収、営業利益は2,412百万円と同14.8%の増益となりました。

 

(医用セグメント)

血球計数装置等の販売の増加や、新型コロナウイルス感染症に関する制限の緩和が進み、医療機関受診需要が回復したことから、試薬の販売が増加しました。この結果、売上高は32,678百万円と前期比9.8%の増収、営業利益は638百万円と黒字転換しました(前期は99百万円の営業損失)。

 

(半導体セグメント)

半導体メーカーの設備投資が調整局面にあったことから、半導体製造装置メーカー向けの販売が減少したものの、アジア向けの販売が増加したことから、売上高は112,872百万円と前期比1.1%の減収、営業利益は40,580百万円と同3.4%の減益にとどまりました。

 

(科学セグメント)

グローバルに新たな顧客層への拡販が奏功したことや、アジアにおいてラマン分光分析装置等の販売が増加したことから、売上高は39,641百万円と前期比9.4%の増収となりました。利益面では、製品売上構成の変化等により、営業利益は2,456百万円と同1.9%の減益となりました。

 

② 財政状態

当連結会計年度末における財政状態につきましては、総資産は前連結会計年度末に比べ32,287百万円増加し、 449,030百万円となりました。現金及び預金が減少したものの、棚卸資産が増加したこと等によります。

負債総額は前連結会計年度末に比べ10,594百万円減少し、165,298百万円となりました。短期借入金が減少したこと等によります。

純資産は前連結会計年度末に比べ42,882百万円増加し、283,732百万円となりました。利益剰余金が増加したことや、円安により為替換算調整勘定が増加したこと等によります。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8,209百万円減少し、130,550百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により、16,652百万円のプラス(前連結会計年度は33,966百万円のプラス)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、イギリス等における有形固定資産の取得による支出等により、7,315百万円のマイナス(前連結会計年度は10,745百万円のマイナス)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済等により、20,963百万円のマイナス(前連結会計年度は22,447百万円のマイナス)となりました。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

自動車

92,843

30.7

環境・プロセス

27,686

15.8

医用

36,158

9.9

半導体

135,916

△6.6

科学

45,201

8.8

合計

337,806

7.3

(注) 金額は販売価格により、セグメント間取引については相殺消去しています。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

自動車

85,243

△0.6

77,757

6.5

環境・プロセス

26,985

12.6

10,614

24.4

医用

33,402

11.5

5,849

14.1

半導体

96,350

△33.0

55,320

△23.0

科学

38,330

△8.9

17,925

△6.8

合計

280,312

△13.9

167,466

△5.8

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

自動車

80,406

19.1

環境・プロセス

24,959

10.7

医用

32,678

9.8

半導体

112,872

△1.1

科学

39,641

9.4

合計

290,558

7.6

(注) セグメント間取引については相殺消去しています。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容

経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2024年3月25日)現在、入手しうる情報に基づいて当社が判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しています。

連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする繰延税金資産、貸倒引当金、製品保証引当金、棚卸資産の評価、固定資産の減損、退職給付に係る会計処理等については、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積り及び判断をしています。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

a.経営成績等

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析につきましては「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載しています。

 

c.資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループの財務政策は、資産構成に合わせた最適な資金調達を行うことを基本方針としています。事業成長に向けた投資資金需要に対しては、その投資の内容に加え、資本コスト、資金調達環境及び条件、自己資本比率、手許流動性の水準等を総合的に勘案し、長期的な企業価値向上に最も資すると考える方法により対応しています。運転資金需要に対しては内部留保や短期借入等により対応しています。借入については、主に社債の発行や金融機関からの調達です。

なお、連結子会社が資金調達を実施する際には、グローバルな資金効率を向上させる観点から、グループ内で資金融通を行う一方、経営規律向上、ガバナンス強化を目的として、金融機関からの借入も実施させています。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2028年度を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2028(Mid-Long Term Management Plan 2028)」を2024年2月に策定し、連結売上高4,500億円、営業利益800億円、ROE(自己資本当期純利益率)12%以上をめざしています。

当連結会計年度における経営成績は、自動車セグメントを中心に販売が増加し、売上高は2,905億円、営業利益は472億円、ROE(自己資本当期純利益率)は15.4%となりましたが、MLMAP2028達成に向けて、引き続き諸施策を推し進めます。達成に向けた施策及び当連結会計年度における取り組みにつきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、当社の連結子会社であるホリバMIRA社(イギリス)はIveco Defence Vehicles S.p.A.(イタリア)と株式譲渡契約を締結し、保有するMIRA UGV社(現 IDV Robotics社)(イギリス)の株式の一部を譲渡しました。これにより、同社は当社の連結子会社から持分法適用関連会社へ変更となりました。詳細につきましては「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 企業結合等関係」に記載しています。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は20,436百万円であり、報告セグメントごとの研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

(1) 自動車セグメント

当連結会計年度には、欧州次期排ガス規制の測定項目に対応し、ブレーキ、タイヤからの粉塵や、自動車のエンジン等から排出される固体粒子数を連続計測する連続固体粒子測定装置を開発、上市しました。当社グループ独自の統合計測プラットフォームに対応することで、複数装置の測定データを一元管理し、運用の効率化を図り研究開発現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にも貢献します。またコネクテッド・自動運転の分野では、ホリバMIRA社(イギリス)において次世代車両ドライビングシミュレータセンタが本格稼働しました。高性能シミュレーション設備とエンジニアリングサービスを提供することで、先進的な車両評価の実現及び、実車両を使った試験数の大幅削減により、車両開発時に発生する二酸化炭素排出量の削減にも貢献します。

当セグメントに係る研究開発費は5,353百万円です

 

(2) 環境・プロセスセグメント

当連結会計年度には、微量なガス成分を長期間安定稼働で計測する新微量ガス分析計「AP-380シリーズ」を開発し、2024年に上市します。ガス計測性能向上と環境負荷低減設計の両立、リモートオペレーション等の機能追加に加え、ガス計測部をコンパクトにモジュール化したことでお客様の様々な計測ニーズにフレキシブルに応えることを可能にしました。これらにより大気モニタリングシステム市場のみならず、半導体製造やその他多様な産業プロセスの微量ガス計測に貢献します。

当セグメントに係る研究開発費は2,021百万円です。

 

(3) 医用セグメント

当連結会計年度には、国内向け小型5分類自動血球計数装置を開発、上市しました。本製品は従来製品より省スペース化を実現し、操作性が向上しました。採血管の自動セット機能を搭載したモデルもラインアップし、病院検査室の効率的な測定ニーズにも対応しています。

また、当社グループ機器のコンディションを見守るリモートモニタリングサービスを刷新し、自動データ収集や予知保全項目の拡充等、リモートモニタリング機能が向上しました。その他にも、アジア向けの遠心方式血液分析装置、動物病院向け自動血球計数装置を開発し、上市しました。

新型コロナウイルスが感染症法上の5類に引き下げられて以降、人々の医療機関の受診機会の回復を受けて、医療従事者の負担軽減に寄与し、迅速で信頼性の高い検査を実現しています。

当セグメントに係る研究開発費は3,111百万円です。

 

(4) 半導体セグメント

当連結会計年度には、次世代半導体製造プロセスに対応する圧力式マスフローコントローラーの通信仕様や小流量仕様等を追加し、用途の対応範囲を拡大した製品を開発、上市しました。露光工程で使用されるレティクル/マスク異物検査装置は、複数カセットや異物除去ユニットと複合可能な製品の開発に注力しました。ウェットプロセス向け製品では、薬液濃度モニターのバリエーション拡大のための研究開発を進めました。大学や研究機関等のアカデミアとの共同研究を通じて要素技術開発も継続投資しています。

当セグメントに係る研究開発費は6,049百万円です。

 

(5) 科学セグメント

当連結会計年度には、これまで主に研究開発や品質管理用途で使用されてきた汎用的なラマン分光、蛍光分光、蛍光X線、微小粒子径分布測定技術を、生産工程における状態監視モニタリングへ適用するための基礎研究、開発を推進しました。化学、製薬、電池、半導体分野の製造プロセスをターゲットとし、生産工程における各種反応プロセスや、その場での測定、生成品の仕上がり検査を目的とするデータ解析を含む専用装置の開発を行っています。サンプリング評価やデータマネジメントの開発では他のビジネスセグメントとの連携を図り、2024年にプロセス計測装置の上市を計画しています。また、研究開発用途の高機能汎用装置の開発はフランス、アメリカ、日本の各開発拠点で継続し、理化学製品ビジネスの伸長を担っています。

当セグメントに係る研究開発費は3,899百万円です。