第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、「創造と開発」を基本とし、常に世界最高の技術に挑戦し、製品を通じて科学の進歩と社会の発展に貢献することを経営理念としております。創立以来の歴史の中で蓄積してきた要素技術・ノウハウ・グローバルネットワークを活かし、世界最高クラスの装置を提供する「分析・計測の世界において欠かせない企業」、さらには独自のソリューションと付加価値を提供するOnly One Companyとなることを目指しております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、2019年度から2021年度を対象とする新中期経営計画「Triangle Plan 2022」を策定しております。

中期経営計画「Triangle Plan 2022」では、「Triangle Plan」の方向性を基本としながら、「70年目の転進」による成長の加速と中期経営計画以降の更なる成長に向けた次の打ち手を実行することで、長期にわたる継続的な成長を目指します。

具体的には、前中期経営計画の骨子である“Speed”、“Difference”、“Change”の3軸を踏襲し、YOKOGUSHI戦略を引き続き計画の土台と捉え、さらに進化・深化させていきつつ、以下の「70年目の転進」に取り組み、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を目標としています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)、自己資本比率等を重視しております。

 

(4)経営環境

当連結会計年度における我が国の経済状況は、米中貿易摩擦の長期化に伴い、世界経済の減速懸念が強まる中、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により景気の先行きは極めて不透明な状況となっています。

当社におきましては、当連結会計年度末受注残および足元の売上状況より、現時点では大きな影響はないものと判断しておりますが、先行きについては不透明であり、厳しい環境が継続することが懸念されることから、今後の事業環境の推移を注視し、経営方針及び経営戦略について見直しが必要と判断した場合には適時開示してまいります。

 

(5)事業上および財務上の対処すべき課題

中期経営計画「Triangle Plan 2022」では、「Triangle Plan」の方向性を基本としながら、「70年目の転進」による成長の加速と新中期経営計画以降の更なる成長に向けた次の打ち手を実行することで、長期にわたる継続的な成長を目指します。

具体的には、前中期経営計画の骨子である“Speed”、“Difference”、“Change”の3軸を踏襲し、YOKOGUSHI戦略を引き続き計画の土台と捉え、さらに進化・深化させていきつつ、以下の「70年目の転進」に取り組み、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を目標としています。

「70年目の転進」として以下に取り組んでまいります。

① コアテクノロジー強化

当社グループが社会に提供する付加価値の源泉であるハイエンドの計測・分析技術(=コアテクノロジー)を継続的に発展させてまいります。

② 成長市場への積極参入

コアテクノロジーをベースに、規模が大きく更なる拡大が見込まれる市場(半導体機器/産業機器/バイオ・医用機器/海外)へ積極的に参入し、成長を加速させてまいります。

③ トータルソリューションの提供

装置だけではなくユーザーのワークフロー全体を見据え、使い勝手の向上や効率化につながるサービスを含めたトータルソリューションを提供してまいります。

④ 必要な投資と収益性向上への取組み

事業の規模や範囲が拡大していく中で事業機会を確実に取り込むため、必要な投資をタイムリーに行ってまいります。また、同時に効率化を推進し収益性の向上に不断に取り組んでまいります。

環境の変化を迅速に捉え、既存のビジネスモデルから一歩踏み出し、成長に向けた挑戦を続けていくことで、中・長期的な企業の成長が達成できると考えています。「Triangle Plan 2022」の各セグメントでの目標達成と共に、成長に向けた自己変革に挑戦し将来の事業の柱を創出してまいります。

当社グループは、引き続き、事業構造の変革と安定した収益構造の構築に努めるとともに、グループ一体となって環境保全に取り組み、また、コンプライアンスの強化を図り、企業倫理を徹底し、良き企業風土を醸成して、持続的成長のための経営基盤の強化に努めてまいります。

2【事業等のリスク】

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 海外での事業活動について

当社グループは、海外市場の開拓を積極的に進めております。その結果、主な販売先である米国、欧州、中国、東南アジアの経済変動の影響を受けやすくなっております。また、当社グループはグローバルな事業展開のなかで、海外法人は現地社会との協調・相互信頼に努めておりますが、海外での事業活動では次のようなリスクがあり、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

② テロ、戦争等による社会的混乱

(2) 為替相場の変動について

当社グループの連結売上高の約6割は海外におけるものであり、当社グループは為替相場の変動に対処するために為替予約を中心とする為替変動リスクをヘッジする取引を必要に応じて行っていますが、中長期的な為替レートの変動は当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 金利変動のリスクについて

当社グループは、支払金利の変動リスクを回避し支払利息の固定化を図るために、個別契約ごとにデリバティブ取引(金利スワップ)をヘッジ手段として利用しておりますが、有利子負債の一部には、金利変動の影響を受けるものも含まれております。従って、金利上昇によって支払金利や調達コストが増加することにより、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 事業等のリスクについて

当社グループは、理科学・計測機器、産業機器および医用機器という3つの分野で事業を行っており、個々の事業には以下のような業績変動要因があります。

理科学・計測機器事業

理科学・計測機器事業では、官公庁の研究開発予算や民間企業の設備投資の動向により需要が増減し、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

産業機器事業および医用機器事業

産業機器事業および医用機器事業では、市況の急激な変動による設備投資動向により、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 研究開発活動および人材育成について

当社グループは電子顕微鏡など最先端機器を世界市場で販売しており、グローバル市場での製品の競争力強化のため、新製品を継続的に投入しております。当社グループの事業では新製品を継続的に市場に投入していく必要があるため、研究開発が経営の重要なテーマとなっており、そのため、将来の企業成長は主に新製品の開発の成果に依存するというリスクがあります。

また、製品開発における人材確保や育成、また、大型装置の開発などでは多額の支出を行っても、それに応える充分な需要が確保できないリスク等があり、当社グループの企業成長および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 当社グループの売上高における第4四半期の割合が高いことによる影響について

当社グループの四半期別の売上高は、第4四半期が他の四半期に比べ高くなる傾向にあります。これは、官公庁や多くの民間企業において、年度末である3月に当社グループの製品の検収作業が行われることが多いためです。当社グループでは、この季節変動を考慮した計画策定を行い、当該時期の売上の維持・拡大に努めておりますが、製品の検収作業の遅延等により売上計上のタイミングが翌期にずれ込む等、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) たな卸資産の廃棄、評価損について

当社グループは、製品や部品の品質・環境基準や在庫管理には充分留意しておりますが、市場動向、技術革新、製品のライフサイクル等の急激な変化に伴い、たな卸資産の廃棄および評価損の計上等を実施した場合には、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法的規制等について

当社グループは、国内の法的規制のほかに国際ルール、現地での労働法、税法、環境法など各国の法的規制などを受けており、また、事業・投資の許可や製品の品質における規格取得義務などがあり、これらの法的規制等により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。

(9) のれんおよび無形固定資産について

当社グループは、株式会社JEOL RESONANCE、JEOL KOREA LTD.、およびINTEGRATED DYNAMIC ELECTRON SOLUTIONS,INC.を連結子会社としたことに伴い、のれんおよび無形固定資産を計上しております。当社グループは、当該のれん及び無形固定資産につきましては、それぞれの事業価値および将来シナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、景気の悪化や業績が想定どおり進捗しない等の理由により収益性が低下した場合には、のれんの減損損失計上により、当社グループの経営成績および財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 市場リスクについて

当社グループは、金融機関や販売または仕入に係る取引会社の株式を保有しているため、株式市場の価格変動リスクを負っております。株式の価格変動リスクについては特別のヘッジ手段を用いておりません。なお、時価に関する情報は「第5 経理の状況」の金融商品関係および有価証券関係の注記に記載しております。

(11) 重要な訴訟等について

当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他法律的手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては、本社および関係会社に対する法令遵守の徹底を図るとともに、経営の効率化を進めるために業務監理室を設置し、本社監理および関係会社監理を行うこととしております。また、社長を委員長とし、社外弁護士も参加する「CSR(企業の社会的責任)委員会」を設置しております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(12) 自然災害等の影響について

当社グループでは、災害・事故などの発生に備えたリスク管理として、生産拠点の分散化および事業継続計画(BCP)の策定等を実施しております。しかし、大地震などの大規模自然災害や火災などの突発的な事故が発生した場合は、生産設備などに多大な損害を被る可能性があり、操業の中断により出荷に遅れが生じ、また破損した建物や設備の復旧に多額の費用がかかる恐れがあります。このような場合、当社グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(13) 新型コロナウィルス感染症の影響について

当社グループの従業員への新型コロナウイルスの感染の拡大、また納入先において感染拡大による在宅勤務や事務所・工場の閉鎖等が長期化する場合、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による官公庁の研究開発予算の削減や民間企業における設備投資意欲が減退した場合、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、グループ内でのリスクに対応するため、予防や感染拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。2月に取締役常務執行役員を委員長とする危機管理委員会にて、海外出張の禁止、当社グループ主催の展示会・セミナー等の開催禁止、同様の社外イベントへの参加の禁止、出張を伴う会議の禁止等の感染拡大防止策を策定しました。また、緊急事態宣言を受け、4月8日には社長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を立ち上げ、昼休み時間の分散による社員食堂の時差利用、公共交通機関の利用者を対象とした時差出勤、在宅勤務の推進、春季休暇の日程変更等、従業員の安全を第一として段階的に対策の強化を図り、影響の極小化を図っております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は、次のとおりであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済状況は、米中貿易摩擦の長期化に伴い、世界経済の減速懸念が強まる中、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により景気の先行きは極めて不透明な状況となっています。

このような状況下、当社グループは、中期経営計画「Triangle Plan 2022」(2019年度~2021年度)に掲げる重点戦略を強力に推進し、企業価値の向上および経営基盤の強化を図るとともに受注・売上の確保に努めました。

この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14,123百万円増加し、136,788百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ10,635百万円増加し、91,707百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,487百万円増加し、45,080百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は117,243百万円(前期111,289百万円に比し5.4%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は7,030百万円(前期6,670百万円に比し5.4%増)、経常利益は7,203百万円(前期7,440百万円に比し3.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,359百万円(前期5,940百万円に比し9.8%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

1) 理科学・計測機器事業

電子顕微鏡を中心とした引合いが好調に推移しましたが、売上高はやや低調に推移しました。

この結果、当事業の売上高は76,643百万円(前期比1.2%減)となりました。

2) 産業機器事業

電子ビーム描画装置を中心とした受注が好調に推移し、売上高についても好調に推移しました。

この結果、当事業の売上高は23,844百万円(前期比43.6%増)となりました。

3) 医用機器事業

国内市場における生化学自動分析装置を中心とした引き合い、売上高共に堅調に推移しました。一方、海外市場においては受注・売上高共に低い水準にとどまりました。

この結果、当事業の売上高は16,755百万円(前期比2.0%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は14,032百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,771百万円増加しました。

当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は3,742百万円(前期は4,757百万円の資金の増加)となりました。これは、たな卸資産の増加により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上および減価償却費の増加等により資金が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は4,172百万円(前期は1,461百万円の資金の減少)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得および有形固定資産の取得による支出により減少したものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の増加は5,394百万円(前期は3,716百万円の資金の減少)となりました。これは主に、借入金の増加による収入等によるものであります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響も含め、不測の事態に備え、従来より銀行融資枠(コミットメントライン)を設定しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

81,291

△1.2

産業機器事業

25,280

9.6

医用機器事業

18,120

△5.1

合計

124,692

0.2

(注)1 金額は、販売価格で表示しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

80,667

3.0

29,863

15.6

産業機器事業

23,913

0.0

16,080

0.4

医用機器事業

16,080

△3.9

2,707

△19.9

合計

120,661

1.5

48,650

7.6

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

76,643

△1.2

産業機器事業

23,844

43.6

医用機器事業

16,755

△2.0

合計

117,243

5.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積りと見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響は、収束の時期および業績に与える影響の見通しが依然困難な状況にあるものの、期末時点で入手可能な情報を基に最善の検討等を行っております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から14,123百万円増加し136,788百万円となりました。主な要因としては、現金及び預金が5,129百万円増加、およびたな卸資産が4,645百万円増加したこと等により流動資産が9,791百万円増加しました。また、JEOL KOREA LTD.、およびINTEGRATED DYNAMIC ELECTRON SOLUTIONS INC.の企業結合により、主にのれんが1,197百万円増加し、固定資産も4,348百万円増加したことによります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から10,635百万円増加し91,707百万円となりました。これは主に、借入金が増加したこと等によります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益5,359百万円を計上したことにより、前連結会計年度末に比べ3,487百万円増加し、45,080百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から0.9ポイント減少し33.0%となりました。

 

2) 経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年比の5.4%増の117,243百万円となりました。この要因としては、電子ビーム描画装置を中心に売上が増加したことが挙げられます。

損益面においては、営業利益7,030百万円(前期6,670百万円に比し5.4%増)、経常利益7,203百万円(前期7,440百万円に比し3.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,359百万円(前期5,940百万円に比し9.8%減)となりました。この要因としては、売上高増加および原価改善したことが挙げられます。この結果、営業利益は前期に比し360百万円増加し、前期に比し持分法による投資利益は増加したものの、受託研究収入の減少かつ為替差損が増加したこともあり経常利益は237百万円減少しました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に伴い、前期に比し580百万円減少しました。

当社グループでは、理科学・計測機器事業で培った技術を軸として産業機器事業および医用機器事業をグローバルに展開しております。

理科学・計測機器事業においては、国内の公的機関研究開発向けの売上が伸び悩む中、民間需要および中国向けの売上が堅調に推移しましたが、第4四半期において新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、売上は前年度並みとなりました。

産業機器事業においては、半導体市場が活況の中、電子ビーム描画装置が受注・売上とも好調に推移いたしました。また、電子銃電源も薄膜形成向け需要が堅調なこともあり、産業機器全体で売上および利益を大きく伸ばすことができました。

医用機器事業においては、当社製品の試薬使用量・検体必要量の少なさおよびランニングコストでの優位性は引続き競争優位性があり、国内向け生化学自動分析装置の売上が堅調に推移しました。一方、海外OEM供給先であるシーメンスからの受注・売上が低い水準にとどまりました。さらには、第4四半期において新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、売上は前年度並みとなりました。

2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画「Triangle Plan 2022」では、「Triangle Plan」の方向性を基本としながら、「70年目の転進」による成長の加速と中期経営計画以降の更なる成長に向けた次の打ち手を実行することで、長期にわたる継続的な成長を目指します

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源および資金の流動性についての分析

1) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

 当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費および人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化および新製品開発を目的とした研究開発費が主な内容であります。投資活動については、製造用冶具設備および研究開発用設備への設備投資等が主な内容であります。

 今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資等を継続していく予定です。

3) 財務政策

 当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については有利子負債の調達を実施しております。

 長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

 また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクおよび為替変動リスクに晒されないよう、適切なヘッジ手段を検討・実施しております。

 

④経営上の目標の達成・進捗状況

当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を確保するため、適正な利益を継続的に確保することを重点に置いております。このため、経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)、自己資本比率を重視しております。

当連結会計年度における売上高営業利益率は6.0%(前期同)、売上高経常利益率は6.1%(対前期比0.6ポイント減)、自己資本当期純利益率(ROE)は12.4%(対前期比2.6ポイント減)、自己資本比率は33.0%(対前期比0.9ポイント減)となりました。

今後も引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、グループ各社(主に当社、日本電子テクニクス㈱、㈱JEOL RESONANCE)間の緊密な連携の元に進められています。当社においては、中長期的な観点で選択された基盤的研究、各事業の核となる基幹製品の開発、および国立研究開発法人理化学研究所等の外部機関との共同研究を実施しております。日本電子テクニクス㈱は、卓上型および汎用型の走査電子顕微鏡の開発を担当しており、㈱JEOL RESONANCEは、核磁気共鳴装置の開発を担当しております。

当社グループは、「Triangle Plan 2022」において、前中期経営計画の骨子である “Speed”、“Difference”、
“Change”の3軸を踏襲し、YOKOGUSHI戦略を引き続き計画の土台と捉え、さらに進化・深化させていきつつ、適正な利益を継続的に創出することができる高収益中堅企業への変革を大目標としております。製品の研究開発活動においても全ての製品で開発スピードアップ、ハイスループット機能を向上させた製品開発力の強化、競合他社との違いを意識した製品開発力の強化に取り組んでおります。

当連結会計年度における事業の種類別セグメントの研究開発成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は7,756百万円となっております。

 

(1)理科学・計測機器事業

当セグメントに係る研究開発費は5,163百万円であります。

透過型電子顕微鏡においては、超高空間分解能観察と高感度分析を両立させた原子分解能分析電子顕微鏡(JEM-ARM300F2)を販売開始いたしました。

走査電子顕微鏡においては、高空間分解能観察と操作性の両立を実現した新型ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡(JSM-F100)を市場投入し、製品競争力の強化を図りました。また、観察から分析までの操作をより効率的に行える電子プローブマイクロアナライザ(JXA-iHP200FおよびJXA-iSP100)を販売開始いたしました。

 

(2)産業機器事業

当セグメントに係る研究開発費は1,653百万円であります。

産業機器事業においては、市場での高い評価を得ているIMS社と協働で市場投入したマルチ電子ビーム描画装置について、生産性の向上を目指した投資を強化しております。また近年、注目を浴びている3Dプリンター分野において、電子ビーム技術を応用した金属材料用3Dプリンターの製品開発を進めており2020年度中の製品投入を予定しております

 

(3)医用機器事業

当セグメントに係る研究開発費は939百万円であります。

生化学自動分析装置においては、信頼性・機能性・安全性を向上したIoT対応のBioMajesty™ JCA-BM6070Gを販売開始いたしました。

また、生化学自動分析装置は、最適なソリューション提供を目的として検査業務の迅速化と自動化を進めております。現行装置JCA-ZS050 自動分析装置 BioMajesty™ ZEROの拡販を通じ課題解決を図りながら、海外展開に向けた最適化を視野に投資を継続しております。さらに、今後の事業拡大の核となる免疫分析装置との連結機(FUXION)については、品質向上と生産性向上を進め、競争力の大幅な向上を図っています