文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社は、医用電子機器専門メーカとして、「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造する」ことを経営理念としています。そしてその実現に向け、商品、販売、サービス、技術、財務体質や人財などすべてにおいて、お客様はもとより、株主の皆様、取引先、社会から認められる企業として成長し、信頼を確立することを基本方針としています。
この基本方針の実現および当社グループの中長期的な企業価値向上のため、経営の健全性・透明性・効率性の向上を目指す経営管理体制の構築により、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な経営課題であると考えています。取締役会は取締役12名(うち社外取締役4名)で構成され、独立社外取締役が3分の1を占めています。また、ジェンダーや国際性の面を含む多様性の確保を検討する中、女性社外取締役1名、女性執行役員2名を登用しています。
当社は、監督機能の強化、経営の健全性・透明性の向上、経営の意思決定の迅速化を図るため、監査等委員会設置会社を選択するとともに、社外取締役4名で構成され社外取締役が委員長を務める指名・報酬委員会を設置しています。
当社は、企業価値・株主価値増大に向けて連結ROE(連結自己資本当期純利益率)を経営指標としており、2021年度からスタートした3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」において、10%を目標としています。
中期経営計画の推進による利益率の改善を最優先としつつ、在庫圧縮など資産効率の改善、株主還元の充実により、経営指標の達成を目指します。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、各国で経済対策やワクチン接種が進んだことから社会・経済活動が回復基調となりました。一方で、昨年末からのオミクロン株の感染拡大、資源高や半導体の需給ひっ迫に加え、ウクライナ情勢もあり、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、新型コロナウイルスに対応する医療提供体制の確保が継続される中、感染状況の波によるものの医療機関における検査・手術件数は回復傾向にありました。医療機器業界においても、感染症への対応および医療の質向上と効率化に寄与するソリューション提案がより一層求められる状況となりました。海外における医療機器の需要は、感染症患者に対応するための整備に加え、新型コロナウイルス関連以外の需要が回復傾向にあるなど、総じて堅調に推移しました。
景気の先行きにつきましては、緩やかな回復基調に向かうことが想定されるものの、半導体の需給ひっ迫、部材および資源価格の高騰、サプライチェーン混乱の長期化が懸念されます。また、ウクライナ情勢や上海ロックダウンの影響もあり、今後も不透明な状況が続くと想定されます。
当社グループは、2020年に10年後の2030年に向けた長期ビジョン「BEACON 2030」を策定し、「グローバルな医療課題の解決で、人と医療のより良い未来を創造する」ことを目指しています。そして、3つの変革「グローバルな高付加価値企業への変革」「顧客価値を追求するソリューション型事業への変革」「オペレーショナルエクセレンスを軸とするグローバル組織への変革」に取り組んでいます。
・中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」(2021~2023年度)
3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」は、長期ビジョンの実現に向けて基盤の強化に取り組むステージであり、既存事業の収益性の改善、新たな成長領域、事業モデルの探索を進めます。
1.基本方針
・事業と企業活動を通じてサステナビリティを推進する。
・(経営)コンプライアンスの徹底とグループガバナンスの一層の強化を図る。
・(事業)既存事業の収益性を改善することで得た原資により、戦略的な先行投資を実施し、新たな成長への種を蒔く。
・(組織)グローバル・サプライチェーン・マネジメント(SCM)の構築とコーポレートの主要機能の強化により、グローバル成長の礎を築く。
2.サステナビリティの推進
SDGsを参考に、事業と企業活動を通じて注力すべき12のサステナビリティ重要課題を特定しました。事業では、長期ビジョン「BEACON 2030」で掲げた5つの新たな世界観(アクセシブル、インテリジェント、患者視点、コネクテッド、最適化)の実現を目指して8つの課題に取り組みます。企業活動では「人権・人財」「品質」「ガバナンス」「環境」の4つの重点分野で課題に取り組みます。
3.6つの重要施策
(1)(経営)コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化
グローバル経営管理ポリシーを確立・浸透させるとともに、国内販売における内部統制システムを強化します。
(2)(事業)既存事業における収益性の改善
高い顧客価値の創造、生産性の向上、タイムリーな製品投入により既存事業の収益性の改善を目指します。
(3)(事業)グローバル事業における戦略強化
日本、米国、中国市場に注力し、欧州・新興国市場と合わせた4極体制とし、各地域での戦略強化に取り組みます。
(4)(事業)デジタルヘルスソリューション推進による新たな顧客価値の創出
バイタルデータを統合・分析するプラットフォームの構築、患者アウトカム・医療経済性を高める臨床支援アプリケーションの開発を推進します。
(5)(組織)コーポレート・デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
グローバル情報基盤・コミュニケーション基盤を整備し、働き方改革と業務の効率化を推進します。
(6)(組織)グローバル・サプライチェーン・マネジメント(SCM)の構築
DXによりサプライチェーン全体を見える化し、調達・生産・物流でのプロセス改革を推進します。
4.人財育成・組織風土改革
7つのグローバル共通価値基準(Integrity、Humbleness、Diversity、Initiative、Customer Centric、Goal Oriented、Creativity)に基づき、新たな人事制度の導入およびグローバル人財育成プログラムの拡充により、医療への貢献にやりがいと誇りを持てる組織風土の醸成に取り組みます。
5.経営目標値
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあり、特に重要なのは、医療機器の許認可申請等および品質問題に関するリスクです。
当社グループの業務全般のリスク管理に関する基本方針等の制定、当社グループ全体のリスク管理体制の整備・推進状況の把握は取締役会が行っています。リスク分類毎に「リスク管理部門」と「リスク関係委員会」を定めています。「リスク管理部門」は、担当するリスク分類について、「業務執行部門」の教育やサポートを行うとともに、体制の整備・推進状況を「リスク管理統括部門」に報告しています。「リスク関係委員会」は、関連するリスク分類について、マネジメントシステムの適切性・妥当性・有効性の評価等を取締役会および経営会議に報告しています。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
医療機器の製造販売は、国内での医薬品医療機器等法、米国でのFDA(米国食品医薬品局)等、各国・各地域で法令・規制等の適用を受けます。直近では、欧州におけるMDR(医療機器規則、2021年5月から適用)、IVDR(体外診断用医療機器規則、2022年5月から適用)、米国におけるFDAサイバーセキュリティ・ガイダンス(2018年10月公表)への対応が必要となっています。今後これらの法令・規制等の改廃や新たな法令・規制等が設けられた場合、許認可申請の審査体制の変更や追加試験等により新製品発売までの時間が延長する等の影響がでて、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。但し、当社グループの製品は多品種少量であり、更新サイクル毎に随時新製品を投入していることから、大きな影響を及ぼすようなリスクは低減されています。
医療機器は極めて高度な品質が要求されるため、国際規格ISOの基準等に基づいて品質マネジメントシステムを構築、運営しています。品質方針に基づきグループ品質目標を定め、開発から生産、販売、アフターサービスに至る全てのプロセスで、品質確保およびお客様満足度の向上に取り組んでいます。また、商品が医療事故につながるリスクを重点的に管理しています。通常時の体制、事故のあった場合の体制・報告をはじめとするルールなどを規定で明確化し、運用しています。予防および迅速な連絡のために、広く医療現場から迅速・正確に情報を収集するための仕組み、情報発信するための仕組みも整備しています。しかしながら、品質に問題が生じた場合、商品の販売停止、リコール等の措置を講じる場合があります。また、医療事故が発生し、当社に損害賠償責任を求める訴訟を提訴されたり、大きく社会的に取り上げられた場合、事実関係の当否とは別に、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度においては国内外で6件のリコールが発生し、ソフトウェアの品質向上や設計・生産時のヒューマンエラー対策に取り組みました。また、当連結会計年度末における製品保証引当金は1,245百万円です。製品保証引当金には、保証期間内の無償修理に係る費用や将来のリコール等に係る費用が含まれます。
当社グループは、日本での持続的成長とともに、米国および中国での事業基盤の強化により、海外事業の一層の拡大を目指しています。日本では、医療費抑制や医療の質の向上を目的とした医療制度改革が進められています。また、AEDの普及により、当社グループの顧客は医療機関だけでなく景気動向の影響を受けやすい民間企業に広がっています。当社グループの連結売上高の約7割は国内におけるものであり、医療制度改革や景気動向などの影響を受けます。また、当社グループは海外子会社および代理店を経由して世界各国に製品を供給しています。新興国では官公立病院の占める割合が高く、医療インフラ整備に向けた入札案件が多いことから、選挙や予算執行のタイミングなどの影響をうけます。中長期的には、国産優遇の動きが見られる新興国において、組立生産等の対策が必要となる可能性があります。また、各国の景気後退、これに伴う需要の減少、政治的・社会的混乱や法令・規制等の変更があった場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、高い倫理観に基づき、良識に従った公正で適法な企業活動を実践するために、グローバル・コンプライアンス・プログラムを導入し、厳格な法令遵守を貫くコンプライアンス体制を構築することに真摯に取り組んでいます。グローバル・コンプライアンス・プログラムにおいては、コンプライアンスの基本方針・ルールを定めた「日本光電行動憲章」および「日本光電倫理行動規定」、ならびにコンプライアンスを徹底するための仕組みと運用方法の基本事項を定めた「コンプライアンス推進規定」を制定し、「コンプライアンス委員会」が法令・規制等への対応や教育研修、内部通報窓口の運営、遵守状況のモニタリング等を実施しています。また、海外子会社のリスク管理体制の整備・運用に関する監督の強化を図っています。
当社グループの事業活動は、国内においては医薬品医療機器等法等の医療機器の製造・販売に関する法規、会社法、金融商品取引法、税法、労働法、独占禁止法、貿易関連法規、環境関連法規等、海外においても各国・各地域で多岐にわたる法令・規制等の適用を受けています。コンプライアンスの徹底に努めていますが、適用法令等に抵触する事態が発生した場合、刑罰、処分、その他の制裁を受け、さらに当社グループの社会的信用や企業イメージが毀損して、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの経営成績および財務状況に重要な影響を及ぼすおそれのある訴訟等は現在ありません。しかしながら、当社グループの国内および海外における事業活動等が、製造物責任、品質問題、知的財産権、労務問題、法令・規制違反、その他何らかの請求・紛争に関連して今後重要な訴訟等の対象となり、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業全般において各種ITシステムを活用しており、セキュリティやバックアップ等の対策を実施するとともに機密情報や個人情報の漏洩がないよう情報管理に努めています。また、通信ネットワークを利用する当社製品・サービスにおいても様々なセキュリティ対策を講じています。しかしながら、自然災害やサイバー攻撃、新種のコンピュータ・ウイルスの感染、通信ネットワークの障害等により、ITシステムの停止やサービス提供の中断、情報漏洩が発生した場合、当社グループの社会的信用や企業イメージが毀損して、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度においては、欧州子会社に対するサイバー攻撃に伴い当社グループ全体でセキュリティ対策に取り組みました。
当社グループは日本各地および世界各国で事業を行っています。各地域において気候変動に伴う自然災害や水等の資源の供給不足、テロ、戦争、感染症の拡大等が発生した場合、部品調達や商品供給、販売・サービス活動などに支障が生じ、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
製品に使われる原材料・部品は日本をはじめ世界各国から調達していますが、調達先で供給に問題が発生した場合でも、製品の生産に影響が出ないよう代替品の検討を含めた対策を行っています。また、大規模地震が発生した時においても円滑に商品供給を継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定の上、全社的な教育・訓練を定期的に実施しています。
昨今の半導体を中心とした世界的な部品供給ひっ迫については、対策本部を設置し、開発・調達・生産・物流・販売部門が一丸となってサプライチェーンマネジメント改革を推進し、グローバルでの製品供給の継続に取り組んでいます。また、ウクライナ情勢による不透明な状況が継続していますが、ロシアおよびウクライナでの売上は、欧州売上高の1割未満、連結売上高の1%未満であり、業績に与える影響は軽微です。
なお、気候変動対策はグローバル社会が直面している最も重要な社会課題であり、当社にとっても重要な経営課題の一つであることから、2022年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を強化し、関連情報を開示するとともに脱炭素社会実現に貢献するよう取り組みます。
各国の経済対策や新型コロナウイルスのワクチン接種の進展等により、景気の先行きは緩やかな回復基調に向かうことが想定されるものの、変異株の感染拡大に伴いロックダウンが行われる地域もあるなど、景気の先行きは不透明な状況が続くと想定されます。当社グループは、(1)従業員およびその家族の健康維持・安全確保を最優先とする、(2)医療提供体制の維持のため製品とサービスの供給責任を果たす、ことを基本方針とし、事業活動を推進しています。また、対策本部を設置し、毎日の検温など体調管理やマスク着用の義務付け、時差出勤や在宅勤務の推進など感染拡大防止のための業務体制を整えています。
国内外ともに感染症患者に対応するために、生体情報モニタや人工呼吸器等の医療機器の整備が進められたことから、需要の反動が想定されます。また、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化または深刻化した場合、部品の調達困難に伴う当社製品の生産遅延や停止、販売・サービス活動の制限なども想定されることから、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上海ロックダウンについては、上海光電医用電子儀器㈲において、2022年3月末から5月末まで事業所を閉鎖していました(一部の出荷は継続)。ロックダウンが解除された6月以降、順次業務を再開しています。中国での売上は、アジア州他売上高の3割程度、連結売上高の3%です。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、各国で経済対策やワクチン接種が進んだことから社会・経済活動が回復基調となりました。一方で、昨年末からのオミクロン株の感染拡大、資源高や半導体の需給ひっ迫に加え、ウクライナ情勢もあり、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、新型コロナウイルスに対応する医療提供体制の確保が継続される中、感染状況の波によるものの医療機関における検査・手術件数は回復傾向にありました。医療機器業界においても、感染症への対応および医療の質向上と効率化に寄与するソリューション提案がより一層求められる状況となりました。海外における医療機器の需要は、感染症患者に対応するための整備に加え、新型コロナウイルス関連以外の需要が回復傾向にあるなど、総じて堅調に推移しました。
このような状況下、当社グループは、昨年4月に中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」をスタートさせ、事業と企業活動を通じたサステナビリティを推進するため、「コンプライアンスの徹底とグループガバナンスの一層の強化」「既存事業の収益性の改善と戦略的な先行投資」「グローバルSCMの構築とコーポレート主要機能の強化」に取り組みました。商品面では、当社初となる網赤血球測定付き全自動血球計数器を日本・海外で発売したほか、ITシステムとの連携を強化したセントラルモニタ、当社初のオートショックAEDを日本で発売しました。また、人工呼吸器を対象とした医療機器リモート監視システムのサービスを日本で開始しました。さらに、ドバイ試薬工場で生産を開始、患者容態管理のためのアルゴリズムおよびソフトウェアの研究開発を行う米国アンプスリーディ㈱を買収するなど、海外事業の基盤強化を図りました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は前期比2.7%増の2,051億2千9百万円となりました。利益面では、増収効果に加え、売上構成の変化により売上総利益率が改善したことから、営業利益は前期比14.4%増の309億9千2百万円、経常利益は前期比21.8%増の345億6千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比28.5%増の234億3千5百万円となりました。
<市場別の状況>
国内市場においては、急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化するとともに、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案を推進、消耗品・サービス事業の強化に注力しました。生体情報モニタが好調に推移したほか、前期に低調だった一部製品の需要が回復、ITシステム商談の再開も売上に寄与しました。一方で、自社品の販売に注力したことから、現地仕入品は大幅減収となりました。市場別では、私立病院、診療所市場が堅調に推移したほか、大学病院市場は前期並みを確保しました。一方で、官公立病院市場は減収となり、PAD(※)市場におけるAEDの販売も前期実績を下回りました。この結果、国内売上高は前期比0.7%減の1,363億2千1百万円となりました。
海外市場においては、米国、新興国市場における事業基盤の強化が奏功し、全ての商品群で売上を伸ばすことが出来ました。米州では、米国が好調に推移した一方、中南米は前期に売上が倍増したコロンビアでの反動により減収となりました。欧州では、一部製品の需要は回復したものの、大幅増収となった前期の反動を補うには至らず、減収となりました。アジア州他では、インド、タイ、マレーシア、エジプトでの売上が倍増し、中国、ベトナムも好調に推移しました。この結果、海外売上高は前期比10.2%増の688億7百万円となりました。
※PAD(Public Access Defibrillation):一般市民によるAEDを用いた除細動。PAD市場には公共施設や学校、民間企業などが含まれる。
<商品群別の状況>
[生体計測機器]国内では、凍結されていた設備投資の再開により診断情報システムが二桁成長となり、心電計群も好調に推移しました。脳神経系群は前期並み、心臓カテーテル検査装置群は現地仕入品の減収影響を除くと二桁成長となりました。海外では、脳神経系群が全ての地域で需要が回復し二桁成長となりました。心電計群もアジア州他、中南米で増収となりました。この結果、売上高は前期比5.6%増の396億8千1百万円となりました。
[生体情報モニタ]国内では、送信機、医用テレメータが大幅増収となったほか、臨床情報システムも二桁成長となりました。センサ類などの消耗品も好調に推移しました。海外では、欧州、中南米は前期の需要増加の反動により減収となったものの、米国、アジア州他での売上が二桁成長となりました。この結果、売上高は前期比7.7%増の848億6千万円となりました。
[治療機器]国内では、前期に需要が増加した人工呼吸器の反動に加え、AEDの一部出荷が期ずれたこともあり減収となりました。海外では、AEDが需要の回復により全ての地域で大幅増収となりました。除細動器もアジア州他、中南米で大幅増収となりました。人工呼吸器は、前期の需要増加の反動により減収となりましたが、インド、東南アジアでは需要が増加しました。この結果、売上高は前期比3.9%減の433億8千8百万円となりました。
[その他]国内では、自社品販売の注力により現地仕入品が大幅減収となりました。医療機器の設置工事・保守サービスは好調に推移し、検体検査装置も堅調でした。海外では、全ての地域で血球計数器・試薬の需要が回復し、大幅増収となりました。この結果、売上高は前期比2.6%減の371億9千8百万円となりました。
売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。
(参考)地域別売上高
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ171億7千1百万円増加し、2,102億1百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ157億3千5百万円増加し、1,718億7千5百万円となりました。これは前期末の売上債権の回収が進んで受取手形及び売掛金が減少し、有価証券が増加したこと、および、半導体の需給ひっ迫を受け一部の部品を先行仕入したため原材料在庫が増加したことなどによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ14億3千5百万円増加し、383億2千5百万円となりました。これはアンプスリーディ㈱の取得に伴い無形固定資産やのれんが増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2億2千3百万円減少し、538億2千万円となりました。これは未払法人税等が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ173億9千4百万円増加し、1,563億8千1百万円となりました。これは、利益剰余金が増加したことなどによるものです。
これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ220.51円増加して1,852.39円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の72.0%から2.4ポイント増加し74.4%となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ157億3千9百万円増加して600億9千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期比117億5千3百万円増の256億9千9百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益342億6千3百万円、前期末の売上債権の回収が進んだことなどによる売上債権の減少125億6百万円、および法人税等の支払128億6千8百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期比13億5千6百万円増の43億3百万円となりました。主な内訳は、生産設備や販促用製品などの有形固定資産の取得24億5千万円、子会社株式(アンプスリーディ㈱)の取得9億2千9百万円などです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前期比42億9千2百万円増の73億円となりました。主な内訳は、配当金の支払48億4千2百万円、自己株式の取得24億円などです。
当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。
当連結会計年度における生産、受注および販売の実績を商品群別に示すと次のとおりです。
なお、表中の金額は販売価格によっています。
(注) 上記金額には、商品購入高が合計で54,316百万円含まれています。
当社グループの商品は、需要予測による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債であり、見積りおよび判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っています。
詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。
イ.当連結会計年度の経営成績および「BEACON 2030 Phase I」の進捗状況
当連結会計年度においては、前年度のコロナ禍で低調だった一部製品・消耗品の需要が国内外で回復するとともに、変異株の感染拡大により、新型コロナウイルスに対応するための医療機器の需要が期初の想定を上回りました。このような状況下、当社グループでは、世界的な半導体の需給ひっ迫に対応するため、開発・調達・生産・物流・販売部門が一丸となってサプライチェーンマネジメント改革を推進し、グローバルでの製品供給の継続に取り組みました。
この結果、2022年3月期の業績は、売上高、利益ともに過去最高を更新することができました。国内では、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案を推進、自社品の販売に注力した結果、売上構成が良化、売上総利益率が改善したことは収益体質の変革につながる成果と考えています。海外では、生体情報モニタなど製品の設置台数が拡大する中、消耗品・サービス事業に注力するとともに、米国およびアジアでの事業基盤の強化に取り組みました。米国では、現地開発・販売・サービス体制の強化により、当社の生体情報モニタシステムが全米トップクラスの大学病院の新棟に全面採用されるなど、米国市場での当社プレゼンスが向上しました。また、中期経営計画で新規事業と位置付けるデジタルヘルスソリューション(DHS)構想の一環として、米国のアンプスリーディ㈱を買収し、DHS分野における技術開発力の強化に取り組みました。インドでは、現地販売・サービス体制の強化により、生体情報モニタの大口商談を獲得、検体検査装置は新製品効果もあって設置台数が拡大するなど、インド市場での当社プレゼンスが向上しました。
商品群別では、生体計測機器は、国内で診断情報システム、心電計群が好調に推移し、海外で脳神経系群、心電計群が増収となったことから、前期比5.6%の増収となりました。国内、海外ともに、低調だった前期から需要が回復し、計画を上回ることが出来ました。生体情報モニタは、国内で感染症対応のための需要が継続、臨床情報システムの需要が回復するとともに、海外で大口商談を獲得した米国、インドが好調に推移したことから、前期比7.7%の増収となり、計画を大きく上回ることが出来ました。治療機器は、前期に需要が急増した人工呼吸器が国内、海外ともに大幅減収となったことから、前期比3.9%の減収となりました。一方、前期に低調だった海外でのAEDの需要が回復し、除細動器も国内、海外ともに好調に推移したことから、計画を大きく上回ることが出来ました。その他商品群は、国内で自社品販売の注力により現地仕入品が大幅減収となったことから前期比2.6%の減収となり、計画を下回りました。血球計数器・試薬は、国内、海外ともに前期実績を上回りました。
営業利益については、増収効果に加え、売上構成の変化により売上総利益率が改善したことから、前期比14.4%の増益となり、計画を大きく上回ることが出来ました。
3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」の2年目にあたる2022年度は、半導体の需給ひっ迫影響が継続するほか、ウクライナ情勢や上海ロックダウンなどの不確定要素が多くありますが、引き続きサプライチェーンマネジメント改革を推進、製品供給継続に注力するとともに、売上総利益率50%以上、営業利益率10%以上を定常的に確保できる企業体質への変革に取り組みます。
ロ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
事業への資源配分については、新製品の投入による売上、利益の成長に資する投資を最優先としながら、研究開発や設備投資、M&A・提携、人財育成など将来の企業成長のために必要な資源配分を安定的かつ継続的に実施します。設備投資は56億円程度、研究開発費は63億円程度を計画しています。
株主還元については、経営の最重要政策の一つと位置付けており、内部留保の確保に配慮しながら、優先順位については、ⅰ)研究開発や設備投資、M&A・提携、人財育成など将来の企業成長に向けた投資、ⅱ)配当、ⅲ)自己株式取得とし、連結配当性向30%以上を目標に長期に亘って安定的な配当を継続することを基本方針としています。
資金調達については、当社グループの主な運転資金および設備資金として自己資金を充当しており、M&Aや新規事業など資金調達が必要になった場合には、資金需給のバランスを見ながら、借入を資金調達の有効な手段として検討し、負債コストも考慮した加重平均資本コストの最適化を図ります。
また、当社グループでは、財務健全性を維持した持続的成長と企業価値の向上を目指して、資産の効率化と資金の流動性の確保に努めています。資産の効率化については、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、必要とするグループ会社に配分しています。資金の流動性については、安定的な利益の確保に加え、債権回収の早期化等を推進し、必要運転資金の増加を抑えることで、営業キャッシュ・フローの安定的な確保に努めています。当連結会計年度末における流動比率は、338.3%となっており、十分な流動性を確保しています。
ハ.経営指標の分析
当社は、企業価値・株主価値増大に向けて連結ROE(連結自己資本当期純利益率)を経営目標としており、3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」において、10%を目標としています。当連結会計年度は15.9%と、前年度の14.0%から改善しました。増収効果に加え、売上構成の変化により売上総利益率が改善したことにより、売上高純利益率が改善したことが要因です。引き続き、中期経営計画の推進による利益率の改善を最優先としつつ、在庫圧縮など資産効率の改善、株主還元の充実により、経営目標の達成を目指します。
該当事項はありません。
当社グループでは、「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦する」ことを目指して、各種の医用電子機器の研究開発を行っています。当社グループのうち研究開発活動を行っているのは、当社のほか上海光電医用電子儀器㈲、デフィブテック LLC、日本光電オレンジメッド㈱等です。
このうち当社では、荻野記念研究所で新しい計測方法の研究や患者さんの負担が少なくしかも効果の高い治療方法の研究、あるいは国その他の医学研究機関との共同研究等、比較的長期的な視野での研究活動を行っています。各事業部門においては、担当する医用電子機器の改良、関連新製品および周辺機器の開発を行っています。
連結子会社の上海光電医用電子儀器㈲では新興国市場向けの医用電子機器、デフィブテック LLCでは救命救急医療機器、日本光電オレンジメッド㈱では人工呼吸器の開発を行っています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
当社グループの事業区分は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しています。なお、当連結会計年度の主要な成果としては、当社初となる網赤血球測定付き全自動血球計数器を日本・海外で発売したほか、ITシステムとの連携を強化したセントラルモニタ、当社初のオートショックAEDを日本で発売しました。また、人工呼吸器を対象とした医療機器リモート監視システムのサービスを日本で開始しました。