文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
今後の見通しにつきましては、国内では企業の設備投資や個人消費の拡大等が期待される中で、中国経済の停滞、中東情勢等の地政学リスク、また、米国の大統領選挙等による国際情勢の変化の懸念等により、先行きは依然として経済成長の不確実性が高い中で推移するものと思われます。
当社グループがターゲットとする市場におきましては、在庫調整による需要減少が底を打つ傾向にあるものの、回復の見通しは、市場により緩やかもしくは停滞する傾向にあるものと見込んでおります。
このような環境のもと、新商品及び注力商品の販売強化や開発品の事業化の加速等に注力し、業績の向上並びにポートフォリオの再編に努めてまいります。
(2024中期経営計画)
当社グループは、2024年度を最終年度とする「日本タングステングループ2024中期経営計画(2024中計)」の3年目を終え、前半2年で目標値に近づいた業績が、3年目で乖離する状況となっております。2024中計最終年度目標の達成には、足元の業績が厳しく困難な状況でありますが、サステイナブルビジョン2050並びに2030年長期ビジョンの達成に向けてバックキャストした課題に基づいた経営戦略を着実に実行してまいります。
「日本タングステングループ2024中期経営計画」計数計画及び実績
(サステナビリティの取組み)
サステイナブルビジョン2050の達成に向けて、5つの「成功の柱(マテリアリティ)」を設定し、環境課題・社会課題への対応や社会貢献活動に取り組んでおります。
最近の取組みについては次のとおりです。
・カーボンオフセットLPガスの導入(CN)
カーボンマイナスへの取組みとして、当社主力工場である基山工場(佐賀県基山町)で使用するLPガスをCO2削減に配慮したカーボンオフセットLPガスに切り替えました。
・サプライチェーンにおけるリサイクルの推進(CE)
当社グループが提供した商品のリサイクル事業活動のための運用体制確立への取組みを開始しました。
・データドリブン営業の実現の取組み(CX)
営業職の誰もが高度なデータを分析できる環境を整備し、質の高い営業活動や迅速な意思決定につなげることを目的に、キーエンス社が提供するKIツールを導入し、最適な商品販売体制の確立を目指しております。
なお、サステナビリティへの取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、限りある資源をもとに“ものづくり”を支える私たちだからこそ持続可能な社会に貢献していくことが使命と考えております。2022年度をサステナビリティ経営の準備期間とし、パーパス「より少なく、よりよく。 Building a better world from less.」及び「サステイナブルビジョン 2050 (Nippon Tungsten Sustainable Vision 2050)」を策定しました。
さらに、社会課題やメガトレンドから社会視点、自社視点による評価を行い、取り組むべき重要度が高く、かつ、サステイナブルビジョン達成に必要な課題を「成功の柱(≒マテリアリティ)」として特定しました。
また、2023年度より、取締役社長を委員長とするサステナビリティ経営委員会を設置し、持続可能性の観点から当社グループの企業価値を向上させるため、気候変動を含む環境・社会課題の解決に向けた具体的な取り組みを開始しました。なお、サステナビリティ経営委員会は、各本部長等で構成されるステアリングチームが全体戦略を統括するほか、重要事項等においては、取締役会及び経営会議に年2回以上、付議及び報告することとしております。
サステイナブルビジョン2050(Nippon Tungsten Sustainable Vision 2050)
「より少なく、よりよく。」に共感する多くのパートナーと共に、物質的制約を超えていくソリューションを創造し続け、資源の枯渇や気候変動といった社会が解消された世界を実現している。
当社グループでは、以下のプロセスにて「成功の柱≒マテリアリティ」を特定しました。
(Step1)社会課題の抽出(社会から見た重要性)
2050年を見据え、中長期的な社会環境について「社会」「技術」「経済」「環境」「政治」の5つの視点から分析を行い、重要な社会課題を抽出しました。
(Step2)妥当性の評価とサステイナブルビジョンの策定(自社から見た重要性)
Step 1で抽出した社会課題を、当社にとってのインパクトや貢献可能性などの観点で絞り込み、その解決に貢献している姿をサステイナブルビジョンとして策定しました。
(Step3)成功の柱≒マテリアリティの特定
Step 2で策定したサステイナブルビジョンの実現において重要な下記5つの取り組みを“成功の柱≒マテリアリティ”と定め、取締役会において妥当性を評価し、最終決定しました。
(5つの成功の柱≒マテリアリティ)
また、当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
(人材の育成に関する方針)
当社グループは、社員が必要なスキルや自らのキャリアについて主体的に意識し、実現に向け行動するための人材育成プログラムに取り組むことで、個人の能力開発・成長を支援します。
(社内環境整備に関する方針、戦略)
当社グループは、年齢・性別・国籍に捉われず、多様な属性・価値観を持った人材が互いに認め合い、多くのパートナーと共創しながら前向きに挑戦でき、かつ、社員が心身ともに健康で、差別がなく人権が保障されている「健全な職場環境」の構築に取り組みます。
当社グループのリスクマネジメント推進体制におきましては、取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会により、リスクの対応方針や課題について識別・評価を行い、定期的に取締役会に報告しております。
サステナビリティに係るリスクにつきましても、リスクマネジメント委員会において識別・評価し、定期的に取締役会に報告することとしております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、「5つの成功の柱」を達成するための具体的な指標及び目標について、2050年の目指す姿で設定した実質カーボンマイナスの達成(CN)や、枯渇リスクの高い資源の最終廃棄をゼロ(CE)の目標に対し、サステナビリティ経営委員会を中心に、その測定等の検討及び準備を進めております。
(人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標)
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての関係会社では、女性活躍推進法等による公表義務がなかったことから、指標の目標及び実績に関する整備が行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社の指標の目標及び実績を記載しております。
(リスクマネジメント体制)
当社は、当社グループの事業活動に関するリスク管理を所管する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。リスクマネジメント委員会は、取締役社長を委員長とし、各部門の部門長がリスクオーナーとしての責任を負っております。
当社グループでは、各部門がリスクを抽出、当該リスクについて管理レベル、業績等への影響度、緊急性の観点から重要性を評価し、当該リスクへの対応策を決定した上で、リスクマネジメント委員会事務局に提出しております。なお、各部門を通じて提出されたリスクのうち、特に重要性が高いリスクについては、リスクマネジメント委員会において対応策の実施状況をモニタリングし、その実効性を確認しております。
また、緊急事態が生じた場合には「緊急対策本部」を設置し、迅速かつ的確な対応を行うとともに、緊急事態による損害の軽減に必要な対策を行います。
(事業等のリスク)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある特に重要性の高いリスクには以下のようなものがあると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度における経済環境は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和やインバウンド需要の回復等、社会・経済活動の正常化が進んだこと等により、経済は回復基調で推移しました。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰や円安による物価上昇、ウクライナ情勢の長期化及び中東情勢の緊迫化等の影響等により、先行きは依然として不透明な状況が継続する中で推移しております。
当社グループがターゲットとする市場におきましては、産業用機器・部品市場は、一部で前連結会計年度にて好調だった需要が一服する等の減少要因もありましたが、需要が大きく回復した商品や、新商品の販売増等により、増収となりました。
半導体・電子部品市場は、データセンター等で使用されるハードディスクドライブにおいて、在庫過多の解消が長期化したことから、減収となりました。
自動車部品市場は、自動車生産の増加に伴い、緩やかな回復基調で推移したものの、前連結会計年度の水準には至らず、減収となりました。
衛生用品機器・医療用部品市場は、中国での需要減少など厳しい需要環境の中で、新材料の投入など新たな取組みにより、増収基調に転換しました。
このような経済環境のもと、当社グループは、「日本タングステングループ2024中期経営計画」の後半2年となる2ndステージにおいて、ROICツリーを展開した資本収益性強化のための諸施策の実行、成長期待事業へのリソースの集中及び産学連携した新商品の開発・事業化に注力する等、事業ポートフォリオの改善に積極的に取り組んでまいりました。また、サステナビリティの取組みにおいては、全社横断的な組織を立ち上げ、社内への浸透及び経営戦略への実装に注力してまいりました。
しかしながら、期初に想定した、半導体・電子部品市場及び自動車部品市場での、在庫調整に伴う注力商品の需要減少の影響が大きく、当社グループの売上高は、前年度比9.3%減の114億6千4百万円となりました。
損益面では、円安に伴う海外の連結子会社の増収効果があったものの、利益縮小の要因として、注力商品の売上高が減少したことや、当期に実施した賃上げに伴う固定労務費の増加、電力料金単価や水素等の補助材料費の価格上昇等が影響したこと、また、生産性向上に向けた積極的な設備更新による減価償却費の増加等もあり、営業利益は、前年度比48.6%減の4億7千6百万円となりました。経常利益は、為替差益の発生等あったものの、営業利益が減少したこと等により、前年度比36.0%減の7億8千6百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、清算中であった海外子会社の設備の一部及び投資有価証券の一部を売却し特別利益として計上したものの、特別損失として、海外子会社の清算に伴う為替換算調整勘定取崩損を計上したこと及び医療・照明機器事業及び産業用機器・部品事業の収益性の低下に伴う固定資産の減損損失1億1千9百万円を計上したこと等により、前年度比31.3%減の5億2千7百万円となりました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
なお、セグメント別の金額については、売上高はセグメント間の取引を含んでおり、営業損益は全社費用等調整前の金額であります。
(機械部品事業)
■産業用機器・部品市場
塗布工具用として使用される超硬長尺製品は、前連結会計年度の好調な需要が一服したこと等により、減収となりました。一方で、二軸混錬押出機用の金属部品が、当連結会計年度下期に集中した需要に対応し、増収となったことや、製鉄所向けの耐摩耗部材は、ユーザーの部材交換需要が高まり、増収となりました。
■半導体・電子部品市場
情報機器関連のハードディスクドライブ(HDD)用磁気ヘッド基板は、データセンター等で使用される大容量HDDが、需要の一服による在庫調整の影響を受けており、当連結会計年度第3四半期で下げ止まり、当第4四半期は回復基調であるものの、大幅な減収となりました。
■衛生用品機器・医療用部品市場
おむつなどの衛生用品製造設備の部品であるNTダイカッターは、顧客の投資抑制や中国市場の需要減少等、市場をとりまく環境が変化する中で、新材料による販売促進等の取組み等により、増収となりました。
この結果、機械部品事業の売上高は前年度比9.7%減の63億8千3百万円となり、営業利益は注力商品の減収等により、同41.7%減の5億2百万円となりました。
(電機部品事業)
■自動車部品市場
EVリレー用接点は、顧客の在庫調整が継続していることや、EV市場の競争の高まり等により、若干の減収となりました。一方で、電装部品溶接用の抵抗溶接用電極は、顧客の在庫調整の解消や車載機器製造用の電極の需要が好調であり、増収となりました。
■産業用機器・部品市場
産業用設備向けのブレーカー用電気接点が、顧客の在庫積み増しによる生産調整が長期化していること等により、減収となりました。
■衛生用品機器・医療用部品市場
医療関連部材のカテーテル用タングステンワイヤー製品は、東南アジア地域向けの在庫調整が解消したことや、北米地域では好調な需要に支えられ、増収となりました。
この結果、電機部品事業の売上高は前年度比8.9%減の51億7百万円となり、営業利益は同11.3%減の5億3千4百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ3億3千万円増加し171億3千7百万円となりました。これは主に現金及び預金が減少したものの、売上債権、有形固定資産及び投資有価証券が増加したことによるものです。負債は、5億3千1百万円減少し、50億2千4百万円となりました。これは主に契約負債及び固定負債が増加したものの、仕入債務及び設備関係未払金が減少したことによるものです。純資産は、8億6千2百万円増加し、121億1千3百万円となりました。これは主に利益剰余金、その他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、営業活動により2億8千9百万円の資金を獲得し、投資活動により10億7千1百万円の資金を支出し、財務活動により3億2百万円の資金を支出した結果、前連結会計年度末と比較して、10億3千3百万円減少し、34億7千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は2億8千9百万円となり、前年度比8億8千2百万円の収入減となりました。これは主に、法人税等の支払額が減少したものの、売上債権が増加したこと及び税金等調整前当期純利益が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は10億7千1百万円となり、前年度比8億3千3百万円の支出増となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は3億2百万円となり、前年度比3千9百万円の支出減となりました。これは主に配当金の支払が減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価額をもって表示しており、セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の受注高及び受注残高については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成において見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末と比較して4億6千7百万円減少の100億2千6百万円となりました。これは主に売上債権が7億6千2百万円増加したものの、現金及び預金が10億3千4百万円減少したこと及び棚卸資産が1億3千5百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末と比較して7億9千7百万円増加の71億1千万円となりました。これは主に有形固定資産が1億8千4百万円、投資有価証券が4億1千5百万円及び退職給付に係る資産が2億1千1百万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末と比較して6億7千8百万円減少の45億4千5百万円となりました。これは主に支払債務が3億1千8百万、賞与引当金が5千5百万円及び設備関係未払金が2億8千万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末と比較して1億4千7百万円増加の4億7千8百万円となりました。これは主に繰延税金負債が1億4千8百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して8億6千2百万円増加の121億1千3百万円となりました。これは主に利益剰余金が2億6千万円、その他有価証券評価差額金が2億3千7百万円、為替換算調整勘定が2億2千7百万円及び退職給付に係る調整累計額が1億2千7百万円増加したことによるものであります。
b 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前年度比9.3%減の114億6千4百万円となりました。
当社グループがターゲットとする市場におきましては、産業用機器・部品市場は、一部で前連結会計年度にて好調だった需要が一服する等の減少要因もありましたが、需要が大きく回復した商品や、新商品の販売増等により、増収となりました。
半導体・電子部品市場は、データセンター等で使用されるハードディスクドライブにおいて、在庫過多の解消が長期化したことから、減収となりました。
自動車部品市場は、自動車生産の増加に伴い、緩やかな回復基調で推移したものの、前連結会計年度の水準には至らず、減収となりました。
衛生用品機器・医療用部品市場は、中国での需要減少など厳しい需要環境の中で、新材料の投入など新たな取組みにより、増収基調に転換しました。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、円安に伴う海外の連結子会社の増収効果があったものの、注力商品の売上高が減少したことや、当期に実施した賃上げに伴う固定労務費の増加、電力料金単価や水素等の補助材料費の価格上昇等が影響したこと、また、生産性向上に向けた積極的な設備更新による減価償却費の増加等もあり、前年度比16.2%減の25億5千8百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、売上総利益が減益となったことや、当期に実施した賃上げに伴う固定労務費及び旅費交通費の増加等により、前年度比48.6%減の4億7千6百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、為替差益の発生等あったものの、営業利益が減少したこと等により、前年度比36.0%減の7億8千6百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、清算中であった海外子会社の設備の一部及び投資有価証券の一部を売却し特別利益として計上したものの、特別損失として、海外子会社の清算に伴う為替換算調整勘定取崩損を計上したこと及び医療・照明機器事業及び産業用機器・部品事業の収益性の低下に伴う固定資産の減損損失1億1千9百万円を計上したこと等により、前年度比31.3%減の5億2千7百万円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクに対する影響につきましては、原材料価格高騰の継続による業績への影響が懸念されますが、 原材料調達、価格の変動のリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 原材料調達、価格の変動」に記載しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a キャッシュ・フロー
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して、10億3千3百万円減少し、34億7千9百万円となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況と増減につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」に記載しております。
b 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備資金、法人税等の支払、借入金の返済、配当金の支払等であります。
また、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により必要とする資金を調達しております。
なお、当社は、機動的な資金調達を目的として、限度額を20億円とするコミットメントライン契約を締結しており、大きく資金不足となることは想定しておりません。
当社グループは、粉末冶金技術を基盤に、常に先進の技術を追求し、官学との共同研究にも積極的に取り組み、独創的な商品開発を進めております。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。
機械部品事業については、半導体製造装置用部材への独自開発セラミックスの適用研究、二次電池製造用高耐久部品の開発など、お客様や市場のニーズに合致した商品開発に注力しております。
電機部品事業については、人体への影響が少ない波長での除菌効果が期待される遠紫外LEDの関連部材の開発に、外部研究機関との共同研究などを通じて取り組むと共に、自動車関係においては、持続可能な社会への貢献に向けての新たな研究への取り組みを始めております。
また、AIを取り入れた材料開発「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」に取り組んでおり、新素材開発の加速への取り組みを行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は