文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
今後の見通しにつきましては、米国の関税政策により、世界的に貿易・投資・供給網が混乱するリスクや、日本の経済成長の下振れも懸念されており、先行きは不確実性がより高まる中で推移するものと思われます。
当社グループがターゲットとする市場におきましては、半導体・電子部品市場(機械部品事業)が、データセンター向けの投資拡大等、好調に推移することが見込まれ、また、衛生用品機器・医療用部品市場(機械・電機部品事業)は、緩やかながらも回復傾向で推移すると見込んでおります。産業用機器・部品市場では、けん引してきた二軸混錬押出機用の金属部品(機械部品事業)の需要の一服等もありますが、産業用設備向けのブレーカー用電気接点(電機部品事業)など引き続き堅調に推移することが見込まれます。一方、自動車部品市場(電機部品事業)では、コロナ禍前の水準に向けた回復基調にあるものの、米国の関税引き上げ等の影響も懸念され不透明な状況が見込まれます。
このような環境のもと、当社グループは、2024年度が最終年度となる中期経営計画を振り返り、得られた課題からさらなる企業成長に向けた全社的な戦略方針に基づき、戦略の実効性を高めるべく組織体制を強化していきながら、成長と収益拡大に向けた経営課題の達成に取り組んでまいります。サステナビリティに関する取組みにおいては、5つの成功の柱(マテリアリティ)に基づく各施策の組織への理解浸透及びその実践に注力しながら、長期ビジョンである「サステイナブルビジョン2050」の達成に取り組んでまいります。
(2024中期経営計画の振り返り及び次期中期経営計画の策定に向けて)
当社グループは、2024年度を最終年度とした4か年の計画である「日本タングステングループ2024中期経営計画」において、成長と収益拡大に向けた取組みとして、利益体質の強化、既存事業の収益拡大、成長期待事業の拡大や、新商品・新規事業の創出に注力し、また、サステナビリティを踏まえたパーパスの策定、マテリアリティの策定と実行等による経営への実装に取り組んでまいりました。
1stステージである前半2年は、コロナ禍において好調だった「半導体・電子部品市場」「産業用機器・部品市場」及び「自動車部品市場」が堅調だったこと等により、最終年度目標に近づく勢いで推移したものの、2ndステージとなる後半2年では、顧客の在庫調整の長期化や原材料・エネルギー価格の高騰等により、最終年度目標から乖離する中で推移しました。
「日本タングステングループ2024中期経営計画」計数計画及び実績
これまでの取組みと実績により得た経営課題に基づき、当社グループでは、全社戦略方針と、6つの柱からなる次期中期経営計画の骨子を策定し、次期(2025年度)は、全社戦略の実行を可能とする新たな組織の下で、組織機能の強化とともに、2026年度からスタートする次期中期経営計画の策定を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、限りある資源をもとに“ものづくり”を支える私たちだからこそ持続可能な社会に貢献していくことが使命と考えております。
パーパス「より少なく、よりよく。 Building a better world from less.」及び「サステイナブルビジョン 2050 (Nippon Tungsten Sustainable Vision 2050)」のもとで、社会課題やメガトレンドから社会視点、自社視点による評価を行い、取り組むべき重要度が高く、かつ、サステイナブルビジョン達成に必要な課題を「成功の柱(≒マテリアリティ)」として特定しました。
また、サステナビリティ経営委員会において、持続可能性の観点から当社グループの企業価値を向上させるため、気候変動を含む環境・社会課題の解決に向けた具体的な取り組みを行っております。サステナビリティ経営委員会は、委員長を取締役社長とし、委員として各執行役員及び各本部長が参加するほか、傘下に「5つの成功の柱」における具体的な施策の検討・推進を担う下部組織としての主管部門(品質保証部門、調達部門、経営企画部門、人事部門、生産技術部門)を設け、重要事項等においては、取締役会に年2回以上、報告することとしております。
当社グループでは、以下のプロセスにて「成功の柱≒マテリアリティ」を特定し、課題解決に向けて取り組みを進めております。
(Step1)社会課題の抽出(社会から見た重要性)
2050年を見据え、中長期的な社会環境について「社会」「技術」「経済」「環境」「政治」の5つの視点から分析を行い、重要な社会課題を抽出しました。
(Step2)妥当性の評価とサステイナブルビジョンの策定(自社から見た重要性)
Step 1で抽出した社会課題を、当社にとってのインパクトや貢献可能性などの観点で絞り込み、その解決に貢献している姿をサステイナブルビジョンとして策定しました。
(Step3)成功の柱≒マテリアリティの特定
Step 2で策定したサステイナブルビジョンの実現において重要な下記5つの取り組みを“成功の柱≒マテリアリティ”と定め、取締役会において妥当性を評価し、最終決定しました。
(5つの成功の柱≒マテリアリティ)
また、当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
(人材の育成に関する方針)
当社グループは、社員が必要なスキルや自らのキャリアについて主体的に意識し、実現に向け行動するための人材育成プログラムに取り組むことで、個人の能力開発・成長を支援します。
(社内環境整備に関する方針、戦略)
当社グループは、年齢・性別・国籍に捉われず、多様な属性・価値観を持った人材が互いに認め合い、多くのパートナーと共創しながら前向きに挑戦でき、かつ、社員が心身ともに健康で、差別がなく人権が保障されている「健全な職場環境」の構築に取り組みます。
当社グループのリスクマネジメント推進体制におきましては、取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会により、リスクの対応方針や課題について識別・評価を行い、定期的に取締役会に報告しております。
サステナビリティに係るリスクにつきましても、リスクマネジメント委員会において識別・評価し、定期的に取締役会に報告することとしております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、「5つの成功の柱」を達成するための具体的な指標及び目標について、2050年の目指す姿で設定した「実質カーボンマイナスの達成」(CN:Carbon Negative)や、「枯渇リスクの高い資源の最終廃棄をゼロ」(CE:Circular Economy)とする最終目標に対し、サステナビリティ経営委員会を中心に、取組みを行いながら段階的な目標値等の検討を進めております。
(人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標)
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では、女性活躍推進法等による公表義務がなかったことから、指標の目標及び実績に関する整備が行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社の指標の目標及び実績を記載しております。
(リスクマネジメント体制)
当社は、当社グループの事業活動に関するリスク管理を所管する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。リスクマネジメント委員会は、取締役社長を委員長とし、各部門の部門長がリスクオーナーとしての責任を負っております。
当社グループでは、各部門がリスクを抽出、当該リスクについて管理レベル、業績等への影響度、緊急性の観点から重要性を評価し、当該リスクへの対応策を決定した上で、リスクマネジメント委員会事務局に提出しております。なお、各部門を通じて提出されたリスクのうち、特に重要性が高いリスクについては、リスクマネジメント委員会において対応策の実施状況をモニタリングし、その実効性を確認しております。
また、緊急事態が生じた場合には「緊急対策本部」を設置し、迅速かつ的確な対応を行うとともに、緊急事態による損害の軽減に必要な対策を行います。
(事業等のリスク)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある特に重要性の高いリスクには以下のようなものがあると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度における経済環境は、堅調な企業業績を背景とした雇用・所得環境の改善や設備投資の増加に支えられたこと、また、インバウンド需要も回復していること等から、景気は緩やかな回復基調で推移しております。一方で、関税を巡る金融市場の混乱や、インフレーション加速の懸念、地政学リスクの継続等、先行きは依然として不透明な状況が継続しております。
当社グループがターゲットとする市場におきましては、半導体・電子部品市場では、ビッグデータなど大量のデータ保存需要が伸びており、データセンター向けが好調であったことや、衛生用品機器市場では、拡販活動が進むなど好調に推移し、医療用部品市場においても、在庫調整の終息等により、回復基調で推移しました。また、産業用機器・部品市場は、企業の設備投資が増加傾向にある中で、当社商品の需要も堅調に推移しました。一方、自動車部品市場は、北米でのEV販売台数の低下や中国での需要が減少傾向にあり、低調に推移しました。
このような経済環境のもと、当社グループの業績は、機械部品事業において、注力商品であるハードディスクドライブ(HDD)用磁気ヘッド基板や、NTダイカッターが好調に推移したことで増収となり、電機部品事業においても、EVリレー用接点や抵抗溶接用電極が低調だったものの、ブレーカー用電気接点の需要が回復したこと等により増収となりました。
上記の結果、当社グループの売上高は、前年度比8.1%増の123億9千2百万円となりました。
損益面では、賃上げや、一部の主材料価格の上昇等によるコスト増加の要因はあったものの、特に機械部品事業の注力商品であるHDD用磁気ヘッド基板や、NTダイカッターが増収となったこと等により原価率が改善し、営業利益は、前年度比44.7%増の6億8千9百万円となりました。経常利益は、為替差損を計上したことや、持分法投資利益が減少したものの、営業利益が増加したこと等により、前年度比21.2%増の9億5千2百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度では特別損失を計上しましたが、当連結会計年度での特別損失の計上はなく、前年度比28.4%増の6億7千6百万円となりました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
なお、セグメント別の金額については、売上高はセグメント間の取引を含んでおり、営業損益は全社費用等調整前の金額であります。
(機械部品事業)
■半導体・電子部品市場
情報機器関連のHDD用磁気ヘッド基板は、データセンター等で使用される大容量HDDの在庫調整が解消し、安定した需要まで回復したこと等により、増収となりました。
■衛生用品機器・医療用部品市場
おむつなどの衛生用品製造設備の部品であるNTダイカッターは、中国市場向けで勢いを欠くものの、新材料及び新構造のロータリーカッターユニットの拡販により、中東やアフリカ等の新興国向けでは継続的な受注を獲得するなど好調に推移したことから増収となりました。
■産業用機器・部品市場
二軸混錬押出機用の金属部品が、当連結会計年度第1四半期及び第4四半期にまとまった需要があり、増収となりました。
この結果、機械部品事業の売上高は前年度比12.0%増の71億4千6百万円となり、営業利益は同76.2%増の8億8千5百万円となりました。
(電機部品事業)
■自動車部品市場
EVリレー用接点は、米国市場の需要低迷や、顧客の他材種への仕様変更の動き等もあり、減収となりました。また、電装部品溶接用の抵抗溶接用電極は、中国市場の低迷によるエンドユーザーの電極需要の減少等もあり、減収となりました。
■産業用機器・部品市場
産業用設備向けのブレーカー用電気接点は、前期の在庫調整を経て回復基調にあるなかで、原材料価格の上昇に伴う売価への転嫁も進んだこと等により、増収となりました。
■衛生用品機器・医療用部品市場
医療関連部材のカテーテル用タングステンワイヤー製品は、北米地域向けにおいて新規顧客を獲得したことや、東南アジア向けでは在庫調整が終息したこと等により、増収となりました。
この結果、電機部品事業の売上高は前年度比3.2%増の52億7千1百万円となり、営業利益は同25.4%減の3億9千8百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ4億9千5百万円増加し176億3千3百万円となりました。これは主に現金及び預金が減少したものの、有形固定資産、棚卸資産及び投資有価証券が増加したことによるものであります。負債は、4千5百万円増加し50億7千万円となりました。これは主に仕入債務が減少したものの、未払法人税等、賞与引当金及び設備関係未払金が増加したことによるものであります。純資産は、4億5千万円増加し125億6千3百万円となりました。これは主に利益剰余金及び為替換算調整勘定が増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、営業活動により10億2千万円の資金を獲得し、投資活動により9億4千2百万円の資金を支出し、財務活動により2億6千1百万円の資金を支出した結果、前連結会計年度末と比較して、1億8千8百万円減少し、32億9千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は10億2千万円となり、前年度比7億3千万円の収入増となりました。これは主に、売上債権の増減額が減少したこと及び税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は9億4千2百万円となり、前年度比1億2千8百万円の支出減となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は2億6千1百万円となり、前年度比4千万円の支出減となりました。これは主に配当金の支払が減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価額をもって表示しており、セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の受注高及び受注残高については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成において見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末と比較して1億1千8百万円増加の101億4千5百万円となりました。これは主に現金及び預金が1億8千8百万円減少したものの、棚卸資産が2億3千7百万円増加したこと及び売上債権が9千8百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末と比較して3億7千7百万円増加の74億8千8百万円となりました。これは主に退職給付に係る資産が4千9百万円減少したものの、有形固定資産が3億1百万円増加したこと及び投資有価証券が1億1千万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末と比較して1千1百万円増加の45億5千7百万円となりました。これは主に仕入債務が1億2千9百万円減少したものの、未払法人税等が8千2百万円増加したこと及び賞与引当金が7千5百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末と比較して3千4百万円増加の5億1千3百万円となりました。これは主にリース債務が1千9百万円減少したものの、繰延税金負債が5千1百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して4億5千万円増加の125億6千3百万円となりました。これは主に退職給付に係る調整累計額が9千3百万円減少したものの、利益剰余金が4億3千4百万円増加したこと及び為替換算調整勘定が8千3百万円増加したことによるものであります。
b 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前年度比8.1%増の123億9千2百万円となりました。
当社グループがターゲットとする市場におきましては、半導体・電子部品市場では、ビッグデータなど大量のデータ保存需要が伸びており、データセンター向けが好調であったことや、衛生用品機器市場では、拡販活動が進むなど好調に推移し、医療用部品市場においても、在庫調整の終息等により、回復基調で推移しました。また、産業用機器・部品市場は、企業の設備投資が増加傾向にある中で、当社商品の需要も堅調に推移しました。一方、自動車部品市場は、北米でのEV販売台数の低下や中国での需要が減少傾向にあり、低調に推移しました。
このような経済環境のもと、当社グループの業績は、機械部品事業において、注力商品であるハードディスクドライブ(HDD)用磁気ヘッド基板や、NTダイカッターが好調に推移したことで増収となり、電機部品事業においても、EVリレー用接点や抵抗溶接用電極が低調だったものの、ブレーカー用電気接点の需要が回復したこと等により増収となりました。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、賃上げや、一部の主材料価格の上昇等によるコスト増加の要因はあったものの、特に機械部品事業の注力商品であるHDD用磁気ヘッド基板や、NTダイカッターが増収となったこと等により原価率が改善し、前年度比14.4%増の29億2千8百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、当期に実施した賃上げに伴う固定労務費や旅費交通費等が増加したものの、売上総利益が増益だったこと等により、前年度比44.7%増の6億8千9百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、為替差損を計上したことや、持分法投資利益が減少したものの、営業利益が増加したこと等により、前年度比21.2%増の9億5千2百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度では特別損失を計上しましたが、当連結会計年度での特別損失の計上はなく、前年度比28.4%増の6億7千6百万円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
米国関税措置に関連する事業への影響につきましては、米国を含む各国の対応など不透明な要素が多いことから、現段階で影響額を見積もることは困難でありますが、米国の関税措置の動向等を注視するとともに、取引先とのコミュニケーションを高め、影響の把握とその対応に取り組んでまいります。
このほか、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクに対する影響につきましては、原材料価格高騰の継続による業績への影響が懸念されますが、原材料調達、価格の変動のリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 原材料調達、価格の変動」に記載しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a キャッシュ・フロー
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して、1億8千8百万円減少し、32億9千万円となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況と増減につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」に記載しております。
b 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備資金、法人税等の支払、借入金の返済、配当金の支払等であります。
また、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により必要とする資金を調達しております。
なお、当社は、機動的な資金調達を目的として、限度額を20億円とするコミットメントライン契約を締結しており、大きく資金不足となることは想定しておりません。
当社グループは、粉末冶金技術を基盤に、常に先進の技術を追求し、官学との共同研究にも積極的に取り組み、独創的な商品開発を進めております。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。
機械部品事業については、半導体製造装置用部材への独自開発セラミックスの適用研究、二次電池製造用高耐久部品の開発など、お客様や市場のニーズに合致した商品開発に注力しております。
電機部品事業については、半導体製造装置などに用いられる新たな放熱部材の開発に取り組むと共に、自動車関係においては、持続可能な社会への貢献に向けての新たな研究への取り組みを行ってります。
また、AIを取り入れた材料開発「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」に取り組んでおり、新素材開発の加速への取り組みを行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は