(1)経営方針、経営環境
①会社の経営の基本方針
当社グループは、株主様、お客様・お取引先様、社員とその家族、地域社会、地球という5つの存在が当社グループを支えていただく主体であると認識し、当社グループとの間に「信頼」を築き上げていくことを企業使命として、これに基づき企業価値向上を目指すことを経営の基本方針としております。
②経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
今後の経済見通しにつきましては、いまだ新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、収束の時期や感染拡大による影響が全く見通せないため、先行きは非常に不透明感の強い状況にあります。
当社グループの属する電子部品業界におきましても、自動車業界を中心に産業全体に与える影響が大きく、見通しが非常に困難な状況にあり、今後の受注動向に対しては慎重な見方が必要であります。利益面においても、原材料価格の上昇、為替変動等の懸念材料があります。しかしながら中長期的にみれば、“Society 5.0”に代表されるサイバー(仮想)空間と現実社会を高度に融合させたシステムで、経済発展と社会的課題の解決を両立させるアプローチは、自動運転をはじめとしてすでに現実のものになっております。サイバー空間への入り口は「センサ」であり、1年間に全世界で1兆個のセンサが使用される「トリリオン(兆)・センサ社会」も近づいております。
このような経営環境下において当社グループは、研究開発型企業を目指して、世の中の変化、お客様の要求に柔軟に対応し、お客様と共に安心・安全な未来を創る活動を進めており、それに必要な投資も先行的に行っております。具体的にはROE8%を目標値とした中期経営計画を策定しております。品質・信頼性を重視する市場を中心に、高付加価値製品を提供し継続的に競争力を高めるとともに、イノベーションの動向を予測し、そこで必要とされる技術や製品開発に経営資源を投入し、お客様と共に新たな価値を創造する活動を進めております。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
エレクトロニクス業界は、「環境」「安全」「利便性」をキーワードに進化する自動車分野における技術革新に代表されるように、更なる市場の発展が見込まれる一方、国際的な価格競争力、製品品質と信頼性、顧客への技術提案力に加えて、将来にわたり安定した製品供給ができる企業が求められております。
このような業界のなかで当社グループは、今後も抵抗器専業メーカーとして車載、産業機器、医療、環境・エネルギー等、今後の技術革新で成長が期待できる分野と、品質と信頼を重視する分野にフォーカスし、お客様のご期待にお応えしてまいります。
具体的には、技術革新等により今後の拡大が期待される市場において、技術提案活動等の強化によって高付加価値製品の販売比率を向上させることで事業構造の改革を進め、業績向上に努めてまいります。さらに、桁違いの品質を求められる市場での競争優位性を確保するため、引き続き「ゼロディフェクト・フローの構築」を全グループの目標に掲げ、品質・信頼性向上の活動を進めてまいります。併せて、生産性の大幅な向上を目指した改善活動と経費削減活動の継続により、収益性の向上を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える定量的な影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループのリスク管理について、リスク管理規程に基づき取締役を委員とする「リスク管理委員会」を設け、外部環境・内部環境の変化に伴う経営の機会とリスクを管理し、リスクの軽減及び会社損失の最小化を図るべく、必要な措置を事前に講じるよう取り組んでおります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 人材について
当社グループは、社員・家族との間に信頼関係を構築することを企業ミッションの一つとする中で人材の採用と育成を行っております。事業計画の達成やイノベーションへのチャレンジのために社員一人ひとりが信頼しあったチームワークの中で自分の力を精いっぱい出し切り、仕事の充実感を味わいつつ目標を達成してゆける職場環境を目指しておりますが、少子高齢化や人材の流動化により、十分な人材の採用や育成ができなかった場合、イノベーションへの対応の遅れなどで競争力を失い当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 自然災害やパンデミック、紛争等の発生について
当社グループの一部の製品は世界の複数拠点で生産するなどの一定のリスク分散が図られておりますが、地震・洪水等の大規模な自然災害やパンデミック、紛争等の発生により、当社の営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産の遅延・停止等を受けて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、当社グループにおきましては、今日現在、海外拠点を含め感染者は発生しておりません。このことは、中国で感染拡大が明確になった1月下旬には社内に対策チームを発足し、その後緊急事態対応規程に基づいて当社グループでの迅速な対応を決める「全社本部」を設置しました。これらのことが、早い段階で社員の感染予防意識を高めることの一助になったものと考えております。当社グループの緊急事態対応の方針は、「社員とその家族の人命を最優先」となっており、それに即して社員とその家族の安全・安心を中心に感染防止対策を行ってまいりました。感染防止のため、早期より業務による移動の自粛やテレワーク、時差出勤などの即時導入を行いました。また、当社グループの生産拠点においては、中国の拠点では政府および自治区からの休業指示により2020年1月末から2月中旬にかけて、マレーシアの拠点では政府からの休業指示が長期にわたり3月中旬から5月中旬にかけて休業いたしましたが、現在は両国拠点とも通常稼働となっております。一部材料においての調達不安や、輸出を中心とした物流体制の混乱も見られますが、各拠点間で連携しながら適切に対処しております。COVID-19感染拡大に伴い世界景気の悪化も懸念されており、市況が大きく減退した場合には当社グループの操業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がありますが、この混乱の収束時期の見通しは不透明であるため、現時点において影響額を合理的に見積ることは困難です。
(3) 海外展開について
当社グループは、市場のグローバル化に対応して生産及び販売拠点を海外に展開しております。このため、進出国の経済動向及び政治・社会情勢に変化が起こった場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、輸出入規制や外貨規制、法令・税制等の変更など予測できない事態が発生した場合も当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、移転価格税制に基づく課税リスクへの対応として、グループ内に移転価格ポリシーを導入し当該リスクの低減に努めております。
(4) 製品の欠陥について
当社グループは、「Quality 1st」を経営方針のひとつとして掲げ、「ゼロディフェクト・フローの構築」に向けた改善活動を進めておりますが、万一製品の欠陥により市場クレームやリコールなどの重大な問題が発生した場合、多額の損害賠償金の支払いや売上の減少等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 情報システムについて
コンピューターウイルスの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、システム停止等の被害を受けるリスクがあります。これに対して当社グループは、サイバー攻撃に対してハードウエアの装備と機密情報の保護のための全社的な研修を行うことで情報セキュリティの確保に取り組んでおりますが、このような事態が発生した場合は、追加対応や損害賠償等の多額の費用負担により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)価格低下について
当社グループは事業を展開する市場において激しい競争にさらされており、電子部品の製品価格が低下する傾向にあります。当社グループでは価格低下に対して新製品の投入並びにコスト削減等により利益の確保に努めておりますが、競争の更なる激化が業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、製品価格が大きく下落する場合は棚卸資産の評価損処理を行う可能性があります。
(7) 原材料について
当社グループの主要製品に使用しております原材料の中には、希少金属など国際市況に大きく影響を受けるものがあります。これに対して不良率の低減や製品設計の変更による材料使用量の削減など、その影響度を低減するための対策を実施しておりますが、これらの対策を超えた急激な原材料価格の高騰が生じた場合、製品コストに重大な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 経済状況について
当社グループは、売上高の9割以上を電子部品が占めております。電子部品は携帯電話やパソコン等の情報関連機器をはじめとした民生機器や自動車、産業機器等の幅広い分野で使用されているため、特定業界の景気動向による影響を受けにくい傾向にありますが、景気変動に伴う個人消費や企業の設備投資の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替レートの変動について
当社グループは、生産及び販売拠点を海外に展開しているため各国での外貨建て取引があります。このため、為替変動リスクに関しては為替予約を締結する事によりリスクを最小にする努力を行っておりますが、為替の大幅な変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 棚卸資産について
当社グループはお客様の短納期要求に対応して主に海外の販売拠点において製品在庫を保有しております。生産拠点では受注生産を基本にリードタイム短縮を図り棚卸資産の削減に努めておりますが、お客様の需要予測の変動等によって在庫が大きく増加するリスクがあります。販売可能性が見込まれない在庫が発生した場合は棚卸資産の評価損処理を行う可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、景気の停滞感が急速に強まっております。人やモノの移動制限に伴い不要不急の消費が控えられるとともに、経済活動の停止により雇用や投資に大きな影響が出始めております。
米国では雇用情勢の改善等を背景に個人消費が堅調に推移しましたが、設備投資や外需の低迷等による企業部門の悪化等により景気は減速傾向となりました。アジアでは中国において、インフラ投資は堅調ながら、米中貿易摩擦の影響による個人消費の悪化や企業が設備投資を控えたこと等により景気の減速が継続しました。また、欧州でも自動車部門等の製造業を中心とした企業業績の悪化等により減速傾向となるなど、全体として景気の回復力が鈍化しました。我が国経済では雇用情勢の改善等を背景に個人消費が緩やかに回復しましたが、世界景気の回復力が弱まっていることから輸出・生産が弱含んでおり、全体として景気は横ばいで推移しました。
当社グループの属する電子部品業界におきましては、中長期的には電子化の進行により自動車関連市場が引き続き拡大するものの、当期においては世界景気の減速やお客様の在庫調整の影響を受け自動車向け等は弱含みで推移しました。
このような環境のもと、当社グループは品質・信頼性を重視する市場を中心に、高付加価値製品の拡販等の活動を進めるとともに、将来に向けた研究開発投資を増加させてまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高50,020百万円(前年同期比5,874百万円減、10.5%減)、営業利益1,465百万円(前年同期比4,205百万円減、74.2%減)、経常利益1,727百万円(前年同期比4,577百万円減、72.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,077百万円(前年同期比58百万円増、5.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
セグメントの経営成績は、日本においては売上高41,653百万円(前年同期比6,575百万円減)、セグメント損失34百万円(前年同期比3,923百万円減)、アジアにおいては売上高24,499百万円(前年同期比4,480百万円減)、セグメント利益618百万円(前年同期比298百万円減)、アメリカにおいては売上高7,956百万円(前年同期比1,120百万円減)、セグメント利益225百万円(前年同期比311百万円減)、ヨーロッパにおいては売上高6,823百万円(前年同期比353百万円減)、セグメント利益410百万円(前年同期比19百万円増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ585百万円増加し、当連結会計年度末には14,578百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は4,094百万円(前連結会計年度は2,146百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,435百万円の計上、減価償却費3,437百万円の非資金項目の調整等によるものです。主な減少要因は、訴訟和解金1,334百万円の支払い等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は5,477百万円(前連結会計年度は4,261百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出5,413百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により増加した資金は2,161百万円(前連結会計年度は1,294百万円の減少)となりました。主な増加要因は、短期借入れによる収入2,250百万円、長期借入れによる収入2,535百万円等によるものです。主な減少要因は、配当金の支払額1,333百万円、短期借入金の返済による支出1,250百万円等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
36,906 |
86.8 |
|
アジア(百万円) |
12,560 |
84.2 |
|
アメリカ(百万円) |
241 |
105.1 |
|
ヨーロッパ(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
49,707 |
86.2 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 上記の金額には、商品仕入を含んでおります。
b.受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
19,269 |
92.7 |
3,167 |
99.9 |
|
アジア |
15,848 |
84.2 |
3,045 |
95.9 |
|
アメリカ |
7,686 |
86.7 |
1,334 |
83.8 |
|
ヨーロッパ |
6,882 |
97.6 |
395 |
117.6 |
|
合計 |
49,687 |
89.5 |
7,942 |
96.0 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
19,272 |
92.8 |
|
アジア(百万円) |
15,979 |
84.5 |
|
アメリカ(百万円) |
7,944 |
87.9 |
|
ヨーロッパ(百万円) |
6,823 |
95.1 |
|
合計(百万円) |
50,020 |
89.5 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループの資産は、有形固定資産等が増加したものの、受取手形及び売掛金等の減少により、前連結会計年度末と比べて1,496百万円減少し、当連結会計年度末は75,858百万円となりました。
負債につきましては、訴訟和解金の支払いを実施したこと等により未払金等が減少したものの、短期借入金や長期借入金等の増加により、前連結会計年度末と比べて126百万円増加し、当連結会計年度末は17,642百万円となりました。
純資産につきましては、有価証券評価差額金等の減少により、前連結会計年度末と比べて1,623百万円減少し、当連結会計年度末は58,216百万円となりました。
売上高は、50,020百万円(前年同期比5,874百万円減、10.5%減)となりましたが、この要因としましては、日本においては、自動車向けは堅調に推移しましたが産業機器をはじめとしてその他用途全般が振るわなかったこと、アジアにおいては、エアコン向けは引き続き底堅い需要がありましたが、自動車、産業機器、電源、通信向け等多くの用途に渡って低調に推移したこと、アメリカにおいては、自動車や代理店向けの需要が減少したこと、ヨーロッパにおいては、自動車向けは堅調に推移しましたが産業機器向けが減少したこと等によるものと分析しております。
利益面におきましては、営業利益は1,465百万円(前年同期比4,205百万円減、74.2%減)となりましたが、この要因は売上高の減少に加え、原材料に含まれる希少金属の相場上昇による変動費増加により限界利益率が悪化したことや、前連結会計年度に実施した設備投資により減価償却費等が増加したこと等によるものと分析しています。経常利益は、1,727百万円(前年同期比4,577百万円減、72.6%減)となりましたが、この要因は前述の営業利益の減少に加え、為替差損等が増加したことによるものと分析しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、1,077百万円(前年同期比58百万円増、5.7%増)となりましたが、この要因は、紛争和解金371百万円、法人税等358百万円を計上したことによるものと分析しています。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、当社グループは、ROE(自己資本利益率)8%を目標値とした中期経営計画を策定しております。品質・信頼性を重視する市場を中心に、高付加価値製品を提供し継続的に競争力を高めるとともに、イノベーションの動向を予測し、そこで必要とされる技術や製品開発に経営資源を投入し、お客様と共に新たな価値を創造する活動を進めております。当連結会計年度におけるROEは1.8%(前年同期比0.1ポイント改善)となりました。前連結会計年度と同様に目標値と比較してROEが低い水準であった要因としましては、前連結会計年度に計上した訴訟和解金4,806百万円に対して当連結会計年度は紛争和解金371百万円の計上に留まったことから特別損失が減少したものの、売上高の減少や原材料価格の高騰等により営業利益が低迷した影響が大きいことによるものと分析しています。引き続き品質・信頼性を重視する市場を中心に、高付加価値製品の拡販等の活動を進めるとともに、将来に向けた研究開発投資を増加させ、当該指標の改善を目指してまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として次のものがあります。売上高におきましては、景気動向に伴う電子部品需要の変動が重要な影響を与える要因になりますが、今後の経済見通しにつきましては、いまだ新型コロナウイルスの感染拡大が続いており収束の時期や感染拡大による影響が全く見通せないため、景気の先行きは非常に不透明感の強い状況にあります。当社グループの主要な販売先である自動車業界の需要見通しも非常に困難な状況にあります。利益面におきましては、金属材料相場の上昇による材料コスト増加や、海外売上比率及び日本での生産比率が高いことから円高ドル安等の為替変動により利益が減少する要因となりますが、一部の希少金属の相場が高止まりしている状況にあります。
②キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用によるものです。当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が主要な部分を占めています。研究開発費については、前連結会計年度の2,187百万円と比較し56百万円(2.6%)増加し、2,243百万円となりました。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、注力する製品の生産能力拡大、新製品の開発、国内外の製造拠点での品質や生産性向上等のための設備投資です。当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の5,599百万円と比較し、25百万円(0.5%)減少し、5,573百万円となりました。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。このため、当社グループの運転資金および設備投資資金は、主として自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入れによる資金調達を実施することとしています。前連結会計年度まで金融機関からの借入金は非常に少ない状況が継続しておりましたが、前連結会計年度と当連結会計年度に支払いを行った訴訟和解金が多額であったことから、運転資金に充てるために当連結会計年度において複数の金融機関からの借入れを実施しました。これらの借入金について、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できるとともに、引き続き今後の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えています。また主要な取引金融機関とは良好な取引関係を維持しており、安定的な資金調達が適時実施可能と認識しています。なお、当社は資金調達の機動性を高めるため、複数の金融機関との間に2,000百万円の借入枠(コミットメントライン)を設定しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
a.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過年度実績率を基礎とした将来の貸倒予測率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
b.棚卸資産の評価
当社は、棚卸資産が適正な価値で評価されるように評価損の金額を見積っております。過剰、滞留、並びに陳腐化した棚卸資産に対して評価損を計上しております。また、棚卸資産は正味実現可能価額まで評価損を行っております。当社は通常、一定の保有期間を超える棚卸資産を滞留もしくは陳腐化していると見なします。また、当社では、将来の需要予測や市況そして関与する経営者の判断のもとに、一定の保有期間に満たない棚卸資産についても評価損を計上することがあります。
c.確定給付制度
確定給付型退職制度の制度資産及び確定給付制度債務に基づく積立超過または積立不足の状況は、連結貸借対照表の資産もしくは負債として認識し、会計年度中の積立状況の変化は当該年度の包括利益の増減として認識します。確定給付制度債務は数理計算に基づき決定され、その計算には前提条件として、割引率、昇給率などが基礎率として用いられます。当社は優良債券の利回り等を参考に割引率を決定します。昇給率は主に過去の実績、近い将来の見通し、物価変動などにより決定されます。当社は毎年、数理計算の基礎となる前提条件を見直しており、必要に応じてその時点の市場環境をもとに調整を行っております。
日本及び世界的な経済の停滞により、当社が割引率を引き下げる場合には、確定給付制度債務や確定給付費用が増加します。
d.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、回収可能な範囲において資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加計上する可能性があります。また、法人税率が引き下げられた場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額を減額する可能性があります。
e.投資有価証券の減損処理
当社グループでは投資有価証券を保有しており、評価方法は時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しております。保有する有価証券につき、時価のあるものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、時価のないものは投資先の業績状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損処理を行っております。
当社グループでは投資有価証券について必要な減損処理をこれまでに行ってきておりますが、この基準に伴い、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現状の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。
f.固定資産の減損
当社グループでは固定資産の減損について、主として事業の種類別に資産をグルーピングし、減損の兆候の有無の判定を行なっております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フロー等を見積り、減損の要否を判定いたします。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減損処理いたします。
該当事項はありません。
当社グループは、高精度・高信頼性が求められる自動車や産業機器分野に引続き注力すると共に、近い将来実現するであろう“超スマート社会”に貢献できるよう、新製品開発およびセンサ素子やセンサモジュール製品の開発に取り組んでいます。
世界的な活動である「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成により、人々が安心・安全で豊かな生活を持続できる新しい社会の実現のために、現在さまざまなイノベーションが起きています。例えば自動車分野では、モビリティ革命を表す4つのメガトレンド「CASE」(Connected(コネクテット)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(シェアリングサービス)、Electric(電動化))が進行しており、世界各国で交通事故による死亡者ゼロ実現のためのADAS(先進運転支援システム)や自動運転の実用化、および温室効果ガス排出量削減のための規制がますます厳しくなり、それに対応するため環境対応車の技術革新が進んでいます。また、働き方改革が進むなか、生産性向上のために工場の生産設備はIoT化やロボットが活用され、またICTを活用したテレワークなど新たな働き方も普及しつつあります。さらに、近年実用化された次世代通信5Gは、自動車・医療・産業インフラ・エンターテイメントなど、さまざまな分野で技術革新が期待されています。これらの技術革新にはさまざまなセンサが必要であり、近い将来訪れるであろう「トリリオン・センサ社会」では新たなセンサが期待されています。
このような背景から、当社グループは抵抗器で培った基盤技術を活かしたセンサ素子やセンサモジュール製品の開発に力を入れています。以前より事業化に向けマーケティング活動を続けてきたシャントモジュールや、風速をセンシングして見える化する当社独自の技術である「風の見える化」のセンシングモジュールは、早期の上市を目指し本格的な製品開発をしています。また、「風の見える化」でも使用している白金薄膜温度センサにおいては、自動車の熱式流速センサ向けに小型で特性の良い新製品や、パワーモジュールの温度制御用のワイヤーボンディング対応品など、将来に向けた新製品開発を進めています。温度センサ以外にも、酸素センサ・傾斜センサ・ひずみセンサなど、新事業創出のためにマーケティング活動を推進し、新たな社会に向けお客様と共創する取り組みを進めています。センサ素子やセンサモジュール製品の開発には、技術者増員・開発用設備の導入・マーケティング活動の強化など積極的な投資を行い、価値ある新製品を早期に市場投入できるよう開発を進めています。
また、今後さらに普及が進むであろう環境対応車では、排ガス規制の要求に対応するためにセンシング回路のさらなる高精度化の要求があり、より高精度な薄膜チップ抵抗器や高電圧を精度よく検出できる高電圧用分圧薄膜抵抗器など、ラインアップ拡充に向けた新製品開発を積極的に進めています。そして、センサ市場の拡大による高精度薄膜チップ抵抗器の需要拡大に対応するために新工場を建設し増産体制を整えました。
産・学・官の連携では、近年のコンピューター技術も取り入れながら、将来必要とされる新材料や新技術の開発の加速を図っています。そして、国内だけでなく海外の大学や研究機関とも共同研究を行い、未来の新事業創出に向けた研究開発に注力し、将来の市場の要求にタイムリーに新製品を提案できるよう、先行投資を積極的に行っていきます。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
また、当社グループの研究開発活動は、セグメント区分における「日本」にて行われております。