第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、「創造と開発」を基本とし、常に世界最高の技術に挑戦し、製品を通じて科学の進歩と社会の発展に貢献することを経営理念としております。創立以来の歴史の中で蓄積してきた要素技術・ノウハウ・グローバルネットワークを活かし、世界最高クラスの装置を提供する「分析・計測の世界において欠かせない企業」、さらには独自のソリューションと付加価値を提供するOnly One Companyとなることを目指しております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、平成30年度を最終年度とする中期経営計画「Triangle Plan」(平成28年度~平成30年度)を策定しております。中期経営計画「Triangle Plan」では、前々期の中期経営計画「CHALLENGE 5」(平成22年度~平成24年度)における「経営構造改革」の成果および前中期経営計画「Dynamic Vision」における成長戦略を継承し、これまで推進してまいりましたYOKOGUSHI戦略を背景に、新たに“Speed”、“Difference”、
“Change”の3つを更なる成長へのキーワードとして掲げ、成長戦略の深化・具現化により、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を大目標としています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)、自己資本比率等を重視しております。

 

(4)経営環境

我が国の経済状況は、政府の景気対策等の効果もあり、好調な企業業績、所得・雇用環境の安定、株価上昇などを背景として緩やかな回復基調で推移しました。一方、国際情勢においては米中貿易摩擦や米国政策運営の不透明感などが影を落としているものの、欧米の個人消費や設備投資の緩やかな回復、新興国における内需回復と輸出増加などに支えられ、世界経済は全体としては堅調に推移しました。

 

(5)事業上および財務上の対処すべき課題

中期経営計画「Triangle Plan」は、これまで推進してまいりましたYOKOGUSHI戦略を背景に、新たに
“Speed”、“Difference”、“Change”の3つを更なる成長へのキーワードとして掲げ、成長戦略の深化・具現化により、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を大目標としています。

Speed
 当社グループでは多様化する分析・計測ニーズに合致した新製品・ソリューションの市場導入や成長著しい新興国市場への経営資源投入をタイムリーに実施してまいりました。今後益々加速する市場の変化への対応力を強化すべく、オープンイノベーションを推進するとともに、中堅企業としてのメリットを最大限に活かし更なる“Speed”UPを実現いたします

Difference
 当社グループは、ハイスループットと操作性をハイエンドモデルで両立させた新世代の原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200F NEOARM、従来機よりさらに使いやすさを向上させた走査電子顕微鏡JSM-IT200、最小反応液量40μLでの超微量分析を可能にした生化学自動分析装置の新ブランドBioMajesty™ZEROシリーズ等、特徴のある競争力の高い製品を数多く投入しており、高い評価を頂いております。今後も市場が求める“Difference”を追求し、新しい付加価値を創出するために、製品開発力・ソリューション開発力強化に経営資源を投入し、Only One Companyを目指します

Change
 近年では分析・計測対象の複雑化・多様化に伴い、多面的な分析が求められています。このようなニーズの変化に対し、当社グループは、様々な分析・計測装置を有機的に活用したソリューション提案を積極的に推進いたしました。また、事業展開においては常に新しいビジネスモデルを検討し、結果数々のオープンイノベーションに取り組んでまいりました。

環境の変化を迅速に捉え、既存のビジネスモデルから一歩踏み出し成長に向けた挑戦を続けていくことで、中・長期的な企業の成長が達成できると考えています。Triangle Planの各セグメントでの目標達成と共に、成長に向けた自己変革“Change”に挑戦し将来の事業の柱を創出していきます。

 

当社グループは、引き続き、事業構造の変革と安定した収益構造の構築に努めるとともに、グループ一体となって環境保全に取組み、また、コンプライアンスの強化を図り、企業倫理を徹底し、良き企業風土を醸成して、持続的成長のための経営基盤の強化に努めてまいります。

 

(6)株式会社の支配に関する基本方針について

当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、または向上させることを目的として、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3項に掲げる事項)は次のとおりです。

 

Ⅰ 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。

 しかしながら、大規模な買付行為またはこれに関する提案につきましては、当社株主の皆様が、当該買付者の事業内容、事業計画、過去の投資行動等から、当該買付行為または提案の企業価値および株主共同の利益への影響を慎重に判断する機会がなければ、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を毀損する結果となる可能性があります。

 当社は、突然大規模な買付行為がなされたときに、買付者の提示する当社株式の取得対価の妥当性について株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、買付者および当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であると考えます。

 このような基本的な考え方に立ち、当社としましては、株主の皆様が適切に判断できるよう、当社が事前に設定する一定のルール(以下「大規模買付ルール」または「本ルール」といいます。)に従って、大規模買付行為を行う買付者が買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供し、当社取締役会における一定の評価期間が確保されていることが必要であると考えております。

 また、当該大規模買付行為が明らかに濫用目的によるものと認められ当社株主全体の利益を著しく損なうと判断されるときは、当社取締役会が大規模買付ルールに従って適切と考える措置をとることも必要であると考えております。

 

Ⅱ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み

 当社は、「創造と開発」を基本とし、常に世界最高の技術に挑戦し、製品を通じて科学の進歩と社会の発展に貢献することを経営理念としております。創立以来の歴史の中で蓄積してきた要素技術・ノウハウ・グローバルネットワークを活かし、世界最高クラスの装置を提供する「分析・計測の世界において欠かせない企業」、さらには独自のソリューションと付加価値を提供するOnly One Companyとなることを目指しております。

 中期経営計画「Triangle Plan」(平成28年度~平成30年度)では、前々期の中期経営計画「CHALLENGE 5」(平成22年度~平成24年度)における「経営構造改革」の成果および前中期経営計画「Dynamic Vision」(平成25年度~平成27年度)における成長戦略を継承し、これまで推進してまいりましたYOKOGUSHI戦略を背景に、新たに“Speed”、“Difference”、“Change”の3つを更なる成長へのキーワードとして掲げ、成長戦略の深化・具現化により、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を大目標としています

 また、当社では、経営環境の変化に迅速に対応するため、経営のスリム化を図るべく、平成18年6月の定時株主総会において、取締役の人数(定款上の定員の上限)を適正化するとともに、経営の意思決定の迅速化、業務執行の効率化を図るため、「執行役員制度」を導入しています。さらに、法令遵守の徹底を図るため、業務監理室を設置するとともに、企業の社会的責任を重視して、社長を委員長とし、社外弁護士も参加するCSR委員会を設置し、コーポレートガバナンス体制の強化に向け取組んでおります。

 

Ⅲ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 当社は、平成28年6月28日開催の第69回定時株主総会において、当社株券等の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)(以下「本対応方針」といいます。)の継続をご承認いただきました。

 本対応方針は、大規模買付行為に際して、株主の皆様が大規模買付者の提案に対して適切に判断できるよう、当社が事前に設定する大規模買付ルールに従って、大規模買付者が大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供し、かつ、当社取締役会における一定の評価期間の経過後に当該買付行為を開始するというものです。

 大規模買付者が本ルールを遵守した場合には、取締役会は、当該買付提案についての評価意見を表明したり、代替案を提示することにより、株主の皆様の判断に必要な情報を提供することとし、大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主の皆様において、当該買付提案および取締役会が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等を考慮の上、判断していただくことになります。以下に述べる例外的な場合を除き、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。

 例外的な場合として、当該買付行為が明らかに濫用目的によるものと認められ、その結果として当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、取締役会は、外部専門家等の助言を得ながら、独立委員会からの勧告を最大限尊重したうえで、株主の皆様の利益を守るために、適切と考える方策を取ることがあります。

 一方、大規模買付者により、本ルールが遵守されなかった場合には、取締役会は、当社および株主共同の利益を守ることを目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律および当社定款が認める対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗する場合があります。対抗措置の発動については、外部専門家等の意見も参考にし、また独立委員会の勧告を最大限尊重し、取締役会が決定します。

 具体的な対抗措置については、取締役会がその時点で最適と判断したものを選択することとします。株主への割当てまたは無償割当てにより新株予約権を発行する場合には、対抗措置としての効果を勘案した行使期間および行使条件を設けることがあります。

 

Ⅳ 本対応方針が会社の支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由

 本対応方針は、大規模買付を行う場合の一定のルールを明確にするものであり、本対応方針導入の必要性、独立委員会の設置、大規模買付ルールの内容、大規模買付行為が為された場合の対応方針、株主・投資家の皆様に与える影響等を規定しています。

 本対応方針は、大規模買付者が大規模買付行為を行う際には必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供し、取締役会による一定の評価期間が経過した後にのみ買付行為を開始できることとしています。さらに、大規模買付者がこれを遵守しない場合、または、大規模買付行為が当社株主共同の利益を著しく損なうものである場合には、大規模買付者に対して取締役会は株主共同の利益を守るために適切な対抗措置を講じることがあることを明記しています。

 また、本対応方針そのものの導入・継続については、株主の皆様の承認をえることとしております。本対応方針の有効期限は3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとし、以後も同様とします。

 なお、本対応方針は取締役会が対抗措置を発動する場合について事前かつ明確に開示しており、取締役会による対抗措置の発動は本対応方針の規定に則って実施されます。

 また、取締役会が大規模買付行為について評価・検討を行う際や代替案を提示し、または対抗措置を発動する際には、外部専門家等の意見も参考にし、当社経営陣から独立した委員で構成される独立委員会に諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。

 このような観点から、本対応方針が基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでないと考えております。

 

2【事業等のリスク】

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 海外での事業活動について

当社グループは、海外市場の開拓を積極的に進めております。その結果、主な販売先である米国、欧州、中国、東南アジアの経済変動の影響を受けやすくなっております。また、当社グループはグローバルな事業展開のなかで、海外法人は現地社会との協調・相互信頼に努めておりますが、海外での事業活動では次のようなリスクがあり、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

② テロ、戦争等による社会的混乱

(2) 為替相場の変動について

当社グループの連結売上高の約5割は海外におけるものであり、当社グループは為替相場の変動に対処するために為替予約を中心とする為替変動リスクをヘッジする取引を必要に応じて行っていますが、中長期的な為替レートの変動は当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 金利変動のリスクについて

当社グループは、支払金利の変動リスクを回避し支払利息の固定化を図るために、個別契約ごとにデリバティブ取引(金利スワップ)をヘッジ手段として利用しておりますが、有利子負債の一部には、金利変動の影響を受けるものも含まれております。従って、金利上昇によって支払金利や調達コストが増加することにより、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 事業等のリスクについて

当社グループは、理科学・計測機器、産業機器および医用機器という3つの分野で事業を行っており、個々の事業には以下のような業績変動要因があります。

理科学・計測機器事業

理科学・計測機器事業では、官公庁の研究開発予算や民間企業の設備投資の動向により需要が増減し、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

産業機器事業および医用機器事業

産業機器事業および医用機器事業では、市況の急激な変動による設備投資動向により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 研究開発活動および人材育成について

当社グループは電子顕微鏡など最先端機器を世界市場で販売しており、グローバル市場での製品の競争力強化のため、新製品を継続的に投入しております。当社グループの事業では新製品を継続的に市場に投入していく必要があるため、研究開発が経営の重要なテーマとなっており、そのため、将来の企業成長は主に新製品の開発の成果に依存するというリスクがあります。

また、製品開発における人材確保や育成、また、大型装置の開発などでは多額の支出を行っても、それに応える充分な需要が確保できないリスク等があり、当社グループの企業成長および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 当社グループの売上高における第4四半期の割合が高いことによる影響について

当社グループの四半期別の売上高は、第4四半期が他の四半期に比べ高くなる傾向にあります。これは、官公庁や多くの民間企業において、年度末である3月に当社グループの製品の検収作業が行われることが多いためです。当社グループでは、この季節変動を考慮した計画策定を行い、当該時期の売上の維持・拡大に努めておりますが、製品の検収作業の遅延等により売上計上のタイミングが翌期にずれ込む等、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) たな卸資産の廃棄、評価損について

当社グループは、製品や部品の品質・環境基準や在庫管理には充分留意しておりますが、市場動向、技術革新、製品のライフサイクル等の急激な変化に伴い、たな卸資産の廃棄および評価損の計上等を実施した場合には、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法的規制等について

当社グループは、国内の法的規制のほかに国際ルール、現地での労働法、税法、環境法など各国の法的規制などを受けており、また、事業・投資の許可や製品の品質における規格取得義務などがあり、これらの法的規制等により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。

(9) のれんについて

当社グループは、株式会社JEOL RESONANCEを連結子会社としたことに伴い、のれんを計上しております。当社グループは、当該のれんにつきましては、それぞれの事業価値および将来シナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、景気の悪化や業績が想定どおり進捗しない等の理由により収益性が低下した場合には、のれんの減損損失計上により、当社グループの経営成績および財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 市場リスクについて

当社グループは、金融機関や販売または仕入に係る取引会社の株式を保有しているため、株式市場の価格変動リスクを負っております。株式の価格変動リスクについては特別のヘッジ手段を用いておりません。なお、時価に関する情報は「第5 経理の状況」の金融商品関係および有価証券関係の注記に記載しております。

(11) 重要な訴訟等について

当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他法律的手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては、本社および関係会社に対する法令遵守の徹底を図るとともに、経営の効率化を進めるために業務監理室を設置し、本社監理および関係会社監理を行うこととしております。また、社長を委員長とし、社外弁護士も参加する「CSR(企業の社会的責任)委員会」を設置しております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(12) 自然災害等の影響について

当社グループでは、災害・事故などの発生に備えたリスク管理として、生産拠点の分散化および事業継続計画(BCP)の策定等を実施しております。しかし、大地震などの大規模自然災害や火災などの突発的な事故が発生した場合は、生産設備などに多大な損害を被る可能性があり、操業の中断により出荷に遅れが生じ、また破損した建物や設備の復旧に多額の費用がかかる恐れがあります。このような場合、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は、次のとおりであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済状況は、政府の景気対策等の効果もあり、好調な企業業績、所得・雇用環境の安定、株価上昇などを背景として緩やかな回復基調で推移しました。一方、国際情勢においては米中貿易摩擦や米国政策運営の不透明感などが影を落としているものの、欧米の個人消費や設備投資の緩やかな回復、新興国における内需回復と輸出増加などに支えられ、世界経済は全体としては堅調に推移しました。

このような状況下、当社グループは、中期経営計画「Triangle Plan」(平成28年度~平成30年度)に掲げる重点戦略を強力に推進し、企業価値の向上および経営基盤の強化を図るとともに受注・売上の確保に努めました。

この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,719百万円増加し、114,764百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ616百万円増加し、77,376百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,102百万円増加し、37,387百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は104,570百万円(前期99,698百万円に比し4.9%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は3,928百万円(前期2,076百万円に比し89.2%増)、経常利益は4,363百万円(前期1,724百万円に比し153.0%増)、主に課税所得の増加に伴う繰延税金資産の計上による法人税等調整額△929百万円計上(△は益)もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は4,532百万円(前期595百万円に比し660.5%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

1) 理科学・計測機器事業

電子顕微鏡を中心とした引合いが好調に推移し、売上高は堅調に推移しました。

この結果、当事業の売上高は68,480百万円(前期比3.0%増)となりました。

2) 産業機器事業

電子ビーム描画装置および電子ビーム蒸着用電子銃・電源の受注・売上は引き続き好調に推移しました。

この結果、当事業の売上高は16,707百万円(前期比44.5%増)となりました。

3) 医用機器事業

国内向け生化学自動分析装置およびOEM供給先である富士レビオ向けの免疫分析装置の売上が好調に推移しました。一方、海外はOEM供給先であるシーメンスからの受注・売上が低い水準にとどまりました。

この結果、当事業の売上高は19,382百万円(前期比10.4%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は9,813百万円となり、前連結会計年度末に比べ393百万円増加しました。

当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は6,524百万円(前期は573百万円の資金の減少)となりました。これは、売上債権の増加およびたな卸資産の増加により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の増加および仕入債務の増加等により資金が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の増加は468百万円(前期は1,093百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出があった一方で、関係会社株式の売却による収入および有形固定資産の売却による収入等により資金が増加したためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は7,512百万円(前期は289百万円の資金の減少)となりました。これは主に、借入金の返済による支出等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

74,074

13.3

産業機器事業

15,399

43.2

医用機器事業

18,279

△10.8

合計

107,753

11.5

(注)1 金額は、販売価格で表示しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

73,243

10.1

25,148

23.4

産業機器事業

18,755

62.6

8,712

30.7

医用機器事業

19,576

△6.2

3,746

5.5

合計

111,575

12.8

37,607

22.9

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

68,480

3.0

産業機器事業

16,707

44.5

医用機器事業

19,382

△10.4

合計

104,570

4.9

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から5,719百万円増加し114,764百万円となりました。主な要因としては、受取手形及び売掛金が3,561百万円増加およびたな卸資産が2,051百万円増加したこと等により流動資産が6,015百万円増加したことによります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から616百万円増加し77,376百万円となりました。これは主に、借入金は減少したものの支払手形及び買掛金が4,778百万円増加したこと等によります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益4,532百万円計上したことにより、前連結会計年度末に比べ5,102百万円増加し、37,387百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から3.0ポイント増加し32.6%となりました。

 

2) 経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年比の4.9%増の104,570百万円となりました。この要因としては、円安による為替の影響があったものの産業機器事業を中心に売上が増加したことが挙げられます。

損益面においては、営業利益3,928百万円(前期2,076百万円に比し89.2%増)、経常利益4,363百万円(前期1,724百万円に比し153.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,532百万円(前期595百万円に比し660.5%増)となりました。この要因としては、売上高増加および原価改善したことが挙げられます。この結果、営業利益は前期に比し1,852百万円増加し、前期に比し支払利息および為替差損が減少したこともあり経常利益は2,638百万円増加しました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、主に課税所得の増加に伴う繰延税金資産の計上による法人税等調整額△929百万円計上(△は益)もあり、前期に比し3,936百万円増加しました。

当社グループでは、理科学・計測機器事業で培った技術を軸として産業機器事業および医用機器事業をグローバルに展開しております。

理科学機器事業においては、国内の公的機関研究開発向けの売上が伸び悩む中、民間需要および中国向けの売上が堅調に推移しました。また、新製品投入効果により、受注および売上が増加しました。

産業機器事業においては、半導体市場が活況の中、電子ビーム描画装置が受注・売上とも好調に推移いたしました。また、電子銃電源も薄膜形成向け需要が堅調なこともあり、産業機器全体で売上および利益を大きく伸ばすことができました。

医用機器事業においては、海外OEM供給先であるシーメンスからの受注・売上が低い水準にとどまりました。一方、当社製品の試薬使用料・検体必要料の少なさおよびランニングコストでの優位性は引続き競争優位性があり、国内向け生化学自動分析装置およびOEM供給先である富士レビオ向けの免疫分析装置の売上が好調に推移しました。

平成28年度から平成30年度を対象とする中期経営計画「Triangle Plan」は、これまで推進してまいりましたYOKOGUSHI戦略を背景に、新たに“Speed”、“Difference”、“Change”の3つを更なる成長へのキーワードとして掲げ、成長戦略の深化・具現化により、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を大目標としています。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源および資金の流動性についての分析

1) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

 当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費および人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化および新製品開発を目的とした研究開発費が主な内容であります。投資活動については、製造用冶具設備および研究開発用設備への設備投資等が主な内容であります。

 今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資等を継続していく予定です。

3) 財務政策

 当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については有利子負債の調達を実施しております。

 長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

 また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクおよび為替変動リスクに晒されないよう、適切なヘッジ手段を検討・実施しております。

 

④経営上の目標の達成・進捗状況

当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を確保するため、適正な利益を継続的に確保することを重点に置いております。このため、経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)、自己資本比率を重視しております。

当連結会計年度における売上高利益率は3.8%(対前期比1.7ポイント増)、売上高経常利益率は4.2%(対前期比2.5ポイント増)、自己資本当期純利益率(ROE)は13.0%(対前期比11.1ポイント増)、自己資本比率は32.6%(対前期比3.0ポイント増)となりました。

今後も引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、グループ各社(主に当社、日本電子テクニクス㈱、㈱JEOL RESONANCE)間の緊密な連携の元に進められています。当社においては、中長期的な観点で選択された基盤的研究、各事業の核となる基幹製品の開発、および国立研究開発法人理化学研究所等の外部機関との共同研究を実施しております。日本電子テクニクス㈱は、卓上型および汎用型の走査電子顕微鏡の開発を担当しており、㈱JEOL RESONANCEは、核磁気共鳴装置の開発を担当しております。

当社グループは、「Triangle Plan」において、これまで推進してまいりましたYOKOGUSHI戦略を背景に、新たに“Speed”、“Difference”、“Change”の3つを更なる成長へのキーワードとして掲げ、成長戦略の深化・具現化により、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を大目標としております。製品の研究開発活動においても全ての製品で開発スピードアップ、ハイスループット機能を向上させた製品開発力の強化、競合他社との違いを意識した製品開発力の強化に取り組んでおります。

当連結会計年度における事業の種類別セグメントの研究開発成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は6,044百万円となっております。

 

(1)理科学・計測機器事業

当セグメントに係る研究開発費は4,185百万円であります。

透過型電子顕微鏡においては、拡大する創薬、バイオ市場向けに、クライオ電子顕微鏡(JEM-Z200FSC)を発売開始いたしました。さらに、ハイエンド機種であるJEM-ARM200Fと低価格汎用機種のJEM-1400PLUSにおいても、操作性を向上させたJEM-ARM200F NEOARMとJEM-1400FLASHを新たに市場に投入しました。

走査電子顕微鏡においては、操作性とスループットに優れたJSM-IT500/JSM-7900Fを市場投入し、製品競争力の強化を図りました。

核磁気共鳴装置装置においては、当社が推進しております定量NMR法のJIS化が平成30年1月に実現しましたが、その機能を組み込んだ新ソフトウエアをMestrelab Research S.L.社と共同で開発しております。

 

(2)産業機器事業

当セグメントに係る研究開発費は1,124百万円であります。

産業機器事業においては、市場での高い評価を得ているIMS社と協働で市場投入したマルチ電子ビーム描画装置について、生産性の向上を目指した投資を強化しております。また近年、注目を浴びている3Dプリンター分野において、金属材料用3Dプリンターへの電子ビーム技術の応用が期待されており、製品化を実現すべく平成26年4月に設立された技術研究組合である次世代3D積層造形技術総合開発機構に参画し、製品開発を実施しております

 

(3)医用機器事業

当セグメントに係る研究開発費は733百万円であります。

生化学自動分析装置は、最適なソリューション提供を目的として検査業務の迅速化と自動化を進めております。現行装置JCA-ZS050 自動分析装置 BioMajesty™ ZEROの拡販を通じ課題解決を図りながら、海外展開に向けた最適化を視野に投資を継続しております。さらに、今後の事業拡大の核となる免疫分析装置との連結機(FUXION)については、品質向上と生産性向上を進め、競争力の大幅な向上を図っています