第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、医用電子機器専門メーカとして、「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造する」ことを経営理念としています。そしてその実現に向け、商品、販売、サービス、技術、財務体質や人財などすべてにおいて、お客様はもとより、株主の皆様、取引先、社会から認められる企業として成長し、信頼を確立することを基本方針としています。
 この基本方針の実現および当社グループの中長期的な企業価値向上のため、経営の健全性・透明性・効率性の向上を目指す経営管理体制の構築により、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な経営課題であると考えています。
 当社は、監督機能の強化、経営の健全性・透明性の向上、経営の意思決定の迅速化を図るため、監査等委員会設置会社を選択するとともに、社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会を設置しています。また、独立社外取締役を4名選任しており、取締役会に占める比率は3分の1となっています。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、企業価値・株主価値増大に向けて連結ROE(連結自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」において、12.0%の水準を確保することを目標としています。
 中期経営計画の推進による売上、利益の成長を最優先としつつ、在庫圧縮など資産効率の改善、株主還元の充実により、経営指標の達成を目指します。

 

(3) 会社の対処すべき課題と中長期的な経営戦略

当社は、2010年に10年後のあるべき姿として長期ビジョン「The CHANGE 2020 -The Global Leader of Medical Solutions-」を策定し、「目指すべき将来像」として、(ⅰ)世界初の革新的技術の確立、(ⅱ)世界最高品質の確立、(ⅲ)グローバルシェアNo.1の獲得、を掲げています。

<中期経営計画「TRANSFORM 2020」(2017年度~2019年度)>

3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」は、長期ビジョンの実現に向けた最終ステージであり、高収益体質への変革を目指しています。当社のコア技術であるHuman Machine Interface(HMI)(※)をさらに強化し、医療現場の課題解決につながる革新的技術(Innovation)、品質(Quality)、臨床的価値(Clinical Value)の3つの顧客価値を創造、提供し続けることで、収益力の向上を図ります。
※HMI:人間と機械との接点。当社の場合、センサ技術、信号処理技術、データ解析技術の総称。

Ⅰ. 基本方針

(ⅰ)高い顧客価値の創造

・コア技術を最大限に活かし、顧客価値の高い自社製品の開発・販売に注力します。

・独自技術によりセンサ等消耗品の競争優位性を高めるとともに、医療の効率化や患者安全に貢献するサービスを拡充し、消耗品・サービス事業の拡大を目指します。

・専門性の高いグローバル販売・サービス体制を構築し、顧客満足度の向上を図ります。

(ⅱ)組織的な生産性の向上

・マザー工場である富岡生産センタを中心に生産改革を推進するとともに、グループ最適なグローバル・サプライチェーンを構築し、生産性の向上と世界各国へのタイムリーな製品供給を目指します。

・総合技術開発センタにおける充実した研究開発・試験環境を最大限活用するとともに、プロセス管理、品質管 理、生産技術による支援体制を強化し、開発効率の向上を図ります。

・業務プロセス改革とIT利用の推進により、社員一人ひとりの生産性の向上を目指します。

 

Ⅱ. 6つの重要課題
(ⅰ)地域別事業展開の強化

国内での持続的成長、海外での飛躍的成長を実現するため、日本、先進国、新興国市場の事業展開を強化します。

(ⅱ)コア事業のさらなる成長

持続的イノベーションと市場環境の変化への迅速な対応により、コア事業のさらなる成長を目指します。

(ⅲ)新規事業の創造

環境変化や技術革新に伴う新たな市場ニーズをとらえ、将来のコア事業となりうる新規事業を創造します。

(ⅳ)技術開発力の強化

革新的技術、最高品質、高い臨床的価値の源泉となる技術開発力のさらなる強化を図ります。

(ⅴ)世界トップクオリティの追求

世界中のお客様にのちのちまで満足いただけるよう、全社全部門、全ての活動においてトップクオリティを確保します。

(ⅵ)企業体質の強化

グローバル企業への成長を推進するため、グローバル経営管理体制を構築するとともに、「医療」「環境」「企業活動」を重点領域としたCSRを推進します。

Ⅲ. 人財育成・組織風土改革

経営理念の実現に向けて、新たな人事制度・人財育成プログラムを導入し、自律的に行動する人財の育成、自由闊達で創造的な組織風土の醸成に取り組みます。

 

(4) 会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念、企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。
 当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと考えており、大量買付行為が企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
 しかしながら、大量買付行為の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対して明らかな侵害をもたらすもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆様に十分な情報や検討時間を与えないもの等、企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
 このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付行為に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

② 基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要

・企業価値向上への取り組み

当社は、「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造する」という経営理念のもと、これに適った事業活動を永続的に展開していくことで、グループの持続的な発展と企業価値の向上を目指しています。
 当社は、2010年に10年後のあるべき姿として長期ビジョン「The CHANGE 2020 -The Global Leader of Medical Solutions-」を策定し、「目指すべき将来像」として、(ⅰ)世界初の革新的技術の確立、(ⅱ)世界最高品質の確立、(ⅲ)グローバルシェアNo.1の獲得、を掲げています。
 2017年度からスタートした3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」は、長期ビジョンの実現に向けた最終ステージであり、高収益体質への変革を目指しています。基本方針「高い顧客価値の創造」「組織的な生産性の向上」の下、6つの重要課題を着実に推進し、経営目標値の達成を目指すとともに、引き続き長期ビジョンで掲げた「目指すべき将来像」の早期実現に取り組みます。

 

・コーポレート・ガバナンスの強化

当社は、経営理念の実現に向け、商品、販売、サービス、技術、財務体質や人財などすべてにおいて、お客様はもとより、株主の皆様、取引先、社会から認められる企業として成長し、信頼を確立することを経営の基本方針としています。この経営の基本方針および当社グループの中長期的な企業価値の向上のため、経営の健全性・透明性・効率性の向上を目指す経営管理体制の構築により、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な経営課題であると考えています。
 当社は、監督機能の強化、経営の健全性・透明性の向上、経営の意思決定の迅速化を図るため、監査等委員会設置会社を選択しています。また、取締役会の任意の諮問機関として、指名・報酬委員会を設置し、社外取締役が委員の過半数を占めるとともに委員長も務めています。なお、社外取締役4名は、一般株主と利益相反が生じる恐れがない独立役員として東京証券取引所に届け出ています。

 

③ 不適切な支配の防止のための取り組みの概要

当社は、2016年5月10日開催の取締役会において、「当社株式の大量買付行為に対する対応方針(買収防衛策)の更新の件」(以下「本基本ルール」といいます。)を決議し、2016年6月28日開催の第65回定時株主総会において承認いただきました。
 本基本ルールは、当社株式の大量買付行為が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要な情報と時間を確保するとともに、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提示したり、大量買付者との交渉を行うこと等により、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
 本基本ルールでは、当社株式の20%以上を取得しようとする大量買付者に対し、大量買付行為に関する必要かつ十分な情報の提供および本基本ルールを遵守する旨の誓約書の提出を求めます。その後、当社社外取締役、社外有識者から構成される独立委員会が、大量買付提案の内容や当社取締役会の代替案について検討し、大量買付行為に対する対抗措置発動の可否について当社取締役会へ意見書を提出します。なお、独立委員会は、予め当該対抗措置の発動に関して株主総会(以下「株主意思確認総会」といいます。)の承認を得るべき旨を勧告することがあります。当社取締役会は、独立委員会の意見を最大限尊重した上で、大量買付者が本基本ルールを遵守しなかった場合、または当該大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明らかな侵害をもたらすようなものである場合など本基本ルールに定める要件に該当すると判断した場合は、その決議により、対抗措置を発動して新株予約権を発行する場合があります(株主意思確認総会を開催する場合には、株主意思確認総会の決議に従います。)。また、大量買付行為に応じられるかどうか株主の皆様に適切にご判断いただくため、買付提案の内容や当社取締役会の意見、独立委員会の意見書の内容、対抗措置の発動等について、適時・適切に情報開示を行います。本基本ルールの有効期間は、導入後3年間です。

 

④ 具体的取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

上記(4)②に記載した基本方針の実現に資する特別な取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させるための具体的方策として推進しており、当社の基本方針に沿うものです。
 また、本基本ルールは、当社の企業価値・株主共同利益の確保・向上を目的として導入しており、当社の基本方針に沿うものです。本基本ルールでは、取締役会の恣意的判断を排除するため、合理的な客観的発動条件を設定し、客観的発動条件に該当しない場合には、たとえ当社取締役会が大量買付行為に反対であったとしても、対抗措置の発動は行わないこととしています。また、独立委員会を設置し、対抗措置発動の際にはその意見を最大限尊重すると定めており、取締役の地位の維持を目的とするものではありません。さらに、株主総会での承認を導入の条件としていること、有効期間を3年と定めた上、有効期間内でも株主総会または取締役会の決議により廃止できるとされていることなどにより、株主の皆様の意向が反映されるものとなっています。

 

(ご参考)買収防衛策の非継続について

本基本ルールの有効期間は2019年6月26日開催の第68回定時株主総会終結の時までとなっていますが、当社は2019年5月13日開催の取締役会において、本基本ルールを継続せず廃止することを決議しました。詳細につきましては、当社プレスリリース「当社株式の大量買付行為に対する対応方針(買収防衛策)の非継続(廃止)のお知らせ」をご参照ください。            https://www.nihonkohden.co.jp/news/pdf/19051302.pdf

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 法的規制等について

医療機器の製造販売は、国内での医薬品医療機器法、米国でのFDA(米国食品医薬品局)等各国で法的規制を受けます。今後これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられた場合、許認可申請の審査体制の変更により新商品発売までの時間が延長する等の影響がでて、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 品質問題について

医療機器は極めて高度な品質が要求されるため、国際規格ISOの基準等に基づいて品質マネジメントシステムを構築、運営しています。しかしながら、品質に問題が生じた場合、製品の販売停止、リコール等の措置を講じる場合があります。また、医療事故が発生し、当社に損害賠償責任を求める訴訟を提訴されたり、大きく社会的に取り上げられた場合、事実関係の当否とは別に、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 国内外の市場の動向について

国内では、医療費抑制や医療の質の向上を目的とした医療制度改革が進められています。また、AEDの普及により、当社グループの顧客は医療機関だけでなく景気動向の影響を受けやすい民間企業に広がっています。当社グループの連結売上高の約7割は国内におけるものであり、医療制度改革や景気動向などの影響を受けます。また、当社グループは海外子会社および代理店を経由して世界各国に製品を供給しています。各国の景気後退、これに伴う需要の減少、政治的・社会的混乱や法規制等の変更があった場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 訴訟等について

当社グループは業務の遂行にあたりコンプライアンスの実践に努めています。しかしながら、刑事・民事・独占禁止法・製造物責任法・知的財産権・環境問題・労務問題等に関連した訴訟が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 退職給付債務について

年金資産の時価の下落や運用利回りの低下、退職給付債務の計算の根拠となっている各種前提や年金制度の変更等が生じた場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 自然災害等について

当社グループは日本各地および世界各国で事業を行っています。また、製品に使われる原材料・部品も日本をはじめ世界各国から調達しています。これらの国、地域において自然災害やテロ、戦争等が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 情報セキュリティ等について

当社グループは事業全般において各種ITシステムを活用しており、セキュリティやバックアップ等の対策を実施するとともに機密情報や個人情報の漏洩がないよう情報管理に努めています。また、通信ネットワークを利用する当社製品・サービスにおいても様々なセキュリティ対策を講じています。しかしながら、自然災害やサイバー攻撃、新種のコンピュータ・ウィルスの感染、通信ネットワークの障害等により、ITシステムの停止やサービス提供の中断、情報漏洩が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、国内では、昨年4月の診療報酬改定や2025年に向けて各都道府県が策定した地域医療構想に基づき、病床機能の分化・連携による地域完結型の医療体制の構築が進められました。医療機器業界においても、各企業は医療の質向上と効率化、地域医療連携に寄与するソリューション提案がより一層求められる状況となりました。海外では、米国の保護主義的な通商政策や新興国通貨の下落等の影響が懸念されたものの、医療機器の需要は総じて堅調に推移しました。

 このような状況下、当社グループは、3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」を推進し、「高い顧客価値の創造」「組織的な生産性の向上」による高収益体質への変革を目指すとともに、「地域別事業展開の強化」「コア事業のさらなる成長」などの重要課題に取り組みました。商品・サービス面では、急性期病院向けに中位機種ベッドサイドモニタを発売しました。生体情報モニタとしては初めて、超音波プローブとUSB接続しエコー画像を表示できる機能を搭載しています。また、当社初となる一体型の全自動血球計数・免疫反応測定装置やノートパソコンをベースとするコンパクト脳波計を発売したほか、医療機器リモート監視サービスを開始しました。PAD市場(※)向けには、一般家庭向けAEDや日英バイリンガルに対応したカラー画面付AEDを発売しました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は前期比2.6%増の1,787億9千9百万円の増収となり、営業利益は前期比3.6%増の150億4千4百万円、経常利益は前期比9.4%増の158億6千7百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として当社の子会社である日本光電アメリカ㈱における労務問題に関する仲裁の進捗状況等を踏まえ訴訟損失引当金繰入額を計上した一方で、前期における米国税制改正の影響の反動により税金費用が減少したことから、前期比22.3%増の111億9千1百万円となりました。

 

<市場別の状況>

 国内市場においては、医療制度改革など市場環境の変化に対応するため、一昨年の販売子会社制から支社支店制への移行に続き、昨年4月に医療需要が増加する首都圏に営業リソースを重点的に配備しました。急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化するとともに、消耗品・保守サービス事業の拡大に注力した結果、売上を伸ばすことが出来ました。市場別には、PAD市場におけるAEDの販売が好調に推移したほか、官公立病院市場も診断情報システムや臨床情報システムの更新商談の受注もあり、堅調でした。大学、私立病院市場の売上は前期並みを維持しましたが、診療所市場の売上は自社品販売の注力により現地仕入品が減収となったことから前期実績を下回りました。この結果、国内売上高は前期比1.6%増の1,302億2千3百万円となりました。

 海外市場においては、米州では、生体情報モニタリング事業の強化、脳神経系群の営業体制整備を進める米国が好調に推移しました。中南米は、ブラジル、メキシコが好調だった一方、チリ、コロンビアが低調に推移したことから、減収となりました。欧州では、フランス、イギリスは好調に推移したものの、ロシア、トルコが低調だったことから、減収となりました。アジア州では、中国、タイが好調に推移したほか、インドの売上も回復しました。また、カタールにおける大口商談の受注も寄与しました。その他地域は、エチオピアなどアフリカが低調に推移しました。この結果、海外売上高は前期比5.4%増の485億7千5百万円となりました。

 

※PAD(Public Access Defibrillation):一般市民によるAEDを用いた除細動。PAD市場には公共施設や学校、民間企業などが含まれる。

 

 

<商品群別の状況>

[生体計測機器]国内では、脳神経系群、心電計群は前期実績を下回ったものの、心臓カテーテル検査装置群や診断情報システムが好調に推移しました。海外では、心電計群は前期実績を下回ったものの、脳神経系群が好調に推移しました。この結果、売上高は前期比3.7%増の407億7千3百万円となりました。

[生体情報モニタ]国内では、臨床情報システムが好調だったほか、センサ類などの消耗品も堅調に推移しました。海外では欧州での売上は微減、その他地域は低調でしたが、米州、アジア州で売上が大幅に伸長しました。この結果、売上高は前期比4.6%増の619億7千8百万円となりました。

[治療機器]国内では、AED、人工呼吸器が好調に推移した一方、現地仕入品が前期実績を下回ったことから、全体では前期並みとなりました。海外では、除細動器は前期好調の反動により減収となったものの、AEDは堅調に推移しました。この結果、売上高は前期比0.8%増の331億4千9百万円となりました。

[その他]国内では、診療所向けに発売した全自動血球計数・免疫反応測定装置が売上に寄与したほか、医療機器の設置工事・保守サービスが好調に推移しました。海外では、血球計数器は中南米、アジア州を中心に好調でしたが、現地仕入品が前期実績を下回りました。この結果、売上高は前期比0.2%増の428億9千8百万円となりました。

 

売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。

 

 

金額(百万円)

対前期増減率(%)

生体計測機器

40,773

+  3.7

生体情報モニタ

61,978

+  4.6

治療機器

33,149

+  0.8

その他

42,898

+  0.2

合 計

178,799

+  2.6

 機器

99,572

+  0.8

 消耗品・保守サービス

79,226

+  4.9

 

 

  (参考)地域別売上高

 国内売上高

130,223

+  1.6

 海外売上高

48,575

+  5.4

  米州

23,508

+  6.9

  欧州

8,167

△  3.5

  アジア州

15,096

+ 10.7

  その他

1,802

△ 10.3

 

 

区 分

内 容

生体計測機器

脳波計、筋電図・誘発電位検査装置、心電計、心臓カテーテル検査装置、診断情報システム、関連の消耗品(記録紙、電極、カテーテルなど)、保守サービスなど

生体情報モニタ

心電図、呼吸、SpO(動脈血酸素飽和度)、NIBP(非観血血圧)等の生体情報を連続的にモニタリングする生体情報モニタ、臨床情報システム、関連の消耗品(電極、センサなど)、保守サービスなど

治療機器

除細動器、AED(自動体外式除細動器)、心臓ペースメーカ、人工呼吸器、麻酔器、迷走神経刺激装置、人工内耳、関連の消耗品(電極パッド、バッテリなど)、保守サービスなど

その他

血球計数器、臨床化学分析装置、超音波診断装置、研究用機器、消耗品(試薬、衛生用品など)、設置工事・保守サービスなど

 

(注)販売代理店契約満了に伴い、2019年4月末をもって迷走神経刺激装置の販売を終了しています。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ118億7百万円増加し、1,697億1千7百万円となりました。
 流動資産は前連結会計年度末に比べ115億2千4百万円増加し、1,322億1千1百万円となりました。これは商品及び製品や受取手形及び売掛金が増加したことなどによるものです。
 固定資産は前連結会計年度末に比べ2億8千2百万円増加し、375億5百万円となりました。これは繰延税金資産が増加したことなどによるものです。
 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ50億7千4百万円増加し、536億2千9百万円となりました。これは支払手形及び買掛金や未払法人税等が増加したことなどによるものです。
 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ67億3千2百万円増加し、1,160億8千7百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が増加したことなどによるものです。
 これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ79.07円増加して1,363.24円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の69.3%から0.9ポイント減少し68.4%となりました。
 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ34億1千2百万円増加して346億9千7百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は、前期比10億2千4百万円減の98億1千9百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益155億1千9百万円、減価償却費35億4千2百万円、および法人税等の支払36億8千7百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、前期比8千8百万円減の32億5千8百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得27億9千4百万円などです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は、前期比15億5千3百万円減の30億7千4百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払29億8千3百万円などです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。

当連結会計年度における生産、受注および販売の実績を商品群別に示すと次のとおりです。

なお、表中の金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていません。

 

  イ. 生産実績

区分

金額(百万円)

前年同期比(%)

生体計測機器

42,742

108.7

生体情報モニタ

67,483

120.0

治療機器

36,264

111.5

その他

44,819

102.1

合計

191,309

111.2

 

  (注) 上記金額には、商品購入高が合計で85,627百万円含まれています。

 

 ロ.受注実績

当社グループの商品は、需要予測による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 ハ.販売実績

区分

 金額(百万円)

前年同期比(%)

生体計測機器

40,773

103.7

生体情報モニタ

61,978

104.6

治療機器

33,149

100.8

その他

42,898

100.2

合計

178,799

102.6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債および法人税等であり、見積りおよび判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っています。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

イ.当連結会計年度の経営成績および「TRANSFORM 2020」の進捗状況

 2年目にあたる2018年度、国内では、医療制度改革など市場環境の変化に対応するため、一昨年の販売子会社制から支社支店制への移行に続き、昨年4月に医療需要が増加する首都圏に営業リソースを重点的に配備しました。また、急性期病院市場、診療所市場、PAD市場のニーズに対応した製品・サービスの拡充に努めました。ITシステムの更新商談や消耗品・保守サービス事業の拡大により増収は確保できたものの、自社品販売の注力により現地仕入品が減収となったことから、国内売上高は期初計画には届きませんでした。海外では、米国では全米トップクラスの病院からの受注獲得など生体情報モニタ市場での当社のプレゼンスが向上したほか、脳神経系群も営業体制の見直しが奏功し売上を回復しました。中国も好調に推移し、東南アジアでの売上も回復したものの、欧州、アフリカが低調だったことから、海外売上高は期初計画に届きませんでした。

 商品群別では、生体計測機器は、国内で心臓カテーテル検査装置群、診断情報システム、海外で脳神経系群が好調に推移したことから、前期比3.7%増の増収となり、計画を達成することが出来ました。生体情報モニタは、特に海外が好調に推移し、前期比4.6%増の増収となりましたが、計画の高い成長率には届きませんでした。治療機器は、海外は堅調に推移した一方で国内が前期並みにとどまったことから、前期比0.8%増の増収となり、計画を下回りました。その他商品群は、国内外ともに血球計数器が好調に推移した一方で現地仕入品が前期を下回ったことから、前期比0.2%増の前期並みとなり、計画を下回りました。

 営業利益については、増収効果や売上総利益率の改善に加え、販管費が想定を下回ったことから、期初計画を達成することが出来ました。

 2019年度は中期経営計画の最終年度となりますが、引き続き6つの重要課題のもと諸施策を着実に実行します。なお、2019年度の連結通期業績予想は増収増益を見込んでいるものの、新製品の投入の遅れや、中期経営計画策定時には想定していなかった東日本物流センタの設立や国内事業所の移転・再編等に係る費用を予定していることから、2017年5月に発表した「TRANSFORM 2020」の2020年3月期経営目標値には届かない見通しです。

 今後も、「エレクトロニクスで病魔に挑戦」をモットーに、社会と医療の抱える課題の解決に先端技術で取り組み、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努める所存です。 

 

 

2020年3月期

通期予想

2020年3月期

経営目標値

売上高

1,860億円

1,900億円

 

国内売上高

1,330億円

1,350億円

 

海外売上高

530億円

550億円

営業利益

160億円

200億円

ROE

12.0%

 

 

ロ.資本の財源および資金の流動性

 当社グル―プでは、財務健全性を維持した持続的成長と企業価値の向上を目指して、資産の効率化と資金の流動性の確保に努めています。
 資本の財源については、当社グループの運転資金および設備資金は主として自己資金を充当しており、当連結会計年度末の有利子負債残高はリース債務を含めて4億3千6百万円です。
 資金の流動性については、安定的な利益の確保に加え、債権回収の早期化等を推進し、必要運転資金の増加を抑えることで、営業キャッシュ・フローの安定的な確保に努めています。また、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、必要とするグループ会社に配分しています。当連結会計年度末における流動比率は、273.5%となっており、十分な流動性を確保しています。
 

ハ.経営指標の分析

 当社は、3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」において、連結ROE12.0%の水準を確保することを目標としています。当連結会計年度は9.9%と、前年度の8.6%から改善しました。営業・経常増益に加え、前期における米国税制改正の影響の反動により税金費用が減少し、売上高純利益率が改善したことが要因です。当社としましては、中期経営計画の推進による売上、利益の成長に注力するとともに、在庫圧縮など資産効率の改善に努め、ROEの向上を図ります。
 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦する」ことを目指して、各種の医用電子機器の研究開発を行っています。当社グループのうち研究開発活動を行っているのは、当社のほか上海光電医用電子儀器㈲、デフィブテック LLC、日本光電オレンジメッド㈱等です。 
  このうち当社では、荻野記念研究所で新しい計測方法の研究や患者さんの負担が少なくしかも効果の高い治療方法の研究、あるいは国その他の医学研究機関との共同研究等、比較的長期的な視野での研究活動を行っています。各事業部門においては、担当する医用電子機器の改良、関連新製品および周辺機器の開発を行っています。
 連結子会社の上海光電医用電子儀器㈲では新興国市場向けの医用電子機器、デフィブテック LLCでは救命救急医療機器、日本光電オレンジメッド㈱では人工呼吸器の開発を行っています。 
  当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、7,243百万円(売上高の4.1%)です。
  当社グループの事業区分は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しています。なお、当連結会計年度の主要な成果としては、急性期病院向けに中位機種ベッドサイドモニタを発売しました。生体情報モニタとしては初めて、超音波プローブとUSB接続しエコー画像を表示できる機能を搭載しています。また、当社初となる一体型の全自動血球計数・免疫反応測定装置やノートパソコンをベースとするコンパクト脳波計を発売したほか、医療機器リモート監視サービスを開始しました。PAD市場向けには、一般家庭向けAEDや日英バイリンガルに対応したカラー画面付AEDを発売しました。